JP2011219815A - 配管の熱処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】材料の強度特性を低下させることなく、短時間で効果的に、配管の内表面に圧縮残留応力場を形成させることができる熱処理方法を提供する。
【解決手段】配管の熱処理対象部を加熱した後、配管の内表面を冷媒で冷却する配管の熱処理方法において、加熱装置を用いて、目標温度に到達するように熱処理対象部を加熱する工程24と、熱処理対象部が目標温度に到達後、配管の内部に冷媒を流して配管の内表面を冷却する工程25と、配管の内表面の冷却時に、配管の外表面の温度変化から配管の外表面の冷却速度を求める工程26と、冷却速度が予め定めた所定の冷却速度よりも小さい場合には、目標温度または冷媒の流量のうち少なくともいずれか一方を変化させて、加熱する工程24と冷却する工程25を繰り返し、冷却速度が予め定めた所定の冷却速度以上になるように制御する工程27を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、配管の熱処理方法に関し、より詳細には、溶接または加工によって発生した配管の残留応力を改善する熱処理方法に関する。
溶接や加工といった熱履歴により、配管には引張り残留応力が発生する。この引張り残留応力は、疲労強度の低下や、応力腐食割れの発生と進展の一要因となる。この残留応力を開放または圧縮化して改善することにより、疲労や応力腐食割れによる配管の損傷を抑制することが可能である。
配管の溶接後または加工後の残留応力を改善する代表的な方法は、特許文献1〜3に挙げられている。これらの特許文献には、配管の外表面を所定の温度に加熱した後、配管内部に冷媒を通し、配管の板厚方向に温度差を発生させ、配管の内表面を引張り降伏、外表面を圧縮降伏させることにより、熱処理後には配管の内表面が圧縮応力、外表面が引張り応力になるような残留応力分布を配管の板厚方向に形成させる方法について記載されている。
配管における溶接後または加工後の引張り残留応力に対し、特許文献1には、板厚が薄い小径管に対して、配管の外表面を均一加熱した後、冷却材を内部に通水して板厚方向に温度差を発生させ、配管の内表面に圧縮の残留応力、外表面に引張りの残留応力を発生させる方法について記載されている。特許文献2には、対象とする材料の成分、熱処理の温度と時間、熱処理後の硬さ、および表面の清浄度について記載されている。また、特許文献3には、熱処理の温度、加熱の範囲、必要な板厚方向の温度差、熱処理時間、および工法について記載されている。
特開昭54−94415号公報 特許第4196755号公報 特開2005−320626号公報
上述したように、配管の疲労や応力腐食割れによる損傷を抑制するためには、溶接や加工により発生した引張り残留応力を圧縮化して改善する必要がある。このためには、配管を加熱する温度や冷却時の板厚方向の温度差を適切に規定し、目的とする圧縮残留応力場を配管の内表面に形成させることが必要である。
圧縮残留応力場を形成する基本的な駆動力は、配管の板厚方向の温度差(内表面と外表面の温度差)である。しかし、配管の内表面の温度は、配管が長い場合や閉ループの一部である場合は特に、測定するのが困難である。そこで、板厚方向の温度差を適切に管理することは、圧縮残留応力場を形成するうえでの課題となっている。
圧縮残留応力場を形成するために板厚方向の温度差と加熱による材料のクリープ変形を用いる従来の技術では、熱処理に30分以上の時間を要する。したがって、熱処理対象が多数ある場合には、熱処理に必要な時間が多くなり得る。
本発明の目的は、材料の強度特性を低下させることなく、短時間で効果的に、配管の内表面に圧縮残留応力場を形成させることができる熱処理方法を提供することである。
本発明は、基本的には以下のような特徴を有する。
配管の熱処理対象部を加熱した後、前記配管の内表面を冷媒で冷却する配管の熱処理方法において、加熱装置を用いて、目標温度に到達するように前記熱処理対象部を加熱する工程と、前記熱処理対象部が前記目標温度に到達後、前記配管の内部に冷媒を流して前記配管の内表面を冷却する工程と、前記配管の内表面の冷却時に、前記配管の外表面の温度変化から前記配管の外表面の冷却速度を求める工程と、前記冷却速度が予め定めた所定の冷却速度よりも小さい場合には、前記目標温度または前記冷媒の流量のうち少なくともいずれか一方を変化させて、前記加熱する工程と前記冷却する工程を繰り返し、前記冷却速度が予め定めた所定の冷却速度以上になるように制御する工程とを有する。
前記制御する工程では、前記目標温度または前記冷媒の流量のうち少なくともいずれか一方を増加させて、前記冷却速度が予め定めた所定の冷却速度以上になるように制御する。
本発明によれば、配管の溶接または加工によって発生する残留応力を効果的に圧縮残留応力に変えることができ、配管の疲労や応力腐食割れによる損傷を抑制することが可能である。
熱処理中における配管の外表面の温度、内表面の温度、および板厚方向の温度差の時間変化の一例を示す図。 熱処理中における配管の外表面の冷却速度の時間変化の一例を示す図。 本実施例における配管の熱処理方法のフロー図。 本実施例における熱処理方法を施す配管の模式図。 配管の板厚方向の温度差と外表面の冷却速度との関係を示す図。 熱処理後の配管での、内表面の残留応力分布の一例を示す図。
本発明による配管の熱処理方法は、配管の板厚方向の温度差を適切に管理することで、溶接または加工によって発生する残留応力を効果的に圧縮残留応力に変えるものである。配管の板厚方向の温度差とは、配管の外表面の温度と内表面の温度の差のことである。
具体的には、配管を所定の目標温度まで加熱する加熱処理と配管の内部に冷媒を流す冷却処理とにより、配管の板厚方向に残留応力を発生させるのに必要な温度差を保ちながら、材料の強度特性を変化させることなく、配管の内表面に圧縮残留応力場を形成させる。目標温度は、200〜400℃の範囲で設定するのが好ましい。
本発明では、目標温度に到達後、配管の内部に冷媒を流して配管を直ちに冷却するので、熱処理時間を大幅に短縮させることが可能である。
熱処理時の板厚方向の温度差は、配管の外表面の冷却速度と相関があるため、外表面の冷却速度を制御することにより、板厚方向の温度差を適切に管理することが可能である。残留応力の改善(圧縮化)に必要な板厚方向の温度差を確保可能な冷却速度は、配管の外径や板厚により異なる。例えば、外径が200mm以下で板厚が15mm以下の配管の場合には、外表面の冷却速度が20℃/秒以上であるのが好ましい。
本発明による配管の熱処理方法は、外径や板厚によらず任意の大きさの配管に適用できる。従来技術では、板厚が薄い配管に対して、板厚方向の温度差が十分にできなかったが、本発明は、板厚が15mm以下である薄い配管に対しても適用可能なのが特徴である。また、加熱効率の点からは、外径が200mm以下で板厚が15mm以下の大きさの配管に対して、特に効果がある。
配管の内部に流す冷媒としては、例えば、水や液体窒素を用いることができる。
また、配管の周方向の温度分布も、温度計測器を配管の外表面に1個または複数個配置し、配管の外表面の温度変化をモニタリングすることにより、管理することが可能である。
以下、本発明による配管の熱処理方法の実施例を説明する。以下の実施例では、配管は、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304系、SUS316系)製であり、外径が200mm以下で板厚が15mm以下の場合を例に挙げて説明する。通常、配管はオーステナイト系ステンレス鋼で製作されるので、以下の実施例では、オーステナイト系ステンレス鋼製の配管を用いた場合のみについて説明する。また、配管の内部に流す冷媒として、冷却水を用いる。
図1(A)は、実験用配管を用いて求めた、熱処理中における配管の外表面の温度10、内表面の温度11、および板厚方向の温度差15の時間変化の一例を示す図である。板厚方向の温度差15は、外表面の温度10から内表面の温度11を差し引いて求めた。
図1(B)は、図1(A)と同様に実験用配管を用いて求めた、熱処理中における配管の外表面の冷却速度16の時間変化の一例を示す図である。配管の外表面の冷却速度16は、各時間における、外表面の温度10の曲線の傾きから求めた。
図1(A)と図1(B)では、昇温時の温度履歴を省いている。昇温条件は、材料に熱的な衝撃や局所的な温度差を与えない昇温速度であれば、いかなる条件でもよい。本実施例では、ヒーターにより配管を目標温度まで加熱した。
配管を目標温度まで加熱した後、配管の温度の揺らぎがないのを確認してから、配管の内部に冷媒である冷却水を通水した。図1(A)に示すように、冷却水の通水までは、配管の外表面の温度10と内表面の温度11はほぼ重なっているが、冷却水を通水し始めた後では、両者に大きな差がみられる。すなわち、内表面の温度11は、通水直後から急激に低下し、目標温度から100℃付近まで数秒で下がった。一方、外表面の温度10は、通水直後に急激な低下がみられるものの、内表面の温度11と比較すると緩やかに下がり、100℃付近まで低下するのに約4倍の時間を要している。
配管の板厚方向の温度差15は、冷却水の通水初期に最大温度を示し、その後、外表面の温度10とほぼ同じ傾きで漸減する。
図1(B)に示すように、配管の外表面の温度10から求めた外表面の冷却速度16は、板厚方向の温度差15とほぼ同じ傾向で時間変化している。『機械工学便覧 材料力学 基礎編』日本機械学会(1994年)によると、内半径a、外半径bの中空円筒(配管)にΔTの温度勾配(温度差)が存在するときの内表面に発生する周方向の応力σθと軸方向の応力σは、以下の式(1)で求められる。
Figure 2011219815
ここで、αは線膨張率、Eは縦弾性係数、νはポアソン比であり、β1は以下の式(2)で表される。
Figure 2011219815
図1(A)の板厚方向の温度差15からわかるように、本実施例での熱処理により、板厚方向には約250℃の温度差ΔTが発生した。式(1)にこの温度差ΔTを当てはめると、この熱処理により、約500MPaの熱応力が発生したことになる。
この熱応力が配管の材料の降伏応力以上であり、溶接、加工などによる残留応力がこの熱応力よりも小さい場合、本熱処理により残留応力が再分布し、配管の内表面には圧縮残留応力が発生する。
一方、溶接、加工などによる残留応力がこの熱応力よりも大きい場合には、配管の板厚方向の温度差をより大きくして熱応力を大きくすると、本熱処理により残留応力が再分布し、配管の内表面に圧縮残留応力が発生する。板厚方向の温度差を大きくするには、加熱時の目標温度を高く設定し、加熱温度を高くする方法がある。配管の材料特性上、加熱温度を高くすることが困難な場合には、冷却水の温度を下げることも有効である。また、冷却水の流量を大きくすることも、配管の内表面をより早く冷却させ、板厚方向の温度差を大きくするのに有効である。
図2は、本実施例での配管の熱処理方法のフロー図である。図3は、熱処理方法を施す配管の模式図であり、配管の長さ方向の断面を示している。
図3において、熱処理対象の配管100の熱処理対象部101には、温度測定器35と加熱装置30と保温材(図示せず)が取り付けられる。加熱装置30としては、例えばヒーターを用いることができる。配管100の内部には、冷媒流れ方向31に沿って冷媒(本実施例では冷却水)を流す。
図2を用いて、本実施例での配管の熱処理方法について説明する。本熱処理方法は、熱処理対象部101の板厚を測定する工程21、熱処理対象部101に温度測定器35を取り付ける工程22、熱処理対象部101に加熱装置30と保温材を取り付ける工程23、熱処理対象部101を加熱する加熱工程24、配管100に冷媒を通水する冷却工程25、配管100の外表面の冷却速度を評価する工程26、および目標温度・冷媒流量を増加させる工程27から構成される。
板厚を測定する工程21では、熱処理対象の配管100の熱処理対象部101に対して、温度測定器35を取り付ける位置の板厚を測定する。温度測定器35を取り付ける位置で板厚を測定する理由は、配管100の外表面の冷却速度を評価する工程26において、板厚が異なると外表面の冷却速度も変化するためである。したがって、同一仕様の配管にも係わらず、板厚のばらつきが大きい場合には、予め板厚と外表面の冷却速度との補正係数を求めておく必要がある。一方、配管100の板厚が既知である場合には、この工程を省くことが可能である。
温度測定器35を取り付ける工程22において、温度測定器35は、熱処理対象部101に極力近い位置に取り付ける。
また、配管の周方向の温度分布を管理する場合には、周方向に最低1か所、好ましくは90°ピッチの等間隔で4か所に取り付ける。周方向に1か所だけ温度測定器35を取り付ける場合には、最も冷却され難い周方向位置、例えば、水平姿勢の直配管の場合には天位置に取り付けて、天位置の温度を測定する。また、2か所に温度測定器35を取り付けることが可能な場合には、最も冷却されやすい場所と冷却され難い場所の2か所に取り付けると、外表面の周方向の冷却速度にばらつきがないことを確認できる。例えば、水平姿勢の直配管の場合には、天位置と地位置の2か所に取り付ける。3か所以上に温度測定器35を取り付けることが可能な場合には、冷却され難い位置を基準にして、周方向に等間隔で取り付ける。例えば、4か所に温度測定器35を取り付けることが可能な場合には、天位置を基準として90°ピッチで取り付ける。
加熱装置30と保温材を取り付ける工程23において、加熱装置30と保温材は、熱処理対象部101を覆うように固定する。加熱装置30の加熱範囲は、少なくとも配管100の径方向の断面全体を含む範囲である。
加熱工程24では、熱処理対象部101を加熱し、目標温度にまで昇温する。目標温度は、200〜400℃の範囲で目的に応じて設定することができる。例えば、300℃で使用される配管の場合は、目標温度を300℃以下にすることにより、配管100の材料に熱処理の影響を与えないことが可能になる。また、熱処理対象部101の残留応力が大きい場合には、前述したように式(1)から、より高い目標温度(加熱温度)を設定する。
ただし、400℃以上では析出物や相分離などにより配管100の材料特性が変化する場合があるので、最大熱処理温度を400℃以下とする。また、目標温度が200℃より低いと、板厚方向の温度差が不十分であり、残留応力の改善(圧縮化)に必要な熱応力を確保することが困難である。したがって、目標温度は、200℃〜400℃に設定する。
冷却工程25では、熱処理対象部101が目標温度に到達したら、配管100を冷却するのに必要な流量の冷媒(冷却水)を配管100の内部に流す。好ましくは、径および熱処理対象部101の姿勢に合わせて、周方向に温度分布を持つことなく冷却できる流量の冷媒を配管100に流す。例えば、配管100の内部が冷媒で十分に満たされるような流量条件で、配管100に冷媒を供給する。
外表面の冷却速度を評価する工程26では、冷却時の配管100の外表面の温度を温度測定器35により常時モニタし、冷却速度が予め定めた所定の値以上であるかどうか判定する。なお、本実施例では、この所定の値を20℃/秒としている。この判定により、配管100の板厚方向に目的とする温度差を達成できたかどうかを判断する。冷却速度が予め定めた所定の値より小さい場合は、目標温度・冷媒流量を増加させる工程27に進む。外表面の冷却速度を評価する工程26については、後で詳細を述べる。
目標温度・冷媒流量を増加させる工程27では、配管100を加熱する目標温度と配管100の内部に流す冷媒の流量のいずれか一方または両方を増加させる。目標温度と冷媒の流量のうち一方を増加させる場合には、どちらを増加させるかは任意に選択することができる。例えば、配管100を加熱している温度が目標温度の上限に近い温度である場合、これ以上目標温度を上げて加熱することはできないので、冷媒の流量を増加させる。
目標温度・冷媒流量を増加させる工程27で目標温度と冷媒の流量の一方(または両方)を増加させたら、加熱工程24と冷却工程25を繰り返し、外表面の冷却速度を評価する工程26で冷却速度が予め定めた所定の値以上になっているかどうか判定する。このように、外表面の冷却速度を評価する工程26で冷却速度が予め定めた所定の値以上になるまで、加熱工程24、冷却工程25、および目標温度・冷媒流量を増加させる工程27を繰り返すことにより、冷却速度が予め定めた所定の値以上となるように制御することができる。
ここで、外表面の冷却速度を評価する工程26について説明する。冷却工程25において熱処理対象部101に目的とする温度差を達成できたかどうかを判断するために、外表面の冷却速度を評価する工程26では、温度測定器35を用いて外表面の温度変化を常時計測し、この温度変化から配管100の外表面の冷却速度を評価する。
式(1)より、熱応力を求めるためには板厚方向の温度差ΔTが必要である。熱処理前に、配管100の内表面で熱処理対象部101の近傍に温度測定器35を取り付けることが可能であれば、配管100の外表面と内表面の温度を測定でき、板厚方向の温度差を直接求めることが可能である。しかし、実際に配管が施工される施設では、熱処理前に、配管100の内表面に温度測定器35を取り付けておくのは、概して作業上困難である。
そこで、熱処理による残留応力の改善(圧縮化)の効果を管理するには、配管100の板厚方向の温度差に代わるパラメータが必要である。図1より、板厚方向の温度差15は、外表面の温度10や外表面の冷却速度16と同じ傾向で時間変化していることがわかる。
図4は、配管の板厚方向の温度差と外表面の冷却速度との関係を示す図である。図4からわかるように、外表面の冷却速度を横軸にして板厚方向の温度差を縦軸にプロットすると、両者には良い相関がみられる。このことから、配管100の外表面の冷却速度から板厚方向の温度差を評価することが可能である。
したがって、図2の外表面の冷却速度を評価する工程26では、配管100の外表面の冷却速度が予め定めた所定の値以上であるかどうかを評価し、冷却速度がこの所定の値以上であれば、配管100の板厚方向に目的とする温度差を達成できたと判断し、施工完了とする。
例えば、本実施例で例示している、オーステナイト系ステンレス鋼製で、外径が200mm以下で板厚が15mm以下の配管について考える。オーステナイト系ステンレス鋼の降伏応力は約200MPaであるので、この応力を超える熱応力を発現させるために必要な板厚方向の温度差は、式(1)より約100℃である。板厚方向の温度差が100℃の時の外表面の冷却速度は、図4のグラフを外挿した結果から尤度を考慮して求めると、20℃/秒である。したがって、外表面の冷却速度が20℃/秒以上であれば、配管の残留応力を改善(圧縮化)することが可能になる。そこで、外表面の冷却速度を評価する所定の値を20℃/秒として、予め定める。
したがって、図2の外表面の冷却速度を評価する工程26では、本実施例の場合には、配管の外表面の冷却速度が20℃/秒以上であるかどうかを評価し、20℃/秒以上であれば、施工完了とする。
図5は、50A sch80の配管に対して本熱処理方法を施した場合の結果の一例を示す図であり、内表面の残留応力分布を示している。残留応力は、ひずみ解放法で測定した。図5には、本熱処理方法の施工前と施工後の残留応力を示している。施工前は、内表面の残留応力はプラスであり、引張り応力であったが、施工後は、残留応力はマイナスであり、圧縮応力になっていることがわかる。このことから、本熱処理方法により、配管の内表面に圧縮残留応力場を形成できることが確認できる。
10…外表面の温度、11…内表面の温度、15…板厚方向の温度差、16…外表面の冷却速度、21…板厚を測定する工程、22…温度測定器を取り付ける工程、23…加熱装置と保温材を取り付ける工程、24…加熱工程、25…冷却工程、26…外表面の冷却速度を評価する工程、27…目標温度・冷媒流量を増加させる工程、30…加熱装置、31…冷媒流れ方向、35…温度測定器、100…配管、101…熱処理対象部。

Claims (5)

  1. 配管の熱処理対象部を加熱した後、前記配管の内表面を冷媒で冷却する配管の熱処理方法において、
    加熱装置を用いて、目標温度に到達するように前記熱処理対象部を加熱する工程と、
    前記熱処理対象部が前記目標温度に到達後、前記配管の内部に冷媒を流して前記配管の内表面を冷却する工程と、
    前記配管の内表面の冷却時に、前記配管の外表面の温度変化から前記配管の外表面の冷却速度を求める工程と、
    前記冷却速度が予め定めた所定の冷却速度よりも小さい場合には、前記目標温度または前記冷媒の流量のうち少なくともいずれか一方を変化させて、前記加熱する工程と前記冷却する工程を繰り返し、前記冷却速度が予め定めた所定の冷却速度以上になるように制御する工程と、
    を有することを特徴とする配管の熱処理方法。
  2. 請求項1記載の配管の熱処理方法において、
    前記制御する工程では、前記目標温度または前記冷媒の流量のうち少なくともいずれか一方を増加させて、前記冷却速度が予め定めた所定の冷却速度以上になるように制御する配管の熱処理方法。
  3. 請求項1または2記載の配管の熱処理方法において、前記配管は、外径が200mm以下で板厚が15mm以下である配管の熱処理方法。
  4. 請求項3記載の配管の熱処理方法において、前記所定の冷却速度は、20℃/秒である配管の熱処理方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の配管の熱処理方法において、前記目標温度は、200〜400℃である配管の熱処理方法。
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