JP2011221645A - 品質予測装置、品質予測方法、コンピュータプログラム、およびコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents

品質予測装置、品質予測方法、コンピュータプログラム、およびコンピュータ読み取り可能な記録媒体 Download PDF

Info

Publication number
JP2011221645A
JP2011221645A JP2010087866A JP2010087866A JP2011221645A JP 2011221645 A JP2011221645 A JP 2011221645A JP 2010087866 A JP2010087866 A JP 2010087866A JP 2010087866 A JP2010087866 A JP 2010087866A JP 2011221645 A JP2011221645 A JP 2011221645A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
quality
operation data
value
quality prediction
term learning
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010087866A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5488140B2 (ja
Inventor
Akira Morita
彰 森田
Osamu Ishihara
理 石原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2010087866A priority Critical patent/JP5488140B2/ja
Publication of JP2011221645A publication Critical patent/JP2011221645A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5488140B2 publication Critical patent/JP5488140B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P90/00Enabling technologies with a potential contribution to greenhouse gas [GHG] emissions mitigation
    • Y02P90/30Computing systems specially adapted for manufacturing

Landscapes

  • Management, Administration, Business Operations System, And Electronic Commerce (AREA)

Abstract

【課題】同一ロットを適切に決定し、同一ロット材が連続した場合の予測の精度を高め、かつメンテナンス負荷が軽減された品質予測装置を提供する。
【解決手段】品質予測装置は、分割パターン候補を作成する分割パターン候補作成部と、各分割パターン候補の活性度関数を算出する活性度関数算出部と、各分割パターン候補について、長期学習予測値と短期学習係数とを算出し、全体領域における品質予測値と品質データとの予測誤差が最小の分割パターンを選択する最小誤差分割パターン選択部と、予測誤差の収束状態を判定する学習誤差評価部と、品質予測値を出力する品質予測値出力部と、指数平滑係数を算出する指数平滑係数算出部と、を備え、最小誤差分割パターン選択部は、操業データ間の類似性を示す評価指標値に基づいて製品のロットの変化を判定し、互いに類似していると判定される製品が継続している範囲において指数平滑学習により短期学習係数を算出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、製造プロセスにおける品質予測装置、品質予測方法、コンピュータプログラム、およびコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関し、より詳細には、鉄鋼プロセスのような生産ラインにて操業条件を変更することで、複数種類の製品を作り分ける製造プロセスにおいて、過去に製造された製品の品質情報を製造順番に並べた時系列品質データより品質予測モデルを作成し、品質予測を行う場合に用いる品質予測装置、品質予測方法、コンピュータプログラム、およびコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
鉄鋼や半導体などの製造プロセスにおいては、顧客からの製品の注文に応じて、顧客の製品に対する要求仕様から製品を製造するための操業条件を決定し、製品を製造する。製造の途中において、これまでに通過した工程(上工程)での操業実績並びに今後の通過工程(下工程)での操業予定条件に基づいて、製品が要求仕様を満足するかが評価される。場合によっては、下工程の操業条件を変更する作業や、顧客への不良品の流出を回避するために、出荷前検査を重点的に実施する作業が行われることもある。したがって、製造の過程において、製品の品質を予測することは、非常に重要である。このため、従来から、製造プロセスの操業オペレータや技術担当者により、操業条件から製品の品質を推定する作業が行われている。
品質を予測する一般的な方法(以下「第1の方法」と称する。)として、同一の製品を製造する場合は、例えば操業標準等で定められたように、操業条件が一定となるように操業が行われる。このとき、特に鉄鋼プロセスのような高温・高荷重等の厳しい環境下で製品が製造される場合には、例えば圧延機のミル定数などの設備の特性が徐々に変化する。このため、全く同じ操業条件でも製造タイミングによって、品質が異なる状況が発生する。このような状況から、操業オペレータや担当者は、直前までに製造された製品の品質の実績を参照し、更に過去の経験や製造プロセスに関する知識も加味して、現在製造中の製品の品質を予測する作業を行っている。
また、上記のような同一の製造条件(すなわち、入力条件)であっても、製造タイミングで品質(すなわち、出力)が変化する状況は、最終品質のみならず、例えば鉄鋼プロセスの熱間圧延における捲き取り温度などの中間プロセス状態量や、更には、捲き取り温度を制御するための熱間圧延ランナウトテーブルでの冷却制御モデルの学習係数のような制御パラメータについても生ずる。これより、これらに対しても直前までに製造された製品での実績を参照して適性値を予測することが必要となる。
しかしながら、この第1の方法では、操業オペレータ・担当者の知識や熟練度に、予測精度が大きく影響されてしまうという問題があった。更には、短時間で多数の製品が製造される場合には、処理すべき情報量が多く、かつ高速処理が必要となり、人間では対応できないという問題もあった。
そこで、第2の方法として、特許文献1には、人間の記憶のみに頼るのではなく、過去の品質データを用いて、計算機を援用して予測を行う方法が提案されている。第2の方法では、蓄積された品質の時系列データを解析して、現在製造中の製品の品質を予測する実用的で簡便な方法として広く利用されている指数平滑法を用いている。指数平滑法では、新たなデータの値は過去の値の影響を受け、影響の強さは現在に近いほど強く、過去に遡るほど弱くなると仮定し、時系列に含まれるデータに対して重み付けを行い、新たなデータの予測値を計算する。第2の方法は、指数平滑法で品質を予測する方法において、平滑化定数をN個の時系列データを用いて理論的な最適解より算出し、予測値と実績との差で定義される予測誤差の標準偏差に基づいて予測値の上下限範囲も推定可能とする手法である。
ここで、一般に、製造プロセスの品質データは、複数の製品に関するデータが含まれているために、十分な精度が得るためには、データを適正な条件で分割して、各分割について指数平滑を行う必要がある。しかし、特許文献1の手法では、データの分割については全く考慮されておらず、本手法を製造プロセスの品質予測に適用した場合は、予測精度が大きく劣化するという問題がある。
第3の方法として、特許文献2には、熱延仕上げ圧延におけるセットアップ計算を対象に、圧延ロールと被圧延材の摩擦係数を指数平滑法で推定するにあたり、平滑化係数を別個に設定するべき圧延条件の区分を人間が設定して、該区分ごとに指数平滑を行う方法が開示されている。この第3の方法は、比較的高い精度が確保でき、実プロセスでもよく利用されている方法であるが、区分は担当者の経験に基づいて決定されるために担当者の熟練度に依存し、予測精度も担当者に依存する。また人間は、板厚や目標捲き取り温度など複数存在する圧延条件に対し、その一つだけに着目して区分を決定し、それを複数の圧延条件に対して機械的に組み合わせて区分を作成する。このため、殆どデータが存在しない区分が発生して、精度が劣化するという問題がある。また区分が細分化しやすくなるため、精度が劣化した場合のメンテナンス負荷が高くなるという実用上の問題もある。
一方、特許文献3には、圧延機の設定値を決定する制御方法において、数式モデルの誤差をニューラルネットワークによる長期学習制御と、指数平滑による短期学習制御とによって学習する方法が開示されている。特許文献3の方法では、同一仕様の圧延材または同種仕様の圧延材に特有のモデルの誤差を、ニューラルネットワークを用いた長期学習制御によって推定して数式モデル計算値に修正を加え、圧延機の温度変化や摩耗などの短期的変化に伴う圧延状態の変化により生ずるモデル誤差を、至近の圧延材のモデル誤差の実績から短期学習制御によって推定し、モデル計算値に修正を加えている。
特開2004−110300号公報 特開平9−29316号公報 特許第3223856号公報
坂本慶行ら著「情報量統計学」共立出版株式会社(1983年)、43ページ
上記特許文献3の方法では、同一仕様の圧延材または同種仕様の圧延材に特有のモデルの誤差を長期学習制御によって推定し、短期的な圧延状態の変化により生じるモデル誤差を、至近のモデル誤差の実績から短期学習制御によって推定し、モデル計算値に修正を加えているが、実際の短期学習制御に用いられるモデル誤差比には長期学習制御で修正しきれなかった、同一仕様の圧延材または同種仕様の圧延材に特有のモデル誤差が含まれている。このため、至近の圧延材と異なる仕様の圧延材を製造する場合には、至近の圧延材のモデル誤差の悪影響を除去するために、短期学習係数を初期化する必要がある。しかし、上記特許文献3には、至近の圧延材と異なる仕様の圧延材を製造する場合に短期学習を初期化する方法については記述されていないため、至近の圧延材と異なる仕様の圧延材を製造する場合、至近の圧延材の仕様に依存するモデル誤差が次の圧延材に悪影響を及ぼす恐れがある。
このように短期学習制御を有効に機能させるためには、同一仕様または同種仕様と判断する圧延材の条件を適切に規定する必要がある。しかし、本来連続変数である製造条件や操業条件(製品サイズ、目標温度など)に対し、どのように圧延材の条件の区切りを決定するかは特許文献3では明確となってない。
ここで、「同一仕様または同種仕様と判断する圧延材」に相当する表現として、本明細書では「同一ロット」との表現を用いる。なお、「ロット」とは、一般的にはまとめて同種の製品を生産する場合の生産単位を指すが、本明細書においては、完全に同一ではないとしても、似通った製造条件で生産されており、品質予測を行う上では、略同一の製造条件で生産されたとみなして過去の製造実績を品質の推定に用いることの可能な製品群を指している。
一般的には、同一ロットと判断する製品(以下、同一ロット材)の条件は、過去の製造条件や操業条件の分布や、モデル誤差などから経験的に定められるが、連続変数の各種条件に基づき設定されたロットの区切りが適切でないと、近い値の製造条件や操業条件で製造された製品がロットの区切りを挟んで別ロットとなってしまうこともある。さらに、製品規格のように、不連続な条件をすべて個別にロットとして定義してしまうと、対象の少ないものについては同一ロット材がほとんど存在しなくなり、短期学習が機能しなくなる。
また、同一ロットの条件を厳しくすれば、ロット内の製品の類似性が高くなり、短期学習ゲインを上げて短期学習の収束性をよくすることができる。しかし、同一ロットの本数が少なくなり、短期学習の適用率が下がってしまう。このようなトレードオフの問題のため、従来は、試行錯誤によりロットの区切りを決定していた。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、過去に製造された製品の品質情報を製造順番に並べた時系列品質データより指数平滑法にて品質予測を行う手法において、学習機構における同一ロットを適切に決定して、同一ロット材が連続した場合の予測の精度を高めることにより、十分な精度を有し、かつメンテナンス負荷が軽減された、新規かつ改良された品質予測装置、品質予測方法、プログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、製造プロセスにおける品質予測装置が提供される。かかる品質予測装置は、複数の製品に関する操業データおよび品質データを記憶するデータベースから、所定の選択条件に該当する操業データおよび品質データを抽出するデータ抽出部と、抽出された操業データについて、操業データに含まれる変数が値としてとる領域を全体領域として、当該全体領域を複数の局所領域に分割する分割パターン候補を複数個作成する分割パターン候補作成部と、各分割パターン候補について、各局所領域における品質予測値が全体領域における品質予測値に寄与する割合である寄与率を表す活性度関数を、局所領域毎に算出する活性度関数算出部と、各分割パターン候補について、各局所領域における、過去の品質データと過去の品質予測値とから、指数平滑法に基づき設定された指数平滑関数によって算出される現在の品質予測値と、活性度関数とに基づいて、全体領域における品質予測値である長期学習予測値を算出するとともに、長期学習予測値と品質データとの差異の予測値を表す短期学習係数を算出し、長期学習予測値と短期学習係数とに基づき算出される全体領域における品質予測値と品質データとの差である予測誤差が最小となる分割パターンを選択する最小誤差分割パターン選択部と、最小誤差分割パターン選択部により選択された分割パターンの品質予測値と、予め設定された評価基準値との比較結果に基づいて、予測誤差の収束が十分であるか否かを判定する学習誤差評価部と、学習誤差評価部にて収束が十分であると判定された分割パターンの、全体領域における品質予測値を算出する関係式を用いて、品質予測値を出力する品質予測値出力部と、指数平滑関数において、現在の品質予測値に対する過去の品質予測の影響の強さを決定する指数平滑係数を算出する指数平滑係数算出部と、を備え、最小誤差分割パターン選択部は、各操業データに対応する活性度関数を用いて操業データ間の類似性を表す評価指標値を算出し、各局所領域のうち、時系列に並べられた複数の操業データにおいて、現在の操業データと、時系列上で該現在の操業データの直前に位置する操業データとの類似性を、評価指標値に基づいて判定し、現在の操業データと、時系列上で該現在の操業データの直前に位置する操業データとが類似していると判定する場合には、指数平滑法に基づいて短期学習係数を更新し、現在の操業データと、時系列上で該現在の操業データの直前に位置する操業データとが類似していないと判定する場合には、短期学習係数を初期化することを特徴とする。
最小誤差分割パターン選択部は、長期学習予測値を算出する長期学習予測値演算部と、長期学習予測値演算部により算出された長期学習予測値と過去の品質データとに基づいて、短期学習係数を算出する短期学習係数演算部と、長期学習予測値と短期学習係数とに基づいて、全体領域における品質予測値を算出し、該品質予測値と品質データとの差である予測誤差を算出するモデル誤差評価部と、を備えるように構成することもできる。
評価指標値は、例えば、任意に選択された2つの操業データに対する活性度関数の値からなる多次元ベクトル間の距離とすることができる。
最小誤差分割パターン選択部は、現在の操業データと、時系列上で該操業データの直前に位置する操業データとが、類似していないと判定する場合であり、かつ、現在の操業データと類似していると判断される操業データに対応する製品のうちで現在の操業データに対応する製品の直前に処理された製品と、現在の操業データに対応する製品との間に処理された製品の数が所定値未満である場合には、短期学習係数を初期化する代わりに、該短期学習係数を更新するようにしてもよい。
学習誤差評価部により予測誤差の収束が十分であると判定される複数の分割パターンから一の分割パターンを選択する分割指数平滑モデル決定部をさらに備え、指数平滑係数算出部は、複数の指数平滑係数を設定し、各指数平滑係数について、分割パターン候補作成部により分割パターン候補を作成して、活性度関数算出部、最小誤差分割パターン選択部および学習誤差評価部により、予測誤差の収束が十分である分割パターンをそれぞれ決定し、分割指数平滑モデル決定部は、各指数平滑係数についてそれぞれ決定された分割パターンのうち、分割数が最も少ない分割パターンを選択してもよい。
分割パターン候補作成部は、操業データに含まれる数値情報である操業変数からなる操業変数空間を分割する数値分割作成部と、操業データに含まれる文字コード情報であるコード変数からなるグループを分割するコード分割作成部と、を備え、数値分割作成部により作成された分割パターン候補およびコード分割作成部により作成された分割パターン候補を、全体領域の分割パターン候補とすることもできる。
活性度関数は、局所領域の重心に中心を持つ正規分布関数と、コード分割情報から算出される二値関数とを組み合わせて構成される関数であってもよい。
コード分割作成部は、探索法を用いてコード変数からなるグループを分割してもよい。
分割パターン候補作成部は、最適化手法を用いて、操業変数とコード変数とからなる分割パターン候補を一括して生成してもよい。
製造プロセスが鉄鋼プロセスであるとき、品質データは、製品の表面疵、機械強度特性値、形状の平坦度、製品サイズ、内部応力、又はこれら品質に影響を及ぼすプロセス値とすることもできる。
製造プロセスが鉄鋼製品である薄鋼板の熱間圧延プロセスであるとき、品質予測装置による予測対象となる品質を、熱延ランアウトテーブル出側での捲き取り温度としたときに、製造プロセスの操業変数は、被圧延材が精錬工程を終了した時点での溶鋼内のC量、Si量、Mn量、B量、被圧延材の目標板幅、目標板厚、等価炭素量、仕上圧延出側目標温度、巻取目標温度、冷却水温、及びコード変数として材質コードから少なくとも一つ以上選択するようにしてもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、製造プロセスにおける品質予測方法が提供される。かかる品質予測方法は、複数の製品に関する操業データおよび品質データを記憶するデータベースから、所定の選択条件に該当する操業データおよび品質データを抽出するデータ抽出ステップと、抽出された操業データについて、操業データに含まれる変数が値としてとる領域を全体領域として、当該全体領域を複数の局所領域に分割する分割パターン候補を複数個作成する分割パターン候補作成ステップと、各分割パターン候補について、各局所領域における品質予測値が全体領域における品質予測値に寄与する割合である寄与率を表す活性度関数を、局所領域毎に算出する活性度関数算出ステップと、各分割パターン候補について、各局所領域における、過去の品質データと過去の品質予測値とから、指数平滑法に基づき設定された指数平滑関数によって算出される現在の品質予測値と、活性度関数とに基づいて、全体領域における品質予測値である長期学習予測値を算出する長期学習予測値算出ステップと、長期学習予測値と品質データとの差異の予測値を表す短期学習係数を算出する短期学習係数算出ステップと、長期学習予測値と短期学習係数とに基づき算出される全体領域における品質予測値と品質データとの差である予測誤差が最小となる分割パターンを選択する最小誤差分割パターン選択ステップと、記選択された分割パターンの品質予測値と、予め設定された評価基準値との比較結果に基づいて、予測誤差の収束が十分であるか否かを判定する収束判定ステップと、予測誤差の収束が十分であるか否かを判定するステップにより収束が十分であると判定された分割パターンの、全体領域における品質予測値を算出する関係式を用いて、品質予測値を出力する出力ステップと、を含み、短期学習係数算出ステップでは、各操業データに対応する活性度関数を用いて操業データ間の類似性を表す評価指標値を算出し、各局所領域のうち、時系列に並べられた複数の操業データにおいて、現在の操業データと、時系列上で該現在の操業データの直前に位置する操業データとの類似性を、評価指標値に基づいて判定し、現在の操業データと、時系列上で該現在の操業データの直前に位置する操業データとが類似していると判定する場合には、指数平滑法に基づいて短期学習係数を更新し、現在の操業データと、時系列上で該現在の操業データの直前に位置する操業データとが類似していないと判定する場合には、短期学習係数を初期化することを特徴とする。
さらに、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータに上記の品質予測装置として機能させるためのプログラムが提供される。かかるプログラムは、コンピュータが備える記憶装置に格納され、コンピュータが備えるCPUに読み込まれて実行されることにより、そのコンピュータを上記の品質予測装置として機能させる。また、当該プログラムが記録された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供される。記録媒体は、例えば磁気ディスクや光ディスクなどである。
以上説明したように本発明によれば、過去に製造された製品の品質情報を製造順番に並べた時系列品質データより指数平滑法にて品質予測を行う手法において、学習機構における同一ロットを適切に決定して、同一ロット材が連続した場合の予測の精度を高めることにより、十分な精度を有し、かつメンテナンス負荷が軽減された、品質予測装置、品質予測方法、プログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る品質予測装置の機能構成を示すブロック図である。 同実施形態に係る最小誤差分割パターン選択部の機能構成を示すブロック図である。 本実施形態にかかる品質予測装置による品質予測処理を示すフローチャートである。 分割パターン候補作成部による分割パターン候補の作成処理を示す説明図である。 二次元の操業変数空間において、分割パターン候補を作成する手順を模式的に示す説明図である。 3分割された二次元の操業変数空間において、分割パターン候補を作成する手順を模式的に示す説明図である。 図3のステップS108で行われる、最小誤差分割パターン選択部による指数平滑計算処理を示すフローチャートである。 品質予測装置の機能構成を示すブロック図である。 分割パターン候補作成部による分割パターン候補の作成処理を示す説明図である。 コード変数の分割パターン候補の作成処理を示すフローチャートである。 コード変数の分割パターン候補の作成処理におけるコード入れ替え処理を示す説明図である。 品質予測装置の構成を示すブロック図である。 同実施形態にかかる品質予測装置による局所領域予測値ならびに短期学習係数の更新処理を示すフローチャートである。 品質予測装置として機能し得るコンピュータシステムの構成例を示すブロック図である。 鋼板の熱間圧延プロセスの概略を示す概略説明図である。 第1の実施形態に係る品質予測装置を用いた場合の、分割数と予測誤差との関係を示すグラフを示す。 第2の実施形態に係る品質予測装置を用いた場合の、分割数と予測誤差との関係を示すグラフを示す。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[品質予測装置の概要]
本発明の実施形態に係る品質予測装置は、過去に製造された製品の品質情報を製造順番に並べた時系列品質データにより、指数平滑法にて品質予測を行う手法において、同一ロット材が連続した場合に予測精度を高めるために短期学習を行うものである。上述したように、短期学習を有効に機能させるために、適切に同一ロットを規定する必要がある。以下に示す本発明の実施形態では、活性度関数を用いて同一ロットを規定する。ここでは、各データ点に対応する活性度関数の値からなる多次元ベクトル間の距離を、各データ間の類似性を表す指標と考え、データ間の類似性の度合いに基づいて、同一ロットであるか否かを判定する。活性度関数に基づいて類似していると判断された同一ロット材が連続する間は指数平滑法による短期学習を行って予測精度を高める。そして、製品のロットが同一でなくなった場合に短期学習係数を初期化した後、品質予測を開始する。
[指数平滑法による品質予測]
はじめに、一般的な指数平滑法を用いた品質予測について説明する。指数平滑法は、段落0006に記載したように、蓄積された時系列データを解析して、現在の状態を予測する方法である。時系列品質データの実績値(以下、品質実績値)をy(i)、品質データの予測値(以下、品質予測値)をy^(i)で表すこととする。ここで、iは時系列データの順番を表す添字であり、製造連番などが該当する。指数平滑法では、現在の製造連番iに対応する製品の品質予測値y^(i)を、直前に製造した製品の品質予測値y^(i−1)と品質実績値y(i−1)から、数式(1)を用いて求める。
Figure 2011221645
・・・数式(1)
ここで、αは0<α<1である定数で、指数平滑係数あるいは学習ゲインと呼ばれる。なお、最初に製造される製品に対する品質予測値y^(1)には初期値yを与え、初期値yには過去の製造履歴から品質実績値の平均値などが用いられる。
[指数平滑法における短期学習]
次に、一般的な指数平滑法における短期学習について説明する。本方法では、大きな枠での誤差平均をなくし、全体的な追従性を確保することを目的とする長期学習と、同一ロット材が連続した場合に直近材への追従性を向上させることを目的とする短期学習の、二つの指数平滑法を組み合わせて、長期学習による長期学習予測値と短期学習による短期学習係数とから算出される品質予測値を収束させるように行われる。品質予測値y^(i)は、下記数式(2)または(3)で表される。なお、数式(2)は、乗法型短期学習を行う場合の品質予測値の算出式であり、数式(3)は、加法型短期学習を行う場合の品質予測値の算出式である。
Figure 2011221645
・・・数式(2)
Figure 2011221645
・・・数式(3)
ここで、y^(i)は現在の長期学習予測値であり、y^(i)は現在の短期学習係数である。
長期学習による長期学習予測値y^(i)は、下記数式(4)で求められる。なお、y^(i−1)およびy(i−1)は直前に製造された製品の長期学習予測値および品質実績値であり、αは長期学習における指数平滑係数であり、長期学習ゲインと呼ぶ。
Figure 2011221645
・・・数式(4)
一方、指数平滑法の短期学習は、同一ロットが連続した場合に直近材への追従性を向上させることを目的として行われる。長期学習のみでは学習の進みが悪い場合、同一ロット材が連続した場合に連続して製品不良が発生する恐れがある。このため、短期学習を行って学習の進みを良くし、直近材に追従させることにより、このような製品不良の発生を防止することができる。次材短期学習係数y^(i)は、下記数式(5)で表される。短期学習係数は、長期学習予測値と品質データとの差異の予測値を表す。なお、αは短期学習における指数平滑係数であり、短期学習ゲインと呼ぶ。
Figure 2011221645
・・・数式(5)
ここで、数式(5)のy(i−1)は下記数式(6)または(7)により算出される長期学習の誤差の実績であり、実績短期学習係数と呼ぶ。数式(6)は、乗法型短期学習の場合の誤差の実績であり、品質実績値と長期学習予測値との比で表される。数式(7)は、加法型短期学習の場合の誤差の実績であり、品質実績値と長期学習予測値との差で表される。
Figure 2011221645
・・・数式(6)
Figure 2011221645
・・・数式(7)
なお、現在の製品が直前に製造した製品と同一ロットでない場合は、数式(5)を用いずに、短期学習係数y^(i)は短期学習係数の初期値yS0とする。短期学習係数の初期値yS0は、乗法型短期学習では1、加法型短期学習では0とする。
以下では、このような指数平滑法における短期学習を用いて、同一ロット材が連続した場合の品質予測精度を高める、品質予測装置とこれによる品質予測方法について詳細に説明していく。
<1.第1の実施形態>
まず、本発明の第1の実施形態に係る品質予測装置の構成とこれによる品質予測方法について説明する。本実施形態では、同一ロットを判定するために用いる製品の所属局所領域を決定するための分割パターンの決定方法の異なる2つの品質予測装置(品質予測装置100、200)と、オンラインで機能する品質予測装置(品質予測装置300)とについて説明する。
(1)パターン分割において操業データのうち操業変数のみを考慮する品質予測装置について
[品質予測装置の構成]
まず、図1および図2に基づいて、本発明の実施形態に係る品質予測装置100の構成について説明する。なお、図1は、本実施形態に係る品質予測装置100の機能構成を示すブロック図である。図2は、本実施形態に係る最小誤差分割パターン選択部140の機能構成を示すブロック図である。
品質予測装置100は、品質予測を行う対象の品質を予測する装置である。品質予測装置100により予測する品質としては、例えば鉄鋼プロセスの場合では、薄板や厚板などの各種製品の、表面疵や内部欠陥の発生個数、抗張力や降伏応力、伸び率などの機械強度特性値、波高さなどの形状平坦度、板厚・板幅・板長さなどの製品サイズ、内部応力など、直接顧客から要求される最終製品の各種品質指標がある。また、これら最終品質に影響を及ぼすプロセス値も予測する品質となる。
このような品質予測装置100は、図1に示すように、データ抽出部110と、分割パターン候補作成部120と、活性度関数算出部130と、最小誤差分割パターン選択部140と、指数平滑係数算出部150と、学習誤差評価部160、分割指数平滑モデル決定部170と、品質予測値出力部180と、データベース190と、からなる。
データ抽出部110は、製品の種類を示すコード情報など外部より入力された品質予測を行う対象に関する選択条件に基づいて、データベース190より、所定の選択条件に該当する複数の操業データ及び品質データを抽出する。ここで、操業データは、取り得る値が数値である操業変数と、取り得る値が文字コード情報であるコード変数とからなる。本実施形態では、操業データのうち操業変数のみを用いて分割パターンを作成する。操業変数は、例えば鉄鋼プロセスでは、精錬工程で測定された溶鋼の各種元素の成分量や、連続鋳造工程における湯面変動量や鋳造速度、更には熱延工程での圧延荷重や捲き取り温度等である。データ抽出部110は、データベース190から抽出したデータを分割パターン候補作成部120へ出力する。
分割パターン候補作成部120は、取り得る値が数値である操業変数を全体領域として、全体領域から複数M個の局所領域に分割する分割パターン候補を複数個作成する処理を行う。分割パターン候補作成部120は、作成された複数の分割パターン候補について、操業変数空間を複数の局所領域に分けた分割パターンの分割座標情報を活性度関数算出部130へ出力する。分割パターン候補作成部120は、各分割パターンの局所領域についての予測値を算出する際に用いる指数平滑係数のうち長期学習ゲインαが指数平滑係数算出部150によって設定された後に、分割パターン候補を作成してもよい。
活性度関数算出部130は、分割パターン候補作成部120にて作成された分割パターン候補すべてに対して、分割座標情報に基づき、活性度関数を算出する。活性度関数は、操業データと品質データとの関係を表す関係式を表すために用いられる。
最小誤差分割パターン選択部140は、分割パターン候補について、各局所領域における品質予測値(以下、局所領域予測値とする。)を算出し、各局所領域予測値と活性度関数に基づいて全体領域における長期学習予測値を算出するとともに、長期学習予測値と過去の品質データに基づいて短期学習係数を算出し、長期学習予測値と短期学習係数とに基づき算出される全体領域における品質予測値に基づく予測誤差を計算して、さらに最も誤差の小さい分割パターンを選択する。本実施形態の最小誤差分割パターン選択部140は、過去の品質データと過去の品質予測値とから現在の品質予測値を計算する定数モデルとして、段落0035〜0048において説明した指数平滑法における短期学習を用い、品質予測値を算出する。本実施形態では、各分割パターンに対して指数平滑法を用いて品質予測値を算出することにより、適切に分割された分割パターンを選択することができる。この際、指数平滑法において短期学習を行うことにより、同一ロット材における品質予測の精度が向上するようにしている。
本実施形態に係る最小誤差分割パターン選択部140は、図2に示すように、局所領域予測値記憶部141と、長期学習予測値演算部142と、実績短期学習係数記憶部143と、短期学習係数演算部144と、モデル誤差評価部145と、分割パターン選択部146とを備える。
局所領域予測値記憶部141は、長期学習予測値の初期値および長期学習予測値演算部142にて算出された長期学習予測値を記憶する。局所領域予測値記憶部141に記憶された過去の長期学習予測値は、長期学習予測値演算部142により読み出され、次材の長期学習予測値を算出するために用いられる。
長期学習予測値演算部142は、各局所領域の予測値を算出し、算出した各局所領域の予測値を用いて長期学習予測値を算出する。各局所領域の予測値は、後述する数式(14)により算出される。このとき、長期学習予測値演算部142が各局所領域の予測値を算出する際に用いる、過去のデータの重み付けを行う指数平滑係数(長期学習ゲインα)は、指数平滑係数算出部150により算出される。
指数平滑係数算出部150は、例えば、指数平滑係数の取り得る0〜1の範囲の値から複数の値を設定し、設定した値について指数平滑計算のシミュレーションを行い、シミュレーション結果から最も予測誤差の小さい値を指数平滑係数として採用することにより長期学習ゲインαとして用いられる指数平滑係数を決定することができる。あるいは、指数平滑係数算出部150は、例えば、特許文献1に記載された理論的な方法を用いて長期学習ゲインαとして用いられる指数平滑係数を決定することもできる。最小誤差分割パターン選択部140は、指数平滑係数算出部150により算出された指数平滑係数を長期学習ゲインαとして用いて、長期学習予測値演算部142が各局所領域予測値、および後述する数式(15)より長期学習予測値を算出する。そして、長期学習予測値演算部142は、算出した長期学習予測値を短期学習係数演算部144およびモデル誤差評価部145へ出力する。
実績短期学習係数記憶部143は、短期学習係数の初期値および短期学習係数演算部144にて算出された実績短期学習係数を記憶する。実績短期学習係数記憶部143に記憶された過去の実績短期学習係数は、短期学習係数演算部144により読み出され、次材の短期学習係数を算出するために用いられる。
短期学習係数演算部144は、各製品に対応する短期学習係数を算出する。短期学習係数演算部144は、段落0035〜0048において説明した指数平滑法の短期学習に基づき、実績短期学習係数記憶部143に記憶されている過去の実績短期学習係数から短期学習係数を算出する。また、短期学習係数演算部144は、次材の短期学習係数の算出のため、実績短期学習係数を実績短期学習係数記憶部143に記録する。そして、短期学習係数演算部144は、算出した短期学習係数をモデル誤差評価部145へ出力する。
モデル誤差評価部145は、長期学習予測値演算部142により算出された長期学習予測値と、短期学習係数演算部144により算出された短期学習係数とを用いて、全体領域における品質予測値(以下、品質予測値とする。)を算出する。品質予測値は、段落0035〜0048において説明した指数平滑法の品質予測値である。そして、モデル誤差評価部145は、算出した品質予測値を用いて、分割パターンの予測誤差評価値を算出し、分割パターン選択部146へ出力する。
分割パターン選択部146は、モデル誤差評価部145により算出された予測誤差評価値に基づいて、最も予測誤差評価値の小さい分割パターンを選択する。そして、分割パターン選択部146は、選択した分割パターンの予測誤差評価値を、学習誤差評価部160へ出力する。
図1に戻り、学習誤差評価部160は、最小誤差分割パターン選択部140の分割パターン選択部146により選択された分割パターンの予測誤差評価値と予め設定された評価基準値とを比較して、十分な精度を有する関係式が構築されたか否かを判定する。この場合、学習誤差評価部160は、収束したと判定した場合には、現在設定されている指数平滑係数について得られた分割パターンを表現するための情報である活性度関数の係数を抽出し、分割指数平滑モデル決定部170へ出力する。一方、収束が不十分であると判定した場合には、学習誤差評価部160は、分割パターン候補作成部120に対して、最小誤差分割パターン選択部140において選択された分割パターンをさらに分割して新たな分割パターン候補を作成する指示を行う。
分割指数平滑モデル決定部170は、指数平滑係数(長期学習ゲインα)に対して得られた分割パターンから最も分割数の少ない指数平滑係数のモデルを選択し、決定する。すなわち、分割指数平滑モデル決定部170は、最も少ない分割数で十分な精度でデータを説明できる関係式で表わされる分割パターンを選択する。分割指数平滑モデル決定部170は、決定した分割パターンを表現するための情報である活性度関数の係数を抽出して、品質予測値出力部180へ出力する。
品質予測値出力部180は、学習誤差評価部160または分割指数平滑モデル決定部170から入力された分割パターンの情報と、別途、逐次入力される操業データと予測時点で判明している最新の品質データとに基づいて、操業データと品質データとの関係式ならびに指数平滑法における短期学習を用いて品質予測値を算出する。そして、品質予測値出力部180は、品質予測値を、オペレータへのガイダンスや、プロセス制御系への入力信号として用いるために外部に出力する。
データベース190は、製造プロセスにおける過去の操業データ及び品質データと、製品の種類を示すコード情報や、各製造工程での製造時刻、向け先などの注文情報、製品を特定するための製品番号などとを関連付けて記憶する記憶部である。これらの情報は、外部から所定のタイミングでデータベース190に入力され、記録される。データベース190に記憶された情報は、段落0053に記載のように、データベース抽出部110により抽出され、品質予測に用いられる。
[品質予測装置による品質予測処理]
次に、図3〜図7に基づいて、本実施形態にかかる品質予測装置100による品質予測処理について詳細に説明する。なお、図3は、本実施形態にかかる品質予測装置100による品質予測処理を示すフローチャートである。図4は、分割パターン候補作成部120による分割パターン候補の作成処理を示す説明図である。図5は、二次元の操業変数空間において、分割パターン候補を作成する手順を模式的に示す説明図である。図6は、3分割された二次元の操業変数空間において、分割パターン候補を作成する手順を模式的に示す説明図である。図7は、図3のステップS108で行われる、最小誤差分割パターン選択部140による指数平滑計算処理を示すフローチャートである。
今、品質の程度を数値で表す品質指標を変数yで表すとする。また、この製品を製造した際の操業条件の内、値が数値を取り得る操業変数を下記数式(8)からなる列ベクトルで表すとする。なお、数式(8)のtは行列の転置を表す。また、本実施形態で品質予測に用いる予測データは、各品質データに対して、製造された順番を識別するための情報、例えば製造連番や製造時刻等が付されている。
Figure 2011221645
・・・数式(8)
本実施形態では、操業データの操業変数からなる全体領域を複数の局所領域に分割し、各局所領域にて品質予測値(局所領域予測値)を算出する処理を行う。そして、この局所領域予測値y^と、局所領域の予測値が全体領域内の予測値に寄与する割合を表す活性度関数Φとの積の和である下記数式(9)によって、全体の操業データと品質データとの関係式yを表す。ここで、Σは項の和、Mは局所領域の個数を表す。
Figure 2011221645
・・・数式(9)
本実施形態において局所領域予測値は、指数平滑法を用いて、定数モデルとして表わされる。このような定数モデルを用いた場合、例えば予測値を線形多項式で表した場合と比較して、十分な精度を有する所望の分割パターンを獲得するまでの収束性は劣るが、確実に所望のモデルを獲得することができる。また、定数モデルを用いた場合、従来は、所望の分割パターンを獲得するまでに多くの領域分割を行う必要があったが、本実施形態にかかる品質予測装置を用いることにより、少ない分割数で所望のモデルを獲得することができるようになる。なお、活性度関数は、全体空間の任意の位置で各関数値の総和が1となる数式(10)の正規条件を満たすように予め設定しておく。
Figure 2011221645
・・・数式(10)
本実施形態にかかる品質予測装置100による品質予測処理では、まず、データ抽出部110によりデータベース190から品質予測を行う対象に関する操業データおよび品質データを抽出する(ステップS100)。データ抽出部110は、品質予測を行う対象に関する選択条件に基づいて、データベース190より、所定の選択条件に該当する複数の操業データ及び品質データを抽出する。データ抽出部110は、抽出した操業データおよび品質データを分割パターン候補作成部120へ出力する。
次いで、指数平滑係数算出部150により、指数平滑係数(長期学習ゲインα)が設定される(ステップS102)。指数平滑係数算出部150は、例えば、0〜1の範囲の値を取り得る指数平滑係数に対し、例えば、0.1、0.2、・・・、0.9のように複数種類の値を設定する。そして、指数平滑係数算出部150は、設定した複数の値から1つを抽出し、分割パターン候補作成部120へ出力する。
指数平滑係数(長期学習ゲインα)が設定されると、設定されたすべての値について、ステップS104〜S112の処理が繰り返し行われる。まず、分割パターン候補作成部120は、操業データの操業変数が値としてとる領域を全体領域として、全体領域を複数の局所領域に分割して分割パターン候補を作成する(ステップS104)。すなわち、分割パターン候補作成部120は、まず、図4に示すように、分割されていない二次元の操業変数空間について当該空間を2つの局所領域(M=2)に分割する処理を行う。ここで、操業変数空間の分割は、各操業変数に平行な軸で、分割点が設定される。つまり、図5に示すように、二次元の操業変数空間は2つの操業変数u1、u2からなる。したがって、領域1−1に対して、操業変数u1軸に平行な分割と、操業変数u2軸に平行な分割とが行われる。このように、領域1−1が2つの領域2−1、2−2に分割される。分割パターン候補作成部120は、分割点の設定を変えて、図4に示すように複数の分割パターン候補を作成する。
また、分割パターン候補作成部120は、操業変数空間が既に幾つかの局所領域に分割されている場合は、活性度関数による重み付き誤差評価関数である下記数式(11)で各局所関係式の誤差を算出し、この中で最も誤差の大きな局所領域を2つに分割する。一例として、図6に、既に3分割された操業変数空間を4分割(M=4)する手順を示す。図6に示すように、最も誤差の大きい局所領域が領域3−2であるとすると、操業変数u1またはu2軸に平行な軸で領域3−2を2分するように分割点が設定される。このとき、残りの領域3−1および3−3は分割されない。
Figure 2011221645
・・・数式(11)
Figure 2011221645
数式(11)において、操業データu(i)、品質データy(i)、局所領域予測値y^(i)のiは、各データに対して、製造された順番を識別するために付されたデータ番号であり、実際には製造連番や製造時刻などが該当する。また、活性度関数Φが操業変数u(i)の関数であることを明記するため、Φ(u(i))と表記している。
図4において、操業変数空間を2分割したとき、最も誤差の大きい領域が領域2−1であったとすると、操業変数u1またはu2軸に平行な軸で領域2−1を2分するように分割点が設定される。このように、操業変数については、現在の分割パターンから新たな複数の分割パターン候補が生成される。
操業変数の分割パターン候補を作成するに際して必要となる分割候補点の値は、例えば一つの操業変数のデータを抽出して、このデータを複数のグループに分割し、各グループの境界となる操業変数の値を求めて、これを全ての操業変数について算出し、分割候補点に使用する方法がある。具体的には、例えばクラスタリング法を用いて操業変数データを複数のグループに分割し、各グループに含まれる操業変数の値の最小値及び最大値を算出する。そして、隣接するグループのうち、操業変数の値が小さい方のグループの最大値と、操業変数の値が大きい方のグループの最小値との平均値を分割点の値とする。或いは、操業変数のデータ値に対して、操業オペレータや担当者が、同一の操業水準とみなすことができるグループの範囲を設定できる場合は、人手で設定した分割候補点を用いても良い。
ステップS104にて分割パターン候補が作成されると、すべての分割パターン候補に対して活性度関数が算出される(ステップS106)。具体的な活性度関数として、本実施形態では、隣接する局所領域の境界を滑らかに接続する関数として、下記数式(12)に示すp次元の正規分布関数μを下記数式(13)に代入して得られる正規メンバシップ関数を活性度関数とする。ここで、c は局所領域の重心点、σ は正規分布関数の標準偏差を表しており、これらの重心点と正規分布関数の標準偏差とが正規メンバシップ関数における係数である。数式(13)の正規メンバシップ関数は、操業変数の値に応じた0〜1の範囲の値を有する。
Figure 2011221645
・・・数式(12)
Figure 2011221645
・・・数式(13)
Figure 2011221645
そして、最小誤差分割パターン選択部140により、分割パターン候補から最も予測誤差の小さい分割パターンが選択される(ステップS108)。最小誤差分割パターン選択部140は、まず、分割パターン候補作成部120により作成された複数の分割パターン候補から分割パターン候補を1つ取り出し、その分割パターンの分割座標情報を用いて、個々のデータをその操業データの値に基づいてM個のグループに分割する。次いで、最小誤差分割パターン選択部140は、分割されたM個の各グループに対して、各局所領域の予測値を、段落0035〜0048にて説明した指数平滑法を用いて算出する。
本実施形態の最小誤差分割パターン選択部140による指数平滑計算処理は、図7のようになる。データ番号iに初期値(i=1)を設定すると(ステップS1080)、まず、長期学習予測値演算部142は、各局所領域の予測値y^(i)を更新する(ステップS1081)。各局所領域の予測値y^(i)は、下記数式(14)で表される指数平滑関数により更新される。ここで、jは、各局所領域を特定する添え字である。以下において、数式中の「←」は、変数への代入処理を表す。各局所領域の予測値y^(i)の初期値は、過去の実績からyの平均値等とすることができる。また、αは、段落0041で説明した、長期学習における指数平滑係数であり、長期学習ゲインと呼ぶ。
Figure 2011221645
・・・数式(14)
Figure 2011221645
Figure 2011221645
次いで、長期学習予測値演算部142により、長期学習予測値y^(i)が算出される(ステップS1082)。長期学習予測値y^(i)は、段落0035〜0048で説明した指数平滑法の長期学習による予測値であり、材料ごとに、下記数式(15)により算出される。
Figure 2011221645
・・・数式(15)
さらに、短期学習係数演算部144により、実績短期学習係数y(i)が算出される(ステップS1083)。実績短期学習係数y(i)は、段落0035〜0048で説明した指数平滑法の短期学習に用いられる誤差の実績である。短期学習法としては、段落0038で説明したように、例えば乗法型短期学習や加法型短期学習等がある。乗法型短期学習の場合には下記数式(16)、加法型短期学習の場合には下記数式(17)により、実績短期学習係数が算出される。
Figure 2011221645
・・・数式(16)
Figure 2011221645
・・・数式(17)
そして、短期学習係数演算部144は、短期学習係数を算出する(ステップS1084)。短期学習係数演算部144は、現在のデータu(i)と前データu(k)(k=i−1)との類似性をもとに同一ロットであるか否かを判定する。そして、同一ロットであると判定した場合には、さらに前のデータに順次遡って、同一ロットが連続する範囲を検索する(k=i−1、i−2、i−3、・・・)。
本実施形態では、活性度関数を用いて同一ロットを判定する。各データ点u(i)に対応する活性度関数の値からなるM次元ベクトルΦ(u(i))は、下記数式(18)のように表すことができる。u(i)とu(k)の各要素の値が近ければ、Φ(u(i))とΦ(u(k))の各要素も近い値をとる。活性度関数Φ(u(i))は、最小誤差分割パターン選択部140によって品質データの予測精度がよくなるように選択された操業データ空間の領域分割に基づいていており、これは、品質データを予測するにあたって各操業データ間の類似性をあらわす指標と考えることができる。
Figure 2011221645
・・・数式(18)
ここで、2つのデータ点{u(i),u(k)}に対する活性度関数ベクトル{Φ(u(i)),Φ(u(k))}の近さの評価方法はさまざまなものが考えられる。本実施形態では、下記数式(19)に示すΦ(u(i))のL−ノルムが1である性質を利用して、下記数式(20)により算出される値Jを評価指標として用いることができる。評価指標Jが所定値以下であれば、これらのデータは類似すると判断し、同一ロットであるとする。評価指標Jの取り得る値の範囲は0〜2であり、同一ロットと判定する閾値としては、例えば0.3〜0.5程度に設定するのが適当である。
Figure 2011221645
・・・数式(19)
Figure 2011221645
・・・数式(20)
なお、L1−ノルム以外にも、数式(21)、(22)に示されるL2−ノルムや、数式(23)、(24)に示されるL∞−ノルムを評価指標として用いることも可能である。
Figure 2011221645
・・・数式(21)
Figure 2011221645
・・・数式(22)
Figure 2011221645
・・・数式(23)
Figure 2011221645
・・・数式(24)
上記の同一ロットの定義方法では、同一ロットの範囲は各データ点u(i)から相対的に決まるため、領域毎の短期学習係数として演算することはできない。そこで、数式(5)を下記数式(25)のように式変形を行う。すなわち、同一ロットがu(m)まで連続し(m<i)、u(m−1)は同一ロットではないとすると、数式(5)をn=mからi−1まで繰り返して用いて、y^(m)=yS0であることを用いると、短期学習係数y^(i)は下記数式(25)により算出することができる。
Figure 2011221645
・・・数式(25)
換言すると、データ点u(i)に対する短期学習係数y^(i)を求めるには、活性度関数ベクトルΦ(u(i))を求めた後、過去の製品の中で同一ロットとなるものを、u(i−1)から順に検索しながら抽出していく。その際、同一ロットでないものが見つかればそこで検索を中止する。そして、抽出された製品の実績短期学習係数に対して、最新のものから指数的に減衰する重み(1−α×αを算出し、実績短期学習係数と初期値yS0の重みつき平均を計算すればよい。このように同一ロットを定義することにより、例えば、領域の分割数が少ない場合にほとんどの製品が同一ロットであると判断されたり、領域境界付近において操業変数が僅かに相違するだけで別ロットとなってしまったりするのを防止できる。
なお、同一ロットが数多く連続している場合は、計算の高速化のため、計算の精度を落とさない範囲で上記同一ロットの検索処理を途中で終了してもよい。検索を終了する本数の目安としては、(1−αが計算の有効精度(例えば10−6)より小さくなるnが考えられる。nは、おおむね数十本程度となる。
次いで、モデル誤差評価部145により、品質予測値が算出される(ステップS1085)。モデル誤差評価部145は、段落0063で説明したように、長期学習予測値演算部142で算出された長期学習予測値y^(i)および短期学習係数演算部144で算出された短期学習係数y^(i)を用いて、全体の品質予測値y^(i)を算出する。品質予測値は、段落0039にあるように、乗法型短期学習の場合には下記数式(26)、加法型短期学習の場合には下記数式(27)により算出することができる。
Figure 2011221645
・・・数式(26)
Figure 2011221645
・・・数式(27)
ステップS1081〜S1085の処理を終えると、モデル誤差評価部145は、データ番号iの値を1増加する(ステップS1086)。そして、全データ(i=1、・・・、N)についてステップS1081〜S1085の処理が終了したか否かを判定する(ステップS1087)。すなわち、モデル誤差評価部145は、データ番号iと全データ数Nとを比較して、データ番号iが全データ数N以下の値の場合には、ステップS1081に戻り、処理を繰り返す。一方、データ番号iが全データ数Nより大きい値の場合には、分割パターンの予測誤差評価値を算出する(ステップS1088)。分割パターンの予測誤差評価値Iは、下記数式(28)により算出される。
Figure 2011221645
・・・数式(28)
その後、分割パターン選択部146は、各分割パターンについて数式(28)より算出された予測誤差評価値Iに基づき、予測誤差評価値Iが最小となる分割パターンを決定する。すなわち、分割パターン選択部146は、各分割パターンに対して算出された予測誤差を比較して、誤差が最も小さい分割パターンの関係式を選択する。これにより、分割パターン候補作成部120により作成された複数の分割パターン候補から、誤差の最も小さい分割パターンの関係式が選択されたことになる。
なお、図7に示す処理では、一本ごとに長期学習の演算および短期学習の演算(ステップS1081〜S1085)を実施しているが、長期学習の演算には短期学習の演算結果は影響しない。このため、最小誤差分割パターン選択部140は、先に全データについて長期学習の演算(ステップS1081、S1082)を行った後、短期学習の演算(ステップS1083〜S1085)を行うことも可能である。
次いで、学習誤差評価部160は、最小誤差分割パターン選択部140で選択された誤差最小の関係式の誤差と、予め設定された評価基準値とを比較して、学習が十分であるか、すなわち誤差が収束したか否かを判定する(ステップS110)。収束判定の方法としては、例えば、関係式の誤差を収束判定因子(評価基準値)と比較する方法、局所領域分割の増分に対する関係式誤差の変化量を収束判定因子(評価基準値)と比較する方法、分割数と誤差を考慮した指標、例えば非特許文献1に記載された赤池の情報量指標など学習誤差のみならず局所領域の個数も評価に加えた指標を用い、分割の増加に対して該指標が増加した時点で分割を打ち切る方法などを用いることができる。
学習誤差評価部160は、このような収束判定の方法を用いて誤差を評価し、誤差が評価基準値より大きい場合には、十分な精度でデータを説明できる関係式はまだ構築されておらず、誤差の収束は不十分であると判定する。この場合、学習誤差評価部160は、分割パターン候補作成部120に対して、分割パターンの分割数Mを1つ増やして、ステップS104の処理を行うように指示する(ステップS112)。そして、ステップS110にて十分な精度でデータを説明できる関係式が構築されたと判定されるまで、ステップS104〜S112の処理を繰り返す。
一方、ステップS110にて、誤差が評価基準値以下であれば、学習誤差評価部160は、十分な精度でデータを説明できる関係式が構築されたと判定し、ステップS102で設定された指数平滑係数のすべてについて上記ステップS104〜S112の処理が行われたか否かを判定する(ステップS114)。ステップS114にて、すべての指数平滑係数について上記処理が完了していないと判定された場合には、指数平滑係数算出部150は、まだ処理が行われていない指数平滑係数を1つ抽出して、次の長期学習ゲインαとして設定する(ステップS116)。その後、ステップS104〜S116の処理を繰り返す。
ステップS114にて、すべての指数平滑係数(長期学習ゲインα)について上記処理が完了したと判定された場合には、分割指数平滑モデル決定部170により、最も分割数の少ない最小分割数モデルを選択する(ステップS118)。上記ステップS104〜S116の処理により、指数平滑係数算出部150により設定された複数の指数平滑係数に対して、それぞれ分割パターンが決定されている。分割指数平滑モデル決定部170は、選択された複数の分割パターンのうち、最も分割数の少ない指数平滑関数のモデルを選択する。最小分割数モデルが複数存在する場合には、これらの予測誤差を比較して、最も誤差の小さいモデルを選択すればよい。これにより、分割数の少ない、十分な精度でデータを説明できるモデルを提供することができる。
その後、分割指数平滑モデル決定部170は、得られた関係式を表現するための情報である活性度関数の係数を抽出して、品質予測値出力部180へ出力する。品質予測値出力部180は、入力された関係式の情報と、別途入力される操業データとを用いて、数式(15)にて得られたyを長期学習予測値として、さらに指数平滑法による短期学習を適用して数式(26)または数式(27)より品質予測値を算出し、外部へ出力する(ステップS120)。品質予測値出力部180により算出された品質予測値は、例えば、品質予測オペレータへのガイダンスや、プロセス制御系への入力信号として用いることができる。
以上、本実施形態に係る品質予測装置100とこれによる品質予測方法について説明した。かかる品質予測装置100では、過去に製造された製品の品質情報を製造順番に並べた時系列品質データより指数平滑法にて品質予測を行う手法において、同一ロット材が連続した場合に、品質予測の精度を高めるために短期学習を実施する。これにより、直近材への追従性を向上させることができ、同一ロット材が連続した場合の品質の不良を防ぐことができる。
(2)パターン分割において操業データのうち操業変数およびコード変数を考慮する品質予測装置について
次に、図8〜図11に基づいて、品質予測装置200とこれによる品質予測方法について説明する。図8は、品質予測装置200の機能構成を示すブロック図である。図9は、分割パターン候補作成部220による分割パターン候補の作成処理を示す説明図である。図10は、コード変数の分割パターン候補の作成処理を示すフローチャートである。図11は、コード変数の分割パターン候補の作成処理におけるコード入れ替え処理を示す説明図である。
かかる品質予測装置200は、品質予測に用いる操業データについて、数値情報からなる操業変数に加えて文字コード情報であるコード変数も用いる点で、上記品質予測装置100を用いた品質予測と相違する。これにより、より少ない分割数で十分な精度でデータを説明できるモデルを作成することが可能となる。かかる品質予測装置200も、上記品質予測装置100と同様、時系列品質データより指数平滑法にて品質予測を行う手法において、同一ロット材が連続した場合に、品質予測の精度を高めるために短期学習を実施する。したがって、上記品質予測装置100と同様、直近材への追従性を向上させることができ、同一ロット材が連続した場合の品質の不良を防ぐことができる。
[品質予測装置の構成]
品質予測装置200は、図8に示すように、データ抽出部210と、分割パターン候補作成部220と、活性度関数算出部230と、最小誤差分割パターン選択部240と、指数平滑係数算出部250と、学習誤差評価部260と、分割指数平滑モデル決定部270と、品質予測値出力部280と、データベース290と、からなる。ここで、データ抽出部210、活性度関数算出部230、最小誤差分割パターン選択部240、指数平滑係数算出部250、学習誤差評価部260、分割指数平滑モデル決定部270、品質予測値出力部280、およびデータベース290については、図1のデータ抽出部110、活性度関数算出部130、最小誤差分割パターン選択部140、指数平滑係数算出部150、学習誤差評価部160、分割指数平滑モデル決定部170、品質予測値出力部180、およびデータベース190とほぼ同様に機能する。品質予測装置200では、操業データとして操業変数とコード変数とを用いるため、分割パターン候補作成部220による分割パターン候補の作成処理が、上記実施形態の分割パターン候補作成部120と相違する。
データ抽出部210は、製品の種類を示すコード情報など外部より入力された品質予測を行う対象に関する選択条件に基づいて、データベース290より、所定の選択条件に該当する複数の操業データ及び品質データを抽出する。段落0053に記載したように、操業データは、数値情報である操業変数と文字コード情報であるコード変数とからなる。本実施形態では、操業データの操業変数のみならず、コード変数も分割パターンの対象とする。コード変数は、例えば、製品記号や原料記号などの文字コード情報である。データ抽出部210は、データベース290から抽出したデータを分割パターン候補作成部220へ出力する。
分割パターン候補作成部220は、取り得る値が数値である操業変数、及び取り得る値が文字コード情報であるコード変数の両者からなる全体領域を、複数M個の局所領域に分割した分割パターン候補を複数個作成する処理を行う。すなわち、分割パターン候補作成部220は、データ抽出部210から入力された操業データに含まれる操業変数とコード変数とが混在する全体領域を分割して、複数の分割パターン候補を作成する。
本実施形態にかかる分割パターン候補作成部220は、全体領域のうち操業変数のみを分割対象として分割する数値分割作成部222と、全体領域のうちコード変数のみを分割対象として分割を行うコード分割作成部224から構成される。分割パターン候補作成部220は、数値分割作成部222により全体領域を構成する操業変数を分割して生成された複数の分割パターン候補と、コード分割作成部224により全体領域を構成するコード変数を分割して生成された複数の分割パターン候補と合わせて、全体領域の分割パターン候補とする。そして、分割パターン候補作成部220は、作成された複数の分割パターン候補を活性度関数算出部230へ出力する。
活性度関数算出部230は、分割パターン候補作成部220にて作成された分割パターン候補すべてに対して、操業変数の分割座標情報とコード変数のグループ分け結果とに基づき、活性度関数を算出する。活性度関数は、操業データと品質データとの関係を表す関係式を表すために用いられる。
最小誤差分割パターン選択部240は、分割パターン候補について、各局所領域予測値を算出し、各局所領域予測値と活性度関数に基づいて全体領域における長期学習予測値を算出するとともに、長期学習予測値と過去の品質データに基づいて短期学習係数を算出し、長期学習予測値と短期学習係数とに基づき算出される品質予測値に基づく予測誤差を計算して、さらに最も誤差の小さい分割パターンを選択する。最小誤差分割パターン選択部240は、図2に示すように構成される。最小誤差分割パターン選択部240が、各局所領域の予測値を算出するときに、過去のデータの重み付けを行う指数平滑係数である長期学習ゲインαは、指数平滑係数算出部250により算出される。指数平滑係数の算出は、例えば段落0060にて説明した方法等を用いて行うことができる。最小誤差分割パターン選択部240は、指数平滑係数算出部250により設定された指数平滑係数を各局所領域に適用して、指数平滑法により算出した局所領域予測値を用いて長期学習予測値を算出し、さらに短期学習係数を算出した後、これらの値に基づき分割パターンの予測誤差評価値を算出する。そして、最小誤差分割パターン選択部240は、算出した予測誤差評価値のうち最も小さい予測誤差評価値を有する分割パターンを、最小誤差分割パターンとして選択する。
学習誤差評価部260は、最小誤差分割パターン選択部240により選択された分割パターンの予測誤差評価値と予め設定された評価基準値とを比較して、十分な精度を有する関係式が構築されたか否かを判定する。この場合、学習誤差評価部260は、収束したと判定した場合には、現在設定されている指数平滑係数について得られた分割パターンを表現するための情報である活性度関数の係数を抽出し、分割指数平滑モデル決定部270へ出力する。一方、収束が不十分であると判定した場合には、学習誤差評価部260は、分割パターン候補作成部220に対して、最小誤差分割パターン選択部240において選択された分割パターンをさらに分割して新たな分割パターン候補を作成する指示を行う。
分割指数平滑モデル決定部270は、指数平滑係数(長期学習ゲインα)に対して得られた分割パターンから最も分割数の少ない指数平滑係数のモデルを選択し、決定する。分割指数平滑モデル決定部270は、決定した分割パターンを表現するための情報である活性度関数の係数を抽出して、品質予測値出力部280へ出力する。
品質予測値出力部280は、学習誤差評価部260または分割指数平滑モデル決定部270から入力された分割パターンの情報と、別途、逐次入力される操業データと予測時点で判明している最新の品質データとに基づいて、操業データと品質データとの関係式ならびに指数平滑法における短期学習を用いて品質予測値を算出する。そして、品質予測値出力部280は、品質予測値を、オペレータへのガイダンスや、プロセス制御系への入力信号として用いるために外部に出力する。
データベース290は、製造プロセスにおける過去の操業データ及び品質データと、製品の種類を示すコード情報や、各製造工程での製造時刻、向け先などの注文情報、製品を特定するための製品番号などとを関連付けて記憶する記憶部である。これらの情報は、外部から所定のタイミングでデータベース290に入力され、記録される。データベース190に記憶された情報は、データベース抽出部210により抽出され、品質予測に用いられる。
[品質予測装置による品質予測処理]
次に、品質予測装置200による品質予測処理について詳細に説明する。品質予測装置200による品質予測処理も、上記品質予測装置100と同様に、図3に示すフローチャートに沿って行われる。このため、以下においては上記品質予測装置100と同様の処理を行う部分については詳細な説明を省略する。
品質予測装置200による品質予測処理では、まず、データ抽出部210によりデータベース290から品質予測を行う対象に関する操業データおよび品質データを抽出する(ステップS100)。データ抽出部210は、データベース290より、所定の選択条件に該当する複数の操業データ及び品質データを抽出する。データ抽出部210は、抽出した操業データおよび品質データを分割パターン候補作成部220へ出力する。
次いで、指数平滑係数算出部250により、指数平滑係数(長期学習ゲインα)が設定される(ステップS102)。指数平滑係数算出部250は、例えば、0〜1の範囲の値を取り得る指数平滑係数に対し、例えば、0.1、0.2、・・・、0.9のように複数種類の値を設定する。そして、指数平滑係数算出部250は、設定した複数の値から1つを抽出し、分割パターン候補作成部220へ出力する。
指数平滑係数(長期学習ゲインα)が設定されると、設定されたすべての値について、ステップS104〜S112の処理が繰り返し行われる。まず、分割パターン候補作成部220は、操業データの操業変数が値としてとる領域およびコード変数が値としてとる領域を全体領域として、全体領域を複数の局所領域に分割して分割パターン候補を作成する(ステップS104)。ステップS104の処理は、本例では、操業変数とコード変数とが混在する全体領域から分割パターン候補を作成するため、操業変数空間のみに基づいて分割する数値分割作成部222と、コード変数のみに基づいて分割するコード分割作成部224とを用いて、操業変数とコード変数とについて別々に分割パターン候補を作成する。そして、両者で作成された分割パターン候補を合わせて、全体領域の分割パターン候補とする。
数値分割作成部222による操業変数空間の分割処理は、図1の分割パターン候補作成部120による処理と同様に行うことができる。すなわち、図10に示すように、数値分割作成部222は、最も誤差の大きい局所領域を順に分割する処理を行い、現在の分割パターンから新たな複数の分割パターン候補を生成する。ただし、局所領域の誤差を算出するための活性度関数による重み付き誤差評価関数は、上記数式(11)の代わりに、下記数式(29)により算出される。数式(29)は、活性度関数Φが操業変数uおよびコード変数vの関数であることを明記したものである。
Figure 2011221645
・・・数式(29)
Figure 2011221645
数式(29)において、操業変数u(i)、コード変数v(i)、品質データy(i)、局所領域予測値y^(i)のiは、各データに対して、製造された順番を識別するために付されたデータ番号であり、実際には製造連番や製造時刻などが該当する。
一方、コード分割作成部224は、コード変数を2つのグループに分割することによりコード変数の分割パターン候補を作成する。ここで、コード変数の取り得る値は一般的に数百にも及ぶことから、これらを2つのグループに分割する組合せを全て評価するのは、計算時間の観点から現実的ではない。したがって、本実施形態では、例えば数理最適化の分野で提案された探索法を応用して、膨大な組合せの中から、分割の初期組合せを仮定し、次いで精度の高い関係式となるよう組合せを修正しながら探索することで、最適なグループへの分割を算出する方法を用いる。具体的には、探索法の一種であるローカルサーチ法を用いてコード分割を算出することができる。
ここで、図10および図11に基づいて、ローカルサーチ法によるコード変数の分割方法について説明する。まず、コード分割作成部224は、乱数を発生させてコード変数を初期分割し、操業データと品質データとの関係を表す関係式(以下、「品質予測モデル」ともいう。)を作成する(ステップS1041)。例えば、コード変数vがとり得る値の全ての種類Dに対して、1〜Dの番号を付与する。そして、0から1の間の乱数を発生する乱数発生器をi=1〜D回実行し、i回目の乱数の値が閾値(例えば0.5)を超えるか否かでi番のコード値のデータがグループV、若しくはVに属するコード変数の値以外のコード変数の値からなるグループV~のいずれに属するかを算出する。例えば、図11に示すように、コード変数vの取り得る値が8つあったとき、これらのデータは、2つのグループV、V~のいずれかに属するように分割される。
次いで、コード分割作成部224は、2つのグループに分けられたデータに対して、活性度関数算出部230から最小誤差分割パターン選択部240における処理と同一の手順にて品質予測モデルを作成し、予測誤差を計算する(ステップS1042)。ステップ1041、S1042は、コード変数の分割処理における初期処理として行われる。
上記初期分割後の品質予測モデルについて予測誤差を算出すると、コード分割作成部224は、1〜Dの値を発生し得る乱数発生器を一回実行し、得られた乱数値DRに対応したコード値のデータを現在とは異なるグループに入れ替える(ステップS1043)。例えば、図11に示す例において、乱数発生器により得られた乱数値DRに対応するコード値のデータが「2」であったとする。当該データは現在グループV~に属するが、ステップS1023の処理により、現在属するグループとは異なるグループVへ移動される。このように、コード分割作成部224は、データを入れ替えて、品質予測モデルを再作成する。
その後、コード分割作成部224は、入れ替えたデータにより品質予測モデルを作成し、予測誤差を計算する(ステップS1044)。ステップS1044の処理は、上記ステップS1042の処理と同様に行うことができる。
次いで、コード分割作成部224は、入れ替える前の予測誤差と入れ替えた後の予測誤差を比較して、精度評価を行う(ステップS1045)。そして、コード分割作成部224は、入れ替え後の予測誤差が入れ替え前の予測誤差よりも小さければステップS1043で行った入れ替えを確定し、ステップS1027の処理へ進む。一方、入れ替え後の予測誤差が入れ替え前の予測誤差以上である場合は、2つのグループを入れ替え前の状態に戻す(ステップS1046)。その後、ステップS1043に戻って処理を反復する。
ステップS1045において、ステップS1043でのグループの入れ替えを確定すると、コード分割作成部224は、反復停止条件を満たしているか否かを判定する(ステップS1047)。反復停止条件としては、例えば、反復回数の上限値に達した場合や、予測誤差の改善が見られない入れ替えの実施回数の上限値に達した場合等の条件を設定することができる。コード分割作成部224は、反復停止条件に合致した場合は、反復処理を停止し、コード変数の分割処理を終了する。すなわち、この時点で確定されている2つのグループがコード変数の分割パターン候補となる。一方、反復停止条件に合致しないと判定された場合は、ステップS1043に戻って処理を反復する。
以上、コード変数の分割処理について説明した。なお、コード変数が複数個(q個)ある場合には、それぞれのコード変数l=1〜qに対して上記処理を行い、q種類のコード変数に対する分割パターン候補をそれぞれ作成すればよい。
なお、分割パターン候補作成部220による分割パターン候補の作成方法としては、上記の方法に限定されるものではなく、操業変数とコード変数からなる分割パターン候補を、例えば遺伝的アルゴリズムなどの最適化手法を用いて一括で生成する方法も、本発明の範疇である。具体的には、分割パターン候補において分割点となる操業変数およびコード変数の値を配列に格納したものを複数個作成し、配列同士の一部を入れ替える交叉処理や、配列の一部の値を変更する突然変異処理を行い、活性度関数算出部230から最小誤差分割パターン選択部240における処理と同一の手順にて品質予測モデルを作成し、予測誤差を計算する。そして、上記の方法と同様に、予測誤差の大きさを評価して、分割パターン候補を決定することができる。
品質予測装置200による図3の品質予測処理の説明に戻り、ステップS104にて分割パターン候補が作成されると、すべての分割パターン候補に対して活性度関数が算出される(ステップS106)。具体的な活性度関数としては、例えば、数式(30)に示すp次元の正規分布関数と、コード分割情報より算出した数式(31)で表される二値関数とを、数式(32)に代入して得られるメンバシップ関数を活性度関数とすることができる。
Figure 2011221645
・・・数式(30)
Figure 2011221645
・・・数式(31)
Figure 2011221645
・・・数式(32)
Figure 2011221645
ここで、c は局所領域の重心点、σ は正規分布関数の標準偏差、vはコード変数、Vはコード分割作成手段で得られたグループVに属するコード変数の値の集合である。数式(30)に示すように、本実施形態にかかる活性度関数は、操業変数及びコード変数の関数であることがわかる。このメンバシップ関数は、任意の操業データに対して、該操業データのコード変数値が集合Vに属していない場合は0値となり、属している場合は操業変数の値に応じた0〜1の範囲の値を有するものである。
そして、最小誤差分割パターン選択部240により、分割パターン候補から最も予測誤差の小さい分割パターンが選択される(ステップS108)。最小誤差分割パターン選択部240は、ステップS102にて設定された指数平滑係数を各局所領域に適用して、指数平滑法により算出した局所領域予測値を用いて長期学習予測値を算出し、さらに短期学習係数を算出した後、これらの値に基づき分割パターンの予測誤差評価値を算出する。そして、最小誤差分割パターン選択部240は、算出した予測誤差評価値のうち最も小さい予測誤差評価値を有する分割パターンを最小誤差分割パターンとして選択する。
かかる最小誤差分割パターン選択部240による処理は、上記品質予測装置100の最小誤差分割パターン選択部140と同様に、図7に示すフローチャートに沿って行われる。なお、最小誤差分割パターン選択部240による処理は段落0087〜0109にて説明した処理と同一であるため、ここではその説明を省略する。最小誤差分割パターン選択部240は、指数平滑法にて品質予測を行う際に、同一ロット材が連続する場合には短期学習を行うことにより、直近材への追従性を向上させることができる。最小誤差分割パターン選択部240は、図7の処理を行うことにより、分割パターン候補作成部220により作成された複数の分割パターン候補から、数式(28)で定義される誤差の最も小さい関係式の分割パターンを選択する。
次いで、学習誤差評価部260は、最小誤差分割パターン選択部240で選択された分割パターンの予測誤差評価値と、予め設定された評価基準値とを比較して、学習が十分であるか、すなわち誤差が収束したか否かを判定する(ステップS110)。学習誤差評価部260は、誤差が評価基準値より大きい場合には、十分な精度でデータを説明できる関係式はまだ構築されておらず、誤差の収束は不十分であると判定する。この場合、学習誤差評価部260は、分割パターン候補作成部220に対して、分割パターンの分割数Mを1つ増やして、ステップS104の処理を行うように指示する(ステップS112)。そして、ステップS110にて十分な精度でデータを説明できる関係式が構築されたと判定されるまで、ステップS104〜S112の処理を繰り返す。
一方、ステップS110にて、誤差が評価基準値以下であれば、学習誤差評価部260は、十分な精度でデータを説明できる関係式が構築されたと判定し、ステップS102で設定された指数平滑係数のすべてについて上記ステップS104〜S112の処理が行われたか否かを判定する(ステップS114)。ステップS114にて、すべての指数平滑係数について上記処理が完了していないと判定された場合には、指数平滑係数算出部250は、まだ処理が行われていない指数平滑係数を1つ抽出して、次の長期学習ゲインαとして設定する(ステップS116)。その後、ステップS104〜S116の処理を繰り返す。
ステップS114にて、すべての指数平滑係数(長期学習ゲインα)について上記処理が完了したと判定された場合には、分割指数平滑モデル決定部270により、最も分割数の少ない最小分割数モデルを選択する(ステップS118)。その後、分割指数平滑モデル270は、得られた関係式を表現するための情報である活性度関数の係数を抽出して、品質予測値出力部280へ出力する。品質予測値出力部280は、入力された関係式の情報と、別途入力される操業データとを用いて、数式(15)にて得られたyを長期学習予測値として、さらに指数平滑法による短期学習を適用して数式(26)または数式(27)より品質予測値を算出し、外部へ出力する(ステップS120)。なお、上述したステップS110〜S118の処理は上記品質予測装置100と同様に行うことができる。
以上、品質予測装置200とこれによる品質予測方法について説明した。品質予測装置200は、品質予測装置100と同様に、過去に製造された製品の品質情報を製造順番に並べた時系列品質データより指数平滑法にて品質予測を行う手法において、同一ロット材が連続した場合に、品質予測の精度を高めるために短期学習を実施する。これにより、直近材への追従性を向上させることができ、同一ロット材が連続した場合の品質の不良を防ぐことができる。
また、品質予測装置200は、品質予測に用いる操業データの数値情報である操業変数と文字コード情報であるコード変数とを全体領域として、当該全体領域から分割パターン候補を作成する。そして、各分割パターンの活性度関数と、指数平滑法を用いて算出された各分割パターンの各局所領域予測値とに基づいて、品質予測の誤差が最小となる分割パターンを選択する。これにより、ほとんどデータの存在しない局所領域の発生を防止することができ、上記実施形態の場合よりもさらに少ない分割数で、十分な精度でデータを説明できるモデルを自動的に探索して獲得することができる。また、必要以上に局所領域が細分化されないため、精度が劣化したときのメンテナンス負荷を低減することができる。
(3)オンラインの品質予測装置について
本実施形態に係る上記品質予測装置100、200による品質予測方法を用いて、オンラインの品質予測装置として構成する場合には、分割パターンの探索は処理時間的に難しい。そこで、予めオフラインで求めた分割パターンおよび活性度関数を用いて、品質予測を行う。以下、図12および図13に基づいて、本実施形態に係るオンラインでの品質予測装置300の構成およびこれによる処理を説明する。なお、図12は、品質予測装置300の構成を示すブロック図である。図13は、本実施形態にかかる品質予測装置300による局所領域予測値ならびに短期学習係数の更新処理を示すフローチャートである。なお、図12では、局所領域予測値ならびに短期学習係数の更新処理に必要な処理部(すなわち、更新処理部を構成する処理部)のみを記載している。したがって、本実施形態にかかる品質予測装置300は、図1および図8に記載している他の処理部を備えることもできる。
[品質予測装置の構成]
品質予測装置300は、図12に示すように、操業データ入力部310と、活性度関数演算部320と、活性度関数記憶部325と、品質データ入力部330と、局所領域予測値更新部340と、局所領域予測値記憶部345と、実績短期学習係数演算部350と、実績短期学習係数記憶部355と、長期学習予測値演算部360と、短期学習係数演算部370と、品質予測値演算部380とを備える。
操業データ入力部310は、品質予測装置300に接続された製造プロセス5から収集された製品の操業データが入力される。具体的には、操業データ入力部310として、例えばキーボード、データシートを読み込むOCR、工場内に設置されたセンサによる測定信号を逐次収集して保存し、予め設定されたタイミングでLAN等を介してデータを取り込むコンピュータ、製造プロセスの情報を他のコンピュータからLAN等を介して逐次データを取り込むコンピュータ等を用いることができる。操業データ入力部310により入力される操業データは、操業変数、または操業変数およびコード変数からなる。操業データは、以下に述べる各処理部による演算処理を実行することで、最小誤差分割パターン選択部140および240における品質予測値算出に至る処理に等価な演算が実行され、品質予測値が算出される。操業データ入力部310から入力された操業データは、活性度関数演算部320へ出力される。
活性度関数演算部320は、操業データ入力部310から入力された操業データおよび活性度関数記憶部325に記憶されている情報を用いて、活性度関数の値を算出する。活性度関数は、操業データが操業変数のみからなる場合には数式(13)、操業データが操業変数およびコード変数からなる場合には、数式(32)により表される。そして、活性度関数演算部320は、算出した活性度関数の値を局所領域予測値更新部340、実績短期学習係数演算部350、長期学習予測値演算部360、および実績短期学習係数演算部370へ出力する。
活性度関数記憶部325は、数式(13)または数式(32)における活性度関数を算出するために必要な、局所領域の重心点、正規分布関数の標準偏差、図8のコード分割作成部224で得られたグループVに属するコード変数の値の集合等の情報を記憶する。すなわち、活性度関数記憶部325には、上記品質予測装置100の最小誤差分割パターン選択部140、あるいは品質予測装置200の最小誤差分割パターン選択部240により選択された分割パターンに関する情報が記憶されている。
品質データ入力部330は、製造プロセスから抽出された、製品の品質が測定された時点における品質データを入力する。品質データは、例えば鉄鋼プロセスの場合は、自動疵検査装置による表面疵や内部欠陥の個数、サンプル試験工程での機械強度測定値、形状計による波高さ測定値、板厚・板幅測定計による寸法情報、内部応力、更には最終品質に影響を及ぼす中間工程段階での元素成分量や温度、サイズといった情報である。品質データ入力部330には、これらの品質データを入力する、例えばキーボード、データシートを読み込むOCR、センサによる測定信号を逐次収集してLAN等を介して伝送する計算機を用いることができる。品質データ入力部330は、入力された品質データを局所領域予測値更新部340および実績短期学習係数演算部350へ出力する。
局所領域予測値更新部340は、品質データ入力部330から入力された品質データと、活性度関数演算部320により算出された活性度関数の値とを用いて、局所領域予測値記憶部345に記憶されている局所領域予測値を更新する。
局所領域予測値記憶部345は、局所領域予測値を記憶する。局所領域予測値記憶部345に記憶された局所領域予測値は、局所領域予測値更新部340により更新される。また、局所領域予測値記憶部345に記憶された局所領域予測値は、長期学習予測値演算部360により読み出され、次材の長期学習係数を算出するために用いられる。
実績短期学習係数演算部350は、品質データ入力部330から入力された品質データと、長期学習予測値演算部360により算出される長期学習予測値とを用いて、実績短期学習係数を算出する。実績短期学習係数演算部350は、算出した実績短期学習係数を活性度関数演算部320により算出された活性度関数の値とともに実績短期学習係数記憶部355に記録する。
実績短期学習係数記憶部355は、実績短期学習係数および活性度関数の値を記憶する。実績短期学習係数記憶部355に記憶された実績短期学習係数は、実績短期学習係数演算部350により算出された値、活性度関数の値は活性度関数演算部320により算出された値であり、短期学習係数演算部370によって、次材以降の短期学習係数を算出するために用いられる。
長期学習予測値演算部360は、活性度関数演算部320により算出された活性度関数および局所領域予測値記憶部345に記憶された局所領域予測値を用いて、長期学習予測値を算出する。長期学習予測値は、段落0035〜0048にて説明した手法により算出される。長期学習予測値演算部360は、算出した長期学習予測値を品質予測値演算部380および実績短期学習係数演算部350へ出力する。
短期学習係数演算部370は、活性度関数演算部320により算出された活性度関数および実績短期学習係数記憶部355に記憶された短期学習係数を用いて、短期学習係数を算出する。短期学習係数は、段落0035〜0048にて説明した手法により算出される。短期学習係数演算部370は、算出した短期学習係数を品質予測値演算部380へ出力する。
品質予測値演算部380は、長期学習予測値演算部360により算出された長期学習予測値と、短期学習係数演算部370により算出された短期学習係数とを用いて、品質予測値を算出する。品質予測値は、段落0035〜0048にて説明した手法により算出される。品質予測値演算部380は、算出した品質予測値を、例えばガイダンス情報として表示したり、或いは品質制御に利用するために製造プロセスの制御系へ出力したりする。品質予測値を表示させることにより、操業オペレータは、望ましい品質を得るための操業条件を決定することが可能となり、また検査員は、品質不良の懸念がある製品の重点検査を行うことで、顧客への不良品出荷を防止することができる。また、品質制御に利用する場合は、品質予測値に基づいて、品質が望ましい範囲となるよう操作端となる操業変数の目標値を算出する処理を制御系で行い、製造プロセス5の操業に反映することで、品質不良の発生を抑制することが出来る。
[品質予測装置による局所領域予測値更新ならびに短期学習係数算出更新処理]
次に、図13に基づいて、本実施形態にかかる局所領域予測値の更新ならびに短期学習係数算出処理について説明する。まず、品質予測装置300の操業データ入力部310に製造プロセス5から収集された製品の操業データu(i)が入力される(ステップS301)。例えば、操業データ入力部310に第1番目の製品に関する第1の操業データが入力されるとする。操業データ入力部310は、入力された第1の操業データを活性度関数演算部320へ出力する。
操業データ入力部310から第1の操業データが入力された活性度関数演算部320は、入力された第1の操業データと活性度関数記憶部325に記憶された情報とに基づいて、活性度関数の値Φ(i)を算出する(ステップS302)。なお、活性度関数の値Φ(i)は、操業データが操業変数のみからなる場合はu(i)の関数Φ(u(i))、操業データが操業変数およびコード変数からなる場合はu(i)およびv(i)の関数Φ(u(i),v(i))となるが、ここでは両者をまとめてΦ(i)で表記する。
活性度関数の値Φ(i)が算出されると、長期学習予測値演算部360は、長期学習予測値y^(i)を算出する(ステップS303)。長期学習予測値y^(i)は、活性度関数の値Φ(i)と局所領域予測値記憶部345に記憶されている局所領域予測値y^(i)を用いて上記数式(15)により算出することができる。また、実績短期学習係数演算部350により短期学習係数が算出される(ステップS304)。かかる処理は、段落0086〜0103で説明した図7のステップS1084の処理と同様に行われる。このとき、過去の実績短期学習係数y(k)および活性度関数の値Φ(k)は、実績短期学習係数記憶部355に記憶されているデータを用いる。短期学習係数は、上記数式(25)より算出することができる。なお、ステップS303の処理とS304の処理とは、並行して行うことができる。
そして、長期学習予測値および短期学習係数が算出されると、品質予測値演算部380は、品質予測値y^(i)を算出する(ステップS305)。品質予測値y^(i)は、乗法型短期学習の場合には上記数式(26)、加法型短期学習の場合には上記数式(27)を用いて算出することができる。
その後、品質予測値演算部380により算出された品質予測値y^(i)を用いて操業を行い、品質データy(i)が品質データ入力部330へ入力されると(ステップS311)、局所領域予測値更新部340は、品質データy(i)と活性度関数の値Φ(i)とを用いて局所領域予測値記憶部345に記憶されている局所領域予測値の更新を行う(ステップS312)。局所領域予測値の更新は、下記数式(33)により行われる。
Figure 2011221645
・・・数式(33)
Figure 2011221645
また、実績短期学習係数演算部350は、品質データy(i)と長期学習予測値y^(i)を用いて実績短期学習係数y(i)を算出した後、実績短期学習係数y(i)をデータ連番i、活性度関数の値Φ(i)とともに実績短期学習係数記憶部355に記録する(ステップS313)。実績短期学習係数y(i)の算出は、乗法型短期学習の場合は上記数式(16)、加法型短期学習の場合は上記数式(17)により行うことができる。実績短期学習係数記憶部355には、製品約100〜1000本程度のデータが記憶されていればよく、記憶されているデータ数がかかる値を超えた場合には、古いデータから順に削除してもよい。なお、ステップS313の処理はステップS312の処理と並行して行うことができる。
以上、ステップS300〜S313の処理による、第1番目の製品の品質予測値の出力と、局所領域予測値および短期学習係数の更新処理について説明した。続いて、第2番目の製品に関する第2の操業データおよび第2の品質データが入力された場合にも、品質予測装置300は同様に処理を行う。第2の操業データが製造プロセス5から操業データ入力部310へ入力されると(ステップS300)、操業データ入力部310は、第2の操業データを活性度関数演算部320へ出力する。活性度関数演算部320は、入力された第2の操業データと、活性度関数記憶部325に記憶された情報とを用いて、活性度関数を算出する(ステップS302)。活性度関数演算部320により算出された活性度関数は、長期学習予測値演算部360および短期学習係数演算部370に出力され、長期学習予測値および短期学習係数がそれぞれ算出される(ステップS303、S304)。そして、品質予測値演算部380によって、品質予測値が算出され(ステップS305)、外部の製造プロセス5や運転員へ通知する出力装置等に出力される。
一方、第2番目の製品に関する第2の品質データが品質データ入力部330へ入力されると(ステップS311)、局所領域予測値更新部340、実績短期学習係数演算部350により、局所領域予測値および実績短期学習係数が算出される(ステップS312、S313)。このように、図13の処理を繰り返すことにより、製造プロセス5における品質予測値を的確に評価することができる。ここで、第1番目の製品に関する第1の品質データが入力されるのは、必ずしも第2番目の製品の品質データの予測を行う前とは限らない。例えば、ずっと後の、第数百番目の製品の品質データの予測を行う時点、という場合あるので、局所関係式の更新は、品質予測値を計算する時点で得られている最も新しい品質データ、品質予測値、及び操業データに基づいて更新するのがよい。
以上、本実施形態に係る品質予測装置(符号100、200、300)の構成とこれを用いた品質予測処理について説明した。本実施形態に係る品質予測装置では、製品の同一ロットを活性度関数に基づき定義するものであり、活性度関数の値からなる多次元ベクトルより各データ間の類似性を表す指標(評価指標J)が所定の値以下であればこれらは同一ロットとして扱う。このような同一ロットの定義方法では、例えば、領域の分割数が少ない場合にほとんどの製品が同一ロットであると判断されたり、領域境界付近において操業変数が僅かに相違するだけで別ロットとなってしまったりするのを防止できる。
<2.第2の実施形態>
次に、本実施形態に係る第2の実施形態に係る品質予測装置を用いた品質予測方法を説明する。本実施形態に係る品質予測装置は、第1の実施形態に係る品質予測装置100、200と同様の構成とすることができる。そして、本実施形態の品質予測処理も、第1の実施形態に係る品質予測装置100、200を用いて、図3に示すフローチャートに沿って品質予測処理が実行される。
すなわち、本実施形態においても、製品の同一ロットを活性度関数に基づき定義するものであり、活性度関数の値からなる多次元ベクトルより各データ間の類似性を表す指標(評価指標J)が所定の値以下であればこれらは同一ロットとして扱う。そして、過去の製品の中で同一ロットとなるものを順に検索しながら抽出していき、同一ロットでないものが発見されれば検索を中止し、抽出された製品の実績短期学習係数に対して最新のものから指数的に減衰する重みを求め、実績短期学習係数と初期値の重み付き平均を算出する。
ここで、本実施形態では、同一ロットと判定される製品の連続が一旦途切れても、同一ロット材ではない製品が所定数未満であれば、それを超えて短期学習を継続するようにする。この場合には、記憶されている過去の製品から同一ロットとなる製品を抽出する際に同一ロットではないものがみつかったとしても、それが所定数以上連続して検出されるまでは検索を継続する。すなわち、本実施形態は、第1の実施形態にかかる最小誤差分割パターン選択部140、240により行われる処理、すなわち図3のステップS108の処理が、図7に示す方法と相違する。
具体的には、短期学習係数を算出する処理(図7のステップS1084)において、前データに遡って同一ロットを検索する際に、同一ロットでないものが検出されても、所定数以上となるまでは、同一ロットの検索を継続する。このようにして取得された同一ロットの範囲から同一ロットとなる製品のみを抜き出して連続する番号を付し、数式(25)を用いて短期学習係数を算出する。これにより、適切にロットの区切りを規定できるとともに、短期学習を有効に機能させることができる。
上記本実施形態の処理は、第1の実施形態のオンラインの品質予測装置300に適用可能である。この場合、品質予測装置は図12に示した構成と同様に構成することができ、これによる品質予測処理も図13と同様に行うことができる。
<3.ハードウェア構成図>
本発明の実施形態にかかる製造プロセスにおける品質予測装置100、200、300は、コンピュータにより実現可能である。図14に、本発明の実施形態にかかる品質予測装置として機能し得るコンピュータシステム400の構成例を示す。コンピュータシステム400は、CPU401と、ROM402と、RAM403と、キーボードコントローラ(KBC)405と、CRTコントローラ(CRTC)406と、ディスクコントローラ(DKC)407と、ネットワークインターフェースコントローラ(NIC)408とが、システムバス404を介して互いに通信可能に接続されている。
CPU401は、ROM402或いはHD411に記憶されたソフトウェア、或いはFD412より供給されるソフトウェアを実行し、システムバス404に接続された各構成部を総括的に制御する。すなわち、CPU401は、所定の処理シーケンスに従った処理プログラムを、ROM402、或いはHD411、或いはFD412から読み出して実行し、本実施形態での品質予測装置100、200、300の機能を実現するための制御を行う。
RAM403は、CPU401の主メモリ或いはワークエリア等として機能する。KBC405は、KB409や図示しないポインティングデバイス等からの指示入力を制御する。CRTC406は、表示部であるCRT410の表示を制御する。DKC407は、ブートプログラム、種々のアプリケーション、編集ファイル、ユーザファイル、ネットワーク管理プログラム、及び本実施形態における所定の処理プログラム等を記憶するHD411及びFD412とのアクセスを制御する。NIC408は、LAN420上の装置或いはシステムと双方向にデータをやりとりするものである。
なお、コンピュータに対し、本発明の実施形態である品質予測装置の手段、及び品質予測装置の各工程の機能を実現するための処理を記載したソフトウェアのプログラムを供給して、コンピュータに格納された該プログラムに従って各種デバイスを動作させることによって実施するものも本発明の範疇に含まれる。
また、この場合、ソフトウェアのプログラム自体が本発明の実施形態の品質予測装置100、200、300の処理機能を実現することになり、そのプログラム自体が、本発明の範疇に含まれる。なお、該プログラムコードの伝送媒体として、プログラムを電気信号として伝播させて供給するコンピュータネットワークシステムなどの通信媒体を用いることもできる。
さらにプログラムをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムを格納した記憶媒体も本発明の範疇に含まれる。かかるプログラムコードを記憶する記憶媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
以下に、鉄鋼製品である薄鋼板の熱間圧延プロセスを対象として、巻取における鋼板温度を品質とし、操業変数には、被圧延材が精錬工程を終了した時点での溶鋼内のC量、Si量、Mn量、B量、被圧延材の目標板幅、目標板厚、等価炭素量、仕上圧延出側目標温度、巻取目標温度、冷却水温、及びコード変数として材質コードを用いて品質予測を行った実施例について説明する。
図15は、薄鋼板の熱間圧延プロセスの概略を示す概略説明図である。スラブと呼ばれる被圧延材10の母材は、加熱炉から抽出された後に、粗圧延機510にて厚み30〜60mmのバー状に圧延される。次いで被圧延材10は、複数の圧延機を直列に配置して構成された仕上圧延機520にて連続的に圧延され、その後巻取機530にてコイル状に巻き取られる。
巻取機530の直前には、放射温度計による非接触式の巻取温度計560が設置されており、巻取温度計560により薄鋼板の機械特性値などの材質特性に影響を及ぼす重要な管理指標である巻取時の鋼板温度が測温されている。鋼板温度を所定の範囲に制御するため、仕上圧延機520出側から巻取機530に至るまでのランナウトテーブル550上には、鋼板に水を散布する冷却設備が具備されている。
熱間圧延プロセスにおいては、鋼板の成分やサイズ、仕上圧延機520出側や巻取機直前など各段階での目標温度を入力として、鋼板巻取温度を推定する予測モデルを作成している。さらに、仕上圧延機520出側に設置された温度計540で測定された実績温度に従い、この予測モデルを用いて巻取温度が所定の範囲となる冷却水量密度を算出し、水量密度の設定値を変更する操業が行われる。
従来は、ランナウトテーブル550上で鋼板に水を散布した場合の冷却現象を、伝熱方程式に基づく物理モデルで推定し、さらにこの物理モデルによる計算結果を補正するための補正係数を指数平滑法によって求める処理を行っていた。このとき、補正精度を改善するための分割メッシュ数が4000分割に及ぶため、ほとんどデータが入力されないメッシュ(局所領域)があり、このようなメッシュでは品質予測値の精度が悪いという問題があった。
そこで、本発明の実施形態による品質予測装置を適用して、物理モデルによる計算結果を補正するための補正係数を品質指標yとする品質予測装置を構成した。ここでは、約1万コイル分のデータを用いた。評価指標としては、実績温度との比較で得られた正確な補正係数の値と、予測で得られた補正係数の差で、予測誤差を定義し、この標準偏差を指標としている。
図16に、第1の実施形態に係る品質予測装置200を用いた場合の、分割数と予測誤差との関係を示すグラフを示す。同一ロットとする評価指標Jの判定値は、0.4とした。第1の実施形態に係る品質予測装置200を用いて指数平滑学習の短期学習を有効に機能させることにより、短期学習を行わない場合と比較して予測精度が改善していることが分かる。
図17に、第2の実施形態に係る品質予測装置200品質予測装置を用いた場合の、分割数と予測誤差との関係を示すグラフを示す。この場合、同一ロットでないものが10本未満であれば、短期学習を継続するようにしている。これにより短期学習が適用されることが多くなり、第1の実施形態に係る品質予測方法よりもさらに予測精度が改善していることが示されている。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、いずれもコンピュータ上のプログラムとして品質予測装置を実現したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、演算装置、メモリ等を組み合わせたハードウェアによって構成されるものであっても良い。また、本発明の操業と品質の関連解析装置は、複数の機器から構成されるものであっても、一つの機器から構成されるものであっても良い。
また、上記実施形態では、分割パターン候補生成部による局所領域の分割は2分割するものであったが、本発明はかかる例に限定されず、例えば局所領域を3分割するものであってもよい。
5 製造プロセス
100、200、300 品質予測装置
110、210 データ抽出部
120、220 分割パターン候補作成部
130、230、320 活性度関数算出部
140、240 最小誤差分割パターン選択部
141、345 局所領域予測値記憶部
142、360 長期学習予測値演算部
143、355 実績短期学習係数記憶部
144、370 短期学習係数演算部
145 モデル誤差評価部
146 分割パターン選択部
150、250 指数平滑係数算出部
160、260 学習誤差評価部
170、270 分割指数平滑モデル決定部
180、280 品質予測値出力部
190、290 データベース
222 数値分割作成部
224 コード分割作成部
310 操業データ入力部
325 活性度関数記憶部
330 品質データ入力部
340 局所領域予測値更新部
350 実績短期学習係数演算部
380 品質予測値演算部

Claims (14)

  1. 製造プロセスにおける品質予測装置であって、
    複数の製品に関する操業データおよび品質データを記憶するデータベースから、所定の選択条件に該当する操業データおよび品質データを抽出するデータ抽出部と、
    抽出された前記操業データについて、前記操業データに含まれる変数が値としてとる領域を全体領域として、当該全体領域を複数の局所領域に分割する分割パターン候補を複数個作成する分割パターン候補作成部と、
    前記各分割パターン候補について、前記各局所領域における品質予測値が全体領域における品質予測値に寄与する割合である寄与率を表す活性度関数を、局所領域毎に算出する活性度関数算出部と、
    前記各分割パターン候補について、前記各局所領域における、過去の品質データと過去の品質予測値とから、指数平滑法に基づき設定された指数平滑関数によって算出される現在の品質予測値と、前記活性度関数とに基づいて、全体領域における品質予測値である長期学習予測値を算出するとともに、前記長期学習予測値と前記品質データとの差異の予測値を表す短期学習係数を算出し、前記長期学習予測値と前記短期学習係数とに基づき算出される全体領域における品質予測値と前記品質データとの差である予測誤差が最小となる分割パターンを選択する最小誤差分割パターン選択部と、
    前記最小誤差分割パターン選択部により選択された分割パターンの品質予測値と、予め設定された評価基準値との比較結果に基づいて、前記予測誤差の収束が十分であるか否かを判定する学習誤差評価部と、
    前記学習誤差評価部にて収束が十分であると判定された前記分割パターンの、前記全体領域における品質予測値を算出する関係式を用いて、品質予測値を出力する品質予測値出力部と、
    前記指数平滑関数において、現在の品質予測値に対する過去の品質予測の影響の強さを決定する指数平滑係数を算出する指数平滑係数算出部と、
    を備え、
    前記最小誤差分割パターン選択部は、
    前記各操業データに対応する前記活性度関数を用いて前記操業データ間の類似性を表す評価指標値を算出し、
    前記各局所領域のうち、時系列に並べられた複数の前記操業データにおいて、現在の操業データと、時系列上で該現在の操業データの直前に位置する操業データとの類似性を、前記評価指標値に基づいて判定し、
    前記現在の操業データと、時系列上で該現在の操業データの直前に位置する操業データとが類似していると判定する場合には、指数平滑法に基づいて前記短期学習係数を更新し、
    前記現在の操業データと、時系列上で該現在の操業データの直前に位置する操業データとが類似していないと判定する場合には、前記短期学習係数を初期化することを特徴とする、品質予測装置。
  2. 前記最小誤差分割パターン選択部は、
    前記長期学習予測値を算出する長期学習予測値演算部と、
    前記長期学習予測値演算部により算出された前記長期学習予測値と過去の品質データとに基づいて、前記短期学習係数を算出する短期学習係数演算部と、
    前記長期学習予測値と前記短期学習係数とに基づいて、全体領域における前記品質予測値を算出し、該品質予測値と前記品質データとの差である予測誤差を算出するモデル誤差評価部と、
    を備えることを特徴とする、請求項1に記載の品質予測装置。
  3. 前記評価指標値は、任意に選択された2つの前記操業データに対する前記活性度関数の値からなる多次元ベクトル間の距離であることを特徴とする、請求項1または2に記載の品質予測装置。
  4. 前記最小誤差分割パターン選択部は、
    前記現在の操業データと、時系列上で該操業データの直前に位置する操業データとが、類似していないと判定する場合であり、かつ、前記現在の操業データと類似していると判断される操業データに対応する製品のうちで現在の操業データに対応する製品の直前に処理された製品と、現在の操業データに対応する製品との間に処理された製品の数が所定値未満である場合には、前記短期学習係数を初期化する代わりに、該短期学習係数を更新することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の品質予測装置。
  5. 前記学習誤差評価部により前記予測誤差の収束が十分であると判定される複数の分割パターンから一の前記分割パターンを選択する分割指数平滑モデル決定部をさらに備え、
    前記指数平滑係数算出部は、複数の指数平滑係数を設定し、
    前記各指数平滑係数について、前記分割パターン候補作成部により分割パターン候補を作成して、前記活性度関数算出部、前記最小誤差分割パターン選択部および前記学習誤差評価部により、前記予測誤差の収束が十分である前記分割パターンをそれぞれ決定し、
    前記分割指数平滑モデル決定部は、前記各指数平滑係数についてそれぞれ決定された前記分割パターンのうち、分割数が最も少ない前記分割パターンを選択することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の品質予測装置。
  6. 前記分割パターン候補作成部は、
    前記操業データに含まれる数値情報である操業変数からなる操業変数空間を分割する数値分割作成部と、
    当該操業データに含まれる文字コード情報であるコード変数からなるグループを分割するコード分割作成部と、
    を備え、
    前記数値分割作成部により作成された分割パターン候補および前記コード分割作成部により作成された分割パターン候補を、全体領域の分割パターン候補とすることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の品質予測装置。
  7. 前記活性度関数は、前記局所領域の重心に中心を持つ正規分布関数と、前記コード分割情報から算出される二値関数とを組み合わせて構成される関数であることを特徴とする、請求項6に記載の品質予測装置。
  8. 前記コード分割作成部は、探索法を用いて前記コード変数からなるグループを分割することを特徴とする、請求項6または7に記載の品質予測装置。
  9. 前記分割パターン候補作成部は、最適化手法を用いて、前記操業変数と前記コード変数とからなる分割パターン候補を一括して生成することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の品質予測装置。
  10. 前記製造プロセスは、鉄鋼プロセスであって、
    前記品質データは、製品の表面疵、機械強度特性値、形状の平坦度、製品サイズ、内部応力、又はこれら品質に影響を及ぼすプロセス値であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の品質予測装置。
  11. 前記製造プロセスは、鉄鋼製品である薄鋼板の熱間圧延プロセスであり、
    前記品質予測装置による予測対象となる品質を、熱延ランアウトテーブル出側での捲き取り温度としたとき、
    前記製造プロセスの操業変数は、被圧延材が精錬工程を終了した時点での溶鋼内のC量、Si量、Mn量、B量、被圧延材の目標板幅、目標板厚、等価炭素量、仕上圧延出側目標温度、巻取目標温度、冷却水温、及びコード変数として材質コードから少なくとも一つ以上選択することを特徴とする、請求項10に記載の品質予測装置。
  12. 製造プロセスにおける品質予測方法であって、
    複数の製品に関する操業データおよび品質データを記憶するデータベースから、所定の選択条件に該当する操業データおよび品質データを抽出するデータ抽出ステップと、
    抽出された前記操業データについて、前記操業データに含まれる変数が値としてとる領域を全体領域として、当該全体領域を複数の局所領域に分割する分割パターン候補を複数個作成する分割パターン候補作成ステップと、
    前記各分割パターン候補について、前記各局所領域における品質予測値が全体領域における品質予測値に寄与する割合である寄与率を表す活性度関数を、局所領域毎に算出する活性度関数算出ステップと、
    前記各分割パターン候補について、前記各局所領域における、過去の品質データと過去の品質予測値とから、指数平滑法に基づき設定された指数平滑関数によって算出される現在の品質予測値と、前記活性度関数とに基づいて、全体領域における品質予測値である長期学習予測値を算出する長期学習予測値算出ステップと、
    前記長期学習予測値と前記品質データとの差異の予測値を表す短期学習係数を算出する短期学習係数算出ステップと、
    前記長期学習予測値と前記短期学習係数とに基づき算出される全体領域における品質予測値と前記品質データとの差である予測誤差が最小となる分割パターンを選択する最小誤差分割パターン選択ステップと、
    前記選択された分割パターンの品質予測値と、予め設定された評価基準値との比較結果に基づいて、前記予測誤差の収束が十分であるか否かを判定する収束判定ステップと、
    前記予測誤差の収束が十分であるか否かを判定するステップにより収束が十分であると判定された前記分割パターンの、前記全体領域における品質予測値を算出する関係式を用いて、品質予測値を出力する出力ステップと、
    を含み、
    前記短期学習係数算出ステップでは、
    前記各操業データに対応する前記活性度関数を用いて前記操業データ間の類似性を表す評価指標値を算出し、
    前記各局所領域のうち、時系列に並べられた複数の前記操業データにおいて、現在の操業データと、時系列上で該現在の操業データの直前に位置する操業データとの類似性を、前記評価指標値に基づいて判定し、
    前記現在の操業データと、時系列上で該現在の操業データの直前に位置する操業データとが類似していると判定する場合には、指数平滑法に基づいて前記短期学習係数を更新し、
    前記現在の操業データと、時系列上で該現在の操業データの直前に位置する操業データとが類似していないと判定する場合には、前記短期学習係数を初期化することを特徴とする、品質予測方法。
  13. コンピュータを、
    複数の製品に関する操業データおよび品質データを記憶するデータベースから、所定の選択条件に該当する操業データおよび品質データを抽出するデータ抽出手段と、
    抽出された前記操業データについて、前記操業データに含まれる変数が値としてとる領域を全体領域として、当該全体領域を複数の局所領域に分割する複数の分割パターン候補を複数個作成する分割パターン候補作成手段と、
    前記各分割パターン候補について、前記各局所領域における品質予測値が全体領域における品質予測値に寄与する割合である寄与率を表す活性度関数を、局所領域毎に算出する活性度関数算出手段と、
    前記各分割パターン候補について、前記各局所領域における、過去の品質データと過去の品質予測値とから、指数平滑法に基づき設定された指数平滑関数によって算出される現在の品質予測値と、前記活性度関数とに基づいて、全体領域における品質予測値である長期学習予測値を算出するとともに、前記長期学習予測値と前記品質データとの差異の予測値を表す短期学習係数を算出し、前記長期学習予測値と前記短期学習係数とに基づき算出される全体領域における品質予測値と前記品質データとの差である予測誤差が最小となる分割パターンを選択する最小誤差分割パターン選択手段と、
    前記最小誤差分割パターン選択手段により選択された分割パターンの品質予測値と、予め設定された評価基準値との比較結果に基づいて、前記予測誤差の収束が十分であるか否かを判定する学習誤差評価手段と、
    前記学習誤差評価手段にて収束が十分であると判定された前記分割パターンの、前記全体領域における品質予測値を算出する関係式を用いて、品質予測値を出力する品質予測値出力手段と、
    前記指数平滑関数において、現在の品質予測値に対する過去の品質予測の影響の強さを決定する指数平滑係数を算出する指数平滑係数算出手段と、
    を備え、
    前記最小誤差分割パターン選択手段は、
    前記各操業データに対応する前記活性度関数を用いて前記操業データ間の類似性を表す評価指標値を算出し、
    前記各局所領域のうち、時系列に並べられた複数の前記操業データにおいて、現在の操業データと、時系列上で該現在の操業データの直前に位置する操業データとの類似性を、前記評価指標値に基づいて判定し、
    前記現在の操業データと、時系列上で該現在の操業データの直前に位置する操業データとが類似していると判定する場合には、指数平滑法に基づいて前記短期学習係数を更新し、
    前記現在の操業データと、時系列上で該現在の操業データの直前に位置する操業データとが類似していないと判定する場合には、前記短期学習係数を初期化することを特徴とする、品質予測装置として機能させるためのプログラム。
  14. コンピュータに、
    複数の製品に関する操業データおよび品質データを記憶するデータベースから、所定の選択条件に該当する操業データおよび品質データを抽出するデータ抽出手段と、
    抽出された前記操業データについて、前記操業データに含まれる変数が値としてとる領域を全体領域として、当該全体領域を複数の局所領域に分割する複数の分割パターン候補を複数個作成する分割パターン候補作成手段と、
    前記各分割パターン候補について、前記各局所領域における品質予測値が全体領域における品質予測値に寄与する割合である寄与率を表す活性度関数を、局所領域毎に算出する活性度関数算出手段と、
    前記各分割パターン候補について、前記各局所領域における、過去の品質データと過去の品質予測値とから、指数平滑法に基づき設定された指数平滑関数によって算出される現在の品質予測値と、前記活性度関数とに基づいて、全体領域における品質予測値である長期学習予測値を算出するとともに、前記長期学習予測値と前記品質データとの差異の予測値を表す短期学習係数を算出し、前記長期学習予測値と前記短期学習係数とに基づき算出される全体領域における品質予測値と前記品質データとの差である予測誤差が最小となる分割パターンを選択する最小誤差分割パターン選択手段と、
    前記最小誤差分割パターン選択手段により選択された分割パターンの品質予測値と、予め設定された評価基準値との比較結果に基づいて、前記予測誤差の収束が十分であるか否かを判定する学習誤差評価手段と、
    前記学習誤差評価手段にて収束が十分であると判定された前記分割パターンの、前記全体領域における品質予測値を算出する関係式を用いて、品質予測値を出力する品質予測値出力手段と、
    前記指数平滑関数において、現在の品質予測値に対する過去の品質予測の影響の強さを決定する指数平滑係数を算出する指数平滑係数算出手段と、
    を備え、
    前記最小誤差分割パターン選択手段は、
    前記各操業データに対応する前記活性度関数を用いて前記操業データ間の類似性を表す評価指標値を算出し、
    前記各局所領域のうち、時系列に並べられた複数の前記操業データにおいて、現在の操業データと、時系列上で該現在の操業データの直前に位置する操業データとの類似性を、前記評価指標値に基づいて判定し、
    前記現在の操業データと、時系列上で該現在の操業データの直前に位置する操業データとが類似していると判定する場合には、指数平滑法に基づいて前記短期学習係数を更新し、
    前記現在の操業データと、時系列上で該現在の操業データの直前に位置する操業データとが類似していないと判定する場合には、前記短期学習係数を初期化することを特徴とする、品質予測装置として機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
JP2010087866A 2010-04-06 2010-04-06 品質予測装置、品質予測方法、コンピュータプログラム、およびコンピュータ読み取り可能な記録媒体 Expired - Fee Related JP5488140B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010087866A JP5488140B2 (ja) 2010-04-06 2010-04-06 品質予測装置、品質予測方法、コンピュータプログラム、およびコンピュータ読み取り可能な記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010087866A JP5488140B2 (ja) 2010-04-06 2010-04-06 品質予測装置、品質予測方法、コンピュータプログラム、およびコンピュータ読み取り可能な記録媒体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011221645A true JP2011221645A (ja) 2011-11-04
JP5488140B2 JP5488140B2 (ja) 2014-05-14

Family

ID=45038589

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010087866A Expired - Fee Related JP5488140B2 (ja) 2010-04-06 2010-04-06 品質予測装置、品質予測方法、コンピュータプログラム、およびコンピュータ読み取り可能な記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5488140B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111212434A (zh) * 2019-12-31 2020-05-29 宁波奥克斯电气股份有限公司 一种wifi模组质量预测方法、装置、设备及存储介质
CN115408864A (zh) * 2022-09-01 2022-11-29 国网安徽省电力有限公司电力科学研究院 电子式互感器误差状态自适应预测方法、系统及设备

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11288576B2 (en) 2018-01-05 2022-03-29 Illumina, Inc. Predicting quality of sequencing results using deep neural networks
US10871497B2 (en) 2018-01-05 2020-12-22 Illumina, Inc. Predicting reagent chiller instability and flow cell heater failure in sequencing systems

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003132118A (ja) * 2001-10-25 2003-05-09 Nippon Steel Corp 品質不合予測装置
JP2003141215A (ja) * 2001-11-02 2003-05-16 Nippon Steel Corp 製造プロセスにおける操業分析装置、方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体
JP2007140694A (ja) * 2005-11-15 2007-06-07 Nippon Steel Corp 製造プロセスにおける操業と品質の関連解析装置、方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体
JP2009070235A (ja) * 2007-09-14 2009-04-02 Jfe Steel Kk 品質予測装置、品質予測方法及び製造方法
JP2009070227A (ja) * 2007-09-14 2009-04-02 Jfe Steel Kk 品質予測装置、品質予測方法及び製品の製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003132118A (ja) * 2001-10-25 2003-05-09 Nippon Steel Corp 品質不合予測装置
JP2003141215A (ja) * 2001-11-02 2003-05-16 Nippon Steel Corp 製造プロセスにおける操業分析装置、方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体
JP2007140694A (ja) * 2005-11-15 2007-06-07 Nippon Steel Corp 製造プロセスにおける操業と品質の関連解析装置、方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体
JP2009070235A (ja) * 2007-09-14 2009-04-02 Jfe Steel Kk 品質予測装置、品質予測方法及び製造方法
JP2009070227A (ja) * 2007-09-14 2009-04-02 Jfe Steel Kk 品質予測装置、品質予測方法及び製品の製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111212434A (zh) * 2019-12-31 2020-05-29 宁波奥克斯电气股份有限公司 一种wifi模组质量预测方法、装置、设备及存储介质
CN111212434B (zh) * 2019-12-31 2023-06-13 宁波奥克斯电气股份有限公司 一种wifi模组质量预测方法、装置、设备及存储介质
CN115408864A (zh) * 2022-09-01 2022-11-29 国网安徽省电力有限公司电力科学研究院 电子式互感器误差状态自适应预测方法、系统及设备
CN115408864B (zh) * 2022-09-01 2023-10-31 国网安徽省电力有限公司电力科学研究院 电子式互感器误差状态自适应预测方法、系统及设备

Also Published As

Publication number Publication date
JP5488140B2 (ja) 2014-05-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5604945B2 (ja) 品質予測装置、品質予測方法、コンピュータプログラム、およびコンピュータ読み取り可能な記録媒体
JP5516390B2 (ja) 品質予測装置、品質予測方法、プログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体
JP5434837B2 (ja) 品質予測装置、品質予測方法、プログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体
JP4681426B2 (ja) 製造プロセスにおける操業と品質の関連解析装置、方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体
JP5157874B2 (ja) 製品材質値の予測方法、装置、操業条件の決定方法、プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体
KR101889668B1 (ko) 압연 시뮬레이션 장치
JP4855353B2 (ja) 製品の品質改善条件解析装置、解析方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体
JP5068637B2 (ja) 製造プロセスにおける操業と品質の関連解析装置、解析方法、プログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体
KR101011546B1 (ko) 예측식 작성장치 및 예측식 작성방법
JP5375507B2 (ja) 品質予測装置、品質予測方法、プログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体
JP5867349B2 (ja) 品質予測装置、操業条件決定方法、品質予測方法、コンピュータプログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記憶媒体
JP2008112288A (ja) 予測式作成装置、結果予測装置、品質設計装置、予測式作成方法及び製品の製造方法
JP6439780B2 (ja) 電磁鋼板の磁気特性予測装置及び磁気特性制御装置
JP5704040B2 (ja) 製品品質の管理方法、及び製品品質の管理装置
JP5488140B2 (ja) 品質予測装置、品質予測方法、コンピュータプログラム、およびコンピュータ読み取り可能な記録媒体
JP5195331B2 (ja) 製造プロセスにおける品質予測装置、予測方法、プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体
JP5962290B2 (ja) 鋼材の熱伝達係数予測装置及び冷却制御方法
JP5003362B2 (ja) 製品品質の制御方法及び制御装置
JP4932294B2 (ja) 製造仕様決定支援システム、製造仕様決定支援方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体
JP5375506B2 (ja) 品質予測装置、品質予測方法、プログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体
JP7449776B2 (ja) 熱間圧延ライン制御システムおよび熱間圧延ライン制御方法
JP4696775B2 (ja) 板幅制御方法および装置
JP4772613B2 (ja) 品質解析方法、品質解析装置、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体
JP2020071493A (ja) 結果予測装置、結果予測方法、及びプログラム
JP2023038838A (ja) 品質予測装置、品質予測モデル生成装置、品質予測モデル生成方法及びプログラム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120809

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130709

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130730

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130821

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140128

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140210

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5488140

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees