JP2011221304A - 磁性キャリア及び二成分系現像剤 - Google Patents

磁性キャリア及び二成分系現像剤 Download PDF

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Abstract

【課題】長期に亘ってトナーに対して安定的に高い摩擦電荷を付与することができ、且つ、耐汚染性にも優れた磁性キャリアを提供すること。
【解決手段】磁性体コア粒子を樹脂で被覆した磁性キャリアにおいて、該樹脂が、特定のエステルユニット及び特定のカチオンユニットを有するアクリル系樹脂を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は電子写真法に用いられる現像剤に含有される磁性キャリア及び二成分系現像剤に関する。
二成分系現像剤に用いられる磁性キャリアとしては、非磁性トナーに対する摩擦帯電量の安定性や、キャリア自体の耐久性の向上のため、フェライト粒子や磁性体分散型樹脂コア表面に樹脂を被覆した被覆キャリアが用いられている。更なるトナーへの高摩擦帯電付与、摩擦帯電安定化を図るため、被覆樹脂へ荷電制御剤や荷電制御樹脂を添加した被覆キャリアが報告されている。例えば特許文献1や特許文献2には、4級アンモニウム塩基を有する共重合体を含有する表面層を備えたキャリアを用いることにより、トナーに対して優れた負摩擦帯電性を付与できることが開示されている。
特開2003−280286号公報 特開2008−111987号公報
しかし、本発明者等は検討により、上記特許文献に記載されるキャリアには高摩擦帯電付与能及び表面へのトナー付着による汚染のされ難さ(耐汚染性)において未だ改善の余地があるとの認識を得た。
本発明の目的は、長期に亘ってトナーに対して安定的に高い摩擦電荷を付与することができ、且つ、耐汚染性にも優れた磁性キャリアを提供することにある。また、本発明の他の目的は、長期の使用によっても帯電量が変化しにくい二成分系現像剤を提供することにある。
本発明に係る磁性キャリアは、磁性体コア粒子を樹脂で被覆した磁性キャリアにおいて、該樹脂が、式(1)で表されるエステルユニット及び式(2)で表されるカチオンユニットを有するアクリル系樹脂を含むことを特徴とする。
Figure 2011221304
(式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数8以上18以下のアルキル基を示す。)
Figure 2011221304
(式(2)中、R3は水素原子又はメチル基を示し、R4は炭素数1乃至4のアルキレン基を示す。R5、R6及びR7のうちの少なくとも一つ又は二つ以上は独立して炭素数4以上18以下のアルキル基を示し、残りは独立して炭素数1乃至3のアルキル基を示す。Xは−COO−、−CONH−、又はフェニレン基のいずれかを示し、A-はアニオンを示す。)
また、本発明に係る二成分系現像剤は、トナー粒子と上記磁性キャリアとを含有することを特徴とする。
本発明によれば、トナーに対して高い摩擦帯電を安定して付与することができる磁性キャリアが得られる。また、本発明によれば、長期に亘って使用した場合にも帯電量の変化しにくい二成分系現像剤を得ることができる。
本発明に係る磁性キャリアを使用した現像装置を示す模式図である。
[磁性キャリア]
[磁性体コア粒子]
本発明に係る磁性キャリアは、磁性体コア粒子を樹脂で被覆したものである。磁性体コア粒子は、フェライト粒子、マグネタイト粒子、磁性体分散型樹脂粒子等を使用することができる。フェライト粒子を構成するフェライトは酸化鉄を主成分とするセラミックスであり、強磁性を示すハードフェライトが多いが、軟磁性を示すソフトフェライトを用いることもできる。フェライトとしては、更に、リチウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ルビジウム、ストロンチウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、チタン等の元素を含んでいてもよい。これらのうち、銅、亜鉛、マンガン、カルシウム、リチウム又はマグネシウムから選ばれる一種又は二種以上の元素を含有していることが好ましい。具体的には以下のものを例示することができる。Ca−Mg−Fe系フェライト、Li−Fe系フェライト、Mn−Mg−Fe系フェライト、Ca−Be−Fe系フェライト、Mn−Mg−Sr−Fe系フェライト、Li−Mg−Fe系フェライト、Li−Rb−Fe系フェライト。
これらのフェライト粒子は、例えば以下の方法により調製することができる。所望の金属の酸化物、炭酸塩、硝酸塩を所望のフェライト組成となるように湿式あるいは乾式にて混合し、仮焼成後サブミクロンまで粉砕する。粉砕されたフェライトに、粒径を調整するための水を20質量%以上50質量%以下の範囲で加え、結着樹脂として、例えば、重量平均分子量500乃至10,000のポリビニルアルコールを0.1質量%以上10質量%以下の範囲で加えて、スラリーを調製する。このスラリーを、スプレードライヤー等を用いて造粒を行い、焼成して磁性体コア粒子を得ることができる。
また、マグネタイト粒子を構成するマグネタイトは磁鉄鉱(Fe34)であり、上記フェライトに含有されてもよい元素と同様の元素を含んでいてもよい。マグネタイト粒子は特に、磁性体コア粒子として好ましい。
磁性体分散型樹脂粒子としては、マグネタイト粒子やフェライト粒子等の磁性体粒子を含有し、これらを結着樹脂に分散させた粒子を挙げることができる。マグネタイト粒子やフェライト粒子としては、上記と同様の材質のものを用いることができる。その個数平均粒子径は、磁性体分散型樹脂粒子が好ましい磁気特性を得られる点や磁性体粒子の分散均一性の点から、0.02μm〜2μmであることが好ましい。また、磁性体粒子はキャリア全体に対して50〜99質量%含有されていることが、所望の磁気特性や抵抗値を得られる点で好ましい。結着樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン等のビニル系樹脂等を好ましい樹脂として挙げることができる。磁性体分散型樹脂粒子の調製方法としては、結着樹脂と、磁性体粒子とを混合する混合方法、磁性体粒子の存在下で、単量体の重合を行い、樹脂の硬化と同時に磁性体粒子が分散された樹脂粒子を得る重合方法等を挙げることができる。これらのうち、重合方法が特に、好ましい。混合方法としては、以下の手順による方法を例示することができる。ビニル系又は非ビニル系の熱可塑性樹脂、磁性体、その他、必要に応じて添加する添加剤を、混合機により十分に混合する。得られた混合物を、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等の混練機を用いて溶融・混練する。冷却された溶融・混練物を粉砕して、更に分級することにより、磁性体分散型樹脂粒子を得ることができる。得られた磁性体分散型樹脂粒子は、更に加熱又は機械的手段により球形化することもできる。
また、重合方法に用いる、磁性体粒子の存在下で重合され結着樹脂を形成する単量体としては、以下のものを挙げることができる。ビニル系モノマー、エポキシ樹脂を形成するビスフェノール類とエピクロルヒドリン;フェノール樹脂を形成するフェノール類とアルデヒド類;尿素樹脂を形成する尿素とアルデヒド類、メラミンとアルデヒド類。上記磁性体分散型樹脂粒子の結着樹脂としてフェノール樹脂を含む場合、単量体として用いるフェノール類及びアルデヒド類と磁性体粒子とを水性媒体に添加する。そして、水性媒体中、塩基性触媒の存在下に縮合反応を進行させ、磁性体分散型樹脂粒子を得ることができる。上記フェノール類としては、フェノール性水酸基を有する化合物であればよく、具体的には以下のものを挙げることができる。フェノール(ヒドロキシベンゼン)、m−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、o−プロピルフェノール、レゾルシノール、ビスフェノールA等のアルキルフェノール類。ベンゼン環等の芳香環の水素又はアルキル基の水素の一部若しくは全部が、塩素原子や臭素原子で置換されたハロゲン化フェノール類。上記フェノール類と縮合物を形成するアルデヒドとしては、ホルマリン又はパラアルデヒドのいずれかの形態のホルムアルデヒド、フルフラール等を挙げることができ、これらのうちホルムアルデヒドが好ましい。フェノール類に対するアルデヒド類のモル比は1以上4以下であることが好ましい。フェノール類に対するアルデヒド類のモル比が1以上であれば、縮合反応が効率よく進行し、フェノール樹脂粒子が生成され、生成する粒子の強度が低下するのを抑制することができる。一方、フェノール類に対するアルデヒド類のモル比が4以下であれば、反応後に未反応のアルデヒド類が残留するのを抑制することができる。これらの縮合反応は、塩基性触媒を用いて行うことができる。該塩基性触媒はレゾール型樹脂の製造に使用される触媒を使用することができ、例えば、アンモニア水、ヘキサメチレンテトラミン、ジメチルアミン、ジエチルトリアミン、ポリエチレンイミン等のアルキルアミンを挙げることができる。これら塩基性触媒の使用量は、フェノール類に対してモル比で、0.02以上0.3以下であることが、反応を速やかに進行させるために好ましい。
これらの磁性体コア粒子の粒子径としては、体積分布基準50%粒径(D50)が15μm以上70μm以下であることが好ましく、より好ましくは25μm以上50μm以下である。磁性体コア粒子の粒子径がこの範囲であれば、現像剤中でトナーに対する摩擦帯電を促進することができ、得られる画像の高画質化を図ることができる。磁性体コア粒子を上記粒径に調製する方法としては、例えば、篩による分級を挙げることができ、精度の向上を図るため、適当な目開きの篩を用いて複数回反復し分級することが好ましい。また、篩のメッシュの開口の形状をメッキ等によって制御して使用することも有効である。ここで、粒子の体積分布基準50%粒径(D50)は、以下の測定方法による測定値を採用することができる。レーザー回折・散乱方式の粒度分布測定装置「マイクロトラックMT3300EX」(商品名、日機装社製)に、乾式測定用の試料供給機「ワンショットドライ型サンプルコンディショナーTurbotrac」(商品名、日機装社製)を装着して行う。Turbotracの供給条件として、真空源として集塵機を用い、風量33リットル/秒、圧力17kPaとし、制御及び解析は、付属ソフト(バージョン10.3.3−202D)を用いて自動的に行い、体積分布基準の累積値50%粒径(D50)を求める。
[被覆]
上記磁性体コア粒子に被覆を形成する樹脂としては、式(1)で表されるエステルユニット及び式(2)で表されるカチオンユニットを有するアクリル系樹脂を含むことが好ましい。上記アクリル系樹脂に含まれる
Figure 2011221304
式(1)で表されるエステルユニット中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数8以上18以下のアルキル基を示す。R1が水素原子又はメチル基であることにより、磁性キャリアがトナーに対する好適な摩擦帯電を可能とする。R2を炭素数8以上の長鎖のアルキル基とすることにより、磁性キャリア表面に潤滑性を付与し、長期使用に伴う磁性キャリアへのトナーの融着を抑制することができる。また、R2を炭素数18以下のアルキル基とすることにより、磁性キャリアの耐熱性の低下や、磁性体コア粒子への被覆の密着性の低下を抑制することができる。上記エステルユニットにおいてR1がメチル基、R2が、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、又はテトラデシル基のいずれかであることが、トナーの摩擦帯電付与能の向上とトナーの付着を抑制させ得ることから、好ましい。
上記アクリル系樹脂に含まれる
Figure 2011221304
式(2)で表されるカチオンユニット中、R3は水素原子又はメチル基を示し、R4は炭素数1以上4以下のアルキレン基を示す。R5、R6及びR7のうち少なくとも一つ又は二つ以上は独立して炭素数4以上18以下のアルキル基を示し、残りは独立して炭素数1以上18以下のアルキル基を示す。Xは−COO−、−CONH−、フェニレン基のいずれかを示し、A-はアニオンを示す。
5、R6及びR7のうちの少なくとも一つ又は二つ以上を炭素数4以上の長鎖アルキル基とすることにより、式(1)で表されるエステルユニットと相俟って、式(2)で表されるカチオンユニットが磁性キャリアの被覆の表面側に偏在する。このため、磁性キャリアの被覆の表面においてエステルユニットの存在量が多くなることを抑制し、カチオン性の式(2)で表されるカチオンユニットが被覆の表面に存在し、磁性キャリアのトナーの摩擦帯電付与能を向上させることができる。R5、R6及びR7のうちの少なくとも一つが炭素数4以上の長鎖アルキル基であればよく、残りは独立して炭素数1乃至3のアルキル基であってよい。また、R5、R6及びR7の総てが炭素数4以上の長鎖アルキル基であってもよい。R5、R6及びR7のうちの炭素数4以上である長鎖アルキル基の炭素数の上限が18以下であれば、磁性キャリアの耐熱性の低下や磁性体コア粒子に対する被覆の密着性の低下が抑制され、長期使用に伴う磁性キャリアの劣化を抑制し、トナー融着を抑制できる。また、R3を水素原子又はメチル基、R4を炭素数1乃至4のアルキレン基とすることで、機械的強度を有しつつ、トナーに対して好適な摩擦帯電付与性を有するものとなる。更に、Xを、−COO−、−CONH−、フェニレン基のいずれかとすることにより、被覆の形成を容易にし安定した被覆を形成することができる。A-が示すアニオンとしては、特に制限はないが、ハロゲン類、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸等の無機酸類、カルボン酸、スルホン酸等の有機酸類におけるアニオンを挙げることができる。式(2)で表されるカチオンユニットとして、トナーの摩擦帯電付与能の向上とトナーによる汚染を抑制させ得ることから、以下の構造を有するものが特に好ましい。R3がメチル基、R4がメチレン基又はエチレン基、R5、R6及びR7の少なくとも一つがデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、又はテトラデシル基のいずれか、その他のR5、R6、R7が炭素数1乃至3のアルキル基。
上記アクリル系樹脂は、式(3)で示されるアクレート系モノマーと式(4)で示される第4級アンモニウム塩基を有するモノマーを共重合させることにより製造することができる。
Figure 2011221304
式(3)中、R1、R2は式(1)で表されるエステルユニットにおけるR1、R2と同じものを示す。
Figure 2011221304
式(4)中、R3〜R7、X、A-は式(2)で表されるカチオニュニットにおけるR3〜R7、X、A-と同じものを示す。
式(3)で示されるアクレート系モノマーと、式(4)で示される第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの重合方法としては、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等が挙げられるが、反応を容易に制御できる点から溶液重合法が好ましい。重合反応は、例えば、モノマー混合物を重合開始剤の存在下で不活性ガス雰囲気下、加熱することにより、行うことができる。重合開始剤としてはラジカル発生剤を使用することができ、具体的には以下のものを挙げることができる。t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミルパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド。t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)。2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。重合開始剤は、モノマー混合物に添加して重合反応を開始させることができるが、反応生成物中に未反応モノマーが残存するのを抑制するため、重合開始剤の一部を重合反応開始後の途中で添加してもよい。また、紫外線や電子線等の活性エネルギー線の照射によって重合を開始、促進させる方法も使用することが可能であり、これらの手法を組み合わせることもできる。重合開始剤の使用量は、未反応モノマーの残存を抑制し、適切な重合速度とするために、モノマー成分100質量部に対し0.1質量部以上15質量部以下とすることが好ましい。重合反応の温度としては、使用する溶媒、重合開始剤、モノマー成分の組成に応じて設定することができるが、40℃以上150℃以下で行うのが好ましい。
式(4)の第4級アンモニウム塩基を有するモノマーは、式(5)で表されるアミノ基含有モノマーを4級化剤により4級化して製造することができる。
Figure 2011221304
式(5)中、R3〜R6、Xは式(2)で表されるカチオンユニットにおけるR3〜R6、Xと同じものを示す。式(5)で表されるアミノ基含有モノマーの4級化剤として用い得る化合物としては、アルキルハライドや有機酸化合物を挙げることができる。アルキルハライドとしては、具体的には以下のものを挙げることができる。2−エチルヘキシルブロマイド、オクチルブロマイド、ラウリルブロマイド、ステアリルブロマイド、2エチルヘキシルクロライド、オクチルクロライド、ラウリルクロライド、ステアリルクロライド等。有機酸化合物としては、p−トルエンスルホン酸メチル、ジメチル硫酸、ヒドロキシナフタレンスルホン酸メチル等を例示することができる。アミノ基含有モノマーの4級化は、例えば、アミノ基含有モノマーと4級化剤とを、溶媒中60℃以上90℃以下に加熱することにより行うことができる。4級化剤の使用量は、式(5)のアミノ基含有モノマーを円滑に4級化し未反応の4級化剤を残存させないことから、アミノ基含有モノマー1モルに対して、0.8モル以上1.0モル以下であることが好ましい。
また、式(1)で表されるエステルユニット及び式(2)で表されるカチオンユニットを有するアクリル系樹脂は上記製造方法の他、以下の製造方法により製造することもできる。式(3)で表されるアクリレート系モノマーと式(5)で表されるアミノ基含有モノマーを共重合させた後に、4級化剤で4級化させることによって、所望の4級アンモニウム塩基含有アクリル共重合体を得ることも可能である。その他に、例えば、式(5)で表されるアミノ基含有モノマーをメチルクロライド等のアルキルハライドで4級化を行った後、式(3)で表されるアクリレート系モノマーと共重合させる。得られた第4級アンモニウム塩基含有アクリル共重合体を、p−トルエンスルホン酸、ヒドロキシナフタレンスルホン酸等の酸で処理して対イオン交換を行い、目的のアニオン種としてアクリル系樹脂とすることも可能である。
上記アクリル系樹脂中の各ユニットの重合比率としては、重合比率M=b/(a+b)が0.1以上0.9以下であることが好ましい。aはアクリル系樹脂中の式(1)で表されるエステルユニットのモル数、bはアクリル系樹脂中の式(2)で表されるカチオンユニットのモル数を示す。重合比率Mが0.1以上であれば、第4級アンモニウム塩基によるイオン導電性が高められ負帯電付与特性が向上され、トナーに対する帯電付与能を向上させることができ、Mが0.9以下であれば、エステルユニットによる潤滑性が良好に発揮される。
アクリル系樹脂は式(1)で表されるエステルユニット、式(2)で表されるカチオニュニット以外の他のユニットを含んでいてもよい。アクリル系樹脂中に含有される他のユニットの含有割合としては、アクリル系樹脂を構成する総ての単量体単位(mol)に対して30mol%以下であることが好ましい。他の単量体単位の含有率が30mol%以下であれば、式(1)で表されるエステルユニットや、式(2)で表されるカチオンユニットの機能を阻害するのを抑制することができる。
磁性体コア粒子に被覆を形成する被覆形成用樹脂中には、上記アクリル系樹脂の他、必要に応じて抵抗値を調整する導電剤や、各種添加剤を、上記アクリル系樹脂の機能を阻害しない範囲において含有させてもよい。導電剤としては、例えば、以下のものを用いることができる。アルミニウム、銅、ニッケル、銀等の金属微粒子、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化モリブデン、チタン酸カリウム等の導電性金属酸化物粉末、結晶性グラファイト、各種カーボンファイバー、導電性カーボンブラック。
上記磁性キャリアの製造方法としては、上記アクリル系樹脂を含む被覆形成用の樹脂を溶剤中に溶解又は懸濁させて調製した塗布液を磁性体コア粒子表面に付着する方法、磁性体コア粒子と被覆形成用樹脂の粉体とを混合する方法等を適用することができる。被覆形成用樹脂の使用量は、磁性体コア粒子100質量部に対し0.3質量部以上5.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上3.0質量部以下である。
上記磁性キャリアのトナーに対する摩擦帯電量としては、トナーによって異なるが、例えば、30mC/kg以上45mC/kg以下等を挙げることができ、長期使用に亘って、この摩擦帯電量を維持することができる。摩擦帯電量は、具体的には、以下の方法により求められる値を採用することができる。トナーの摩擦帯電量の測定装置として、吸引分離式帯電量測定器「セパソフトSTC−1−C1型」(商品名、三協パイオテク製)を用いる。サンプルフォルダー(ファラデーゲージ)底に目開き20μmのメッシュ(金網)を設置し、その上に、試料(現像剤)0.1gを入れフタをする。このときのサンプルフォルダー全体の質量をW1(g)とする。次にサンプルフォルダーを本体に設置し風量調節弁を調整して吸引圧力を2kPaとする。この状態で2分間吸引しトナーを吸引除去する。このときの電荷Q(μC)を測定する。また、吸引後のサンプルフォルダー全体の質量をW2(g)とする。試料の帯電量(mC/kg)を式(6)から算出する。電荷Qは、極性キャリアの電荷であり、トナーの電荷は、その逆極性となる。測定は、常温常湿環境下(温度23℃、湿度60%)で行い、試料の現像剤は、現像装置の現像剤担持体上からサンプリングすることができる。
帯電量(mC/kg)=Q/(W1−W2) (6)
また、上記磁性キャリアの磁気特定としては、キャリアの耐久性や搬送性の点から、1000/4π(kA/m)での磁化の強さが好ましく、より好ましくは20〜100(Am2/kg)、更に好ましくは30〜65(Am2/kg)である。磁性キャリアの磁気特性の測定は、振動磁場型磁気特性自動記録装置「BHV−30」(商品名、理研電子(株)製)を用いて測定する。測定条件としては、1000/4π(kA/m)の外部磁場を作り、そのときのキャリア粉体の磁化の強さを測定する。キャリア粉体を円筒状のプラスチック容器に内部で動かないように充分に密になるようにパッキングした状態の試料を作製し、この状態で磁化モーメントを測定し、試料の質量を測定して、磁化の強さ(Am2/kg)を求める。
[現像剤]
本発明の二成分系現像剤は、上記磁性キャリアとトナー粒子とを含有する。現像剤に使用するトナー粒子は、その一例として、着色剤、トナーの帯電を最適に制御するための荷電制御剤、これらを結着するための結着樹脂等を含有するものを用いることができる。上記結着樹脂としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等を用いることができ、これらは一種、又は二種以上を組み合わせて用いることも可能である。これらのうち、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。上記荷電制御剤としては、例えば、有機金属錯体、金属塩、キレート化合物で、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、ヒドロキシカルボン酸金属錯体、ポリカルボン酸金属錯体、ポリオール金属錯体等が挙げられる。その他には、カルボン酸の金属塩、カルボン酸無水物、エステル類等のカルボン酸誘導体や芳香族系化合物の縮合体も挙げられる。上記着色剤としては、顔料、染料を単独で、又は組み合わせて用いることができる。更に、トナー粒子は離型剤を含有していてもよい。離型剤として、以下のものを用いることができる。例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス。酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、これらのブロック共重合物。カルナバワックス、ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステルワックス等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、脱酸カルナバワックス等の脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したもの。その他、トナー粒子には、環境安定性、帯電安定性、現像性、流動性、保存性向上、クリーニング性向上のために、シリカ、酸化チタン、アルミナ等の無機微粉体を外添すること、すなわちトナー粒子表面近傍に存在させていることが好ましい。
トナー粒子の粒子径は、重量平均粒子径(D4)が3μm以上11μm以下であることが高画質及び耐久性を両立するために好ましい。重量平均粒子径(D4)が3μm以上であれば、トナー粒子の流動性の低下を抑制し、適切に摩擦帯電される結果、トナー粒子飛散が抑制される。また、重量平均粒子径(D4)が11μm以下であれば、画像の解像度が低下するのを抑制できる。トナー粒子の重量平均粒子径(D4)は以下の方法により得られる値を採用することができる。測定装置としては、「コールターマルチサイザーII」(商品名、べックマン・コールター社製)を用い、電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて調製した1%NaCl水溶液を用いる。測定方法としては、電解水溶液100ml中に分散剤として、アルキルベンゼンスルホン酸塩を、0.5ml加え、更に測定試料を10mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で1分間分散処理を行い、測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャー或いは30μmアパーチャーを用いて、測定試料の体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを得る。各チャンネルの中央値をチャンネル毎の重量値として、体積分布から重量基準の重量平均粒径(D4)を求める。
また、トナー粒子は球状であることが好ましく、具体的には、平均円形度が0.930以上であることが好ましい。トナー粒子の平均円形度が0.930以上であれば、トナー粒子と磁性キャリアの接触面積が過大となるのを抑制し、磁性キャリアからのトナー粒子離れが阻害されることにより生じるベタ画像部の後端における濃度の低下を抑制することができる。トナー粒子の平均円形度は以下の方法により得られた値を採用することができる。フロー式粒子像分析装置「FPIA−1000」(商品名、東亞医用電子製)を用いて測定を行う。界面活性剤を0.1mg溶解している水10mlに、分散液濃度が5000個/μl〜2万個/μlとなるように、試料を、例えば、5mg分散させて分散液を調製する。分散液に超音波(20kHz、50W)を5分間照射した後、この分散液を、上記装置のフラットで扁平なフローセル(厚み200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させる。試料の通過方向に対して垂直な方向に光路が形成されるCCDカメラ等の投受光装置により、粒子の2次元画像を得て、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。それぞれの粒子における2次元画像の投影面積及び投影像の周囲長から、式(7)により円形度(Ci)を求め、3μm未満の円形度を除き、3μm以上の円形度の粒子の算術平均として平均円形度(C)を得る。
円形度(Ci)=粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長/粒子の投影像の周囲長 (7)
平均円形度は粒子の凹凸度合いの指標であり、粒子が完全な球形の場合1.000を示し、粒子の表面形状が複雑になるほど平均円形度は小さな値となる。円形度3μm未満の粒子を平均円形度を求める粒子から除く理由は、トナー粒子とは独立して存在する外部添加剤の粒子が混在するため、外部添加剤の粒子を除き、トナー粒子の円形度を精度よく求めるためである。
上記トナー粒子の製造には、上記成分を混練・粉砕する方法や溶媒に溶解懸濁する方法、結着樹脂を構成するモノマーを、他の成分の存在下で、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法、界面重合法等により重合する方法等を用いることができる。特に、所望の摩擦帯電量に帯電されることを可能とし、且つ上記範囲の円形度を有するものとするためには、混練・粉砕法により得られたトナー粒子に特定の処理装置で表面改質を行い、円形度を調整する方法が好ましい。
上記現像剤において、トナー粒子と磁性キャリアの混合比率は磁性キャリア100質量部に対して、トナー粒子を2質量部以上35質量部以下とすることが好ましく、4質量部以上25質量部以下がより好ましく、更に5質量部以上20質量部以下が好ましい。トナー粒子の混合比率が2質量部以上であれば、画像濃度の低下を抑制することができ、35質量部以下であれば得られる画像におけるカブリの発生を抑制し、機内飛散を抑制することができる。
[現像装置]
上記二成分系現像剤を用いた現像装置の一例を図1に示す。この現像装置には、主として、現像容器5、静電潜像保持体である感光ドラム4に現像剤を搬送する現像剤担持体である非磁性の現像スリーブ1、現像スリーブ上に一定厚の現像剤膜を形成する現像剤層厚規制材であるブレード3が備えられる。現像容器5は、磁性キャリア10とトナー粒子7とを含有する二成分系の現像剤8を収納するトナー室12と、トナー室12の下方に配置される攪拌室9と、上方の2箇所に開口を有する隔壁13によって該攪拌室9と分離される現像室11とが備えられる。攪拌室9には現像剤を、攪拌しつつ隔壁に設けられる開口から現像室へ供給するための第一部材であるローラー14が設けられる。現像室11には、現像剤を攪拌、搬送するために相互に逆回転する第二部材のローラー15と、第三部材のローラー16とが設けられる。更に、現像室11の開口部に感光ドラム4に対向して設けられる現像スリーブは、略頂部の位置から矢印Aの方向に順にS1、N1、S2、N2、N3に着磁されている不動の磁性ローラー2に軸支される。このような現像装置において、攪拌室9にトナー室12から現像剤が供給され、更に、ローラー15の回転により隔壁13に設けられる一方の開口を通って現像室内から現像剤が供給される。ローラー14の回転によりこれらの現像剤は攪拌されつつ、隔壁13に設けられる他方の開口へ搬送され、現像室11へ供給される。そして、ローラー16の回転により現像スリーブ1へ供給された現像剤は、磁性ローラーの磁力の作用により磁気的に拘束され現像スリーブの回転に伴い、ブレード3により現像スリーブ上に一定厚を有する現像膜に形成される。更に現像スリーブの回転に伴い、現像剤は感光ドラムが対向配置される現像部Cに搬送され、感光ドラムの静電潜像上に移動し、静電潜像の現像が行われる。現像に消費されず現像スリーブ上に残余の現像剤は、現像スリーブの回転により現像室側に搬送され、現像室内の磁性ローラーの同極の磁力N2、N3の反発磁界により現像スリーブ上から剥ぎ取られ、除去されるようになっている。また、磁極N2により現像剤8が磁力線に沿って穂立ちしたときのトナー飛散を抑制するために、現像室5の下部には弾性シール部材6が固定、設置されている。
以下、本発明をより詳細に説明する。
[アクリル系樹脂液B−1の調製]
撹拌機、冷却器、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを付した4つ口セパラブルフラスコ内で、以下の材料を混合し、系が均一になるまで攪拌した。
・ジメチルアミノエチルメタクリレート(モノマーA−1)38.7質量部
・ラウリルブロマイド 61.3質量部
・イソプロピルアルコール 50質量部
撹拌を続けながら、70℃まで昇温した後5時間攪拌してモノマーA−1の4級化を行い、4級アンモニウム塩基含有モノマーである、(2−メタクリロイロキシエチル)ラウリルジメチルアンモニウムブロマイドを得た。得られた反応溶液を冷却した後、共重合成分としてドデシルメタクリレート(モノマーA−2)62.6質量部、溶媒としてイソプロピルアルコール50質量部、及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1.0部を仕込み、均一になるまで撹拌した。撹拌を続けながら、反応系内の温度が70℃になるまで昇温させ、滴下ロートに仕込んだ分を1時間かけて添加した。滴下終了後、窒素導入下還流状態で更に5時間反応させ、さらにAIBNを0.2部添加した後1時間反応させた。更に、この液をイソプロピルアルコールで希釈して固形分40%のアクリル系樹脂液B−1を得た。
アクリル系樹脂液のポリマー構造は、後述するようにこれを用いて被覆を形成して調製した磁性キャリアから、被覆を抽出し、熱分解GC/MS装置「Voyager」(商品名、サーモエレクトロン社製)により以下の条件下で測定した。結果を表2に示す。
熱分解温度:600℃、カラム:HP−1(15m×0.25mm×0.25μm)、Inlet:300℃、Split:20.0、注入量:1.2ml/min、昇温:50℃(4min)−300℃(20℃/min)
[アクリル系樹脂液B−2〜B−39、b−1〜b−14]
表1に記載する成分を用いたこと以外は、アクリル系樹脂液B−1と同様にアクリル系樹脂液B−2〜B−39、b−1〜b−14を調製した。アクリル系樹脂液B−13は、樹脂液生成後、イオン交換樹脂によりアニオンを臭素イオンからp−トルエンスルホン酸イオンへのイオン交換を行った。得られたアクリル樹脂液B−2〜B−39、b−1〜b−14の構造を表2に示す。
Figure 2011221304
Figure 2011221304
[磁性キャリアの調製]
水媒体中にフェノールとホルムアルデヒドとを同質量部混合分散した。その後、モノマー100質量部に対して、チタンカップリング剤で表面処理した0.25μmのマグネタイト粒子600質量部、0.6μmのヘマタイト粒子400質量部を均一に分散させた。そして、アンモニアを適宜添加しつつモノマーを重合させ、磁性体コア粒子A(体積平均粒径38μm、飽和磁化42Am2/kg)を得た。次に、アクリル系樹脂液B−1をイソプロピルアルコールにて固形分10%に調整した。この液を塗布機(スピラコーター:岡田精工社製)により、磁性体コア粒子A100質量部に対して、樹脂コート量が1.0質量部となるように塗布し、アクリル系樹脂の被覆を有する磁性キャリア1を得た。同様に、アクリル系樹脂液B−2〜B−39、b−1〜b−14についても、B−1と同様に磁性体コアAに塗布し、アクリル系樹脂の被覆を有する磁性キャリア2〜53を得た。
[トナー粒子の調製]
イオン交換水710質量部に、0.12mol/1−Na3PO4溶液450質量部を投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(商品名、特殊機化工業製)を用いて、11000rpmにて撹拌した。これに1.2mol/1−CaCl2水溶液70質量部を徐々に添加し、Ca3(PO42を含む水系媒体を得た。一方、
・スチレン 162質量部
・n−ブチルアクリレート 38質量部
・エステルワックスCH3(CH220COO(CH221CH3
(最大吸熱ピーク温度72℃、Mw650、Mn500) 20質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1質量部
・飽和ポリエステル(テレフタル酸−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA;酸価15、Mw23000、Mn3500) 10質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 12質量部
上記材料を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(商品名、特殊機化工業製)を用いて、10000rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、温度60℃で窒素雰囲気下において、TK式ホモミキサー(商品名、特殊機化工業製)にて11000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、温度80℃に昇温し、10時間反応させた。重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、塩酸を加えてCa3(PO42等を溶解した後、ろ過、水洗、乾燥をして、重量平均粒径7.1μm、平均円形度0.985のシアン粒子を得た。更に、
上記シアン粒子 100質量部
疎水化度65%酸化チタン粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径40nm)0.5質量部
疎水化度95%シリカ粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径30nm) 0.8質量部
をヘンシェルミキサーFM−75型(商品名、三井三池化工機(株)製)で混合して、重量平均粒径7.0μm、平均円形度0.985のシアントナー粒子T−1を得た。
[実施例1]
磁性キャリア92質量部に対して、シアントナー粒子T−1を8質量部加え、ターブラーミキサーにより2分間混合し、現像剤を調製し、これを用いて以下のように画像を形成し評価を行った。
[画像評価]
デジタル複合機「iRC4580」(商品名、キヤノン製)からシアンの現像器を取り外し、現像剤担持体にマグネットローラー及びフランジを装着して該シアン現像器に組み込み、得られた現像剤を充填した。現像スリーブと感光ドラムとの間の間隙を380μmとなるように間隙規制部材を変更した。この改造現像器をiRC4580のシアン現像器の位置に設置し直し、単色での画像形成を行った。現像条件としては、感光ドラム上の画像領域である暗部電位(Vd)を400V、非画像領域である明部電位(Vl)を120Vに設定した。現像スリーブには現像バイアスとして250Vの直流バイアスと、Vp−p(ピークトゥピークの電圧)1.8kV、周波数2.7kHzの矩形波からなる交流バイアスを重畳したものを用いて接触ジャンピング現像を行った。画像は高温高湿環境(温度32.5℃、湿度80%RH;H/H)で出力し、耐久試験前後の現像剤の摩擦帯電量、磁性キャリア表面のトナー汚染状態を評価した。
[現像剤の摩擦帯電量]
初期と連続複写10万枚後の現像スリーブ表面から現像剤をサンプリングし、初期の摩擦帯電量A(mC/kg)と、10万枚連続複写後の摩擦帯電量B(mC/kg)を測定した。10万枚連続複写後の帯電量低下率C=(A−B)/A(%)を算出した。結果を表3に示す。
[キャリア表面のトナー汚染状態]
10万枚連続複写後にサンプリングした現像剤からトナー粒子と磁性キャリアを分離し、磁性キャリアの表面をSEMで観察を行い、トナー粒子汚染の程度を下記の基準にて評価した。結果を表3に示す。
A:軽微な汚染しか観察されない。
B:やや汚染が観察される。
C:部分的に汚染が観察される。
D:著しい汚染が観察される。
[実施例2〜39、比較例1〜14]
磁性キャリア1に替えて磁性キャリア2〜53を用いたこと以外は実施例1と同様に現像剤を調製し、画像形成を行い、得られた画像について評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2011221304
結果から、磁性キャリア表面に、炭素数8〜18のエステルユニットと炭素数8〜18の長鎖アルキル基を有するカチオンユニットを有するアクリル系樹脂の被覆を導入したことで、トナー粒子の帯電付与能が上昇することが分かる。また、連続画像形成後においても、磁性キャリア表面のトナー粒子による汚染が少なく良好である。一方、4級アンモニウム塩基を含有するカチオンユニットを含有しない(比較例1〜3)か、カチオンユニットのアルキル基の炭素数が小さい(比較例4〜9、14)アルキル系樹脂の被覆を有する磁性キャリアは、トナー粒子の帯電付与能が低いことが分かる。エステルユニットの炭素数が小さいアルキル系樹脂の被覆を有する磁性キャリア(比較例4、7〜9、11)は、潤滑性が劣り連続画像形成後のトナーによる汚染、それに伴う帯電能の低下が発生する。また、カチオンユニットのアルキル基の炭素数が大きい(比較例11〜13)か、エステルユニットのアルキル基の炭素数が大きい(比較例6、10)アルキル系樹脂の被覆を有する磁性キャリアは、耐久性が劣り帯電付与能も低下することが分かる。
7 トナー粒子
8 現像剤
10 磁性キャリア

Claims (2)

  1. 磁性体コア粒子を樹脂で被覆した磁性キャリアにおいて、該樹脂が、式(1)で表されるエステルユニット及び式(2)で表されるカチオンユニットを有するアクリル系樹脂を含むことを特徴とする磁性キャリア。
    Figure 2011221304
    (式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数8以上18以下のアルキル基を示す。)
    Figure 2011221304
    (式(2)中、R3は水素原子又はメチル基を示し、R4は炭素数1乃至4のアルキレン基を示す。R5、R6及びR7のうちの少なくとも一つ又は二つ以上は独立して炭素数4以上18以下のアルキル基を示し、残りは独立して炭素数1乃至3のアルキル基を示す。Xは−COO−、−CONH−、又はフェニレン基のいずれかを示し、A-はアニオンを示す。)
  2. トナー粒子と請求項1に記載の磁性キャリアとを含有することを特徴とする二成分系現像剤。
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