JP2007229601A - 揮発性の塩素系有機化合物に汚染された粘性土壌の浄化方法 - Google Patents

揮発性の塩素系有機化合物に汚染された粘性土壌の浄化方法 Download PDF

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隆一郎 倉根
Tomohiko Sasaki
智彦 佐々木
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博和 辻
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Shuji Miyaoka
修二 宮岡
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浩基 緒方
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Abstract

【課題】本発明は、揮発性の塩素系有機化合物に汚染された土壌を、十分かつ効率的に浄化できる方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係る揮発性塩素系有機化合物による汚染粘性土壌の浄化方法は、嫌気性微生物により当該塩素系有機化合物を脱塩素化した後に、攪拌処理および/または土壌改質処理を行なうことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、揮発性の塩素系有機化合物に汚染された粘性土壌を浄化する方法に関するものである。
揮発性の塩素系有機化合物は、その揮発性に加えて脂溶性物質に対する溶解性が高いことから、洗浄用の溶媒として大量に用いられてきた。例えばテトラクロロエチレン(以下、「PCE」という)は、その優れた溶解能や揮発性、不燃性といった特性により、フロンガスの製造原料の他に、ドライクリーニング、金属部品の脱脂洗浄用途、繊維の精錬加工等に使用されていた。
その一方で、特に塩素置換度の高い有機化合物は、化学的に安定であり環境中で分解され難いという欠点もある。また、生体内で代謝され難いことから、中枢神経や肝臓・腎臓に障害を与えることなども報告されている。よって、土壌が揮発性の塩素系有機化合物により汚染された場合には、生体に二次的な被害が発生するおそれがある。そこで、この様な汚染土壌を浄化する技術としては、様々なものが開発されてきた。
例えば特許文献1には、揮発性有機化合物で汚染された粘性土に吸水材を添加して攪拌混合した後に、通気処理する汚染粘性土の浄化方法が開示されている。この技術は、粘性土の透気性や透水性を高めた上で通気処理することにより、揮発性有機化合物を揮散せしめるものである。しかし、特に汚染の原因となる揮発性有機化合物の塩素置換度が高い場合には、当該技術では粘性土を十分に浄化できない。
一方、特許文献1の様な物理的処理方法ではなく、より穏和な条件で安価に実施でき、省エネルギーの観点からも優れている微生物による処理(バイオレメディエーション)がある。例えば特許文献2〜4の技術では、嫌気性微生物による処理と好気性微生物による処理を行なうことにより、汚染土壌や地下水中の有害物質を効率的に分解している。
確かにこれら特許文献2〜4の技術によれば、自然界では分解され難い有機化合物の分解も可能になる。ところが、これら方法には処理に要する期間が比較的長いという問題がある。即ち、微生物を活性化するための嫌気的環境や好気的環境を構築するのにある程度の期間を要することや、嫌気性微生物を活性化するために添加した栄養剤が易分解性の有機物として多く残存するため、以降の好気性微生物による分解を妨げることがある。その結果、分解すべき有機化合物の処理が遅れ、その濃度を環境基準値未満まで低減するには時間を要する。実際の操業では多量の土壌等を処理する必要があるため、コストの面からも処理日数は1日でも短縮すべきであり、これら方法を実際に利用するのは現実的ではなかった。
また、特許文献5には、粘土等を含む汚染土にパーライト等の土壌改良資材を添加し攪拌混合し、且つ分解菌を利用して汚染物質を分解する方法が開示されている。しかし当該方法では、特に塩素置換度が高い汚染物質を処理することはできない。多孔質のパーライト等を添加して土壌の透気性を高めた上で微生物処理をしている通り、本法に利用できる微生物は好気性のものであり、好気性微生物は塩素置換度の高い化合物を分解できないからである。実際、本法では微生物処理の際に通気を行なうことが好ましいとされており、また、明細書で例示されている微生物は、シュードモナス属細菌などの好気性微生物である。
特開2005−131579号公報 特開2003−164850号公報 特開平10−34128号公報 特開2003−164849号公報 特開2003−211147号公報
上述した様に、揮発性の塩素系有機化合物に汚染された土壌を浄化するための技術は、種々知られていた。しかし、実際の操業を考慮すれば処理期間はできる限り短縮すべきであるところ、十分な浄化が可能であり且つ効率的に処理が可能な方法はなかった。
そこで本発明が解決すべき課題は、揮発性の塩素系有機化合物に汚染された土壌を、十分かつ効率的に浄化できる方法を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、揮発性の塩素系有機化合物による汚染土壌を迅速に処理するには土壌の透気性を高めるのが効果的であるが、塩素置換度の高い揮発性有機化合物は土壌粒子との親和性が高く、特に粒子が細かく透気性の悪い粘性土からの揮散は困難であることが分かった。そこで、先ず、嫌気性微生物により当該有機化合物の塩素置換度を低減して揮散し易くした上で土壌の透気性を高めれば、浄化効率が高まり処理期間を短縮できることを見出して、本発明を完成させた。
即ち、本発明に係る土壌の浄化方法は、揮発性の塩素系有機化合物に汚染された粘性土壌を浄化する方法であって、嫌気性微生物により当該塩素系有機化合物を脱塩素化した後に、攪拌処理および/または土壌改質処理を行なうことを特徴とする。
上記嫌気性微生物としては、浄化すべき汚染土壌に土着の嫌気性微生物を活性化して用いる場合と、上記塩素系有機化合物の脱塩素化能を有する嫌気性微生物を添加して用いる場合がある。土着の嫌気性微生物を活性化する場合は、適切な嫌気性微生物を選択して添加する必要がなく実施がより簡便であり、また、別途嫌気性微生物を添加して用いる場合は、より効率的な処理が可能であるという効果を有する。
添加する嫌気性微生物としては、KBC−1株(FERM BP−08573)が好適である。KBC−1株は、従来の脱塩素化微生物では脱塩素化能を発揮することができなかった様な微好気条件下や低温下でも、PCEなど高度に塩素置換された有機化合物を脱塩素化することができる。
また、土壌改質処理は一般的な処理でよく、土壌粒子の好適な空隙を確保できればよい。そのための土壌改質材としては、生石灰、多孔質資材および砂質土からなる群より選択される少なくとも1種が好適である。
本発明に係る土壌の浄化方法によれば、透気性の悪い粘性土壌が、揮散し難い揮発性有機化合物に汚染された場合であっても、十分かつ効率的に浄化することができる。よって本発明は、かつて大量に使用され汚染範囲も広大なPCEなどの揮発性塩素系有機化合物による汚染土壌の大量処理にも適用できるものとして、産業上極めて有用である。
本発明に係る土壌の浄化方法は、揮発性の塩素系有機化合物に汚染された粘性土壌を浄化する方法であって、嫌気性微生物により当該塩素系有機化合物を脱塩素化した後に、攪拌処理および/または土壌改質処理を行なうことを特徴とする。
揮発性の塩素系有機化合物は、過去または現在において大量に使用された実績がある一方で、環境中では分解され難く、その処理が求められているものをいう。例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン(以下、「cis−DCE」という)、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン(以下、「TCE」という)、テトラクロロエチレン(PCE)などを挙げることができる。本発明は、PCEなど、従来方法では処理が難しかった塩素置換度の高い有機化合物を効率的に処理できることから、好適にはPCEを処理対象とする。よって本発明は、PCE単独による汚染土壌或いはPCEと他の揮発性塩素系有機化合物との複合汚染土壌の処理に有効である。
本発明の処理対象は、揮発性塩素系有機化合物に汚染された粘性土壌である。ここで粘性土壌とは、粒径5μm未満の粘土分と粒径5〜75μmのシルト分が合計30%以上含まれており、透気性の極めて悪い土壌をいう。本発明では、従来方法では浄化が困難であったかかる粘性土壌を処理対象とする。
本発明の処理対象である粘性土壌は、粘性土壌から溶出する有害な揮発性塩素系有機化合物の濃度が、「土壌の汚染に係る環境基準について(平成3年8月23日、環境庁告示第46号)」により定められた環境基準値を上回るものをいう。この告示によれば、例えばPCEの環境基準値は0.01mg/Lであり、TCEは0.03mg/L、cis−DCEは0.04mg/Lである。
本発明では、先ず、汚染された粘性土壌に含まれる揮発性塩素系有機化合物を、嫌気性微生物により処理して脱塩素化する。高度に塩素置換された有機化合物は土壌粒子との親和性が高く、結果として汚染土壌からの揮散させることが困難である。そこで、先ず嫌気性微生物により塩素系有機化合物を脱塩素化することにより土壌との親和性を低減せしめ、後続の攪拌処理または改質処理により対象化合物を揮散し易くする。
使用する嫌気性微生物は、処理対象となる揮発性塩素系有機化合物を脱塩素化できるものから選択して用いればよい。例えば、PCEによる汚染土壌を浄化する場合には、PCEの脱塩素能が実証されているDesulfitobacterium属細菌などを用いればよい。
Desulfitobacterium属細菌などの中でも、KBC−1株が好適である。KBC−1株は、従来の脱塩素化微生物では脱塩素化能を発揮することができなかった様な微好気条件下や低温下でも、PCEを脱塩素化することができる。さらに、KBC−1株は、PCEより毒性の高いビニルクロライドを生成することなく、主としてTCEまで脱塩素化することができることから、より安全な処理が可能である。
KBC−1株は、下記の通り寄託機関に寄託されている。
(i) 寄託機関の名称およびあて先
名称: 独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター
あて先: 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6
(ii) 寄託日: 平成15年(2003年)12月11日
(iii)寄託番号: FERM BP−08573
上記嫌気性微生物としては、浄化すべき汚染土壌に土着の嫌気性微生物を活性化してもよいし、上記塩素系有機化合物の脱塩素化能を有する嫌気性微生物を添加して用いてもよい。
対象となる揮発性塩素系有機化合物の脱塩素化能を有する嫌気性微生物が、浄化すべき汚染土壌に存在するか否かは、常法により調べればよい。例えば、汚染土壌から採取した試料を嫌気性微生物の栄養源と共にアンプル等に挿入し、必要に応じて揮発性塩素系有機化合物を添加した培地を加えて密閉し、ヘッドスペースにおける揮発性塩素系有機化合物の濃度変化を測定することにより、揮発性塩素系有機化合物の脱塩素化能を有する嫌気性微生物の有無を把握することができる。
浄化すべき汚染土壌における脱塩素化嫌気性微生物の有無にかかわらず、揮発性塩素系有機化合物の脱塩素化能を有する嫌気性微生物を添加してもよい。嫌気性微生物の添加量は、処理すべき土壌等の量や汚染度(塩素系有機化合物の汚染濃度)等により異なるが、例えば、1mL当たり108個相当の菌液を、汚染土壌に対して0.1〜10質量%程度加えればよい。但し、斯かる添加量は、実際の処理状態により適宜調整する必要があり、具体的には予備実験により決定することができる。
汚染土壌へは、嫌気性微生物による処理を効率的に行なうために、嫌気性脱塩素微生物の生育に必要となる栄養源(窒素栄養源や炭素栄養源,有機酸,無機塩,ビタミンなど)を添加する。その種類や添加量、適正な温度やpHの範囲は、使用する嫌気性脱塩素微生物によるため、適宜調整すればよい。
嫌気性微生物や栄養源を添加した後は、よく攪拌することが好ましい。かかる攪拌は、攪拌ミキサーによるものなど常法により行なうことができる。
嫌気性微生物による塩素系有機化合物の脱塩素化のための環境は、嫌気性微生物が脱塩素化を行なえるものであれば特に制限されない。例えば、温度や湿度は利用する嫌気性微生物の至適条件かそれに準ずるものとすればよい。但し、十分に脱塩素化が進むのであれば、常温、常湿で実施してもよい。
脱塩素化のために嫌気的条件とする方法は、特に制限されない。例えば、汚染土壌を採取して反応器に挿入し、密閉することによって、土壌中に含まれる好気性微生物により酸素が消費され、自然に嫌気的条件とすることができる。
しかし、塩素系有機化合物による土壌汚染は広範囲に及ぶことが多く、浄化すべき汚染土壌は大量となることが多い。かかる場合に土壌を密閉する方法を採ると大型の反応器が必要になり、また、大型の反応器は密閉するのが困難である。そこで、汚染土壌を所定スペースに積み上げ、好適にはシートを被せ、嫌気的条件とすることもできる。この方法によれば、少なくとも土壌内部を自然に嫌気的条件とすることができ、嫌気的微生物による脱塩素化を進めることが可能になる。また、この方法には、大規模な反応装置などを必要としないという利点もある。但し、有害な揮発性有機化合物が大気中に漏洩する可能性もある。この場合には、揮発性有機化合物を活性炭などの吸着剤に吸着させて回収することが好ましい。
なお、本発明における「嫌気的条件」は、微好気的条件といえる条件も含まれるものとし、嫌気性微生物による脱塩素化が進行すれば厳密な意味での嫌気的条件とする必要は必ずしもない。より具体的には、嫌気性脱塩素微生物が生育でき且つ塩素系有機化合物を脱塩素化できる範囲の酸素濃度である状態をいい、例えば、酸化還元電位でマイナス50mV以下をいうものとする。
嫌気性微生物による脱塩素化に要する時間は、処理すべき土壌等の量や汚染度等によるが、土壌サンプルや気相に放出される塩素系有機化合物の種類や濃度を測定することにより処理の進行状況を把握し、塩素系有機化合物の脱塩素化が終了した時点(脱塩素化の対象となった塩素系有機化合物の濃度が、環境基準値レベルになった時点)で次工程に移ればよい。
嫌気性微生物による揮発性有機化合物の脱塩素化が終了した後は、攪拌処理および/または土壌改質処理を行なう。高度に塩素置換された有機化合物であっても、脱塩素化により土壌粒子との親和性は低減されるので、攪拌処理または土壌改質処理によって、より揮散し易くなる。
この攪拌処理は、攪拌のための手段が必要となるものの、土壌改質材などを必要とすることなく問題となる揮発性有機化合物を揮散せしめることができるという利点がある。
汚染土壌の攪拌処理は、常法を用いることができる。例えば、ロータリー攪拌装置、スクリーブ攪拌装置、ティラー攪拌装置や、攪拌翼を備えた攪拌装置などを用いることができる。
攪拌処理に要する時間は特に制限されず、脱塩素化された有機化合物が土壌から十分に揮散するまでとすればよい。具体的には、適宜試料を採取した上で当該有機化合物の濃度を測定し、当該濃度が環境基準値未満となるまでとすることができる。
攪拌処理は連続して行なう必要はなく、断続的に行なってもよい。
本発明の土壌改質処理は、土壌改質材を添加混合することによって、主に土壌の透気性を高める処理をいう。この土壌改質処理は、大掛かりな攪拌装置などを必ずしも有しないという効果を有する。
使用する土壌改質材は、多孔質なものであったり土壌中の水分を吸収できるもの、或いは土壌粒子間の空隙を増やすことができるものであれば特に制限されないが、例えば生石灰;パーライトなどの多孔質資材;砂質土などを用いることができる。ここで「砂質土」とは、いわゆる砂といえるものの他、粒径75μm〜2mmの砂分や2mm以上の礫分が合計30%以上含まれているものをいうものとする。
これら土壌改質材の添加量は、汚染土壌の量や汚染度、土壌改質材の種類などにもよるが、生石灰など土壌pH等を変化させるものでは0.5〜5w/w%程度、多孔質資材では1〜20w/w%程度、砂質土では10〜50w/w%程度とすることができる。
土壌改質材を添加した後は、均一混合するために攪拌する。攪拌のための具体的な手段としては、上述した攪拌処理で使用するものと同様のものを用いることもできるが、土壌改質材の混合を目的とするものであるので、重機等による攪拌操作などのより簡便な手段であってもよい。
土壌改質処理に要する時間は特に制限されず、脱塩素化された有機化合物が土壌から十分に揮散するまでとすればよい。具体的には、適宜試料を採取した上で当該有機化合物の濃度を測定し、当該濃度が環境基準値未満となるまでとすることができる。
また、土壌改質処理を行なった上で攪拌処理をすれば、より一層効率的な浄化処理ができる可能性もある。
なお、揮散させた揮発性有機化合物は、活性炭などの吸着剤に吸着させて回収することが好ましい。
本発明に係る揮発性塩素系有機化合物による汚染粘性土壌の浄化方法によれば、先ず、嫌気性微生物による脱塩素化によって、汚染の原因である化合物を脱塩素化し、得られた化合物と粘性土壌粒子との親和性を低減する。その結果、続く攪拌処理および/または土壌改質処理によって、脱塩素化により生じた化合物を一層効率的に揮散させることが可能になる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
比較例1 土壌改質処理のみによるPCE汚染土壌の浄化処理
表1に示すPCEに汚染された粘性土壌に対し、土壌改質処理のみによる浄化処理を行なった。
Figure 2007229601
具体的には、上記PCE汚染土壌(1kg)に、生石灰を1、5、15w/w%、
多孔質資材である真珠岩パーライト(比重:約0.1。以下、「資材A」という)を3、6w/w%、同じく多孔質資材であるが、比較的比重の重いパーライト様資材(比重:約0.3。以下、「資材B」という)を7、15w/w%、または砂を20、40w/w%添加して小型ミキサーによりよく混合し、アルミトレイに1〜2cmの高さで広げて室温で放置した。次いで、所定日ごとに2〜3箇所から試料を得、土壌対策法に基づく告示にある土壌溶出量調査に係る測定方法を定める件(平成15年3月6日環境庁告示第18号)により定められた方法に従って検液を作成して定量を行ない、土壌溶出量を求めた。具体的な検液の作成方法は次の通りである。即ち、あらかじめ攪拌子を入れた500mL容ねじ口付三角フラスコに試料と純水を入れ、速やかに密栓した。この際、ねじ口付三角フラスコのヘッドスペースができるだけ少なくなる様に混合液の合計量が500mL以上となる様にし、且つ純水に対する試料の比を10v/w%とした。この混合液を常温(約20℃)常圧に保ち、攪拌子により4時間連続して攪拌した。次いで10〜30分間静置後、上澄み部分をピペットにより静かに吸い取り、定量に必要な量を正確に計り取って、これを検液とした。こうして得られた検液を、JIS K0125「揚水・排水中の揮発性有機化合物試験方法」に従い定量した。即ち、3gの塩化ナトリウムを入れた20mL容のガラス製バイアルに蒸留水を所定量入れた後、メタノールを所定量加え、合計液量が10mLになるように検液を加えた。四フッ化エテン樹脂フィルムを介したバイアル用ゴム栓とアルミシールにより密栓し、塩化ナトリウムが溶けるまで振盪し、60℃で40分間静置した後、ヘッドスペースガスをガスタイトシリンジで抜き取り、ガスクロマトグラフで分析した。このとき、分離カラムは揮発性塩素系有機化合物用のキャピラリーカラム(DB−624)を使用し、検出器はECD、もしくはFID検出器を使用した。こうして得られた測定値から事前に作成した検量線により、検液中のPCE量を定量した。この値をもとに、正確な試料毎の含水比と重量体積比から、重量体積比10%あたりに相当するPCE溶出量(mg/L)を計算した。生石灰添加処理の結果を表2に、多孔質資材添加処理の結果を表3に、砂添加処理の結果を表4に示す。
Figure 2007229601
Figure 2007229601
Figure 2007229601
上記結果の通り、PCEの環境基準値は0.01mg/L未満であるが、本実験例では土壌高さを1〜2cmと浅くして空気との接触面積を大きくし、揮発性物質が揮発し易い環境を形成したにも関わらず、何れの処理でもこの基準を満たすことはできなかった。ここで、生石灰処理における8日目の含水比は数%以下とほとんど乾固した状態であり、揮発性物質が揮発し易い環境にあったことも考慮すれば、粘性土壌の改質処理のみでPCEを短期間で除去するのは極めて難しいことが分かった。
実施例1
上記比較例1で用いた粘性土壌に対して、土着菌を用いたPCE脱塩素化処理と攪拌処理または土壌改質処理とを組み合わせた処理を行なった。具体的には、比較例1の粘性土壌(0.1m3)に、嫌気性微生物用の栄養剤として60%乳酸ナトリウム溶液(約350g)、コーンスチープリカー(約350g)および無機塩類の混合物(約300g)を加え、ロータリー混合装置によりよく攪拌した。その後、縦50cm×横80cm×深さ20cmの容器へ投入し、次いで盛り上がった表面をブルーシートで覆い、そのまま常温で養生した。水槽内における粘性土壌深さは、約25cmであった。所定期間毎に深さ5〜20mのところから試料(約200g)を6点採取し、比較例1と同様の方法でPCEとその脱塩素化物の溶出量(mg/L)を測定し、平均値を算出した。
7日経過後にPCE溶出量が環境基準値以下になったことから、8日目から攪拌処理または土壌改質処理を開始した。攪拌処理は、ブルーシートを除去した後にロータリー混合装置に投入し、よく攪拌することにより行なった。生石灰処理は、ブルーシートを除去した後に粘性土壌に対して2w/w%の生石灰を添加し、ロータリー混合装置によりよく攪拌した後、そのまま常温で養生することにより行なった。土着菌によるPCE脱塩素化処理に続いて攪拌処理を行なった結果を図1に、土壌改質処理を行なった結果を図2に示す。
図1と2の結果の通り、PCEに汚染された粘性土壌を土着の嫌気性微生物で処理した結果、7日目でPCEを環境基準値未満まで減少させることができた。このときTCEはほとんど検出されず、cis−DCEは約0.05mg/Lであった。その後に攪拌処理を行なったところ、図1の通り、処理開始から半日でcis−DCEも環境基準値未満まで低減できた。しかしPCEについては、攪拌処理開始後におけるPCE減少量は少なくなった。一方、土壌改質処理を行なった場合では、処理開始から半日でcis−DCEのみならずPCEもほとんど検出限界まで低減することができた。
従って、土着菌によるPCE脱塩素化処理に続いて攪拌処理を行なえば揮発性の塩素系有機化合物を効率的に環境基準値未満まで低減できるが、PCE脱塩素化処理と土壌改質処理を組合わせることによって、継続的な攪拌処理をすることなく、より一層効果的な塩素系有機化合物の低減が可能になることが実証された。
実施例2
上記比較例1のPCE汚染粘性土壌へ、PCEの脱塩素化能に優れたKBC−1株(FERMBP−08573)を添加した上でPCEの脱塩素化処理を行ない、次いで攪拌処理または土壌改質処理を行なった。具体的には、KBC−1株を表5〜7に示す組成を有する液体培地中、600nmの吸光度が0.3以上になるまで30℃で嫌気的に培養した。
Figure 2007229601
Figure 2007229601
Figure 2007229601
1m3のPCE汚染粘性土壌へ、当該KBC−1株培養液(100mL)と、栄養剤として60%乳酸ナトリウム溶液(3.5kg)、コーンスチープリカー(3.5kg)および無機塩類の混合物(3kg)を加え、小型ミキサーにより攪拌した。得られた土壌を1m2の敷地に積み上げ、表面をブルーシートで覆った。
所定期間毎に高さ方向と横方向に3連づつ、計9箇所から試料(約200g)を採取し、比較例1と同様の方法でPCEとその脱塩素化物の溶出量(mg/L)を測定し、平均値を算出した。
KBC−1株による脱塩素化処理の結果、3日目においてPCEは約0.02mg/Lまで低減することができた。この時点でTCEは約0.34mg/L、cis−DCEは約0.02mg/Lであった。
その後、攪拌処理または砂もしくは多孔質資材による土壌改質処理を行なった。攪拌処理は、上記実施例1と同様の方法により行なった。砂による土壌改質処理は、ブルーシートを除去した後に粘性土壌に対して約40w/w%の砂を添加し、ロータリー混合装置によりよく攪拌した後、そのまま常温で静置することにより行なった。多孔質資材による土壌改質処理は、ブルーシートを除去した後に粘性土壌に対して約12w/w%の資材Bを添加し、ロータリー混合装置によりよく攪拌した後、そのまま常温で静置することにより行なった。KBC−1株によるPCE脱塩素化処理に続いて攪拌処理を行なった結果を図3に、砂または多孔質資材による土壌改質処理を行なった結果をそれぞれ図4と5に示す。
図3と5の結果の通り、PCEに汚染された粘性土壌を、優れたPCE脱塩素化能を有するKBC−1株で3日間処理した後、攪拌処理または多孔質資材による土壌改質処理をすることによって、計5日目でPCEとTCEの塩素系有機化合物を環境基準値未満まで減少させることができた。また、脱塩素化処理に続いて砂による土壌改質処理をしたところ、土壌改質処理開始から1日目(計4日目)で塩素系有機化合物を環境基準値未満まで減少させることができた。
土着菌によるPCE脱塩素化処理に続いて攪拌処理を行なった例におけるPCEとcis−DCEの溶出量を示す図である。 土着菌によるPCE脱塩素化処理に続いて土壌改質処理を行なった例におけるPCEとcis−DCEの溶出量を示す図である。 KBC−1株によるPCE脱塩素化処理に続いて攪拌処理を行なった例におけるPCE、TCEおよびcis−DCEの溶出量を示す図である。 KBC−1株によるPCE脱塩素化処理に続いて、砂による土壌改質処理を行なった例におけるPCE、TCEおよびcis−DCEの溶出量を示す図である。 KBC−1株によるPCE脱塩素化処理に続いて、多孔質資材による土壌改質処理を行なった例におけるPCE、TCEおよびcis−DCEの溶出量を示す図である。

Claims (5)

  1. 揮発性の塩素系有機化合物に汚染された粘性土壌を浄化する方法であって、
    嫌気性微生物により当該塩素系有機化合物を脱塩素化した後に、攪拌処理および/または土壌改質処理を行なうことを特徴とする土壌の浄化方法。
  2. 嫌気性微生物として、浄化すべき汚染土壌に土着の嫌気性微生物を活性化して用いる請求項1に記載の土壌の浄化方法。
  3. 嫌気性微生物として、塩素系有機化合物の脱塩素化能を有する嫌気性微生物を添加して用いる請求項1に記載の土壌の浄化方法。
  4. 嫌気性微生物としてKBC−1株(FERM BP−08573)を用いる請求項3に記載の土壌の浄化方法。
  5. 土壌改質処理のための土壌改質材として、生石灰、多孔質資材および砂質土からなる群より選択される少なくとも1種を用いる請求項1〜4のいずれかに記載の土壌の浄化方法。
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