JP2011231233A - 着色アクリル系発泡体の製造方法及び着色アクリル系発泡体 - Google Patents

着色アクリル系発泡体の製造方法及び着色アクリル系発泡体 Download PDF

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吉紀 河野
Mitsuhiro Kaneda
充宏 金田
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廣論 安田
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Abstract

【課題】本発明の目的は、活性エネルギー線(特に、紫外線)を照射して活性エネルギー線硬化型化合物を反応させる工程を含む場合であっても、所望の色に着色されたアクリル系発泡体(着色アクリル系発泡体)を生産性よく製造できる、着色アクリル系発泡体の製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、当該製造方法によって製造される着色アクリル系発泡体を提供することにある。
【解決手段】本発明の着色アクリル系発泡体の製造方法は、アクリル系発泡体をカチオン染料にて染色する工程を含むことを特徴としている。
【選択図】なし

Description

本発明は、所望の色に着色されたアクリル系発泡体の製造方法、前記製造方法により製造された着色アクリル系発泡体に関する。詳しくは、例えば電子機器等の内部絶縁体、緩衝材、遮音材、食品包装材、衣用材、建材用として極めて有用な、クッション性があり高温での圧縮永久歪に優れる着色アクリル系発泡体の製造方法、前記製造方法により製造された着色アクリル系発泡体に関する。
従来から、例えば電子機器等の内部絶縁体、緩衝材、遮音材、断熱材、食品包装材、衣用材、建材用として用いられる発泡体には、部品として組み込まれる場合にそのシール性という観点から、柔らかく、クッション性、及び断熱性に優れるという点が求められており、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系素材などに代表される熱可塑性樹脂発泡体がよく知られている。しかしながら、これらの発泡体は、特に高温時で圧縮保持された場合に歪回復性に劣りシール性が低下する欠点があった。これを改良する試みで、ゴム成分などを配合して弾性を付与することで素材自体を柔らかくすることと合わせて弾性による復元性を持たせ歪回復性を改良することが行われている。しかしながら、通常エラストマー成分を配合すると弾性による復元は改良されるものの、発泡体を製造する工程において、発泡剤により発泡成形した後、樹脂の復元力により発泡体が収縮し、最終的に得られる発泡体の倍率は低いものとなってしまう。
先記の発泡体において、樹脂の復元力による収縮を抑制する手法として、活性エネルギー線硬化型化合物を含む熱可塑性エラストマー組成物を発泡成形して発泡構造体を形成後に、該発泡構造体に活性エネルギー線を照射して架橋構造を形成させる方法が知られている(特許文献1参照)。上記の活性エネルギー線種としては、α線、β線、γ線や中性子線、電子線や紫外線等があるが、より照射装置が安価でありハンドリング性に優れる点で、紫外線が広く使用されている。
一方、発泡体は使用上の要求に応じて、着色する必要がある。例えば、発泡体をシール材として使用する場合には、黒色に着色した上で用いられる場合が多い。このような発泡体の着色方法としては、材料自体に着色剤(カーボンブラックや顔料等)を練り込む物理的着色方法が知られている。
しかしながら、上述の活性エネルギー線照射(特に、紫外線)により活性エネルギー線硬化型化合物を反応させて得られる発泡体を上記物理的着色方法により着色した場合には、カーボンブラック等の着色剤により紫外線が遮蔽されることにより、発泡体中の活性エネルギー線硬化型化合物による架橋構造の形成が不十分となって樹脂の復元力による収縮が起こるという問題が生じた。
また、発泡体の着色方法としては、化学反応による発色を利用する方法や、着色剤と被着色体とのイオン結合や水素結合を利用した化学的着色方法も知られている。このような化学的着色方法で用いられる着色剤としては、一般的に、直接染料、塩基性染料、カチオン染料、酸性染料、媒染染料、酸性媒染染料、硫化染料、建染染料、ナフトール染料、分散染料、反応染料などが市販されている。ここで、一般的にアクリル素材に染色性が優れるものとして塩基性染料、酸性染料、カチオン染料、ナフトール染料が知られているが、アクリル系発泡体用の着色剤としては知られていないのが現状である。
特開2009−13397号公報
従って、本発明の目的は、活性エネルギー線(特に、紫外線)を照射して活性エネルギー線硬化型化合物を反応させる工程を含む場合であっても、所望の色に着色されたアクリル系発泡体を製造できる、着色アクリル系発泡体の製造方法を提供することにある。特に、高着色性と短時間での着色を達成できる着色アクリル系発泡体の製造方法を提供する。また、本発明の他の目的は、当該製造方法によって製造される着色アクリル系発泡体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、アクリル系発泡体を特定の染料にて染色する工程を含む製造方法とすることにより、活性エネルギー線(特に、紫外線)照射により活性エネルギー線硬化型化合物を反応させる工程を含む場合であっても、所望の色に着色(染色)されたアクリル系発泡体が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、アクリル系発泡体をカチオン染料にて染色する工程を含む着色アクリル系発泡体の製造方法を提供する。
さらに、活性エネルギー線硬化型化合物を含む発泡構造体中の、該活性エネルギー線硬化型化合物を反応させ、前記アクリル系発泡体を得る工程を含む前記の着色アクリル系発泡体の製造方法を提供する。
さらに、活性エネルギー線硬化型化合物を反応させる工程において紫外線を照射する前記の着色アクリル系発泡体の製造方法を提供する。
さらに、熱可塑性エラストマー、活性エネルギー線硬化型化合物を含む熱可塑性樹脂組成物を発泡成形して発泡構造体を形成し、次いで、該発泡構造体に紫外線を照射してアクリル系発泡体を形成した後、該アクリル系発泡体をカチオン染料にて染色する前記の着色アクリル系発泡体の製造方法。
さらに、カチオン染料が、オキサジン・アザシアニン・アゾ・メチン系塩基性混合物である前記の着色アクリル系発泡体の製造方法を提供する。
さらに、カチオン染料による染色が、アクリル系発泡体をカチオン染料を含む染色液に浸漬することによる染色であり、前記染色液のpHが3.0〜8.0である前記の着色アクリル系発泡体の製造方法を提供する。
さらに、カチオン染料による染色が、アクリル系発泡体をカチオン染料を含む染色液に浸漬することによる染色であり、前記染色液の温度が90℃以上である前記の着色アクリル系発泡体の製造方法を提供する。
さらに、前記の製造方法により製造された着色アクリル系発泡体を提供する。
本発明の着色アクリル系発泡体の製造方法によれば、アクリル系発泡体の製造工程として、活性エネルギー線(特に、紫外線)を照射して活性エネルギー線硬化型化合物を反応させる工程を含む場合であっても、所望の色に着色されたアクリル系発泡体(着色アクリル系発泡体)を製造することができる。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の着色アクリル系発泡体の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」と称する場合がある)は、アクリル系発泡体をカチオン染料にて染色(着色)する工程を含む。さらに、本発明の製造方法は、前記アクリル系発泡体の製造工程(前記アクリル系発泡体を得る工程)として、活性エネルギー線硬化型化合物を含む発泡構造体に活性エネルギー線(特に、紫外線)を照射して、前記活性エネルギー線硬化型化合物を反応させる工程を含むことが好ましい。
より具体的には、例えば、本発明の製造方法は、熱可塑性エラストマー、活性エネルギー線硬化型化合物を含む熱可塑性樹脂組成物を発泡成形して発泡構造体を形成し、次いで、該発泡構造体に活性エネルギー線(特に、紫外線)を照射してアクリル系発泡体を形成した後、該アクリル系発泡体をカチオン染料にて染色する製造方法であることが好ましい。
なお、本明細書においては、「発泡構造体」とは、上記製造方法において、熱可塑性樹脂組成物を発泡成形することにより得られ、かつ活性エネルギー線硬化型化合物を反応させる前の発泡体のことを意味する。また、「アクリル系発泡体」とは活性エネルギー線硬化型化合物を反応させることにより得られ、かつカチオン染料にて染色される前の発泡体のことを意味する。また、「着色アクリル系発泡体」とはカチオン染料により染色された後の発泡体のことを意味する。
(熱可塑性樹脂組成物)
上記熱可塑性樹脂組成物(アクリル系熱可塑性樹脂組成物)は、アクリル系発泡体の原料であり、少なくとも熱可塑性エラストマー(アクリル系熱可塑性エラストマー)及び活性エネルギー線硬化型化合物を含有する組成物であることが好ましい。上記熱可塑性樹脂組成物を発泡成形することによって発泡構造体を作製し、次いで、発泡体セル構造の収縮を抑制する為にインライン(連続生産工程)で活性エネルギー線(特に、紫外線)照射を行うことにより、上記アクリル系発泡体を得ることができる。
上記熱可塑性樹脂組成物に主成分として含まれる熱可塑性エラストマー(熱可塑性樹脂)としては、常温でゴム弾性を有するものである限り特に限定されない。中でも、上記熱可塑性エラストマーとしては、後述のアクリル系モノマーを主モノマー成分として形成されたアクリル系重合体(単独重合体又は共重合体)であり、ガラス転移温度が低いもの(例えば、ガラス転移温度が0℃以下のもの)であることが好ましい。より具体的には、上記熱可塑性エラストマーは、主モノマー成分としての上記アクリル系モノマーに、後述の極性基含有モノマー、コモノマー等を共重合したアクリル系重合体であることが好ましい。なお、上記熱可塑性樹脂組成物には、上記熱可塑性エラストマーが1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
上記アクリル系モノマーとしては、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルが好ましい。このようなアクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチルアクリレート(MA)、エチルアクリレート(EA)、ブチルアクリレート(BA)、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、プロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート(IBXA)などが挙げられる。なお、上記アクリル系モノマーは、1種又は2種以上を用いることができる。
上記アクリル系モノマー(特に前記のアクリル酸アルキルエステル)の含有量は、上記熱可塑性エラストマーの主モノマー成分として用いられているので、その割合は、例えば、熱可塑性エラストマーを形成する全モノマー成分(100重量%)のうち、50〜95重量%が好ましく、より好ましくは70〜90重量%である。
上記熱可塑性エラストマーが共重合体である場合、必要に応じて、上記アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他の単量体成分を含んでいてもよい。なお、他の単量体成分は、1種又は2種以上を用いることができる。
上記の単量体成分(他の単量体成分)としては、例えば、極性基含有モノマーが挙げられる。極性基含有モノマーとは、熱可塑性エラストマーを形成する単量体成分であり、主の単量体成分(主モノマー成分)と共重合することにより得られる熱可塑性エラストマーにおいて、凝集力を高めたり、熱架橋剤と反応し得る官能基(極性基)を提供するモノマーである。
上記極性基含有モノマーとしては、例えば、メタクリル酸(MAA)、アクリル酸(AA)、イタコン酸(IA)などのカルボキシル基含有モノマー;ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)などのヒドロキシル基含有モノマー;ジメチルアミノエチルメタクリレート(DM)などのアミノ基含有モノマー;アクリルアマイド(AM)、メチロールアクリルアマイドなどのアミド基含有モノマー;グリシジルメタクリレート(GMA)などのエポキシ基含有モノマー;無水マレイン酸などの酸無水物基含有モノマー;アクリロニトリル(AN)などのシアノ基含有モノマー等が挙げられる。中でも、メタクリル酸(MAA)、アクリル酸(AA)などのカルボキシル基含有モノマーや、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)などのヒドロキシル基含有モノマー、及びアクリロニトリル(AN)などのシアノ基含有モノマーが好ましく、特にアクリル酸(AA)、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)、アクリロニトリル(AN)が好ましい。
上記極性基含有モノマーの含有量としては、例えば、熱可塑性エラストマーを形成する全モノマー成分(100重量%)に対して0.1〜50重量%が好ましく、より好ましくは1〜30重量%である。含有量が50重量%を超えると、反応が過剰に進行してゲル化する場合がある。一方、0.1重量%未満であると架橋密度が低すぎて発泡体の特性が悪くなる場合がある。
また、上記モノマー以外の他の単量体成分(コモノマー)としては、例えば、酢酸ビニル(VAc)、スチレン(St)、メチルメタクリレート(MMA)、メトキシエチルアクリレート(MEA)などが挙げられる。中でも、メトキシエチルアクリレート(MEA)が耐寒性の観点から好ましい。
上記コモノマーの含有量としては、例えば、熱可塑性エラストマーを形成する全モノマー成分(100重量%)に対して0〜40重量%が好ましく、より好ましくは0〜20重量%である。含有量が40重量%を超えると、柔軟性、クッション性等が低下する傾向がある。
上記熱可塑性樹脂組成物が活性エネルギー線硬化型化合物を含有すると、熱可塑性樹脂組成物を発泡成形して得られる発泡構造体に対して活性エネルギー線を照射することによって、上記活性エネルギー線硬化型化合物を反応(硬化)させ、架橋構造を形成することができる。これにより、着色アクリル系発泡体(アクリル系発泡体)の形状固定性がさらに向上し、気泡構造の経時的な変形や収縮を防ぐことができる。また、このような架橋構造を有する着色アクリル系発泡体(アクリル系発泡体)は、圧縮した場合の歪回復性にも優れており、発泡時の高い発泡倍率を維持することができ、また、高温下で圧縮した場合の歪回復性にも優れる。
上記活性エネルギー線硬化型化合物(特に紫外線硬化型化合物)としては、活性エネルギー線(特に、紫外線)の照射によって硬化する化合物である限り特に制限されないが、不揮発性でかつ重量平均分子量が10000以下の低分子量体である重合性不飽和化合物が好ましい。前記重合性不飽和化合物の具体例としては、例えば、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物、ウレタン(メタ)アクリレート、多官能ウレタンアクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なお、本願において「(メタ)アクリル」とは、「アクリル及び/又はメタクリル」を意味し、他も同様である。
上記熱可塑性樹脂組成物における上記活性エネルギー線硬化型化合物の含有量は、発泡構造体に活性エネルギー線を照射することにより架橋構造を形成できる限り特に制限されないが、例えば、前記重合性不飽和化合物を活性エネルギー線硬化型化合物として使用する場合、熱可塑性エラストマー100重量部に対して3〜120重量部が好ましく、より好ましくは20〜100重量部である。活性エネルギー線硬化型化合物の含有量が多すぎると(例えば、前記重合性不飽和化合物の含有量が熱可塑性エラストマー100重量部に対して120重量部を超えていると)、硬度が高くなり、クッション性が低下する場合がある。一方、活性エネルギー線硬化型化合物の含有量が少なすぎると(例えば、前記重合性不飽和化合物の含有量が熱可塑性エラストマー100重量部に対して3重量部未満であると)、高い発泡倍率を維持できない場合がある。なお、活性エネルギー線硬化型化合物は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記熱可塑性エラストマーと上記活性エネルギー線硬化型化合物との組み合わせは、熱可塑性エラストマーの溶解度パラメーター(SP値)δ1[(J/cm31/2]と活性エネルギー線硬化型化合物の溶解度パラメーター(SP値)δ2[(J/cm31/2]との差Δδ(δ1−δ2)が、±2.5[(J/cm31/2]以内(好ましくは±2[(J/cm31/2]]以内)となる組み合わせが好ましい。熱可塑性エラストマーと活性エネルギー線硬化型化合物との組み合わせがこのような組み合わせであると、熱可塑性エラストマーと活性エネルギー線硬化型化合物との相溶性が極めて良好となるため、樹脂組成物において、熱可塑性エラストマーに対する活性エネルギー線硬化型化合物の配合量をより多くすることができる。例えば、熱可塑性エラストマーと上記重合性不飽和化合物とがこのような組み合わせに該当する場合、上記熱可塑性樹脂組成物において、上記重合性不飽和化合物を熱可塑性エラストマー100重量部に対して3〜150重量部(好ましくは5〜120重量部)配合することができる。
上記熱可塑性エラストマーと上記活性エネルギー線硬化型化合物との組み合わせが上記組み合わせであると、熱可塑性エラストマーに対する活性エネルギー線硬化型化合物の配合量をより多くすることができることにより、着色アクリル系発泡体において、形状固定性が向上する。また、相溶性が優れると、活性エネルギー線硬化型化合物を反応させ架橋構造を形成させた際に熱可塑性エラストマー分子鎖と活性エネルギー線硬化型化合物ネットワークが相互侵入網目構造(IPN)を形成し、その効果によっても着色アクリル系発泡体の形状固定性が向上する。
なお、溶解度パラメーター(SP値)は、Fedors法による計算により求めた値である。Fedors法の計算式によれば、SP値は、各原子団のモル凝集エネルギーの和を体積で割ったものの平方根とされ、単位体積あたりの極性を示す。
上記熱可塑性樹脂組成物には、光重合開始剤が含まれていてもよい。光重合開始剤が含まれていると、上記熱可塑性樹脂組成物を発泡成形することにより得られる発泡構造体に活性エネルギー線を照射し、該発泡構造体中の上記活性エネルギー線硬化型化合物を反応させて架橋構造を形成させることが、より容易となる。
上記光重合開始剤としては、特に制限されず、各種のものを特に制限なく使用することができる。例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、アニソールメチルエーテルなどのべンゾインエーテル系光重合開始剤;2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチルージクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン系光重合開始剤;2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンなどのα−ケトール系光重合開始剤;2−ナフタレンスルホニルクロライドなどの芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤;1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどの光活性オキシム系光重合開始剤;ベンゾインなどのべンゾイン系光重合開始剤;ベンジルなどのべンジル系光重合開始剤;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3´−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのベンゾフェノン系光重合開始剤;ベンジルジメチルケタールなどのケタール系光重合開始剤;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル」−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1などのα−アミノケトン系光重合開始剤;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどのアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤などが挙げられる。
上記光重合開始剤の含有量としては、特に限定されないが、例えば、上記熱可塑性樹脂組成物中の熱可塑性エラストマー100重量部に対して0.01〜5重量部(好ましくは0.2〜4重量部)の範囲から選択することができる。なお、上記光重合開始剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記熱可塑性樹脂組成物には、さらに、熱架橋剤が含まれていてもよい。上記熱架橋剤としては、例えば、特開2009−13397号公報に記載の熱架橋剤などを用いることができる。
上記熱可塑性樹脂組成物には、架橋促進剤が含まれていてもよい。架橋促進剤が含まれることにより、上記活性エネルギー線硬化型化合物の反応を加速したり、熱架橋剤が含まれる場合には熱架橋剤による架橋反応も加速することができる。
上記架橋促進剤の含有量としては、特に限定されないが、例えば、上記熱可塑性樹脂組成物中の熱可塑性エラストマー100重量部に対して0.01〜6重量部が好ましく、より好ましくは2〜5重量部である。なお、架橋促進剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記熱可塑性樹脂組成物は、さらに、パウダー粒子を含んでいてもよい。パウダー粒子は、発泡成形時に発泡核剤としての機能を発揮することができる。そのため、パウダー粒子を配合することにより、良好な発泡状態の発泡構造体(アクリル系発泡体、着色アクリル系発泡体)を得ることができる。上記パウダー粒子としては、例えば、パウダー状のタルク、シリカ、アルミナ、ゼオライト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、マイカ、モンモリナイト等のクレイ、カーボン粒子、グラスファイバー、カーボンチューブなどを用いることができる。パウダー粒子は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、本発明では、上記パウダー粒子としては、平均粒子径(粒径)が0.1〜20μm程度のパウダー状の粒子を好適に用いることができる。上記パウダー粒子の平均粒子径が0.1μm未満では核剤として十分機能しない場合があり、粒径が20μmを超えると発泡成形時にガス抜けの原因となる場合があり好ましくない。
上記パウダー粒子の含有量としては、特に制限されないが、例えば、熱可塑性エラストマー100重量部に対して5〜150重量部(好ましくは10〜120重量部)の範囲から適宜選択することができる。上記パウダー粒子の含有量が熱可塑性エラストマー100重量部に対して5重量部未満であると、均一な発泡構造体(アクリル系発泡体、着色アクリル系発泡体)を得ることが困難になり、一方、150重量部を超えると、上記熱可塑性樹脂組成物の粘度が著しく上昇するとともに、発泡成形時にガス抜けが生じてしまい、発泡特性を損なうおそれがある。
また、本発明の着色アクリル系発泡体は、上記熱可塑性エラストマーにより構成されている場合には、燃えやすいという特性(もちろん、欠点でもある)を有している。そのため、特に、本発明の着色アクリル系発泡体を電気・電子機器用途などの難燃性の付与が不可欠な用途で用いる場合には、パウダー粒子として、難燃性を有しているパウダー粒子(例えば、パウダー状の各種の難燃剤など)を配合してもよい。なお、上記難燃剤は、難燃剤以外のパウダー粒子とともに用いることができる。
上記パウダー状の難燃剤としては、無機難燃剤が好適である。前記無機難燃剤としては、例えば、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、リン系難燃剤、アンチモン系難燃剤などであってもよいが、塩素系難燃剤や臭素系難燃剤は、燃焼時に人体に対して有害で機器類に対して腐食性を有するガス成分を発生し、また、リン系難燃剤やアンチモン系難燃剤は、有害性や爆発性などの問題があるため、ノンハロゲン−ノンアンチモン系無機難燃剤を好適に用いることができる。ノンハロゲン−ノンアンチモン系無機難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム・酸化ニッケルの水和物、酸化マグネシウム・酸化亜鉛の水和物等の水和金属化合物などが挙げられる。なお、水和金属化合物は表面処理されていてもよい。上記難燃剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記難燃剤を用いる場合、難燃剤の含有量としては、特に制限されず、例えば、熱可塑性エラストマー(100重量部)に対して5〜150重量部が好ましく、より好ましくは10〜120重量部である。難燃剤の含有量が少なすぎると、難燃化効果が小さくなり、逆に多すぎると、高発泡倍率の発泡体を得ることが困難になる。
上記熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、各種添加剤が配合されていてもよい。上記添加剤の種類は特に限定されず、発泡成形に通常使用される各種添加剤を用いることができる。具体的には、添加剤として、例えば、気泡核剤、結晶核剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤、老化防止剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、界面活性剤、張力改質剤、収縮防止剤、流動性改質剤、クレイ、加硫剤、表面処理剤、パウダー状以外の各種形態の難燃剤などが挙げられる。これらの添加剤の配合量は、特に制限されず、通常の樹脂発泡体の製造に用いられる配合量で使用できる。本発明における着色アクリル系発泡体の強度、柔軟性、圧縮歪回復性等の所望の良好な特性の発現を阻害しない範囲内で適宜調節して使用すればよい。
上記熱可塑性樹脂組成物は、特に制限されないが、例えば、必要に応じて、上述のアクリル系熱可塑性エラストマー、活性エネルギー線硬化型化合物、光重合開始剤、熱架橋剤、パウダー粒子、添加剤等を、混合、混練、溶融混合等することにより得ることができる。例えば、上記熱可塑性樹脂組成物をローラ、カム、ニーダ−、バンバリ型等の羽根を設けた混練機を使用して均一に混練しておき、単軸押出機、二軸押出機等の押出機を用いて成形する方法などが挙げられる。
(発泡構造体)
上記熱可塑性樹脂組成物を発泡成形することにより、発泡構造体を形成することができる。上記発泡構造体は、構造体中に気泡構造(発泡構造、セル構造)を有している。上記発泡構造体は活性エネルギー線硬化型化合物を含むため、該発泡構造体に活性エネルギー線を照射することにより、上記活性エネルギー線硬化型化合物による架橋構造を有するアクリル系発泡体を得ることができる。
本発明において、上記熱可塑性樹脂組成物を発泡成形する際に用いられる発泡剤としては、常温常圧では気体であって、熱可塑性エラストマー(熱可塑性樹脂)に対して不活性で且つ含浸可能なものであれば特に制限されない。なお、本明細書では、「熱可塑性エラストマーに対して不活性で且つ含浸可能なガス」を「不活性ガス」と称する場合がある。
前記の不活性ガスとしては、例えば、希ガス(例えば、ヘリウム、アルゴンなど)、二酸化炭素、窒素、空気等が挙げられる。これらのガスは混合して用いてもよい。これらのうち、発泡体の素材として用いる熱可塑性エラストマーへの含浸量が多く、含浸速度が速い点から、二酸化炭素又は窒素を好適に用いることができる。
さらに、上記熱可塑性エラストマーへの含浸速度を速めるという観点から、上記発泡剤は、高圧のガス(特に高圧の二酸化炭素ガス又は高圧の窒素ガス)であることが好ましく、より好ましくは超臨界状態の流体(特に、超臨界状態の二酸化炭素又は超臨界状態の窒素)であることが好ましい。超臨界状態では、熱可塑性エラストマーへの溶解度が増大し、高濃度の混入が可能である。また、含浸後の急激な圧力降下時には、前記のように高濃度で含浸することが可能であるため、気泡核の発生が多くなり、その気泡核が成長してできる気泡の密度が、気孔率が同じであっても大きくなるため、微細な気泡を得ることができる。なお、二酸化炭素の臨界温度は31℃、臨界圧力は7.4MPaである。
上記熱可塑性樹脂組成物を発泡成形する場合には、予め上記熱可塑性樹脂組成物を、例えば、シート状などの適宜な形状に成形して未発泡樹脂成形体(未発泡成形物)とした後、この未発泡樹脂成形体に発泡剤(特に高圧のガスや超臨界状態の流体)を含浸させ、圧力を解放することにより発泡させるバッチ方式で行ってもよく、熱可塑性樹脂組成物を加圧下、発泡剤(特に高圧のガスや超臨界状態の流体)と共に混練し、成形すると同時に圧力を解放し、成形と発泡を同時に行う連続方式で行ってもよい。
具体的には、バッチ方式で発泡構造体を製造する際、未発泡樹脂成形体を製造する方法としては、例えば、熱可塑性樹脂組成物を単軸押出機、二軸押出機等の押出機を用いて成形する方法、熱可塑性樹脂組成物をローラ、カム、ニーダ、バンバリ型等の羽根を設けた混練機を使用して均一に混練しておき、熱板プレスなどを用いて所定の厚みにプレス成形する方法、射出成形機を用いて成形する方法などが挙げられる。所望の形状や厚さの成形体が得られる適宜な方法により成形すればよい。こうして得られた未発泡樹脂成形体(熱可塑性樹脂組成物による成形体)を耐圧容器(高圧容器)に入れて、発泡剤(例えば、二酸化炭素や窒素など)を注入(導入)し、未発泡樹脂成形体中に高圧状態の発泡剤を含浸させる発泡剤含浸工程、十分に発泡剤を含浸させた時点で圧力を解放し(通常、大気圧まで)、熱可塑性エラストマー中に気泡核を発生させる減圧工程、場合によっては(必要に応じて)、加熱することによって気泡核を成長させる加熱工程を経て、熱可塑性エラストマー中に気泡を形成させる。なお、加熱工程を設けずに、室温で気泡核を成長させてもよい。このようにして気泡を成長させた後、必要により冷水などにより急激に冷却し、形状を固定化することにより発泡構造体を得ることができる。なお、未発泡樹脂成形体の形状は特に限定されず、ロール状、板状等の何れであってもよい。また、発泡剤の導入は連続的に行ってもよく不連続的に行ってもよい。さらに、気泡核を成長させる際の加熱の方法としては、ウォーターバス、オイルバス、熱ロール、熱風オーブン、遠赤外線、近赤外線、マイクロ波などの公知乃至慣用の方法を採用できる。また、発泡に供する未発泡樹脂成形体は、押出成形、プレス成形、射出成形以外に、他の成形方法により作製することもできる。
一方、連続方式で発泡構造体を製造する場合は、熱可塑性樹脂組成物を、単軸押出機、二軸押出機等の押出機を使用して混練しながら、発泡剤(例えば二酸化炭素や窒素など)を注入(導入)し、十分に発泡剤を熱可塑性エラストマー(熱可塑性樹脂)に含浸させる混練含浸工程、押出機の先端に設けられたダイスなどを通して熱可塑性樹脂組成物を押し出すことにより圧力を解放し(通常、大気圧まで)、成形と発泡を同時に行う成形減圧工程により製造することができる。また、場合によっては(必要に応じて)、加熱することによって気泡を成長させる加熱工程を設けてもよい。このようにして気泡を成長させた後、必要により冷水などにより急激に冷却し、形状を固定化することにより、発泡構造体を得ることができる。なお、上記混練含浸工程及び成形減圧工程では、押出機のほか、射出成形機などを用いることもできる。また、シート状、角柱状、その他の任意の形状の発泡構造体を得られる方法を適宜選択すればよい。
発泡剤の混合量は特に制限されないが、例えば、熱可塑性樹脂組成物(100重量%)に対して2〜10重量%が好ましく、より好ましくは3〜7重量%である。所望の密度や発泡倍率が得られるように、適宜調節して混合すればよい。
バッチ方式における発泡剤含浸工程や連続方式における混練含浸工程で、発泡剤を未発泡樹脂成形体や熱可塑性樹脂組成物に含浸させるときの圧力は、発泡剤の種類や操作性等を考慮して適宜選択できるが、例えば、発泡剤として二酸化炭素を用いる場合には、好ましくは6MPa以上(例えば、6〜100MPa程度)、より好ましくは8MPa以上(例えば、8〜100MPa程度)とするのがよい。発泡剤の圧力が6MPaより低い場合には、発泡時の気泡成長が著しく、気泡径が大きくなりすぎ、例えば、防塵効果が低下するなどの不都合が生じやすくなり、好ましくない。これは、圧力が低いと発泡剤の含浸量が高圧時に比べて相対的に少なく、気泡核形成速度が低下して形成される気泡核数が少なくなるため、1気泡あたりのガス量が逆に増えて気泡径が極端に大きくなるからである。また、6MPaより低い圧力領域では、含浸圧力を少し変化させるだけで気泡径、気泡密度が大きく変わるため、気泡径及び気泡密度の制御が困難になりやすい。
また、バッチ方式における発泡剤含浸工程や連続方式における混練含浸工程で、発泡剤を未発泡樹脂成形体や熱可塑性樹脂組成物に含浸させるときの温度は、用いる高圧ガスや熱可塑性エラストマーの種類によって異なり、広い範囲で選択できるが、操作性等を考慮した場合、例えば、10〜350℃程度である。例えば、バッチ方式において、シート状の未発泡樹脂成形体に発泡剤を含浸させる場合の含浸温度は、10〜200℃が好ましく、より好ましくは40〜200℃である。また、連続方式において、熱可塑性樹脂組成物に発泡剤を注入し混練する際の温度は、60〜350℃程度が一般的である。なお、発泡剤として二酸化炭素を用いる場合には、超臨界状態を保持するため、含浸時の温度(含浸温度)は32℃以上(特に40℃以上)であることが好ましい。
なお、前記減圧工程において、減圧速度は、特に限定されないが、均一な微細気泡を得るため、好ましくは5〜800MPa/秒程度、より好ましくは10〜700MPa/秒程度である。また、前記加熱工程における加熱温度は、例えば、40〜250℃が好ましく、より好ましくは60〜250℃である。
また、上記のような発泡構造体の製造方法によれば、高発泡倍率の発泡構造体を製造することができるので、厚い発泡構造体を製造することができるという利点を有する。例えば、連続方式で発泡構造体を製造する場合、混練含浸工程において押出機内部での圧力を保持するためには、押出機先端に取り付けるダイスのギャップをできるだけ狭く(通常、0.1〜1.0mm)する必要がある。従って、厚い発泡構造体を得るためには、狭いギャップを通して押出された熱可塑性樹脂組成物を高い倍率で発泡させなければならないが、従来は、高い発泡倍率が得られないことから、形成される発泡構造体の厚みは薄いもの(例えば、0.5〜2.0mm程度)に限定されてしまっていた。これに対して、高圧状態又は超臨界状態の発泡剤を用いて製造される発泡構造体は、最終的な厚みで0.50〜5.00mmの発泡体としての発泡構造体を連続して得ることが可能である。
上記発泡構造体の形状や厚みなどは、特に限定されず、この発泡構造体に活性エネルギー線を照射し、その後カチオン染料にて着色することによって形成する着色アクリル系発泡体の用途に応じて、適宜選択することができる。なお、上記発泡構造体は、前記の製造方法によって作製された後、架橋構造の形成を目的とする活性エネルギー線の照射の前に、種々の形状や厚みに加工されてもよい。
上記発泡構造体の厚み、密度、相対密度等は、用いる発泡剤、熱可塑性エラストマー(熱可塑性樹脂)の成分に応じて、例えば、発泡構造体製作時の発泡剤含浸工程や混練含浸工程における温度、圧力、時間などの操作条件、減圧工程や成形減圧工程における減圧速度、温度、圧力などの操作条件、減圧後又は成形減圧後の加熱工程における加熱温度などを適宜選択、設定することにより調整することができる。
(アクリル系発泡体)
上記発泡構造体に活性エネルギー線(特に、紫外線)を照射し、発泡構造体中の活性エネルギー線硬化型化合物を反応させることにより、上記活性エネルギー線硬化型化合物による架橋構造が形成されたアクリル系発泡体を形成することができる。
上記の活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に、装置コストやハンドリング性の観点から、紫外線が好適である。また、上記活性エネルギー線の照射エネルギー、照射時間、照射方法などは、活性エネルギー硬化型化合物による架橋構造を形成することができる限り特に制限されない。このような活性エネルギー線の照射としては、例えば、上記発泡構造体がシート状の形状であって、活性エネルギー線として紫外線を用いる場合、シート状の発泡構造体に対して、一方の面に対する紫外線の照射(照射エネルギー:750mJ/cm2)をした後、再び、他方の面に対する紫外線の照射(照射エネルギー:750mJ/cm2)をすることが挙げられる。
本発明の製造方法は、上記アクリル系発泡体を形成した後に該アクリル系発泡体をカチオン染料にて染色する着色アクリル系発泡体の製造方法である。従って、上記アクリル系発泡体が活性エネルギー線の照射による活性エネルギー線硬化型化合物の反応を経て得られる場合であっても、当該反応の段階では未だ染色(着色)されていないため、活性エネルギー線が着色剤や染料などによって遮蔽されることなく、内部まで十分に活性エネルギー線硬化型化合物による架橋構造が形成されたアクリル系発泡体(着色アクリル系発泡体)を製造することができる。
原料となる上記熱可塑性樹脂組成物が熱架橋剤を含有する場合には、熱架橋剤による架橋構造を形成するための加熱工程を含んでいてもよい。
上記アクリル系発泡体は、上記活性エネルギー線硬化型化合物により形成された架橋構造を有する。このため、上記アクリル系発泡体は、高い発泡倍率の発泡体とすることができ、クッション性に優れている。また、形状固定性に優れており、気泡構造が変形、収縮しにくいため、歪回復性が良好である。
上記アクリル系発泡体の密度(見掛け密度)は、特に限定されないが、0.01〜0.2g/cm3が好ましく、より好ましくは0.02〜0.12g/cm3、さらに好ましくは0.02〜0.08g/cm3である。密度がこの範囲内にあるときは、アクリル系発泡体は適度な強度と柔軟性をもち、クッション性に優れ、良好な歪回復性を発現する。密度が0.01g/cm3未満であると、アクリル系発泡体が柔らかくなり過ぎる場合がある。また、密度が0.2g/cm3を超えると、アクリル系発泡体が硬くなり過ぎる場合がある。
上記アクリル系発泡体は、高発泡倍率の発泡体であることが好ましく、その発泡倍率としては、例えば、5〜110倍が好ましく、より好ましくは10〜60倍である。
上記アクリル系発泡体の形状や厚みなどは、特に限定されず、用途などに応じて適宜選択することができる。例えば、厚みとしては、0.1〜3.0mmが好ましく、より好ましくは0.2〜2.0mmである。また、形状としては、例えば、シート状、テープ状、フィルム状などが挙げられる。
上記アクリル系発泡体の厚み、密度、相対密度等は、用いる発泡剤、熱可塑性エラストマー(熱可塑性樹脂)の成分に応じて、例えば、発泡構造体作製時の発泡剤含浸工程や混練含浸工程における温度、圧力、時間などの操作条件、減圧工程や成形減圧工程における減圧速度、温度、圧力などの操作条件、減圧後又は成形減圧後の加熱工程における加熱温度などを適宜選択、設定することにより調整することができる。
なお、上記アクリル系発泡体において、気泡構造としては、独立気泡構造、半連続半独立気泡構造(独立気泡構造と連続気泡構造とが混在している気泡構造であり、その割合は特に限定されない)が好ましく、特に、アクリル系発泡体中に独立気泡構造部が80%以上(中でも、90%以上)となっている気泡構造が好適である。
(着色アクリル系発泡体)
上記のアクリル系発泡体をカチオン染料にて染色することによって、着色アクリル系発泡体(以下、「本発明の着色アクリル系発泡体」と称する場合がある)を製造することができる。
上記カチオン染料とは、酸性基を含まず、アミン塩、第4級アンモニウム基、カルボニウムイオンからなる群から選ばれた少なくとも1種の構造を有する染料(特に、水溶性染料)である。上記カチオン染料としては、特に限定されないが、例えば、オキサジン系染料、アザシアニン系染料、アゾ系染料、メチン系染料、ジフェニルメタン系染料、トリフェニルメタン系染料、アジン系染料、チアジン系染料などが挙げられる。上記の中でも、アクリル系発泡体への着色性の観点で、オキサジン・アザシアニン・アゾ・メチン系塩基性混合物が好ましい。なお、上記「酸性基」とは、プロトン供与性又は電子対受容性の基をいい、特に限定されないが、例えば、カルボン酸基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホノ基(−PO2H)などが挙げられる。
上記オキサジン・アザシアニン・アゾ・メチン系塩基性混合物とは、上記のオキサジン系染料(オキサジン構造を有するカチオン染料)、アザシアニン系染料(アザシアニン構造を有するカチオン染料)、アゾ系染料(アゾ基を有するカチオン染料)及びメチン系染料(メチン基を有するカチオン染料)の混合物である。
上記カチオン染料としては市販品を用いることもでき、例えば、商品名「Kiwa CDP Black BL Pow」(配合塩基性染料、紀和化学工業株式会社製)、商品名「KAYACRYL BLACK BS−ED」(アゾ系及びオキサジン系、メチン系塩基性染料、日本化薬株式会社製)、「KAYACRYL BLACK R−ED」(アゾ系及びオキサジン系塩基性染料、日本化薬株式会社製)、「KAYACRYL BLACK YA」(オキサジン・アザシアニン・アゾ・メチン系塩基性混合物、日本化薬株式会社製)などを挙げることができる。
本発明の製造方法において、アクリル系発泡体をカチオン染料にて染色する工程は、特に限定されないが、生産性の観点で、アクリル系発泡体をカチオン染料を含む染色液(着色液)に浸漬して染色する工程であることが好ましい。より具体的には、上記アクリル系発泡体を上記染色液に所定時間浸漬した後、水洗し、乾燥する工程であることが好ましい。上記工程によると、上記アクリル系発泡体に対する高着色性と短時間での着色を達成することができる。
上記染色液は、上記カチオン染料を含有する限り特に限定されないが、例えば、カチオン染料を純水に溶解させた水溶液に後述のpH(水素イオン濃度指数)調整剤を加え、さらに必要に応じて濃染剤やその他の添加剤(機能性薬剤)を含む染色液(カチオン染料水溶液)であることが好ましい。
上記染色液におけるカチオン染料の濃度は、特に限定されないが、純水1Lに対してカチオン染料1〜50gが好ましく、より好ましくは5〜40g程度である。上記カチオン染料が純水1Lに対して1g未満の濃度であると、十分に染色できないおそれがあり、純水1Lに対して50gを超えると、それ以上染料が溶解しないために生産性が低下するおそれがある。
上記染色液の常温(23℃)におけるpH(水素イオン濃度指数)は、特に限定されないが、例えば、3.0〜8.0が好ましく、より好ましくは3.5〜7.5である。pHが3.0未満、あるいは8.0を超えると、十分に染色できないおそれがある。上記染色液のpHを上記範囲に調整するためには、バッファー効果(緩衝作用)を有するpH調整剤を用いることが好ましい。このようなpH調整剤としては、公知慣用のものを使用することができる。
上記染色液には濃染剤を加えることが好ましい。濃染剤を加えると、より低温でのアクリル系発泡体の染色が可能となる。上記濃染剤としては、市販品を用いることができ、例えば、商品名「KP LEVELLER XL」(特殊界面活性剤、日本化薬株式会社)などを挙げることができる。
上記染色液における濃染剤の濃度は特に限定されないが、例えば、1.0〜100g/Lが好ましく、より好ましくは2.0〜50g/Lである。濃度が1.0g/L未満であると、十分に又は均一に染色できない場合がある。一方、100g/Lを超えると、それ以上の効果が得られない場合がある。
また、上記染色液には、上述のカチオン染料、pH調整剤、濃染剤の他、濃色化剤、分散均染剤、キレート剤、還元防止剤などの公知の機能性薬剤を配合することができる。
上記染色液は、上述のカチオン染料、必要に応じてpH調整剤、濃染剤やその他の添加剤を純水に溶解させ、混合することによって調製することができる。
アクリル系発泡体を浸漬する際(アクリル系発泡体の染色時)の上記染色液の温度は、特に限定されないが、90℃以上が好ましく、より好ましくは95℃(通常105℃以下)である。上記染色液の温度が90℃未満であると、十分に染色できないおそれがある。
アクリル系発泡体の上記染色液への浸漬時間(染色時間)は、特に限定されないが、例えば、1分〜3時間が好ましく、より好ましくは3分〜2時間である。浸漬時間が1分未満であると、十分に染色できない場合があり、3時間を超えると、それ以上の染色効果が得られないため生産性が低下する場合がある。
上記アクリル系発泡体を染色液に浸漬し、水洗した後、乾燥させる際の乾燥温度としては、特に限定されないが、70〜130℃が好ましく、より好ましくは80〜120℃である。また、乾燥時の乾燥時間としては特に限定されないが、1〜10分が好ましく、より好ましくは1.5〜5分である。乾燥温度が低すぎたり乾燥時間が短すぎると、乾燥不足となる場合がある。一方、乾燥温度が高すぎたり乾燥時間が長すぎると、カチオン染料が分解したり、着色アクリル系発泡体が劣化する場合がある。
従来、形状固定性等に優れ、樹脂の復元力による気泡構造の収縮が低減された発泡体として、活性エネルギー線硬化型化合物による架橋構造を含有する発泡体が知られている。このような発泡体を所定の色に着色する方法として、発泡体の原料となる熱可塑性樹脂組成物にカーボンブラック等の着色剤を練り込む従来の物理的着色方法を採用した場合、前記熱可塑性樹脂組成物を発泡成形した後に活性エネルギー線(特に、紫外線)を照射しても、該活性エネルギー線が着色剤により遮蔽され、上記発泡体内部における活性エネルギー線硬化型化合物による架橋構造の形成が不十分となり、発泡体が収縮するなどの問題が生じた。
これに対して、本発明の製造方法は、活性エネルギー線を照射して活性エネルギー線硬化型化合物を十分に反応させたアクリル系発泡体を得た上で、該アクリル系発泡体をカチオン染料を含む染色液に浸漬して染色するものである。このため、本発明の製造方法によると、所望の色に着色され、なおかつ強度、柔軟性、クッション性、圧縮歪回復性などに優れ、特に樹脂の復元力による気泡構造の収縮が低減された着色アクリル系発泡体を製造することができる。
さらに、本発明の製造方法は、上記カチオン染料としてオキサジン・アザシアニン・アゾ・メチン系塩基性染料混合物を使用し、上記染色液のpHを3.0〜8.0、温度を90℃以上に制御した場合には、アクリル系発泡体の染色性をさらに高めることができ、より短時間での染色が可能となるため、着色アクリル系発泡体の生産性に優れる。
本発明の製造方法により製造される着色アクリル系発泡体(本発明の着色アクリル系発泡体)は、カチオン染料にて染色されているため、高度に染色されている。これは、主に、着色アクリル系発泡体における熱可塑性エラストマーを構成するアクリル酸と上記カチオン染料とが、イオン結合により強固に相互作用するためと推定される。また、上記熱可塑性エラストマーがアクリル酸を構成成分としない場合であっても、アクリル系モノマーが有する極性部位(エステル結合、シアノ基など)がカチオン染料と相互作用するためと推定されるが、比較的高い染色性を得ることができる。また、上記着色アクリル系発泡体(本発明の着色アクリル系発泡体)は、その製造工程が活性エネルギー線硬化型化合物を反応させる工程を含む場合であっても、染色前に十分に活性エネルギー線硬化型化合物による架橋構造を形成させることができるため、高い発泡倍率を有し、優れたクッション性、形状固定性、歪回復性などを発揮することができる。
本発明の着色アクリル系発泡体の密度(見掛け密度)は、特に限定されないが、0.01〜0.2g/cm3が好ましく、より好ましくは0.02〜0.12g/cm3、さらに好ましくは0.02〜0.08g/cm3である。密度がこの範囲内にあるときは、本発明の着色アクリル系発泡体は適度な強度と柔軟性をもち、クッション性に優れ、良好な歪回復性を発現する。密度が0.01g/cm3未満であると、柔らかくなり過ぎる場合がある。また、密度が0.2g/cm3を超えると、硬くなり過ぎる場合がある。
本発明の着色アクリル系発泡体の密度は、以下のように測定する。まず、40mm×40mmの打ち抜き刃型にて、着色アクリル系発泡体を打ち抜き、打ち抜いた試料の寸法を測定する。次いで、測定端子の直径(φ)が20mmである1/100ダイヤルゲージにて厚みを測定し、これらの値から打ち抜いた試料の体積を算出する。また、打ち抜いた試料の重量を最小目盛り0.01g以上の上皿天秤にて測定する。これらの値より、密度(g/cm3)を算出することができる。なお、上記のアクリル系発泡体、発泡構造体の密度についても、同様の方法で測定することができる。
本発明の着色アクリル系発泡体の形状や厚みなどは、特に限定されず、用途などに応じて適宜選択することができる。例えば、厚みとしては、0.1〜3.0mmが好ましく、より好ましくは0.2〜2.0mmである。また、形状としては、例えば、シート状、テープ状、フィルム状などが挙げられる。
本発明の着色アクリル系発泡体の厚み、密度、相対密度等は、用いる発泡剤、熱可塑性エラストマー(熱可塑性樹脂)の成分に応じて、例えば、発泡構造体作製時の発泡剤含浸工程や混練含浸工程における温度、圧力、時間などの操作条件、減圧工程や成形減圧工程における減圧速度、温度、圧力などの操作条件、減圧後又は成形減圧後の加熱工程における加熱温度などを適宜選択、設定することにより調整することができる。
なお、本発明の着色アクリル系発泡体において、気泡構造としては、独立気泡構造、半連続半独立気泡構造(独立気泡構造と連続気泡構造とが混在している気泡構造であり、その割合は特に限定されない)が好ましく、特に、着色アクリル系発泡体中に独立気泡構造部が80%以上(中でも、90%以上)となっている気泡構造が好適である。
本発明の着色アクリル系発泡体は、所望の色に着色されており、なおかつ強度、柔軟性、クッション性、圧縮歪回復性などに優れ、また、高温下で圧縮保持された後の歪回復性にも優れている。従って、本発明の着色アクリル系発泡体は、例えば、電子機器等の内部絶縁体、緩衝材、遮音材、断熱材、食品包装材、衣用材、また建材用として極めて有用である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
(未発泡樹脂組成物(未発泡樹脂成形体)の製造)
熱可塑性アクリル系ポリマー(熱可塑性エラストマー)として、アクリロニトリル・アクリル酸・アクリル酸アルキル共重合体(アクリロニトリル:15重量部、アクリル酸:6重量部、アクリル酸ブチル:85重量部から構成される共重合体、商品名「レオコートR2460」、東レコーテックス株式会社製)100重量部と、紫外線硬化型化合物(重合性不飽和化合物)としてポリエステルアクリレート(商品名「アロニックスM8530」、東亜合成株式会社製)100重量部と、フィラー(難燃剤)として水酸化マグネシウム(商品名「マグシーズEP1−A」、神島化学工業株式会社製)50重量部と、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(商品名「IRGACURE819」、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)を3重量部、架橋促進剤として2−メルカプトベンゾチアゾールのジシクロヘキシルアミン塩(商品名「ノクセラーDT」、大内新興化学工業株式会社製)2重量部を、ローラ型の羽根を設けた混練機(商品名「加圧式ニーダー」、株式会社トーシン製)により80℃の温度で混練し、樹脂組成物(熱可塑性樹脂組成物)を得た。
上記樹脂組成物を80℃に加熱した熱板プレスを用いて、厚さ2mmのシート状に成形して、未発泡樹脂組成物(未発泡樹脂成形体)を得た。
(発泡構造体の製造)
上記未発泡樹脂組成物を耐圧容器に入れ、60℃の雰囲気中、10MPaの加圧下で、20分間保持することにより、二酸化炭素を含浸させた。20分後に、急激に減圧することにより発泡させ(減圧速度:596MPa/秒)、発泡構造体(厚み:5mm)を作製した。
(アクリル系発泡体の製造)
上記発泡構造体に、片面ずつ紫外線を照射し(片面あたりの照射エネルギー:750mJ/cm2)、活性エネルギー線硬化型化合物による架橋構造を形成させて、アクリル系発泡体(厚み:5mm)を得た。
(実施例1)
染色液(着色液)を次の条件にて作製した。配合塩基性染料(商品名「KiwaCDP Black BL Pow」、紀和化学工業株式会社製)を純水1Lに対して30g投入し、濃染剤(商品名「KP LEVELLER XL」、日本化薬株式会社製)を純水1Lに対して13.5g投入して染色液を作製し(カチオン染料の濃度:30g/純水1L)、pH調整剤にて染色液のpHを5.8(常温時)に調製し、染色液をオイルバスで96℃(染色液にK熱電対を挿入して測定)に加温した。
上記方法によりアクリル系発泡体を得た後、前記アクリル系発泡体を60分間上記染色液に浸漬し、水洗を行い、常温で乾燥して着色アクリル系発泡体を得た。得られた着色アクリル系発泡体を厚み方向にスライスし、断面の着色状態から後述の染色性を評価した。
(実施例2)
染色液(着色液)を次の条件にて作製した。アゾ系及びオキサジン系、メチン系塩基性染料(商品名「KAYACRYL BLACK BS−ED」、日本化薬株式会社製)を純水1Lに対して30g投入し、濃染剤(商品名「KP LEVELLER XL」、日本化薬株式会社製)を純水1Lに対して13.5g投入して染色液を作製し(カチオン染料の濃度:30g/純水1L)、pH調整剤にて染色液のpHを5.8(常温時)に調整し、染色液をオイルバスで96℃(染色液にK熱電対を挿入して測定)に加温した。
上記と同様にしてアクリル系発泡体を得た後、前記アクリル系発泡体を60分間上記染色液に浸漬し、水洗を行い、常温で乾燥して着色アクリル系発泡体を得た。得られた着色アクリル系発泡体を厚み方向にスライスし、断面の着色状態から染色性を評価した。
(実施例3)
染色液(着色液)を次の条件にて作製した。アゾ系及びオキサジン系塩基性染料(商品名「KAYACRYL BLACK R−ED」、日本化薬株式会社製)を純水1Lに対して30g投入し、濃染剤(商品名「KP LEVELLER XL」、日本化薬株式会社製)を純水1Lに対して13.5g投入して染色液を作製し(カチオン染料の濃度:30g/純水1L)、pH調整剤にて染色液のpHを5.8(常温時)に調整し、染色液をオイルバスで96℃(染色液にK熱電対を挿入して測定)に加温した。
上記と同様にしてアクリル系発泡体を得た後、前記アクリル系発泡体を60分間上記染色液に浸漬し、水洗を行い、常温で乾燥して着色アクリル系発泡体を得た。得られた着色アクリル系発泡体を厚み方向にスライスし、断面の着色状態から染色性を評価した。
(実施例4)
染色液(着色液)を次の条件にて作製した。オキサジン・アザシアニン・アゾ・メチン系塩基性染料混合物(商品名「KAYACRYL BLACK YA」、日本化薬株式会社製)を純水1Lに対して30g投入し、濃染剤(商品名「KP LEVELLER XL」、日本化薬株式会社製)を純水1Lに対して13.5g投入して染色液を作製し(カチオン染料の濃度:30g/純水1L)、pH調整剤にて染色液のpHを5.8(常温時)に調整し、染色液をオイルバスで96℃(染色液にK熱電対を挿入して測定)に加温した。
上記と同様にしてアクリル系発泡体を得た後、前記アクリル系発泡体を60分間上記染色液に浸漬し、水洗を行い、常温で乾燥して着色アクリル系発泡体を得た。得られた着色アクリル系発泡体を厚み方向にスライスし、断面の着色状態から染色性を評価した。
(実施例5)
染色液(着色液)を次の条件にて作製した。オキサジン・アザシアニン・アゾ・メチン系塩基性染料混合物(商品名「KAYACRYL BLACK YA」、日本化薬株式会社製)を純水1Lに対して30g投入し、濃染剤(商品名「KP LEVELLER XL」、日本化薬株式会社製)を純水1Lに対して13.5g投入して染色液を作製し(カチオン染料の濃度:30g/純水1L)、pH調整剤にて染色液のpHを2.2(常温時)に調整し、染色液をオイルバスで96℃(染色液にK熱電対を挿入して測定)に加温した。
上記と同様にしてアクリル系発泡体を得た後、前記アクリル系発泡体を5分間上記染色液に浸漬し、水洗を行い、常温で乾燥して着色アクリル系発泡体を得た。得られた着色アクリル系発泡体を厚み方向にスライスし、断面の着色状態から染色性を評価した。
(実施例6)
染色液(着色液)を次の条件にて作製した。オキサジン・アザシアニン・アゾ・メチン系塩基性染料混合物(商品名「KAYACRYL BLACK YA」、日本化薬株式会社製)を純水1Lに対して30g投入し、濃染剤(商品名「KP LEVELLER XL」、日本化薬株式会社製)を純水1Lに対して13.5g投入して染色液を作製し(カチオン染料の濃度:30g/純水1L)、pH調整剤にて染色液のpHを3.7(常温時)に調整し、染色液をオイルバスで96℃(染色液にK熱電対を挿入して測定)に加温した。
上記と同様にしてアクリル系発泡体を得た後、前記アクリル系発泡体を5分間上記染色液に浸漬し、水洗を行い、常温で乾燥して着色アクリル系発泡体を得た。得られた着色アクリル系発泡体を厚み方向にスライスし、断面の着色状態から染色性を評価した。
(実施例7)
染色液(着色液)を次の条件にて作製した。オキサジン・アザシアニン・アゾ・メチン系塩基性染料混合物(商品名「KAYACRYL BLACK YA」、日本化薬株式会社製)を純水1Lに対して30g投入し、濃染剤(商品名「KP LEVELLER XL」、日本化薬株式会社製)を純水1Lに対して13.5g投入して染色液を作製し(カチオン染料の濃度:30g/純水1L)、pH調整剤にて染色液のpHを7.2(常温時)に調整し、染色液をオイルバスで96℃(染色液にK熱電対を挿入して測定)に加温した。
上記と同様にしてアクリル系発泡体を得た後、前記アクリル系発泡体を5分間上記染色液に浸漬し、水洗を行い、常温で乾燥して着色アクリル系発泡体を得た。得られた着色アクリル系発泡体を厚み方向にスライスし、断面の着色状態から染色性を評価した。
(実施例8)
染色液(着色液)を次の条件にて作製した。オキサジン・アザシアニン・アゾ・メチン系塩基性染料混合物(商品名「KAYACRYL BLACK YA」、日本化薬株式会社製)を純水1Lに対して30g投入し、濃染剤(商品名「KP LEVELLER XL」、日本化薬株式会社製)を純水1Lに対して13.5g投入して染色液を作製し(カチオン染料の濃度:30g/純水1L)、pH調整剤にて染色液のpHを10.1(常温時)に調整し、染色液をオイルバスで96℃(染色液にK熱電対を挿入して測定)に加温した。
上記と同様にしてアクリル系発泡体を得た後、前記アクリル系発泡体を5分間上記染色液に浸漬し、水洗を行い、常温で乾燥して着色アクリル系発泡体を得た。得られた着色アクリル系発泡体を厚み方向にスライスし、断面の着色状態から染色性を評価した。
(実施例9)
染色液(着色液)を次の条件にて作製した。オキサジン・アザシアニン・アゾ・メチン系塩基性染料混合物(商品名「KAYACRYL BLACK YA」、日本化薬株式会社製)を純水1Lに対して30g投入し、濃染剤(商品名「KP LEVELLER XL」、日本化薬株式会社製)を純水1Lに対して13.5g投入して染色液を作製し(カチオン染料の濃度:30g/純水1L)、pH調整剤にて染色液のpHを5.8(常温時)に調整し、染色液をオイルバスで86℃(染色液にK熱電対を挿入して測定)に加温した。
上記と同様にしてアクリル系発泡体を得た後、前記アクリル系発泡体を5分間上記染色液に浸漬し、水洗を行い、常温で乾燥して着色アクリル系発泡体を得た。得られた着色アクリル系発泡体を厚み方向にスライスし、断面の着色状態から染色性を評価した。
(実施例10)
染色液(着色液)を次の条件にて作製した。オキサジン・アザシアニン・アゾ・メチン系塩基性染料混合物(商品名「KAYACRYL BLACK YA」、日本化薬株式会社製)を純水1Lに対して30g投入し、濃染剤(商品名「KP LEVELLER XL」、日本化薬株式会社製)を純水1Lに対して13.5g投入して染色液を作製し(カチオン染料の濃度:30g/純水1L)、pH調整剤にて染色液のpHを5.8(常温時)に調整し、染色液をオイルバスで100℃(染色液にK熱電対を挿入して測定)に加温した。
上記と同様にしてアクリル系発泡体を得た後、前記アクリル系発泡体を5分間上記染色液に浸漬し、水洗を行い、常温で乾燥して着色アクリル系発泡体を得た。得られた着色アクリル系発泡体を厚み方向にスライスし、断面の着色状態から染色性を評価した。
(比較例1)
グラビア印刷で主に使用される顔料を水に溶解させた染色液(黒色インキ、商品名「JW260AQLP R92T」、東洋インキ製造株式会社製)を常温(25℃)にて使用した。
上記と同様にしてアクリル系発泡体を得た後、前記アクリル系発泡体を60分間上記染色液に浸漬し、水洗を行い、常温で乾燥して着色アクリル系発泡体を得た。得られた着色アクリル系発泡体を厚み方向にスライスし、断面の着色状態から染色性を評価した。
(比較例2)
上記の未発泡樹脂組成物の作製において、さらにカーボンブラック4重量部を加えて樹脂組成物(熱可塑性樹脂組成物)を調製した。この樹脂組成物を用いて、上記と同様にして発泡構造体を作製し、さらに紫外線照射して着色アクリル系発泡体を得た。得られた着色アクリル系発泡体は、紫外線がカーボンブラックにより遮蔽されて発泡体内部まで透過せず、活性エネルギー線硬化型化合物による架橋構造を十分に形成させることができなかったため、収縮してしまった。
(染色性の評価)
実施例及び比較例1における染色性の評価は、下記評価基準により目視で行った。
◎(染色性が極めて良好):着色アクリル系発泡体の断面が表層から20μmを超えて染色されている。
○(染色性が良好):着色アクリル系発泡体の断面が表層から20μm深さまで染色されている。
×(染色性が不良):着色アクリル系発泡体の断面は染色されていない。
Figure 2011231233
表1に示すように、本発明の製造方法により得た着色アクリル系発泡体(実施例)は染色性に優れていた。これに対して、黒色インキへの浸漬によって得られた着色アクリル系発泡体(比較例1)は染色性に劣っていた。
また、本発明の製造方法により得た着色アクリル系発泡体(実施例)は、活性エネルギー線硬化型化合物による架橋構造が十分に形成されているため、収縮することなく形状固定性にも優れていた。

Claims (8)

  1. アクリル系発泡体をカチオン染料にて染色する工程を含む着色アクリル系発泡体の製造方法。
  2. 活性エネルギー線硬化型化合物を含む発泡構造体中の、該活性エネルギー線硬化型化合物を反応させ、前記アクリル系発泡体を得る工程を含む請求項1に記載の着色アクリル系発泡体の製造方法。
  3. 活性エネルギー線硬化型化合物を反応させる工程において紫外線を照射する請求項2に記載の着色アクリル系発泡体の製造方法。
  4. 熱可塑性エラストマー、活性エネルギー線硬化型化合物を含む熱可塑性樹脂組成物を発泡成形して発泡構造体を形成し、次いで、該発泡構造体に紫外線を照射してアクリル系発泡体を形成した後、該アクリル系発泡体をカチオン染料にて染色する請求項1〜3のいずれかの項に記載の着色アクリル系発泡体の製造方法。
  5. カチオン染料が、オキサジン・アザシアニン・アゾ・メチン系塩基性混合物である請求項1〜4のいずれかの項に記載の着色アクリル系発泡体の製造方法。
  6. カチオン染料による染色が、アクリル系発泡体をカチオン染料を含む染色液に浸漬することによる染色であり、前記染色液のpHが3.0〜8.0である請求項1〜5のいずれかの項に記載の着色アクリル系発泡体の製造方法。
  7. カチオン染料による染色が、アクリル系発泡体をカチオン染料を含む染色液に浸漬することによる染色であり、前記染色液の温度が90℃以上である請求項1〜6のいずれかの項に記載の着色アクリル系発泡体の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかの項に記載の製造方法により製造された着色アクリル系発泡体。
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