JP2011222537A - リチウム二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】内部短絡時の安全性と、釘刺し試験時の安全性とを両立したリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】リチウム二次電池は、電極群、非水電解質およびこれらを収容する電池ケースを具備し、電極群は、帯状の正極集電体およびこれに担持された合剤層を含む正極、帯状の負極集電体およびこれに担持された合剤層を含む負極、セパレータ、ならびに多孔質耐熱層を含み、正極と負極とは、セパレータおよび多孔質耐熱層を介して捲回されており、電池ケースは、電極群を収容する第1電池缶と、第1電池缶を収容する第2電池缶とを有し、第1電池缶と第2電池缶との間に、絶縁層が設けられており、正極および負極より選ばれる一方は、第1電池缶と導通しており、他方は第2電池缶と導通している。
【選択図】図2

Description

本発明は、安全性の高い二次電池に関し、詳しくは、内部短絡時の安全性と、釘刺し試験時の安全性とを両立する技術に関する。
リチウム二次電池は、軽量で、高エネルギー密度を有することから、主にポータブル機器用の電源として実用化されている。一般的なリチウム二次電池は、電極群、非水電解質およびこれらを収容する電池缶を具備する。電極群は、帯状の正極集電体およびこれに担持された合剤層を含む正極、帯状の負極集電体およびこれに担持された合剤層を含む負極、ならびにセパレータを含み、正極と負極とが、セパレータを介して捲回されている。セパレータは、正極と負極とを絶縁し、さらに非水電解質を保持する役目を有する。セパレータには、主に微多孔膜が用いられており、微多孔膜は、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂をシート状に成形することにより製造されている。
一般的な微多孔膜はポリオレフィンを含むため、加熱により収縮しやすい。よって、リチウム二次電池を極度な高温環境に長時間放置すると、セパレータが変形する。その結果、正極と負極とが物理的に接触し、内部短絡が発生する傾向がある。内部短絡が発生すると、短絡電流に伴うジュール熱が発生するため、セパレータの変形が進みやすい。セパレータの変形が進むと、短絡部が拡大し、電池が過熱状態に至る場合もある。
リチウム二次電池の高容量化に伴い、セパレータの薄型化が進められているが、セパレータが薄いほど、内部短絡は発生しやすい。よって、内部短絡時に短絡部の拡大を防止することは重要な課題である。そこで、無機フィラー(固体微粒子)および結着剤を含む多孔質絶縁層を、電極表面に担持させることが提案されている(特許文献1参照)。多孔質絶縁層には、アルミナやシリカなどの無機フィラーが充填されている。フィラー粒子同士は比較的少量の結着剤で結合されている。多孔質絶縁層は、高温でも収縮しにくい。よって、内部短絡時に短絡部の拡大が防がれ、電池の過熱を回避することができる。
特許第3371301号公報(特開平7−220759号公報)。
特許文献1が提案するように多孔質絶縁層を電極表面に形成した場合、多孔質絶縁層が堅いため、電極の柔軟性は低減する。そのため、電極群の曲率の大きい部分、例えば電極群の内周部や角型電池の電極群の屈曲部では、強度が比較的弱くなる。このように電極群の強度の弱い部分に釘を刺した場合、電極やセパレータが破損しやすいため、短絡部は拡大しやすく、電池の過熱を回避できない場合がある。
本発明は、電極群、非水電解質およびこれらを収容する電池ケースを具備し、電極群は、帯状の正極集電体およびこれに担持された合剤層を含む正極、帯状の負極集電体およびこれに担持された合剤層を含む負極、セパレータ、ならびに多孔質耐熱層を含み、正極と負極とが、セパレータおよび多孔質耐熱層を介して捲回されており、電池ケースが、電極群を収容する第1電池缶と、第1電池缶を収容する第2電池缶とを有し、第1電池缶と第2電池缶との間に、絶縁層が設けられており、正極および負極より選ばれる一方が、第1電池缶と導通しており、他方が第2電池缶と導通しているリチウム二次電池に関する。
本発明によれば、電極群の強度の弱い部分に釘を刺した場合でも、短絡電流の電極への集中を防止し、電流を電極以外の要素(例えば電池缶)に分流させることができる。よって、内部短絡時の安全性と、釘刺し試験時の安全性とを両立したリチウム二次電池を得ることができる。
参考形態に係るリチウム二次電池の部分断面概念図である。 本発明の第1実施形態に係るリチウム二次電池の断面概念的図である。 本発明の実施例および参考例に係る角形電池の一部を切り欠いた部分斜視図である。
図1に参考形態に係るリチウム二次電池の断面の一部を概念的に示す。正極13は、帯状の正極集電体11およびこれに担持された正極合剤層12を有し、負極16は、帯状の負極集電体14およびこれに担持された負極合剤層15を有する。正極13と負極16とは、帯状のセパレータ17を介して捲回され、電極群を構成している。負極合剤層の表面には、内部短絡時に短絡部の拡大を防止する多孔質耐熱層18が形成されている。
電極群の最外周には、短絡電流の分流部となる負極集電体の露出部14aが配置されている。負極集電体の露出部14aは、セパレータ17を介して、短絡電流の分流部となる電池缶19の内側面と対面している。電池缶19は、正極と導通しており、負極集電体の露出部とは逆の極性を有する。なお、電極群の最外周に配置される露出部が、正極集電体の露出部である場合には、電池缶は、負極と導通させる必要がある。
電極群の最外周に配置される集電体の端部は、内周側と外周側の両面が合剤層を担持せずに露出していてもよく、内周側は合剤層を担持しており外周側だけが露出していてもよい。集電体の露出部は、電極群の全側面に配置されていることが望ましい。また、最外周よりも内周に配置される集電体が更に露出していてもよい。
図1の電池の場合、電池に釘を刺した際に、互いに対向する正極合剤層と負極合剤層との間で短絡が発生する前に、最外周に配置された負極集電体の露出部と電池缶との間で、抵抗の低い短絡部が形成される。よって、短絡電流は、抵抗の低い短絡部に分流し、互いに対向する正極合剤層と負極合剤層との間で流れにくくなる。その結果、短絡電流による発熱が抑制され、釘刺し試験時の安全性が向上する。
電池缶の材質には、鉄、アルミニウムなどが用いられるが、アルミニウム缶は鉄缶に比べて柔らかい。そのため、釘を刺した際のアルミニウム缶の変形は大きく、電池缶内の電極群も大きなダメージを受けやすい。よって、電池缶がアルミニウムからなる場合に、特に効果が顕著になる。なお、アルミニウム缶を用いる場合、電池缶を正極と導通させる必要があるため、電極群の最外周には、負極集電体の露出部を配置する。
図2に本発明の第1実施形態に係るリチウム二次電池の断面を概念的に示す。この電池は、正極21と負極22とがセパレータ23を介して捲回された電極群を有する。負極合剤層の表面には、内部短絡時に短絡部の拡大を防止する多孔質耐熱層(図示せず)が形成されている。電池ケースは、上下に絶縁板24a、24bが配された電極群を収容する第1電池缶25と、第1電池缶25を収容する第2電池缶26とを有する。第1電池缶25と第2電池缶26との間には、絶縁層27が設けられている。ここでは、第1電池缶25と第2電池缶26とが、短絡電流の分流部となる。
正極には、正極リード21aが接続されている。正極リード21aは第1電池缶25の内底面に接続されており、正極21は第1電池缶25と導通している。負極22には、負極リード22aが接続されている。負極リード22aは封口板28の裏面に接続されている。封口板28の周囲にはガスケット29が配されており、封口板28によって第1電池缶25の開口は塞がれている。封口板28の上面は、第2電池缶26に接続されている。よって、負極22は、封口板28を介して第2電池缶26と導通している。なお、正極リードを封口板の裏面に接続し、負極リードを第1電池缶の内底面に接続して、第1電池缶と第2電池缶の極性を逆にしてもよい。
図2の電池の電池ケースは、第1電池缶と第2電池缶とを有する二重構造である。よって、電池に釘を刺した際に、互いに対向する正極合剤層と負極合剤層との間で短絡が発生する前に、第1電池缶と第2電池缶との間で、抵抗の低い短絡部が形成される。よって、短絡電流は、抵抗の低い短絡部に分流し、互いに対向する正極合剤層と負極合剤層との間で流れにくくなる。その結果、短絡電流による発熱が抑制され、釘刺し試験時の安全性が向上する。
なお、第1電池缶および第2電池缶は、釘刺しなどの際に、抵抗の低い短絡部を形成する必要がある。よって、第1電池缶および第2電池缶の材質には、正極および負極の活物質よりも電気抵抗の低い材料を選択する必要がある。具体的には、アルミニウム缶、鉄缶、ニッケル缶などが好ましい。第1電池缶は非水電解質と接するため、第1電池缶としてアルミニウム缶を用いる場合には正極と導通させる必要がある。一方、鉄缶やニッケル缶は、負極と導通させる必要がある。第2電池缶は、非水電解質と接触しないため、電気抵抗の低い材料を自由に選択することができる。よって、正極と第1電池缶とを導通させる場合には、第1電池缶にはアルミニウム缶を用い、第2電池缶にはアルミニウム缶、鉄缶またはニッケル缶を用いることが好ましい。逆に、負極と第1電池缶とを導通させる場合には、第1電池缶には鉄缶やニッケル缶を用い、第2電池缶にはアルミニウム缶、鉄缶またはニッケル缶を用いることが好ましい。
第1電池缶および第2電池缶の厚みは、特に限定されないが、第1電池缶の側部(電極群の最外周と対向する部分)の厚みは、例えば50〜1000μmが好ましく、第2電池缶の側部の厚みは、例えば50〜300μmが好ましい。
第1電池缶と第2電池缶との間に介在させる絶縁層には、どのような材料を用いてもよいが、例えば紙や樹脂繊維からなる不織布、電池のセパレータに用いられる樹脂微多孔膜、樹脂シート、樹脂テープなどが好ましい。絶縁層が不織布からなる場合には、その厚みは100〜1000μmが好ましく、樹脂微多孔膜、樹脂シートまたは樹脂テープからなる場合には、その厚みは20〜300μmが好ましい。
多孔質耐熱層は、正極と負極との間の、どの位置に存在してもよく、多孔質耐熱層の数も制限されない。例えば、多孔質耐熱層を正極上に形成してもよく、負極上に形成してもよく、セパレータと一体化してもよい。また、平坦な基材上に多孔質耐熱層を形成し、形成された多孔質耐熱層を基材から剥がして用いてもよい。例えば、負極の両面に多孔質耐熱層を形成したり、セパレータの片面に多孔質耐熱層を形成したりすることが望ましい。また、正極の両面に多孔質耐熱層を形成してもよく、正極の片面と負極の片面に多孔質耐熱層を形成してもよい。いずれの場合にも、互いに対向する正極合剤層と負極合剤層との間に多孔質耐熱層が介在するように多孔質耐熱層を配置することが望ましい。
多孔質耐熱層は、高耐熱性樹脂か、もしくは耐熱性フィラーと樹脂結着剤との複合物で構成することが好ましい。高耐熱性樹脂からなる耐熱層は、例えば80重量%未満(好ましくは25〜75重量%)の絶縁性フィラーを含むことができる。絶縁性フィラーを含ませることにより、柔軟性と耐久性とのバランスに優れた多孔質耐熱層が得られる。一方、耐熱性フィラーと樹脂結着剤との複合物からなる多孔質耐熱層は、耐熱性フィラーを主成分とする。例えば耐熱層の80重量%以上(好ましくは90〜99重量%)が耐熱性フィラーである。
高耐熱性樹脂は、セパレータよりも高い耐熱性を有することが必要である。高耐熱性樹脂の熱変形温度は、例えば260℃以上であることが望ましい。ここで、熱変形温度とは、アメリカ材料試験協会の試験法ASTM−D648に準拠して1.82MPaの荷重で求められる荷重たわみ温度を意味する。
高耐熱性樹脂には、例えばアラミド(芳香族ポリアミド)、ポリアミドイミド、ポリイミド、セルロースなどを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
耐熱性フィラーもしくは絶縁性フィラーには、例えば、無機酸化物、セラミックス、ガラス、繊維状もしくは粒子状の高耐熱性樹脂などを用いることができる。無機酸化物としては、例えばアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、イットリアが挙げられる。これらは、電池内環境において、化学的に安定である点で好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂結着剤には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、日本ゼオン(株)製の「BM−500B(商品名)」に代表されるアクリル系ゴム粒子、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などを用いることができる。PTFEやゴム粒子は、増粘剤と併用することが望ましい。増粘剤には、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリエチレンオキシド(PEO)、変性ポリアクリロニトリルゴム(例えば日本ゼオン(株)製の「BM−720H(商品名)」)などを用いることが好ましい。樹脂結着剤の熱変形温度は特に限定されないが、260℃以上であることが望ましい。
高耐熱性樹脂からなる多孔質耐熱層は、例えば以下の方法で得ることができる。
(i)まず、高耐熱性樹脂を溶媒に溶解させた樹脂溶液を調製する。高耐熱性樹脂を溶解させる溶媒は、特に限定されないが、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの極性溶媒が好ましい。樹脂溶液には、高耐熱性樹脂100重量部あたり、500重量部以下(好ましくは33重量部〜300重量部)の絶縁性フィラーを分散させてもよい。また、樹脂溶液には、塩化カルシウムなどの造孔材を添加してもよい。得られた樹脂溶液を、正極、負極およびセパレータの少なくとも1つの表面上に塗布し、その後、溶媒や造孔材を乾燥や洗浄により除去する。その結果、正極、負極またはセパレータと一体化した多孔質耐熱層が得られる。
(ii)上記(i)と同様に調製した樹脂溶液を、ガラスやステンレス鋼(SUS)製の平坦な基材上に塗着し、その後、溶媒や造孔材を洗浄や乾燥により除去する。次に、高耐熱性樹脂からなる多孔質なシートを、基材から剥がし、電極間または電極とセパレータとの間に配置する。
耐熱性フィラーと樹脂結着剤との複合物からなる耐熱層は、例えば以下の方法で得ることができる。
(iii)まず、耐熱性フィラーと樹脂結着剤とを、液状成分と混合してペーストもしくはスラリーを調製する。樹脂結着剤は、耐熱性フィラー100重量部あたり、0.5〜10重量部が好適である。液状成分は、特に限定されないが、例えばNMPを用いることができる。耐熱性フィラーと樹脂結着剤と液状成分との混合は、例えば双椀式練合機を用いて行う。得られたペーストもしくはスラリーを、正極、負極およびセパレータの少なくとも1つの表面上に塗布し、その後、液状成分を乾燥により除去する。ペーストもしくはスラリーの塗布は、例えばドクターブレード、ダイコート、グラビアロールなどを用いて行う。
(iv)上記(iii)と同様に調製したペーストもしくはスラリーを、平坦な基材上に塗着し、その後、液状成分を乾燥により除去する。次に、耐熱性フィラーと樹脂結着剤との複合物からなる多孔質なシートを、基材から剥がし、電極間または電極とセパレータとの間に配置する。
多孔質耐熱層の空隙率(見かけ体積に対する空隙体積の割合)は、強度を維持し、かつイオンの移動を妨げないようにする観点から、20〜70%であることが好ましい。空隙率は、所定面積の多孔質耐熱層の真比重と厚さから計算することができる。
多孔質耐熱層の厚みは、1μm〜20μmが好適であり、2〜15μmが特に好適である。多孔質耐熱層の厚みが1μm未満では、内部短絡時の安全性を高める効果が小さくなる。一方、多孔質耐熱層の厚みが20μmを超えると、電池抵抗が大きくなる場合がある。
正極集電体には、アルミニウム箔やアルミニウム合金箔を用いることが好ましく、その厚みは10〜30μmが好適である。一方、負極集電体には、銅箔を用いることが好ましく、その厚みは5〜50μmが好適である。
正極合剤層は、正極活物質を含む。正極活物質には、従来からリチウム二次電池の正極活物質として用いられている種々の物質を用いることができる。具体的には、例えばコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウムのようなリチウム含有遷移金属酸化物を用いることができる。リチウム含有遷移金属酸化物の遷移金属の一部を他元素で置換してもよい。また、酸化物粒子の表面を、他元素で被覆してもよい。正極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極合剤層は、正極活物質と少量の結着剤(例えばPTFE、PVDF、BM−500Bなど)を含む合剤を集電体に担持させたものであることが望ましい。正極合剤には、導電材(例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛など)を少量添加してもよい。
負極合剤層は、負極活物質を含む。負極活物質には、従来からリチウム二次電池の負極活物質として用いられている種々の物質を用いることができる。具体的には、例えば炭素材料(例えば天然黒鉛、人造黒鉛、ハードカーボン)、リチウムと合金化可能な元素(例えばAl、Si、Zn、Ge、Cd、Sn、Ti、Pb)、ケイ素化合物(例えばSiOx(0<x<2))、スズ化合物(例えばSnO)、リチウム金属、合金(例えばNi−Si合金、Ti−Si合金)などを用いることができる。リチウム金属には、リチウム単体のほかに、Li−Al合金などのリチウム合金を用いることができる。負極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
負極活物質は、集電体に直接蒸着してもよいが、少量の結着剤(例えばPVDF、スチレンブタジエンゴム、ポリアクリル酸)を含む合剤を集電体に担持させたものであることが望ましい。また、正極と同様に、合剤に導電材を添加してもよい。
セパレータには、従来からリチウム二次電池のセパレータとして用いられている材料を用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂からなる微多孔膜を用いることが好ましい。なかでもポリエチレンからなる単層膜、ポリエチレン層とポリプロピレン層からなる多層膜などが好ましい。
非水電解質には、リチウム塩を溶質として溶解する非水溶媒を用いることが好ましい。
リチウム塩には、6フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、4フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、LiAlCl4、LiSbF6、LiSCN、LiCl、LiCF3SO3、LiCF3CO2、Li(CF3SO22、LiAsF6、LiN(CF3SO22、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiCl、LiBr、LiI、4塩化ホウ酸リチウム、4フェニルホウ酸リチウム、リチウムイミド塩等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。リチウム塩の非水溶媒に対する溶解量は、特に限定されないが、リチウム塩濃度は0.2〜2mol/Lが好ましく、0.5〜1.5mol/Lが更に好ましい。
非水溶媒には、エチレンカーボネ−ト(EC)、プロピレンカ−ボネ−ト(PC)、ブチレンカーボネート(BC)などの環状カーボネート類、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)などの鎖状カーボネート類、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン類、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)等の鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル類、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1,3−プロパンサルトン、アニソール、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドンを用いることができる。これらは単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いることが好ましい。なかでも環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合溶媒または環状カーボネートと鎖状カーボネートと脂肪族カルボン酸エステルとの混合溶媒が好ましい。
電池の充放電特性を改良する目的で、非水電解質に種々の添加剤を加えることができる。添加剤には、例えばビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、シクロヘキシルベンゼン(CHB)、フルオロベンゼンなどを用いることが好ましい。これらの添加剤は、正極および/または負極上に、良好な皮膜を形成し、過充電時の安定性を向上させる。
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるわけではない。
《参考例1》
(i)正極の作製
コバルト酸リチウム3kgを、呉羽化学(株)製の「PVDF#1320」(PVDFを12重量%含むN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液)1kg、アセチレンブラック90gおよび適量のNMPとともに双腕式練合機で攪拌し、正極合剤ペーストを調製した。このペーストを厚み15μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に塗布した。ペーストの塗膜を、乾燥し、圧延して、正極合剤層を形成した。その後、幅43.5mmの帯状に正極集電体を裁断し、正極を得た。正極の厚みは150μmとした。正極集電体の一端には、両面に正極合剤層を担持しない幅25mmの露出部を設けた。
なお、正極集電体の裁断の際、平行に配された2枚の切断刃の間隔を300μmに設定した。その結果、切断箇所には、高さ80〜150μmのバリが生じた。バリを有する正極を作製した理由は、敢えて内部短絡を発生しやすい電池を作製し、内部短絡時の電池の安全性を評価するためである。
(ii)負極の作製
人造黒鉛3kgを、日本ゼオン(株)製の「BM−400B」(スチレン−ブタジエン共重合体ゴム粒子を40重量%含む水性分散液)75g、CMC30gおよび適量の水とともに双腕式練合機で攪拌し、負極合剤ペーストを調製した。このペーストを厚み10μmの銅箔からなる負極集電体の両面に塗布した。ペーストの塗膜を、乾燥し、圧延して、負極合剤層を形成した。その後、幅44.5mmの帯状に負極集電体を裁断し、負極を得た。負極の厚みは150μmとした。なお、負極集電体の一端には、両面に負極合剤層を担持しない露出部を設けた。露出部の幅は、電極群の外周側となる面(外面)では電極群の最外周の長さに合わせて90mm、内周側となる面(内面)では25mmとした。
(iii)多孔質耐熱層の形成
メディアン径0.3μmのアルミナ970gを、日本ゼオン(株)製の「BM−720H(商品名)」(変性ポリアクリロニトリルゴムを8重量%含むNMP溶液)375gおよび適量のNMPとともに双腕式練合機で攪拌し、多孔質耐熱層の前駆体ペーストを調製した。このペーストを負極合剤層の全面に塗布し、120℃の真空減圧下で10時間乾燥し、厚み5μmの多孔質耐熱層を形成した。
(iv)非水電解質の調製
エチレンカーボネート(EC)と、ジメチルカーボネート(DMC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)との体積比1:1:1の混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lの濃度で溶解して非水電解質を得た。非水電解質には、3重量%のビニレンカーボネート(VC)を溶解させた。
(v)電池の作製
正極集電体および負極集電体の露出部の内面に、それぞれ正極リードおよび負極リードを接続した。正極と負極とを、厚み15μm、幅47mmのポリエチレン製の微多孔膜からなるセパレータ(セルガード(株)製)を介して捲回し、断面が略楕円形の電極群を構成した。その際、正極集電体の露出部を電極群の中心側に配置した。負極集電体の露出部は、電極群の最外周に配置した。得られた電極群の全側面には、短絡電流の分流部となる負極集電体が露出していた。その後、電極群の全側面をセパレータで覆った。
得られた電極群を用いて、図3に示すような角形電池を以下の要領で作製した。
電極群の上部にポリエチレン製の絶縁板31を装着し、開口を有する有底の角形アルミニウム缶(第1電池缶)32内に収容した。正極リード33は、安全弁34を有する封口板35の下面に溶接した。負極リード36は、封口板35の中心部にあるニッケル製の外部端子37の下部に接続した。外部端子37と封口板35との間には絶縁部材38を介在させた。アルミニウム缶32の開口端と封口板の周縁部とをレーザ溶接で接続した。その後、封口板の注入孔から2.5gの非水電解質を注液した。最後に注入孔をアルミニウム製の封栓39で塞ぎ、レーザ溶接で注液孔を密封して、幅34mm、高さ50mm、厚み5.2mmの角形電池を完成させた。この電池の場合、負極集電体の露出部が負極側の分流部となり、アルミニウム缶が正極側の分流部となる。
《実施例1》
負極集電体の露出部の幅を、内面および外面において、それぞれ25mm(リード溶接分)に変更したこと以外、参考例1と同様の電極群を構成した。得られた電極群の側面には、集電体が露出していない箇所が多く存在した。この電極群を用いたこと以外、参考例1と同様にして、角形電池を完成させた。
次に、アルミニウム缶(第1電池缶)の底面の中心部だけを露出させて、電池全体を筒状セパレータで覆った。その後、セパレータで覆われた電池を、アルミニウム缶とほぼ相似形状を有する鉄缶(第2電池缶)に収容した。その際、電池の外部端子側を鉄缶の底面側に配置した。外部端子と鉄缶の内底面とを溶接で接続した。次に、鉄缶の開口端を、筒状セパレータを介して、アルミニウム缶の底部外面にかしめ、所望の電池を完成させた。この電池の場合、鉄缶が負極側の分流部となり、アルミニウム缶が正極の分流部となる。
《参考例2》
正極集電体の露出部の幅を、外面90mm、内面25mmに変更し、負極集電体の露出部の幅を、内面および外面において、それぞれ25mmに変更したこと以外、参考例1と同様の正極と負極を作製した。正極集電体および負極集電体の露出部の内面には、それぞれ正極リードおよび負極リードを接続した。次に、正極と負極とを、セパレータを介して捲回し、断面が略楕円形の電極群を構成した。ただし、負極集電体の露出部を電極群の中心側に配置し、正極集電体の露出部は、電極群の最外周に配置した。得られた電極群を鉄缶に収容し、負極リードを、安全弁を有する封口板の下面に溶接し、正極リードを、外部端子の下部に接続したこと以外、参考例1と同様の角形電池を作製した。この電池の場合、鉄缶が負極側の分流部となり、正極集電体の露出部が正極の分流部となる。
《実施例2》
正極集電体の露出部の幅を、内面および外面において、それぞれ25mm(リード溶接分)に変更したこと以外、参考例2と同様の電極群を構成した。なお、得られた電極群の側面には、集電体が露出していない箇所が多く存在した。こうして得られた電極群を鉄缶に収容し、負極リードを、安全弁を有する封口板の下面に溶接し、正極リードを、外部端子の下部に接続したこと以外、参考例1と同様の角形電池を作製した。
次に、鉄缶(第1電池缶)の底面の中心部だけを露出させて、電池全体を筒状セパレータで覆った。その後、セパレータで覆われた電池を、鉄缶とほぼ相似形状を有するアルミニウム缶(第2電池缶)に収容した。その際、電池の外部端子側をアルミニウム缶の底面側に配置した。外部端子とアルミニウム缶の内底面とを溶接で接続した。次に、アルミニウム缶の開口端を、筒状セパレータを介して、鉄缶の底部外面にかしめ、所望の電池を完成させた。この電池の場合、鉄缶が負極側の分流部となり、アルミニウム缶が正極の分流部となる。
《参考例3》
円筒形電池を以下の要領で作製した。
正極および負極の厚みを180μm、正極の幅を56mm、負極の幅を57.5mm、セパレータの幅を60.7mmに変更し、正極集電体の露出部の幅を、内面および外面において、それぞれ40mm、負極集電体の露出部の幅を、外面80mm、内面25mmに変更したこと以外、参考例1と同様に正極および負極を作製した。正極集電体および負極集電体の露出部の内面には、それぞれ正極リードおよび負極リードを接続した。次に、断面が円形になるように、正極と負極とを、セパレータを介して捲回した。その際、正極集電体の露出部を電極群の中心側に配置し、負極集電体の露出部は、電極群の最外周に配置した。得られた電極群の全側面には、負極集電体が露出していた。その後、電極群の全側面をセパレータで覆った。
電極群の上下にそれぞれ絶縁板を配置し、開口を有する有底の円筒形アルミニウム缶内に収容した。負極リードは、安全弁を有する封口板の下面に溶接した。正極リードは、アルミニウム缶の内底面に溶接した。次に、アルミニウム缶内に5.5gの非水電解質を注液した。その後、アルミニウム缶の開口を、周囲にガスケットを配した封口板で塞ぎ、アルミニウム缶の開口端をガスケットにかしめた。こうして、直径18mm、高さ65mmの円筒形電池を完成させた。この電池の場合、負極集電体の露出部が負極側の分流部となり、アルミニウム缶が正極の分流部となる。
《実施例3》
負極集電体の露出部の幅を、内面および外面において、それぞれ25mm(リード溶接分)に変更したこと以外、参考例3と同様の電極群を構成した。なお、得られた電極群の側面には、集電体が露出していない箇所が多く存在した。この電極群を用いたこと以外、参考例3と同様にして、円筒形電池を完成させた。
次に、アルミニウム缶(第1電池缶)の底面の中心部だけを露出させて、電池全体を筒状セパレータで覆った。その後、セパレータで覆われた電池を、アルミニウム缶とほぼ相似形状を有する鉄缶(第2電池缶)に収容した。その際、電池の封口板を、鉄缶の底面側に配置した。その後、封口板と鉄缶の内底面とを溶接で接続した。次に、鉄缶の開口端を、筒状セパレータを介して、アルミニウム缶の底部外面にかしめ、所望の電池を完成させた。この電池の場合、鉄缶が負極側の分流部となり、アルミニウム缶が正極の分流部となる。
《参考例4》
正極集電体の露出部の幅を、外面80mm、内面25mmに変更し、負極集電体の露出部の幅を、内面および外面において、それぞれ40mmに変更したこと以外、参考例3と同様の正極と負極を作製した。正極集電体および負極集電体の露出部の内面には、それぞれ正極リードおよび負極リードを接続した。次に、正極と負極とを、セパレータを介して捲回し、断面が円形の電極群を構成した。ただし、負極集電体の露出部を電極群の中心側に配置し、正極集電体の露出部は、電極群の最外周に配置した。得られた電極群を鉄缶に収容し、正極リードを、安全弁を有する封口板の下面に溶接し、負極リードを、鉄缶の内底面に溶接したこと以外、参考例3と同様の円筒形電池を作製した。この電池の場合、鉄缶が負極側の分流部となり、正極集電体の露出部が正極の分流部となる。
《実施例4》
正極集電体の露出部の幅を、内面および外面において、それぞれ25mm(リード溶接分)に変更したこと以外、参考例4と同様の電極群を構成した。なお、得られた電極群の側面には、集電体が露出していない箇所が多く存在した。こうして得られた電極群を鉄缶に収容し、正極リードを、安全弁を有する封口板の下面に溶接し、負極リードを、鉄缶の内底面に溶接したこと以外、参考例4と同様の円筒形電池を作製した。
次に、鉄缶(第1電池缶)の底面の中心部だけを露出させて、電池全体を筒状セパレータで覆った。その後、セパレータで覆われた電池を、鉄缶とほぼ相似形状を有するアルミニウム缶(第2電池缶)に収容した。その際、電池の封口板を、アルミニウム缶の底面側に配置した。その後、封口板とアルミニウム缶の内底面とを溶接で接続した。次に、アルミニウム缶の開口端を、筒状セパレータを介して、鉄缶の底部外面にかしめ、所望の電池を完成させた。この電池の場合、鉄缶が負極側の分流部となり、アルミニウム缶が正極の分流部となる。
《参考例5》
多孔質耐熱層の前駆体ペーストを負極合剤層の代わりに、正極合剤層の全面に塗布し、120℃の真空減圧下で10時間乾燥し、厚み5μmの多孔質耐熱層を形成した。この点以外は、参考例1と同様に、角形電池を作製した。
《実施例5》
多孔質耐熱層の前駆体ペーストを負極合剤層の代わりに、正極合剤層の全面に塗布し、120℃の真空減圧下で10時間乾燥し、厚み5μmの多孔質耐熱層を形成した。この点以外は、実施例1と同様に、角形電池を作製した。
《参考例6》
多孔質耐熱層の前駆体ペーストを負極合剤層の代わりに、セパレータの片面に塗布し、真空減圧下で10時間乾燥し、厚み5μmの多孔質耐熱層を形成した。また、電極群を構成する際に、多孔質耐熱層が負極と対面するようにセパレータを配置した。これらの点以外は、参考例1と同様に、角形電池を作製した。
《実施例6》
多孔質耐熱層の前駆体ペーストを負極合剤層の代わりに、セパレータの片面に塗布し、真空減圧下で10時間乾燥し、厚み5μmの多孔質耐熱層を形成した。また、電極群を構成する際に、多孔質耐熱層が負極と対面するようにセパレータを配置した。これらの点以外は、実施例1と同様に、角形電池を作製した。
《参考例7〜9》
多孔質耐熱層の耐熱性フィラーに、アルミナの代わりに、マグネシア、ジルコニアまたはシリカを用いたこと以外、参考例1と同様に、角形電池を作製した。
《参考例10》
以下の要領で、アラミド樹脂からなる多孔質耐熱層を負極合剤層の全面に形成したこと以外、参考例1と同様に、角形電池を作製した。
1kgのNMPに対し、乾燥した無水塩化カルシウムを65g添加し、反応槽内で80℃に加温して完全に溶解させた。得られた塩化カルシウムのNMP溶液を常温に戻した後、パラフェニレンジアミンを32g添加し、完全に溶解させた。この後、反応槽を20℃の恒温室に入れ、テレフタル酸ジクロライド58gを、1時間をかけてNMP溶液に滴下した。その後、NMP溶液を20℃の恒温室内で1時間放置し、重合反応を進行させることにより、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(以下、PPTAと略記)を合成した。反応終了後、NMP溶液(重合液)を、恒温室から真空室に入れ替え、減圧下で30分間撹拌して脱気した。得られた重合液を、さらに塩化カルシウムのNMP溶液で希釈し、PPTA濃度が1.4重量%であるアラミド樹脂のNMP溶液(多孔質耐熱層の前駆体ペースト)を調製した。
得られたアラミド樹脂のNMP溶液を、バーコーターで、SUS基材上に塗布し、80℃の熱風(風速0.5m/秒)で乾燥させ、アラミド樹脂の塗膜を形成した。その後、アラミド樹脂の塗膜を、純水で十分に水洗し、塩化カルシウムを除去し、乾燥させて、厚み5μmの多孔質耐熱層のシートを得た。得られたアラミドのシートで負極合剤層の全面を被覆し、80℃のローラで圧延して、多孔質耐熱層を負極表面に接合した。なお、アラミド樹脂の熱変形温度(荷重たわみ温度)をASTMに準拠して測定したところ321℃であった。
《参考例11》
以下の要領で、ポリイミド樹脂からなる多孔質耐熱層を負極合剤層の全面に形成したこと以外、参考例1と同様に、角形電池を作製した。
ピロメリット酸二無水物21gと、ジアミノジフェニルエーテル20gとを、NMP1kgに添加し、室温で混合し、ポリアミド酸のNMP溶液(ポリアミド酸濃度3.9重量%)を調製した。
得られたポリアミド酸のNMP溶液(多孔質耐熱層の前駆体ペースト)を、バーコーターで、SUS基材上に塗布した。その後、塗膜を80℃の熱風(風速0.5m/秒)で乾燥させた後に基材から剥がして延伸加工し、厚み5μmのポリイミド前駆体からなるシートを作製した。得られたシートを300℃で加熱し、脱水イミド化によりポリイミドを生成させた。得られたポリイミドのシートで負極合剤層の全面を被覆し、80℃のローラで圧延して、多孔質耐熱層を負極表面に接合した。なお、ポリイミド樹脂の熱変形温度は362℃であった。
《参考例12》
以下の要領で、ポリアミドイミド樹脂からなる多孔質耐熱層を負極合剤層の全面に形成したこと以外、参考例1と同様に、角形電池を作製した。
参考例11で調製したのと同じポリアミド酸のNMP溶液(多孔質耐熱層の前駆体ペースト)を、バーコーターで、SUS基材上に塗布した。塗膜を水洗した後、80℃の熱風(風速0.5m/秒)で塗膜を乾燥し、同時にポリアミド酸を脱水閉環させた。その後、塗膜を基材から剥がし、厚み5μmのポリアミドイミドのシートを得た。得られたポリアミドイミドのシートで負極合剤層の全面を被覆し、80℃のローラで圧延して、多孔質耐熱層を負極表面に接合した。なお、ポリアミドイミドの熱変形温度は280℃であった。
《参考例13〜15》
多孔質耐熱層の耐熱性フィラーに、アルミナの代わりに、マグネシア、ジルコニアまたはシリカを用いたこと以外、参考例6と同様に、角形電池を作製した。
《参考例16》
参考例10で調製したのと同じアラミド樹脂のNMP溶液を、SUS基材の代わりに、セパレータの片面に塗布した。その後、セパレータとともにアラミド樹脂の塗膜を、純水で十分に水洗し、塩化カルシウムを除去し、乾燥させて、厚み5μmの多孔質耐熱層を有するセパレータを得た。このセパレータを用いたこと以外、参考例6と同様に、角形電池を作製した。
《参考例17》
参考例11で調製したのと同じポリイミドのシートを、セパレータの片面に配し、80℃のローラで圧延して、ポリイミドのシートをセパレータに接合した。このセパレータを用いたこと以外、参考例6と同様に、角形電池を作製した。
《参考例18》
参考例12で調製したのと同じポリアミドイミドのシートを、セパレータの片面に配し、80℃のローラで圧延して、ポリアミドイミドのシートをセパレータに接合した。このセパレータを用いたこと以外、参考例6と同様に、角形電池を作製した。
《比較例1》
第2電池缶を用いなかったこと以外、実施例1と同様に、角形電池を作製した。この電池は、負極側も正極側も分流部を有さない。
《比較例2》
第2電池缶を用いなかったこと以外、実施例2と同様に、角形電池を作製した。この電池は、負極側も正極側も分流部を有さない。
《比較例3》
負極上に多孔質耐熱層を設けなかったこと以外、参考例1と同様に、角形電池を作製した。この電池の場合、負極集電体の露出部が負極側の分流部となり、アルミニウム缶が正極側の分流部となる。
作製した電池の構成を表1に示す。
[評価]
各実施例、各参考例および各比較例において、電池を50個ずつ作製し、以下の評価を行った。
(内部短絡時の発熱温度)
各電池について、慣らし充放電を二度行い、更に400mAの電流値で4.1Vに達するまで充電した。その後、充電状態の電池を、45℃環境下で7日間保存した。保存前に比べ、保存後の開回路電圧が300mV以上低下した電池は、内部短絡電池と判断した。
次に、内部短絡電池を、室温下で400mAの電流値で3.0Vに達するまで放電した後、2Aで1時間の定電流充電を行った。充電終了直後の電池表面温度を表2に示す。
(釘刺し試験)
各実施例、各参考例および各比較例において、内部短絡が確認されなかった電池を選択し、これに対して、以下の条件で充電を行った。
〈充電条件〉
定電流充電:電流値1400mA/充電終止電圧4.3V
定電圧充電:電圧値4.3V/充電終止電流100mA
そして、20℃環境下で、充電状態の電池の側面から、直径2.7mmの鉄釘を5mm/秒の速度で2mmの深さまで突き刺した。その際の電池の温度を、釘刺し位置から離れた電池の側面に付した熱電対で測定した。30秒後の到達温度を表2に記す。
[考察]
参考例1の電池の釘刺し試験時における表面温度は、分流部を全く有さない比較例1、2の電池に比べて、顕著に低下した。また、参考例1の電池の内部短絡時における表面温度は、多孔質耐熱層を有さない比較例3の電池に比べて、顕著に低下した。以上より、参考例1の電池は、内部短絡時の安全性だけでなく、釘刺し試験時の高度な安全性を確保できることが示された。
実施例1の電池の釘刺し試験時における表面温度は、参考例1に比べて、さらに低くなった。二重構造の電池ケースを用いることにより、熱が外部に拡散しやすくなると考えられる。
実施例2、参考例2と比較例1〜3との対比からも、本発明の電池が、内部短絡時の安全性だけでなく、釘刺し試験時の高度な安全性を確保できることが示された。また、参考例3、4および実施例3、4より、本発明の効果は、電池の形状に大きく影響されないことが示された。また、参考例5、6および実施例5、6より、本発明の効果は、多孔質耐熱層の配置に大きく影響されないことが示された。更に、参考例7〜18より、上記の効果は、多孔質耐熱層の組成に大きく影響されないことが示された。
なお、比較例1では、釘刺しによるアルミニウム缶の変形が大きく、鉄缶を用いた比較例2に比べて、釘刺し試験時の電池の表面温度は極めて高くなった。また、比較例3では、多孔質耐熱層が存在しないため、内部短絡時の電池の表面温度が極めて高くなった。
本発明は、内部短絡時の安全性だけでなく、釘刺し試験時の高度な安全性を確保することが望まれるリチウム二次電池において特に有用である。本発明のリチウム二次電池は、特に携帯情報端末および携帯電子機器のようなポータブル機器の電源としての利用可能性が高い。ただし、本発明のリチウム二次電池は、例えば家庭用小型電力貯蔵装置、自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等の電源にも用いることができ、用途は特に限定されない。
11 正極集電体
12 正極合剤層
13 正極
14 負極集電体
14a 負極集電体の露出部
15 負極合剤層
16 負極
17 セパレータ
18 多孔質耐熱層
19 電池缶
21 正極
21a 正極リード
22 負極
22a 負極リード
23 セパレータ
24a、24b 絶縁板
25 第1電池缶
26 第2電池缶
27 絶縁層
28 封口板
29 ガスケット
31 絶縁板
32 アルミニウム缶(第1電池缶)
33 正極リード
34 安全弁
35 封口板
36 負極リード
37 外部端子
38 絶縁部材
39 封栓

Claims (1)

  1. 電極群、非水電解質およびこれらを収容する電池ケースを具備し、
    前記電極群は、帯状の正極集電体およびこれに担持された合剤層を含む正極、帯状の負極集電体およびこれに担持された合剤層を含む負極、セパレータ、ならびに多孔質耐熱層を含み、前記正極と前記負極とが、前記セパレータおよび前記多孔質耐熱層を介して捲回されており、
    前記電池ケースが、前記電極群を収容する第1電池缶と、前記第1電池缶を収容する第2電池缶とを有し、前記第1電池缶と前記第2電池缶との間に、絶縁層が設けられており、
    前記正極および前記負極より選ばれる一方が、前記第1電池缶と導通しており、他方が前記第2電池缶と導通している、リチウム二次電池。
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