JP2012001754A - 非鉄製錬中間産物の湿式処理方法 - Google Patents

非鉄製錬中間産物の湿式処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ヒ素と金属とを含んでいる非鉄製錬中間産物から、大気圧下において、銅とヒ素とを分離して回収出来、薬剤コストが低廉で、銅の早期回収が可能な、非鉄製錬中間産物の湿式処理方法を提供する。
【解決手段】非鉄製錬中間産物をスラリー化する工程と、前記スラリーへSOガスと、元素状硫黄とを添加し、当該スラリーのpH値を、1以下とする浸出工程(A)と、前記浸出工程(A)で得られたスラリーへSOガスを添加し、当該スラリーのpH値を、1を超えた値とする浸出工程(B)と、前記浸出工程(B)の浸出工程で得られたスラリーを固液分離し、金属を浸出残渣として、ヒ素を浸出液として回収する工程とを有し、前記浸出工程(A)と、前記浸出工程(B)とを、逐次実施することを特徴とする非鉄製錬中間産物の湿式処理方法を提供する。
【選択図】図1

Description

ヒ素と他の金属元素とを含有する非鉄製錬中間産物から、当該ヒ素と他の金属元素とを分離して回収する技術に関し、特には、ヒ素と銅とを含有する非鉄製錬中間産物を湿式処理し、当該非鉄製錬中間産物に含有されるヒ素と銅とを分離して回収する技術に関する。
非鉄製錬において発生する煙灰には、ヒ素(As)、銅(Cu)等を始めとして各種の金属が含まれている。銅は市場需要が旺盛なため、当該煙灰から回収される。しかし、ヒ素と銅との分離は困難であるため、例えば、特許文献1、2を始めとして各種の分離方法が提案されている。
特許文献1の提案は、非鉄製錬煙灰と水とを混合しスラリーとし、当該スラリーにアルカリを添加してpH値を3〜4の範囲として、浸出(1次浸出)を行うものである。そして、当該浸出により、銅を浸出液として溶解・回収し、ヒ素を未溶解物として浸出残渣に入れ込む。次いで当該浸出残渣に酸を添加して浸出(再浸出)を行い、ヒ素を含む浸出液を得る。さらに、当該ヒ素を含む浸出液に硫化剤を添加し、ヒ素を硫化ヒ素として回収するものである。尚、当該硫化ヒ素は、結晶性ヒ酸鉄生成用原料として最適なヒ素化合物である。
特許文献2の提案は、オートクレーブ装置を用い非鉄製錬煙灰スラリーに酸を添加し、硫黄粉とSOガスとにより、溶解した銅を硫化物として回収する方法である。
当該提案によれば、下記(1)式に示す反応を高温、高圧下において、単体硫黄(「S」、「硫黄末」、「元素状硫黄」と記載する場合もある。)と亜硫酸ガス(SO)添加により行うものである。そして、非鉄製錬煙灰に含融される銅を固形の硫化銅とし、ヒ素を始めとする銅より硫化しにくいものを液に溶解させて分離し、それぞれ回収するものである。
Cu2++S+SO+2HO=CuS+SO 2−+4H・・・(1)式
特開2009−161803号公報 特許昭61−54095号
特許文献1の開示する方法は、ヒ素と銅の大半との分離を、特別な装置や計測操作を必要とせず且つ容易に行える方法である。しかし、ヒ素を回収する浸出残渣に銅の一部が取り込まれてしまうという課題があった。つまり、特許文献1の方法に係る浸出残渣へ酸を添加し、これを再浸出して得られる液はヒ素の濃厚溶液であるものの、当該浸出液には一部の銅も溶解し、銅混合のヒ素の濃厚溶液となるのである。
この為、当該ヒ素の濃厚溶液に含有される銅の回収は、硫化ヒ素生成工程より後回しとなり、銅の早期回収の観点から好ましくないものであった。そして、当該回収が後回しとなることで銅のロスの発生頻度が増える等、経済的な観点からも好ましくないものであった。
さらに、当該銅が混合したヒ素の濃厚溶液へ、硫化剤を添加してヒ素を硫化ヒ素(As)として回収する際には、共存する銅も硫化されて硫化銅(CuS)として回収されることになる。この結果、添加される硫化剤はヒ素の硫化に消費されるだけではなく、銅の硫化にも消費されることとなり、硫化剤の使用量の増大を引き起こしていた。ここで硫化剤としては、水硫化ナトリウム(NaSH)、や硫化ナトリウム(NaS)、硫化水素(HS)等が用いられるが、これら薬剤はいずれも非常に高価である。従って、銅を多量に含んだ煙灰を処理するに当たって、当該硫化剤の使用量が多いことは課題であった。
本発明者らは特許文献2の方法を検討し、特に、非鉄製錬煙灰を浸出して得られた浸出残渣を、再度硫酸浸出する工程を検討した。特許文献2における実施例の記載によれば、当該浸出残渣を、再度硫酸浸出する際の条件は、水3に対し硫酸0.4(重量比)とあり、これは硫酸濃度として133g・HSO/1L・水となるので、pH値を計算すれば−0.4程度である。
当該pH条件はヒ素の浸出にとっては好ましいものの、硫化銅(CuS)を形成させることによるヒ素と銅との分離の観点からは、低過ぎるものと考えられる。その結果、特許文献2では、硫化銅形成反応を促進させる必要から、高温(当該実施例では、110〜120℃と記載されている。)を要し、さらに硫化銅形成反応にはSOガスの十分な供給が必要であると考えられる。この為、当該実施例では、オートクレーブ装置を用い、SOガスの反応圧力を5〜6kg/cmに設定する反応構成となっている。
結局、特許文献2の方法は、硫酸量使用が多く、高温反応が必要なことからエネルギーコストも高い方法である。さらに、当該特許文献2記載の反応条件下において、実用レベルの効率をもって銅を除去する為には、非常に高額なオートクレーブ装置の導入が必要である。従って、多額の設備投資が求められる方法である。
以上を要約すると、特許文献1の方法では、製錬中間物である浸出残渣の処理に課題がある。一方、特許文献2の方法では、非鉄製錬煙灰から、銅は硫化物とし、ヒ素を浸出液に浸出する際、高温、高圧を必要とすることが示唆された。一方、ヒ素を浸出液に浸出する際の温度と圧力とを下げれば、特許文献1と同様な課題が残るものであった。
以上説明したように、非鉄金属製錬煙灰の処理において、煙灰自体のみならず浸出残渣の処理方法にも解決すべき課題がある。
これらヒ素と金属とを含んでいる、非鉄金属製錬煙灰、浸出残渣といった非鉄製錬中間産物から、ヒ素と金属(特に、銅)とを分離し回収することが望まれている。さらに、回収される金属(特に、銅)は、製錬工程での原料となるため、硫化物の形態であること、早い段階で回収されることが望まれている。一方、ヒ素も硫化物として回収されることが望まれている。さらに、回収されるヒ素の硫化物に銅が含まれている場合、当該ヒ素の処理後に銅の回収が行われることになるので、銅回収を後回しにせざるを得なくなる。このような事態を回避する為には、回収されるヒ素の硫化物に含有される銅は、より少ないことが望まれる。
一方、産業経済上、ヒ素と銅とを分離して回収する技術に対しても、処理費用が廉価であること、操業条件が簡易であること、装置仕様が簡単であることが望まれる。具体的には、大気圧下で実施出来、オートクレーブなど特別な装置が不要こと、特殊な計測操作の追加が不要なこと、使用する薬剤の量やコストが低廉なことが望まれる。
本発明は、上述の状況もとでなされたものであり、その解決しようとする課題は、ヒ素と銅を始めとする金属とを含んでいる非鉄製錬中間産物から、大気圧下においても、ヒ素と銅を始めとする金属とを分離して回収出来、薬剤コストが低廉で、銅の早期回収が可能な、非鉄製錬中間産物の湿式処理方法を提供することである。
上述の課題を解決するため、本発明者らは鋭意研究を行い、銅から硫化銅(CuS)形成される際の反応性にとって好ましいpH値領域と、ヒ素の浸出性にとって好ましいpH値領域とが、相反する領域に存在するとの知見を得た。
具体的には、非鉄製錬中間産物の湿式処理方法における浸出の際、当該浸出を、ヒ素を浸出液へ浸出させる浸出工程(A)と、銅から硫化銅 (CuS)が形成される浸出工程(B)とを、時間的に分離して逐次的に実施し、且つ、ヒ素を浸出液へ浸出させる浸出工程(A)ではスラリーのpH値を下げ、硫化銅 (CuS)形成される浸出工程(B)ではスラリーのpH値を上げる、という構成をとることで、上述の課題を解決出来ることに想到して本発明を完成したものである。
尚、当該浸出工程(A)、(B)の実施順序は、初めに浸出工程(A)、次に浸出工程(B)の順序であっても良いし、初めに浸出工程(B)、次に浸出工程(A)の順序であっても良い。
すなわち、上述の課題を解決するための第1の発明は、
非鉄製錬中間産物をスラリー化する工程と、
前記スラリーへSOガスと、硫黄とを添加し、当該スラリーのpH値を、1以下とする浸出工程(A)と、
前記浸出工程(A)で得られたスラリーへSOガスを添加し、当該スラリーのpH値を、1を超えた値とする浸出工程(B)と、
前記浸出工程(B)で得られたスラリーを固液分離し、金属を浸出残渣として、ヒ素を浸出液として回収する工程とを有し、
前記浸出工程(A)と、前記浸出工程(B)とを、逐次実施することを特徴とする非鉄製錬中間産物の湿式処理方法である。
第2の発明は、
前記浸出工程(A)と、前記浸出工程(B)とを、逆の順序で逐次実施することを特徴とする第1の発明に記載の非鉄製錬中間産物の湿式処理方法である。
第3の発明は、
前記浸出工程(A)および前記浸出工程(B)におけるスラリーの温度が、60℃以上、100℃以下であることを特徴とする第1または第2の発明のいずれかに記載の非鉄製錬中間産物の湿式処理方法である。
第4の発明は、
前記浸出工程(A)および前記浸出工程(B)にて用いるアルカリ剤が、Caを含むアルカリであることを特徴とする第1から第3の発明のいずれかに記載の非鉄製錬中間産物の湿式処理方法である。
第5の発明は、
前記非鉄製錬中間産物として、非鉄製錬煙灰を用いることを特徴とする第1から第4の発明のいずれかに記載の非鉄製錬中間産物の湿式処理方法である。
第6の発明は、
前記非鉄製錬中間産物として、他の浸出工程で得られた浸出残渣を用いることを特徴とする第1から第5の発明のいずれかに記載の非鉄製錬中間産物の湿式処理方法である。
本発明によれば、ヒ素と金属とを含んでいる非鉄製錬中間産物から、大気圧下において、銅とヒ素とを分離して回収出来る。さらに、薬剤コストが低廉で、銅の早期回収が可能となった。
本発明に係る非鉄製錬中間産物の湿式処理方法を示すフロー図である。 本発明に係る非鉄製錬中間産物の湿式処理方法の変形例を示すフロー図である。
本発明を実施するための形態について、ヒ素と他の金属元素とが含有される物として非鉄製錬煙灰を例とし、当該非鉄製錬煙灰からヒ素と他の金属元素とを分離して回収する方法について工程フロー図である図1、他方法の浸出操作も含めた変形例の工程フロー図である図2を参照しながら、非鉄製錬の中間産物、浸出工程(A)、(B)、本発明に係る浸出操作による生成物の順に説明する。
〈非鉄製錬の中間産物〉
本発明において、図1に示す非鉄製錬の中間産物とは、非鉄製錬煙灰や、当該非鉄製錬煙灰から各種金属を浸出した後に生成する残渣であって、未だにヒ素と他の金属元素とが含有される物をいう。
非鉄製錬煙灰とは、主に、銅精鉱を原料とし乾式製錬炉にて粗銅を製造する際に発生する煙灰がある。通常、これら非鉄製錬煙灰には、銅以外に、ヒ素、亜鉛、カドミウム、鉛、アンチモン、ビスマス等の金属が含まれている。これらの金属成分は、複数の複合化合物の形態として混在している。
一方、本発明は、上記のように非鉄製錬の中間産物を原料としている、当該非鉄製錬の中間産物としては、他の浸出方法により生成した浸出残渣も含まれる。例えば、図2に示すように、引用文献1に記載の他方法の浸出操作により生成する浸出残渣も、本発明に係る非鉄製錬の中間産物とすることが出来る。
当該他方法の浸出操作の例を説明すれば、上述した非鉄製錬煙灰へ水等を加えてスラリーとし、当該スラリーへアルカリ等のpH調整剤を添加して、スラリーの酸濃度を抑制することで、ヒ素の溶出を抑えながら、銅を優先的に溶解させる工程である。より具体的に説明すれば、アルカリ等のpH調整剤を添加の際、当該スラリーのpH値を2.0〜4.0間、好ましくは3.0〜4.0の間に調整しながら、浸出を行うものである。これにより、銅の大半をスラリーの浸出液中に溶解させ、ヒ素を浸出残渣に入れ込むものである。
当該浸出操作の際は、特に、加温の必要はなく室温においても十分な浸出が可能である。当該浸出操作後のスラリーは、浸出液と、溶け残りの浸出残渣とからなるので、ろ過等により固液分離を行う。回収した浸出残渣は非鉄製錬の中間産物として、本発明に係る浸出工程の原料として使用することが出来る。
〈浸出工程(A)、(B)(本発明に係る浸出操作)〉
本発明に係る浸出は、上述した非鉄製錬の中間産物と、水または工程液と、元素状硫黄(硫黄末)とを混合したスラリーに、SOガスを吹き込みながら大気圧下で行う操作である。当該浸出操作において、当該非鉄製錬中間物に水等を加えた後に元素状硫黄(硫黄末)を添加すると、元素状硫黄(硫黄末)をスラリー中へ混合しやすい。当該浸出を行うことで、浸出液中に溶出している銅を硫化銅(CuS)として浸出残渣に入れ込みながら、浸出液側にヒ素を浸出する操作である。
本発明に係る浸出においては、非鉄製錬の中間産物に含有されるヒ素は、SOガス存在下での還元性雰囲気下で浸出される。当該構成は、本発明者らは、当該SOガス存在下での還元性雰囲気下での浸出により、従来行われていた強酸浸出法(例えば、後述する比較例2)よりも酸濃度が低くても、ヒ素の浸出が著しく向上することを知見したことにより想到されたものである。当該ヒ素の浸出が著しく向上した理由の詳細は不明だが、当該非鉄製錬の中間産物に含有されるヒ素化合物が、還元性雰囲気下では分解しやすい形態であることに起因しているものと本発明者等は推測している。
さらに、上述した(1)式の反応は水素イオン発生型の反応であることからpH値の変化を成り行きに任せれば、反応の進行に伴いpH値が低下していく。そこで、本発明に係る浸出においては、スラリーのpH値が1を割らないよう(1以下にならないよう)に、当該スラリーへアルカリ添加することで、pH値が1を割らないよう維持しながら反応を進めることで、銅を大気圧下の反応にてほぼ完全に硫化物とすることを可能にした。
本発明に係る浸出操作は、浸出操作を2つの浸出工程(A)、(B)として時間的に分離し、逐次実施することに特徴がある。
具体的には、浸出工程(A)においては、スラリーのpH値を1以下の低pH領域として、非鉄製錬の中間産物からヒ素を主体として浸出し、併せて銅も浸出する。
次いで、浸出工程(B)においては、スラリーにアルカリを添加し、当該スラリーのpH値が1を超えた状態(1を割らない状態)に維持しながら浸出操作を行うことで、上述したように、浸出液中に溶出している銅を硫化銅(CuS)として残渣に入れ込みながら、液側にヒ素を浸出する。
このように、本発明に係る浸出操作は、スラリーのpH値領域が異なる2つの浸出工程(A)、(B)で構成して時間的に分離し、逐次実施する。
尚、浸出工程(A)において浸出を行った後、浸出工程(B)へ移行するため、アルカリ添加によりスラリーのpH値を上げた場合、当該スラリー中のヒ素が共存する銅、亜鉛等の雑多な金属イオンと化合物を生成して残渣に入り込み、その結果ヒ素の浸出率が低下することが懸念された。しかし、pH値の上昇を3以下に抑えることにより、ヒ素浸出率の低下は起こらず、且つ、効率良く銅や他の金属(例えば、アンチモンやビスマス、等)の除去を達成することが出来ることが判明した。
本発明に係る浸出操作の変形例として、浸出工程(A)と浸出工程(B)とを、逆の順序で逐次実施することも可能である。
具体的には、非鉄製錬の中間産物に、水と元素状硫黄(S)とを添加してスラリーとした際、スラリーのpH値が4前後を示した場合である。この状態のスラリーを加温し、SOガスを吹き込む操作を行う。すると、上述したようにpH値は成り行きで低下して行くが、pH値が1まで下降する間は、pH値が1を超えた状態を保持した場合と同様の効果を得ることが出来、上述した浸出工程(B)と実質的に同一となる。
その後もpH値は成り行きのまま浸出を行うと、pH値は1を割り込み、逐次的に、浸出工程(A)へ移行する。
上述した他方法の浸出操作で得られた非鉄製錬の中間産物のように、浸出時のpH値が1を超えた値であれば、浸出工程(A)と浸出工程(B)とを、逆の順序で逐次実施する形態を採ることも出来る。
具体的には、上述したようにスラリーのpH値が成り行きで低下して行く段階を浸出工程(B)とし、スラリーのpH値が1を超えた所定pH値に達した時点から、逐次的に浸出工程(A)へ移行したとして、スラリーへのアルカリ添加を開始し、当該所定pH値を割り込まない様に維持しながら浸出操作を行うものである。そして、当該浸出操作を実施することで、銅を、浸出液からほぼ完全に除去することが可能である。
当該方法は、当該中間産物中に含有するヒ素が、浸出工程(B)であるpH値が1を超えた領域においても易溶性挙動を示す場合に好適である。
さらに、以上説明した、浸出工程(A)と浸出工程(B)とを、逆の順序で逐次実施する形態の浸出方法によれば、pH値調整のための硫酸添加を実施することなく、浸出が行える利点がある。
本発明に係る浸出操作で用いるpH調整剤としてのアルカリには、アルカリ土類金属類の水酸化物や炭酸塩が好適に使用できる。中でも、Ca(OH)やCaCOおよびMg(OH)等は汎用的に入手が可能であり好ましい。
本発明に係る浸出操作の反応温度に関しては、60℃前後から反応の進行が認められるが、実操業を前提に効率良く反応を進めるためには70℃以上が好ましい。尤も、操作を大気圧下で行うため、反応温度は100℃以下となる。
本発明に係る浸出操作で用いるSOガスとしては、製錬炉排ガスを適用可能である。そして、当該製錬炉排ガスの適用によりコスト削減が達成される。
SOガスの温度は、特に規定はなく、常温で良いが液温に合わせることが好ましい。
SOガスの添加量に関しては、非鉄製錬の中間産物に含有される銅の総モル量の1.5倍モル量以上、好ましくは2.0倍モル量以上とする。
本発明に係る浸出操作で添加する硫黄末は固体硫黄であり、元素状硫黄である。
元素状硫黄(硫黄末)の添加量に関しては、非鉄製錬の中間産物に含有される銅の総モル量の少なくとも等モル量以上、好ましくは1.5倍モル量以上とする。
以上説明した、本発明に係る浸出操作で用いるSOガスと元素状硫黄(硫黄末)とは、まず、元素状硫黄(硫黄末)をスラリーに添加し、その後、SOガスを添加する添加順とすることが好ましい。
〈本発明に係る浸出操作による生成物〉
上述した、浸出工程(A)、(B)の後、生成物を固液分離して、浸出液と浸出残渣とに分離する。浸出液は高濃度にヒ素を溶解しており、ヒ素固定用の原料液として好適に用いることができる。一方、浸出残渣には、銅が硫化銅として含まれており銅製錬原料としては最適である。
〈実施例1〉
本実施例は、下記表1に示す組成を有するヒ素と他の金属元素とを含有する非鉄製錬の中間産物である非鉄製錬炉煙灰を、処理対象物とした。
Figure 2012001754
まず、浸出工程(A)を実施した。
試験装置は、500mLビーカー、4枚邪魔板付きの1段タービン羽を使用した。
本実施例に係る試験スラリーの調合は、当該非鉄製錬の中間産物90dry・gへ、用水として純水300mLを加え、撹拌を行ってスラリー化したものである。
当該スラリーの攪拌を継続し、元素状硫黄(S)の粉末6.1gを添加した。当該元素状硫黄6.1gという量は、処理対象に含有される銅の総モル量の3倍・モル量に相当するものである。次いで、当該スラリーを75℃へ昇温し、試薬95%硫酸にてpH値を1に調整した。
ここで、当該スラリーへSOガスの吹き込みを開始した。当該SOガスの吹き込み量は、上述した(1)式に準拠して、処理対象物に含有される銅の総モル量の1倍・モル(等モル)量を反応の1倍当量とした。具体的には、SOガス量として1.53L(at 25℃)である。本実施例において当該SOガスは、ガラス細管を介して上述したビーカー底部から100mL/分のペースで吹き込む。当該100mL/分の吹き込み量は、約15分間での吹き込み量が当該反応の1倍当量に相当する量である。
そして、SOガス吹き込み開始時から30分間経過した時点で浸出工程(A)を完了した。
次いで逐次的に、浸出工程(B)を実施した。
浸出工程(B)では、スラリーへアルカリ剤として濃度200g/LのCa(OH)ミルクを添加し、pH値を2.5まで中和した。その後、pH値は非保持のまま、SOガス吹き込み開始時から60分間経過した時点まで浸出を行い、浸出工程(B)を完了した。
ここで、浸出工程(A)、(B)を通して、スラリーのpH値、ヒ素濃度、銅濃度の値を表2に示す。
Figure 2012001754
表2の示した結果と、反応液量(途中サンプルによる抜き取り量を考慮した。)から推算して、浸出工程(A)、(B)により、当初処理対象物に含有されていたヒ素の約83%が浸出されたことが判明した。一方、浸出液中の銅は<0.1g/Lまで減少していた。
〈実施例2〉
本実施例は、下記表3に示す組成を有する非鉄製錬炉煙灰を処理対象物とした。
具体的には、当該非鉄製錬炉煙灰へ、引用文献1に記載の浸出方法を「他の浸出操作」として適用し、生成する浸出残渣を本発明に係る非鉄製錬の中間産物とした例である。従って、上述したように当該非鉄製錬の中間産物のpH値は1を超えた値である。そこで、浸出工程(A)と浸出工程(B)とを、逆の順序で逐次実施した実施例である。
Figure 2012001754
まず、引用文献1に記載の他方法の浸出操作を実施した。当該他方法の浸出操作について説明する。
試験装置は、20リットルステンレス容器、4枚邪魔板付きの2段タービン羽を使用した。
当該20リットル容器へ10Lの純水と、煙灰試料5000dry・gとを添加し、15分間攪拌しスラリーとした。
一方、アルカリ剤として、Ca(OH)ミルク(水溶液)濃度200g/Lを準備した。
当該攪拌後、スラリーへ当該アルカリ剤を添加し、設定pH値の3.8まで中和した。当該設定pHに到達後、当該設定pHを維持しながら、さらに30分間浸出を継続した後、スラリーの攪拌を終了し浸出を完了した。当該浸出は、液温35〜40℃間にて行った。
当該浸出完了後のスラリーを濾過に供じ、浸出残渣4784wet・g(水分49%)を回収した。当該浸出残渣の組成を表4に示す。
Figure 2012001754
当該浸出残渣の発生量とその組成より、当初の非鉄製錬炉煙灰試料中における、銅の約77%が浸出液に移行し、約23%が残渣に入れ込まれたこと、および、ヒ素の約93%が残渣に入れ込まれたことが判明した。
得られた浸出残渣を浸出工程(A)、(B)の処理対象物である非鉄製錬の中間産物とし、当該非鉄製錬の中間産物に対して、浸出工程(A)、(B)を、逆の順序で逐次実施した。
試験装置は、500mLビーカー、4枚邪魔板付きの1段タービン羽を使用した。
本実施例に係る試験スラリーの調合は、当該当該非鉄製錬の中間産物295wet・gへ用水として純水230mLを加え、撹拌を行ってスラリー化した。
当該スラリーの攪拌を継続し、元素状硫黄(S)の粉末12.3gを添加した。当該元素状硫黄12.3gという量は、処理対象に含有される銅の総モル量の2倍・モル量に相当するものである。次いで、当該スラリーを75℃へ昇温した。
ここで、当該スラリーへSOガスの吹き込みを開始した。当該SOガスの吹き込み量は、上述した(1)式に準拠して、処理対象物に含有される銅の総モル量の1倍・モル(等モル)量を反応の1倍当量とした。具体的には、SOガス量として4.6L(at 25℃)である。本実施例においては当該SOガスは、ガラス細管を介して上述したビーカー底部から100mL/分のペースで吹き込み、約46分間での吹き込み量が当該反応の1倍当量に相当する量となる。尚、反応開始直前時のスラリーのpH値は4.0〜4.4を示したものの、SOガス吹き込み開始時から34分間経過した時点での当該スラリーのpH値は1.09まで漸次低下した。そして、SOガス吹き込み開始時から39分間経過時点で当該pH値は1.0を割り、浸出工程(B)を完了した。
次いで、浸出工程(A)の状態へ逐次的に移行した後もpH値は非保持のまま浸出工程(A)の状態で、SOガス吹き込み開始時から101分間経過した時点まで浸出を行い、浸出工程(A)を完了した。
ここで、浸出工程(B)、(A)を通して、スラリーのpH値、ヒ素濃度、銅濃度の値を表5に示す。
Figure 2012001754
表5から解るように、該非鉄製錬炉煙灰へ所定の浸出方法を適用し、生成する浸出残渣を非鉄製錬の中間産物とするために再スラリー化したとき、反応開始直前のpH値は4であった。そして、SO吹き込みによる反応進行と共に、浸出液のpH値は自然に低下した。浸出液中の銅濃度は数g/Lの濃度を保っていた。一方、浸出液中のヒ素濃度はpH値の低下と共に、上昇した。
当該実施例2においては、後述する比較例1と同様に、当該スラリーpH値が1以下で反応を終了させる方法であるが、浸出工程(B)を浸出前半に設けることにより、銅の除去性を著しく向上させることが出来た。
すなわち、当該実施例においては、浸出終了時点での当該液組成と反応液量(途中サンプルによる抜き取り量を考慮した。)から推算して、当該浸出工程(B)、(A)の操作により、非鉄製錬の中間産物に含有されるヒ素の約84%が浸出され、一方、銅は約90%を浸出残渣に入れ込むことが出来た。
〈比較例1〉
実施例2の表4で説明した浸出残渣に対し、pH値が1以下の領域でのみ浸出を実施し、pH値が1以下の場合における、浸出液からの銅の除去性について検討した例である。すなわち、当該浸出残渣に対し、浸出工程(A)のみの浸出を行った場合に相当する例である。
試験装置は、500mLビーカー、4枚邪魔板付きの1段タービン羽を使用した。
500mLビーカーへ、用水として230mLの純水と、実施例2の表4で説明した浸出残渣295wet・gと、試薬硫黄粉末(S)12.3gとを添加し、10分間攪拌してスラリーとした。
次いで、当該スラリーを75℃へ昇温し、試薬95%硫酸を添加してpH値を1に調整した後、100mL/分のペースでSOガスの吹き込みを開始した。そして、当該SOガスの吹き込み開始をもって、当該浸出操作の開始時刻とした。
当該温度を保持しながらSOガスを吹き込み、pH値は非保持として反応を進めた。 尚、当該浸出操作途中において、適宜、少量のサンプリングを行い、101分間後の反応終了まで、浸出状況を調査した。その結果を、表6に示す。
Figure 2012001754
比較例1においては、上述した実施例2と同様の薬剤量と反応時間とをかけた。しかし、表6の結果から明らかな様に、浸出液中の銅の除去性に関しては劣るものであった。
結局、浸出終了時点での当該液組成と反応液量(途中サンプルによる抜き取り量を考慮した。)から推算して、非鉄製錬の中間産物に含有されるヒ素の約85%が浸出された。一方、銅は、約37%を浸出残渣に入れ込むことが出来たに留まった。
〈参考例1〉
処理対象となる中間産物中に含有するヒ素が、最初の浸出工程において、pH値が1を超えた領域においても易溶性挙動を示す場合には、当該参考例1に記載する方法が有効な場合もある。
まず、実施例2と同様の操作を行うが、最初のSO吹込み開始後にスラリーのpH値が1.2まで低下した時点において、アルカリ剤を添加し当該pH値の低下を抑え、pH値1.2を維持しながら浸出を行った。
具体的には、当該スラリーのpH値が1.2まで低下したのは反応開始から45分間後であった。当該pH値に到達してからは、アルカリ剤の添加を行い、当該pH値1.2を下回らない様に維持しながら、反応開始から101分間後の反応終了まで浸出を行い、その状況を調査した。その結果を、表7に示す。
Figure 2012001754
浸出終了時点での当該液組成と反応液量(途中サンプルによる抜き取り量を考慮した。)から推算して、非鉄製錬の中間産物に含有されるヒ素の約81%が浸出され、一方、銅は約98%を浸出残渣に入れ込むことが出来た。
当該参考例1は、実施例2に比較してヒ素の浸出性が若干劣るものの、銅の除去性に関しては非常に優れるものであった。
〈実施例3〉
試験装置は、500mLビーカー、4枚邪魔板付きの1段タービン羽を使用した。
500mLビーカーへ230mLの純水と、実施例2の表4で説明した浸出残渣である非鉄製錬の中間産物295wet・gと、試薬硫黄粉末(S)12.3gとを添加し、10分間攪拌しスラリーとした。
次いで、当該スラリーを75℃へ昇温し、試薬95%硫酸を添加して、pH値を1に調整した後、100mL/分でSOガスの吹き込みを開始し、浸出工程(A)を行った。そして、当該SOガスの吹き込み開始をもって、当該浸出操作の開始時刻とした。そして、比較例1と同じ101分間経過時点で、浸出工程(A)を終了した。
次いで、ここで、当該スラリーへ、濃度200g/LのCa(OH)ミルクをアルカリ剤として添加し、pH値を1.4以上まで中和し、逐次的に浸出工程(B)へ移行した。そして、当該pH値を割らないように当該アルカリ剤で調整しながら、151分間経過時点まで浸出を行った。
浸出状況の結果を表8に示す。
Figure 2012001754
浸出終了時点での当該液組成と反応液量(途中サンプルによる抜き取り量を考慮した。)から推算して、非鉄製錬の中間産物に含有されるヒ素の約84%が浸出され、一方、銅はほぼ100%を浸出残渣に入れ込むことが出来た。
実施例3は、ヒ素の浸出を十分確保しつつ、銅をほぼ完全に除去出来るものであった。
本実施例3は、浸出工程(A)の操作を、上述した比較例1と同様に101分間行った後、浸出工程(B)を行ったものに相当する。従って、本実施例3の結果と比較例1の結果とを比較すれば、浸出工程(A)のみの操作と、浸出工程(A)と浸出工程(B)とを組み合わせた場合の操作との効果比較が出来た。その結果、浸出工程(A)と浸出工程(B)との操作を組み合わせた場合の効果が大きいことが判明した。
〈実施例4〉
実施例4は、実施例3に係る浸出液を硫化試験に供じ、後述する比較例2との比較を行い、本発明の効果を確認するものである。
(硫化処理対象の元液)
実施例3に係る浸出を終了したスラリーを50℃まで放冷した後、濾過に供じて得られた濾液をさらに室温(20℃)まで放冷し、硫化元液とした。尚、当該濾液に対し、再度サンプリングを行った、当該濾液の組成を表9に示す。
Figure 2012001754
表9の値より、当該濾液には若干の蒸発濃縮が確認されが、当該濾液を硫化試験の元液に用いることにした。
(硫化処理試験の内容)
・試験装置:500 mlビーカー使用、スターラー攪拌
・表9に示す元液:125 mL
・硫化剤(NaSH溶液)濃度:NaSH純分として20重量%濃度の溶液
・液温:60℃
500mLビーカーへ125mLの元液を入れ攪拌し、さらに希硫酸を添加してpH値を1に調整した。当該元液へ、硫化剤を間欠的に添加していった。そして、当該硫化剤添加の際に、当該硫化反応液の少量サンプリングを行い、硫化の進行状況を確認した。当該硫化状況の推移を、表10に示す。
また、当該硫化処理試験の結果、得られた硫化回収物の組成を表11に示す。
Figure 2012001754
Figure 2012001754
〈比較例2〉
(従来技術に係る浸出)
500mLビーカーへ230mLの純水と、当該1次浸出残渣295wet・gとを添加し、10分間攪拌しスラリーとした。
次いで、当該スラリーを昇温し、且つ、試薬95%硫酸を徐々に添加して行き、最終的に75℃、pH値を0.1とする。そして、当該温度およびpH値を維持しながら、30分間攪拌を継続し浸出操作を行った。30分間経過後、スラリーの少量をサンプリングした後、浸出を終了した。
浸出終了時の浸出液組成を表12に示す。
Figure 2012001754
浸出終了時点での当該液組成と反応液量(途中サンプルによる抜き取り量を考慮した。)から推算して、非鉄製錬の中間産物に含有されるヒ素の約67%が浸出され、一方、銅の76%が浸出されたものと考えられる。
当該結果より、従来技術に係る酸添加のみの浸出では、ヒ素の浸出率は67%であった。当該浸出率は、上述した実施例2〜4に比べ低く、例えば実施例4に比して17ポイントも低いものであった。
この結果、本発明に係るスラリーへSとSOとを加える浸出法によれば、比較例2に比して、酸濃度が低いにも拘わらずヒ素の浸出率を著しく向上させるものであることが理解された。
(本比較例に係る硫化)
上述の浸出を終了したスラリーを50℃まで放冷した後、濾過に供じ、得られた濾液をさらに室温(20℃)まで放冷し、再度サンプリングを行った。当該濾液を硫化元液とした。当該硫化元液の液組成を表13に示す。
Figure 2012001754
表13に結果から、当該濾液には、若干、蒸発濃縮が確認されたが、当該濾液を硫化試験の元液に用いることにした。
(硫化処理試験の内容)
・試験装置:500 mlビーカー使用、スターラー攪拌
・表13に示す元液:125 mL
・硫化剤(NaSH溶液)濃度:NaSH純分として20重量%濃度の溶液
・液温:60℃
500mLビーカーへ125mLの元液を入れ攪拌した。当該元液へ、硫化剤を間欠的に添加していった。そして、当該硫化剤添加の際に、当該硫化反応液の少量サンプリングを行い、硫化の進行状況を確認した。当該硫化状況の推移を、表14に示す。
また、当該硫化処理試験の結果、得られた硫化回収物の組成を表15に示す。
Figure 2012001754
Figure 2012001754
(実施例4と比較例2との比較検討)
表10および表14の結果から、実施例4および比較例2において、ほぼ完全にヒ素を硫化回収出来ることが判明した。しかし、当該ヒ素の硫化回収に使用した濃度20%のNaSH溶液量は実施例4が17.4gであるのに対し、比較例2では74gであった。つまり、比較例2のNaSH溶液使用量は、実施例4のNaSH溶液使用量に比し、4倍以上に達する量であった。
尤も、実施例4と比較例2とでは処理対象液中のヒ素濃度が異なるので、単位ヒ素量(1g)回収に必要なNaSH量を比較した結果を以下に示す。
実施例4:ヒ素1gを回収するに必要な100%NaSH純分は1.53g
比較例2:ヒ素1gを回収するに必要な100%NaSH純分は5.90g
当該結果より、ヒ素を回収にあたり実施例4の方法を用いることで、従来技術に係る比較例2の方法に較べ、NaSHの使用量を約74%削減できることが判明した。
比較例2においてNaSH溶液使用量が多いのは、当該元液から硫化にてヒ素を回収する際、添加した硫化剤が共存する銅の硫化にも消費されることに起因するものであると考えられる。しかも銅が硫化する結果、硫化回収物には相当量の銅が混入してしまい、銅の早期回収を妨げることとなる。
以上、実施例1〜実施例3の浸出方法を示したが、それぞれどの方法を採用するかは、定常的に処理する煙灰の性状に応じて決めれば良い。尚、煙灰の性状によっては、参考例1の浸出方法を用いても良い。
例えば、実施例3では、pHが1から反応開始とした。尤も、ヒ素の浸出性の観点からはpH値が1より小さい方が効果的であるが、硫酸使用量とCaミルク使用量とが増える。したがって、費用(薬剤費用)対効果(ヒ素浸出性)については当該処理対象の1次浸出残渣のヒ素浸出性から判断することが好ましい。つまり、実施例3に示す方法においては、pH値1から反応を開始することを必須とするものではなく、処理原料の性状に応じ、種々適正にpH値の設定が可能である。

Claims (6)

  1. 非鉄製錬中間産物をスラリー化する工程と、
    前記スラリーへSOガスと、硫黄とを添加し、当該スラリーのpH値を、1以下とする浸出工程(A)と、
    前記浸出工程(A)で得られたスラリーへSOガスを添加し、当該スラリーのpH値を、1を超えた値とする浸出工程(B)と、
    前記浸出工程(B)で得られたスラリーを固液分離し、金属を浸出残渣として、ヒ素を浸出液として回収する工程とを有し、
    前記浸出工程(A)と、前記浸出工程(B)とを、逐次実施することを特徴とする非鉄製錬中間産物の湿式処理方法。
  2. 前記浸出工程(A)と、前記浸出工程(B)とを、逆の順序で逐次実施することを特徴とする請求項1に記載の非鉄製錬中間産物の湿式処理方法。
  3. 前記浸出工程(A)および前記浸出工程(B)におけるスラリーの温度が、60℃以上、100℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の非鉄製錬中間産物の湿式処理方法。
  4. 前記浸出工程(A)および前記浸出工程(B)にて用いるアルカリ剤が、Caを含むアルカリであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の非鉄製錬中間産物の湿式処理方法。
  5. 前記非鉄製錬中間産物として、非鉄製錬煙灰を用いることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の非鉄製錬中間産物の湿式処理方法。
  6. 前記非鉄製錬中間産物として、他の浸出工程で得られた浸出残渣を用いることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の非鉄製錬中間産物の湿式処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015196041A (ja) * 2014-04-03 2015-11-09 株式会社カプコン ゲームプログラム及びゲームシステム

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