JP2014113538A - 汚染土壌の改質方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る汚染土壌の改質方法は、汚染土壌中に存在する微生物および/または新たに汚染土壌中に混合する微生物と、粒状および/または塊状の活性炭と、栄養剤とを用いることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
ここで今回、本発明者らは、微生物とともに活性炭を併用する汚染土壌の改質において、活性炭に粉末状のものを使用するとかえって汚染物質に対する微生物の分解能力が低下することを発見した。具体的には、微生物および活性炭を汚染土壌に供給した直後から数日間においては活性炭の持つ吸着効果により汚染物質の吸着が行われるものの、その後に発現するはずの微生物の分解効果が認められずに汚染物質の分解が滞り、安定した改質が行われないという現象が生じることを発見した。
従って、椰子、木などを原料とする植物系のものや石炭、石油などを原料とする鉱物系のもの、あるいはこれらのものを薬品などによって賦活させたものなど各種の活性炭を用いることができる。なお、これらの中でも、中性活性炭については改質する土壌のpHの変動を防止することができるので好適である。
さらに、鉄粉を芯材として、当該鉄粉を熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂などに浸漬させるなどして、当該鉄粉の表面に熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂などをコーティングした後、不活性ガス存在下において昇温または焼成するなどして、コーティングした熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂などを炭化させることによって上記した範囲の粒径に調整したものを用いることもできる。
また、上記に列記される本発明に用いられる微生物は、新たに汚染土壌中に混合して使用する形態だけではなく、既に土壌中に存在しているこれらの菌を用いることもできる。
さらに、上記列記した微生物の中でもゴルドニア属、ロドコッカス属については、表1に示すようにその他の微生物よりも疎水性が高く、活性炭に吸着された油分にも接触して微生物の分解効果が発現することから好適である。
さらに、活性炭、微生物、栄養剤の汚染土壌への供給方法についても、改質を行う汚染土壌の汚染状況に応じて、汚染土壌全体と混合する方法や、予め汚染土壌を所定の深さに掘った後に一定の厚みを持って活性炭などを堆積させ、その後汚染土壌などで埋め戻す方法など各種の方法を採用することができる。
その結果、活性炭との併用時に発生する微生物の分解能力の低下を防止しつつ、微生物の持つ汚染物質の分解効果と活性炭の持つ汚染物質の吸着効果とを安定的かつ継続的に発現させることができ、従来の粉末状の活性炭を使用する場合に比べて汚染物質の処理効率を向上させることができる。
活性炭に粒径が1〜3mmの範囲の活性炭を、微生物にゴルドニア・テラエNDKY76A株を、栄養剤に無機栄養塩(窒素成分:尿素、リン成分:リン酸水素二アンモニウム)を用い、A重油を5000mg/kgの濃度で混合した模擬土壌100gに、活性炭を5g、微生物1×108個/g−soilとなるように混合することで実施例1の汚染土壌を作製した。
活性炭に粒径が8〜12mmの範囲の活性炭を使用した以外は実施例1と同様にして、実施例2の汚染土壌を作製した。
微生物、活性炭、栄養剤を使用しない模擬土壌のみを比較例1の汚染土壌とした。
活性炭を使用せずに、微生物と栄養剤のみを使用した以外は実施例1と同様にして、比較例2の汚染土壌を作製した。
活性炭に実施例1において用いた1〜3mmの範囲の活性炭を乳鉢によって粉末状にすりつぶしたものを使用した以外は実施例1と同様にして、比較例3の汚染土壌を作製した。
次に、上記した実施例1〜2および比較例1〜3の汚染土壌について、混合直後(0日目)、14日後、28日後の残存油分濃度の測定を行った。なお、具体的にはサンプリングした汚染土壌中の油分を溶剤(H−997、旭硝子社製)で抽出することによって測定した。結果を表2および図1に示す。
また、活性炭を使用せずに、微生物と栄養剤のみを混合した比較例2の汚染土壌については残存油分濃度を低減する効果は認められるものの、14日以降は低減効果が頭打ちとなってしまい実施例1、2に比べると改質効果が低いものとなった。
また、粉状の活性炭と微生物とを混合した比較例3の汚染土壌については、活性炭が粉状であることから活性炭と油分との接触が多くなり、混合直後においては残存油分濃度が著しく低下するものの、その後は汚染物質の改質が進まないという結果となった。これは、1)混合直後の段階において粉状の活性炭が多くの油を吸着してしまうことからその後は活性炭による吸着能力が頭打ちになってしまうこと、2)粉状の活性炭が多くの油を吸着してしまうことによって微生物と油との接触効率が低下することによる微生物の分解能力の低下などが理由として考えられる。
活性炭に粒径が1〜3mmの範囲の活性炭を、微生物にゴルドニア・テラエNDKY76A株を、栄養剤に無機栄養塩(尿素、リン酸水素二アンモニウム)を用い、A重油を5000mg/kgの濃度で混合した模擬土壌30gに、活性炭を1.5g、微生物1×108個/g−soilとなるように混合することで実施例3の汚染土壌を作製した。
活性炭に粒径が8〜12mmの範囲の活性炭を使用した以外は実施例4と同様にして、実施例4の汚染土壌を作製した。
活性炭を使用せずに、微生物と栄養剤のみを使用した以外は実施例1と同様にして、比較例4および比較例5の汚染土壌を作製した。
活性炭に比較例3で使用した粉末状の活性炭を使用した以外は実施例1と同様にして、比較例6および比較例7の汚染土壌を作製した。
次に、上記した実施例3、4および比較例4〜7の汚染土壌について、混合後1日後の油臭を4名の評価者による官能評価によって評価した。具体的には、油汚染対策ガイドラインに準拠した0〜5までの6段階で臭気を評価し、2未満の臭気しか感じなかった場合を油臭の解消効果ありと認定し、全評価者における油臭の解消効果ありと判定した評価者の割合によって評価した。結果を表3に示す。
一方、粒状、塊状の活性炭を微生物とともに使用した実施例3、4の汚染土壌については、粉状の活性炭を使用した比較例6、7の汚染土壌に比べると油種の解消効果は若干劣るものの、4名のうち3名が油臭が解消しているとの判定を行ったことから油臭の解消効果についても十分な効果を発現するものであることがわかった。
Claims (5)
- 汚染土壌の改質方法であって、
前記汚染土壌中に存在する微生物および/または新たに前記汚染土壌中に混合する微生物と、
粒状および/または塊状の活性炭と、
栄養剤とを用いることを特徴とする汚染土壌の改質方法。
- 前記活性炭の粒径が、
1〜12mmであることを特徴とする請求項1に記載の汚染土壌の改質方法。
- 前記微生物が、
alkB(アルカンヒドロキシラーゼ)遺伝子を有する微生物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の汚染土壌の改質方法。
- 前記微生物が、
ゴルドニア属、ロドコッカス属、コリネバクテリウム属、マイコバクテリウム属、ノカルディア属、アクチノマイセス属からなる群より選択される少なくとも一種以上の微生物であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の汚染土壌の改質方法。
- 前記粒状および/または塊状の活性炭が、
鉄粉と粉状の活性炭とを混練して成形したもの、または鉄粉に活性炭をコーティングしたものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の汚染土壌の改質方法。
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