JP2011227461A - マスクブランク、転写用マスクおよびこれらの製造方法、並びに半導体デバイスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
提供する。
【解決手段】転写用マスクを作製するために用
いられるものであり、透光性基板上1に遮光膜30を備えるマスクブランクであって、
前記遮光膜30は、タンタルを主な金属成分として含有する材料からなり、
前記遮光膜30の透光性基板側とは反対側の表層に層中の酸素含有量が60at%以上
である高酸化層4が形成されていることを特徴としたマスクブランク。
【選択図】図1
Description
近年では、モリブデンシリサイド化合物を含む材料(MoSi系材料)を遮光膜として用いたArFエキシマレーザー用のバイナリマスクなども出現している。このMoSi系材料は、遮光膜において、遮光層上に形成される表面反射防止層の材料として用いられることがある(特許文献1)。特許文献1では、反射防止層と遮光層とからなる遮光膜の遮光層の材料として、反射防止層とのエッチング選択性の観点でタンタルを主成分とする材料を提案している。
一方、特許文献2では、光透過性基板上に、タンタル金属層、タンタル窒化物とタンタル酸化物の混合物の層を順に積層した構成のマスクブランクが開示されている。
また、MoSi系材料からなる遮光膜は、ArF照射耐性などの耐光性が良好とは言い難いという課題がある。
上記のように、遮光膜の耐光性が低いとマスク寿命は短くなるが、これまでは、マスクの洗浄回数に基づくマスク寿命の範囲内では、遮光膜の耐光性は得られている。
その結果、タンタル系材料からなる遮光膜の表層、あるいは、遮光膜パターンの表層および側壁の表層に、層中の酸素含有量が60at%以上であるタンタルの高酸化層を形成することによって、タンタル系材料からなる遮光膜の中でもより優れた耐薬品性およびArF照射耐性が得られることを見出した。
本発明者は、さらに、タンタル系材料からなる遮光膜の表面、あるいは、遮光膜パターンの表面および側壁の表面に、後述する所定の表面処理(温水処理など)を施すことで強制的により均一な膜厚分布であり、製品間の品質のばらつきが小さい膜(タンタルの高酸化層)を形成させることができ、この結果、優れた耐薬品性およびArF照射耐性等が得られることを見出した。
また、タンタル系材料からなる遮光膜としては、例えば、TaNからなる遮光層上にTaOからなる表面反射防止層を形成する態様が知られており、このTaOからなる表面反射防止層の層中の酸素含有量は表面反射防止を高める目的で56〜58at%とする態様が知られている。しかし、このTaOからなる表面反射防止層の表層に関してはほとんど研究されていない。
このような状況の下、本発明者は、タンタル系材料からなる遮光膜は、Ta単体はもとより、TaOやTaNについても酸化されることを突き止めた。詳しくは、図10に示すように、窒化されたタンタル膜(特に高窒素化されたタンタル膜)であっても、膜の表層ではほとんどの窒素が酸素に置換されて、タンタルがTa2O5まで酸化されることを突き止めた。また、TaO膜は、膜の表層では酸化が進行し、Ta2O5まで酸化されることを突き止めた。
特に、表面反射防止層と遮光層の少なくとも2層の遮光膜を有する転写用マスクで、自然酸化によって遮光膜パターンの側壁に高酸化層が形成された場合、本願所定の表面処理で高酸化層を形成した場合に比べて、成膜時の酸化度が相対的に高い材料である表面反射防止層の側壁と成膜時の酸化度が相対的に低い材料である遮光層の側壁との間での高酸化層の厚さのばらつきがかなり大きくなってしまうこと、を突き止めた。
また、後述する本願所定の表面処理を施す場合は、表層に層中の酸素含有量が60at%以上であるタンタル高酸化層(所定のタンタル高酸化層)が形成されていない状態と比べ、相対的に優れた耐薬品性およびArF照射耐性が得られることを突き止めた。この理由は、表層に所定のタンタル高酸化層が形成されていない状態で、酸やアルカリ等による薬液処理がなされると、膜の溶解によるダメージを受ける場合があるからである。
本発明者は、上記のことを見出し、本発明を完成するに至った。
また、本明細書においては、タンタル系材料からなる遮光膜の表層、あるいは、遮光膜パターンの表層および側壁の表層のことを、所定の表層と適宜称する。
本発明において、表層とは、表面から深さ数nm程度の最表面を指す。
(構成1)
転写用マスクを作製するために用いられるものであり、透光性基板上に遮光膜を備えるマスクブランクであって、
前記遮光膜は、タンタルを主な金属成分として含有する材料からなり、
前記遮光膜の透光性基板側とは反対側の表層に層中の酸素含有量が60at%以上である高酸化層が形成されていることを特徴としたマスクブランク。
(構成2)
前記高酸化層は、層中の酸素含有量が68at%以上であることを特徴とする構成1記載のマスクブランク。
(構成3)
前記高酸化層は、厚さが1.5nm以上4nm以下であることを特徴とする構成1または2のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成4)
前記高酸化層のTa2O5結合の存在比率は、前記高酸化層を除く前記遮光膜におけるTa2O5結合の存在比率よりも高いことを特徴とする構成1から3のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成5)
前記遮光膜は、さらに窒素を含有する材料からなることを特徴とする構成1から4のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成6)
前記遮光膜は、透光性基板側から少なくとも遮光層および表面反射防止層が順に積層した構造を有し、
前記高酸化層は、前記表面反射防止層の前記遮光層側とは反対側の表層に形成されていることを特徴とする構成1から3のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成7)
前記表面反射防止層の層中の酸素含有量は、前記高酸化層の層中の酸素含有量よりも少ないことを特徴とする構成6記載のマスクブランク。
(構成8)
前記表面反射防止層の層中の酸素含有量は、50at%以上であることを特徴とする構成7記載のマスクブランク。
(構成9)
前記高酸化層のTa2O5結合の存在比率は、前記表面反射防止層におけるTa2O5結合の存在比率よりも高いことを特徴とする構成6から8のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成10)
前記遮光層は、さらに窒素を含有する材料からなることを特徴とする構成6から9のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成11)
前記遮光膜は、膜厚が60nm未満であることを特徴とする構成1から10のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成12)
透光性基板上に遮光膜パターンを備える転写用マスクであって、
前記遮光膜パターンは、タンタルを主な金属成分として含有する材料からなり、
前記遮光膜パターンの前記透光性基板側とは反対側の表層と前記遮光膜パターンの側壁の表層に層中の酸素含有量が60at%以上である高酸化層が形成されていることを特徴とした転写用マスク。
(構成13)
前記高酸化層は、層中の酸素含有量が68at%以上であることを特徴とする構成12記載の転写用マスク。
(構成14)
前記高酸化層は、厚さが1.5nm以上4nm以下であることを特徴とする構成12または13のいずれかに記載の転写用マスク。
(構成15)
前記高酸化層のTa2O5結合の存在比率は、前記高酸化層を除く前記遮光膜パターンにおけるTa2O5結合の存在比率よりも高いことを特徴とする構成12から14のいずれかに記載の転写用マスク。
(構成16)
前記遮光膜パターンは、さらに窒素を含有する材料からなることを特徴とする構成12から15のいずれかに記載の転写用マスク。
(構成17)
前記遮光膜パターンは、透光性基板側から少なくとも遮光層および表面反射防止層が順に積層した構造を有することを特徴とする構成12から14のいずれかに記載の転写用マスク。
(構成18)
前記表面反射防止層の層中の酸素含有量は、前記高酸化層の層中の酸素含有量よりも少ないことを特徴とする構成17記載の転写用マスク。
(構成19)
前記表面反射防止層の層中の酸素含有量は、50at%以上であることを特徴とする構成18記載の転写用マスク。
(構成20)
前記高酸化層のTa2O5結合の存在比率は、前記表面反射防止層におけるにおけるTa2O5結合の存在比率よりも高いことを特徴とする構成17から19のいずれかに記載の転写用マスク。
(構成21)
前記遮光層は、さらに窒素を含有する材料からなることを特徴とする構成17から20のいずれかに記載の転写用マスク。
(構成22)
前記遮光膜パターンは、膜厚が60nm未満であることを特徴とする構成12から21のいずれかに記載の転写用マスク。
(構成23)
透光性基板上に遮光膜パターンを備える転写用マスクの製造方法であって、
前記透光性基板上にタンタルを主な金属成分として含有する材料からなる遮光膜を形成する工程と、
前記遮光膜にエッチングを行って前記遮光膜パターンを形成する工程と、
前記遮光膜パターンに対して温水またはオゾン水による処理を行って酸素含有量が60at%以上である高酸化層を前記遮光膜パターンの表層に形成する工程と
を有することを特徴とする転写用マスクの製造方法。
(構成24)
透光性基板上に遮光膜パターンを備える転写用マスクの製造方法であって、
前記透光性基板上にタンタルを主な金属成分として含有する材料からなる遮光膜を形成する工程と、
前記遮光膜にエッチングを行って前記遮光膜パターンを形成する工程と、
前記遮光膜パターンに対して酸素を含有する気体中で加熱処理を行って酸素含有量が60at%以上である高酸化層を前記遮光膜パターンの表層に形成する工程と
を有することを特徴とする転写用マスクの製造方法。
(構成25)
透光性基板上に遮光膜パターンを備える転写用マスクの製造方法であって、
前記透光性基板上にタンタルを主な金属成分として含有する材料からなる遮光膜を形成する工程と、
前記遮光膜にエッチングを行って前記遮光膜パターンを形成する工程と、
前記遮光膜パターンに対して酸素を含有する気体中で紫外線照射処理を行って酸素含有量が60at%以上である高酸化層を前記遮光膜パターンの表層に形成する工程とを有することを特徴とする転写用マスクの製造方法。
(構成26)
透光性基板上に遮光膜パターンを備える転写用マスクの製造方法であって、
前記透光性基板上にタンタルを主な金属成分として含有する材料からなる遮光膜を形成する工程と、
前記遮光膜にエッチングを行って前記遮光膜パターンを形成する工程と、
前記遮光膜パターンに対して酸素プラズマによる表面処理を行って酸素含有量が60at%以上である高酸化層を前記遮光膜パターンの表層に形成する工程と
を有することを特徴とする転写用マスクの製造方法。
(構成27)
透光性基板上に遮光膜パターンを備える転写用マスクの製造方法であって、
前記透光性基板上にタンタルを主な金属成分として含有する材料からなる遮光膜を形成する工程と、
前記遮光膜にエッチングを行って前記遮光膜パターンを形成する工程と、
前記遮光膜パターンの表面に酸素含有量が60at%以上である高酸化層をスパッタ法によって形成する工程と
を有することを特徴とする転写用マスクの製造方法。
(構成28)
前記高酸化層のTa2O5結合の存在比率は、前記高酸化層を除く前記遮光膜パターンにおけるTa2O5結合の存在比率よりも高いことを特徴とする構成23から27のいずれかに記載の転写用マスクの製造方法。
(構成29)
構成12から22のいずれかに記載の転写用マスクを用い、半導体ウェハ上に回路パターンを形成することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
(構成30)
構成23から28のいずれかに記載の転写用マスクの製造方法で作製された転写用マスクを用い、半導体ウェハ上に回路パターンを形成することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
(構成31)
転写用マスクを作製するために用いられるものであり、透光性基板上に遮光膜を備えるマスクブランクであって、
前記遮光膜は、タンタルを主な金属成分として含有する材料からなり、
前記遮光膜の透光性基板側とは反対側の表層に高酸化層が形成されており、
前記高酸化層のTa2O5結合の存在比率は、前記高酸化層を除く前記遮光膜におけるTa2O5結合の存在比率よりも高いことを特徴とするマスクブランク。
(構成32)
透光性基板上に遮光膜パターンを備える転写用マスクであって、
前記遮光膜パターンは、タンタルを主な金属成分として含有する材料からなり、
前記遮光膜パターンの透光性基板側とは反対側の表層と遮光膜パターンの側壁の表層に高酸化層が形成されており、
前記高酸化層のTa2O5結合の存在比率は、前記高酸化層を除く前記遮光膜パターンにおけるTa2O5結合の存在比率よりも高いことを特徴とする転写用マスク。
(1)タンタル系材料からなる遮光膜の表層、あるいは、遮光膜パターンの表層および側壁の表層(所定の表層)に、層中の酸素含有量が60at%以上であるタンタルの高酸化層(所定のタンタル高酸化層)が形成されていることにより、MoSi系遮光膜と比較して温水耐性や耐薬品性が大幅に向上することはもちろんのこと、高酸化層が形成されていないタンタル系材料からなる遮光膜と比較しても耐薬品性が向上する。
所定の表層に所定のタンタル高酸化層が形成されていない状態の場合、酸処理やアルカリ処理等を施すことによって、遮光膜あるいは遮光膜パターンがダメージを受けることがある。このダメージは回復できない。
(2)長期間(1年超)の大気中放置によってタンタル系材料の表層の自然酸化が進んだ状態の場合、表層が形成されていない場合との比較では耐薬品性の向上はみられる。しかし、遮光膜や遮光膜パターンの表面に形成される酸化層の膜厚分布の均一性が、表面処理によって強制的にタンタルの高酸化層を形成した場合に比べて低くなる。また、同じロットで製造したマスクブランクを同じ環境下で自然酸化させた場合でも、マスクブランク間の遮光膜における高酸化層の膜厚ばらつきが生じやすい。タンタルの高酸化層の膜厚検出は容易にはできないため、全数検査も難しい。つまり、自然酸化では適正なタンタル高酸化層を備えるマスクブランクを安定的に生産することが難しい。これに対し、本願所定の表面処理を施してタンタルの高酸化層を形成する場合には、膜厚分布の均一性が得やすく、マスクブランク製品間でのタンタル高酸化層の膜厚均一性も高い。このため、所定のタンタルの高酸化層を備えるマスクブランクを安定して供給することができる。
(3)転写用マスクにあっては、タンタル系遮光膜パターンの表層及び側壁の表層の自然酸化が進んだ状態の場合は、特に側壁側の酸化層の膜厚分布が不均一になりやすく、ArF照射耐性が低い部分が生じやすい。これに対し、タンタル系遮光膜パターンの形成後に本願所定の表面処理を施した場合、前記パターンの表層及び側壁の表層に膜厚分布の均一性の高い所定のタンタル高酸化層が形成されるため、遮光膜パターン全体でArF照射耐性を高くすることができる。
(4)酸素含有量が60at%以上であるタンタルの高酸化層は、酸素含有量が60at%未満であるタンタル酸化層(TaO層)に比べ、Cl系ガスエッチングに対する耐性が高いので、TaO層をマスクとしてTaN層等をドライエッチングする際に、酸素含有量が60at%以上であるタンタルの高酸化層がない場合に比べ、エッチングマスクとしての耐性が向上する。これにより、タンタル酸化層(表面反射防止層)のパターンエッジ部分が丸まることを低減できる。
(5)後述する構成6のように、表面反射防止層全体をタンタル高酸化層で形成せずに、表層のみタンタル高酸化層とした場合、表面反射防止層にある程度のArF露光光に対する光学濃度を持たせることが可能になるため、遮光膜の薄膜化に寄与できる。
前記遮光膜は、タンタルを主な金属成分として含有する材料からなり、
前記遮光膜の透光性基板側とは反対側の表層に層中の酸素含有量が60at%以上であるタンタルの高酸化層が形成されていることを特徴とする(構成1)。
また、本発明の転写用マスクは、透光性基板上に遮光膜パターンを備える転写用マスクであって、
前記遮光膜パターンは、タンタルを主な金属成分として含有する材料からなり、
前記遮光膜パターンの透光性基板側とは反対側の表層と遮光膜パターンの側壁の表層に層中の酸素含有量が60at%以上であるタンタルの高酸化層が形成されていることを特徴とする(構成12)。
なお、本発明において、透光性基板側とは反対側の表層とは、透光性基板側とは反対側に位置する表面を含み、この表面から一定深さの層のことを指す。
なお、膜中の酸素含有量が60at%未満のタンタル酸化膜は、表面反射防止層として形成される。このとき、酸素含有量は例えば50at%以上(例えば56〜58at%)である。
本発明において、所定のタンタル高酸化層は、層中の酸素含有量が66.7at%以上だと、層中のタンタルと酸素の結合状態はTaO2結合が主体になる傾向が高くなると考えられ、一番不安定な結合のTaO結合やその次に不安定な結合のTa2O3の結合はともに非常に少なくなると考えられる。
所定のタンタル高酸化層は、層中の酸素含有量が60at%以上であると、最も安定した結合状態の「Ta2O5」だけでなく「Ta2O3」や「TaO2」の結合状態も含まれることになるが、少なくとも一番不安定な結合のTaO結合が耐薬性やArF耐光性を低下させるような影響を与えない程度の非常に少ない量になるといえる下限値であると考えられる。
本発明において、所定のタンタル高酸化層は、層中の酸素含有量が68at%以上であると(構成2、13)、TaO2結合が主体になるだけでなく、Ta2O5の結合状態の比率も高くなると考えられる。このような酸素含有量になると、「Ta2O3」や「TaO2」の結合状態は稀に存在する程度となり、「TaO」の結合状態は存在し得なくなってくる。本発明において、高酸化層のTa2O5結合の存在比率は、高酸化層を除く遮光膜あるいは遮光膜パターンにおけるTa2O5結合の存在比率よりも高いことが望ましい(構成4、15)。Ta2O5結合は、非常に高い安定性を有する結合状態であり、高酸化層中のTa2O5結合の存在比率を多くすることで、耐薬性、耐温水性などのマスク洗浄耐性やArF耐光性が大幅に高まる。
本発明では、所定のタンタル高酸化層は、Ta2O5の結合状態だけで形成されていることが最も好ましい。
本発明において、所定のタンタル高酸化層は、Ta2O5の結合状態だけで形成されている場合、タンタルと酸素で実質的に構成されていることが好ましい。実質的にTa2O5等の結合状態だけで形成されていることが好ましいからである。
上記のタンタルと酸素で実質的に構成されている場合、窒素、その他の元素は、本発明の作用効果に影響のない範囲であることが好ましく、実質的に含まれないことが好ましい。
前記遮光膜は、反射防止層を含む態様であってもよい。
前記遮光膜は、組成傾斜膜を含む。
前記遮光膜は、透光性基板側から、遮光層、表面反射防止層を順に積層した2層構造としてもよい。
前記遮光膜は、透光性基板側から、裏面反射防止層、遮光層、表面反射防止層を順に積層した3層構造としてもよい。
1.5nm未満では薄すぎて効果が期待できず、4nmを超えると表面反射率に与える影響が大きくなり、所定の表面反射率(ArF露光光に対する反射率や各波長の光に対する反射率スペクトル)を得るための制御が難しくなる。また、タンタルの高酸化層は、ArF露光光に対する光学濃度が非常に低いことから、表面反射防止層で確保できる光学濃度が低下し、遮光膜の膜厚を薄膜化する観点からはマイナスに働いてしまう。
成膜直後に又は成膜後自然酸化がされない状態で、本願所定の表面処理を施すことでタンタルの高酸化層を形成させた場合、1.5nmから4nmの範囲の厚さになる傾向がある。そして、高酸化層がその厚さの範囲は、十分な耐薬性やArF耐光性が得られる。なお、遮光膜全体の光学濃度確保の観点と、耐薬性やArF耐光性の向上の観点の両方のバランスを考慮すると、高酸化層の厚さは1.5nm以上3nm以下とするのがより望ましい。
このような態様は、裏面反射防止を図る上で有利であり、裏面反射防止のための裏面反射防止層を透光性基板と遮光層の間に形成する必要がなくなるため、相対的に薄い膜厚で遮光性能を確保する上でも有利である。
前記高酸化層は、表面反射防止層の遮光層側とは反対側の表層に形成されている態様とすることができる(構成6)。
また、本発明においては、前記遮光膜パターンは、透光性基板側から少なくとも遮光層および表面反射防止層が順に積層した構造を有する態様とすることができる(構成17)
。
このような態様は、表面反射防止を図る上で有利であり、遮光性能の高い材料で遮光層を形成することにより、相対的に薄い膜厚で遮光性能を確保する上でも有利である。
このような構成は、より薄い膜厚で所定の表面反射率を得る上で有利である。
本発明においては、前記表面反射防止層の層中の酸素含有量は、60at%未満であることが好ましい。
このような構成は、表面反射防止効果を高める(最大化する)上で有利である。また、遮光層を塩素系ガスでドライエッチングするときのエッチングマスク(ハードマスク)として表面反射防止層を使用する場合、塩素系ガスに対するエッチング耐性がさらに高まるため、より高いエッチング選択性を確保できる。なお、表面反射防止層中に窒素も含有する場合においては、窒素と酸素の合計含有量が50at%以上であることが好ましく、酸素の含有量が50at%を下回っても表面反射防止効果を高める効果が得られないことにはならない。
表面反射防止効果を高める(最大化する)上では、例えば、前記表面反射防止層の層中の酸素含有量は56〜58at%であり、その表層に層中の酸素含有量が60at%以上であるタンタルの高酸化層が形成されている態様が好ましい。
Ta2O5結合は、非常に高い安定性を有する結合状態であり、高酸化層中のTa2O5結合の存在比率を多くすることで、耐薬性、耐温水性などのマスク洗浄耐性やArF耐光性が大幅に高まる。
上記構成6〜9、構成17〜20においては、前記遮光層は、窒素を含有する材料からなることが好ましい(構成10、21)。
このような構成は、 裏面反射防止を図る上で有利であり、また、相対的に薄い膜厚で遮光膜の遮光性能を確保する上でも有利である。
このような構成は、より微細なパターンを転写する上で有利である。
特に高NA(液浸)世代で使用される転写用マスクに関しては、光近接効果補正(Optical Proximity Correction:OPC)やSRAF(Sub Resolution Assist Feature)等のマスクパターンの補正が必要になってくるが、そのために必要となるシミュレーションの計算負荷の低減のためには、マスクパターンを薄くすることが有効であり、その要求に応えることが可能となる。
本発明者は、最初の処理が適切でないと、遮光膜あるいは遮光膜パターンがダメージを受けることがあることを突き止めた。例えば、最初の処理が、アンモニアと過酸化水素を含有する水溶液などのアルカリ性溶液を用いた処理であると、遮光膜あるいは遮光膜パターンがダメージを受けることがある(特にTaN層を含む場合TaN層にダメージを受ける)ことを突き止めた。また、例えば、遮光膜中にホウ素を含む場合、最初の処理が、硫酸過水、熱濃硫酸などの酸処理であると、遮光膜あるいは遮光膜パターンがダメージを受けることがあることを突き止めた。
本発明者は、前記最初の処理として、温水処理、オゾン含有水処理、酸素を含有する気体中での加熱処理、酸素を含有する気体中での紫外線照射処理、酸素プラズマによる表面処理、のうち1以上の処理が適していることを突き止めた。
上記本願所定の表面処理を施すことで強制的に均一で強固な膜(タンタルの高酸化層)を形成させることができ、この結果、優れた耐薬品性およびArF照射耐性等が得られる。
上記本願所定の表面処理は、洗浄処理を兼ねることが可能である。
なお、上記本願所定の表面処理を施すことで、所定の厚さのタンタル高酸化層の表層を遮光膜パターンに形成できることを解明したので、本願所定の表面処理を施す場合は分析で確認する必要がない。これに対し、自然酸化であると、酸化の進行は放置される環境等に大きく左右されるため表層の厚さを制御することは難しい。タンタル高酸化層の膜厚を短時間でかつ非破壊で検出する方法は現状技術では特に見当たらず、全数検査は難しい。また、自然酸化の場合、1年超(例えば、10,000時間)の時間が必要であり、生産管理上も困難である。
透光性基板上にタンタルを主な金属成分として含有する材料からなる遮光膜を形成する工程と、
前記遮光膜にエッチングを行って遮光膜パターンを形成する工程と、
前記遮光膜パターンに対して温水による処理またはオゾン水による処理を行って酸素含有量が60at%以上である高酸化層を遮光膜パターンの表層に形成する工程と
を有することを特徴とする(構成23)。
温水の温度は、70〜90℃程度が好ましい。
温水による処理時間は、10〜120分程度が好ましい。
オゾン含有水で処理する工程は、40〜60ppmのオゾン含有水を用いることが好ましい。
オゾン含有水の温度は、15〜30℃程度が好ましい。
オゾン含有水による処理時間は、10〜20分程度が好ましい。
透光性基板上にタンタルを主な金属成分として含有する材料からなる遮光膜を形成する工程と、
前記遮光膜にエッチングを行って遮光膜パターンを形成する工程と、
前記遮光膜パターンに対して酸素を含有する気体中で加熱処理を行って酸素含有量が60at%以上である高酸化層を遮光膜パターンの表層に形成する工程と
を有することを特徴とする(構成24)。
加熱処理による処理時間は、5〜30分程度が好ましい。
酸素を含有する気体は、大気の他、大気よりも酸素濃度の高い雰囲気などが挙げられる。
透光性基板上にタンタルを主な金属成分として含有する材料からなる遮光膜を形成する工程と、
前記遮光膜にエッチングを行って遮光膜パターンを形成する工程と、
前記遮光膜パターンに対して酸素を含有する気体中で紫外線照射処理を行って酸素含有量が60at%以上である高酸化層を遮光膜パターンの表層に形成する工程とを有することを特徴とする(構成25)。
酸素を含有する気体は、大気の他、大気よりも酸素濃度の高い雰囲気などが挙げられる。
透光性基板上にタンタルを主な金属成分として含有する材料からなる遮光膜を形成する工程と、
前記遮光膜にエッチングを行って遮光膜パターンを形成する工程と、
前記遮光膜パターンに対して酸素プラズマによる表面処理を行って酸素含有量が60at%以上である高酸化層を遮光膜パターンの表層に形成する工程とを有することを特徴とする(構成26)。
前記透光性基板上にタンタルを主な金属成分として含有する材料からなる遮光膜を形成する工程と、
前記遮光膜にエッチングを行って前記遮光膜パターンを形成する工程と、
前記遮光膜パターンの表面に酸素含有量が60at%以上である高酸化層をスパッタ法によって形成する工程とを有することを特徴とする(構成27)。
特に、Ta2O5ターゲットを用いて所定の表層を形成する場合、DCマグネトロンスパッタリングではTa2O5は導電性がないので成膜は困難であり、RFマグネトロンスパッタリング法やイオンビームスパッタ法を適用する必要がある。
なお、RFマグネトロンスパッタリング法やイオンビームスパッタ法でTa2O5ターゲットを用いて所定の表層を形成する場合でも、スパッタ室内に導入する成膜ガスを希ガスのみの雰囲気では、形成される表層に酸素欠損が生じてしまうことがある(Ta2O5結合以外の結合状態も存在してしまう)。これを回避するには、スパッタ室内の成膜ガスに希ガスと酸素の混合ガスを導入して成膜するとよい。
Ta2O5結合は、非常に高い安定性を有する結合状態であり、高酸化層中のTa2O5結合の存在比率を多くすることで、耐薬性、耐温水性などのマスク洗浄耐性やArF耐光性が大幅に高まるためである。
また、上記構成1〜32の発明においては、耐薬性、耐温水性などのマスク洗浄耐性が大幅に高まるので、KrFエキシマレーザー(波長248nm)の露光光が適用される転写用マスクおよびマスクブランクに適する。
スパッタ装置としてDCマグネトロンスパッタ装置が好ましく挙げられるが、本発明はこの成膜装置に限定されるわけではない。RFマグネトロンスパッタ装置等、他の方式のスパッタ装置を使用してもよい。
本発明において、酸素を実質的に含有しないタンタル系材料(タンタル、タンタル窒化層等)のドライエッチングには、例えば、SF6、CF4、C2F6、CHF3等のフッ素系ガス、これらとHe、H2、N2、Ar、C2H4、O2等の混合ガス、或いはCl2、CH2Cl2等の塩素系のガス又は、これらとHe、H2、N2、Ar、C2H4等の混合ガスを用いることができる。
本発明の転写用マスクの遮光膜パターンは、耐温水性、耐薬性等に優れ、ArF耐光性にも優れるため、マスク洗浄によるパターンの細りが小さく、ArFエキシマレーザーの照射に対するパターン太りも小さいため、微細なパターン(例えば、DRAM hp45nmの回路パターン)を半導体ウェハ上のレジスト膜に高い精度で転写できる。このため、本発明の転写用マスクで露光転写され、形成されたレジストパターンを用いて、半導体ウェハ上に微細なパターンを精度よく形成することができる。
前記遮光膜は、タンタルを主な金属成分として含有する材料からなり、
前記遮光膜の透光性基板側とは反対側の表層に高酸化層が形成されており、
前記高酸化層のTa2O5結合の存在比率は、高酸化層を除く遮光膜におけるTa2O5結合の存在比率よりも高いことを特徴とする(構成31)。
前記遮光膜パターンは、タンタルを主な金属成分として含有する材料からなり、
前記遮光膜パターンの透光性基板側とは反対側の表層と遮光膜パターンの側壁の表層に高酸化層が形成されており、
前記高酸化層のTa2O5結合の存在比率は、高酸化層を除く遮光膜パターンにおけるTa2O5結合の存在比率よりも高いことを特徴とする(構成32)。
これらのマスクブランクや転写用マスクの遮光膜や遮光膜パターンは、その表層に、Ta2O5結合の存在比率が高い高酸化層を備えるため、耐薬性、耐温水性、ArF耐光性に非常に優れる。
また、本実施の形態にかかる転写用マスクは、図2に示されるように、図1に示されるマスクブランクの遮光膜30をパターニングすることにより、ガラス基板1上に、遮光膜30を残存させた部分30aと、除去した部分30bとから構成される微細パターンを形成したものである。
遮光膜パターン30aの表層には、タンタルの高酸化層4aが形成されている。また、遮光膜パターン30aの側壁においては、Ta酸化層3のパターン3aの側壁の表層にタンタルの高酸化層4bが形成され、Ta窒化層2のパターン2aの側壁の表層にタンタルの高酸化層4cが形成されている。
[マスクブランクの作製]
(実施例1)<マスクブランクの製造:温水処理>
縦・横の寸法が、約152mm×152mmで、厚さが6.35mmの合成石英からなる基板1を、DCマグネトロンスパッタ装置に導入する。スパッタ装置内を2×10−5(Pa)以下に排気した後、スパッタ装置内にArとN2の混合ガスを導入する。このとき、Arの流量は38.5sccm、N2の流量は9sccmに調整した。スパッタリングターゲットにはTaを用いた。ガスの流量が安定した後、DC電源の電力を1.5kWに設定し、基板1上に厚み42nmのTa窒化層2を成膜した(図3(a)参照)。
屈折率n、消衰係数kの値をn&kテクノロジー社製の光学式薄膜特性測定装置であるn&k1280(n&kテクノロジー社の商品名)で算出したところ、Ta窒化層2のnは屈折率2.00、消衰係数kは2.22であり、Ta酸化層3の屈折率nは2.23、消衰係数kは1.09であった。
同様にして作製した遮光膜30についてAES(オージェ電子分光法)による分析を行ったところ、Ta窒化層2のN含有量は16at%であった。Ta酸化層3のO含有量は58at%であった。この時点で、タンタルの高酸化層4の形成は確認できなかった。
さらに、この遮光膜30について、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて領域1μmの表面粗さ測定を行ったところ、表面粗さRmsは0.29nmであった。
なお、欠陥検査機 レーザーテック社製 M1350(レーザーテック社の商品名)で欠陥検査を行ってみたところ、欠陥を正常に識別できることが確認できた。
これにより、実施例1のマスクブランクを得た。
実施例1のマスクブランクは、遮光膜30の膜面における反射率(表面反射率)は、ArF露光光(波長 193nm)において25.1%であり表面処理前の表面反射率に対する変動は小さかった。基板1の遮光膜を形成していない面の反射率(裏面反射率)は、ArF露光光において、38.2%であり表面処理前と同じであった。また、ArF露光光における光透過率は0.1%であり表面処理前と同じであった。
さらに、この遮光膜30について、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて領域1μmの表面粗さ測定を行ったところ、表面粗さRmsは0.29nmであり、表面処理前と同じであった。
なお、欠陥検査機 レーザーテック社製 M1350(レーザーテック社の商品名)で欠陥検査を行ってみたところ、欠陥を正常に識別できることが確認できた。
上記実施例1と同様の手順で遮光膜30を成膜し、自然酸化が進行する前(例えば、転写パターン形成後、1時間以内)の、または自然酸化が進行しない環境下で保管した後のマスクブランクについて、25℃、40%RHの環境下で1000時間(約42日)放置し、自然酸化を進行させた。
以上により、参考例1のマスクブランクを得た。
参考例1のマスクブランクでは、遮光膜30の膜の表層に、タンタルの高酸化層4の形成が確認された。具体的には、AES(オージェ電子分光法)の分析結果における遮光膜の深さ方向プロファイルによって、厚さ1nmの高酸化層が確認された。この層について、オージェ電子分光分析(AES)で分析した結果、酸素(O)含有量は、透光性基板側から反対側から遮光層側に向かって71.4at%〜59at%と組成傾斜していた。
実施例1および参考例1のマスクブランクと、実施例1と同様に遮光膜30を形成した直後(温水処理等の強制酸化処理を行なわず、自然酸化も進んでいない)のマスクブラン
ク(比較例1)をそれぞれ複数枚準備し、耐薬性の検証を行った。検証は、マスク作製等で広く用いられている酸処理と、アルカリ処理でそれぞれ行った。酸処理には、硫酸(H2SO4,濃度98wt%):過酸化水素(H2O2,濃度30wt%)=4:1(体積比)の溶液を90℃に加熱して使用し、処理時間は30分とした。アルカリ処理は、水酸化アンモニウム(NH4OH,濃度25wt%):過酸化水素(H2O2,濃度30wt%):水(H2O)=2:1:4(体積比)の溶液を室温(23℃)で使用し、処理時間は30分とした。
上記実施例1と同様の手順で遮光膜30を成膜し、自然酸化が進行する前(例えば、転写パターン形成後、1時間以内)の、または自然酸化が進行しない環境下で保管した後のマスクブランクを用い、実施例2の転写用マスクを作製した。
最初に、150nmの電子線レジスト5を塗布し(図3(c)参照)、電子線描画及び現像を行い、レジストパターン5aを形成した(図3(d)参照)。
こうして作製した遮光膜パターンについて、断面のSEM観察を行ったところ、電子線レジストは約80nmの厚みで残存していた。
続いて、遮光膜パターン上のレジストを除去し、転写用マスクとしての機能を有する遮光膜パターン30aを得た(図3(g)参照)。
以上により、転写用マスク(バイナリマスク)を得た。
これにより、実施例2の転写用マスクを得た。
上記実施例2と同様の手順で実施例1のマスクブランク(自然酸化が進行する前(例えば、転写パターン形成後、1時間以内)の、または自然酸化が進行しない環境下で保管した後のマスクブランク)の遮光膜30に遮光膜パターン30aを形成したものであり、自然酸化が進行する前(例えば、転写パターン形成後、1時間以内)の、または自然酸化が進行しない環境下で保管した後であり、温水処理をほどこしていない転写用マスクを用い、オゾン処理によって、実施例3の転写用マスクを作製した。
オゾン処理(表面処理)は、オゾン濃度の50ppmで温度が25℃のオゾン含有水を用い、処理時間15分の条件で行った。
これにより、実施例3の転写用マスクを得た。
上記実施例2と同様の手順で実施例1のマスクブランク(自然酸化が進行する前(例えば、転写パターン形成後、1時間以内)の、または自然酸化が進行しない環境下で保管した後のマスクブランク)の遮光膜30に遮光膜パターン30aを形成したものであり、自然酸化が進行する前(例えば、転写パターン形成後、1時間以内)の、または自然酸化が進行しない環境下で保管した後であり、温水処理をほどこしていない転写用マスクを用い、加熱処理によって、実施例4の転写用マスクを作製した。
加熱処理(表面処理)は、大気中で140℃の加熱温度で、処理時間30分の条件で行った。
これにより、実施例4の転写用マスクを得た。
上記実施例2と同様の手順で実施例1のマスクブランク(自然酸化が進行する前(例えば、転写パターン形成後、1時間以内)の、または自然酸化が進行しない環境下で保管した後のマスクブランク)の遮光膜30に遮光膜パターン30aを形成したものであり、自然酸化が進行する前(例えば、転写パターン形成後、1時間以内)の、または自然酸化が進行しない環境下で保管した後であり、温水処理をほどこしていない転写用マスクを用い、紫外線照射処理によって、実施例5の転写用マスクを作製した。
紫外線照射処理(表面処理)は、遮光膜パターン30の表面に対して、50mJ/cm2のArFエキシマレーザー光を1cm/secの走査速度で全面を走査することで行った。
これにより、実施例5の転写用マスクを得た。
上記実施例2と同様の手順で実施例1のマスクブランク(自然酸化が進行する前(例えば、転写パターン形成後、1時間以内)の、または自然酸化が進行しない環境下で保管した後のマスクブランク)の遮光膜30に遮光膜パターン30aを形成したものであり、自然酸化が進行する前(例えば、転写パターン形成後、1時間以内)の、または自然酸化が進行しない環境下で保管した後であり、温水処理をほどこしていない転写用マスクを用い、酸素プラズマ処理によって、実施例6の転写用マスクを作製した。
酸素プラズマ処理(表面処理)は、酸素プラズマアッシングを行うためのレジスト剥離装置に、転写用マスクを導入して行い、処理時間5分の条件で行った。
これにより、実施例6の転写用マスクを得た。
上記実施例2と同様の手順で実施例1のマスクブランク(自然酸化が進行する前(例えば、転写パターン形成後、1時間以内)の、または自然酸化が進行しない環境下で保管した後のマスクブランク)の遮光膜30に遮光膜パターン30aを形成したものであり、自然酸化が進行する前(例えば、転写パターン形成後、1時間以内)の、または自然酸化が進行しない環境下で保管した後であり、温水処理をほどこしていない転写用マスクを用い、自然酸化によって、参考例2の転写用マスクを作製した。
具体的には、転写用マスクを25℃、40%RHの環境下で1000時間(約42日)放置し、自然酸化を進行させた。
これにより、参考例2の転写用マスクを得た。
実施例2から実施例6および参考例2の転写用マスクと、実施例2と同様の手順で実施例1のマスクブランク(自然酸化が進行する前(例えば、転写パターン形成後、1時間以内)の、または自然酸化が進行しない環境下で保管した後のマスクブランク)の遮光膜30に遮光膜パターン30aを形成したものであり、自然酸化が進行する前(例えば、転写パターン形成後、1時間以内)の、または自然酸化が進行しない環境下で保管した後であり、温水処理をほどこしていない転写用マスク(比較例2)と、をそれぞれ複数枚準備し、耐薬性の検証を行った。検証は、マスク洗浄等で広く用いられている酸処理と、アルカリ処理でそれぞれ行った。酸処理には、硫酸(H2SO4,濃度98wt%):過酸化水素(H2O2,濃度30wt%)=4:1(体積比)の溶液を90℃に加熱して使用し、処理時間は30分とした。アルカリ処理は、水酸化アンモニウム(NH4OH,濃度25wt%):過酸化水素(H2O2,濃度30wt%):水(H2O)=2:1:4(体積比)の溶液を室温(23℃)で使用し、処理時間は30分とした。
このように、本実施例の転写用マスク(バイナリマスク)及びマスクブランク(バイナリマスクブランク)は、200nm以下の短波長の露光光源による累積照射に対して、極めて高い耐光性を備えていることがわかる。
縦・横の寸法が、約152mm×152mmで、厚さが6.35mmの合成石英からなる基板1上に、DCマグネトロンスパッタ装置を用い、遮光膜30として、MoSiN膜(遮光層)2、MoSiON膜(表面反射防止層)3、を順次形成した(説明の便宜のため代用する図3(a)、(b)参照)。
次いで、Mo:Si=12mol%:88mol%のターゲットを用い、ArとO2とN2の混合ガス雰囲気で、モリブデン、シリコン、酸素、窒素からなる膜(Mo:7.4原子%、Si:52.3原子%、O:16.1原子%、N:24.2原子%)を8nmの膜厚で形成し、MoSiON膜(表面反射防止層)を形成した。
遮光膜の合計膜厚は60nmとした。遮光膜の光学濃度(OD)はArFエキシマレーザー露光光の波長193nmにおいて3.0であった。
以上のようにして、比較例3のバイナリマスクブランクを作製した。
まず、マスクブランク上に、電子線描画用化学増幅型ポジレジスト膜(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ社製 PRL009)5を形成した(同図(c)参照)。
次に上記マスクブランク上に形成されたレジスト膜5に対し、電子線描画装置を用いて所望のパターン描画を行った後、所定の現像液で現像してレジストパターン5aを形成した(同図(d)参照)。
次に、残存するレジストパターンを剥離して、本実施例のバイナリマスクを得た(同図(g)参照)。
なお、遮光膜の光学濃度(OD)はArFエキシマレーザー露光光の波長193nmにおいてマスクブランク製造時と殆ど変化はなかった。
また、実施例1と同様に、マスクをアンモニア過水、温水にそれぞれ浸し、耐薬品性、特にパターン側壁の耐薬品性(耐アンモニア過水、耐温水)を調べたところ、いずれの場合もパターン側壁の浸食が確認された。
さらに、照射後のマスク表面を詳しく観察したところ、Mo析出によるガラス基板や膜上への堆積物が確認された。
縦・横の寸法が、約152mm×152mmで、厚さが6.35mmの合成石英からなる基板1上に、DCマグネトロンスパッタ装置を用いて、厚み42nmのTa窒化層2を成膜した。Ta窒化層2の成膜は、スパッタターゲットにTaを用い、XeとN2の混合ガス雰囲気下で、反応性スパッタリングによって行われた。(図3(a)参照)。次に、Ta窒化層2を成膜した基板1をスパッタ装置内に保持したまま、厚み9nmのTa酸化層3を成膜した。Ta酸化層3の成膜は、スパッタターゲットにTaを用い、ArとO2の混合ガス雰囲気下で、反応性スパッタリングによって行われた。(図3(b)参照)。
上記実施例7と同様の手順で遮光膜30を成膜し、大気中で200℃の加熱温度で、処理時間5分の条件で、加熱処理(表面処理)を行った複数枚のマスクブランクを用い、実施例8〜12の転写用マスクを作製した。
最初に、100nmの電子線レジスト5を塗布し(図3(c)参照)、電子線描画及び現像を行い、DRAM hp45nmの回路パターンを有するレジストパターン5aを形成した(図3(d)参照)。
続いて、遮光膜パターン30a上のレジストパターン5aを除去し、転写用マスクとしての機能を有する遮光膜パターン30aを得た(図3(g)参照)。
以上により、複数枚の転写用マスク(バイナリマスク)を得た。
縦・横の寸法が、約152mm×152mmで、厚さが6.35mmの合成石英からなる基板1上に、DCマグネトロンスパッタ装置を用いて、厚み47nmのTaBN層(遮光層)2を成膜した。TaBN層2の成膜は、スパッタターゲットにTaとBの混合ターゲット(at%比 Ta:B=80:20)を用い、XeとN2の混合ガス雰囲気下で、反応性スパッタリングによって行われた。(図3(a)参照)。次に、TaBN層2を成膜した基板1をスパッタ装置内に保持したまま、厚み10nmのTaBO層(表面反射防止層)3を成膜した。TaBO層3の成膜は、スパッタターゲットに同じくTaとBの混合ターゲットを用い、ArとO2の混合ガス雰囲気下で、反応性スパッタリングによって行われた。(図3(b)参照)。
2 遮光層
3 表面反射防止層
4 高酸化層
4a、4b、4c 高酸化層
5 レジスト膜
Claims (32)
- 転写用マスクを作製するために用いられるものであり、透光性基板上に遮光膜を備えるマスクブランクであって、
前記遮光膜は、タンタルを主な金属成分として含有する材料からなり、
前記遮光膜の透光性基板側とは反対側の表層に層中の酸素含有量が60at%以上である高酸化層が形成されていることを特徴としたマスクブランク。 - 前記高酸化層は、層中の酸素含有量が68at%以上であることを特徴とする請求項1記載のマスクブランク。
- 前記高酸化層は、厚さが1.5nm以上4nm以下であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のマスクブランク。
- 前記高酸化層のTa2O5結合の存在比率は、前記高酸化層を除く前記遮光膜におけるTa2O5結合の存在比率よりも高いことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のマスクブランク。
- 前記遮光膜は、さらに窒素を含有する材料からなることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のマスクブランク。
- 前記遮光膜は、透光性基板側から少なくとも遮光層および表面反射防止層が順に積層した構造を有し、
前記高酸化層は、前記表面反射防止層の遮光層側とは反対側の表層に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のマスクブランク。 - 前記表面反射防止層の層中の酸素含有量は、前記高酸化層の層中の酸素含有量よりも少ないことを特徴とする請求項6記載のマスクブランク。
- 前記表面反射防止層の層中の酸素含有量は、50at%以上であることを特徴とする請求項7記載のマスクブランク。
- 前記高酸化層のTa2O5結合の存在比率は、前記表面反射防止層におけるTa2O5結合の存在比率よりも高いことを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載のマスクブランク。
- 前記遮光層は、さらに窒素を含有する材料からなることを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載のマスクブランク。
- 前記遮光膜は、膜厚が60nm未満であることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のマスクブランク。
- 透光性基板上に遮光膜パターンを備える転写用マスクであって、
前記遮光膜パターンは、タンタルを主な金属成分として含有する材料からなり、
前記遮光膜パターンの透光性基板側とは反対側の表層と前記遮光膜パターンの側壁の表層に層中の酸素含有量が60at%以上である高酸化層が形成されていることを特徴とした転写用マスク。 - 前記高酸化層は、層中の酸素含有量が68at%以上であることを特徴とする請求項12記載の転写用マスク。
- 前記高酸化層は、厚さが1.5nm以上4nm以下であることを特徴とする請求項12または13のいずれかに記載の転写用マスク。
- 前記高酸化層のTa2O5結合の存在比率は、前記高酸化層を除く前記遮光膜パターンにおけるTa2O5結合の存在比率よりも高いことを特徴とする請求項12から14のいずれかに記載の転写用マスク。
- 前記遮光膜パターンは、さらに窒素を含有する材料からなることを特徴とする請求項12から15のいずれかに記載の転写用マスク。
- 前記遮光膜パターンは、透光性基板側から少なくとも遮光層および表面反射防止層が順に積層した構造を有することを特徴とする請求項12から14のいずれかに記載の転写用マスク。
- 前記表面反射防止層の層中の酸素含有量は、前記高酸化層の層中の酸素含有量よりも少ないことを特徴とする請求項17記載の転写用マスク。
- 前記表面反射防止層の層中の酸素含有量は、50at%以上であることを特徴とする請求項18記載の転写用マスク。
- 前記高酸化層のTa2O5結合の存在比率は、前記表面反射防止層におけるにおけるTa2O5結合の存在比率よりも高いことを特徴とする請求項17から19のいずれかに記載の転写用マスク。
- 前記遮光層は、さらに窒素を含有する材料からなることを特徴とする請求項17から20のいずれかに記載の転写用マスク。
- 前記遮光膜パターンは、膜厚が60nm未満であることを特徴とする請求項12から21のいずれかに記載の転写用マスク。
- 透光性基板上に遮光膜パターンを備える転写用マスクの製造方法であって、
前記透光性基板上にタンタルを主な金属成分として含有する材料からなる遮光膜を形成する工程と、
前記遮光膜にエッチングを行って前記遮光膜パターンを形成する工程と、
前記遮光膜パターンに対して温水またはオゾン水による処理を行って酸素含有量が60at%以上である高酸化層を前記遮光膜パターンの表層に形成する工程とを有することを特徴とする転写用マスクの製造方法。 - 透光性基板上に遮光膜パターンを備える転写用マスクの製造方法であって、
前記透光性基板上にタンタルを主な金属成分として含有する材料からなる遮光膜を形成する工程と、
前記遮光膜にエッチングを行って前記遮光膜パターンを形成する工程と、
前記遮光膜パターンに対して酸素を含有する気体中で加熱処理を行って酸素含有量が60at%以上である高酸化層を前記遮光膜パターンの表層に形成する工程と
を有することを特徴とする転写用マスクの製造方法。 - 透光性基板上に遮光膜パターンを備える転写用マスクの製造方法であって、
前記透光性基板上にタンタルを主な金属成分として含有する材料からなる遮光膜を形成する工程と、
前記遮光膜にエッチングを行って前記遮光膜パターンを形成する工程と、
前記遮光膜パターンに対して酸素を含有する気体中で紫外線照射処理を行って酸素含有量が60at%以上である高酸化層を前記遮光膜パターンの表層に形成する工程と
を有することを特徴とする転写用マスクの製造方法。 - 透光性基板上に遮光膜パターンを備える転写用マスクの製造方法であって、
前記透光性基板上にタンタルを主な金属成分として含有する材料からなる遮光膜を形成する工程と、
前記遮光膜にエッチングを行って前記遮光膜パターンを形成する工程と、
前記遮光膜パターンに対して酸素プラズマによる表面処理を行って酸素含有量が60at%以上である高酸化層を前記遮光膜パターンの表層に形成する工程と
を有することを特徴とする転写用マスクの製造方法。 - 透光性基板上に遮光膜パターンを備える転写用マスクの製造方法であって、
前記透光性基板上にタンタルを主な金属成分として含有する材料からなる遮光膜を形成する工程と、
前記遮光膜にエッチングを行って前記遮光膜パターンを形成する工程と、
前記遮光膜パターンの表面に酸素含有量が60at%以上である高酸化層をスパッタ法によって形成する工程と
を有することを特徴とする転写用マスクの製造方法。 - 前記高酸化層のTa2O5結合の存在比率は、前記高酸化層を除く前記遮光膜パターンにおけるTa2O5結合の存在比率よりも高いことを特徴とする請求項23から27のいずれかに記載の転写用マスクの製造方法。
- 請求項12から22のいずれかに記載の転写用マスクを用い、半導体ウェハ上に回路パターンを形成することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
- 請求項23から28のいずれかに記載の転写用マスクの製造方法で作製された転写用マスクを用い、半導体ウェハ上に回路パターンを形成することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
- 転写用マスクを作製するために用いられるものであり、透光性基板上に遮光膜を備えるマスクブランクであって、
前記遮光膜は、タンタルを主な金属成分として含有する材料からなり、
前記遮光膜の透光性基板側とは反対側の表層に高酸化層が形成されており、
前記高酸化層のTa2O5結合の存在比率は、前記高酸化層を除く前記遮光膜におけるTa2O5結合の存在比率よりも高いことを特徴とするマスクブランク。 - 透光性基板上に遮光膜パターンを備える転写用マスクであって、
前記遮光膜パターンは、タンタルを主な金属成分として含有する材料からなり、
前記遮光膜パターンの透光性基板側とは反対側の表層と前記遮光膜パターンの側壁の表層に高酸化層が形成されており、
前記高酸化層のTa2O5結合の存在比率は、前記高酸化層を除く遮光膜パターンにおけるTa2O5結合の存在比率よりも高いことを特徴とする転写用マスク。
Priority Applications (8)
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