以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる水洗圧送式便器及び給排水ユニットを示す斜視模式図である。
図1に表したように、本実施形態の水洗圧送式便器10は、便器本体30と、その便器本体30に接続される給水ホースSH及び排水ホースDHと、を備えている。給水ホースSH及び排水ホースDHは、給排水ユニット20に接続されている。給排水ユニット20は、収納ボックス21と、カバー22と、を備えている。収納ボックス21内においては、建物に配管された給水管と図示しない給水栓の側の管路との接続部と、同じく排水管と図示しない排水栓の側の管路との接続部と、が収納されている。
続いて、本発明の実施形態である水洗圧送式便器の要部構成について説明する。
図2は、本実施形態にかかる水洗圧送式便器の要部構成を表す要部構成図である。
図2に表したように、本実施形態にかかる水洗圧送式便器は、便器本体30と、この便器本体30に便器給水路4aを経て給水する給水装置4(給水洗浄手段)と、を備えている。
便器本体30への給水量は、電磁バルブ等からなる給水弁4cが制御装置6(制御部)によって開閉制御されて調整される。
例えば、便器本体30の着座検知用センサ(着座状態検知手段)301が使用者の着座を検知したり、使用者がリモコンの操作パネル(図示せず)等に設けられた給水指令用の給水スイッチ(図示せず)をオンにすると、制御装置6は、これらの着座検知用センサ301の検知情報や給水スイッチ(図示せず)等からの指令に基づいて給水装置4に給水指令を出力する。これにより、給水装置4から便器本体30内へ所定時間給水が行われ、便器本体30内に所定量の水が溜まる。さらに、使用者がトイレ使用後、便器本体30を洗浄するためのリモコンの洗浄スイッチ(洗浄操作スイッチ、図示せず)をオンにすると、給水装置4から便器本体30に洗浄用の給水がなされて、便器本体30が洗浄される。尚、着座検知用センサ301は、赤外線やマイクロ波等を用いた近接検知手段でも、実際に着座したことを静電センサ等で検知する実着座検知手段でも構わない。
また、便器本体30の外部には固形物粉砕圧送装置である圧送装置8が設けられており、この圧送装置8は、便器本体30の排出口2aに連結された貯留槽40を有する。この便器本体30の排出口2aにはフラップ弁9(遮断弁)が設けられ、このフラップ弁9は、便器洗浄の前までは排出口2aを閉鎖している。さらに、このフラップ弁9は、便器本体30の洗浄が行われて便器本体30内の汚水を貯留槽40に排出する際には、制御装置6からの指令によって、排出口2aを所定時間開放して便器本体30内の汚水を排出した後、閉鎖する。
さらに、貯留槽40内には、便器本体30の排出口2aから貯留槽40に排出された汚水中の糞やトイレットペーパ等の固形物41を粉砕する粉砕部42と、この粉砕部42の下部には、貯留槽40内の汚水を外部へ強制的に圧送するポンプ44(圧送手段)と、が設けられている。
また、粉砕部42は、複数の孔46を有するスクリーン48によって形成された粉砕室50(粉砕手段)を有し、便器本体30の排出口2aから貯留槽40内に排出される汚水は、まず粉砕室50に一旦収容される。この粉砕室50内の汚水については、スクリーン48の孔46の大きさよりも大きい固形物41は孔46を通過できずに粉砕室50内に捕捉され、水分やスクリーン48の孔46の大きさよりも小さい固形物は、孔46を通過して粉砕室50から貯留槽40へ流れる。
さらに、粉砕室50内にはカッター52(粉砕手段)が設けられており、このカッター52が回転することにより、粉砕室50内に捕捉された固形物41が粉砕される。カッター52の回転軸54の下端にはインペラ56が取り付けられており、回転軸54の上端には、回転軸54を正逆転可能に駆動する粉砕圧送用モータ58(粉砕手段、圧送手段)が取り付けられている。この粉砕圧送用モータ58の駆動は、貯留槽40に設けられた水位センサ60(水位検出手段)が検知した水位に基づき制御装置6によって可変に制御され、カッター52とインペラ56の回転は、互いに連動して制御される。なお、水位センサ60については、後に詳述する。
圧送路62には、圧送抑制手段として電動ボール弁64が設けられている。この電動ボール弁64は、水位センサ60の水位情報に基づく制御装置6からの指令に応じて開閉し、特に、粉砕時にポンプ44からの圧送される汚水量を抑制して貯留槽40内の水位低下を抑制する。
また、前述した給水装置4については、粉砕部42に追加給水する粉砕部給水路4bが設けられている。この給水装置4及び粉砕部給水路4bは、水位センサ60の水位情報に基づく制御装置6からの指令により給水弁4dが開き、固形物の粉砕時に粉砕部42の水位がカッター52の上端の水位(カッター上端水位)よりも常に高くなるように粉砕部42に追加給水する。
本実施形態の水洗圧送式便器10では、前述した給水装置4に粉砕部給水路4bを設ける代わりに、給水装置4とは別体となる追加給水装置(図示せず)を独立に設け、便器本体30の使用中でも追加給水装置(図示せず)から粉砕部42に追加給水できるようにしてもよい。また、粉砕部給水路4bの粉砕部42への給水口(図示せず)については、その形状や配置を工夫することにより、粉砕部給水路4bの給水口(図示せず)から貯留槽40内へ噴霧洗浄ができるようにしてもよい。
さらに、本実施形態にかかる水洗圧送式便器10は、粉砕完了検知装置66を備え、この粉砕完了検知装置66により、粉砕部42のカッター52による固形物41の粉砕が完了したことを検知する。具体的には、この粉砕完了検知装置66が、粉砕圧送用モータ58あるいはカッター52のトルクや回転抵抗等を検出し、これらの検出した値の程度によって粉砕状況を判断して、状況に応じて制御装置6により粉砕圧送用モータ58を制御したり、粉砕部給水路4bからの粉砕部42への追加給水を制御する。
つぎに、貯留槽40に設けられている前述した水位センサ60の詳細について説明する。
本実施形態では、水位センサ60が検知する貯留槽40内の水位として、便器本体30から1回の洗浄によって排出される排水量、ポンプ44の排水能力、貯留槽40の容量等を考慮し、貯留槽40の下方側からポンプ作動停止水位L1、封水待機水位L2、ポンプ作動開始水位(待機許容水位)L3、便器使用時許容水位L4、及び、第1許容限界水位L5の5つの特定水位が設定されている。便器本体30の洗浄後、汚水が貯留槽40内に排出されて貯留槽40内の水位が上昇し、水位センサ60が検知した水位がポンプ作動開始水位L3に達した場合には、粉砕圧送用モータ58と共にポンプ44の作動が開始される。ポンプ44が所定時間駆動して水位が低下し、水位センサ60が検知した水位がポンプ作動停止水位L1に達した場合には、粉砕圧送用モータ58と共にポンプ44の作動が停止する。
さらに、前述した第1許容限界水位L5は、ポンプ作動開始水位L3及び便器使用時許容水位L4よりも上方に位置し、貯留槽40が満水となる水位よりも低く設定されている。この第1許容限界水位L5は、水洗圧送式便器10の正常な運転下では達することのない水位である。一方、圧送路62の配管の詰まりやポンプ44の不具合等の排水系のトラブルによって、貯留槽40内の水位が異常に上昇した場合には、水位センサ60が第1許容限界水位L5で異常を検知する。
ここで、本実施形態で使用される水位センサ60としては、空洞管60aを用いた感圧式の水位センサが好ましい。この感圧式の水位センサ60では、空洞管60aの開口下端部60bが水没すると、空洞管60a内の空気は、開口下端部60bの水面と空洞管60aの上端に設けられた感圧部60cとによって気密的な状態となる。水位センサ60は、この空洞管60a内の空気を介して感圧部60cが水圧を感知する。この感圧部60cが感知した水圧に応じて貯留槽40内の相当な水位が出力され、水位を非接触で感圧検知できる。
また、貯留槽40内の水位が開口下端部60bの水位を下回ると水位を測定できなくなるため、貯留槽40内の底面と開口下端部60bとの間の距離hをできるだけ小さくして開口下端部60bを低位置にするのが好ましい。但し、貯留槽40内の底面と開口下端部60bとの間に汚物がひっかからないように、距離hについては、10mm(ミリメートル)以上に設定するのが好ましい。
一方、開口下端部60bの直径Dについては、20mm程度の寸法であれば閉塞しないことが経験的にわかっているため20mm程度が好ましい。また、開口下端部60b以外の部分についての直径寸法を20mmよりも小さく設定し、貯留槽40内の容量をかせいでもよい。
さらに、水位センサ60の近傍には非常用のリミットセンサ61が設けられており、このリミットセンサ61は、水位センサ60とは別に、前述した第1許容限界水位L5よりもやや高めの水位となる第2許容限界水位L6を検知できる。このリミットセンサ61により、水位センサ60が不具合によって第1許容限界水位L5を検知できなくなっても、リミットセンサ61が第2許容限界水位L6で異常を検知できる。
ここで、本実施形態で使用されるリミットセンサ61としては、電極式のセンサが好ましい。この電極式のリミットセンサ61は、電極61a、61bの間に水が浸水した際の電極61a、61b間の抵抗変化に基づいて、水位を検知する。また、電極61a、61bの周囲には、円筒状の遮蔽体61cが設けられている。この遮蔽体61cにより、粉砕部42のスクリーン48の孔46等から飛散した汚物は、電極61a、61bに直撃しない。遮蔽体61cは無底かつ円筒状の形態をなしているので、貯留槽40内の水位が上昇してきた場合に、その水を遮ることなく電極61a、61bによって水位を検知することができる。
また、リミットセンサ61としては、前述した電極式のセンサ以外にも、前述した水位センサ60と同様な感圧式のセンサも適用可能であるが、水位センサ60とリミットセンサ61に同種のセンサを用いると、故障が同時に起こる可能性もある。そのため、ダイアフラム式のセンサ、静電式のセンサ、あるいはフロート式のセンサ等、感圧式のセンサとは異なる種類のセンサを用いることも好ましい。
なお、本実施形態では、水位センサ60として感圧式のセンサを使用した例を説明しているが、このセンサ以外にも超音波式のセンサ等、他の種類のセンサを使用してもよい。例えば、圧力を電位によって検知し、制御装置6において水位を演算して求めるような態様も好ましい。
さらに、制御装置6には異常表示器63が接続されている。水位センサ60が第1許容限界水位L5を検知するか、リミットセンサ61が第2許容限界水位L6を検知すると、制御装置6は、排水系や給水系のトラブル等の異常事態が水洗圧送式便器10に発生しているものと判断する。そして、制御装置6は、異常表示器63に各種トラブル等の異常に関する警告を表示させると共に、給水ができなくなるように給水弁4c、4dを閉じて給水装置4を作動させない。
また、制御装置6は、ポンプ44を所定時間作動させた後、水位センサ60又はリミットセンサ61によって検知される水位が所定水位まで低下していない場合、又は、水位センサ60が第1許容限界水位L5を検知し、リミットセンサ61が第2許容限界水位L6を検知した場合には、異常表示器63に排水異常を表示させる。
さらに、制御装置6は、給水装置4を所定時間作動させた後、水位センサ60が検知した水位が所定水位未満である場合には、異常表示器63に給水異常を表示させる。
また、制御装置6は、水位センサ60が第1許容限界水位L5を検知せずに、リミットセンサ61が第2許容限界水位L6を検知した場合には、異常表示器63に水位センサ60の異常を表示させる。尚、異常表示器63は、その他のユーザーに知らせるべき報知情報を知らせることもできる。この詳細については後述する。
本実施形態の水洗圧送式便器10には、他の水回り機器としての手洗器70が設置されている。手洗器70には給水配管71と排水配管72とが設けられている。給水配管71は、給水装置4に設けられてなる手洗器用給水路4eに継手71aを介して接続されている。排水配管72は、貯留槽40に設けられてなる手洗器用排水路67に継手72bを介して接続されている。手洗器用排水路67には逆流防止手段及び排水トラップと同等に機能する逆止弁67aが設けられている。逆止弁67aは、貯留槽40から汚水及び異臭が逆流することを防止できる。尚、給水配管71は、給水装置4を経由せずに給水ホースSHから直接分岐した管に接続されても何ら差し支えない。
次に制御装置の機能的な構成について、図面を参照しつつ説明する。
図3は、本実施形態にかかる水洗圧送式便器の制御的な構成を表すブロック図である。 図3に表したように、制御装置6は、CPU80と、メモリ81(記憶手段)と、インターフェイスとしての操作受付部800、水位検知部801、リミット検知部802、着座検知部803、継手識別部804、モータ駆動部805、給水弁駆動部806、排水弁駆動部807、表示部808、圧送抑制部809と、を有する。
操作受付部800は、操作パネル82から入力される操作信号をCPU80に出力する部分である。水位検知部801は、水位センサ60から出力される水位信号をCPU80に出力する部分である。リミット検知部802は、リミットセンサ61から出力されるリミット水位信号をCPU80に出力する部分である。着座検知部803は、着座検知用センサ301から出力される着座信号をCPU80に出力する部分である。継手識別部804は、給水ホースSH及び排水ホースDHに設けられている継手センサ15sから出力される建物側の給排水継手を識別するための識別信号をCPU80に出力する部分である。モータ駆動部805は、CPU80から出力される制御信号に基づいて粉砕圧送用モータ58にモータ駆動信号を出力する部分である。給水弁駆動部806は、CPU80から出力される制御信号に基づいて給水弁4c、4dに給水弁駆動信号を出力する部分である。排水弁駆動部807は、CPU80から出力される制御信号に基づいてフラップ弁9に排水弁駆動信号を出力する部分である。表示部808は、CPU80から出力される制御信号に基づいて異常表示器63に排水異常報知や暫定運転報知を行う表示信号を出力する部分である。圧送抑制部809は、CPU80から出力される制御信号に基づいて電動ボール弁64にボール弁駆動信号を出力する部分である。
また、本実施形態にかかる水洗圧送式便器10には、粉砕圧送用モータ58の回転数を検知する回転数センサ59が設けられている。回転数センサ59は、粉砕圧送用モータ58の回転数を検知し、CPU80に検知信号を出力することができる。回転数センサ59としては、例えばホールICなどが挙げられる。
CPU80は、回転数センサ59、操作受付部800、水位検知部801、リミット検知部802、着座検知部803、及び継手識別部804のそれぞれから出力される信号を受け取って所定の情報処理を行い、その情報処理の結果実行する制御に応じた制御信号をモータ駆動部805、給水弁駆動部806、排水弁駆動部807、表示部808、及び圧送抑制部809のそれぞれに出力する。その結果、CPU80は、回転数判定手段、排水状態測定手段、排水異常処理手段、閾値設定手段、閾値計測開始手段、選択指示手段、選択手段、負荷検出手段、異物判定手段として機能する。このように構成された制御装置6は、水洗圧送式便器10が使用される特性や使用される方の特性に合わせて様々な制御を行うことが可能になる。
制御装置6は、粉砕圧送用モータ58の負荷を検出する負荷検出手段と、負荷検出手段によって検出される負荷量が所定の値よりも小さい場合の汚水及び汚水に含まれる固形物を汚物と判定し、所定の値よりも大きい場合の汚水及び汚水に含まれる固形物を異物と判定する異物判定手段と、を有する。そして、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58が異物によりロックされ停止したと判定した場合には、水洗圧送式便器10の使用を停止し、異常表示器63において粉砕圧送用モータ58が停止したことを報知する。また、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58が異物によりロックされ停止したと判定する前に、異物が混入したと判定した場合には、異常表示器63において異物が混入したことを報知する。
これによれば、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58が異物によりロックされ停止する前に異物が混入したことを報知し、異物が混入したことを使用者に気付かせることができる。これにより、異物を除去する復旧作業が行われるまでの間に使用することができないという不具合を防止することができる。
異物が混入したと制御装置6が判定した後でも、粉砕圧送用モータ58が異物によりロックされるまでは、使用者は、水洗圧送式便器10を使用することができる。そのため、便器本体30や貯留槽40内に汚物が残存した場合でも、その残存した汚物を可能な限り処理することができる。これにより、異物を除去する復旧作業が行われるまでの間に使用者が不衛生な環境に曝されることはなく、また復旧作業中でも、メンテナンス作業者が不衛生な環境に曝されることはない。
次に、基本的な給排水制御について、図面を参照しつつ説明する。
図4は、基本的な給排水制御を説明するためのフローチャートである。
尚、以下の説明における溜水量や給水量、注水量は、便器本体30のボール容量に応じて適宜変更することができる。
まず、水洗圧送式便器10の電源を入れると(ステップS101)、水洗圧送式便器10は、待機モードになる(ステップS103)。この場合、便器本体30には溜水がされておらず、圧送装置8内に下水と貯留槽40との縁を切る封水が形成されている。圧送装置8内の水位は、封水待機水位L2である(図2参照)。この段階では、便器本体30に溜水がされておらず、フラップ弁9が閉じられており、圧送装置8内に封水が構築されているので、水洗圧送式便器10を移動しても転倒や衝突時に水漏れが無く、搬送時の安全性が図られている。また、圧送装置8の封水よりも上流部分に汚物が付着したままにならないように清潔性を保つことで、この状態での臭気の発生を抑えることができる。なお、このときに電源を切ると、水洗圧送式便器10は、運転を終了する(ステップS103)。
続いて、着座検知用センサ301及び着座検知部803によって使用者が着座したことが検知されるか、若しくは操作パネル82及び操作受付部800によって水を便器本体30に溜めるためのスイッチがオンされると(ステップS105)、便器本体30に1.5L(リットル)の溜水が給水される(ステップS107)。これにより、水洗圧送式便器10は、使用可能な状態となる。この溜水の給水は、ステップS105において着座の検知やスイッチのオンが検知されてから即座に(例えば、1.5秒程度)行われる。
続いて、離座判定が行われ便器本体30を自動洗浄していいと判断されるか(例えば離座検知5秒後)、若しくは操作パネル82及び操作受付部800によって便器本体30の溜水を流すためのスイッチがオンされると(ステップS109)、圧送装置8内の封水が排水される(ステップS111)。これにより、ポンプ44が駆動していることの確認と、粉砕部42および圧送路62に詰まりがないことの確認と、を行うことができる。また、便器本体30内の溜水と、圧送装置8内の封水と、の高低差をより大きくすることができる。この高低差をより大きくすることにより、便器本体30内の汚物および汚水は、圧送装置8に流れやすい。
続いて、ステップS111の封水の圧送が問題なく実行されているのを確認してから、ステップS111の処理と並行して、便器本体30の洗浄が行われる(ステップS113)。この便器本体30の洗浄は、便器本体30に1.7Lの水を供給することで行われる。続いて、ステップS111の封水の圧送が問題なく完了したことを確認してから、フラップ弁9が開かれる(ステップS115)。フラップ弁9を開くことによって、便器本体30内の汚物及び汚水が圧送装置8内に導入される(ステップS115)。前述したように、ステップS111の処理で圧送装置8内の封水が排水されているので、貯留槽40がオーバーフローすることなく汚物及び汚水の圧送装置8内への導入処理が進行する。
続いて、フラップ弁9を閉じて粉砕部給水路4bから圧送装置8内へと補注水が給水される(ステップS117)。フラップ弁9を閉じてから補注水が給水されているので、フラップ弁9よりも上まで水位が上昇し、続いて行われる粉砕圧送動作に必要十分な水を確保することができる。尚、この水洗圧送式便器10に温水洗浄便座機能が付加されている場合には、温水洗浄便座から吐水される洗浄水の量を補注水量から減じて、圧送装置8内へと注水することも好ましい態様である。このようにすることで、温水洗浄便座からの洗浄水を有効に活用して過剰な補注水を行わないように構成できる。
続いて、粉砕圧送用モータ58が駆動することでカッター52やインペラ56が回転し、汚物の粉砕や圧送が実行される(ステップS119)。前述したステップS111からステップS119に至る処理は一回目の洗浄動作に相当し、ステップS119に続いて実行されるステップS121からは二回目の洗浄動作に相当する。
続いて、ステップS119の汚物の圧送が問題なく実行されているのを確認してから、便器本体30の二回目の洗浄を行うために便器本体30に3.2Lの水が給水される(ステップS121)。
続いて、フラップ弁9が開かれる(ステップS123)。フラップ弁9を開くことによって、便器本体30内の洗浄後の水が圧送装置8内に導入される(ステップS123)。
続いて、フラップ弁9を閉じて粉砕部給水路4bから圧送装置8内へと0.8Lの補注水が給水される(ステップS125)。フラップ弁9を閉じてから補注水が給水されているので、フラップ弁9よりも上まで水位が上昇する。更に、ステップS117での補注水に比べてより多くの水が供給されると、ステップS119の処理の際に圧送装置8の内壁に飛び散った汚物を洗い流すことができる。
続いて、粉砕圧送用モータ58が駆動することでカッター52やインペラ56が回転し、圧送装置8の貯留槽40内の洗浄やその洗浄水の圧送が実行される(ステップS127)。
続いて、圧送装置8内へと1.6Lの封水用の水が給水され、圧送装置8内に封水が構築される(ステップS129)。
次に、本実施形態にかかる水洗圧送式便器の動作の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図5は、本実施形態にかかる水洗圧送式便器の動作の具体例を例示するフローチャートである。
まず、図4に関して前述したように、離座判定が行われ便器本体30を自動洗浄していいと判断されるか、若しくは操作パネル82及び操作受付部800によって便器本体30の溜水を流すためのスイッチがオンされると、便器本体30の洗浄がスタートする(ステップS201)。
続いて、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58のデューティ比が0.9よりも大きいか否かを判断する(ステップS203)。なお、本具体例では、デューティ比の閾値が0.9である場合を例に挙げて説明するが、デューティ比の閾値については適宜変更可能である。
粉砕圧送用モータ58のデューティ比が0.9よりも大きい場合には(ステップS203:Y)、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58の回転数が0(ゼロ)であるか否かを判断する(ステップS207)。このとき、粉砕圧送用モータ58の回転数がゼロではない場合には(ステップS207:N)、制御装置6は、異物が混入したと判定し、粉砕圧送用モータ58を停止させる。そして、制御装置6は、異物が混入したことを報知(以下、説明の便宜上「詰まり報知」と称する)する(ステップS209)。
一方、粉砕圧送用モータ58の回転数がゼロである場合には(ステップS207:Y)、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58が異物によりロックされたと判定し、水洗圧送式便器10の使用を停止する。そして、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58が停止したことを報知(以下、説明の便宜上「ロック報知」と称する)する(ステップS211)。そうすると、制御装置6は、ロックエラーモードを実行する(ステップS213)。
また、ステップS203において、粉砕圧送用モータ58のデューティ比が0.9よりも大きくない場合には(ステップS203:N)、制御装置6は、動作をリターンする(ステップS205)。
このように、本具体例によれば、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58のデューティ比の大きさを判断することにより、粉砕圧送用モータ58の負荷を判断する。
より具体的に説明すると、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58の駆動を制御し、粉砕圧送用モータ58の回転数を一定(例えば2000回転/分)としている。そして、粉砕圧送用モータ58にかかる負荷が大きくなり、粉砕圧送用モータ58の回転数が低下すると、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58のデューティ比をより大きく設定し粉砕圧送用モータ58の回転数を一定(例えば2000回転/分)に維持する。一方、粉砕圧送用モータ58にかかる負荷が小さくなり、粉砕圧送用モータ58の回転数が増加すると、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58のデューティ比をより小さく設定し粉砕圧送用モータ58の回転数を一定(例えば2000回転/分)に維持する。
そのため、粉砕圧送用モータ58にかかる負荷が大きくなると、粉砕圧送用モータ58のデューティ比はより大きくなり、一方で、粉砕圧送用モータ58にかかる負荷が小さくなると、粉砕圧送用モータ58のデューティ比はより小さくなる。これにより、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58のデューティ比の大きさを判断することにより、粉砕圧送用モータ58の負荷を判断することができる。
本具体例によれば、粉砕圧送用モータ58のデューティ比が大きく(本具体例ではデューティ比が0.9よりも大きい場合)、粉砕圧送用モータ58の回転数がゼロではない場合には、粉砕圧送用モータ58にかかる負荷が大きいと判断する。そして、制御装置6は、異物が混入したと判定し粉砕圧送用モータ58を停止させて、「詰まり報知」を実行する。そのため、本具体例の水洗圧送式便器10は、粉砕圧送用モータ58が異物によりロックされ停止する前に「詰まり報知」を実行し、異物が混入したことを使用者に気付かせることができる。これにより、異物を除去する復旧作業が行われるまでの間に使用することができないという不具合を防止することができる。
異物が混入したと制御装置6が判定した後でも、粉砕圧送用モータ58が異物によりロックされるまでは、使用者は、水洗圧送式便器10を使用することができる。そのため、便器本体30や貯留槽40内に汚物が残存した場合でも、その残存した汚物を可能な限り処理することができる。これにより、異物を除去する復旧作業が行われるまでの間に使用者が不衛生な環境に曝されることはなく、また復旧作業中でも、メンテナンス作業者が不衛生な環境に曝されることはない。
図6は、本実施形態にかかる水洗圧送式便器の動作の他の具体例を例示するフローチャートである。
また、図7は、粉砕圧送用モータのデューティ比の変化を説明するためのグラフである。
本具体例では、粉砕部42により汚物の粉砕が開始されてから所定時間が経過した後に、制御装置6は、異物が混入したか否かの判定を行う。これは、図7に表したデューティ比のグラフのように、粉砕部42により汚物の粉砕が開始された直後においては、汚物などの固形物41がまだ微細化されておらず、粉砕圧送用モータ58のデューティ比は、閾値(例えば0.9)よりも大きい場合があるためである。そして、汚物などの固形物41が微細化されると、図7に表したように、所定時間が経過した後に粉砕圧送用モータ58のデューティ比は、閾値よりも小さくなる。
しかしながら、粉砕部42は、例えば紙おむつや金属類などの異物を破砕・粉砕できない、あるいは破砕・粉砕し難いため、所定時間が経過しても粉砕圧送用モータ58のデューティ比が閾値よりも小さくならない場合がある。そのときに、制御装置6は、異物が混入したと判定する。本具体例の動作について、図6に表したフローチャートを参照しつつ説明する。なお、図5に関して前述した具体例と同様に、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58の駆動を制御し、粉砕圧送用モータ58の回転数を一定(例えば2000回転/分)としている。
まず、図4に関して前述したように、離座判定が行われ便器本体30を自動洗浄していいと判断されるか、若しくは操作パネル82及び操作受付部800によって便器本体30の溜水を流すためのスイッチがオンされると、便器本体30の洗浄がスタートする(ステップS301)。
続いて、粉砕圧送用モータ58が駆動することでカッター52やインペラ56が回転し、汚物の粉砕や圧送が実行される(ステップS303)。続いて、制御装置6は、タイマーをスタートさせる(ステップS305:t=0)。
続いて、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58の回転数がゼロであるか否かを判断する(ステップS307)。粉砕圧送用モータ58の回転数がゼロではない場合には(ステップS307:N)、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58の回転数が2000回転/分であるか否かを判断する(ステップS309)。
一方、粉砕圧送用モータ58の回転数がゼロである場合には(ステップS307:Y)、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58が異物によりロックされたと判定し、「ロック報知」を実行する(ステップS327)。そうすると、制御装置6は、ロックエラーモードを実行する(ステップS329)。
ステップS309において、粉砕圧送用モータ58の回転数が2000回転/分よりも小さい場合には(ステップS309:<2000回転/分)、制御装置6は、回転数を2000回転/分にするために、速度指令電圧を上げることによりデューティ比をより大きくする制御を実行する(ステップS311)。一方、ステップS309において、粉砕圧送用モータ58の回転数が2000回転/分よりも大きい場合には(ステップS309:>2000回転/分)、制御装置6は、回転数を2000回転/分にするために、速度指令電圧を下げることによりデューティ比をより小さくする制御を実行する(ステップS313)。
続いて、制御装置6は、タイマー時間が9秒よりも大きいか否かを判断する(ステップS315)。この動作は、粉砕部42により汚物の粉砕が開始されてから所定時間が経過したか否かを制御装置6が判断する動作に相当する。タイマー時間が9秒よりも大きい場合には(ステップS315:Y)、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58のデューティ比が0.9よりも大きいか否かを判断する(ステップS317)。一方、タイマー時間が9秒よりも大きくない場合には(ステップS315:N)、ステップS307へ戻り、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58の回転数がゼロであるか否かを判断する(ステップS307)。
ステップS317において、粉砕圧送用モータ58のデューティ比が0.9よりも大きい場合には(ステップS317:Y)、制御装置6は、異物が混入したと判定し、「詰まり報知」を実行する(ステップS319)。そして、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58を停止させる(ステップS321)。一方、粉砕圧送用モータ58のデューティ比が0.9よりも大きくない場合には(ステップS317:N)、制御装置6は、「詰まり報知」を実行することなく、粉砕圧送用モータ58を停止させる(ステップS321)。続いて、制御装置6は、タイマーをリセットし(ステップS323)、汚物の粉砕および圧送を終了する(ステップS325)。
本具体例によれば、粉砕部42により汚物の粉砕が開始されてから所定時間が経過した後に、制御装置6は、異物が混入したか否かの判定を行う。つまり、粉砕部42により汚物の粉砕が開始されてから所定時間が経過した後に、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58の負荷を判断する。そのため、比較的硬い汚物が排泄され、粉砕圧送用モータ58のデューティ比が閾値よりも一時的に大きくなった場合でも、制御装置6は、汚物と異物とをより確実に判別することができる。
あるいは、図4に関して前述したように、複数回(図4に関して前述した基本的な給排水制御では2回)の洗浄動作が実行される場合には、制御装置6は、最終回の粉砕のときに異物が混入したか否かの判定を行ってもよい。これによれば、最終回の粉砕のときには、その前回までの粉砕のときよりも汚物などの固形物41は微細化され、粉砕圧送用モータ58のデューティ比は、より小さいためである。そのため、比較的硬い汚物が排泄され、最終回よりも前の粉砕のときに、粉砕圧送用モータ58のデューティ比が閾値よりも大きくなった場合でも、制御装置6は、汚物と異物とをより確実に判別することができる。
図8は、他の基本的な給排水制御を説明するためのフローチャートである。
また、図9は、ポンプ作動停止水位を説明するための断面模式図である。
まず、ステップS501〜S527における動作は、図4に関して前述したステップS101〜S127における動作と同様である。続いて、制御装置6は、異物が混入したか否かの判定(詰まり確認)を行う(ステップS529)。つまり、図8に表した給排水制御では、粉砕圧送用モータ58が駆動することでカッター52やインペラ56が回転し、汚物の粉砕や汚水および固形物の圧送が実行された後に、貯水槽40内の水位がポンプ作動停止水位L1(図2参照)以下になると、制御装置6は、異物が混入したか否かの判定を行う(ステップS529)。
より具体的に説明すると、ステップS527の動作においては、粉砕圧送用モータ58が駆動することでカッター52やインペラ56が回転し、汚物の粉砕や圧送装置8の貯留槽40内の洗浄やその洗浄水(汚水および固形物を含む)の圧送が実行される。このとき、汚水やスクリーン48の孔46の大きさよりも小さい固形物は、孔46を通して粉砕室50から貯留槽40へ流れ、ポンプ44により圧送路62へ圧送される。一方で、例えば紙おむつや金属類などの異物は、粉砕部42によっては破砕・粉砕されない、あるいは破砕・粉砕され難いため、粉砕室50内に捕捉される。そうして、貯留槽40内の水位は、次第に低下しポンプ作動停止水位L1となる。
図9に表したように、貯水槽40内の水位がポンプ作動停止水位L1以下となった状態では、汚水や固形物などを含む液は、ポンプ44内には満たされていない。つまり、空気がポンプ44に噛み込んだ状態となっている。この状態は、例えば「エアロック」などと呼ばれる。そうすると、ポンプ44は、ポンプとして機能することができず、汚水および固形物を圧送することはできない。そのため、貯水槽40内の水位は、一定となる。この状態において、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58を再び駆動することでカッター52やインペラ56を回転させ、異物が混入したか否かの判定を行う(ステップS529)。
粉砕室50内に捕捉された例えば紙おむつや金属類などの異物は、例えばカッター52や回転軸54に絡みつく場合がある。この場合には、粉砕圧送用モータ58にかかる負荷が大きくなる。制御装置6は、このときの負荷の変化を、貯留槽40内の水位がポンプ作動停止水位L1以下となった状態で検出する。
これによれば、粉砕圧送用モータ58の負荷に対する汚水および固形物の影響がより少ない状態で、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58の負荷を判断することができる。そのため、制御装置6は、異物が混入したか否かの判定をより正確に行うことができる。言い換えれば、異物が混入したことによる粉砕圧送用モータ58の負荷の変化が、汚水および固形部の影響による粉砕圧送用モータ58の負荷の変化に吸収されることを抑制することができる。
また、貯水槽40内の水位がポンプ作動停止水位L1以下となった状態では、より多くの汚水および固形物がポンプ44により圧送され排出されているため、粉砕圧送用モータ58にかかる負荷は、より小さい。そのため、図5に関して前述したデューティ比の閾値(図5では0.9)をより小さい閾値に設定することができる。これにより、異物が混入したことによる粉砕圧送用モータ58の負荷の変化がより現れやすくなる。そのため、制御装置6は、異物が混入したか否かの判定をより正確に行うことができる。
また、図12に関して後述する回転数の閾値(図12では500回転/分)をより自由に設定することができる。そのため、制御装置6は、異物が混入したか否かの判定をより正確に行うことができる。
なお、図9に表した給排水制御では、貯水槽40内の水位がポンプ作動停止水位L1以下となっていればよい。そのため、制御装置6は、ステップS511とステップS513との間あるいはステップS519とステップS521との間において詰まり確認を行ってもよい。あるいは、圧送装置8内に封水が形成された待機状態であっても、制御装置6は、例えばテストモードなどとして貯水槽40内の水位をポンプ作動停止水位L1以下まで低下させて詰まり確認を行ってもよい。また、貯水槽40内の水位がポンプ作動停止水位L1以下となっていればよいため、制御装置6は、貯水槽40内に汚水および固形部がない状態すなわち貯水槽40が空の状態において詰まり確認を行ってもよい。
図10は、本実施形態にかかる水洗圧送式便器の動作のさらに他の具体例を例示するフローチャートである。
本具体例では、汚物の粉砕や汚水および固形物の圧送が実行された後に、貯水槽40内の水位がポンプ作動停止水位L1以下になると、制御装置6は、異物が混入したか否かの判定を行う。そのため、図8に関して前述したように、デューティ比の閾値をより小さい閾値に設定することができる。
汚物の粉砕や汚水および固形物の圧送が実行された後に、貯水槽40内の水位がポンプ作動停止水位L1以下になると、異物が混入したか否かの判定(詰まり確認)がスタートする(ステップS601)。続いて、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58のデューティ比が0.6よりも大きいか否かを判断する(ステップS603)。なお、デューティ比の閾値については、図5に関して前述したデューティ比の閾値(0.9)よりも小さい閾値の範囲で適宜変更可能である。続いて、ステップS605〜S613における動作は、図5に関して前述したステップS205〜S213における動作と同様である。
本具体例によれば、デューティ比の閾値をより小さい閾値に設定することができる。これにより、異物が混入したことによる粉砕圧送用モータ58の負荷の変化がより現れやすくなる。そのため、制御装置6は、異物が混入したか否かの判定をより正確に行うことができる。
図11は、本実施形態にかかる水洗圧送式便器の動作のさらに他の具体例を例示する異物確定判定表である。
本具体例では、制御装置6は、異物判定手段による異物判定の結果をメモリ81(図3参照)において記憶することができる。そして、制御装置6は、メモリ81に記憶された過去の異物判定の結果(履歴)を参照して異物判定を行い、「詰まり報知」を実行することができる。つまり、本具体例の水洗圧送式便器10は、異物判定の結果を記憶し学習することができる。
より具体的に説明すると、制御装置6は、異物が混入したと判定した回数が連続で所定回数(第1の所定回数)になると、異物が混入したことを確定し「詰まり報知」を実行する。例えば、使用者の大便が軟らかい傾向にある場合には、制御装置6は、過去の異物判定の結果を参照し、2回(第1の所定回数)連続で異物が混入したと判定したときに「詰まり報知」を実行する。また、例えば、使用者の大便が硬い傾向にある場合には、制御装置6は、過去の異物判定の結果を参照し、4回(第1の所定回数)連続で異物が混入したと判定したときに「詰まり報知」を実行する。さらに、制御装置6は、異物が混入したことを確定し「詰まり報知」を実行するための連続回数(第1の所定回数)を過去の異物判定の結果に応じて変更することができる。
本具体例の動作について、図11に表した異物確定判定表を参照しつつ説明する。
なお、本具体例では、大洗浄の場合には2回の洗浄動作を行い、小洗浄の場合には1回の洗浄動作を行う場合を例に挙げて説明する。また、図11に表した異物確定判定表の中の「1」は、異物が混入したと制御装置6が判定しフラグを立てたことを表し、図11に表した異物確定判定表の中の「0」は、異物は混入していないと制御装置6が判定しフラグを立てなかったことを表す。また、図11に表した異物確定判定表の中の「−」は、異物が混入したか否かの判定を制御装置6が行わなかったことを表す。
まず、「使用者A」の場合について説明する。
制御装置6は、過去の異物判定の結果を参照し、使用者Aの大便は軟らかい傾向にあると学習した。そのため、制御装置6は、2回(第1の所定回数)連続で異物が混入したと判定したときに「詰まり報知」を実行することとした。
ここで、便の軟硬を学習する手段としては、デューティ比の平均値の大小やバラツキによって便の状態を判断する方法や、使用者が予め普段の便の量や硬さをメモリ81に記憶させるような方法などが挙げられる。
制御装置6は、3回目の大洗浄(項目番号3)において、異物が混入したと判定した。但し、このときのフラグは、1回目のフラグであるため、制御装置6は、異物が混入したことを確定せず「詰まり報知」を実行しない。続いて、制御装置6は、1回目の小洗浄(項目番号4)において、異物は混入していないと判定した。そのため、3回目の大洗浄(項目番号3)において立てられたフラグは、リセットされる。
続いて、制御装置6は、4回目の大洗浄(項目番号9)において、異物が混入したと判定した。但し、このときのフラグは、1回目のフラグであるため、制御装置6は、3回目の大洗浄(項目番号3)のときと同様に、異物が混入したことを確定せず「詰まり報知」を実行しない。続いて、制御装置6は、6回目の小洗浄(項目番号10)において、異物が混入したと判定した。つまり、制御装置6は、4回目の大洗浄(項目番号9)と6回目の小洗浄(項目番号10)とにより2回連続で異物が混入したと判定した。
そうすると、制御装置6は、6回目の小洗浄(項目番号10)において、異物が混入したことを確定し「詰まり報知」を実行する。本具体例の制御装置6は、「詰まり報知」を実行すると、異物処理動作を実行することができる。異物処理動作が実行されることにより、異物を取り除くことができる。異物処理動作については、図13に関して詳述する。
続いて、異物処理動作が実行されることにより、あるいは異物を除去する復旧作業が行われることにより、異物が取り除かれると、制御装置6は、5回目の大洗浄(項目番号11)において、異物が混入していないと判定する。さらに、制御装置6は、7回目の大洗浄(項目番号12)において、異物が混入していないと判定する。つまり、制御装置6は、5回目の大洗浄(項目番号11)と7回目の大洗浄(項目番号12)とにより2回(第2の所定回数)連続で異物は混入していないと判定した。
そうすると、制御装置6は、異物が混入していないことを確定し「詰まり報知」を解除する(項目番号12)。これにより、異物が確実に取り除かれたことを使用者に知らせることができる。なお、本具体例では、制御装置6は、2回連続で異物が混入していないと判定したときに「詰まり報知」を解除する場合を例に挙げて説明したが、「詰まり報知」を解除するための判定回数(第2の所定回数)は、適宜変更することができる。
次に、「使用者B」の場合について説明する。
制御装置6は、過去の異物判定の結果を参照し、使用者Bの大便は硬い傾向にあると学習した。そのため、制御装置6は、4回(第1の所定回数)連続で異物が混入したと判定したときに「詰まり報知」を実行することとした。
制御装置6は、1回目の大洗浄(項目番号1)において、異物が混入したと判定した。続いて、制御装置6は、2回目の大洗浄(項目番号2)において、異物が混入したと判定した。つまり、制御装置6は、1回目の大洗浄(項目番号1)と2回目の大洗浄(項目番号2)とにより2回連続で異物が混入したと判定した。但し、このときのフラグは、2回連続のフラグであるため、制御装置6は、異物が混入したことを確定せず「詰まり報知」を実行しない。
続いて、制御装置6は、3回目の小洗浄(項目番号3)において、異物は混入していないと判定した。そのため、1回目(項目番号1)および2回目の大洗浄(項目番号2)において立てられたフラグは、リセットされる。
1回目〜3回目の小洗浄(項目番号4〜6)の動作については、1回目〜3回目の大洗浄(項目番号1〜3)の動作と同様である。
続いて、制御装置6は、4回目の小洗浄(項目番号7)において、異物が混入したと判定した。また、制御装置6は、5回目の小洗浄(項目番号8)において、異物が混入したと判定した。また、制御装置6は、4回目の小洗浄(項目番号9)において、異物が混入したと判定した。また、制御装置6は、6回目の小洗浄(項目番号10)において、異物が混入したと判定した。つまり、制御装置6は、4回目の小洗浄(項目番号7)と、5回目の小洗浄(項目番号8)と、4回目の小洗浄(項目番号9)と、6回目の小洗浄(項目番号10)と、により4回連続で異物が混入したと判定した。
そうすると、制御装置6は、6回目の小洗浄(項目番号10)において、異物が混入したことを確定し「詰まり報知」を実行する。その後の動作については、使用者Aに関する動作と同様である。
本具体例によれば、制御装置6は、異物判定の結果を記憶し、記憶された過去の異物判定の結果(履歴)を参照して「詰まり報知」を実行するため、より大きな負荷が粉砕圧送用モータ58にかかるような汚物を異物と誤判定するおそれは少ない。そのため、制御装置6は、汚物と異物とをより確実に判別することができる。つまり、誤った異物判定による誤報知を防止することができる。
また、制御装置6は、異物が混入したと判定した回数が連続で所定回数になると、異物が混入したことを確定し「詰まり報知」を実行するため、さらに正確に汚物と異物とを判別し「詰まり報知」を実行することができる。
さらに、制御装置6は、異物が混入したことを確定し「詰まり報知」を実行するための連続回数を過去の異物判定の結果に応じて変更することができるため、日常的な使用時において粉砕圧送用モータ58にかかる負荷に応じてより適切な連続回数を設定することができる。そのため、制御装置6は、迅速かつ正確に汚物と異物とを判別し「詰まり報知」を実行することができる。
図12は、本実施形態にかかる水洗圧送式便器の動作のさらに他の具体例を例示するフローチャートである。
図5〜図7に関して前述した具体例では、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58のデューティ比の大きさを判断することにより粉砕圧送用モータ58の負荷を判断したが、本具体例では、粉砕圧送用モータ58の回転数を判断することにより粉砕圧送用モータ58の負荷を判断する。
より具体的に説明すると、本具体例の制御装置6は、粉砕圧送用モータ58の駆動を制御し、粉砕圧送用モータ58のデューティ比を一定としている。そして、粉砕圧送用モータ58にかかる負荷が大きくなると、粉砕圧送用モータ58の回転数は低下する。一方、粉砕圧送用モータ58にかかる負荷が小さくなると、粉砕圧送用モータ58の回転数は増加する。これにより、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58の回転数を判断することにより、粉砕圧送用モータ58の負荷を判断することができる。
まず、ステップS401、S403、S405、S407、S421、S423の動作は、図6に関して前述したステップS301、S303、S305、S307、S327、S329の動作とそれぞれ同様である。続いて、制御装置6は、タイマー時間が9秒よりも大きいか否かを判断する(ステップS409)。この動作は、粉砕部42により汚物の粉砕が開始されてから所定時間が経過したか否かを制御装置6が判断する動作に相当する。
タイマー時間が9秒よりも大きい場合には(ステップS409:Y)、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58の回転数が500回転/分よりも大きいか否かを判断する。なお、本具体例では、粉砕圧送用モータ58の回転数の閾値が500回転/分である場合を例に挙げて説明するが、粉砕圧送用モータ58の回転数の閾値については適宜変更可能である。
ステップS411において、粉砕圧送用モータ58の回転数が500回転/分よりも小さい場合には(ステップS411:Y)、制御装置6は、異物が混入したと判定し、「詰まり報知」を実行する(ステップS413)。そして、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58を停止させる(ステップS415)。一方、粉砕圧送用モータ58の回転数が500回転/分よりも小さくない場合には(ステップS411:N)、制御装置6は、「詰まり報知」を実行することなく、粉砕圧送用モータ58を停止させる(ステップS415)。続いて、制御装置6は、タイマーをリセットし(ステップS417)、汚物の粉砕および圧送を終了する(ステップS419)。
本具体例によれば、粉砕圧送用モータ58の回転数がゼロではなく、粉砕圧送用モータ58の回転数が小さい(本具体例では500回転/分よりも小さい)場合には、粉砕圧送用モータ58にかかる負荷が大きいと判断する。そして、制御装置6は、異物が混入したと判定して「詰まり報知」を実行し、粉砕圧送用モータ58を停止させる。そのため、本具体例の水洗圧送式便器10は、粉砕圧送用モータ58が異物によりロックされ停止する前に「詰まり報知」を実行し、異物が混入したことを使用者に気付かせることができる。これにより、異物を除去する復旧作業が行われるまでの間に使用することができないという不具合を防止することができる。また、その他の効果についても、図5および図6に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
なお、図5、図6、図10、および図12に関して前述した具体例では、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58のデューティ比の大きさおよび回転数をそれぞれ判断することにより、粉砕圧送用モータ58の負荷を判断するが、これだけに限定されるわけではない。制御装置6は、粉砕圧送用モータ58に流れる電流値の大きさより、粉砕圧送用モータ58の負荷を判断してもよい。この場合においても、制御装置6は、異物が混入したか否かの判定を行うことができる。
次に、本実施形態の異物処理動作について、図面を参照しつつ説明する。
図13は、本実施形態の異物処理動作を説明するための異物処理動作表である。
本実施形態の制御装置6は、「詰まり報知」を実行すると、図13に表したような異物処理動作を実行することができる。
より具体的には、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58を逆回転させることにより、カッター52やインペラ56を逆回転させる。これにより、カッター52やインペラ56に絡みついた異物を取り除くことができる。
あるいは、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58を断続運転させることにより、カッター52やインペラ56の正回転と停止とを交互に行う。これにより、カッター52やインペラ56に断続的な衝撃を与え、カッター52やインペラ56に滞留した異物や引っ掛かった異物を取り除くことができる。
あるいは、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58の正回転と逆回転とを交互に運転させることにより、カッター52やインペラ56の正回転と逆回転とを交互に行う。これにより、カッター52やインペラ56に絡みついた異物を取り除くことができる。
あるいは、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58の断続運転と交互運転とを組み合わせることにより、カッター52やインペラ56の正回転と停止と逆回転とをこの順に繰り返し行う。これにより、カッター52やインペラ56に絡みついた異物を取り除くことができる。
あるいは、制御装置6は、貯留槽40に水を給水し、貯留槽40の溜水の水位を上げた後に、前述した異物処理動作を行う。これにより、異物に浮力を与え、その異物が取れやすい状態で、カッター52やインペラ56に絡みついた異物や滞留した異物や引っ掛かった異物を取り除くことができる。
本実施形態の異物処理動作によれば、「詰まり報知」を実行するとともに、その「詰まり報知」が実行されてから粉砕圧送用モータ58が異物によりロックされ停止するまでの間の期間を延長することができる。これにより、使用者は、「詰まり報知」が実行されてから異物を除去する復旧作業が行われるまでの間の使用可能な期間を延長することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58が異物によりロックされ停止したと判定した場合には、水洗圧送式便器10の使用を停止し、異常表示器63において粉砕圧送用モータ58が停止したことを報知する。また、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58が異物によりロックされ停止したと判定する前に、異物が混入したと判定した場合には、異常表示器63において異物が混入したことを報知する。
これによれば、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58が異物によりロックされ停止する前に異物が混入したことを報知し、異物が混入したことを使用者に気付かせることができる。これにより、異物を除去する復旧作業が行われるまでの間に使用することができないという不具合を防止することができる。
異物が混入したと制御装置6が判定した後でも、粉砕圧送用モータ58が異物によりロックされるまでは、使用者は、水洗圧送式便器10を使用することができる。そのため、便器本体30や貯留槽40内に汚物が残存した場合でも、その残存した汚物を可能な限り処理することができる。これにより、異物を除去する復旧作業が行われるまでの間に使用者が不衛生な環境に曝されることはなく、また復旧作業中でも、メンテナンス作業者が不衛生な環境に曝されることはない。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、水洗圧送式便器10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや粉砕圧送用モータ58やカッター52やインペラ56の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
例えば、前述した実施形態においては、カッター52とインペラ56とは、1つの粉砕圧送用モータ58の駆動により回転するが、別体のモータの駆動によりそれぞれ回転してもよい。
また、粉砕手段としてパルセーター等を用いてもよく、汚物を粉砕し圧送排出可能な手段であれば適宜選択することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。