JP2011224432A - 汚染地盤の浄化方法及び浄化材 - Google Patents

汚染地盤の浄化方法及び浄化材 Download PDF

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Abstract

【課題】高濃度VOCによって汚染された地盤を原位置で効率よく浄化できる汚染地盤の浄化方法及び浄化材を提供する。
【解決手段】 有機塩素化合物を分解する微生物によって、地盤に含まれる有機塩素化合物を原位置で分解して浄化する汚染地盤の浄化方法であって、微生物を吸着する粉体をろ材として微生物の培養液をろ別し、微生物を粉体に集菌する集菌工程と、微生物を集菌した粉体を地盤に攪拌混合する攪拌混合工程とを行うことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、汚染地盤の浄化方法及び浄化材に関する。
例えば、地盤中に常在する微生物によって、トリクロロエチレン(TCE)等の有機塩素化合物(VOC)で汚染された地盤を浄化する汚染地盤の浄化方法が知られている。この汚染地盤の浄化方法では、地盤に栄養材を注入して、VOCを分解する微生物(VOC分解菌)を活性化する。これによって、VOC分解菌によるVOCの分解を促進し、現場(原位置)で汚染地盤を浄化する(例えば特許文献1を参照)。
特開2007‐268450号公報
しかしながら、例えば地盤に含まれるVOCの濃度が100mg/L以上であるような高濃度VOCによって汚染された地盤は、VOC分解菌の生息に適さず、栄養材を注入してもVOC分解菌を活性化することが困難である。このため、前述した汚染地盤の浄化方法によって、高濃度VOCによって汚染された地盤を浄化することは困難であった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高濃度VOCによって汚染された地盤を原位置で効率よく浄化できる汚染地盤の浄化方法及び浄化材を提供することにある。
前記課題を解決するための本発明は、有機塩素化合物を分解する微生物によって、地盤に含まれる有機塩素化合物を原位置で分解して浄化する汚染地盤の浄化方法であって、
前記微生物を吸着する粉体をろ材として前記微生物の培養液をろ別し、前記微生物を前記粉体に集菌する集菌工程と、前記微生物を集菌した粉体を前記地盤に攪拌混合する攪拌混合工程とを行うことを特徴とする。
本発明では、有機塩素化合物を分解する微生物を増殖させた培養液を、この微生物を吸着する粉体でろ別する。これによって、培養液中における密度よりも高い密度となるように微生物を粉体に集菌することができる。この微生物を集菌した粉体を地盤に攪拌混合することで、例えば培養液を直接地盤に注入する場合よりも、汚染地盤の単位体積あたりに供給できる微生物の数を増やすことができる。このため、微生物の生息数が少なく、微生物を活性化することが困難な高濃度VOCによって汚染された地盤にも効率よく微生物を供給でき、地盤に含まれるVOC量に対する微生物の数を十分に増加させることができる。これによって、高濃度VOCによって汚染された地盤においても、微生物によってVOCを分解することが可能となり、原位置で効率よく浄化できる。
また、本発明の汚染地盤の浄化方法では、前記粉体は、粉末状の木炭であることが好ましい。粉体を粉末状の木炭(木炭粉)とすることで、木炭粉に微生物を効率よく吸着させることができると共に、地盤中において木炭粉にVOCを一時的に吸着させることができる。これによって、地盤のVOC濃度を一時的に低減して、地盤に含まれるVOC量に対する微生物の数を増やすことができる。そして、微生物によるVOCの分解が進み、地盤中のVOC濃度が低下すると、木炭粉に吸着されたVOCも木炭粉から脱離するため、微生物によって分解される。よって、高濃度VOCによって汚染された地盤をより効率よく浄化できる。
また、本発明の汚染地盤の浄化方法では、前記攪拌混合工程において、前記微生物を集菌した粉体を分散媒に分散させて前記地盤に攪拌混合することが好ましい。例えばゲル状の粘性を有する液体からなる分散媒に粉体を混合することで、粉体を分散させた状態で地盤に攪拌混合できる。これによって、地盤に対して粉体を効率よく分散させることができるため、汚染地盤をより効率よく浄化できる。
また、本発明の汚染地盤の浄化方法では、前記攪拌混合工程において、前記微生物を集菌した粉体と共に、前記微生物の栄養材となる乳化植物油を前記地盤に攪拌混合することが好ましい。乳化植物油は地盤中において徐々に分解されて有機酸を生成し、微生物を活性化するための栄養材となる。このため、長期的に微生物に栄養材を供給して活性化することができ、高濃度VOCによって汚染された地盤をより効率よく浄化できる。
前記課題を解決するための本発明は、汚染地盤に攪拌混合され、前記汚染地盤に含まれる有機塩素化合物を分解する汚染地盤用浄化材であって、前記有機化合物を分解する微生物の培養液をろ別することで作製され、前記微生物が集菌状態で吸着された粉体を含有することを特徴とする。
本発明によれば、高濃度VOCによって汚染された地盤を原位置で効率よく浄化できる汚染地盤の浄化方法及び浄化材を提供できる。
集菌試験を行うためのろ過装置の構成を説明する模式図である。 本実施形態に係る攪拌混合工程を説明するための模式図である。 本実施形態に係る攪拌混合工程を説明するためのその他の模式図である。 本実施形態に係る攪拌混合工程を説明するためのその他の模式図である。 (a)は、試験区1のVOC分解試験結果を示すグラフであり、(b)は、試験区2のVOC分解試験結果を示すグラフであり、(c)は、試験区3のVOC分解試験結果を示すグラフである。
本実施形態に係る汚染地盤の浄化方法は、集菌工程と、攪拌混合工程とを行い、VOC分解菌によって地盤に含まれるVOCを原位置で分解して浄化する。尚、VOCには、テトラクロロエチレン(PCE)、TCE、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、シス1,2−ジクロロエチレン(cis−DCE)、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,3−ジクロロプロペン、トランス1,2−ジクロロエチレン、塩化ビニルモノマー等が含まれる。
また、VOC分解菌(VOCを分解できる微生物)としては、メタノバクテリウム属、メタノサルシナ属、メタノロブス属、アセトバクテリウム属、デスルフォバクテリウム属、デスルフォモニル属、デハロスピリルム属、デハロバクター属、デハロバクテリウム属、デハロコッコイデス属、クロストリジウム属等の嫌気性微生物が挙げられる。
VOC分解菌は、有機酸等(栄養材)が嫌気的に分解される過程で発生する水素を利用してVOCを脱塩素化する。これによって、VOC分解菌は、エネルギー(ATP)を獲得して増殖すると共に、PCEやTCEをcis−DCE、塩化ビニル(VC)を経てエチレンにまで分解して無害化する。
===集菌工程について===
以下、図1を参照して本実施形態に係る集菌工程について説明する。この集菌工程は、木炭粉をろ材としてVOC分解菌を培養した分解菌液をろ別し、VOC分解菌を木炭粉に集菌する(菌を集めてろ材に保持させる)。そこで、先ず、分解菌液の作製方法について説明する。
<<<分解菌液の作製方法について>>>
VOC分解菌が混入しているVOC汚染地下水を揚水して、容積が20Lの密閉型の水槽に充填する。尚、水槽を密閉型とすることで、VOCが揮発してしまうことを防止できると共に、水槽内を嫌気状態に保つことができる。
そして、この水槽に地下水に対して0.1%〜0.3%となる割合で栄養材を添加する。尚、栄養材は、グルコン酸及びグルコン酸塩、グルコン酸アミド、グルコン酸エステル、グルコン酸無水物等のグルコン酸誘導体のうち少なくとも一種類以上を含有していることが好ましい。これによって、VOC分解菌を速やかに増殖させることができると共に、VOC分解菌の培養のためのコストを低減することができる。また、この他の栄養材としては、グルコース、ガラクトース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、デンプン、グリセリン、糖蜜(砂糖製造の際の副産物)、エタノール、乳酸塩(乳酸ナトリウム)、クエン酸塩(クエン酸ナトリウム)、アミノ酸、ビタミン、脱脂粉乳等が挙げられる。
次に、水槽に栄養材と同等量のpH緩衝剤を添加する。VOC分解菌は、pHが6以下の酸性又は9以上のアルカリ性の環境下では活性が抑制される。このため、例えば、炭酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム等のpH緩衝剤を添加して、水槽内のpHを6より大きく9より小さい中性範囲に維持することで、VOC分解菌を効率よく培養できる。
そして、約20℃〜25℃で培養することで、水槽内において、VOC分解菌が栄養材及びVOCを分解して増殖する。これによって、VOC分解菌が培養された分解菌液を作製できる。尚、水槽内のVOC濃度を測定してVOCが分解されていることを確認することで、分解菌液が作製されたことを確認できる。
また、さらに大量の分解菌液が必要な場合は、作製した分解菌液に対して10%となる割合で地下水を追加混合し、前述したように栄養材及びpH緩衝剤を添加した後に培養する。これを繰り返すことで、所望の量の分解菌液を作製することができる。
ところで、地下水には、VOC分解菌と同様に栄養材を資化して増殖するVOC分解菌以外の微生物も多数含まれる。このため、VOC分解菌を培養する過程において、その他の微生物も増殖してしまい、分解菌液全体に含まれるVOC分解菌の割合(VOC分解菌率)は1%程度となる。原位置において地盤に注入できる分解菌液の最大量は地盤の体積に応じて制限され、地盤に供給できるVOC分解菌数はさらにVOC分解菌率に応じて制限される。よって、高濃度VOC汚染地盤に分解菌液を注入しても、VOCを分解するのに十分な数のVOC分解菌を供給することは困難である。
そこで、本実施形態にかかる集菌工程では、木炭粉によって分解菌液をろ別し、木炭粉にVOC分解菌を含む微生物を吸着させる。これによって、分解菌液の液体成分を除去できる分、単位体積あたりに含まれるVOC分解菌数を増やすこと(集菌すること)ができる。
<<<集菌試験について>>>
木炭粉へのVOC分解菌の集菌について確認するべく、図1に示すろ過装置1を用いて集菌試験を行った。以下、この集菌試験について説明する。
ろ過装置1は、フッ素樹脂バッグ2と、ゴム栓3と、注射器4と、木炭粉5と、脱脂綿6と、フラスコ7とを備えている。フッ素樹脂バッグ2は、例えば200mLの分解菌液が密封され、不図示のバルブを介して注射器4に分解菌液を供給する。ゴム栓3は、フッ素樹脂バッグ2の分解菌液の排出口2aを注射器4の開口に対して固定すると共に、注射器4の開口4aを塞いでいる。これによって、分解菌液を嫌気状態に保つことができる。
注射器4は、直径φが2.9cm、高さh1が10cmの円筒形状を呈し、木炭粉5及び脱脂綿6が封入されている。この注射器4は、開口4aを介して内部に分解菌液が供給され、分解菌液が木炭粉5及び脱脂綿6を通過した後の通過液を、先端部4bから排出する。木炭粉5は、粒径が0.425mmアンダーとなるように粉砕された木炭である。注射器4には、4gの木炭粉5が10mLの容積となるように封入されており、注射器4に封入された木炭粉5の高さh2は1.2cmとなっている。脱脂綿6は、注射器4の開口4a側及び先端部4b側から木炭粉5を挟むように注射器4内に配置されている。この脱脂綿6によって、木炭粉5が注射器4から流出すること及び注射器4に供給された分解菌液が逆流することを防止できる。フラスコ7は、注射器4の先端部4bから排出された通過液を回収する。
ろ過装置1によって、フッ素樹脂バッグ2から排出される分解菌液をバルブによって液量調節しつつ、木炭粉5に滴下して自然ろ過を行った。この際、木炭粉5にVOC分解菌を十分に吸着させるため、約8時間をかけて分解菌液200mLを木炭粉5に通過させた。さらに、注射器4内の木炭粉5同士の間隙は、分解菌液に含まれるVOC分解菌以外の雑粒子を通過させるのに十分な大きさとなっている。これによって、ろ紙等によってろ別する場合に比べて、ろ別の際に分解菌液にかかるろ過圧を低減することができる。さらに、凍結乾燥等によって培地を蒸発させて集菌する場合に比べて、VOC分解菌にかかる負荷を低減することができる。このため、VOC分解菌が死滅してしまうことを防止して、効率よくVOC分解菌を集菌できる。
<<<集菌試験結果について>>>
ろ過装置1によってろ別される前の分解菌液及びろ別された後の通過液に夫々含まれるVOC分解菌数を検出した。尚、このVOC分解菌数の検出は、16SrDNAの遺伝子をリアルタイムPCR法により定量検出することで行った。そして、分解菌液に含まれるVOC分解菌数(1)と、通過液に含まれるVOC分解菌数(2)から、木炭粉5へのVOC分解菌の集菌率(1−(2)/(1))×100を求めた。その結果を表1に示す。
Figure 2011224432
表1から、分解菌液に含まれるVOC分解菌の97%が木炭粉5に集菌されていることがわかる。つまり、10mLの容積に相当する4gの木炭粉5に、分解菌液200mLに含まれるVOC分解菌と略同数のVOC分解菌を集菌することができる。即ち、集菌工程によって、単位体積あたりに含まれるVOC分解菌数を約20倍にできることがわかる。
===攪拌混合工程について===
次に、図2乃至図5を参照して、集菌工程によってVOC分解菌を集菌した木炭粉5(以下集菌木炭粉と称する)を地盤に攪拌混合する攪拌混合工程について説明する。
<<<攪拌混合装置について>>>
本実施形態に係る攪拌混合工程では、図2乃至図4に示す攪拌混合装置10によって、集菌木炭粉を地盤に攪拌混合する。そこで、先ず、攪拌混合装置10について説明する。
攪拌混合装置10は、中空攪拌軸11と、攪拌翼12と、掘削爪13とを備えている。中空攪拌軸11は、円筒形状を呈し、内部に集菌木炭粉が供給される。中空攪拌軸11に供給された集菌木炭粉は中空攪拌軸11内の空間(搬送空間)を移動して、地盤へ搬送される。また、中空攪拌軸11は、不図示のベースマシンに鉛直軸線回り(図2に矢印で示す方向)に回動自在に吊持されている。
攪拌翼12は、中空攪拌軸11の下端から、鉛直軸線方向aと直行する方向に延在し、中空攪拌軸11とともに回転する。また、攪拌翼12は、搬送空間から地盤中へ集菌木炭粉を吐出する吐出口12aを備えている。掘削爪13は、攪拌翼12の底面から斜め下向きに突出し、攪拌翼12とともに回転する。掘削爪13が回転しながら地盤に接触することで地盤が掘削される。
<<<攪拌混合作業について>>>
この攪拌混合装置10によって集菌木炭粉を地盤に攪拌混合する場合、先ず、図2に示すように、浄化対象となる地盤の汚染範囲Aの上方に、中空攪拌軸11を配置する。そして、中空攪拌軸11を回転させながら下降させ、掘削爪13を地盤に接触させる。これによって、地盤を汚染範囲Aに向かって掘削し、図3に示すように、攪拌翼12が汚染範囲Aを通過するまで、中空攪拌軸11を地盤内に貫入させる。尚、地盤において攪拌翼12が通過した範囲は、攪拌翼12及び掘削爪13によって攪拌され、攪乱範囲Bとなる。
次に、図4に示すように、搬送空間にゲル状の分散媒に混合した集菌木炭粉(以下分散木炭粉と称する)と、後述する添加物とを連続的に供給しつつ、中空攪拌軸11を逆回転させながら地表に向かって引き上げる。これによって、搬送空間を通って、吐出口12aまで搬送された分散木炭粉及び添加物が地盤中に噴出され、攪乱範囲B内にVOC分解菌を攪拌混合することができる。尚、集菌後のVOC分解菌は、時間が経過するにつれて活性が低下してしまう。このため、搬送空間に供給される分散木炭粉は、攪拌混合工程を行う直前に集菌した集菌木炭粉であることが好ましい。
また、本実施形態に係る攪拌混合工程では、集菌木炭粉を分散木炭粉として、地盤と混合するため、集菌木炭粉が乾燥することを防止でき、VOC分解菌が乾燥により死滅してしまうことを防止できる。さらに、分散木炭粉では、ゲル状の粘性を有する分散媒中において、集菌木炭粉が分散された状態で維持されている。このため、攪拌混合工程において、集菌木炭粉の密度が地盤中で偏ることを防止でき、集菌木炭粉を地盤に効率よく行き渡らせて混合することができる。
また、本実施形態に係る攪拌混合工程では、分散木炭粉と共に添加物を地盤に攪拌混合する。この添加物は、乳化植物油及び前述した栄養材を含んでいる。乳化植物油は、植物性油脂と界面活性剤とを水に添加し、攪拌混合して均質化することで得られる。植物性油脂としては大豆油、菜種油、オリーブ油等を用いることができ、界面活性剤としてはグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルを用いることができる。この乳化植物油は、地盤中で徐々に分解されて有機酸(栄養材)となる。つまり、分散木炭粉と共に添加物を地盤に攪拌混合することで、VOC分解菌が地盤に供給された段階から、長期間に亘って栄養材を供給し続けることができる。このため、VOC分解菌をより効率よく活性化することができる。
===VOC分解試験について===
集菌木炭粉による汚染地盤の浄化作用を確認するべく、VOC分解試験を行った。以下、このVOC分解試験について説明する。
<<<試験区について>>>
VOC分解試験では、VOCとしてTCEを採用し、TCEを含有する地盤に対する集菌木炭粉の浄化作用について検討した。具体的には、表2に示す作製条件に基づいて試験区1乃至3を作製し、TCEを含有させた地盤に対して、分解菌液のみを混合した場合と、分解菌液と集菌していない木炭粉を混合した場合と、集菌木炭粉を混合した場合とについて比較検討を行った。尚、試験区1は、分解菌液のみが混合された汚染地盤に対応する。試験区2は、分解菌液と集菌していない木炭粉が混合された汚染地盤に対応する。試験区3は、集菌木炭粉が混合された汚染地盤に対応する。以下、試験区1乃至3の作製方法について説明する。
試験区1乃至3夫々を作製するにあたり、先ず、100mLのメジューム瓶内に湿土50gと、TCE飽和液80mLと、栄養材2mLと、pH緩衝剤5mLと、TCE原液0.1mLとを添加して調整(以下、第1調整という)を行った。
尚、TCE飽和溶液のTCE濃度は約1000mg/Lである。また、栄養材は乳化植物油と脱脂粉乳を9対1の割合で混合して25%の濃度にした溶液である。また、pH緩衝剤は5%の濃度の炭酸水素ナトリウム溶液である。
そして、試験区1の作製では、第1調整されたメジューム瓶内にさらに分解菌液10mLを添加した。また、試験区2の作製では、第1調整されたメジューム瓶内にさらに分解菌液10mL及び木炭粉4gを添加した。また、試験区3の作製では、第1調整されたメジューム瓶内にさらに集菌木炭粉を4g添加した。
次に、図5(a)乃至(c)において黒三角で示される経過日数まで静置した試験区1乃至3のメジューム瓶内に、試験区1では0.1mL、試験区2及び3では0.2mLのTCE原液を追添加した。これによって、試験区1乃至3夫々のTCE濃度が500〜700mg/Lとなるように調整(第2調整)を行った。尚、試験区2及び3では木炭粉にTCEが吸着される分、TCEの初期濃度が試験区1より低くなる。このため、第2調整を行うことで、試験区1乃至3の間に生じるTCEの初期濃度差を解消して、VOC分解菌によるTCE分解についての結果を比較することとした。
Figure 2011224432
<<<VOC分解試験結果について>>>
作製した試験区1乃至3を静置し、所定日数が経過するごとに夫々のメジューム瓶内のcis−DCE濃度及びTCE濃度を測定した。この測定の結果を図5(a)乃至(c)に示す。尚、VOC分解菌によってTCEが分解されるとcis−DCEが発生する。このため、cis−DCE濃度を測定することで、VOC分解菌によってTCEが分解されているか否かを確認できる。
図5(a)に示すように、試験区1では、試験開始日から日数が経過しても、TCE濃度が減少する傾向及びcis−DCE濃度が増加する傾向は見られない。よって、TCE濃度が500〜700mg/Lであるような高濃度VOCによって汚染された地盤では、分解菌液を直接混合しても、VOC分解菌によってVOCを分解することは困難であるといえる。
図5(b)に示すように、試験区2では、試験区1に比べると、TCE濃度が僅かに減少し、cis−DCE濃度が僅かに増加している。しかし、TCEが十分に分解されているとは言えず、高濃度VOCによって汚染された地盤に分解菌液と共に、集菌していない木炭粉を混合しても、VOCを十分に分解することは困難であるといえる。
図5(c)に示すように、試験区3では、試験区1及び2に比べて、TCE濃度が減少すると共に、cis−DCE濃度が大幅に増加している。つまり、TCEがVOC分解菌によって分解されていることが確認された。このため、高濃度VOCによって汚染された地盤であっても、集菌木炭粉を混合することで、VOCを分解して汚染地盤を浄化できることがわかる。
以上より、本実施形態に係る汚染地盤の浄化方法、すなわち、集菌工程においてVOC分解菌を集菌して集菌木炭粉を作製し、攪拌混合工程において集菌木炭粉を含む分散木炭粉を地盤に直接攪拌混合する浄化方法を用いると、地盤に効率よくVOC分解菌を供給でき、VOC分解菌を活性化することが困難な高濃度VOCによって汚染された地盤であっても原位置で効率よく浄化できることが確認できた。
さらに、VOCが蓄積しやすいにも拘わらず地下水の組上げが困難であり、原位置において地盤を浄化することが困難であった粘性土からなる地盤に対しても、攪拌混合工程によって分散木炭粉を地盤の深層まで直接混合することができる。よって、従来浄化が困難であった高濃度VOCによって汚染された粘性土地盤に対して特に効果的に適用できる。
また、本実施形態に係る汚染地盤の浄化方法では、木炭粉に吸着された状態でVOC分解菌を地盤に送り込むことができる。このため、高濃度VOCによって汚染された地盤のような、VOC分解菌が生息するのに適さない環境下でも、木炭粉がVOC分解菌の良好な繁殖場となり、VOC分解菌を活性化できる。よって、高濃度VOCによって汚染された地盤を効率よく浄化できる。
===汚染地盤の浄化材について===
また、本実施形態に係る汚染地盤の浄化材、すなわち、集菌工程で作製された集菌木炭粉を含有した分散木炭粉を地盤に攪拌混合すると、高濃度VOCによって汚染された地盤を効率よく浄化できることが確認できた。
===その他の実施形態について===
前述した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更、改良されると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
例えば、前述した汚染地盤の浄化方法は、木炭粉にVOC分解菌を集菌することとしたが、特にこれに限定されるものではない。粉末状の活性炭等、VOC分解菌を吸着する性質がある粉体にVOC分解菌を集菌すればよい。また、VOC分解菌は特に前述したものに限定されるものではなく、VOCを分解して無害化し、粉体に吸着される大きさの微生物であればよい。
また、前述した汚染地盤の浄化方法では、攪拌混合工程において、攪拌混合装置1を用いて地盤に分散木炭粉及び添加物を攪拌混合することとしたが、特にこれに限定されるものではない。例えば、汚染範囲Aが地盤の表層に存在する場合は、スタビライザやバックホウ等を用いて地盤を耕転することで、地盤に分散木炭粉及び添加物を攪拌混合してもよい。
また、前述した汚染地盤の浄化方法では、分散媒をゲル状の粘性を有する液体としたが、特にこれに限定されるものではない。例えば、ゾル状の液体等、攪拌混合工程を行う際に、集菌木炭粉を分散した状態で維持できる分散媒であればよい。
1…ろ過装置,2…フッ素樹脂バッグ,2a…排出口,3…ゴム栓,4…注射器,4a…開口,4b…先端部,5…木炭粉,6…脱脂綿,7…フラスコ,10…攪拌混合装置,11…中空攪拌軸,12…攪拌翼,12a…吐出口,13…掘削爪

Claims (5)

  1. 有機塩素化合物を分解する微生物によって、地盤に含まれる有機塩素化合物を原位置で分解して浄化する汚染地盤の浄化方法であって、
    前記微生物を吸着する粉体をろ材として前記微生物の培養液をろ別し、前記微生物を前記粉体に集菌する集菌工程と、
    前記微生物を集菌した粉体を前記地盤に攪拌混合する攪拌混合工程と、
    を行うことを特徴とする汚染地盤の浄化方法。
  2. 前記粉体は、粉末状の木炭であることを特徴とする請求項1に記載の汚染地盤の浄化方法。
  3. 前記攪拌混合工程では、前記微生物を集菌した粉体を分散媒に分散させて前記地盤に攪拌混合することを特徴とする請求項1又は2に記載の汚染地盤の浄化方法。
  4. 前記攪拌混合工程では、前記微生物を集菌した粉体と共に、前記微生物の栄養材となる乳化植物油を前記地盤に攪拌混合することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の汚染地盤の浄化方法。
  5. 汚染地盤に攪拌混合され、前記汚染地盤に含まれる有機塩素化合物を分解する汚染地盤の浄化材であって、
    前記有機化合物を分解する微生物の培養液をろ別することで作製され、前記微生物が集菌状態で吸着された粉体を含有することを特徴とする汚染地盤の浄化材。
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