JP2011230938A - 煙灰からの結晶性ヒ酸鉄原料液の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】銅とヒ素とを含む煙灰をスラリーとして、当該スラリーのpH値を3〜4の範囲とし、銅を当該スラリーの液に浸出し、ヒ素を残渣とする浸出工程を有し、当該残渣からヒ素溶液を得る処理方法において、当該浸出工程の前に、当該スラリーのpH値を2以下に保持して予備浸出する工程を有する煙灰からの結晶性ヒ酸鉄原料液の製造方法。
【選択図】図1
Description
当該ヒ素処理に関して、例えば、特許文献1が提案されている。
特許文献1の方法では、煙灰に含有されるヒ素と銅とを効率よく分離することに困難があり、さらには、煙灰に含有されるNa(ナトリウム)及びK(カリウム)が浸出液へ移行することを抑制出来ないという課題があった。
また、浸出操作前おいて、煙灰中のヒ素または銅へ予備的な処理をする構成が無く、煙灰の成分に応じて処理をすることが出来なかった。
その結果、スコロダイト生成用の元液となる抽出後液(ラフィネート)に、煙灰に含有されたNa及びKの大半が持ち込まれる。この為、高温下、且つ、pH値1〜2間でスコロダイトを生成する場合には、Na系及びK系のジャロサイトが生成し易く、得られるスコロダイトのヒ素の溶出特性に著しく悪影響を及ぼすことが懸念されるものであった。
さらには、銅とヒ素との分離が困難である煙灰であっても、湿式処理で分離を可能とする結晶性ヒ酸鉄原料液の製造方法を提供することにある。
まず、多様な煙灰について、その性状と挙動について調査を行った。すると、従来技術に係る煙灰の浸出において銅とヒ素の分離性の悪いものや、さらには、全く分離の出来ない煙灰も存在することが判明した。
そこで、本発明者等は、従来の技術において銅/ヒ素分離性の悪い煙灰や、分離自体困難な煙灰であっても、銅とヒ素との分離が出来、さらに、Na、Kの分離が確実に行える方法の研究を進めた。
銅とヒ素とを含む煙灰をスラリーとして、当該スラリーのpH値を3〜4の範囲とし、銅を当該スラリーの液に浸出し、ヒ素を残渣とする浸出工程を有し、当該残渣からヒ素溶液を得る処理方法において、
当該浸出工程の前に、当該スラリーのpH値を2以下に保持して予備浸出する工程を有することを特徴とする、煙灰からの結晶性ヒ酸鉄原料液の製造方法である。
前記予備浸出とは、前記スラリーにおいて、Na及び/又はKを当該スラリー液に溶解するものであることを特徴とする、第1の発明に記載の煙灰からの結晶性ヒ酸鉄原料液の製造方法である。
前記予備浸出が、前記スラリーのpH値を0.5〜2として行われることを特徴とする、第1または第2の発明に記載の煙灰からの結晶性ヒ酸鉄原料液の製造方法である。
前記残渣を酸で溶解し、ヒ素溶液とすることを特徴とする、第1〜第3のいずれかの発明に記載の煙灰からの結晶性ヒ酸鉄原料液の製造方法である。
前記予備浸出工程において、前記スラリーへ、さらに鉄源または過酸化水素水のいずれか1種以上を添加することを特徴とする、第1〜第4のいずれかの発明に記載の煙灰からの結晶性ヒ酸鉄原料液の製造方法である。
前記浸出工程において、前記銅が浸出された液へ、さらに鉄源または過酸化水素水のいずれか1種以上を添加することを特徴とする、第1〜第5のいずれかの発明に記載の煙灰からの結晶性ヒ酸鉄原料液の製造方法である。
前記鉄源が3価鉄であることを特徴とする、第5または第6の発明に記載の煙灰からの結晶性ヒ酸鉄原料液の製造方法である。
銅とヒ素とを含む非鉄製錬にて発生する煙灰をスラリーとして、銅をスラリー液に浸出し、ヒ素を残渣とする浸出方法において、当該煙灰または当該スラリーに、鉄源及び/または過酸化水素水を添加することを有する、煙灰からの結晶性ヒ酸鉄原料液の製造方法である。
煙灰は、非鉄製錬の各工程からから発生するものである。そして、煙灰にはヒ素、銅等以外にも、Na、K等の軽元素が混入している場合もある。
本発明は、銅製錬における鎔錬工程等から発生する、銅、ヒ素、NaおよびKを含む煙灰であっても、有効に適用出来る。
本発明に係る予備浸出とは、後述する浸出の前に、上述した煙灰へ、水、工程水、酸等の液を加えて煙灰のスラリーとし、当該スラリーのpH値を2以下とする操作である。煙灰のスラリーのpH値が2を超える場合は、硫酸などの酸を添加してpH値が2以下となるようにする。ただし、pH値は0.5〜2の範囲とすることが好ましい。当該pH値を採ることで、Na、Kという軽元素がスラリー液へ浸出されるためである。
撹拌時間は、当該スラリーのpH値が所定値に到達した後、攪拌強度にもよるが10分間程度で良い。
浸出は、予備浸出後のスラリーへアルカリ等のpH調整剤を添加して、pH値を3〜4に調整して行う。浸出の際は、加温、撹拌等を同時に行ってもよい。当該浸出後のスラリーは、液と溶け残りの残渣となるので、ろ過等により固液分離を行う。このときNa、Kは液に溶解しているので、残渣中のヒ素と分離できる。
当該固液分離によって得られた浸出残渣はヒ素を含むので、後述する再浸出を行う。一方、液は、銅、Na、Kの他に少量のヒ素を含むので、後述する浄液操作を行ってもよい。
再浸出は、前記浸出後に得られた残渣を硫酸などの酸により溶解して再浸出した後、固液分離してヒ素を含む再浸出ろ液を得る操作である。
当該再浸出ろ液は、ヒ素が高濃度に溶解されている上、Na、Kの含有濃度が僅かである為、ヒ酸鉄結晶を合成するための原料液として最適なものとなった。
淨液操作は、上述した浸出で得られたろ液に少量含有されるヒ素を除去するものである。浄液操作では、ろ液に鉄源または過酸化水素水のいずれか1種以上を添加する。この際、アルカリを添加してpH値を3以上、好ましくは3.5以上としてろ過し、液と残渣とを得る。
液は、ヒ素を殆ど含まない銅の濃厚溶液である。そこで、後工程にヒ素負荷を与えない銅原料として利用することが出来る。
残渣においては、銅が鉄の殿物に取り込まれており、また当該殿物により、さらに砒素を吸着し、浸出残渣に移行することを期待出来る為、上述した予備浸出の工程に投入することが出来る。
上述したように本発明者らは、多様な煙灰について、その性状と挙動について調査を行い、銅とヒ素との分離性の悪いものや、さらには、全く分離の出来ない煙灰を知見した。具体的には、従来の技術に係るpH値3〜4の酸溶液のみの浸出においては、銅とヒ素との分離が困難な難分離性の煙灰を知見した。
中でも3価鉄は、浸出工程にて浸出残渣に入り、続く再浸出工程で浸出されることになることから、ヒ酸鉄結晶生成用の鉄源としても利用できるので好ましい。
3価鉄を添加する場合は、煙灰中に含有する総ヒ素モル量と等倍モル以上、好ましくは1.5倍モルとする。添加する鉄源は固形であっても、液への溶解性があれば良い。
しかし本発明によれば、スラリーへ3価鉄等の酸化剤を加えると、ヒ素の理論的な溶解度の量から考慮して、まだヒ素溶解量に余裕があるにも拘わらず、液中の残渣中の未溶解のヒ素の溶解が抑制される、一方、銅や亜鉛等の他の金属元素は溶解されるためヒ素と他の金属元素との分離可能となったものである。
(実施例1)
表1に成分品位を示す非鉄製錬炉煙灰A試料を500dry・g準備した。尚、成分の分析はICPにより行った(以下の実施例、比較例においても成分分析はICPにて行った。)。
スラリーを作製するための溶媒には純水1000mLを用い、容器は2リットルビーカーを使用した。攪拌装置には、4枚邪魔板を備えた2段タービン攪拌羽根を使用した。
アルカリ剤として、濃度200g/LのCa(OH)2ミルク(水溶液)を準備した。反応は30〜35℃間にて行った。
具体的には、予備浸出による攪拌後、スラリーにアルカリ剤を添加し、設定pH値の3.5まで中和した。当該設定pHに到達後、さらに25分間、当該設定pHを維持しながら浸出を継続した後、攪拌を終了しろ過を実施した。アルカリ剤としてCa(OH)2液の使用量は120mLであった。
表2に示すろ液組成と、浸出液量のバランスとより、煙灰中の銅の約80%がろ液に移行し、ヒ素は約98%が残渣に入れ込まれていることが判明した。
具体的には、当該残渣スラリーを作製するために用いた純水量は370mLであり、容器は1リットルビーカーを使用した。攪拌装置は、4枚邪魔板を備えた1段タービン羽根を使用した。硫酸は試薬95%硫酸である。
そして、1リットルビーカーへ、370mLの純水と、当該残渣全量とを入れ、15分間攪拌しスラリー状態とした。次いで、試薬95%硫酸を添加してpH値を0.3とし、当該pH値を維持しながら30〜35℃間にて25分間浸出を継続した後、攪拌を終了して濾過に供じ、再浸出液と残渣とを得た。
得られた再浸出液の組成を表3に示す。
表3の結果より、再浸出液として、結晶性ヒ酸鉄を形成するに十分な量の鉄を含むヒ素の濃厚液が得られた。さらには、ジャロサイトを形成するNaおよびKが殆ど含まれておらず、且つ、銅の含有量も少なく、ヒ酸鉄結晶(スコロダイト)生成の為の原料液として十分な液質であることが確認された。
実施例1で説明した煙灰スラリーを用い、pH値を2以下として実施した予備浸出を行わない以外は、実施例1と同じ操作を行って、再浸出液と残渣とを得た。
途中で得られた浸出液組成を表4に、再浸出液組成を表5に示す。
実施例1と同じ煙灰を、従来の技術に係る方法で浸出した。
まず、実施例1で説明した煙灰Aを500dry・g準備した。
スラリーを作製するための溶媒として純水700mLを用い、容器は2リットルビーカーを使用した。攪拌装置は、4枚邪魔板を備えた2段タービン羽根を使用した。硫酸は試薬95%硫酸を用いた。
表7に成分品位を示す非鉄製錬炉煙灰B試料を360dry・g準備した。
尚、当該煙灰Bは、銅/ヒ素の難分離性の煙灰である。
スラリーを作製するための溶媒として純水980mLを用い、容器は2リットルビーカーを使用した。攪拌装置は、4枚邪魔板2段タービン羽根を使用した。アルカリ剤として濃度200g/LのCa(OH)2ミルク(水溶液)を準備した。反応は30〜35℃間にて行った。
2リットルビーカーへ980mLの純水と、煙灰B試料360dry・gとを添加し、10分間攪拌した。この時のスラリーのpH値は2.5を示した。
次いで、当該スラリーへ3価鉄溶液220mLを添加し、さらに95%硫酸を添加してpH値を0.75まで低下させ、さらに10分間攪拌し、予備浸出を実施した。尚、当該3価鉄溶液220mLに含有される鉄の量は、当該煙灰B試料360dry・g中に含有するヒ素量の1.5倍モル量に相当するものである。
具体的には、当該残渣スラリーを作製するために用いた純水量は750mLであり、容器は2リットルビーカーを使用した。攪拌装置は、4枚邪魔板を備えた2段タービン羽根を使用した。硫酸は試薬95%硫酸である。
そして、2リットルビーカーへ、750mLの純水と、当該残渣全量とを入れ、15分間攪拌しスラリー状態とした。次いで、試薬95%硫酸を添加してpH値を0.5とし、当該pH値を維持しながら30〜35℃間にて25分間浸出を継続した後、攪拌を終了して濾過に供じ、再浸出液と残渣とを得た。
得られた再浸出液の組成を表9に示す。
さらに、当該煙灰Bは、後述の比較例3に示す様に、当該煙灰スラリーのみを処理対象とした場合には、銅とヒ素の分離浸出は不可能であったが、当該煙灰スラリーに3価鉄を配合し当該浸出を行うことで、銅とヒ素の分離浸出が可能となったものである。
3価鉄を添加した予備浸出を行わない以外は、実施例2と同様の操作により浸出を行った。
具体的には、2リットルビーカーへ980mLの純水と、煙灰試料B360dry・gとを添加し、10分間攪拌しスラリーとした。この時のスラリーのpH値は2.5を示した。次いで、当該煙灰スラリーに当該Ca(OH)2ミルクを添加しpHを上昇させた。すると、徐々にスラリーの粘性が増大し、pH値が2.8の時点で、もはや攪拌不能の状態となり浸出試験を中止した。
本実施例は、浸出時のスラリーへ何も添加しない場合、3価鉄あるいは過酸化水素、または、3価鉄及び過酸化水素添加の両方を添加した場合の効果を確認する為に行ったものである。
非鉄製錬炉煙灰Cを500dry・g準備した。
当該煙灰Cの成分品位を、表10に示す。
アルカリ剤として、濃度200g/LのCa(OH)2ミルク(水溶液)を準備した。反応は30〜35℃間にて行った。
2リットルビーカーへ、1000mLの純水と煙灰C試料500dry・gとを添加し、10分間攪拌しスラリーとした。この時のスラリーのpH値は2.6を示した。
次いで、試薬95%硫酸を添加して、スラリーのpH値を1.8とし、さらに10分間攪拌して予備浸出を実施した。
当該攪拌終了後、スラリーにアルカリ剤を添加し、設定pH値の3.9まで中和した。当該設定pHに到達後、さらに25分間、当該設定pHを維持しながら浸出を実施した後、スラリーの攪拌を終了し、ろ過に供じた。
得られたろ液のヒ素濃度と銅濃度とを表11に示す。
2リットルビーカーへ、1000mLの純水と煙灰C試料500dry・gとを添加し、10分間攪拌しスラリーとした。ここで3%過酸化水素水を12.9ml添加し、次に試薬95%硫酸を添加してpH値を1.8まで低下させ、さらに10分間攪拌して予備浸出を実施した。
当該予備浸出終了後、上述した(a)と同様の操作を行って浸出を実施し、ろ液を得た。
得られたろ液のヒ素濃度と銅濃度とを表11に示す。
尚、上述した過酸化水素の添加量は、1g/Lの3価ヒ素を、5価ヒ素へ酸化するに必要な反応量論の1倍当量に相当する量である。
2リットルビーカーへ、1000mLの純水と煙灰C試料500dry・gとを添加し、10分間攪拌しスラリーとした。ここで鉄濃度が99g/Lの硫酸第2鉄溶液を21.5mL添加し、次に試薬95%硫酸を添加してpH値を1.8まで低下させ、さらに10分間攪拌して予備浸出を実施した。
当該予備浸出終了後、上述した(a)と同様の操作を行って浸出を実施し、ろ液を得た。
得られたろ液のヒ素濃度と銅濃度とを表11に示す。
尚、上述した3価鉄溶液21.5mLに含有される鉄量は、煙灰C試料500dry・g中に含有されるヒ素量の0.2倍モル量に相当するものである。
2リットルビーカーへ、1000mLの純水と煙灰C試料500dry・gとを添加し、10分間攪拌しスラリーとした。ここで3%過酸化水素水を12.9mLと、鉄濃度が99g/Lの硫酸第2鉄溶液21.5mLとを添加し、次に試薬95%硫酸を添加してpH値を1.8まで低下させ、さらに10分間攪拌して予備浸出を実施した。
当該予備浸出終了後、上述した(a)と同様の操作を行って浸出を実施し、ろ液を得た。
得られたろ液のヒ素濃度と銅濃度とを表11に示す。
(a)の試験結果において、浸出液中にヒ素が1g/L残留したことから、非鉄製錬炉煙灰Cは、銅とヒ素の分離性が若干劣るものであることが判明した。
しかし(b)〜(d)の試験結果より、銅とヒ素の分離性が若干劣る煙灰Cであっても、浸出時に、過酸化水素あるいは3価鉄の添加、又は、過酸化水素及び3価鉄の添加により、銅の浸出率には殆ど影響を与えることなく、銅とヒ素との分離性の向上を実現出来ることが判明した。
特に、「(c)3価鉄を添加した場合」、「(d)過酸化水素水及び3価鉄を添加した場合」は、3価鉄や過酸化水素水の添加量が、少量であるにも拘わらず銅とヒ素の分離性が著しく向上し、かつ添加操作も簡便であることから、実操業上、非常に有効な手段であると考えられる。
実施例4においては、上述した実施例3の「(a)3価鉄及び過酸化水素添加の両方を添加しない場合」にて得られたろ液に対し、3価鉄あるいは過酸化水素、または、3価鉄及び過酸化水素添加の両方を添加した場合の効果を確認する為に行ったものである。
上述した実施例3の「(a)3価鉄及び過酸化水素添加の両方を添加しない場合」にて得られたろ液150mLを準備し元液とした。
300mlビーカーに当該元液150mLを量りとり、3%過酸化水素水を1.9mL添加し、次に試薬95%硫酸を添加してpH値を1.8まで低下させ、さらに10分間攪拌を行った。
当該攪拌後、当該元液にアルカリ剤を添加し、設定pH値の3.9まで中和した。当該設定pHに到達後、さらに15分間、当該設定pH値を維持しながら反応を継続した後、当該反応元液の攪拌を終了して濾過に供じ、ろ液を得た。
得られたろ液のヒ素濃度と銅濃度とを表12に示す。
尚、当該ろ液150mLに対する、3%過酸化水素水1.9mLの添加の割合は、上述した実施例3で説明した使用純水量1000mLに対する3%過酸化水素水12.9mLの添加の割合に準じて、設定したものである。
300mlビーカーに当該元液150mLを量りとり、鉄濃度99g/Lの硫酸第2鉄溶液3.2mLを添加し、次に試薬95%硫酸を添加してpH値を1.8まで低下させ、さらに10分間攪拌を行った。
当該攪拌後、上述した(e)と同様の操作を行って、ろ液を得た。
得られたろ液のヒ素濃度と銅濃度とを表12に示す。
尚、当該ろ液150mLに対する、鉄濃度99g/Lの硫酸第2鉄溶液3.2mLの添加の割合は、上述した実施例3で説明した使用純水量1000mLに対する鉄濃度99g/Lの硫酸第2鉄溶液21.5mLの添加の割合に準じて、設定したものである。
300mlビーカーに当該元液150mLを量りとり、3%過酸化水素水1.9mLと、鉄濃度99g/Lの硫酸第2鉄溶液3.2mLとを添加し、次に試薬95%硫酸を添加してpH値を1.8まで低下させ、さらに10分間攪拌を行った。
当該攪拌後、上述した(e)と同様の操作を行って、ろ液を得た。
得られたろ液のヒ素濃度と銅濃度とを表12に示す。
(e)〜(g)の試験結果より、浸出ろ液へ、過酸化水素あるいは3価鉄の添加、又は、過酸化水素及び3価鉄の添加は、処理対象液が銅の濃厚液であるにも拘わらず、ヒ素除去には、非常に効果的であることが判明した。
特に「(g)過酸化水素水と3価鉄とを添加した場合」においては、ヒ素をほぼ完全に除去する事が出来た。この結果、(g)の処理を実施したろ液から、銅を回収する工程以降へのヒ素の拡散を阻止することが可能となり、環境保全上、有意義な結果をもたらすこととなることが判明した。
Claims (8)
- 銅とヒ素とを含む煙灰をスラリーとして、当該スラリーのpH値を3〜4の範囲とし、銅を当該スラリーの液に浸出し、ヒ素を残渣とする浸出工程を有し、当該残渣からヒ素溶液を得る処理方法において、
当該浸出工程の前に、当該スラリーのpH値を2以下に保持して予備浸出する工程を有することを特徴とする、煙灰からの結晶性ヒ酸鉄原料液の製造方法。 - 前記予備浸出とは、前記スラリーにおいて、Na及び/又はKを当該スラリー液に溶解するものであることを特徴とする、請求項1に記載の煙灰からの結晶性ヒ酸鉄原料液の製造方法。
- 前記予備浸出が、前記スラリーのpH値を0.5〜2として行われることを特徴とする、請求項1または2に記載の煙灰からの結晶性ヒ酸鉄原料液の製造方法。
- 前記残渣を酸で溶解し、ヒ素溶液とすることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の煙灰からの結晶性ヒ酸鉄原料液の製造方法。
- 前記予備浸出工程において、前記スラリーへ、さらに鉄源または過酸化水素水のいずれか1種以上を添加することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の煙灰からの結晶性ヒ酸鉄原料液の製造方法。
- 前記浸出工程において、前記銅が浸出された液へ、さらに鉄源または過酸化水素水のいずれか1種以上を添加することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の煙灰からの結晶性ヒ酸鉄原料液の製造方法。
- 前記鉄源が3価鉄であることを特徴とする、請求項5または6に記載の煙灰からの結晶性ヒ酸鉄原料液の製造方法。
- 銅とヒ素とを含む非鉄製錬にて発生する煙灰をスラリーとして、銅をスラリー液に浸出し、ヒ素を残渣とする浸出方法において、当該煙灰または当該スラリーに、鉄源及び/または過酸化水素水を添加することを有する、煙灰からの結晶性ヒ酸鉄原料液の製造方法。
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