JP2011229504A - 生産性および不凍活性を向上させた改変型不凍タンパク質とその製造方法 - Google Patents

生産性および不凍活性を向上させた改変型不凍タンパク質とその製造方法 Download PDF

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佳志 西宮
Sakae Tsuda
栄 津田
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英昌 近藤
Ryota Kuroki
良太 黒木
Takashi Ohara
高志 大原
Motoyasu Adachi
基泰 安達
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Abstract

【課題】必要十分な氷結晶成長抑制能を有し、DNA組換え発現による大量生産を可能とする優れた生産性を有する改良型不凍タンパク質を提供する。
【解決手段】SP型不凍タンパク質のアミノ酸配列において氷結晶結合に関与するアミノ酸残基の1または複数が、QAE型不凍タンパク質のアミノ酸配列において該アミノ酸残基の1または複数に相対的に対応する位置にある、氷結晶結合に関与するアミノ酸残基の1または複数で置換されてなる、改変型不凍タンパク質。
【選択図】なし

Description

本発明は、凝固点降下、氷結晶成長抑制、氷の再結晶化阻害、氷の形状修飾、非凍結低温環境下における細胞保護等の機能を有する不凍タンパク質、特に魚類由来III型不凍タンパク質において、アミノ酸残基置換によってDNA組換え法による生産性及び不凍活性を向上させた改変型不凍タンパク質及びその製造法に関する。
不凍タンパク質には2つの機能が見出されている。その1つは、氷結晶面に特異的に結合し、その成長を抑制する機能である。通常、水溶液中において氷核が現れると、まず扁平な六角あるいは円盤状の氷晶に成長する。板状平面に対し垂直方向への成長は、板状平面方向に対する成長に比べ100倍程度遅い。これに対して、水溶液中に不凍タンパク質が存在すると板状平面方向への氷晶の成長は阻止され、最初に形成された板状体を基底面として、この基底面に対し垂直方向に、順次、より小さい板状体が積み重ねられていき、最終的にはピラミッドを二つ重ねたバイピラミッド型に氷結晶は形状修飾される(図1)。
したがって、不凍タンパク質を含有する水溶液を0℃以下にした場合、その水溶液中には不凍タンパク質によって互いに結びつかない無数の微細なバイピラミダル氷結晶が生成される。このことが、巨視的には、水溶液の非凍結現象として観測され、水溶液の凝固点が降下する。不凍タンパク質の氷結晶抑制能の限界を超える温度まで冷却した場合、水溶液は無数の微細なバイピラミダル氷結晶の集合体として凍結する。その結果、氷結晶どうしの融合が起こり難くなり、再結晶化が抑制される。
不凍タンパク質のもう一つの機能は、低温に曝された細胞の障害を低減する機能である。低温環境下では細胞の代謝が低下しATPの生産量が減少する。その結果、細胞の様々な機能が障害を受け恒常性が保てなくなる。また、細胞膜を構成する脂質二重膜の相転移に伴う膜タンパク質の機能障害、脂質二重膜そのものの破綻が生ずる。不凍タンパク質は、低温下での脂質二重膜の相転移、もしくはATP依存性イオンポンプの破綻によって生ずるカルシウムイオンの細胞内流入を防ぐことで細胞死を回避すると考えられている。
近年、上述した不凍タンパク質の機能を利用し、氷結晶の成長に伴う内容物の物理的破壊を防ぐことができる冷凍保存試薬や氷を細孔源とした高気孔構造体の構築、氷スラリーの安定化、細胞・臓器の冷蔵・冷凍保存のための新たな技術を開発しようとする試みが盛んになっている(特許文献1、2、3、4、5、6)。不凍タンパク質は魚、昆虫、植物、バクテリア、菌類と多くの生物種で発見されているが、原材料の入手の容易さ、資源量の豊富さから、その大量生産は主に植物、魚類の生物原料から行なわれてきた。しかし、植物の不凍タンパク質含有量は非常に低く、極めて大量の原材料を収集する必要がある。また、植物や魚類を含め生物は複数種類の不凍タンパク質アイソファームを発現しており、その混合比は生物固体、季節等により変動する。これらアイソフォーム間の活性には大きな差があるため、常に安定した機能を示す不凍タンパク質を生物材料から生産するのは困難であった。さらに、生物原料には汚染物質の濃縮、未知の病原体による感染症リスク等の懸念があり、生物由来製品はその安全性確保が問題となる。一方、大腸菌由来の遺伝子組換え製品は医薬品原体の製造にも用いられるなど、汚染物質の濃縮、感染症のリスクの蓋然性が極めて低いものと認識されており、今後は特定の不凍タンパク質アイソファーム組換え体の需要が益々増加すると予想される。
魚類由来III型不凍タンパク質は詳細な研究が行われている不凍タンパク質で、分子量6500〜7000Daからなる球状ペプチドである。組換え体発現の宿主として最も取り扱いが容易な大腸菌での発現系が確立されている。III型不凍タンパク質は同一魚体中に複数のアイソフォームが産生され、これらはイオン交換樹脂への吸着特性の違いからQAE−Sephadex bindingグループ(以下、QAEグループに属するIII型不凍タンパク質群を「QAE」とする)とSP−Sephadex bindingグループ(以下、SPグループに属するIII型不凍タンパク質群を「SP」とする)に分類される(非特許文献1)。QAEとSPの一次構造上の配列同一性はおよそ56%であり、アミノ酸残基の比較によっても、QAEとSPのどちらに属するか容易に判断できる。III型不凍タンパク質アイソフォームはいずれも、氷核をバイピラミダル型氷結晶(図1)に修飾することが知られているが、QAEと比較してSPの凝固点降下能と氷結晶成長抑制能が低いことが報告されている(非特許文献2)。それゆえ、産業用途にはこれまでQAEの使用が推奨されてきた(特許文献7)。
しかし、魚体中のQAEアイソフォームの含有比はSPアイソフォームに比べ小さい。例えばOcean poutの場合、12種類確認されているIII型不凍タンパク質のアイソフォームのうちQAEは一種類のみで残り11種類のアイソフォームはSPである。また、Notched−fin eelpoutで最も多く発現されているアイソフォームは、SPであることが明らかになっている。DNA組換え発現によりQAEを得ることも可能であるが、QAEはSPより溶解度が低く、より凝集しやすいために、SPに比べて、回収・精製率が極めて低い。そのため、実用規模で必要な大量のQAEを生産するのは困難な状況にある。
特表平10−508759号公報 特表平10−511947号公報 特表2001−513069号公報 特開2003−284937号公報 特開2004−284983号公報 特開2005−89353号公報 特開2004−43484号公報
Structure of an Antifreeze Polypeptide and Its Precursor from the Ocean Pout, Macrozoarces americanus. Xiao-Mao Li, Khiet-Yen Trinh, and Choy L. Hew. J. Biol. Chem., 260, 12904-12909, (1985). Co-operative effect of the isoforms of type III antifreeze protein expressed in Notched-fin eelpout, Zoarces elongatus Kner. Yoshiyuki Nishimiya, Ryoko Sato, Manabu Takamichi, Ai Miura and Sakae Tsuda. FEBS J., 272, 482-492 (2005).
このように、QAEを生物原料から大量精製することもDNA組換え技術を利用して大量発現させることも極めて困難な状況にある中、本発明は、上記の従来技術の問題を解決する手段を与えるものである。すなわち、冷凍保存試薬や氷を細孔源とする高気孔構造体の構築、氷スラリーの安定化、細胞の冷蔵・冷凍保存に十分な機能を有し且つ、DNA組換え発現による生産性が向上し大量生産を可能とする改良型不凍タンパク質を提供することを目的とする。
本発明者はSPの氷結晶成長抑制能に重要なアミノ酸残基について鋭意研究を行なっていたところ、十数個ある氷結晶結合残基のうち、意外にも1または2個のアミノ酸残基の寄与が非常に大きく、この残基の置換が氷結晶成長抑制能を劇的に向上させることを初めて見出した。また、およそ66アミノ酸残基からなるQAEの僅か1残基を置換することで、活性を保持したまま組換え体のDNA組換え発現による生産性を劇的に向上させることが出来ることも見出した。
これらの知見に基づいて本発明者らは、SPの氷結晶成長抑制に重要なアミノ酸残基をQAEの氷結晶成長抑制に重要なアミノ酸残基に置換した変異体がQAEに匹敵する氷結晶成長抑制能を発揮すること、QAEの分子表面に存在するアミノ酸残基をSPの分子表面に存在するアミノ酸残基に置換した変異体がDNA組換え発現において高い生産性を示すことを確認して本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、以下の通りである。
[1] SP型不凍タンパク質のアミノ酸配列において氷結晶結合に関与するアミノ酸残基の1または複数が、QAE型不凍タンパク質のアミノ酸配列において該アミノ酸残基の1または複数に相対的に対応する位置にある、氷結晶結合に関与するアミノ酸残基の1または複数で置換されてなる、改変型不凍タンパク質。
[2] SP型不凍タンパク質の配列番号6に示されるアミノ酸配列において、18番目および19番目から選択される1または2つのアミノ酸残基を、QAE型不凍タンパク質のアミノ酸配列において該18番目および19番目のアミノ酸残基に相対的に対応する位置にあるアミノ酸残基でそれぞれ置換されてなる、[1]の改変型不凍タンパク質。
[3] (i)配列番号1〜3のいずれかのアミノ酸配列;
(ii)配列番号1〜3のいずれかのアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有し、かつ不凍活性を有するタンパク質のアミノ酸配列;または
(iii)配列番号1〜3のいずれかのアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつ不凍活性を有するタンパク質のアミノ酸配列、
ここで、配列番号1のアミノ酸配列における18番目、配列番号2のアミノ酸配列における19番目、ならびに配列番号3のアミノ酸配列における18番目および19番目のアミノ酸残基は保存されている、
で示される、[2]の改変型不凍タンパク質。
[4] QAE型不凍タンパク質のアミノ酸配列において該不凍タンパク質の分子表面に存在するアミノ酸残基の1または複数が、SP型不凍タンパク質のアミノ酸配列において該アミノ酸残基の1または複数に相対的に対応する位置にある、不凍タンパク質の分子表面に存在するアミノ酸残基の1または複数で置換されてなる、改変型不凍タンパク質。
[5] QAE型不凍タンパク質の配列番号8に示されるアミノ酸配列において、8番目のアミノ酸残基を、SP型不凍タンパク質のアミノ酸配列において該8番目のアミノ酸残基に相対的に対応する位置にあるアミノ酸残基で置換されてなる、[4]の改変型不凍タンパク質。
[6] (i)配列番号4のアミノ酸配列;
(ii)配列番号4のアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有し、かつ不凍活性を有するタンパク質のアミノ酸配列;または
(iii)配列番号4のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつ不凍活性を有するタンパク質のアミノ酸配列、
ここで配列番号4のアミノ酸配列において8番目のアミノ酸残基は保存されている、
で示される、[5]の改変型不凍タンパク質。
[7] [1]〜[6]のいずれかの改変型不凍タンパク質をコードするDNA。
[8] [7]のDNAを含む組換えベクター。
[9] [8]の組換えベクターを含む細胞。
[10] DNA組換え法を用いて合成することを含む、[1]〜[6]のいずれかの改変型不凍タンパク質の製造方法。
[11] [9]の細胞を培養すること、および該細胞の培養物より改変型不凍タンパク質を回収することを含む、[1]〜[6]のいずれかの改変型不凍タンパク質の製造方法。
尚、不凍タンパク質の呼称は、熱ヒステリシスタンパク質あるいは抗凍結タンパク質など様々な名称で呼ばれる場合がある。また、不凍タンパク質、不凍ペプチド、抗凍結タンパク質、抗凍結ペプチド、氷結晶結合タンパク質、氷結晶結合ペプチド、再結晶化阻害タンパク質、再結晶化阻害ペプチドなどと表記される場合がある。また、Antifreeze Protein(AFP)、Ice Binding Protein(IBP)、Ice Structuring Protein(ISP)など複数の呼び名がある。本発明においては、これらを全て不凍タンパク質とする。
本発明により、向上した不凍活性またはDNA組換え発現による大量生産を可能とする向上した生産性を有する改良型不凍タンパク質を提供することができる。
図1は、バイピラミッド型氷結晶の形状を示す模式図である。 図2は、組換えベクター構築に用いたプライマー及び鋳型を示す図である。 図3は、III型不凍タンパク質SP、QAEまたはQAE N8Tを組換え発現させた大腸菌内タンパク質についてのSDS−PAGEの結果を示す図である。 図4は、III型不凍タンパク質SP、SP P18L/A19V、SP P18LまたはSP A19Vを組換え発現させた大腸菌内タンパク質についてのSDS−PAGEの結果を示す図である。 図5はIII型不凍タンパク質または各種改変III型不凍タンパク質を含む試料を融点から0.2℃低い温度に保った時に観察された氷結晶の顕微鏡写真である。
本明細書において不凍タンパク質とは、不凍活性を有するタンパク質を意味し、魚類等の生体内において、凍結温度域で細胞内に生成する氷結晶の表面に特異的に結合してその成長を抑制し、組織の凍結から身を守る生体防御物質である。本明細書において、不凍タンパク質とは、不凍活性を有するペプチドおよびタンパク質の双方を包含するものとする。
不凍タンパク質の不凍活性は、該タンパク質が添加された含水物に対し、熱ヒステリシス、氷結晶の成長阻害および氷の再結晶阻害のいずれかをもたらす活性として評価される。あるいは、不凍タンパク質が存在する含水物中には、特徴的な形状の氷結晶(例えば、魚類由来の不凍タンパク質では、ピラミッドを二つ底面で重ねたバイピラミダル型氷結晶(図1))が生成することから、氷結晶の形状を顕微鏡で観察することにより対象とするタンパク質の不凍活性を評価することもできる。
通常、水の凝固点と氷の融点は同一であるが、不凍タンパク質が存在するとそれが氷結晶と結合するため、水の凝固点と氷の融点に差が生じる。この現象を熱ヒステリシスという。不凍タンパク質における不凍活性の大きさは、通常、不凍タンパク質が存在するときに生じる氷の融点と水の凝固点の差によって評価され、本明細書において、この融点と凝固点の差を熱ヒステリシス活性として定義する。熱ヒステリシス活性は、浸透圧計(オスモメーター)を用いることによって測定することができる。また、形成した氷結晶は、−10℃以上の比較的高い温度での昇華または一部融解によって、生じた水分を吸収し成長する。氷の再結晶阻害とは、この現象を阻害する効果をいう。
本明細書において「含水物」とは、水分子と水分子以外の分子とを含む物質を意味し、例えば、溶質と溶媒からなる水溶液、水に溶解しない物質と水との混合液、穀類、麺類、卵、野菜、果実、肉類、魚介類、パン生地、氷菓子および加工食品などの食品、医療品、診断薬、試薬、化粧品、化粧水、血液、血清、血小板、精子、卵子、単細胞、多細胞、生体組織、心臓、膵臓、肝臓および腎臓などの臓器ならびにこれらの保存液、融雪剤、霜害防止剤等が挙げられる。
本発明において使用する不凍タンパク質としては、特に限定されないが、例えば、魚類由来、昆虫由来、菌類由来、哺乳動物由来および植物由来の不凍タンパク質が挙げられる。好ましくは魚類に由来する不凍タンパク質であり、さらに好ましくはナガガジ(Zoarces)属の魚類、特に好ましくはナガガジ(Zoarces elongatus Kner)の筋肉から得られる不凍タンパク質である。魚類由来不凍タンパク質には主として4つのタイプがあり、分子量約3,000〜4,500のI型不凍タンパク質、分子量約20,000のII型不凍タンパク質、分子量約7,000のIII型不凍タンパク質、および分子量約11,000のIV型不凍タンパク質に分類されている。本発明において好ましい不凍タンパク質は、III型不凍タンパク質である。
本明細書において、「SP型不凍タンパク質」とは、陽イオン交換樹脂、特に荷電基としてスルホプロピル(SP)基を有するイオン交換樹脂に結合する不凍タンパク質を意味する。
また本明細書において、「SP型不凍タンパク質」とは、Macrozoarces americanus由来のSPのアミノ酸配列(配列番号19)において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ不凍活性を有するタンパク質が包含される。ここで数個とは、通常、2〜10個、好ましくは2〜5個、より好ましくは2〜3個を意味する。さらに、本明細書において、「SP型不凍タンパク質」とは、Macrozoarces americanus由来のSPのアミノ酸配列(配列番号19)と少なくとも75%以上の同一性、好ましくは85%以上の同一性、さらに好ましくは90%以上の同一性、特に好ましくは95%以上、96%以上、98%以上、99%以上、または99.5%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、不凍活性を有するタンパク質も包含される。アミノ酸配列の同一性は、当技術分野において通常用いられる方法によって決定することができ、例えば、Karlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−5877,1993)によって決定することができる。このアルゴリズムに基づいて、BLASTNやBLASTXと呼ばれるプログラムが開発されている(Altschul et al.J.Mol.Biol.215:403−410,1990)。これらの解析方法の具体的な手法は公知である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov.)。
本明細書において、「SP型不凍タンパク質」を「SP」と記載する場合がある。
また、本明細書において、「QAE型不凍タンパク質」とは、陰イオン交換樹脂、例えば荷電基として第四級アミノエチル(QAE)基を有するイオン交換樹脂、に結合する不凍タンパク質を意味する。
また本明細書において、「QAE型不凍タンパク質」とは、Macrozoarces americanus由来のQAEのアミノ酸配列(配列番号20)において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ不凍活性を有するタンパク質が包含される。ここで数個とは、上記定義のとおりである。さらに、本明細書において、「QAE型不凍タンパク質」とは、Macrozoarces americanus由来のQAEのアミノ酸配列(配列番号20)と少なくとも75%以上の同一性、好ましくは85%以上の同一性、さらに好ましくは90%以上の同一性、特に好ましくは95%以上、96%以上、98%以上、99%以上、または99.5%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、不凍活性を有するタンパク質も包含される。アミノ酸配列の同一性は、上記のとおり当技術分野において通常用いられる方法によって決定することができる。
本明細書において、「QAE型不凍タンパク質」を「QAE」と記載する場合がある。
本発明において、「SP」および「QAE」は公知のものを利用することができる。例えば、SPおよびQAEはSwiss-Prot等のデータベースにP19613およびP19614などとしてそれぞれ登録されている。好ましくはSPは、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質であり、さらに好ましくは、配列番号6に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質である。また好ましくはQAEは、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質であり、さらに好ましくは、配列番号8に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質である。
本発明において、SPおよびQAEにはそれぞれのタンパク質と機能的に同等のタンパク質も包含される。「機能的に同等のタンパク質」とは、各タンパク質のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ不凍活性を有するタンパク質が包含される。ここで数個とは、上記定義のとおりである。また、「機能的に同等のタンパク質」には各タンパク質のアミノ酸配列と少なくとも75%以上の同一性、好ましくは85%以上の同一性、さらに好ましくは90%以上の同一性、特に好ましくは95%以上、96%以上、98%以上、99%以上、または99.5%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、不凍活性を有するタンパク質も包含される。アミノ酸配列の同一性は、上記のとおり当技術分野において通常用いられる方法によって決定することができる。
本明細書において、「氷結晶結合に関与するアミノ酸残基」とは、不凍タンパク質のアミノ酸配列において、当該不凍タンパク質が氷結晶の表面に特異的に結合するのに必要とされるアミノ酸残基を意味する。SPおよびQAEにおける氷結晶結合に関与するアミノ酸残基はそれぞれ明らかにされており、不凍タンパク質の分子表面において比較的平面性が高く、かつやや疎水的性質を有する部位を構成するアミノ酸残基がそれにあたる(Davies et al. Phil. Trans. R. Soc. Lond. B 357: 927-935, 2002.)。例えば配列番号6に示されるアミノ酸配列において、8、11、12、13、14、15、17、18、19、20、40、41、43、60番にあるアミノ酸残基(すなわち、Gln、Pro、Ile、Asn、Thr、Ala、Thr、Pro、Ala、Met、Val、Gly、Gln、Lys)がそれにあたり、例えば配列番号8に示されるアミノ酸配列において、9、12、13、14、15、16、18、19、20、21、41、42、44、61番にあるアミノ酸残基(すなわち、Gln、Pro、Ile、Asn、Thr、Ala、Thr、Leu、Val、Val、Met、Val、Ser、Gln、Lys)がそれにあたる(Chen and Jia. Biophys J. 77: 1602-1608, 1999.)が特にこれらに限定されない。
本明細書において、「相対的に対応する位置」とは、SPをコードするアミノ酸配列とQAEをコードするアミノ酸配列とを、上記BLASTNやBLASTXを用いて配列比較した場合に、対応する関係にある位置を意味する。例えば、配列番号6に示されるアミノ酸配列における8、11、12、13、14、15、17、18、19、20、40、41、43、60番にあるアミノ酸残基は、それぞれ配列番号8に示されるアミノ酸配列における9、12、13、14、15、16、18、19、20、21、41、42、44、61番にあるアミノ酸残基と相対的に対応する位置関係にある。
一実施形態において、本発明の改変型不凍タンパク質は、SPの氷結晶結合に関与するアミノ酸残基の1または複数が、QAEにおいて相対的に対応する位置にある氷結晶結合に関与するアミノ酸残基の1または複数で置換されてなる。したがって、本発明の改変型不凍タンパク質は、QAEの氷結晶の表面に特異的に結合するのに必要とされるアミノ酸残基が導入された改変型SPである。
SPのアミノ酸配列において置換される氷結晶結合に関与するアミノ酸残基は任意のものを、1または複数個選択することができる。ここで「複数個」とは2〜5個の範囲内で適宜選択することができ、好ましくは2個である。好ましくは上記氷結晶結合に関与するアミノ酸残基において、隣接して連続するアミノ酸残基のうち、端部にあるまたは端部に近いアミノ酸残基が選択される。好ましくは、配列番号6に示されるアミノ酸配列において、18および19番目にあるアミノ酸残基より、1または2個のアミノ酸残基が選択される。
一方、SPの氷結晶結合に関与するアミノ酸残基と置換して導入されるQAEのアミノ酸残基は、選択されたSPの氷結晶結合に関与するアミノ酸残基と上記相対的に対応する位置にあるアミノ酸残基である。あるいは、当該相対的に対応する位置にあるQAEのアミノ酸残基と同様の性質を有するアミノ酸残基であっても良い。このような同様の性質を有するアミノ酸残基は公知であり、側鎖の生化学的性質に基づいて以下のグループに分類することができる。すなわち、塩基性側鎖を有するアミノ酸グループ(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸グループ(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、中性側鎖を有するアミノ酸グループ(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、芳香族側鎖を有するアミノ酸グループ(例えば、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン、チロシン)、水酸基(アルコール性水酸基、フェノール性水酸基)を含む側鎖を有するアミノ酸グループ(例えば、セリン、トレオニン、チロシン)である。また、中性側鎖を有するアミノ酸グループは、さらに、極性側鎖を有するアミノ酸グループ(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸グループ(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)に分類することができる。当該相対的に対応する位置にあるQAEのアミノ酸残基と、上記同じグループ内にあるアミノ酸残基は「同様の性質を有するアミノ酸残基」であり、上記置換に用いることができる。
一実施形態において、本発明の改変型不凍タンパク質は、配列番号6に示されるアミノ酸配列によって示されるSPの18番目のアミノ酸残基(すなわち、Pro)が、配列番号8に示されるアミノ酸配列によって示されるQAEの19番目のアミノ酸残基(すなわち、Leu)によって置換されてなり、配列番号1のアミノ酸配列を含む不凍タンパク質である。好ましくは、本発明の改変型不凍タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列からなる。本明細書において、当該改変型不凍タンパク質を「SP P18L」と記載する場合がある。
また別の実施形態において、本発明の改変型不凍タンパク質は、配列番号6に示されるアミノ酸配列によって示されるSPの19番目のアミノ酸残基(すなわち、Ala)が、配列番号8に示されるアミノ酸配列によって示されるQAEの20番目のアミノ酸残基(すなわち、Val)によって置換されてなり、配列番号2のアミノ酸配列を含む不凍タンパク質である。好ましくは、本発明の改変型不凍タンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列からなる。本明細書において、当該改変型不凍タンパク質を「SP A19V」と記載する場合がある。
さらに別の実施形態において、本発明の改変型不凍タンパク質は、配列番号6に示されるアミノ酸配列によって示されるSPの18および19番目のアミノ酸残基(すなわち、ProおよびAla)が、配列番号8に示されるアミノ酸配列によって示されるQAEの19および20番目のアミノ酸残基(すなわち、LeuおよびVal)によって置換されてなり、配列番号3のアミノ酸配列を含む不凍タンパク質である。好ましくは、本発明の改変型不凍タンパク質は、配列番号3のアミノ酸配列からなる。本明細書において、当該改変型不凍タンパク質を「SP P18L/A19V」と記載する場合がある。
本発明において上記改変型不凍タンパク質には、(i)配列番号1〜3の各アミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ不凍活性を有するタンパク質が包含される。ここで数個とは、通常、2〜5個、より好ましくは2〜3個を意味する。また、上記改変型不凍タンパク質には、(ii)配列番号1〜3の各アミノ酸配列と少なくとも85%以上の同一性、さらに好ましくは90%以上の同一性、特に好ましくは95%以上、96%以上、98%以上、99%以上、または99.5%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、不凍活性を有するタンパク質も包含される。アミノ酸配列の同一性は、当技術分野において通常用いられる方法によって決定することができ、例えば上記BLASTNやBLASTXを用いて決定することができる。ただし、これら(i)および(ii)の改変型不凍タンパク質において、上記置換により導入された、QAEのアミノ酸残基(すなわち、配列番号1のアミノ酸配列における18番目、配列番号2のアミノ酸配列における19番目、ならびに配列番号3のアミノ酸配列における18番目および19番目のアミノ酸残基)またはそれと同様の性質を有するアミノ酸残基は、置換、欠失等されることなく保存されているものとする。
本発明の改変型不凍タンパク質は、未改変のSPと比べて不凍活性が向上しており、熱ヒステリシス、氷結晶の成長阻害および氷の再結晶阻害を用いて評価した場合に、3〜50倍またはそれ以上、例えば、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍以上の不凍活性を示す。好ましくは、氷結晶の成長阻害を用いて評価した場合に、未改変のSPと比べてSP P18Lであれば10倍またはそれ以上、SP A19Vであれば30倍またはそれ以上、SP P18L/A19Vであれば45倍またはそれ以上の不凍活性を示す。
さらに別の実施形態において、本発明の改変型不凍タンパク質は、QAEの分子表面に存在するアミノ酸残基の1または複数が、SPにおいて相対的に対応する位置にある分子表面に存在するアミノ酸残基の1または複数で置換されてなる。したがって、本発明の改変型不凍タンパク質は、SPの分子表面に存在するアミノ酸残基が導入された改変型QAEである。
本発明において、QAEおよびSPにおける「分子表面に存在するアミノ酸残基」としては、不凍タンパク質の分子表面に存在する極性アミノ酸残基であって、かつ下に詳述するDNA組換え法を用いて不凍タンパク質を生産した場合に、その生産性に大きく関与するアミノ酸残基を意味する。このような「分子表面に存在するアミノ酸残基」としては、例えば配列番号8に示されるアミノ酸配列において、8番にある極性アミノ酸残基(すなわち、Asn)がそれにあたり、例えば配列番号6に示されるアミノ酸配列において、7番にある極性アミノ酸残基(すなわち、Thr)がそれにあたるが特にこれらに限定されない。
QAEのアミノ酸配列において、置換される分子表面に存在するアミノ酸残基は任意のものを、1または複数個選択することができる。ここで「複数個」とは2〜5個の範囲内で適宜選択することができる。好ましくは、配列番号8に示されるアミノ酸配列において、8番目にあるアミノ酸残基が選択される。
一方、QAEの分子表面に存在するアミノ酸残基と置換して導入されるSPのアミノ酸残基は、選択されたQAEの分子表面に存在するアミノ酸残基と上記相対的に対応する位置にあるアミノ酸残基である。あるいは、当該相対的に対応する位置にあるSPのアミノ酸残基と同様の性質を有するアミノ酸残基であっても良い。このような同様の性質を有するアミノ酸残基は上に定義される。
一実施形態において、本発明の改変型不凍タンパク質は、配列番号8に示されるアミノ酸配列によって示されるQAEの8番目のアミノ酸残基(すなわち、Asn)が、配列番号6に示されるアミノ酸配列によって示されるSPの7番目のアミノ酸残基(すなわち、Thr)によって置換されてなり、配列番号4のアミノ酸配列を含む不凍タンパク質である。好ましくは、本発明の改変型不凍タンパク質は、配列番号4のアミノ酸配列からなる。本明細書において、当該改変型不凍タンパク質を「QAE N8T」と記載する場合がある。
本発明において上記改変型不凍タンパク質には、(i)配列番号4のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ不凍活性を有するタンパク質が包含される。ここで数個とは、通常、2〜5個、より好ましくは2〜3個を意味する。また、上記改変型不凍タンパク質には、(ii)配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも85%以上の同一性、さらに好ましくは90%以上の同一性、特に好ましくは95%以上、96%以上、98%以上、99%以上、または99.5%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、不凍活性を有するタンパク質も包含される。アミノ酸配列の同一性は、当技術分野において通常用いられる方法によって決定することができ、例えば上記BLASTNやBLASTXを用いて決定することができる。ただし、これら(i)および(ii)の改変型不凍タンパク質において、上記置換により導入された、SPのアミノ酸残基(すなわち、配列番号4のアミノ酸配列において8番目のアミノ酸残基)またはそれと同様の性質を有するアミノ酸残基は、置換、欠失等されることなく保存されているものとする。
本発明の改変型不凍タンパク質は、未改変のQAEと比べてDNA組換え法による生産性が向上しており、当該手法を用いて宿主細胞にて発現させた場合に、回収される可溶性画分における不凍タンパク質の含有量で評価して未改変のQAEと比べて、2倍、3倍、4倍、5倍以上またはそれ以上の生産量を示す。「回収される可溶性画分」とは、当該組換え細胞またはその破砕物を、タンパク質抽出に一般的に用いられる水溶液、例えば、蒸留水、または緩衝液、例えば、Tris緩衝液、リン酸緩衝液、Tricine緩衝液、Hepes緩衝液、MOPS緩衝液、炭酸緩衝液、クエン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、MES緩衝液、PIPES緩衝液など(特にこれらに限定されない)またはこれら水溶液から選択される2以上の組み合わせに懸濁し、必要に応じて破砕した後、遠心分離して得られる上清を指す。
本発明の改変型不凍タンパク質は、公開されているアミノ酸配列情報および/または上記配列番号1〜4に示されるアミノ酸配列情報を利用して、当技術分野で公知の手法、例えば固相ペプチド合成法などにより合成することができる。
また、本発明の改変型不凍タンパク質は、遺伝子組換え手法を用いて合成することができる。当該手法においては、不凍タンパク質をコードするDNAを上記アミノ酸残基の置換に基づいて部分的に改変することにより得られる、本発明の改変型不凍タンパク質をコードするDNAを利用する。
不凍タンパク質をコードするDNA、特にSPおよびQAEをコードするDNAは公知のもの、および上記SPおよびQAEのアミノ酸配列に基づく塩基配列情報を利用することができる。好ましくは、SPをコードするDNAは配列番号5に示される塩基配列を含み、QAEをコードするDNAは配列番号7に示される塩基配列を含む。本発明においてSPおよびQAEをコードするDNAには、配列番号5または配列番号7に示される塩基配列において1から数個のヌクレオチドの欠失、置換、付加または挿入を有し、かつ不凍活性を有するタンパク質をコードするDNAも含まれる。「1から数個」の範囲は特には限定されないが、例えば、1から10個、好ましくは1から5個、さらに好ましくは1から3個、あるいは1個または2個である。また、SPおよびQAEをコードするDNAには、配列番号5または配列番号7に示される塩基配列に相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ不凍活性を有するタンパク質をコードするDNAも含まれる。ここで、「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいい、例えば、2〜6×SSC(1×SSCの組成:0.15M NaCl, 0.015M クエン酸ナトリウム, pH 7.0)および0.1〜0.5%SDSを含有する溶液中42〜55℃にてハイブリダイズを行い、0.1〜0.2×SSCおよび0.1〜0.5%SDSを含有する溶液中55〜65℃にて洗浄を行う条件をいう。さらに、SPおよびQAEをコードするDNAには、配列番号5または配列番号7に示される塩基配列と上記BLASTNやBLASTXを用いて計算したときに、85%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上、96%以上、98%以上、99%以上、または99.5%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ不凍活性を有するタンパク質をコードするDNAも含まれる。
本発明の改変型不凍タンパク質をコードするDNAは、SPおよびQAEをコードするDNAにおいて、上記置換されるアミノ酸残基をコードする塩基配列部位に、上記置換により導入されるアミノ酸残基をコードする塩基配列を、PCRによる特異的変異導入法などの公知の手法によって導入することによって得ることができる。
このような手法により、配列番号15〜18で示される塩基配列からなる本発明の改変型不凍タンパク質をコードするDNAを得ることができる。各配列番号によって示される塩基配列はそれぞれ以下の改変型不凍タンパク質をコードする。
配列番号15:配列番号6に示されるアミノ酸配列によって示されるSPの18番目のアミノ酸残基が、配列番号8に示されるアミノ酸配列によって示されるQAEの19番目のアミノ酸残基によって置換されてなり、配列番号1のアミノ酸配列を含む不凍タンパク質。
配列番号16:配列番号6に示されるアミノ酸配列によって示されるSPの19番目のアミノ酸残基が、配列番号8に示されるアミノ酸配列によって示されるQAEの20番目のアミノ酸残基によって置換されてなり、配列番号2のアミノ酸配列を含む不凍タンパク質。
配列番号17:配列番号6に示されるアミノ酸配列によって示されるSPの18および19番目のアミノ酸残基が、配列番号8に示されるアミノ酸配列によって示されるQAEの19および20番目のアミノ酸残基によって置換されてなり、配列番号3のアミノ酸配列を含む不凍タンパク質。
配列番号18:配列番号8に示されるアミノ酸配列によって示されるQAEの8番目のアミノ酸残基が、配列番号6に示されるアミノ酸配列によって示されるSPの7番目のアミノ酸残基によって置換されてなり、配列番号4のアミノ酸配列を含む不凍タンパク質。
本発明において改変型不凍タンパク質をコードするDNAには、配列番号15〜18に示される塩基配列において1から数個のヌクレオチドの欠失、置換、付加または挿入を有し、かつ不凍活性を有するタンパク質をコードするDNAも含まれる。「1から数個」の範囲は上に定義するとおりである。また、改変型不凍タンパク質をコードするDNAには、配列番号15〜18に示される塩基配列からなるDNAに相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ不凍活性を有するタンパク質をコードするDNAも含まれる。ここで、「ストリンジェントな条件」とは、上に定義するとおりである。さらに、改変型不凍タンパク質をコードするDNAには、配列番号15〜18に示される塩基配列と上記BLASTNやBLASTXを用いて計算したときに、85%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上、96%以上、98%以上、99%以上、または99.5%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつ不凍活性を有するタンパク質をコードするDNAも含まれる。さらにまた、改変型不凍タンパク質をコードするDNAには、アミノ酸変化を伴わない、縮重変異体も含まれる。ただし、これらの改変型不凍タンパク質をコードするDNAにおいて、上記置換により導入されたSPまたはQAEのアミノ酸残基またはそれと同様の性質を有するアミノ酸残基は、置換、欠失等されることなくコードされているものとする。
以下、上記改変型不凍タンパク質をコードするDNAを用いたDNA組換え法による改変型不凍タンパク質の生産に関して説明する。DNA組換え法は、例えば、「Sambrook et al. “Molecular Cloning, A Laboratory Manual/Second edition”Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)」に記載されている。
改変型不凍タンパク質生産用組換えベクターは、上記DNAを適当なベクターに連結することにより得ることができ、形質転換体は、改変型不凍タンパク質生産用組換えベクターを、改変型不凍タンパク質が発現し得るように宿主中に導入することにより得ることができる。
ベクターには、宿主微生物で自律的に増殖し得るファージまたはプラスミドが使用される。プラスミドDNAとしては、大腸菌由来のプラスミド(例えばpET21a、pGEX4T、pUC118、pUC119、pUC18、pUC19等)、枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110、pTP5等)、酵母由来のプラスミド(例えばYEp13、YEp24、YCp50等)などが挙げられ、ファージDNAとしてはλファージ(λgt11、λZAP等)が挙げられる。さらに、ワクシニアウイルスなどの動物ウイルス、バキュロウイルスなどの昆虫ウイルスベクターを用いることもできる。
ベクターに改変型不凍タンパク質DNAを挿入するには、まず、精製されたDNAを適当な制限酵素で切断し、適当なベクターDNAの制限酵素部位またはマルチクローニングサイトに挿入してベクターに連結する方法などが採用される。
その他、哺乳動物細胞において用いられる改変型不凍タンパク質生産用組換えベクターには、プロモーター、改変型不凍タンパク質DNAのほか、所望によりエンハンサーなどのシスエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、リボソーム結合配列(SD配列)などが連結されていてもよい。
DNA断片とベクター断片とを連結させるには、公知のDNAリガーゼを用いる。そして、DNA断片とベクター断片とをアニーリングさせた後連結させ、改変型不凍タンパク質生産用組換えベクターを作製する。
形質転換に使用する宿主としては、改変型不凍タンパク質を発現できるものであれば特に限定されるものではない。例えば、細菌(大腸菌、枯草菌等)、酵母、動物細胞(COS細胞、CHO細胞等)、昆虫細胞などの原核細胞または真核細胞が挙げられる。
一例として、細菌を宿主とする場合は、改変型不凍タンパク質生産用組換えベクターが該細菌中で自律複製可能であると同時に、プロモーター、リボゾーム結合配列、改変型不凍タンパク質DNA、転写終結配列により構成されていることが好ましい。また、プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。大腸菌としては、例えばエッシェリヒア・コリ(Escherichia coli)BRLなどが挙げられ、枯草菌としては、例えばバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)などが挙げられる。プロモーターは、大腸菌等の宿主中で発現できるものであればいずれを用いてもよい。細菌への組換えベクターの導入方法は、細菌にDNAを導入する方法であれば特に限定されるものではない。例えばカルシウムイオンを用いる方法、エレクトロポレーション法等が挙げられる。
酵母、動物細胞、昆虫細胞などの真核細胞を宿主とする場合には、同様に、当技術分野で公知の手法に従って、改変型不凍タンパク質を生産することができる。
改変型不凍タンパク質は、上記作製した形質転換された細胞を培養し、その培養物から回収することにより得ることができる。「培養物」とは、培養上清、培養細胞、培養菌体、または細胞もしくは菌体の破砕物のいずれをも意味するものである。上記形質転換体を培地で培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行われる。
大腸菌や酵母菌等の微生物を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。
培養は、通常、振盪培養または通気攪拌培養などの好気的条件下、37℃で6〜24時間行う。培養期間中、pHは中性付近に保持する。pHの調整は、無機または有機酸、アルカリ溶液等を用いて行う。培養中は必要に応じてアンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
培養後、改変型不凍タンパク質が菌体内または細胞内に生産される場合には、菌体または細胞を破砕することによりタンパク質を抽出する。また、改変型不凍タンパク質が菌体外または細胞外に生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離等により菌体または細胞を除去する。その後、タンパク質の単離精製に用いられる一般的な生化学的方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を単独でまたは適宜組み合わせて用いることにより、前記培養物中から改変型不凍タンパク質を単離精製することができる。
改変型不凍タンパク質が得られたか否かは、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動等により確認することができる。
なお、以上の方法によって得られる組換え改変型不凍タンパク質には、他の任意のタンパク質との融合タンパク質も含まれる。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)や緑色蛍光タンパク質(GFP)との融合タンパク質などが例示できる。さらに、形質転換細胞で発現されたペプチドは、翻訳された後、細胞内で各種修飾を受ける場合がある。したがって、修飾されたペプチドも改変型不凍タンパク質として用いることができる。このような翻訳後修飾としては、N末端メチオニンの脱離、N末端アセチル化、糖鎖付加、細胞内プロテアーゼによる限定分解、ミリストイル化、イソプレニル化、リン酸化などが例示できる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明は特にこれにより限定されるものではない。
(実施例1)配列番号1〜4で表される改変III型不凍タンパク質の組換えベクターの構築
配列番号1〜4の改変III型不凍タンパク質、SP P18L、SP A19V、SP P18L/A19V、QAE N8TをコードするDNAの作製にはそれぞれ、図2に示すプライマーと鋳型を用いた。以下、SP P18Lの発現ベクター構築法について述べるが、他の改変III型不凍タンパク質の発現ベクターも同様に構築した。
SPをコードするDNA(配列番号5)がクローニングされているpET20b(Novagen)/SPを鋳型にして、SP 1819 back(配列番号10)/SP P18L for(配列番号9)のプライマー組を用いて、PrimeSTAR MAX DNA Polymerase(TAKARA)でPCRを行なうことによりベクター全域のDNA断片を増幅した。次に、得られたPCR産物をT4 Polynucreotide kinase(TOYOBO)を用いてリン酸化し、Ligation High ver.2(TOYOBO)を用いてライゲーションを行った後、大腸菌DH5α株に形質導入した。作製した形質転換体から、アルカリ−SDS法によりプラスミドDNAを単離し、DNA配列を確認したものを組換えベクターとした。
(実施例2)改変III型不凍タンパク質の大腸菌での発現
以下、SP P18Lの発現法について述べるが、他の改変III型不凍タンパク質の発現も同様に行なった。
上記のように構築した発現ベクターで大腸菌BL21(DE3)を形質転換した。ベクターにはアンピシリン耐性遺伝子が導入されているため、アンピシリン含有LB寒天培地に大腸菌を塗布し、一晩28℃でインキュベートすることで形質転換体を選択した。形成されたコロニーの一つを100μg/mlのアンピシリンを含んだLB培地20mlに植え28℃で一晩培養した。20mlの培養液のうち5mlを100μg/mlのアンピシリンを含んだLB培地500mlに植継ぎ、波長600nmの吸光度で大腸菌の増殖度を監視しながら28℃で培養した。波長600nmの吸光度が0.5になったところでイソプロピル−β−D(−)−チオガラクトピラノシドを終濃度0.5mM になるように加えることで不凍タンパク質の発現を誘導し、さらに16時間培養を行った。培養液を3600g、4℃で15分遠心分離し、菌体を回収した。菌体を培養液の1/20量のTE緩衝液(10mMトリス−塩酸緩衝液/1mMエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(pH8.0))に縣濁し、氷中で超音波破砕した。これを11900g、4℃で30分遠心分離し、不凍タンパク質を含む可溶性画分と不溶性画分を分離した。一般的なプロトコールに従い不凍タンパク質の発現をSDS−PAGEで確認した。図3および図4にその結果を示す。可溶性画分におけるQAEの含有量は可溶性画分におけるSPの含有量に比べ明らかに少ないが、改変型であるQAE N8Tの可溶性画分における含有量はSPと同等となった(図3)。また、可溶性画分におけるSP P18L、SP A19V、SP P18L/A19Vの含有量もSPと同等の含有量を示した(図4)。
(実施例3)III型不凍タンパク質変異体の精製
以下、SP P18Lの精製法について述べるが、他の改変III型不凍タンパク質の精製も同様に行なった。
回収した可溶性画分を12.5倍量の50mM クエン酸ナトリウム(pH2.9)で2回透析した。この時、夾雑タンパク質の多くが酸変性し、凝集・沈殿した。沈殿を11900g、4℃で30分遠心分離することで除去した。この試料溶液に対し、陽イオン交換カラム処理を施した。予め、50mM クエン酸ナトリウム(pH2.9)で平衡化しておいたSP Sepharoseカラム(GEヘルスケア)に試料溶液をかけ、不凍タンパク質をカラムに吸着させた。50mM クエン酸ナトリウム(pH2.9)でカラムを洗浄後、0〜0.5M NaClの直線勾配を用いて不凍タンパク質をカラムから溶出させた。溶出タンパク質を波長280nmの吸光度で検出し、フラクションコレクターで分画した。SDS−PAGEで精製された不凍タンパク質を含む画分を確認し、回収した。精製不凍タンパク質を20mMトリス−塩酸緩衝液pH8.0で透析し、限外ろ過膜で濃縮した。
(実施例4)氷結晶成長抑制能の測定
1/3長に切断したガラスキャピラリー管(EMマイスターミニキャップス、内径0.92mm、外径1.39mm)の中央に0.1mMの不凍タンパク質を含む試料溶液0.7μlを入れ、蒸発を防止するために両端をミネラルオイルで塞いだ。これを銅製のホルダーにはめ込み、ライカ社製DMLB100型顕微鏡(Leica DMLB 100 photomicroscope)のステージ部に設置した冷却箱内にセットした。そして30μlのエチレングリコールでガラスキャピラリー管と銅製ホルダーの隙間を満たした。冷却箱および銅製ホルダーの上下には直径1mmの光取り入れ穴をあけ、顕微鏡光源からの光は下側の穴から箱内を通り上側の穴を抜けてレンズに入光させるようにした。この上下の穴により規定される光軸上に試料溶液をセットすることで、光軸上にある試料溶液中の物質を顕微鏡観察することができる。試料溶液がセットされた冷却箱の中の温度は、リンカム社製LK600温度制御装置(LK600 温度コントローラー)により制御される。室温下で試料溶液をセットした後、温度制御装置により冷却箱内の温度を毎秒30℃でマイナス30℃まで下降させた。およそマイナス14℃からマイナス25℃の間の温度のどこかで試料溶液の全体が凍結する。凍結の後に毎秒10℃で冷却箱内温度を上昇させ零℃で上昇を停止し、そのまま10秒程度の間、零℃を維持していると凍結が溶け、無数の亀裂の入った氷結晶状態を経たのちに、数えられる程度の氷結晶粒が水中に浮かんだものが観測された。更に冷却箱内温度を±0.05℃の範囲で繰り返し上昇・降下させることで氷結晶を溶解させその数を減らし、最終的に一つだけの氷結晶を試料溶液中に得た。この氷結晶が溶け初める温度を融点として予め記録しておき、融点より0.20℃低い温度で一つの氷結晶を含む試料溶液を保持し、10分間隔で氷結晶の形状と大きさを観察した。観察結果を図5に示す。SPを含む試料溶液中では、バイピラミダル氷結晶の体積が10分間のうちに91倍に成長した。これに対し、SP P18Lでは7.5倍、SP A19Vでは2.7倍、SP P18L/A19Vでは1.9倍であった。30分後においても、SP P18Lでは49倍、SP A19Vでは7.4倍、SP P18L/A19Vでは2.4倍であり、これらの改変III型不凍タンパク質で氷結晶成長抑制能の大幅な向上が確認された。また、QAE N8TがQAEと同等の氷結晶成長抑制能を有することが確認された。
本発明の改変型不凍タンパク質は、向上した不凍活性またはDNA組換え発現による大量生産を可能とする向上した生産性を有する。この特徴より、本発明は冷凍保存試薬や氷を細孔源とする高気孔構造体の構築、氷スラリーの安定化、細胞の冷蔵・冷凍保存などの分野において利用されることが期待される。

Claims (11)

  1. SP型不凍タンパク質のアミノ酸配列において氷結晶結合に関与するアミノ酸残基の1または複数が、QAE型不凍タンパク質のアミノ酸配列において該アミノ酸残基の1または複数に相対的に対応する位置にある、氷結晶結合に関与するアミノ酸残基の1または複数で置換されてなる、改変型不凍タンパク質。
  2. SP型不凍タンパク質の配列番号6に示されるアミノ酸配列において、18番目および19番目から選択される1または2つのアミノ酸残基を、QAE型不凍タンパク質のアミノ酸配列において該18番目および19番目のアミノ酸残基に相対的に対応する位置にあるアミノ酸残基でそれぞれ置換されてなる、請求項1記載の改変型不凍タンパク質。
  3. (i)配列番号1〜3のいずれかのアミノ酸配列;
    (ii)配列番号1〜3のいずれかのアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有し、かつ不凍活性を有するタンパク質のアミノ酸配列;または
    (iii)配列番号1〜3のいずれかのアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつ不凍活性を有するタンパク質のアミノ酸配列、
    ここで、配列番号1のアミノ酸配列における18番目、配列番号2のアミノ酸配列における19番目、ならびに配列番号3のアミノ酸配列における18番目および19番目のアミノ酸残基は保存されている、
    で示される、請求項2記載の改変型不凍タンパク質。
  4. QAE型不凍タンパク質のアミノ酸配列において該不凍タンパク質の分子表面に存在するアミノ酸残基の1または複数が、SP型不凍タンパク質のアミノ酸配列において該アミノ酸残基の1または複数に相対的に対応する位置にある、不凍タンパク質の分子表面に存在するアミノ酸残基の1または複数で置換されてなる、改変型不凍タンパク質。
  5. QAE型不凍タンパク質の配列番号8に示されるアミノ酸配列において、8番目のアミノ酸残基を、SP型不凍タンパク質のアミノ酸配列において該8番目のアミノ酸残基に相対的に対応する位置にあるアミノ酸残基で置換されてなる、請求項4記載の改変型不凍タンパク質。
  6. (i)配列番号4のアミノ酸配列;
    (ii)配列番号4のアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有し、かつ不凍活性を有するタンパク質のアミノ酸配列;または
    (iii)配列番号4のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつ不凍活性を有するタンパク質のアミノ酸配列、
    ここで配列番号4のアミノ酸配列において8番目のアミノ酸残基は保存されている、
    で示される、請求項5記載の改変型不凍タンパク質。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の改変型不凍タンパク質をコードするDNA。
  8. 請求項7に記載のDNAを含む組換えベクター。
  9. 請求項8に記載の組換えベクターを含む細胞。
  10. DNA組換え法を用いて合成することを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の改変型不凍タンパク質の製造方法。
  11. 請求項9に記載の細胞を培養すること、および該細胞の培養物より改変型不凍タンパク質を回収することを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の改変型不凍タンパク質の製造方法。
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