JP2005021748A - 揮発性有機化合物の拡散防止壁及びその構築方法並びに揮発性有機化合物の浄化方法 - Google Patents
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Abstract
【目的】地下水や土壌を汚染している揮発性有機化合物を浄化する。
【構成】本発明に係る揮発性有機化合物の浄化方法においては、揮発性有機化合物で汚染された地盤2内の汚染領域3を活性炭の粉体32と攪拌混合する。活性炭の粉末32には、揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源を予め吸着させておく。汚染領域3を活性炭の粉体32と攪拌混合するには、例えばDJM工法を用いればよい。このようにすると、揮発性有機化合物で汚染された汚染領域3及び活性炭の粉体32は攪拌翼4で攪拌混合され、汚染領域3に含まれていた揮発性有機化合物は、活性炭の粉体32に吸着される。ここで、地盤2内の汚染領域3は、地下水位以上に位置する場合と、地下水位以下に位置する場合とが想定される。
【選択図】 図3
【構成】本発明に係る揮発性有機化合物の浄化方法においては、揮発性有機化合物で汚染された地盤2内の汚染領域3を活性炭の粉体32と攪拌混合する。活性炭の粉末32には、揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源を予め吸着させておく。汚染領域3を活性炭の粉体32と攪拌混合するには、例えばDJM工法を用いればよい。このようにすると、揮発性有機化合物で汚染された汚染領域3及び活性炭の粉体32は攪拌翼4で攪拌混合され、汚染領域3に含まれていた揮発性有機化合物は、活性炭の粉体32に吸着される。ここで、地盤2内の汚染領域3は、地下水位以上に位置する場合と、地下水位以下に位置する場合とが想定される。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、土壌又は地下水中に含まれる揮発性有機化合物の拡散防止壁及びその構築方法並びに揮発性有機化合物の浄化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
工場跡地の土壌内には、トリクロロエチレンなどの有機塩素系化合物で代表される揮発性有機化合物(VOC)が含まれていることがあり、このような土壌をそのまま放置すると、揮発性有機化合物が地下水を介して周辺に拡散するおそれがある。そのため、かかる汚染土壌あるいは汚染地下水に対しては所定の浄化処理を行わねばならない。
【0003】
揮発性有機化合物を除去処理する方法としては、従来からさまざまな方法が開発されており、例えば揮発性有機化合物で汚染された地下水を揚水して地上で処理する方法、汚染土壌に鉄粉や酸化剤を注入して揮発性有機化合物を分解する方法、微生物活性を利用したバイオレメディエーションによる方法、汚染土壌を掘削した後、気密空間内で曝気処理する方法などが知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−119952号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2001−205248号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の処理方法ではそれぞれ難点があり、例えば汚染された地下水を揚水する方法では、地盤の不均一性とも相まって汚染分布にばらつきがあるため、均一かつ確実な浄化が困難であるのみならず、揮発性有機化合物の濃度が高い場合、特に原液である場合には水への溶解度が小さいため、地下水をいくら揚水しても、原液の分布領域、言うなれば汚染源を浄化するには何十年という時間を要し、現実的ではない。
【0007】
また、揮発性有機化合物がトリクロロエチレン等の有機塩素化合物である場合に鉄粉が使われるが、かかる場合、有機塩素化合物がいったん水に溶解しなければ鉄粉との反応が進行しないため、はやり上述したと同じ理由で汚染源を根本的に浄化することは難しく、そもそも鉄粉自体、酸化被膜の生成等が原因となって数ヶ月で活性を失ってしまう。
【0008】
酸化剤の注入や微生物分解の場合にも、揮発性有機化合物の濃度が高い場合には、やはり水に溶けるのに何十年も要するため、汚染源の分解処理を完全に行うには、膨大な維持コストがかかる。
【0009】
さらに、汚染土壌を掘削曝気する方法は、浅い場合は有効であるが、深くなるにしたがって掘削に大きなコストがかかるとともに、地下水汚染には本来的に適さない。
【0010】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、揮発性有機化合物で汚染された地下水や土壌を均一かつ確実に浄化可能な揮発性有機化合物の浄化方法を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、地下水に含まれる揮発性有機化合物を均一かつ確実にしかも長期にわたって除去可能な揮発性有機化合物の拡散防止壁及びその構築方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る揮発性有機化合物の浄化方法は請求項1に記載したように、揮発性有機化合物で汚染された地盤内の汚染領域を活性炭又は木炭の粉粒体と攪拌混合する揮発性有機化合物の浄化方法であって、前記汚染領域が地下水位以上に位置するとともに、前記攪拌混合工程の前に前記揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源を前記活性炭又は木炭の粉粒体に予め吸着させるものである。
【0013】
また、本発明に係る揮発性有機化合物の浄化方法は請求項2に記載したように、揮発性有機化合物で汚染された地盤内の汚染領域を活性炭又は木炭の粉粒体と攪拌混合する揮発性有機化合物の浄化方法であって、前記汚染領域が地下水位以下に位置するとともに、前記攪拌混合工程の前に前記揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源を前記活性炭又は木炭の粉粒体に予め吸着させるものである。
【0014】
また、本発明に係る揮発性有機化合物の浄化方法は、中空攪拌軸の下端に取り付けられた攪拌翼を該中空攪拌軸の軸線廻りに回転させることによって該攪拌翼を前記地盤内の汚染領域内で掘削貫入し又は引抜きながら、前記中空攪拌軸内の搬送空間を介して活性炭又は木炭の粉粒体を該中空攪拌軸の吐出口又は前記攪拌翼の吐出口から噴出させるものである。
【0015】
また、本発明に係る揮発性有機化合物の浄化方法は、前記汚染領域が前記地盤の表層に位置する場合であって該表層を耕耘するものである。
【0016】
また、本発明に係る揮発性有機化合物の浄化方法は、揮発性有機化合物で汚染された地盤内の汚染領域を掘削し、掘削された処理対象土を気密空間にて活性炭又は木炭の粉粒体と攪拌混合して混合土とし、該混合土を埋め戻す揮発性有機化合物の浄化方法であって、前記攪拌混合工程の前に前記揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源を前記活性炭又は木炭の粉粒体に予め吸着させるものである。
【0017】
また、本発明に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁は請求項6に記載したように、揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源が予め吸着された活性炭又は木炭の粉粒体と土との混合体を地盤内に壁状に形成してなるものである。
【0018】
また、本発明に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁は、前記混合体をパイル状に形成して混合パイルとするとともに該混合パイルを柱列状に並べたものである。
【0019】
また、本発明に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁は、前記混合体内の前記活性炭又は木炭の粉粒体の混合量を地下水の流速、地下水内の揮発性有機化合物の濃度又は周囲の土質性状に応じて深さ方向に変化させたものである。
【0020】
また、本発明に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁構築方法は請求項9に記載したように、揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源が予め吸着された活性炭又は木炭の粉粒体と地盤の土とを原位置にて攪拌混合することで前記地盤内に前記土と前記粉粒体との混合体を形成するものである。
【0021】
また、本発明に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁構築方法は、中空攪拌軸の下端に取り付けられた攪拌翼を該中空攪拌軸の軸線廻りに回転させることによって該攪拌翼を前記地盤内で掘削貫入し又は引抜きながら、前記中空攪拌軸内の搬送空間を介して活性炭又は木炭の粉粒体を該中空攪拌軸の吐出口又は攪拌翼の吐出口から噴出させることによって前記混合体をパイル状に形成して混合パイルとするとともに該混合パイルを柱列状に並べるものである。
【0022】
本発明に係る揮発性有機化合物の浄化方法においては、揮発性有機化合物で汚染された地盤内の汚染領域あるいは該汚染領域から掘削された処理対象土を活性炭又は木炭の粉粒体と攪拌混合する。
【0023】
このようにすると、汚染領域に含まれていた揮発性有機化合物は、活性炭又は木炭の粉粒体に吸着されることとなり、かくして地盤内の汚染領域を浄化することができるとともに、揮発性有機化合物の大気への拡散や地下水への浸透を防止することができる。
【0024】
加えて、本発明に係る揮発性有機化合物の浄化方法においては、攪拌混合工程の前に揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源を活性炭又は木炭の粉粒体に予め吸着しておく。
【0025】
このようにすると、攪拌混合後、活性炭又は木炭の粉粒体に吸着した栄養源によって土中菌の微生物活性が高くなり、該土中菌は、粉粒体に吸着している揮発性有機化合物を分解除去する。
【0026】
また、本発明に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁においては、土と活性炭又は木炭の粉粒体との混合体を地盤内に壁状に形成してなるものであり、かかる揮発性有機化合物の拡散防止壁を構築する方法においては、地盤の土と活性炭又は木炭の粉粒体とを原位置にて攪拌混合することで前記地盤内に前記土と前記粉粒体との混合体を形成する。
【0027】
このようにすると、拡散防止壁に流入してきた地下水に含まれる揮発性有機化合物は、混合体内の活性炭又は木炭の粉粒体に吸着し、揮発性有機化合物が下流側に拡散するのを防止することができる。
【0028】
加えて、本発明に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁及びその構築方法においては、揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源が予め吸着された活性炭又は木炭の粉粒体を土と混合して混合体を形成する。
【0029】
このようにすると、混合体の形成後、活性炭又は木炭の粉粒体に吸着した栄養源によって土中菌の微生物活性が高くなり、該土中菌は、粉粒体に吸着している揮発性有機化合物を分解除去する。
【0030】
揮発性有機化合物(VOC)を活性炭に吸着させる技術は、本願出願時点で既に公知であることは言うまでもないが、それは、ガス化した揮発性有機化合物や、水中に溶けた揮発性有機化合物をいったんガス化させて活性炭に吸着させる点が公知になっているにすぎない。
【0031】
ここで、揚水された汚染地下水の浄化については、該地下水に溶けているVOCを曝気により空気連行させ、該空気に含まれている気相のVOCを活性炭に吸着させていた。
【0032】
しかしながら、揚水された地下水に溶けているVOCを除去するについては、そもそも本来的な難点があった。すなわち、VOCの水への溶解度がそもそも低いため(数百mg/kg〜2,000mg/kg)、直径1cm程度のVOCが汚染源である場合でも、該VOCは数年間にわたって地下水に溶出し続け、汚染源のVOCが原液であってその量が多い場合には、該VOCは、何十年もの間にわたって地下水に溶出し続ける。これは、揚水ポンプや活性炭吸着塔といった設備をやはり何十年にもわたって稼働し続けなければならないことを意味し、経済性の面であまりにも現実性に欠ける。
【0033】
掘削された汚染土からVOCを揮発させる技術についても、実際に揮発除去できるVOCの量は限界があり、土によってはかなりの量のVOCが土粒子に付着したまま、再度埋め戻される可能性がある。
【0034】
そのため、埋め戻し直後においては、VOCの溶出が確認されなかったとしても、その後、徐々に地下水に溶出していくこととなり、長期的には、揮発性有機化合物という汚染物質が地下水に溶出拡散する懸念があった。
【0035】
本出願人は、このような汚染源における揮発性有機化合物の地下水への溶出の問題を踏まえつつ、汚染源自体の浄化又は該汚染源から離れた箇所における地下水の浄化を低コストでかつ確実に行うことができないものかという点に着眼してさまざまな研究開発を行った結果、揮発性有機化合物で汚染された地盤内の汚染領域あるいは該汚染領域から掘削された処理対象土を活性炭又は木炭の粉粒体と攪拌混合すれば、汚染領域や処理対象土に含まれている揮発性有機化合物は、活性炭又は木炭の粉粒体に吸着し、汚染領域に属する汚染土壌や該汚染領域を流れる地下水あるいは処理対象土を浄化することができるという知見や、土と活性炭又は木炭の粉粒体との混合体を地盤内に壁状に形成してなる揮発性有機化合物の拡散防止壁であれば、該拡散防止壁を通過する地下水に含まれている揮発性有機化合物は、混合体内の活性炭又は木炭の粉粒体に吸着し、かくして揮発性有機化合物の下流への拡散を防止することができるという知見を得るに至った。
【0036】
活性炭吸着に関する本願出願当時の公知技術の水準は、上述した点にとどまっており、VOCで汚染された地盤内の汚染領域を活性炭又は木炭の粉粒体と混合して攪拌することにより、土粒子表面や土粒子間隙に存在するVOCを活性炭又は木炭の粉粒体に直接吸着させることが可能となるという知見や、土と活性炭又は木炭の粉粒体との混合体を地盤内に壁状に形成してなる揮発性有機化合物の拡散防止壁により、該拡散防止壁を通過する地下水のVOCを混合体内の活性炭又は木炭の粉粒体に直接吸着させることが可能となるという知見は、産業上きわめて有用な知見であることを付言しておく。
【0037】
もちろん、地下水位以下にVOCが存在する場合には、VOCがいったん地下水に溶けてから活性炭に吸着するため、VOCの処理に長期間を要することは免れないが、汚染領域内の土を活性炭又は木炭の粉粒体と混合して攪拌した後は、維持設備やメンテナンスが一切不要であるという点で、本願発明は従来技術と歴然とした相違がある点も併せて申し述べる。
【0038】
加えて、本出願人は、活性炭又は木炭の粉粒体に吸着したVOCをそのまま吸着させておくのではなく、これを分解除去することができないかという点に着眼してさまざまな研究開発を行った結果、揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源を予め活性炭又は木炭の粉粒体に吸着させておけば、活性炭又は木炭の粉粒体に吸着した栄養源によって土中菌の微生物活性が高くなり、該土中菌が、粉粒体に吸着している揮発性有機化合物を分解除去し、かくして汚染土壌や汚染地下水の根本的浄化が可能になるという顕著な作用効果を有するきわめて有益な知見を得るに至った。
【0039】
VOC(Volatile Organic Compounds)とも呼ばれる揮発性有機化合物には、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,3−ジクロロプロペン、ベンゼンなどが含まれる。
【0040】
地盤内の汚染領域とは、VOCで汚染された地盤内の土壌範囲を意味するが、領域内の土壌自体が汚染されている場合だけではなく、領域内の土壌が汚染されていなくても領域内に流入しあるいは領域内に滞留する地下水が汚染されている場合をも含む。言い換えれば、活性炭又は木炭の粉粒体と攪拌混合される土は、汚染土である場合のみならず、非汚染土である場合も含む。
【0041】
粉粒体には、いわゆる粉体をはじめ、例えば数mm〜1cm程度の粒径をもつ粒体も含まれる。
【0042】
地盤内の汚染領域は、地下水位以上に位置する場合と、地下水位以下に位置する場合とがあるが、地下水位以上に位置する場合、揮発性有機化合物は、原液から直接揮発するにしろ、土中水(間隙水)を介して揮発するにしろ、最終的には土粒子間の空隙内で揮発して活性炭又は木炭の粉粒体に吸着するため、比較的速く処理される。なお、本発明においては、地盤内の汚染領域を攪拌混合するため、汚染領域の土質が例えば粘土質地盤であっても、十分な空隙を確保することができる。
【0043】
それに対し、地下水位以下に位置する場合、地下水に溶けているVOCは、水中で活性炭又は木炭の粉粒体に吸着する。
【0044】
そのため、処理期間としては従来と同様、かなりの期間を要することになるが、いったん地盤内の汚染領域を活性炭又は木炭の粉粒体と攪拌混合した後については、地下水の揚水設備やガス化した揮発性有機化合物を活性炭吸着塔に送り込む搬送設備といった従来であれば必須の設備は、本願発明では一切不要であってメンテナンスの必要もない。
【0045】
揮発性有機化合物を分解できる土中菌として、例えば、トリクロロエチレンを微生物分解可能な分解菌としては、メタン資化性菌であるメチロシナス トリコスポリウム(Methylosinus tricosporium)OB3(特表平4−501667、特開平5−212371)やメチロシナス トリコスポリウム(Methylosinus tricosporium)TUKUBA(特開平2−92274、特開平3−292970)、シュードモナス属であるシュードモナス プチダ(Pseudomonus putida)F1(特開昭64−34499)、シュードモナス プチダ(Pseudomonus putida)BH(藤田ら;ケミカルエンジニアリング,39,6,p494−498,1994)、シュードモナス プチダ(Pseudomonus putida)UC−R5,UC−P2(特開昭62−84780)、シュードモナス プチダ(Pseudomonus putida)KWI−9(特開平6−70753)、シュードモナス メンドシナ(Pseudomonus mendocina)KR1(特開平2−503866,5−502593)、シュードモナス セパシア(Pseudomonus cepacia)G4(特開平4−502277)、シュードモナス セパシア(Pseudomonus cepacia)KK01(特開平6−296711)、アルカリジーナス ユートロフス(Alcaligenes eutropus)JMP134(A.R.Harker Appl.Environ.Microbiol.,56,4,1179−1181,1990)、アルカリジーナス ユートロフス(Alcaligenes eutropus)KS01(特開平7−123976)、アンモニア酸化細菌であるニトロソモナス ユーロパエア(Nitrosomonus europaea)(D.Arciero et al.Biochem.Biophys.Res.Commun.,159,2,640−643,1989)、コリネバクテリウム属細菌(Corynebacterium)J1(特開平8−66182)等が知られている。
【0046】
また、MO7株(国際出願番号PCT/JP97/02872、国際公開番号WO98/07831、FERM BP―5624)を用いれば、上述した細菌よりも高い効率でかつ直接的にトリクロロエチレンを分解することができることも知られている。
【0047】
土中菌の栄養源としては、例えば糖類や乳酸などの有機物などから適宜選択すればよい。
【0048】
揮発性有機化合物で汚染された地盤内の汚染領域を活性炭又は木炭の粉粒体といかにして攪拌混合するかは任意であるが、例えば、軟弱地盤中に粉粒体の改良材を供給して原位置土と攪拌混合するDJM工法を用いることが可能である。
【0049】
すなわち、中空攪拌軸の下端に取り付けられた攪拌翼を該中空攪拌軸の軸線廻りに回転させることによって該攪拌翼を前記地盤内の汚染領域内で掘削貫入し又は引抜きながら、前記中空攪拌軸内の搬送空間を介して活性炭又は木炭の粉粒体を該中空攪拌軸の吐出口又は攪拌翼の吐出口から噴出させるようにすれば、汚染領域と粉粒体とを攪拌混合することができる。
【0050】
また、汚染領域が地盤の表層に存在する場合においては、該表層を活性炭又は木炭の粉粒体とともにスタビライザーやバックホウ等を用いて耕耘して攪拌混合しても、上述したと同様な作用効果を得ることができる。
【0051】
一方、上述した原位置での攪拌混合ではなく、揮発性有機化合物で汚染された地盤内の汚染領域を掘削し、掘削された処理対象土を活性炭又は木炭の粉粒体と攪拌混合して混合土とし、該混合土を埋め戻すようにしてもよい。
【0052】
埋め戻した後の作用については、地下水以上と地下水位以下について分けて説明した上述の作用と同様である。なお、表層の耕耘や汚染領域の掘削あるいは掘削された処理対象土の攪拌混合は、大気への飛散を防止すべく気密空間内で行うのが望ましい。
【0053】
本願発明が対象とする揮発性有機化合物の種類については既に述べた通りであるが、その濃度については、高濃度であるほど、特に濃度100%の原液である場合、従来技術との作用効果の相違は顕著である。
【0054】
すなわち、濃度100%の原液の場合、水への溶解には非常に時間がかかり、場合によっては何十年という月日を要するため、従来技術では設備の維持に膨大なコストが必要となるが、本願発明の場合には、上述したように維持設備は一切不要であり、本願発明の優位性は明らかである。
【0055】
本発明に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁において、前記混合体内の前記活性炭又は木炭の粉粒体の混合量を地下水の流速、地下水内の揮発性有機化合物の濃度又は周囲の土質性状に応じて深さ方向に変化させた場合、下流への揮発性有機化合物の拡散をより確実かつ合理的に防止することが可能となる。
【0056】
また、本発明に係る拡散防止壁構築方法において、地盤の土をどのように活性炭又は木炭の粉粒体と原位置にて攪拌混合し、また、どのように地盤内に土と粉粒体との混合体を形成するかは任意であるが、例えば、軟弱地盤中に粉粒体の改良材を供給して原位置土と攪拌混合するDJM工法を用いることが可能である。
【0057】
すなわち、中空攪拌軸の下端に取り付けられた攪拌翼を該中空攪拌軸の軸線廻りに回転させることによって該攪拌翼を前記地盤内で掘削貫入し又は引抜きながら、前記中空攪拌軸内の搬送空間を介して活性炭又は木炭の粉粒体を該中空攪拌軸の吐出口又は攪拌翼の吐出口から噴出させることによって前記混合体をパイル状に形成して混合パイルとするとともに該混合パイルを柱列状に並べるようにすればよい。
【0058】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁及びその構築方法並びに揮発性有機化合物の浄化方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0059】
(第1実施形態)
【0060】
図1乃至図3は、本実施形態に係る揮発性有機化合物の浄化方法を実施する手順を示した図である。これらの図でわかるように、本実施形態に係る揮発性有機化合物の浄化方法においては、まず、活性炭の粉末に揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源を予め吸着させておく。
【0061】
栄養源は、分解対象とする揮発性有機化合物の種類や分解菌の種類に応じて適宜選択し、例えば糖類や乳酸などの有機物とすればよい。
【0062】
ここで、栄養源を活性炭の粉末に吸着させすぎると、揮発性有機化合物を吸着させることができなくなるので、栄養源と揮発性有機化合物の吸着割合については、室内実験等を行って適宜定めるのが望ましい。
【0063】
次に、揮発性有機化合物で汚染された地盤内の汚染領域を活性炭の粉体と攪拌混合する。
【0064】
汚染領域を活性炭の粉体と攪拌混合するには、DJM工法を用いればよい。すなわち、まず、図1に示すようにベースマシン(図示せず)に鉛直軸線廻りに回動自在に吊持された中空攪拌軸1を地盤2内に分布する汚染領域3の上方にくるように位置決めする。
【0065】
次に、中空攪拌軸1を掘削方向に鉛直軸線廻りに回転させることにより、該中空攪拌軸の下端に取り付けられた攪拌翼4を回転させる。
【0066】
ここで、攪拌翼4の下面には掘削ビット5を斜め下方に突設させてあるので、攪拌翼4を掘削方向に回転させることにより、地盤2を下方に掘削しながら中空攪拌軸1及び攪拌翼4を該地盤内に貫入することができる。
【0067】
図2は、汚染領域3を通過するまで中空攪拌軸1及び攪拌翼4を地盤2内に貫入させた様子を示したものであり、攪拌翼4が通過した領域は攪乱領域6となる。
【0068】
次に、図3に示すように中空攪拌軸1及び攪拌翼4を逆回転させながら、それらを攪乱領域6から引き抜くが、かかる引抜き工程においては、中空攪拌軸1内の搬送空間を介して搬送されてきた活性炭の粉体32を攪拌翼4に設けられた吐出口31から噴出させる。
【0069】
このようにすると、揮発性有機化合物で汚染された汚染領域3及び活性炭の粉体32は、攪拌翼4で攪拌混合され、汚染領域3の土壌に含まれていた揮発性有機化合物や、汚染領域3に流入又は滞留する地下水に含まれていた揮発性有機化合物は、活性炭の粉体32に吸着される。
【0070】
ここで、地盤2内の汚染領域3は、地下水位以上に位置する場合と、地下水位以下に位置する場合とが想定されるが、地下水位以上に位置する場合、揮発性有機化合物は、土粒子間の空隙内で揮発して活性炭の粉体32に吸着するため、比較的速く処理される。
【0071】
それに対し、汚染領域3が地下水位以下に位置する場合、該汚染領域内の揮発性有機化合物は地下水にいったん溶けた後、水中で活性炭の粉体32に吸着する。
【0072】
そのため、処理期間としては従来と同様、かなりの期間を要することになるが、いったん地盤2内の汚染領域3を活性炭の粉体32と攪拌混合した後については、地下水の揚水設備やガス化した揮発性有機化合物を活性炭吸着塔に送り込む搬送設備といった従来であれば必須の設備は、本実施形態に係る揮発性有機化合物の浄化方法では一切不要であってメンテナンスの必要もない。
【0073】
一方、揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源を活性炭の粉体32に予め吸着しておくと、攪拌混合後、活性炭の粉体32に吸着した栄養源によって土中菌の微生物活性が高くなり、該土中菌は、粉体32に吸着している揮発性有機化合物を分解除去する。
【0074】
以上説明したように、本実施形態に係る揮発性有機化合物の浄化方法によれば、揮発性有機化合物で汚染された地盤2内の汚染領域3を活性炭の粉体32と攪拌混合するようにしたので、汚染領域3の土壌に含まれていた揮発性有機化合物や、汚染領域3に流入又は滞留する地下水に含まれていた揮発性有機化合物を活性炭の粉体32に吸着させることができる。
【0075】
加えて、活性炭の粉体32にいったん吸着した揮発性有機化合物は、周囲が土粒子間の空隙であろうと地下水であろうと活性炭の粉体32から遊離することはなく、かくして汚染領域3内の汚染土壌や汚染地下水を浄化することが可能となる。
【0076】
また、本実施形態に係る揮発性有機化合物の浄化方法によれば、揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源を活性炭の粉体32に予め吸着しておくようにしたので、攪拌混合後、活性炭の粉体32に吸着した栄養源によって土中菌の微生物活性が高くなり、該土中菌は、粉体32に吸着している揮発性有機化合物を分解除去する。
【0077】
そのため、汚染領域3内の汚染土壌や汚染地下水を根本的に浄化することが可能となる。
【0078】
本実施形態では特に言及しなかったが、揮発性有機化合物の濃度が高濃度であるほど、特に濃度100%の原液である場合には、従来技術との作用効果の相違は顕著である。
【0079】
すなわち、濃度100%の原液の場合、水への溶解には非常に時間がかかり、場合によっては何十年という月日を要するため、従来技術では設備の維持に膨大なコストが必要となるが、本実施形態では、上述したように維持設備は一切不要である。
【0080】
また、本実施形態では、汚染領域3が地盤2の所定の深さ、例えば数十mの深さに位置することを前提としたが、揮発性有機化合物の汚染領域が地盤の表層に存在する場合においては、該表層を活性炭又は木炭の粉粒体とともにスタビライザーやバックホウ等を用いて耕耘して攪拌混合しても、上述した実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0081】
なお、表層を耕耘することで該表層と活性炭又は木炭の粉粒体とを攪拌混合する際には、大気への飛散を防止すべく気密空間内で行うのが望ましい。
【0082】
また、本実施形態では、攪拌混合の手段として軟弱地盤改良で用いられるDJM工法を転用するようにしたが、揮発性有機化合物で汚染された汚染領域と活性炭又は木炭の粉粒体とを混合する装置や方法は任意であり、例えばCDM工法を転用するようにしてもよい。
【0083】
CDM工法についても軟弱地盤改良のための公知の方法であり、その内容の説明は省略するが、本発明に適用するにあたっては、活性炭又は木炭の粉粒体を予め水に添加してスラリー化し、これを揮発性有機化合物で汚染された汚染領域に送り込むとともに該汚染領域と攪拌混合するようにすればよい。
【0084】
また、このように軟弱地盤改良用装置では掘削できない、あるいは掘削効率が悪い地盤、言い換えれば地耐力が大きくて良好な地盤内に汚染領域が拡がっている場合には、例えばアースオーガーで地盤を掘削しながら、その先端から活性炭又は木炭の粉粒体が予め水に添加されてなるスラリーを噴出することで汚染領域と活性炭又は木炭の粉粒体とを攪拌混合すればよい。
【0085】
いずれにしろ、攪拌混合手段は、地盤の土質性状、汚染領域の深さ等を勘案して公知の手段から適宜選択すればよい。
【0086】
また、本実施形態及びその変形例では、汚染領域と活性炭又は木炭の粉粒体との攪拌混合を原位置で行うようにしたが、必ずしも原位置で行う必要はない。
【0087】
すなわち、揮発性有機化合物で汚染された地盤内の汚染領域を掘削して処理対象土とし、次いで、該処理対象土を地上にて活性炭又は木炭の粉粒体と攪拌混合して混合土とし、該混合土を埋め戻すようにしてもかまわない。
【0088】
埋め戻した後の作用については、上述した実施形態と同様であるので、ここではその説明を省略するが、汚染領域の掘削や、掘削された処理対象土の攪拌混合は、大気への飛散を防止すべく気密空間内で行うのが望ましい。
【0089】
【実施例1】
まず、活性炭を添加することによって地下水環境基準をクリアすることができるかどうかの溶出試験を行ったので、以下にその概要と結果を説明する。
【0090】
試験方法としては、土壌1m3 当りのテトラクロロエチレン含有量が1.6gの汚染土壌1Lに対して2gの粉末活性炭を添加し、次いで、水を200mL加えてガラス瓶に入れ、これを密閉保存して攪拌した。
【0091】
活性炭添加1日、2日後に土中水を採取してテトラクロロエチレン濃度を分析した結果を表1に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
同表でわかるように、土中水中のテトラクロロエチレンの濃度は、初日は0.3mg/Lであったが、活性炭添加1日後には0.003mg/L、2日後には0.001mg/L以下となり、地下水環境基準である0.01mg/Lを1日後にはクリアできることがわかった。
【0094】
【実施例2】
次に、テトラクロロエチレン汚染土壌を試験土壌として活性炭の作用効果を調べた。ここで、試験土壌は、攪拌・曝気処理を行うことで「土壌環境基準」で定められた浄化を完了した土壌であり、4時間の溶出試験ではテトラクロロエチレンの溶出が環境基準値0.01mg/Lの1/10にとどまった土壌である。
【0095】
すなわち、試験土壌は、地下水環境基準をクリアしている。
【0096】
しかしながら、かかる試験土壌には、土1m3当り4gのテトラクロロエチレンを含有しているため、そのまま埋め戻すと、長期的には地下水に溶出し、地下水中のテトラクロロエチレン濃度を上昇させることが懸念される。
【0097】
そこで、本発明の効果を調べるべく、試験土壌に活性炭4kgを添加した後、水で飽和させて1ヶ月間、土中水のテトラクロロエチレン濃度を分析した。なお、活性炭量は、試験土壌1m3に含まれるテトラクロロエチレンをすべて吸着させるだけの量とした。
【0098】
結果を図4に示す。
【0099】
同図でわかるように、活性炭を入れない試験土壌の場合、土中水のテトラクロロエチレン濃度は溶出によって上昇し、地下水環境基準を大きく上回った。
【0100】
これに対し、活性炭を入れた試験土壌は、土中水のテトラクロロエチレン濃度が定量可能な限界値未満である。
【0101】
同図から、地下水環境基準をいったんクリアした土壌であっても、その後、地下水に揮発性有機化合物が溶出することや、そのような土壌であっても活性炭粉末を予め添加混合しておけば、テトラクロロエチレンを吸着させることで溶出を防止することができることがわかる。
【0102】
(第2実施形態)
【0103】
次に、本発明に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁及びその構築方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0104】
図5は、本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁を示した図である。同図でわかるように、本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁51は、土52と活性炭の粉体53との混合体54をパイル状に形成して混合パイルとするとともに、該混合パイルを柱列状に並べて地盤55内に壁状に形成してなる。
【0105】
ここで、活性炭の粉体53には、混合体54を形成する前に揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源を予め吸着させておく。
【0106】
栄養源は、分解対象とする揮発性有機化合物の種類や分解菌の種類に応じて適宜選択し、例えば糖類や乳酸などの有機物とすればよい。
【0107】
ここで、栄養源を活性炭の粉末に吸着させすぎると、揮発性有機化合物を吸着させることができなくなるので、栄養源と揮発性有機化合物の吸着割合については、室内実験等を行って適宜定めるのが望ましい。
【0108】
図6乃至図8は、本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁1を構築する手順を示した図である。これらの図でわかるように、本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁51を構築するには、まず、揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源が予め吸着された活性炭の粉体53と地盤の土52とを原位置にて攪拌混合することで地盤55内に土52と活性炭の粉体53との混合体54をパイル状に形成して混合パイルとするとともに該混合パイルを柱列状に並べる。
【0109】
土52と活性炭の粉体53とを攪拌混合するには、DJM工法を用いればよい。すなわち、まず、図6に示すようにベースマシン(図示せず)に鉛直軸線廻りに回動自在に吊持された中空攪拌軸61を拡散防止壁51の構築予定領域の上方にくるように位置決めする。
【0110】
拡散防止壁51は、VOCが存在する汚染源の下流側に構築するのがよい。また、拡散防止壁51を構成する混合パイルの直径や混合パイル中の活性炭の粉体量は、地下水の流速や汚染濃度を考慮して適宜定める。
【0111】
次に、中空攪拌軸61を掘削方向に鉛直軸線廻りに回転させることにより、該中空攪拌軸の下端に取り付けられた攪拌翼64を回転させる。
【0112】
ここで、攪拌翼64の下面には掘削ビット65を斜め下方に突設させてあるので、攪拌翼64を掘削方向に回転させることにより、地盤55を下方に掘削しながら中空攪拌軸61及び攪拌翼64を該地盤内に貫入することができる。
【0113】
図7は、中空攪拌軸61及び攪拌翼64を地盤55内に貫入させた様子を示したものであり、攪拌翼64が通過した領域は攪乱領域71となる。
【0114】
次に、図8に示すように中空攪拌軸61及び攪拌翼64を逆回転させながら、それらを攪乱領域71から引き抜くが、かかる引抜き工程においては、中空攪拌軸61内の搬送空間を介して搬送されてきた活性炭の粉体53を攪拌翼64に設けられた吐出口81から噴出させる。
【0115】
このようにすると、土52と活性炭の粉体53との混合体54が地盤55内にパイル状に形成され混合パイルとなる。
【0116】
以下、あらたな混合パイルを上述したと同様の手順で順次構築しながら各混合パイルを柱列状に並べ、図5に示した拡散防止壁51を構築する。
【0117】
本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁及びその構築方法においては、拡散防止壁1に流入してきた地下水に含まれる揮発性有機化合物は、混合体4内の活性炭の粉体3に吸着する。
【0118】
加えて、本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁及びその構築方法においては、揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源が予め吸着された活性炭の粉体53を土52と混合して混合体54を形成する。
【0119】
このようにすると、混合体54の形成後、活性炭の粉体53に吸着した栄養源によって土中菌の微生物活性が高くなり、該土中菌は、粉体53に吸着している揮発性有機化合物を分解除去する。
【0120】
以上説明したように、本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁及びその構築方法によれば、拡散防止壁51に流入してきた地下水に含まれる揮発性有機化合物は、混合体54内の活性炭の粉体53に吸着し、揮発性有機化合物が下流側に拡散するのを防止することが可能となる。
【0121】
また、本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁及びその構築方法によれば、汚染源のVOCが例えば原液である場合において、何十年もの間、汚染源から溶出したVOCが地下水を汚染し続けたとしても、地下水中のVOCを活性炭の粉体53に吸着させることでVOCの下流への拡散を長期間防止することができる。
【0122】
もちろん、かかる長期の間には、粉体53の吸着機能が低下し、拡散防止壁51を再構築せねばならない場合も想定されるが、地下水の揚水設備やガス化した揮発性有機化合物を活性炭吸着塔に送り込む搬送設備といった従来であれば必須の設備を維持し続けることに比べれば、本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁51は、そのような維持コストが一切不要であってメンテナンスの必要もなく、全体の経済性ははるかに優れる。
【0123】
また、本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁及びその構築方法によれば、混合体54を土52と活性炭の粉体53とを攪拌混合して形成するようにしたので、一定の透水性が確保され、地下水の流れを阻害する懸念もない。
【0124】
また、本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁及びその構築方法によれば、揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源が予め吸着された活性炭の粉体53を土52と混合して混合体54を形成するようにしたので、混合体54の形成後、活性炭の粉体53に吸着した栄養源によって土中菌の微生物活性が高くなり、該土中菌は、粉体53に吸着している揮発性有機化合物を分解除去する。
【0125】
そのため、拡散防止壁51に流入してきた汚染地下水を根本的に浄化することが可能となる。
【0126】
本実施形態では、攪拌混合の手段として軟弱地盤改良で用いられるDJM工法を転用するようにしたが、土と活性炭又は木炭の粉粒体とを攪拌混合する装置や方法は任意であり、例えばCDM工法を転用するようにしてもよい。
【0127】
CDM工法についても軟弱地盤改良のための公知の方法であり、その内容の説明は省略するが、本発明に適用するにあたっては、活性炭又は木炭の粉粒体を予め水に添加してスラリー化し、これを拡散防止壁の構築予定領域に送り込むとともに該構築予定領域の土と原位置で攪拌混合するようにすればよい。
【0128】
また、このように軟弱地盤改良用装置では掘削できない、あるいは掘削効率が悪い地盤、言い換えれば地耐力が大きくて良好な地盤内に拡散防止壁を構築する場合には、例えばアースオーガーで地盤を掘削しながら、その先端から活性炭又は木炭の粉粒体が予め水に添加されてなるスラリーを噴出することで土と活性炭又は木炭の粉粒体とを攪拌混合すればよい。
【0129】
いずれにしろ、攪拌混合手段は、地盤の土質性状や深さ等を勘案して公知の手段から適宜選択すればよい。
【0130】
また、本実施形態及びその変形例では、地盤の土と活性炭又は木炭の粉粒体との攪拌混合を原位置で行うことで拡散防止壁を構築するようにしたが、攪拌混合を必ずしも原位置で行う必要はない。
【0131】
すなわち、拡散防止壁の構築予定領域を掘削し、該掘削土を地上にて活性炭又は木炭の粉粒体と攪拌混合して混合土とし、該混合土を埋め戻して混合体を形成するようにしてもかまわない。
【0132】
埋め戻した後の作用については、上述した実施形態と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0133】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、拡散防止壁51は必ずしも直壁(湾曲していない壁)である必要はなく、湾曲壁でもよい。特に、VOCが原液で存在する高濃度汚染源の下流側に構築する場合には、該汚染源を取り囲むように湾曲状の拡散防止壁を構築するのが望ましい。
【0134】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、混合体54内における活性炭の粉体53の混合量を地下水の流速、地下水内の揮発性有機化合物の濃度又は周囲の土質性状に応じて深さ方向に変化させるようにしてもよい。
【0135】
かかる構成によれば、下流への揮発性有機化合物の拡散をより確実かつ合理的に防止することが可能となる。
【0136】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る揮発性有機化合物の浄化方法によれば、揮発性有機化合物で汚染された地盤内の汚染領域を活性炭又は木炭の粉粒体と攪拌混合するようにしたので、汚染領域の土壌に含まれていた揮発性有機化合物や、汚染領域に流入又は滞留する地下水に含まれていた揮発性有機化合物を活性炭又は木炭の粉粒体に吸着させることが可能となり、汚染領域内の汚染土壌や汚染地下水を浄化することができる。
【0137】
ここで、上述した粉粒体にいったん吸着した揮発性有機化合物は、周囲が土粒子間の空隙であろうと地下水であろうと遊離することはなく、かくして、維持設備や維持コストを全く要せずして、汚染領域内の汚染土壌や汚染地下水を浄化することが可能となる。また、吸着した揮発性有機化合物は、土中菌によって分解されるため、汚染土壌や汚染地下水を根本的に浄化することが可能となる。
【0138】
また、本発明に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁及びその構築方法によれば、拡散防止壁に流入してきた地下水に含まれる揮発性有機化合物は、混合体内の活性炭又は木炭の粉粒体に吸着し、揮発性有機化合物が下流側に拡散するのを防止することが可能となる。また、吸着した揮発性有機化合物は、土中菌によって分解されるため、流入してきた汚染地下水を根本的に浄化することが可能となる。
【0139】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る揮発性有機化合物の浄化方法の手順を示した作業図。
【図2】引き続き本実施形態に係る揮発性有機化合物の浄化方法の手順を示した作業図。
【図3】引き続き本実施形態に係る揮発性有機化合物の浄化方法の手順を示した作業図。
【図4】本実施形態に係る揮発性有機化合物の浄化方法の作用効果を示すグラフ。
【図5】本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁を示した図であり、(a)は鉛直断面図、(b)はA−A線に沿う断面図。
【図6】本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁の構築手順を示した作業図。
【図7】引き続き本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁の構築手順を示した作業図。
【図8】引き続き本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁の構築手順を示した作業図。
【符号の説明】
1 中空攪拌軸
2 地盤
3 汚染領域
4 攪拌翼
32 活性炭の粉体(活性炭又は木炭の粉粒体)
51 拡散防止壁
52 土
53 活性炭の粉体(活性炭又は木炭の粉粒体)
54 混合体
55 地盤
61 中空攪拌軸
64 攪拌翼
【発明の属する技術分野】
本発明は、土壌又は地下水中に含まれる揮発性有機化合物の拡散防止壁及びその構築方法並びに揮発性有機化合物の浄化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
工場跡地の土壌内には、トリクロロエチレンなどの有機塩素系化合物で代表される揮発性有機化合物(VOC)が含まれていることがあり、このような土壌をそのまま放置すると、揮発性有機化合物が地下水を介して周辺に拡散するおそれがある。そのため、かかる汚染土壌あるいは汚染地下水に対しては所定の浄化処理を行わねばならない。
【0003】
揮発性有機化合物を除去処理する方法としては、従来からさまざまな方法が開発されており、例えば揮発性有機化合物で汚染された地下水を揚水して地上で処理する方法、汚染土壌に鉄粉や酸化剤を注入して揮発性有機化合物を分解する方法、微生物活性を利用したバイオレメディエーションによる方法、汚染土壌を掘削した後、気密空間内で曝気処理する方法などが知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−119952号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2001−205248号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の処理方法ではそれぞれ難点があり、例えば汚染された地下水を揚水する方法では、地盤の不均一性とも相まって汚染分布にばらつきがあるため、均一かつ確実な浄化が困難であるのみならず、揮発性有機化合物の濃度が高い場合、特に原液である場合には水への溶解度が小さいため、地下水をいくら揚水しても、原液の分布領域、言うなれば汚染源を浄化するには何十年という時間を要し、現実的ではない。
【0007】
また、揮発性有機化合物がトリクロロエチレン等の有機塩素化合物である場合に鉄粉が使われるが、かかる場合、有機塩素化合物がいったん水に溶解しなければ鉄粉との反応が進行しないため、はやり上述したと同じ理由で汚染源を根本的に浄化することは難しく、そもそも鉄粉自体、酸化被膜の生成等が原因となって数ヶ月で活性を失ってしまう。
【0008】
酸化剤の注入や微生物分解の場合にも、揮発性有機化合物の濃度が高い場合には、やはり水に溶けるのに何十年も要するため、汚染源の分解処理を完全に行うには、膨大な維持コストがかかる。
【0009】
さらに、汚染土壌を掘削曝気する方法は、浅い場合は有効であるが、深くなるにしたがって掘削に大きなコストがかかるとともに、地下水汚染には本来的に適さない。
【0010】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、揮発性有機化合物で汚染された地下水や土壌を均一かつ確実に浄化可能な揮発性有機化合物の浄化方法を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、地下水に含まれる揮発性有機化合物を均一かつ確実にしかも長期にわたって除去可能な揮発性有機化合物の拡散防止壁及びその構築方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る揮発性有機化合物の浄化方法は請求項1に記載したように、揮発性有機化合物で汚染された地盤内の汚染領域を活性炭又は木炭の粉粒体と攪拌混合する揮発性有機化合物の浄化方法であって、前記汚染領域が地下水位以上に位置するとともに、前記攪拌混合工程の前に前記揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源を前記活性炭又は木炭の粉粒体に予め吸着させるものである。
【0013】
また、本発明に係る揮発性有機化合物の浄化方法は請求項2に記載したように、揮発性有機化合物で汚染された地盤内の汚染領域を活性炭又は木炭の粉粒体と攪拌混合する揮発性有機化合物の浄化方法であって、前記汚染領域が地下水位以下に位置するとともに、前記攪拌混合工程の前に前記揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源を前記活性炭又は木炭の粉粒体に予め吸着させるものである。
【0014】
また、本発明に係る揮発性有機化合物の浄化方法は、中空攪拌軸の下端に取り付けられた攪拌翼を該中空攪拌軸の軸線廻りに回転させることによって該攪拌翼を前記地盤内の汚染領域内で掘削貫入し又は引抜きながら、前記中空攪拌軸内の搬送空間を介して活性炭又は木炭の粉粒体を該中空攪拌軸の吐出口又は前記攪拌翼の吐出口から噴出させるものである。
【0015】
また、本発明に係る揮発性有機化合物の浄化方法は、前記汚染領域が前記地盤の表層に位置する場合であって該表層を耕耘するものである。
【0016】
また、本発明に係る揮発性有機化合物の浄化方法は、揮発性有機化合物で汚染された地盤内の汚染領域を掘削し、掘削された処理対象土を気密空間にて活性炭又は木炭の粉粒体と攪拌混合して混合土とし、該混合土を埋め戻す揮発性有機化合物の浄化方法であって、前記攪拌混合工程の前に前記揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源を前記活性炭又は木炭の粉粒体に予め吸着させるものである。
【0017】
また、本発明に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁は請求項6に記載したように、揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源が予め吸着された活性炭又は木炭の粉粒体と土との混合体を地盤内に壁状に形成してなるものである。
【0018】
また、本発明に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁は、前記混合体をパイル状に形成して混合パイルとするとともに該混合パイルを柱列状に並べたものである。
【0019】
また、本発明に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁は、前記混合体内の前記活性炭又は木炭の粉粒体の混合量を地下水の流速、地下水内の揮発性有機化合物の濃度又は周囲の土質性状に応じて深さ方向に変化させたものである。
【0020】
また、本発明に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁構築方法は請求項9に記載したように、揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源が予め吸着された活性炭又は木炭の粉粒体と地盤の土とを原位置にて攪拌混合することで前記地盤内に前記土と前記粉粒体との混合体を形成するものである。
【0021】
また、本発明に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁構築方法は、中空攪拌軸の下端に取り付けられた攪拌翼を該中空攪拌軸の軸線廻りに回転させることによって該攪拌翼を前記地盤内で掘削貫入し又は引抜きながら、前記中空攪拌軸内の搬送空間を介して活性炭又は木炭の粉粒体を該中空攪拌軸の吐出口又は攪拌翼の吐出口から噴出させることによって前記混合体をパイル状に形成して混合パイルとするとともに該混合パイルを柱列状に並べるものである。
【0022】
本発明に係る揮発性有機化合物の浄化方法においては、揮発性有機化合物で汚染された地盤内の汚染領域あるいは該汚染領域から掘削された処理対象土を活性炭又は木炭の粉粒体と攪拌混合する。
【0023】
このようにすると、汚染領域に含まれていた揮発性有機化合物は、活性炭又は木炭の粉粒体に吸着されることとなり、かくして地盤内の汚染領域を浄化することができるとともに、揮発性有機化合物の大気への拡散や地下水への浸透を防止することができる。
【0024】
加えて、本発明に係る揮発性有機化合物の浄化方法においては、攪拌混合工程の前に揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源を活性炭又は木炭の粉粒体に予め吸着しておく。
【0025】
このようにすると、攪拌混合後、活性炭又は木炭の粉粒体に吸着した栄養源によって土中菌の微生物活性が高くなり、該土中菌は、粉粒体に吸着している揮発性有機化合物を分解除去する。
【0026】
また、本発明に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁においては、土と活性炭又は木炭の粉粒体との混合体を地盤内に壁状に形成してなるものであり、かかる揮発性有機化合物の拡散防止壁を構築する方法においては、地盤の土と活性炭又は木炭の粉粒体とを原位置にて攪拌混合することで前記地盤内に前記土と前記粉粒体との混合体を形成する。
【0027】
このようにすると、拡散防止壁に流入してきた地下水に含まれる揮発性有機化合物は、混合体内の活性炭又は木炭の粉粒体に吸着し、揮発性有機化合物が下流側に拡散するのを防止することができる。
【0028】
加えて、本発明に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁及びその構築方法においては、揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源が予め吸着された活性炭又は木炭の粉粒体を土と混合して混合体を形成する。
【0029】
このようにすると、混合体の形成後、活性炭又は木炭の粉粒体に吸着した栄養源によって土中菌の微生物活性が高くなり、該土中菌は、粉粒体に吸着している揮発性有機化合物を分解除去する。
【0030】
揮発性有機化合物(VOC)を活性炭に吸着させる技術は、本願出願時点で既に公知であることは言うまでもないが、それは、ガス化した揮発性有機化合物や、水中に溶けた揮発性有機化合物をいったんガス化させて活性炭に吸着させる点が公知になっているにすぎない。
【0031】
ここで、揚水された汚染地下水の浄化については、該地下水に溶けているVOCを曝気により空気連行させ、該空気に含まれている気相のVOCを活性炭に吸着させていた。
【0032】
しかしながら、揚水された地下水に溶けているVOCを除去するについては、そもそも本来的な難点があった。すなわち、VOCの水への溶解度がそもそも低いため(数百mg/kg〜2,000mg/kg)、直径1cm程度のVOCが汚染源である場合でも、該VOCは数年間にわたって地下水に溶出し続け、汚染源のVOCが原液であってその量が多い場合には、該VOCは、何十年もの間にわたって地下水に溶出し続ける。これは、揚水ポンプや活性炭吸着塔といった設備をやはり何十年にもわたって稼働し続けなければならないことを意味し、経済性の面であまりにも現実性に欠ける。
【0033】
掘削された汚染土からVOCを揮発させる技術についても、実際に揮発除去できるVOCの量は限界があり、土によってはかなりの量のVOCが土粒子に付着したまま、再度埋め戻される可能性がある。
【0034】
そのため、埋め戻し直後においては、VOCの溶出が確認されなかったとしても、その後、徐々に地下水に溶出していくこととなり、長期的には、揮発性有機化合物という汚染物質が地下水に溶出拡散する懸念があった。
【0035】
本出願人は、このような汚染源における揮発性有機化合物の地下水への溶出の問題を踏まえつつ、汚染源自体の浄化又は該汚染源から離れた箇所における地下水の浄化を低コストでかつ確実に行うことができないものかという点に着眼してさまざまな研究開発を行った結果、揮発性有機化合物で汚染された地盤内の汚染領域あるいは該汚染領域から掘削された処理対象土を活性炭又は木炭の粉粒体と攪拌混合すれば、汚染領域や処理対象土に含まれている揮発性有機化合物は、活性炭又は木炭の粉粒体に吸着し、汚染領域に属する汚染土壌や該汚染領域を流れる地下水あるいは処理対象土を浄化することができるという知見や、土と活性炭又は木炭の粉粒体との混合体を地盤内に壁状に形成してなる揮発性有機化合物の拡散防止壁であれば、該拡散防止壁を通過する地下水に含まれている揮発性有機化合物は、混合体内の活性炭又は木炭の粉粒体に吸着し、かくして揮発性有機化合物の下流への拡散を防止することができるという知見を得るに至った。
【0036】
活性炭吸着に関する本願出願当時の公知技術の水準は、上述した点にとどまっており、VOCで汚染された地盤内の汚染領域を活性炭又は木炭の粉粒体と混合して攪拌することにより、土粒子表面や土粒子間隙に存在するVOCを活性炭又は木炭の粉粒体に直接吸着させることが可能となるという知見や、土と活性炭又は木炭の粉粒体との混合体を地盤内に壁状に形成してなる揮発性有機化合物の拡散防止壁により、該拡散防止壁を通過する地下水のVOCを混合体内の活性炭又は木炭の粉粒体に直接吸着させることが可能となるという知見は、産業上きわめて有用な知見であることを付言しておく。
【0037】
もちろん、地下水位以下にVOCが存在する場合には、VOCがいったん地下水に溶けてから活性炭に吸着するため、VOCの処理に長期間を要することは免れないが、汚染領域内の土を活性炭又は木炭の粉粒体と混合して攪拌した後は、維持設備やメンテナンスが一切不要であるという点で、本願発明は従来技術と歴然とした相違がある点も併せて申し述べる。
【0038】
加えて、本出願人は、活性炭又は木炭の粉粒体に吸着したVOCをそのまま吸着させておくのではなく、これを分解除去することができないかという点に着眼してさまざまな研究開発を行った結果、揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源を予め活性炭又は木炭の粉粒体に吸着させておけば、活性炭又は木炭の粉粒体に吸着した栄養源によって土中菌の微生物活性が高くなり、該土中菌が、粉粒体に吸着している揮発性有機化合物を分解除去し、かくして汚染土壌や汚染地下水の根本的浄化が可能になるという顕著な作用効果を有するきわめて有益な知見を得るに至った。
【0039】
VOC(Volatile Organic Compounds)とも呼ばれる揮発性有機化合物には、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,3−ジクロロプロペン、ベンゼンなどが含まれる。
【0040】
地盤内の汚染領域とは、VOCで汚染された地盤内の土壌範囲を意味するが、領域内の土壌自体が汚染されている場合だけではなく、領域内の土壌が汚染されていなくても領域内に流入しあるいは領域内に滞留する地下水が汚染されている場合をも含む。言い換えれば、活性炭又は木炭の粉粒体と攪拌混合される土は、汚染土である場合のみならず、非汚染土である場合も含む。
【0041】
粉粒体には、いわゆる粉体をはじめ、例えば数mm〜1cm程度の粒径をもつ粒体も含まれる。
【0042】
地盤内の汚染領域は、地下水位以上に位置する場合と、地下水位以下に位置する場合とがあるが、地下水位以上に位置する場合、揮発性有機化合物は、原液から直接揮発するにしろ、土中水(間隙水)を介して揮発するにしろ、最終的には土粒子間の空隙内で揮発して活性炭又は木炭の粉粒体に吸着するため、比較的速く処理される。なお、本発明においては、地盤内の汚染領域を攪拌混合するため、汚染領域の土質が例えば粘土質地盤であっても、十分な空隙を確保することができる。
【0043】
それに対し、地下水位以下に位置する場合、地下水に溶けているVOCは、水中で活性炭又は木炭の粉粒体に吸着する。
【0044】
そのため、処理期間としては従来と同様、かなりの期間を要することになるが、いったん地盤内の汚染領域を活性炭又は木炭の粉粒体と攪拌混合した後については、地下水の揚水設備やガス化した揮発性有機化合物を活性炭吸着塔に送り込む搬送設備といった従来であれば必須の設備は、本願発明では一切不要であってメンテナンスの必要もない。
【0045】
揮発性有機化合物を分解できる土中菌として、例えば、トリクロロエチレンを微生物分解可能な分解菌としては、メタン資化性菌であるメチロシナス トリコスポリウム(Methylosinus tricosporium)OB3(特表平4−501667、特開平5−212371)やメチロシナス トリコスポリウム(Methylosinus tricosporium)TUKUBA(特開平2−92274、特開平3−292970)、シュードモナス属であるシュードモナス プチダ(Pseudomonus putida)F1(特開昭64−34499)、シュードモナス プチダ(Pseudomonus putida)BH(藤田ら;ケミカルエンジニアリング,39,6,p494−498,1994)、シュードモナス プチダ(Pseudomonus putida)UC−R5,UC−P2(特開昭62−84780)、シュードモナス プチダ(Pseudomonus putida)KWI−9(特開平6−70753)、シュードモナス メンドシナ(Pseudomonus mendocina)KR1(特開平2−503866,5−502593)、シュードモナス セパシア(Pseudomonus cepacia)G4(特開平4−502277)、シュードモナス セパシア(Pseudomonus cepacia)KK01(特開平6−296711)、アルカリジーナス ユートロフス(Alcaligenes eutropus)JMP134(A.R.Harker Appl.Environ.Microbiol.,56,4,1179−1181,1990)、アルカリジーナス ユートロフス(Alcaligenes eutropus)KS01(特開平7−123976)、アンモニア酸化細菌であるニトロソモナス ユーロパエア(Nitrosomonus europaea)(D.Arciero et al.Biochem.Biophys.Res.Commun.,159,2,640−643,1989)、コリネバクテリウム属細菌(Corynebacterium)J1(特開平8−66182)等が知られている。
【0046】
また、MO7株(国際出願番号PCT/JP97/02872、国際公開番号WO98/07831、FERM BP―5624)を用いれば、上述した細菌よりも高い効率でかつ直接的にトリクロロエチレンを分解することができることも知られている。
【0047】
土中菌の栄養源としては、例えば糖類や乳酸などの有機物などから適宜選択すればよい。
【0048】
揮発性有機化合物で汚染された地盤内の汚染領域を活性炭又は木炭の粉粒体といかにして攪拌混合するかは任意であるが、例えば、軟弱地盤中に粉粒体の改良材を供給して原位置土と攪拌混合するDJM工法を用いることが可能である。
【0049】
すなわち、中空攪拌軸の下端に取り付けられた攪拌翼を該中空攪拌軸の軸線廻りに回転させることによって該攪拌翼を前記地盤内の汚染領域内で掘削貫入し又は引抜きながら、前記中空攪拌軸内の搬送空間を介して活性炭又は木炭の粉粒体を該中空攪拌軸の吐出口又は攪拌翼の吐出口から噴出させるようにすれば、汚染領域と粉粒体とを攪拌混合することができる。
【0050】
また、汚染領域が地盤の表層に存在する場合においては、該表層を活性炭又は木炭の粉粒体とともにスタビライザーやバックホウ等を用いて耕耘して攪拌混合しても、上述したと同様な作用効果を得ることができる。
【0051】
一方、上述した原位置での攪拌混合ではなく、揮発性有機化合物で汚染された地盤内の汚染領域を掘削し、掘削された処理対象土を活性炭又は木炭の粉粒体と攪拌混合して混合土とし、該混合土を埋め戻すようにしてもよい。
【0052】
埋め戻した後の作用については、地下水以上と地下水位以下について分けて説明した上述の作用と同様である。なお、表層の耕耘や汚染領域の掘削あるいは掘削された処理対象土の攪拌混合は、大気への飛散を防止すべく気密空間内で行うのが望ましい。
【0053】
本願発明が対象とする揮発性有機化合物の種類については既に述べた通りであるが、その濃度については、高濃度であるほど、特に濃度100%の原液である場合、従来技術との作用効果の相違は顕著である。
【0054】
すなわち、濃度100%の原液の場合、水への溶解には非常に時間がかかり、場合によっては何十年という月日を要するため、従来技術では設備の維持に膨大なコストが必要となるが、本願発明の場合には、上述したように維持設備は一切不要であり、本願発明の優位性は明らかである。
【0055】
本発明に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁において、前記混合体内の前記活性炭又は木炭の粉粒体の混合量を地下水の流速、地下水内の揮発性有機化合物の濃度又は周囲の土質性状に応じて深さ方向に変化させた場合、下流への揮発性有機化合物の拡散をより確実かつ合理的に防止することが可能となる。
【0056】
また、本発明に係る拡散防止壁構築方法において、地盤の土をどのように活性炭又は木炭の粉粒体と原位置にて攪拌混合し、また、どのように地盤内に土と粉粒体との混合体を形成するかは任意であるが、例えば、軟弱地盤中に粉粒体の改良材を供給して原位置土と攪拌混合するDJM工法を用いることが可能である。
【0057】
すなわち、中空攪拌軸の下端に取り付けられた攪拌翼を該中空攪拌軸の軸線廻りに回転させることによって該攪拌翼を前記地盤内で掘削貫入し又は引抜きながら、前記中空攪拌軸内の搬送空間を介して活性炭又は木炭の粉粒体を該中空攪拌軸の吐出口又は攪拌翼の吐出口から噴出させることによって前記混合体をパイル状に形成して混合パイルとするとともに該混合パイルを柱列状に並べるようにすればよい。
【0058】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁及びその構築方法並びに揮発性有機化合物の浄化方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0059】
(第1実施形態)
【0060】
図1乃至図3は、本実施形態に係る揮発性有機化合物の浄化方法を実施する手順を示した図である。これらの図でわかるように、本実施形態に係る揮発性有機化合物の浄化方法においては、まず、活性炭の粉末に揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源を予め吸着させておく。
【0061】
栄養源は、分解対象とする揮発性有機化合物の種類や分解菌の種類に応じて適宜選択し、例えば糖類や乳酸などの有機物とすればよい。
【0062】
ここで、栄養源を活性炭の粉末に吸着させすぎると、揮発性有機化合物を吸着させることができなくなるので、栄養源と揮発性有機化合物の吸着割合については、室内実験等を行って適宜定めるのが望ましい。
【0063】
次に、揮発性有機化合物で汚染された地盤内の汚染領域を活性炭の粉体と攪拌混合する。
【0064】
汚染領域を活性炭の粉体と攪拌混合するには、DJM工法を用いればよい。すなわち、まず、図1に示すようにベースマシン(図示せず)に鉛直軸線廻りに回動自在に吊持された中空攪拌軸1を地盤2内に分布する汚染領域3の上方にくるように位置決めする。
【0065】
次に、中空攪拌軸1を掘削方向に鉛直軸線廻りに回転させることにより、該中空攪拌軸の下端に取り付けられた攪拌翼4を回転させる。
【0066】
ここで、攪拌翼4の下面には掘削ビット5を斜め下方に突設させてあるので、攪拌翼4を掘削方向に回転させることにより、地盤2を下方に掘削しながら中空攪拌軸1及び攪拌翼4を該地盤内に貫入することができる。
【0067】
図2は、汚染領域3を通過するまで中空攪拌軸1及び攪拌翼4を地盤2内に貫入させた様子を示したものであり、攪拌翼4が通過した領域は攪乱領域6となる。
【0068】
次に、図3に示すように中空攪拌軸1及び攪拌翼4を逆回転させながら、それらを攪乱領域6から引き抜くが、かかる引抜き工程においては、中空攪拌軸1内の搬送空間を介して搬送されてきた活性炭の粉体32を攪拌翼4に設けられた吐出口31から噴出させる。
【0069】
このようにすると、揮発性有機化合物で汚染された汚染領域3及び活性炭の粉体32は、攪拌翼4で攪拌混合され、汚染領域3の土壌に含まれていた揮発性有機化合物や、汚染領域3に流入又は滞留する地下水に含まれていた揮発性有機化合物は、活性炭の粉体32に吸着される。
【0070】
ここで、地盤2内の汚染領域3は、地下水位以上に位置する場合と、地下水位以下に位置する場合とが想定されるが、地下水位以上に位置する場合、揮発性有機化合物は、土粒子間の空隙内で揮発して活性炭の粉体32に吸着するため、比較的速く処理される。
【0071】
それに対し、汚染領域3が地下水位以下に位置する場合、該汚染領域内の揮発性有機化合物は地下水にいったん溶けた後、水中で活性炭の粉体32に吸着する。
【0072】
そのため、処理期間としては従来と同様、かなりの期間を要することになるが、いったん地盤2内の汚染領域3を活性炭の粉体32と攪拌混合した後については、地下水の揚水設備やガス化した揮発性有機化合物を活性炭吸着塔に送り込む搬送設備といった従来であれば必須の設備は、本実施形態に係る揮発性有機化合物の浄化方法では一切不要であってメンテナンスの必要もない。
【0073】
一方、揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源を活性炭の粉体32に予め吸着しておくと、攪拌混合後、活性炭の粉体32に吸着した栄養源によって土中菌の微生物活性が高くなり、該土中菌は、粉体32に吸着している揮発性有機化合物を分解除去する。
【0074】
以上説明したように、本実施形態に係る揮発性有機化合物の浄化方法によれば、揮発性有機化合物で汚染された地盤2内の汚染領域3を活性炭の粉体32と攪拌混合するようにしたので、汚染領域3の土壌に含まれていた揮発性有機化合物や、汚染領域3に流入又は滞留する地下水に含まれていた揮発性有機化合物を活性炭の粉体32に吸着させることができる。
【0075】
加えて、活性炭の粉体32にいったん吸着した揮発性有機化合物は、周囲が土粒子間の空隙であろうと地下水であろうと活性炭の粉体32から遊離することはなく、かくして汚染領域3内の汚染土壌や汚染地下水を浄化することが可能となる。
【0076】
また、本実施形態に係る揮発性有機化合物の浄化方法によれば、揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源を活性炭の粉体32に予め吸着しておくようにしたので、攪拌混合後、活性炭の粉体32に吸着した栄養源によって土中菌の微生物活性が高くなり、該土中菌は、粉体32に吸着している揮発性有機化合物を分解除去する。
【0077】
そのため、汚染領域3内の汚染土壌や汚染地下水を根本的に浄化することが可能となる。
【0078】
本実施形態では特に言及しなかったが、揮発性有機化合物の濃度が高濃度であるほど、特に濃度100%の原液である場合には、従来技術との作用効果の相違は顕著である。
【0079】
すなわち、濃度100%の原液の場合、水への溶解には非常に時間がかかり、場合によっては何十年という月日を要するため、従来技術では設備の維持に膨大なコストが必要となるが、本実施形態では、上述したように維持設備は一切不要である。
【0080】
また、本実施形態では、汚染領域3が地盤2の所定の深さ、例えば数十mの深さに位置することを前提としたが、揮発性有機化合物の汚染領域が地盤の表層に存在する場合においては、該表層を活性炭又は木炭の粉粒体とともにスタビライザーやバックホウ等を用いて耕耘して攪拌混合しても、上述した実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0081】
なお、表層を耕耘することで該表層と活性炭又は木炭の粉粒体とを攪拌混合する際には、大気への飛散を防止すべく気密空間内で行うのが望ましい。
【0082】
また、本実施形態では、攪拌混合の手段として軟弱地盤改良で用いられるDJM工法を転用するようにしたが、揮発性有機化合物で汚染された汚染領域と活性炭又は木炭の粉粒体とを混合する装置や方法は任意であり、例えばCDM工法を転用するようにしてもよい。
【0083】
CDM工法についても軟弱地盤改良のための公知の方法であり、その内容の説明は省略するが、本発明に適用するにあたっては、活性炭又は木炭の粉粒体を予め水に添加してスラリー化し、これを揮発性有機化合物で汚染された汚染領域に送り込むとともに該汚染領域と攪拌混合するようにすればよい。
【0084】
また、このように軟弱地盤改良用装置では掘削できない、あるいは掘削効率が悪い地盤、言い換えれば地耐力が大きくて良好な地盤内に汚染領域が拡がっている場合には、例えばアースオーガーで地盤を掘削しながら、その先端から活性炭又は木炭の粉粒体が予め水に添加されてなるスラリーを噴出することで汚染領域と活性炭又は木炭の粉粒体とを攪拌混合すればよい。
【0085】
いずれにしろ、攪拌混合手段は、地盤の土質性状、汚染領域の深さ等を勘案して公知の手段から適宜選択すればよい。
【0086】
また、本実施形態及びその変形例では、汚染領域と活性炭又は木炭の粉粒体との攪拌混合を原位置で行うようにしたが、必ずしも原位置で行う必要はない。
【0087】
すなわち、揮発性有機化合物で汚染された地盤内の汚染領域を掘削して処理対象土とし、次いで、該処理対象土を地上にて活性炭又は木炭の粉粒体と攪拌混合して混合土とし、該混合土を埋め戻すようにしてもかまわない。
【0088】
埋め戻した後の作用については、上述した実施形態と同様であるので、ここではその説明を省略するが、汚染領域の掘削や、掘削された処理対象土の攪拌混合は、大気への飛散を防止すべく気密空間内で行うのが望ましい。
【0089】
【実施例1】
まず、活性炭を添加することによって地下水環境基準をクリアすることができるかどうかの溶出試験を行ったので、以下にその概要と結果を説明する。
【0090】
試験方法としては、土壌1m3 当りのテトラクロロエチレン含有量が1.6gの汚染土壌1Lに対して2gの粉末活性炭を添加し、次いで、水を200mL加えてガラス瓶に入れ、これを密閉保存して攪拌した。
【0091】
活性炭添加1日、2日後に土中水を採取してテトラクロロエチレン濃度を分析した結果を表1に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
同表でわかるように、土中水中のテトラクロロエチレンの濃度は、初日は0.3mg/Lであったが、活性炭添加1日後には0.003mg/L、2日後には0.001mg/L以下となり、地下水環境基準である0.01mg/Lを1日後にはクリアできることがわかった。
【0094】
【実施例2】
次に、テトラクロロエチレン汚染土壌を試験土壌として活性炭の作用効果を調べた。ここで、試験土壌は、攪拌・曝気処理を行うことで「土壌環境基準」で定められた浄化を完了した土壌であり、4時間の溶出試験ではテトラクロロエチレンの溶出が環境基準値0.01mg/Lの1/10にとどまった土壌である。
【0095】
すなわち、試験土壌は、地下水環境基準をクリアしている。
【0096】
しかしながら、かかる試験土壌には、土1m3当り4gのテトラクロロエチレンを含有しているため、そのまま埋め戻すと、長期的には地下水に溶出し、地下水中のテトラクロロエチレン濃度を上昇させることが懸念される。
【0097】
そこで、本発明の効果を調べるべく、試験土壌に活性炭4kgを添加した後、水で飽和させて1ヶ月間、土中水のテトラクロロエチレン濃度を分析した。なお、活性炭量は、試験土壌1m3に含まれるテトラクロロエチレンをすべて吸着させるだけの量とした。
【0098】
結果を図4に示す。
【0099】
同図でわかるように、活性炭を入れない試験土壌の場合、土中水のテトラクロロエチレン濃度は溶出によって上昇し、地下水環境基準を大きく上回った。
【0100】
これに対し、活性炭を入れた試験土壌は、土中水のテトラクロロエチレン濃度が定量可能な限界値未満である。
【0101】
同図から、地下水環境基準をいったんクリアした土壌であっても、その後、地下水に揮発性有機化合物が溶出することや、そのような土壌であっても活性炭粉末を予め添加混合しておけば、テトラクロロエチレンを吸着させることで溶出を防止することができることがわかる。
【0102】
(第2実施形態)
【0103】
次に、本発明に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁及びその構築方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0104】
図5は、本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁を示した図である。同図でわかるように、本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁51は、土52と活性炭の粉体53との混合体54をパイル状に形成して混合パイルとするとともに、該混合パイルを柱列状に並べて地盤55内に壁状に形成してなる。
【0105】
ここで、活性炭の粉体53には、混合体54を形成する前に揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源を予め吸着させておく。
【0106】
栄養源は、分解対象とする揮発性有機化合物の種類や分解菌の種類に応じて適宜選択し、例えば糖類や乳酸などの有機物とすればよい。
【0107】
ここで、栄養源を活性炭の粉末に吸着させすぎると、揮発性有機化合物を吸着させることができなくなるので、栄養源と揮発性有機化合物の吸着割合については、室内実験等を行って適宜定めるのが望ましい。
【0108】
図6乃至図8は、本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁1を構築する手順を示した図である。これらの図でわかるように、本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁51を構築するには、まず、揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源が予め吸着された活性炭の粉体53と地盤の土52とを原位置にて攪拌混合することで地盤55内に土52と活性炭の粉体53との混合体54をパイル状に形成して混合パイルとするとともに該混合パイルを柱列状に並べる。
【0109】
土52と活性炭の粉体53とを攪拌混合するには、DJM工法を用いればよい。すなわち、まず、図6に示すようにベースマシン(図示せず)に鉛直軸線廻りに回動自在に吊持された中空攪拌軸61を拡散防止壁51の構築予定領域の上方にくるように位置決めする。
【0110】
拡散防止壁51は、VOCが存在する汚染源の下流側に構築するのがよい。また、拡散防止壁51を構成する混合パイルの直径や混合パイル中の活性炭の粉体量は、地下水の流速や汚染濃度を考慮して適宜定める。
【0111】
次に、中空攪拌軸61を掘削方向に鉛直軸線廻りに回転させることにより、該中空攪拌軸の下端に取り付けられた攪拌翼64を回転させる。
【0112】
ここで、攪拌翼64の下面には掘削ビット65を斜め下方に突設させてあるので、攪拌翼64を掘削方向に回転させることにより、地盤55を下方に掘削しながら中空攪拌軸61及び攪拌翼64を該地盤内に貫入することができる。
【0113】
図7は、中空攪拌軸61及び攪拌翼64を地盤55内に貫入させた様子を示したものであり、攪拌翼64が通過した領域は攪乱領域71となる。
【0114】
次に、図8に示すように中空攪拌軸61及び攪拌翼64を逆回転させながら、それらを攪乱領域71から引き抜くが、かかる引抜き工程においては、中空攪拌軸61内の搬送空間を介して搬送されてきた活性炭の粉体53を攪拌翼64に設けられた吐出口81から噴出させる。
【0115】
このようにすると、土52と活性炭の粉体53との混合体54が地盤55内にパイル状に形成され混合パイルとなる。
【0116】
以下、あらたな混合パイルを上述したと同様の手順で順次構築しながら各混合パイルを柱列状に並べ、図5に示した拡散防止壁51を構築する。
【0117】
本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁及びその構築方法においては、拡散防止壁1に流入してきた地下水に含まれる揮発性有機化合物は、混合体4内の活性炭の粉体3に吸着する。
【0118】
加えて、本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁及びその構築方法においては、揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源が予め吸着された活性炭の粉体53を土52と混合して混合体54を形成する。
【0119】
このようにすると、混合体54の形成後、活性炭の粉体53に吸着した栄養源によって土中菌の微生物活性が高くなり、該土中菌は、粉体53に吸着している揮発性有機化合物を分解除去する。
【0120】
以上説明したように、本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁及びその構築方法によれば、拡散防止壁51に流入してきた地下水に含まれる揮発性有機化合物は、混合体54内の活性炭の粉体53に吸着し、揮発性有機化合物が下流側に拡散するのを防止することが可能となる。
【0121】
また、本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁及びその構築方法によれば、汚染源のVOCが例えば原液である場合において、何十年もの間、汚染源から溶出したVOCが地下水を汚染し続けたとしても、地下水中のVOCを活性炭の粉体53に吸着させることでVOCの下流への拡散を長期間防止することができる。
【0122】
もちろん、かかる長期の間には、粉体53の吸着機能が低下し、拡散防止壁51を再構築せねばならない場合も想定されるが、地下水の揚水設備やガス化した揮発性有機化合物を活性炭吸着塔に送り込む搬送設備といった従来であれば必須の設備を維持し続けることに比べれば、本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁51は、そのような維持コストが一切不要であってメンテナンスの必要もなく、全体の経済性ははるかに優れる。
【0123】
また、本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁及びその構築方法によれば、混合体54を土52と活性炭の粉体53とを攪拌混合して形成するようにしたので、一定の透水性が確保され、地下水の流れを阻害する懸念もない。
【0124】
また、本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁及びその構築方法によれば、揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源が予め吸着された活性炭の粉体53を土52と混合して混合体54を形成するようにしたので、混合体54の形成後、活性炭の粉体53に吸着した栄養源によって土中菌の微生物活性が高くなり、該土中菌は、粉体53に吸着している揮発性有機化合物を分解除去する。
【0125】
そのため、拡散防止壁51に流入してきた汚染地下水を根本的に浄化することが可能となる。
【0126】
本実施形態では、攪拌混合の手段として軟弱地盤改良で用いられるDJM工法を転用するようにしたが、土と活性炭又は木炭の粉粒体とを攪拌混合する装置や方法は任意であり、例えばCDM工法を転用するようにしてもよい。
【0127】
CDM工法についても軟弱地盤改良のための公知の方法であり、その内容の説明は省略するが、本発明に適用するにあたっては、活性炭又は木炭の粉粒体を予め水に添加してスラリー化し、これを拡散防止壁の構築予定領域に送り込むとともに該構築予定領域の土と原位置で攪拌混合するようにすればよい。
【0128】
また、このように軟弱地盤改良用装置では掘削できない、あるいは掘削効率が悪い地盤、言い換えれば地耐力が大きくて良好な地盤内に拡散防止壁を構築する場合には、例えばアースオーガーで地盤を掘削しながら、その先端から活性炭又は木炭の粉粒体が予め水に添加されてなるスラリーを噴出することで土と活性炭又は木炭の粉粒体とを攪拌混合すればよい。
【0129】
いずれにしろ、攪拌混合手段は、地盤の土質性状や深さ等を勘案して公知の手段から適宜選択すればよい。
【0130】
また、本実施形態及びその変形例では、地盤の土と活性炭又は木炭の粉粒体との攪拌混合を原位置で行うことで拡散防止壁を構築するようにしたが、攪拌混合を必ずしも原位置で行う必要はない。
【0131】
すなわち、拡散防止壁の構築予定領域を掘削し、該掘削土を地上にて活性炭又は木炭の粉粒体と攪拌混合して混合土とし、該混合土を埋め戻して混合体を形成するようにしてもかまわない。
【0132】
埋め戻した後の作用については、上述した実施形態と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0133】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、拡散防止壁51は必ずしも直壁(湾曲していない壁)である必要はなく、湾曲壁でもよい。特に、VOCが原液で存在する高濃度汚染源の下流側に構築する場合には、該汚染源を取り囲むように湾曲状の拡散防止壁を構築するのが望ましい。
【0134】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、混合体54内における活性炭の粉体53の混合量を地下水の流速、地下水内の揮発性有機化合物の濃度又は周囲の土質性状に応じて深さ方向に変化させるようにしてもよい。
【0135】
かかる構成によれば、下流への揮発性有機化合物の拡散をより確実かつ合理的に防止することが可能となる。
【0136】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る揮発性有機化合物の浄化方法によれば、揮発性有機化合物で汚染された地盤内の汚染領域を活性炭又は木炭の粉粒体と攪拌混合するようにしたので、汚染領域の土壌に含まれていた揮発性有機化合物や、汚染領域に流入又は滞留する地下水に含まれていた揮発性有機化合物を活性炭又は木炭の粉粒体に吸着させることが可能となり、汚染領域内の汚染土壌や汚染地下水を浄化することができる。
【0137】
ここで、上述した粉粒体にいったん吸着した揮発性有機化合物は、周囲が土粒子間の空隙であろうと地下水であろうと遊離することはなく、かくして、維持設備や維持コストを全く要せずして、汚染領域内の汚染土壌や汚染地下水を浄化することが可能となる。また、吸着した揮発性有機化合物は、土中菌によって分解されるため、汚染土壌や汚染地下水を根本的に浄化することが可能となる。
【0138】
また、本発明に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁及びその構築方法によれば、拡散防止壁に流入してきた地下水に含まれる揮発性有機化合物は、混合体内の活性炭又は木炭の粉粒体に吸着し、揮発性有機化合物が下流側に拡散するのを防止することが可能となる。また、吸着した揮発性有機化合物は、土中菌によって分解されるため、流入してきた汚染地下水を根本的に浄化することが可能となる。
【0139】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る揮発性有機化合物の浄化方法の手順を示した作業図。
【図2】引き続き本実施形態に係る揮発性有機化合物の浄化方法の手順を示した作業図。
【図3】引き続き本実施形態に係る揮発性有機化合物の浄化方法の手順を示した作業図。
【図4】本実施形態に係る揮発性有機化合物の浄化方法の作用効果を示すグラフ。
【図5】本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁を示した図であり、(a)は鉛直断面図、(b)はA−A線に沿う断面図。
【図6】本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁の構築手順を示した作業図。
【図7】引き続き本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁の構築手順を示した作業図。
【図8】引き続き本実施形態に係る揮発性有機化合物の拡散防止壁の構築手順を示した作業図。
【符号の説明】
1 中空攪拌軸
2 地盤
3 汚染領域
4 攪拌翼
32 活性炭の粉体(活性炭又は木炭の粉粒体)
51 拡散防止壁
52 土
53 活性炭の粉体(活性炭又は木炭の粉粒体)
54 混合体
55 地盤
61 中空攪拌軸
64 攪拌翼
Claims (10)
- 揮発性有機化合物で汚染された地盤内の汚染領域を活性炭又は木炭の粉粒体と攪拌混合する揮発性有機化合物の浄化方法であって、前記汚染領域が地下水位以上に位置するとともに、前記攪拌混合工程の前に前記揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源を前記活性炭又は木炭の粉粒体に予め吸着させることを特徴とする揮発性有機化合物の浄化方法。
- 揮発性有機化合物で汚染された地盤内の汚染領域を活性炭又は木炭の粉粒体と攪拌混合する揮発性有機化合物の浄化方法であって、前記汚染領域が地下水位以下に位置するとともに、前記攪拌混合工程の前に前記揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源を前記活性炭又は木炭の粉粒体に予め吸着させることを特徴とする揮発性有機化合物の浄化方法。
- 中空攪拌軸の下端に取り付けられた攪拌翼を該中空攪拌軸の軸線廻りに回転させることによって該攪拌翼を前記地盤内の汚染領域内で掘削貫入し又は引抜きながら、前記中空攪拌軸内の搬送空間を介して活性炭又は木炭の粉粒体を該中空攪拌軸の吐出口又は前記攪拌翼の吐出口から噴出させる請求項1又は請求項2記載の揮発性有機化合物の浄化方法。
- 前記汚染領域が前記地盤の表層に位置する場合であって該表層を耕耘する請求項1又は請求項2記載の揮発性有機化合物の浄化方法。
- 揮発性有機化合物で汚染された地盤内の汚染領域を掘削し、掘削された処理対象土を気密空間にて活性炭又は木炭の粉粒体と攪拌混合して混合土とし、該混合土を埋め戻す揮発性有機化合物の浄化方法であって、前記攪拌混合工程の前に前記揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源を前記活性炭又は木炭の粉粒体に予め吸着させることを特徴とする揮発性有機化合物の浄化方法。
- 揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源が予め吸着された活性炭又は木炭の粉粒体と土との混合体を地盤内に壁状に形成してなることを特徴とする揮発性有機化合物の拡散防止壁。
- 前記混合体をパイル状に形成して混合パイルとするとともに該混合パイルを柱列状に並べた請求項6記載の揮発性有機化合物の拡散防止壁。
- 前記混合体内の前記活性炭又は木炭の粉粒体の混合量を地下水の流速、地下水内の揮発性有機化合物の濃度又は周囲の土質性状に応じて深さ方向に変化させた請求項6記載の揮発性有機化合物の拡散防止壁。
- 揮発性有機化合物を分解する土中菌の栄養源が予め吸着された活性炭又は木炭の粉粒体と地盤の土とを原位置にて攪拌混合することで前記地盤内に前記土と前記粉粒体との混合体を形成することを特徴とする揮発性有機化合物の拡散防止壁構築方法。
- 中空攪拌軸の下端に取り付けられた攪拌翼を該中空攪拌軸の軸線廻りに回転させることによって該攪拌翼を前記地盤内で掘削貫入し又は引抜きながら、前記中空攪拌軸内の搬送空間を介して活性炭又は木炭の粉粒体を該中空攪拌軸の吐出口又は攪拌翼の吐出口から噴出させることによって前記混合体をパイル状に形成して混合パイルとするとともに該混合パイルを柱列状に並べる請求項9記載の揮発性有機化合物の拡散防止壁構築方法。
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