以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる水洗圧送式便器及び給排水ユニットを示す斜視模式図である。
図1に表したように、本実施形態の水洗圧送式便器10は、便器本体30と、その便器本体30に接続される給水ホースSH及び排水ホースDHと、を備えている。給水ホースSH及び排水ホースDHは、給排水ユニット20に接続されている。給排水ユニット20は、収納ボックス21と、カバー22と、を備えている。収納ボックス21内においては、建物に配管された給水管と図示しない給水栓の側の管路との接続部と、同じく排水管と図示しない排水栓の側の管路との接続部と、が収納されている。
続いて、本発明の実施形態である水洗圧送式便器の要部構成について説明する。
図2は、本実施形態にかかる水洗圧送式便器の要部構成を表す要部構成図である。
図2に表したように、本実施形態にかかる水洗圧送式便器は、便器本体30と、この便器本体30に便器給水路4aを経て給水する給水装置4(給水洗浄手段)と、を備えている。
便器本体30への給水量は、電磁バルブ等からなる給水弁4cが制御装置6(制御部)によって開閉制御されて調整される。
例えば、便器本体30の着座検知用センサ(着座状態検知手段)301が使用者の着座を検知したり、使用者がリモコンの操作パネル(図示せず)等に設けられた給水指令用の給水スイッチ(図示せず)をオンにすると、制御装置6は、これらの着座検知用センサ301の検知情報や給水スイッチ(図示せず)等からの指令に基づいて給水装置4に給水指令を出力する。これにより、給水装置4から便器本体30内へ所定時間給水が行われ、便器本体30内に所定量の水が溜まる。さらに、使用者がトイレ使用後、便器本体30を洗浄するためのリモコンの洗浄スイッチ(洗浄操作スイッチ、図示せず)をオンにすると、給水装置4から便器本体30に洗浄用の給水がなされて、便器本体30が洗浄される。尚、着座検知用センサ301は、赤外線やマイクロ波等を用いた近接検知手段でも、実際に着座したことを静電センサ等で検知する実着座検知手段でも構わない。
また、便器本体30の外部には固形物粉砕圧送装置である圧送装置8が設けられており、この圧送装置8は、便器本体30の排出口2aに連結された貯留槽40を有する。この便器本体30の排出口2aにはフラップ弁9(遮断弁)が設けられ、このフラップ弁9は、便器洗浄の前までは排出口2aを閉鎖している。さらに、このフラップ弁9は、便器本体30の洗浄が行われて便器本体30内の汚水を貯留槽40に排出する際には、制御装置6からの指令によって、排出口2aを所定時間開放して便器本体30内の汚水を排出した後、閉鎖する。
さらに、貯留槽40内には、便器本体30の排出口2aから貯留槽40に排出された汚水中の糞やトイレットペーパ等の固形物41を粉砕する粉砕部42と、この粉砕部42の下部には、貯留槽40内の汚水を外部へ強制的に圧送するポンプ44(圧送手段)と、が設けられている。
また、粉砕部42は、複数の孔46を有するスクリーン48によって形成された粉砕室50(粉砕手段)を有し、便器本体30の排出口2aから貯留槽40内に排出される汚水は、まず粉砕室50に一旦収容される。この粉砕室50内の汚水については、スクリーン48の孔46の大きさよりも大きい固形物41は孔46を通過できずに粉砕室50内に捕捉され、水分やスクリーン48の孔46の大きさよりも小さい固形物41は、孔46を通過して粉砕室50から貯留槽40へ流れる。
さらに、粉砕室50内にはカッター52(粉砕手段)が設けられており、このカッター52が回転することにより、粉砕室50内に捕捉された固形物41が粉砕される。カッター52の回転軸54の下端にはインペラ56(圧送手段)が取り付けられており、回転軸54の上端には、回転軸54を正逆転可能に駆動する粉砕圧送用モータ58が取り付けられている。この粉砕圧送用モータ58の駆動は、貯留槽40に設けられた水位センサ60(水位検知手段)が検知した水位に基づき制御装置6によって可変に制御され、カッター52とインペラ56の回転は、互いに連動して制御される。なお、本実施形態では、カッター52とインペラ56とは、1つの粉砕圧送用モータ58の駆動により回転するが、別体のモータの駆動によりそれぞれ回転してもよい。また、水位センサ60については、後に詳述する。
圧送路(配管)62には、圧送抑制手段として電動ボール弁64が設けられている。この電動ボール弁64は、水位センサ60の水位情報に基づく制御装置6からの指令に応じて開閉し、特に、粉砕時にポンプ44からの圧送される汚水量を抑制して貯留槽40内の水位低下を抑制する。
また、前述した給水装置4については、粉砕部42に追加給水する粉砕部給水路4bが設けられている。この給水装置4及び粉砕部給水路4bは、水位センサ60の水位情報に基づく制御装置6からの指令により給水弁4dが開き、固形物の粉砕時に粉砕部42の水位がカッター52の上端の水位(カッター上端水位)よりも常に高くなるように粉砕部42に追加給水する。
本実施形態の水洗圧送式便器10では、前述した給水装置4に粉砕部給水路4bを設ける代わりに、給水装置4とは別体となる追加給水装置(図示せず)を独立に設け、便器本体30の使用中でも追加給水装置(図示せず)から粉砕部42に追加給水できるようにしてもよい。また、粉砕部給水路4bの粉砕部42への給水口(図示せず)については、その形状や配置を工夫することにより、粉砕部給水路4bの給水口(図示せず)から貯留槽40内へ噴霧洗浄ができるようにしてもよい。
さらに、本実施形態にかかる水洗圧送式便器10は、粉砕完了検知装置66を備え、この粉砕完了検知装置66により、粉砕部42のカッター52による固形物41の粉砕が完了したことを検知する。具体的には、この粉砕完了検知装置66が、粉砕圧送用モータ58あるいはカッター52のトルクや回転抵抗等を検出し、これらの検出した値の程度によって粉砕状況を判断して、状況に応じて制御装置6により粉砕圧送用モータ58を制御したり、粉砕部給水路4bからの粉砕部42への追加給水を制御する。
本実施形態では、水位センサ60が検知する貯留槽40内の水位として、便器本体30から1回の洗浄によって排出される排水量、ポンプ44の排水能力、貯留槽40の容量等を考慮し、貯留槽40の下方側からポンプ作動停止水位(判定水位)L1、封水待機水位L2、ポンプ作動開始水位(待機許容水位)L3、便器使用時許容水位L4、及び、第1許容限界水位L5の5つの特定水位が設定されている。便器本体30の洗浄後、汚水が貯留槽40内に排出されて貯留槽40内の水位が上昇し、水位センサ60が検知した水位がポンプ作動開始水位L3に達した場合には、粉砕圧送用モータ58と共にポンプ44の作動が開始される。ポンプ44が所定時間駆動して水位が低下し、水位センサ60が検知した水位がポンプ作動停止水位L1に達した場合には、粉砕圧送用モータ58と共にポンプ44の作動が停止する。
ポンプ作動停止水位L1は、貯留槽40の内部の水が貯留槽40の外部へ排出されるまでの排出時間を計測する際の判定水位として利用される。より具体的には、制御装置6は、水位センサ60により検知された貯留槽40内の水位が圧送開始時の水位(例えばポンプ作動開始水位L3)から判定水位(例えばポンプ作動停止水位L1)へ下がるまでの間の時間を計測し、その計測した時間を排水時間(排出時間)とする。判定水位および排水時間については、後に詳述する。なお、本実施形態では、ポンプ作動停止水位L1が判定水位である場合を例に挙げて説明するが、判定水位は、これだけに限定されるわけではなく、例えばポンプ作動停止水位L1と封水待機水位L2との間の水位に適宜設定されてもよい。
さらに、前述した第1許容限界水位L5は、ポンプ作動開始水位L3及び便器使用時許容水位L4よりも上方に位置し、貯留槽40が満水となる水位よりも低く設定されている。この第1許容限界水位L5は、水洗圧送式便器10の正常な運転下では達することのない水位である。一方、圧送路62の配管の詰まりやポンプ44の不具合等の排水系のトラブルによって、貯留槽40内の水位が異常に上昇した場合には、水位センサ60が第1許容限界水位L5で異常を検知する。
ここで、本実施形態で使用される水位センサ60としては、空洞管60aを用いた感圧式の水位センサが好ましい。この感圧式の水位センサ60では、空洞管60aの開口下端部60bが水没すると、空洞管60a内の空気は、開口下端部60bの水面と空洞管60aの上端に設けられた感圧部60cとによって気密的な状態となる。水位センサ60は、この空洞管60a内の空気を介して感圧部60cが水圧を感知する。この感圧部60cが感知した水圧に応じて貯留槽40内の相当な水位が出力され、水位を非接触で感圧検知できる。
また、貯留槽40内の水位が開口下端部60bの水位を下回ると水位を測定できなくなるため、貯留槽40内の底面と開口下端部60bとの間の距離hをできるだけ小さくして開口下端部60bを低位置にするのが好ましい。但し、貯留槽40内の底面と開口下端部60bとの間に汚物がひっかからないように、距離hについては、10mm(ミリメートル)以上に設定するのが好ましい。
一方、開口下端部60bの直径Dについては、20mm程度の寸法であれば閉塞しないことが経験的にわかっているため20mm程度が好ましい。また、開口下端部60b以外の部分についての直径寸法を20mmよりも小さく設定し、貯留槽40内の容量をかせいでもよい。
さらに、水位センサ60の近傍には非常用のリミットセンサ61が設けられており、このリミットセンサ61は、水位センサ60とは別に、前述した第1許容限界水位L5よりもやや高めの水位となる第2許容限界水位L6を検知できる。このリミットセンサ61により、水位センサ60が不具合によって第1許容限界水位L5を検知できなくなっても、リミットセンサ61が第2許容限界水位L6で異常を検知できる。
ここで、本実施形態で使用されるリミットセンサ61としては、電極式のセンサが好ましい。この電極式のリミットセンサ61は、電極61a、61bの間に水が浸水した際の電極61a、61b間の抵抗変化に基づいて、水位を検知する。また、電極61a、61bの周囲には、円筒状の遮蔽体61cが設けられている。この遮蔽体61cにより、粉砕部42のスクリーン48の孔46等から飛散した汚物は、電極61a、61bに直撃しない。遮蔽体61cは無底かつ円筒状の形態をなしているので、貯留槽40内の水位が上昇してきた場合に、その水を遮ることなく電極61a、61bによって水位を検知することができる。
また、リミットセンサ61としては、前述した電極式のセンサ以外にも、前述した水位センサ60と同様な感圧式のセンサも適用可能であるが、水位センサ60とリミットセンサ61に同種のセンサを用いると、故障が同時に起こる可能性もある。そのため、ダイアフラム式のセンサ、静電式のセンサ、あるいはフロート式のセンサ等、感圧式のセンサとは異なる種類のセンサを用いることも好ましい。
なお、本実施形態では、水位センサ60として感圧式のセンサを使用した例を説明しているが、このセンサ以外にも超音波式のセンサ等、他の種類のセンサを使用してもよい。例えば、圧力を電位によって検知し、制御装置6において水位を演算して求めるような態様も好ましい。
さらに、制御装置6には異常表示器63が接続されている。水位センサ60が第1許容限界水位L5を検知するか、リミットセンサ61が第2許容限界水位L6を検知すると、制御装置6は、排水系や給水系のトラブル等の異常事態が水洗圧送式便器10に発生しているものと判断する。そして、制御装置6は、異常表示器63に各種トラブル等の異常に関する警告を表示させると共に、給水ができなくなるように給水弁4c、4dを閉じて給水装置4を作動させない。
また、制御装置6は、ポンプ44を所定時間作動させた後、水位センサ60又はリミットセンサ61によって検知される水位が所定水位まで低下していない場合、又は、水位センサ60が第1許容限界水位L5を検知し、リミットセンサ61が第2許容限界水位L6を検知した場合には、異常表示器63に排水異常を表示させる。
さらに、制御装置6は、給水装置4を所定時間作動させた後、水位センサ60が検知した水位が所定水位未満である場合には、異常表示器63に給水異常を表示させる。
また、制御装置6は、水位センサ60が第1許容限界水位L5を検知せずに、リミットセンサ61が第2許容限界水位L6を検知した場合には、異常表示器63に水位センサ60の異常を表示させる。尚、異常表示器63は、その他のユーザーに知らせるべき報知情報を知らせることもできる。この詳細については後述する。
本実施形態の水洗圧送式便器10には、他の水回り機器としての手洗器70が設置されている。手洗器70には給水配管71と排水配管72とが設けられている。給水配管71は、給水装置4に設けられてなる手洗器用給水路4eに継手71aを介して接続されている。排水配管72は、貯留槽40に設けられてなる手洗器用排水路67に継手72bを介して接続されている。手洗器用排水路67には逆流防止手段及び排水トラップと同等に機能する逆止弁67aが設けられている。逆止弁67aは、貯留槽40から汚水及び異臭が逆流することを防止できる。尚、給水配管71は、給水装置4を経由せずに給水ホースSHから直接分岐した管に接続されても何ら差し支えない。
次に制御装置の機能的な構成について、図面を参照しつつ説明する。
図3は、本実施形態にかかる水洗圧送式便器の制御的な構成を表すブロック図である。 図3に表したように、制御装置6は、CPU80と、メモリ81(記憶手段)と、インターフェイスとしての操作受付部800、水位検知部801、リミット検知部802、着座検知部803、継手識別部804、モータ駆動部805、給水弁駆動部806、排水弁駆動部807、表示部808、圧送抑制部809と、を有する。
操作受付部800は、操作パネル82から入力される操作信号をCPU80に出力する部分である。水位検知部801は、水位センサ60から出力される水位信号をCPU80に出力する部分である。リミット検知部802は、リミットセンサ61から出力されるリミット水位信号をCPU80に出力する部分である。着座検知部803は、着座検知用センサ301から出力される着座信号をCPU80に出力する部分である。継手識別部804は、給水ホースSH及び排水ホースDHに設けられている継手センサ15sから出力される建物側の給排水継手を識別するための識別信号をCPU80に出力する部分である。モータ駆動部805は、CPU80から出力される制御信号に基づいて粉砕圧送用モータ58にモータ駆動信号を出力する部分である。給水弁駆動部806は、CPU80から出力される制御信号に基づいて給水弁4c、4dに給水弁駆動信号を出力する部分である。排水弁駆動部807は、CPU80から出力される制御信号に基づいてフラップ弁9に排水弁駆動信号を出力する部分である。表示部808は、CPU80から出力される制御信号に基づいて異常表示器63に排水異常報知や暫定運転報知を行う表示信号を出力する部分である。圧送抑制部809は、CPU80から出力される制御信号に基づいて電動ボール弁64にボール弁駆動信号を出力する部分である。
また、本実施形態にかかる水洗圧送式便器10には、粉砕圧送用モータ58の回転数を検知する回転数センサ(回転数検知手段)59が設けられている。回転数センサ59は、粉砕圧送用モータ58の回転数を検知し、CPU80に検知信号を出力することができる。回転数センサ59としては、例えばホールICなどが挙げられる。
CPU80は、回転数センサ59、操作受付部800、水位検知部801、リミット検知部802、着座検知部803、及び継手識別部804のそれぞれから出力される信号を受け取って所定の情報処理を行い、その情報処理の結果実行する制御に応じた制御信号をモータ駆動部805、給水弁駆動部806、排水弁駆動部807、表示部808、及び圧送抑制部809のそれぞれに出力する。その結果、CPU80は、回転数判定手段、排水状態測定手段、排水異常処理手段、閾値設定手段、閾値計測開始手段、選択指示手段、選択手段、負荷検出手段、異物判定手段として機能する。このように構成された制御装置6は、水洗圧送式便器10が使用される特性や使用される方の特性に合わせて様々な制御を行うことが可能になる。
制御装置6は、粉砕圧送用モータ58の負荷を検出する負荷検出手段を有する。例えば、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58のデューティ比の大きさや回転数などを判断することにより、粉砕圧送用モータ58の負荷を判断する。そして、制御装置6は、負荷検出手段によって検出された負荷量と、水位検知手段により検出された水位と、に基づいて、粉砕部42における粉砕動作の粉砕異常と、貯留槽40外へ圧送する圧送動作の圧送異常と、の少なくともいずれかを判定し報知する。
これによれば、粉砕圧送用モータ58にかかる負荷が異常である場合に、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58にかかる負荷量と、水位検知手段により検出された水位と、により異常な負荷の原因を判別する。そのため、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58にかかる異常な負荷が粉砕部42における粉砕異常であるか、あるいは貯留槽40外へ圧送する圧送動作の圧送異常であるかを判別することができる。これにより、メンテナンス作業者は、復旧作業を開始する前に異常な負荷の原因となった箇所を特定することができる。そのため、復旧作業がより容易となる。
次に、基本的な給排水制御について、図面を参照しつつ説明する。
図4は、基本的な給排水制御を説明するためのフローチャートである。
尚、以下の説明における溜水量や給水量、注水量は、便器本体30のボール容量に応じて適宜変更することができる。
まず、水洗圧送式便器10の電源を入れると(ステップS101)、水洗圧送式便器10は、待機モードになる(ステップS103)。この場合、便器本体30には溜水がされておらず、圧送装置8内に下水と貯留槽40との縁を切る封水が形成されている。圧送装置8内の水位は、封水待機水位L2である(図2参照)。この段階では、便器本体30に溜水がされておらず、フラップ弁9が閉じられており、圧送装置8内に封水が構築されているので、水洗圧送式便器10を移動しても転倒や衝突時に水漏れが無く、搬送時の安全性が図られている。また、圧送装置8の封水よりも上流部分に汚物が付着したままにならないように清潔性を保つことで、この状態での臭気の発生を抑えることができる。なお、このときに電源を切ると、水洗圧送式便器10は、運転を終了する(ステップS103)。
続いて、着座検知用センサ301及び着座検知部803によって使用者が着座したことが検知されるか、若しくは操作パネル82及び操作受付部800によって水を便器本体30に溜めるためのスイッチがオンされると(ステップS105)、便器本体30に1.5L(リットル)の溜水が給水される(ステップS107)。これにより、水洗圧送式便器10は、使用可能な状態となる。この溜水の給水は、ステップS105において着座の検知やスイッチのオンが検知されてから即座に(例えば、1.5秒程度)行われる。
続いて、離座判定が行われ便器本体30を自動洗浄していいと判断されるか(例えば離座検知5秒後)、若しくは操作パネル82及び操作受付部800によって便器本体30の溜水を流すためのスイッチがオンされると(ステップS109)、圧送装置8内の封水が排水される(ステップS111)。これにより、ポンプ44が駆動していることの確認と、粉砕部42および圧送路62に詰まりがないことの確認と、を行うことができる。また、便器本体30内の溜水と、圧送装置8内の封水と、の高低差をより大きくすることができる。この高低差をより大きくすることにより、便器本体30内の汚物および汚水は、圧送装置8に流れやすい。
続いて、ステップS111の封水の圧送が問題なく実行されているのを確認してから、ステップS111の処理と並行して、便器本体30の洗浄が行われる(ステップS113)。この便器本体30の洗浄は、便器本体30に1.7Lの水を供給することで行われる。続いて、ステップS111の封水の圧送が問題なく完了したことを確認してから、フラップ弁9が開かれる(ステップS115)。フラップ弁9を開くことによって、便器本体30内の汚物及び汚水が圧送装置8内に導入される(ステップS115)。前述したように、ステップS111の処理で圧送装置8内の封水が排水されているので、貯留槽40がオーバーフローすることなく汚物及び汚水の圧送装置8内への導入処理が進行する。
続いて、フラップ弁9を閉じて粉砕部給水路4bから圧送装置8内へと補注水が給水される(ステップS117)。フラップ弁9を閉じてから補注水が給水されているので、フラップ弁9よりも上まで水位が上昇し、続いて行われる粉砕圧送動作に必要十分な水を確保することができる。尚、この水洗圧送式便器10に温水洗浄便座機能が付加されている場合には、温水洗浄便座から吐水される洗浄水の量を補注水量から減じて、圧送装置8内へと注水することも好ましい態様である。このようにすることで、温水洗浄便座からの洗浄水を有効に活用して過剰な補注水を行わないように構成できる。
続いて、粉砕圧送用モータ58が駆動することでカッター52やインペラ56が回転し、汚物の粉砕や圧送が実行される(ステップS119)。前述したステップS111からステップS119に至る処理は一回日の洗浄動作に相当し、ステップS119に続いて実行されるステップS121からは二回目の洗浄動作に相当する。
続いて、ステップS119の汚物の圧送が問題なく実行されているのを確認してから、便器本体30の二回目の洗浄を行うために便器本体30に3.2Lの水が給水される(ステップS121)。
続いて、フラップ弁9が開かれる(ステップS123)。フラップ弁9を開くことによって、便器本体30内の洗浄後の水が圧送装置8内に導入される(ステップS123)。
続いて、フラップ弁9を閉じて粉砕部給水路4bから圧送装置8内へと0.8Lの補注水が給水される(ステップS125)。フラップ弁9を閉じてから補注水が給水されているので、フラップ弁9よりも上まで水位が上昇する。更に、ステップS117での補注水に比べてより多くの水が供給されると、ステップS119の処理の際に圧送装置8の内壁に飛び散った汚物を洗い流すことができる。
続いて、粉砕圧送用モータ58が駆動することでカッター52やインペラ56が回転し、圧送装置8の貯留槽40内の洗浄やその洗浄水の圧送が実行される(ステップS127)。
続いて、圧送装置8内へと1.6Lの封水用の水が給水され、圧送装置8内に封水が構築される(ステップS129)。
次に、本実施形態にかかる水洗圧送式便器の動作の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図5は、本実施形態にかかる水洗圧送式便器の動作の具体例を例示するフローチャートである。
まず、図4に関して前述したように、離座判定が行われ便器本体30を自動洗浄していいと判断されるか、若しくは操作パネル82及び操作受付部800によって便器本体30の溜水を流すためのスイッチがオンされると、便器本体30の洗浄がスタートする(ステップS201)。
続いて、粉砕圧送用モータ58が駆動することでカッター52やインペラ56が回転し、汚物の粉砕や圧送が実行される(ステップS203)。続いて、制御装置6は、タイマーをスタートさせる(ステップS205:t=0)。このタイマーの動作は、水位センサ60により検知された貯留槽40内の水位が圧送開始時の水位から判定水位へ下がるまでの間の排水時間を計測する動作である。
続いて、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58の回転数が1000回転/分であるか否かを判断する(ステップS207)。粉砕圧送用モータ58の回転数が1000回転/分よりも小さい場合には(ステップS207:<1000回転/分)、制御装置6は、回転数を1000回転/分にするために、速度指令電圧を上げることによりデューティ比をより大きくする制御を実行する(ステップS209)。一方、ステップS207において、粉砕圧送用モータ58の回転数が1000回転/分よりも大きい場合には(ステップS207:>1000回転/分)、制御装置6は、回転数を1000回転/分にするために、速度指令電圧を下げることによりデューティ比をより小さくする制御を実行する(ステップS211)。
このように、本具体例では、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58の駆動を制御し、粉砕圧送用モータ58の回転数を一定(例えば1000回転/分)としている。そして、粉砕圧送用モータ58にかかる負荷が大きくなり、粉砕圧送用モータ58の回転数が低下すると、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58のデューティ比をより大きく設定し粉砕圧送用モータ58の回転数を一定(例えば1000回転/分)に維持する。一方、粉砕圧送用モータ58にかかる負荷が小さくなり、粉砕圧送用モータ58の回転数が増加すると、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58のデューティ比をより小さく設定し粉砕圧送用モータ58の回転数を一定(例えば1000回転/分)に維持する。
そのため、粉砕圧送用モータ58にかかる負荷が大きくなると、粉砕圧送用モータ58のデューティ比はより大きくなり、一方で、粉砕圧送用モータ58にかかる負荷が小さくなると、粉砕圧送用モータ58のデューティ比はより小さくなる。これにより、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58のデューティ比の大きさを判断することにより、粉砕圧送用モータ58の負荷を判断することができる。なお、粉砕圧送用モータ58の回転数は、1000回転/分に限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
続いて、制御装置6は、タイマー時間t(排水時間)が初期排水時間T0の3倍未満であるか否かを判断する(ステップS213)。なお、「初期排水時間T0」とは、本実施形態にかかる水洗圧送式便器10を現場に設置したときにおいて、水位センサ60により検知された貯留槽40内の水位が圧送開始時の水位から判定水位へ下がるまでの間の排水時間である。つまり、「初期排水時間T0」とは、圧送路62の詰まりが生じていない場合の排水時間である。
続いて、排水時間が初期排水時間T0の3倍未満である場合には(ステップS213:Y)、制御装置6は、水位センサ60により検知された貯留槽40内の水位が判定水位まで下がったか否かを判断する(ステップS215)。水位センサ60により検知された貯留槽40内の水位が判定水位まで下がった場合には(ステップS215:Y)、制御装置6は、排水時間が初期排水時間T0の1.6倍未満であるか否かを判断する(ステップS217)。一方で、水位センサ60により検知された貯留槽40内の水位が判定水位まで下がっていない場合には(ステップS215:N)、制御装置6は、再び粉砕圧送用モータ58の回転数が1000回転/分であるか否かを判断する(ステップS207)。
ステップS217において、排水時間が初期排水時間T0の1.6倍未満ではない場合には(ステップS217:N)、制御装置6は、圧送路62の詰まりにより圧送動作に異常(以下、説明の便宜上「圧送異常」と称する)が生じたと判定し、その圧送異常が生じたことを報知する(ステップS219)。
なお、本願明細書において「圧送路62の詰まり」とは、圧送路62の内部が完全には閉塞されておらず、その一部が閉塞された状態をいうものとする。そのため、圧送路62の詰まりが生ずると、貯留槽40の内部の水を圧送路62を通して貯留槽40の外部へ排水するときの単位時間当たりの排水流量は低下し、そのときの排水時間は長くなる。
一方、ステップS217において、排水時間が初期排水時間T0の1.6未満である場合には(ステップS217:Y)、制御装置6は、圧送異常が生じていないと判定し、粉砕圧送用モータ58のデューティ比(全体デューティ比)から圧損デューティ比補正を引き、その差を粉砕部デューティ比とする(ステップS221)。より具体的に説明すると、粉砕圧送用モータ58にかかる負荷には、カッター52による負荷とインペラ56による負荷とが、すなわち粉砕部42による負荷と圧送路62の圧損による負荷とが含まれる。そのため、粉砕圧送用モータ58のデューティ比には、粉砕部42によるデューティ比と、圧送路62の圧損によるデューティ比と、が含まれる。
本具体例では、圧送路62の詰まりが生じた場合には、制御装置6は、圧送路62の圧損に応じて粉砕圧送用モータ58のデューティ比を補正する。その補正値が、前述した圧損デューティ比補正である。そのため、粉砕圧送用モータ58の全体デューティ比から圧損デューティ比補正を引くことにより、粉砕部42によるデューティ比すなわち粉砕部デューティ比を求めることができる。なお、圧送路62の圧損によるデューティ比は予め実験で得られた値などから算出することができる。
続いて、ステップS221において求めた粉砕部デューティ比がモータ負荷異常判定閾値(本具体例では「0.7」)未満か否かを判断する(ステップS223)。なお、本具体例では、モータ負荷異常判定閾値が0.7である場合を例に挙げて説明するが、モータ負荷異常判定閾値については適宜変更可能である。粉砕部デューティ比が0.7未満ではない、すなわち粉砕部デューティ比が0.7以上である場合には(ステップS223:N)、制御装置6は、粉砕部42への異物の混入により粉砕動作に異常(以下、説明の便宜上「粉砕異常」と称する)が生じたと判定し、その粉砕異常が生じたことを報知する(ステップS225)。一方、粉砕部デューティ比が0.7未満である場合には(ステップS223:Y)、制御装置6は、圧送異常が生じていないと判定し、粉砕動作を停止する(ステップS227)。続いて、制御装置6は、タイマーをリセットし(ステップS229)、動作を終了する(ステップS231)。
一方、ステップS213において、排水時間が初期排水時間T0の3倍未満ではない場合には(ステップS213:N)、制御装置6は、圧送路62のロックにより圧送異常が生じたと判定し、その圧送異常が生じたことを報知する(ステップS233)。なお、本願明細書において「圧送路62のロック」とは、圧送路62の内部が完全に閉塞された状態をいうものとする。そのため、圧送路62のロックが生ずると、貯留槽40の内部の水を圧送路62を通して貯留槽40の外部へ排水することはできず、排水時間は、圧送路62の詰まりが生じた場合よりも長くなる。
続いて、制御装置6は、ステップS221と同様に、粉砕圧送用モータ58のデューティ比(全体デューティ比)から圧損デューティ比補正を引き、その差を粉砕部デューティ比とする(ステップS235)。続いて、制御装置6は、ステップS223と同様に、ステップS235において求めた粉砕部デューティ比がモータ負荷異常判定閾値(本具体例では「0.7」)未満か否かを判断する(ステップS237)。
粉砕部デューティ比が0.7未満ではない、すなわち粉砕部デューティ比が0.7以上である場合には(ステップS237:N)、制御装置6は、粉砕部42への異物の混入により粉砕異常が生じたと判定し、その粉砕異常が生じたことを報知する(ステップS239)。一方、粉砕部デューティ比が0.7未満である場合には(ステップS237:Y)、制御装置6は、粉砕異常が生じていないと判定し、粉砕動作を停止する(ステップS241)。続いて、制御装置6は、タイマーをリセットし(ステップS243)、動作を終了する(ステップS245)。
本具体例によれば、制御装置6は、水位センサ60により検知された貯留槽40内の水位が圧送開始時の水位から判定水位へ下がるまでの間の排水時間により圧送異常を判定する。また、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58の全体デューティ比から圧損デューティ比補正を引くことにより粉砕部デューティ比を算出し、その粉砕部デューティ比により粉砕異常を判定する。そのため、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58のデューティ比を検出することにより、予め算出された圧送路62の圧損による圧損デューティ比補正に基づいて粉砕部42による粉砕部デューティ比を精度良く算出し、異常部位を特定し報知することができる。これにより、メンテナンス作業者は、復旧作業を開始する前に異常な負荷の原因となった箇所を特定することができる。そのため、復旧作業がより容易となる。
次に、本実施形態にかかる水洗圧送式便器の動作の他の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図6は、本実施形態にかかる水洗圧送式便器の動作の他の具体例を説明するための判定表である。
本具体例では、粉砕部デューティ比が0.7以上のときに、制御装置6は、粉砕異常が生じたと判定する。また、回転数センサ59により検出された粉砕圧送用モータ58の回転数が0(ゼロ)のときに、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58が異物によりロックされ停止したと判定する。また、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58の駆動をフィードバック制御し、粉砕圧送用モータ58の回転数を1000回転/分で一定としている。なお、本願明細書において「粉砕圧送用モータ58のロック」とは、制御装置6から粉砕圧送用モータ58へ駆動信号が送信されているにもかかわらず粉砕圧送用モータ58が駆動しない状態をいう。
まず、ケースAについて説明する。
ケースAでは、粉砕圧送用モータ58の全体デューティ比は0.7未満である。また、排水時間は、初期排水時間(排水環境測定値)T0の1倍以上〜1.6倍(第1の判定時間:第1の排水異常判定閾値)未満である。なお、「初期排水時間T0」とは、本実施形態にかかる水洗圧送式便器10を現場に設置したときにおいて、水位センサ60により検知された貯留槽40内の水位が圧送開始時の水位から判定水位へ下がるまでの間の排水時間である。つまり、「初期排水時間T0」とは、圧送路62の詰まりが生じていない場合の排水時間である。ケースAの排水時間は、第1の判定時間未満であるため、制御装置6は、圧送異常は生じていないと判定し、圧損デューティ比補正をゼロに設定する。
ケースAの排水時間は、第1の判定時間未満であるため、制御装置6は、圧送異常は生じていないと判定し、圧損デューティ比補正をゼロに設定する。また、粉砕圧送用モータ58の全体デューティ比は0.7未満であり、圧損デューティ比補正はゼロであるため、粉砕部デューティ比は0.7未満である。そのため、制御装置6は、粉砕異常は生じていないと判定する。これにより、ケースAにおいては、制御装置6は、正常であると判定する。
この場合の全体デューティ比は、圧送路62の詰まりが生じていない場合の初期全体デューティ比(排水環境測定値)である。「初期全体デューティ比」とは、本実施形態にかかる水洗圧送式便器10を現場に設置したときの粉砕圧送用モータ58の全体デューティ比である。そして、制御装置6は、初期全体デューティ比に基づいて、モータ負荷異常判定閾値を「0.7」に設定している。
続いて、ケースBについて説明する。
ケースBでは、ケースAと同様に、粉砕圧送用モータ58の全体デューティ比は0.7未満である。また、排水時間は、初期排水時間T0の1.6倍以上〜3倍(第2の判定時間:第2の排水異常判定閾値)未満である。ケースBの排水時間は、第1の判定時間以上であり第2の判定時間未満であるため、制御装置6は、圧送路62の詰まり(圧送異常)が生じたと判定し、圧損デューティ比補正を例えば0.1に設定する。
また、粉砕圧送用モータ58の全体デューティ比は0.7未満であり、圧損デューティ比補正は0.1であるため、粉砕部デューティ比は0.6未満である。そのため、制御装置6は、粉砕異常は生じていないと判定する。これにより、ケースBにおいては、制御装置6は、圧送路62の詰まりが生じたと判定し報知する。
続いて、ケースCについて説明する。
ケースCでは、ケースAと同様に、粉砕圧送用モータ58の全体デューティ比は0.7未満である。また、排水時間は、初期排水時間T0の3倍以上である。ケースCの排水時間は、第2の判定時間以上であるため、制御装置6は、圧送路62のロック(圧送異常)が生じたと判定し、圧損デューティ比補正を例えば0.2に設定する。
また、粉砕圧送用モータ58の全体デューティ比は0.7未満であり、圧損デューティ比補正は0.2であるため、粉砕部デューティ比は0.5未満である。そのため、制御装置6は、粉砕異常は生じていないと判定する。これにより、ケースCにおいては、制御装置6は、圧送路62のロックが生じたと判定し報知する。
続いて、ケースDについて説明する。
ケースDでは、粉砕圧送用モータ58の全体デューティ比は0.7以上〜1(フルデューティ)以下である。また、排水時間は、初期排水時間T0の1倍以上〜1.6倍未満である。ケースDの排水時間は、第1の判定時間未満であるため、制御装置6は、圧送異常は生じていないと判定し、圧損デューティ比補正をゼロに設定する。
また、粉砕圧送用モータ58の全体デューティ比は0.7以上〜1以下であり、圧損デューティ比補正はゼロであるため、粉砕部デューティ比は0.7以上である。そのため、制御装置6は、粉砕異常が生じたと判定する。これにより、ケースDにおいては、制御装置6は、粉砕異常が生じたと判定し報知する。
続いて、ケースEについて説明する。
ケースEでは、ケースDと同様に、粉砕圧送用モータ58の全体デューティ比は0.7以上〜1以下である。また、排水時間は、初期排水時間T0の1.6倍以上〜3倍未満である。ケースEの排水時間は、第1の判定時間以上であり第2の判定時間未満であるため、制御装置6は、圧送路62の詰まりが生じたと判定し、圧損デューティ比補正を例えば0.1に設定する。
また、粉砕圧送用モータ58の全体デューティ比は0.7以上〜1以下であり、圧損デューティ比補正は0.1であるため、粉砕部デューティ比は0.7未満の場合と0.7以上の場合とがある。そのため、制御装置6は、粉砕部デューティ比が0.7未満の場合には、粉砕異常は生じていないと判定し、粉砕部デューティ比が0.7以上の場合には、粉砕異常が生じたと判定する。これにより、ケースEにおいて、粉砕部デューティ比が0.7未満の場合には、制御装置6は、圧送路62の詰まりが生じたと判定し報知する。一方、粉砕部デューティ比が0.7以上の場合には、制御装置6は、圧送路62の詰まりおよび粉砕異常が生じたと判定し報知する。
続いて、ケースFについて説明する。
ケースFでは、ケースDと同様に、粉砕圧送用モータ58の全体デューティ比は0.7以上〜1以下である。また、排水時間は、初期排水時間T0の3倍以上である。ケースFの排水時間は、第2の判定時間以上であるため、制御装置6は、圧送路62のロックが生じたと判定し、圧損デューティ比補正を例えば0.2に設定する。
また、粉砕圧送用モータ58の全体デューティ比は0.7以上〜1以下であり、圧損デューティ比補正は0.2であるため、粉砕部デューティ比は0.7未満の場合と0.7以上の場合とがある。そのため、制御装置6は、粉砕部デューティ比が0.7未満の場合には、粉砕異常は生じていないと判定し、粉砕部デューティ比が0.7以上の場合には、粉砕異常が生じたと判定する。これにより、ケースFにおいて、粉砕部デューティ比が0.7未満の場合には、制御装置6は、圧送路62のロックが生じたと判定し報知する。一方、粉砕部デューティ比が0.7以上の場合には、制御装置6は、圧送路62のロックおよび粉砕異常が生じたと判定し報知する。
本具体例によれば、制御装置6は、圧送路62のロックが生ずる前に圧送路62の詰まりが生じたことを判定し報知することができる。そのため、異物を除去する復旧作業が行われるまでの間に水洗圧送式便器10を使用することができないという不具合を防止することができる。また、その他の効果についても、図5に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
次に、本実施形態にかかる水洗圧送式便器の動作のさらに他の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図7は、本実施形態にかかる水洗圧送式便器の動作のさらに他の具体例を説明するための判定表である。
本具体例では、図6に関して前述したように、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58の駆動をフィードバック制御し、粉砕圧送用モータ58の回転数を一定としている。しかしながら、粉砕圧送用モータ58にかかる負荷が大きくなることにより、制御装置6が粉砕圧送用モータ58のデューティ比をフルデューティに設定したとしても所定の回転数(例えば1000回転/分)を維持できない場合がある。この場合には、粉砕圧送用モータ58の回転数は、所定の回転数よりも少なくなる。本具体例では、制御装置6が粉砕圧送用モータ58のデューティ比をフルデューティに設定したとしても粉砕圧送用モータ58の回転数を維持できなくなった結果、粉砕圧送用モータ58の回転数が低下し500回転/分になった場合を例に挙げて説明する。
本具体例では、図6に関して前述した具体例と同様に、粉砕部デューティ比が0.7以上のときに、制御装置6は、粉砕異常が生じたと判定する。また、回転数センサ59により検出された粉砕圧送用モータ58の回転数がゼロのときに、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58が異物によりロックされ停止したと判定する。
まず、ケースGについて説明する。
ケースGでは、排水時間は、実質排水時間Tnの1倍以上〜1.6倍(第1の判定時間:第1の排水異常判定閾値)未満である。なお、「実質排水時間Tn」とは、次式で表される排水時間である。
実質排水時間Tn=初期排水時間T0×(目標回転数/実回転数)
つまり、本具体例では、回転数センサ59により検出された粉砕圧送用モータ58の回転数が目標回転数と異なる場合には、制御装置6は、判定時間(排水異常判定閾値)を変更する。これは、粉砕圧送用モータ58の回転数と排水に伴う時間とは、概ね互いに反比例の関係にあるため、粉砕圧送用モータ58の目標回転数が例えば1000回転/分であり、実回転数が500回転/分である場合の実質排水時間Tnは、初期排水時間T0の2倍の排水時間となるためである。本具体例では、このモーター回転数の低下に伴う排水時間の増大(排水能力の低下)を補正し適切な実質排水時間Tnの設定を行う。従って、実回転数が目標回転数に達しない場合においても、適切な判定時間を設定し異常の発生した部位を正確に特定することができる。
ケースGの排水時間は、第1の判定時間未満であるため、圧送異常は生じていないと判定し、圧損デューティ比補正をゼロに設定する。
また、粉砕圧送用モータ58の全体デューティ比はフルデューティであり、圧損デューティ比補正はゼロであるため、粉砕部デューティ比はフルデューティである。そのため、制御装置6は、粉砕異常が生じたと判定する。これにより、ケースGにおいては、制御装置6は、粉砕異常が生じたと判定し報知する。
続いて、ケースHについて説明する。
ケースHの排水時間は、実質排水時間Tnの1.6倍以上〜3倍(第2の判定時間:第2の排水異常判定閾値)未満である。ケースHの排水時間は、第1の判定時間以上であり第2の判定時間未満であるため、制御装置6は、圧送路62の詰まりが生じたと判定し、圧損デューティ比補正を例えば0.1に設定する。
また、粉砕圧送用モータ58の全体デューティ比はフルデューティであり、圧損デューティ比補正は0.1であるため、粉砕部デューティ比は0.9である。そのため、制御装置6は、粉砕異常が生じたと判定する。これにより、ケースHにおいて、制御装置6は、圧送路62の詰まりおよび粉砕異常が生じたと判定し報知する。
ここで、制御装置6は、全体デューティ比から圧損デューティ比補正を引くことにより粉砕部デューティ比を求め、その粉砕部デューティ比とモータ負荷異常判定閾値とを比較することにより粉砕異常であるか否かを判断している。つまり、制御装置6は、補正した粉砕部デューティ比とモータ負荷異常判定閾値とを比較している。これは、モータ負荷異常判定閾値を補正(変更)し、その補正したモータ負荷異常判定閾値と全体デューティ比(排水環境測定値)とを比較することにより粉砕異常であるか否かを判断することと同等である。つまり、回転数センサ59により検出された粉砕圧送用モータ58の回転数が目標回転数と異なる場合に、制御装置6がモータ負荷異常判定閾値を変更することと同等である。このことは、図6に関して前述した具体例のケースE、Fにおいても同様である。
続いて、ケースIについて説明する。
ケースIの排水時間は、実質排水時間Tnの3倍以上である。ケースIの排水時間は、第2の判定時間以上であるため、制御装置6は、圧送路62のロックが生じたと判定し、圧損デューティ比補正を例えば0.2に設定する。
また、粉砕圧送用モータ58の全体デューティ比はフルデューティであり、圧損デューティ比補正は0.2であるため、粉砕部デューティ比は0.8である。そのため、制御装置6は、粉砕異常が生じたと判定する。これにより、ケースIにおいて、制御装置6は、圧送路62のロックおよび粉砕異常が生じたと判定し報知する。
本具体例によれば、回転数センサ59により検出された粉砕圧送用モータ58の回転数が目標回転数と異なる場合には、制御装置6は、排水異常判定閾値およびモータ負荷異常判定閾値を変更する。そのため、水洗圧送式便器10の設置現場における配水管の長さや形状の違いにより圧送路62の圧損による負荷が増加し、粉砕圧送用モータ58の回転数が低下しても、設置現場の負荷に基づいて排水異常判定閾値およびモータ負荷異常判定閾値を適宜設定することができる。これにより、制御装置6は、異なる設置現場における圧送路62の圧損による負荷を考慮し、圧送異常および粉砕異常をより適切に判定および判別することができる。
次に、本実施形態の異常処理動作について、図面を参照しつつ説明する。
図8は、本実施形態の異常処理動作を説明するための異常処理動作表である。
本実施形態の制御装置6は、圧送異常および粉砕異常を判定し報知すると、図8に表したような異常処理動作を実行することができる。
まず、粉砕異常に対する異常処理動作について説明する。
制御装置6は、粉砕異常を判定し報知すると、粉砕圧送用モータ58を逆回転させることにより、カッター52やインペラ56を逆回転させる。これにより、カッター52やインペラ56に絡みついた異物を取り除くことができる。
あるいは、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58を断続運転させることにより、カッター52やインペラ56の正回転と停止とを交互に行う。これにより、カッター52やインペラ56に断続的な衝撃を与え、カッター52やインペラ56に滞留した異物や引っ掛かった異物を取り除くことができる。
あるいは、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58の正回転と逆回転とを交互に運転させることにより、カッター52やインペラ56の正回転と逆回転とを交互に行う。これにより、カッター52やインペラ56に絡みついた異物を取り除くことができる。
あるいは、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58の断続運転と交互運転とを組み合わせることにより、カッター52やインペラ56の正回転と停止と逆回転とをこの順に繰り返し行う。これにより、カッター52やインペラ56に絡みついた異物を取り除くことができる。
あるいは、制御装置6は、貯留槽40に水を給水し、貯留槽40の溜水の水位を上げた後に、前述した異常処理動作を行う。これにより、異物に浮力を与え、その異物が取れやすい状態で、カッター52やインペラ56に絡みついた異物や滞留した異物や引っ掛かった異物を取り除くことができる。
続いて、圧送異常に対する異常処理動作について説明する。
制御装置6は、圧送異常を判定し報知すると、粉砕圧送用モータ58の出力を増加させる。これにより、圧送路62内の圧力が高くなり、圧送路62の詰まりを押し流し解除することができる。
あるいは、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58を断続運転させることにより、貯留槽40外への圧送と停止とを交互に行う。これにより、水流による断続的な衝撃を圧送路62内に与え、圧送路62の詰まりを押し流し解除することができる。
本実施形態の異常処理動作によれば、制御装置6は、圧送異常判定と粉砕異常判定とに応じた異常処理動作を実行することができる。そのため、制御装置6は、圧送異常と粉砕異常とのそれぞれの異常に合わせてより適切な異常処理動作を実行することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58にかかる負荷量と、水位センサ60により検出された水位と、に基づいて、粉砕異常および圧送異常の少なくともいずれかを判定し報知する。
これによれば、粉砕圧送用モータ58にかかる負荷が異常である場合に、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58にかかる負荷量と、水位センサ60により検出された水位と、により異常な負荷の原因を判別する。そのため、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58にかかる異常な負荷が粉砕部42における粉砕異常であるか、あるいは貯留槽40外へ圧送する圧送動作の圧送異常であるかを判別することができる。これにより、メンテナンス作業者は、復旧作業を開始する前に異常な負荷の原因となった箇所を特定することができる。そのため、復旧作業がより容易となる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、水洗圧送式便器10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや粉砕圧送用モータ58やカッター52やインペラ56の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、本発明の実施の形態では、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58のデューティ比の大きさを判断することにより粉砕圧送用モータ58の負荷を判断したが、粉砕圧送用モータ58の回転数を判断することにより粉砕圧送用モータ58の負荷を判断してもよい。より具体的に説明すると、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58の駆動を制御し、粉砕圧送用モータ58のデューティ比を一定としてもよい。そうすると、粉砕圧送用モータ58にかかる負荷が大きくなった場合には、粉砕圧送用モータ58の回転数は低下する。一方、粉砕圧送用モータ58にかかる負荷が小さくなった場合には、粉砕圧送用モータ58の回転数は増加する。これにより、制御装置6は、粉砕圧送用モータ58の回転数を判断することにより、粉砕圧送用モータ58の負荷を判断することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。