JP5672818B2 - 高周波誘導加熱残留応力改善法 - Google Patents

高周波誘導加熱残留応力改善法 Download PDF

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Description

本発明は、オーステナイト系ステンレス鋼製配管の溶接継手部の内面の残留応力を改善する、高周波誘導加熱残留応力改善法に関する。
原子力プラントにおける配管は、オーステナイト系ステンレス鋼にて構成されている。オーステナイト系ステンレス鋼の配管継手部の溶接においては、継手部内面に残留引張応力が残り、応力腐食割れ(Stress Corrosion Cracking:以下、SCCと称する)が発生することがある。
そこで、原子力プラントにおいては、SCCを防止するために、高周波誘導加熱残留応力改善法(Induction Heating Stress Improvement:IHSI)が行われている。この高周波誘導加熱残留応力改善法は、配管の溶接継手部の内面に生じた残留引張応力を除去するために、溶接継手部外周に高周波誘導コイルを配置し、配管内に冷却水を流しながら、高周波誘導コイルに高周波電流を流して溶接継手部及びその近傍を加熱し、応力改善に必要な内外面温度差を発生させた後、溶接継手部を常温に戻すことにより、配管内面の残留引張応力を低減する工法である。
この高周波誘導加熱残留応力改善法では、非特許文献1に示されているように、溶接中心から軸方向に10mmの位置で、残留引張応力が100MPa以下になるように改善することが要求されている。
この要求を満たすためには、配置する高周波誘導コイルのコイル幅をL(mm)とし、配管の内外面温度差ΔTとすると、以下の式(1)、式(2)の条件を満たせばよいことが非特許文献1に規定されている。
ΔT=4(1−ν)σy /Eα ……式(1)
ν;ポアソン比
E;縦弾性係数(kg/mm
α;線膨張係数(mm/mm℃)
σy;材料の降伏点強さ(材料の降伏点応力)(kg/mm
(継手双方の材料の大きい方の値)
L=2.7√(RT) ……式(2)
R:配管の公称厚さ中心における曲率半径(mm)
t:配管の厚さ(mm)
また、従来、配管に用いられていたオーステナイト系ステンレス鋼は、例えばSUS304であり、その鋭敏化を防止するためには最高加熱温度を一律550℃以下にすることが決められている。なお、低炭素オーステナイト系ステンレス鋼(C%≦0.020)及び溶接部(C%≦0.030)では、最高加熱温度は650℃以下まで許容される。
従来の高周波誘導加熱残留応力改善法においては、溶接中心から軸方向に10mmの位置の残留応力が100MPa以下であればよいとされていた。しかし、この値では、溶接継手部に引張応力が残存するため、その位置では問題が発生しないものの、実際には、溶接材部(デポ部)と母材部との境界に引張応力が作用し、これと配管溶接部近傍の内面加工層の存在することも関連して、SCCが発生する可能性は否定できないとの意見もあった。なお、出願人としては当該母材の耐力以下の引張応力であれば、SCCは発生せず、従来のIHSIでもSCCに対する予防保全上、問題はないとの認識である。
しかしながら、業界の要望も有り、デポ部と母材部との境界に残る残留応力に着目し、その境界での残留応力が、少なくとも引張応力ではなく圧縮応力となる、すなわちデポ部と母材の境界での残留応力を0MPa以下とすることができる高周波誘導加熱残留応力改善法及び高周波誘導コイルが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
特開2005−226112号公報 特開2006−82116号公報 特開2006−83438号公報
予防保全工法ガイドライン[外面からの入熱による応力改善方法]、有限責任中間法人 日本原子力技術協会、 添付1 予防保全工法ガイドライン[高周波誘導加熱応力改善工法] p.1-10
ところで、このような高周波誘導加熱残留応力改善法は、従来ではき裂等の欠陥がある配管の溶接継手部に対しては適用することができなかった。したがって、例えばき裂がある配管については、その溶接継手部をそのまま使用することができず、取り替える必要があるため、原子力プラントでは配管のコストが非常に高くなり、また、プラントが長期間停止することで安定的な運転に支障を来すおそれがある。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、き裂がある配管の溶接継手部についても高周波誘導加熱残留応力改善法を適用するべく、この高周波誘導加熱残留応力改善法が適用可能なき裂の寸法等を明確にした、高周波誘導加熱残留応力改善法を提供することにある。
本発明の第1の高周波誘導加熱残留応力改善法は、オーステナイト系ステンレス鋼製配管の、ティグ溶接(GTAW)によって形成された溶接継手部の内面の残留応力を改善すべく、該溶接継手部の外周に、該溶接継手部を中心にして高周波誘導コイルを所定幅で配置し、かつ前記配管内に冷却水を流しながら前記高周波誘導コイルに高周波電流を流して前記溶接継手部を加熱する高周波誘導加熱残留応力改善法であって、
前記配管の内面にき裂があるか否かを超音波探傷試験で調べ、前記超音波探傷試験によって前記配管の内面にき裂があり、該き裂の深さが、前記配管の厚さをtとするとこの厚さtの3/8倍以下であり、かつ、該き裂の長さが前記配管の全周の長さ以下であることが確認された場合に、実施することを特徴としている。
本発明の第2の高周波誘導加熱残留応力改善法は、オーステナイト系ステンレス鋼製配管の、サブマージ溶接(SAW)又は被覆アーク溶接(SMAW)によって形成された溶接継手部の内面の残留応力を改善すべく、該溶接継手部の外周に、該溶接継手部を中心にして高周波誘導コイルを所定幅で配置し、かつ前記配管内に冷却水を流しながら前記高周波誘導コイルに高周波電流を流して前記溶接継手部を加熱する高周波誘導加熱残留応力改善法であって、
前記配管の外径が300Aを超え600A以下である場合に、
前記配管の内面にき裂があるか否かを超音波探傷試験で調べ、前記超音波探傷試験によって該配管の内面にき裂があり、該き裂の深さが、前記配管の厚さをtとするとこの厚さtの0.1179倍以下であり、かつ、該き裂の長さが前記配管の全周の長さ以下であることが確認された場合に、前記溶接継手部を加熱する際の最高加熱温度を650℃以下として、実施することを特徴としている。
本発明の第3の高周波誘導加熱残留応力改善法は、オーステナイト系ステンレス鋼製配管の、サブマージ溶接(SAW)又は被覆アーク溶接(SMAW)によって形成された溶接継手部の内面の残留応力を改善すべく、該溶接継手部の外周に、該溶接継手部を中心にして高周波誘導コイルを所定幅で配置し、かつ前記配管内に冷却水を流しながら前記高周波誘導コイルに高周波電流を流して前記溶接継手部を加熱する高周波誘導加熱残留応力改善法であって、
前記配管の外径が300Aを超え600A以下である場合に、
前記配管の内面にき裂があるか否かを超音波探傷試験で調べ、前記超音波探傷試験によって該配管の内面にき裂があり、該き裂の深さが、前記配管の厚さをtとするとこの厚さtの0.1590倍以下であり、かつ、該き裂の長さが前記配管の全周の長さ以下であることが確認された場合に、前記配管の内外面温度差をΔTとし、
ΔT=BΔTreq
(ただし、ΔTreq =4(1−ν)σy /Eα
ν;ポアソン比
E;縦弾性係数(MPa)
α;線膨張係数(mm/mm℃)
σy;材料の降伏点応力(MPa) とする)
としたとき、前記Bが1.4以下となるようにして、実施することを特徴としている。
本発明の第4の高周波誘導加熱残留応力改善法は、オーステナイト系ステンレス鋼製配管の、サブマージ溶接(SAW)又は被覆アーク溶接(SMAW)によって形成された溶接継手部の内面の残留応力を改善すべく、該溶接継手部の外周に、該溶接継手部を中心にして高周波誘導コイルを所定幅で配置し、かつ前記配管内に冷却水を流しながら前記高周波誘導コイルに高周波電流を流して前記溶接継手部を加熱する高周波誘導加熱残留応力改善法であって、
前記配管の外径が250A以上300A以下である場合に、
前記配管の内面にき裂があるか否かを超音波探傷試験で調べ、前記超音波探傷試験によって該配管の内面にき裂があり、該き裂の深さが、前記配管の厚さをtとするとこの厚さtの0.2100倍以下であり、かつ、該き裂の長さが前記配管の全周の長さ以下であることが確認された場合に、前記溶接継手部を加熱する際の最高加熱温度を650℃以下として、実施することを特徴としている。
本発明の第5の高周波誘導加熱残留応力改善法は、オーステナイト系ステンレス鋼製配管の、サブマージ溶接(SAW)又は被覆アーク溶接(SMAW)によって形成された溶接継手部の内面の残留応力を改善すべく、該溶接継手部の外周に、該溶接継手部を中心にして高周波誘導コイルを所定幅で配置し、かつ前記配管内に冷却水を流しながら前記高周波誘導コイルに高周波電流を流して前記溶接継手部を加熱する高周波誘導加熱残留応力改善法であって、
前記配管の外径が250A以上300A以下である場合に、
前記配管の内面にき裂があるか否かを超音波探傷試験で調べ、前記超音波探傷試験によって該配管の内面にき裂があり、該き裂の深さが、前記配管の厚さをtとするとこの厚さtの0.2738倍以下であり、かつ、該き裂の長さが前記配管の全周の長さ以下であることが確認された場合に、前記配管の内外面温度差をΔTとし、
ΔT=BΔTreq
(ただし、ΔTreq =4(1−ν)σy /Eα
ν;ポアソン比
E;縦弾性係数(MPa)
α;線膨張係数(mm/mm℃)
σy;材料の降伏点応力(MPa) とする)
としたとき、前記Bが1.4以下となるようにして、実施することを特徴としている。
本発明の高周波誘導加熱残留応力改善法によれば、この高周波誘導加熱残留応力改善法が適用可能なき裂の寸法等を明確にしているので、この高周波誘導加熱残留応力改善法をき裂がある配管の溶接継手部にも十分に適用することが可能になる。よって、従来では使用できずに取り替えていた配管の溶接継手部をそのまま有効利用することが可能になり、したがって、配管のコストの低減化を図り、さらに、プラントを長期間停止させることなく、その安定的な運転を可能にすることができる。
(a)は本発明に係る高周波誘導加熱残留応力改善法を説明するための、配管及び高周波誘導コイルの一部破断図、(b)は高周波誘導コイルの具体的構成を示す模式図である。 (a)はき裂の深さを説明するための模式図、(b)はき裂の長さを説明するための模式図である。 (a)はIHSI施工後の試験体の、断面観察を行った結果を示す図、(b)は(a)の要部拡大図である。 (a)は再MgCl浸漬後の試験体について断面観察を行った結果を示す図、(b)は(a)の要部拡大図、(c)は(a)の別の箇所の要部拡大図である。
以下、本発明の高周波誘導加熱残留応力改善法について詳しく説明する。
高周波誘導加熱残留応力改善法(IHSI)は、既設原子力発電所のオーステナイト系ステンレス鋼製配管のSCC対策工法の一つとして開発された手法であり、溶接線近傍内面熱影響部における残留引張応力を改善する工法である。
高周波誘導加熱残留応力改善法は、図1(a)に示すように配管(オーステナイト系ステンレス鋼製配管)1の溶接継手部2の外周に、該溶接継手部2を中心にして高周波誘導コイル3を所定幅で配置し、かつ前記配管1内に冷却水を流しながら高周波誘導コイル3に高周波加熱電源4から高周波電流を流して前記溶接継手部2を加熱し、配管1の厚さ方向に大きな温度差を発生させる。なお、溶接継手部の形成には、ティグ(TIG)溶接やサブマージ溶接(SAW)、被覆アーク溶接(SMAW)が採用される。
このとき、配管1の加熱部の外面5では圧縮の降伏が生じ、内面6では引張りの降伏が生じる。なお、図1(a)中において符号7は溶接材部(デポ部)、8は母材部である。
ここで、図1(a)では、高周波誘導コイル3を一体的な模式図で示したが、実際には、例えば図1(b)に示すように、導線10を複数周巻き付けて構成されている。
次に、加熱を停止すると、配管1の内外面6、5の温度差はなくなり、配管1の外面5の圧縮降伏した所では引張りの残留応力が生じ、配管1の内面6の引張降伏した所では圧縮の残留応力が生じる。
高周波誘導加熱残留応力改善法は、前述の原理を溶接継手部2に適用して、配管1の内面の残留引張応力を軽減あるいは圧縮側にするものである。
このような高周波誘導加熱残留応力改善法は、前述したように従来ではき裂(欠陥)がある配管の溶接継手部に対しては適用することができなかった。すなわち、高周波誘導加熱残留応力改善法を施工する前に例えば超音波探傷試験を行い、その結果、溶接継手部の母材(配管)に欠陥(き裂)の存在が確認された場合には、高周波誘導加熱残留応力改善法の施工を実施しないのが原則であった。
ところが、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、内面にき裂がある配管(オーステナイト系ステンレス鋼製配管)に対しても、高周波誘導加熱残留応力改善法が有効であるとの知見を得た。そこで、後述するように高周波誘導加熱残留応力改善法が適用可能なき裂の寸法等を明確にし、本発明を完成させた。
すなわち、内面にき裂が存在する配管の溶接継手部について、財団法人発電設備技術検査協会に委託して確性試験を行った結果に基づき、高周波誘導加熱残留応力改善法(IHSI)が適用可能なき裂の寸法等を、後述するように規定した。
ここで、前記確性試験を行う前に、従来のIHSI(き裂が無い配管に対するIHSI)において超音波探傷試験の検出限界以下の微小インディケーションが存在する場合を想定して、すなわち超音波探傷試験では検出できないようなき裂が存在している場合を仮定して、特に以下の4点を主な確認項目とした検証(確性試験)を行っている。その結果を以下に記す。なお、各確認項目における判定基準を、各確認項目毎に併記する。
(1)IHSIがき裂に対して悪影響を及ぼさないこと。
[判定基準]微小インディケーションを付与した配管において、IHSIを施工中に、微小インディケーションが有意に進展していないことを、解析にて検証する。
(2)IHSIが溶接継手部の機械的性質に悪影響を及ぼさないこと。
[判定基準]溶接継手部の機械的性質として、継手引張試験、継手側曲試験、継手表曲試験を実施し、IHSI前後で有意な差が無いことを確認する。
(3)き裂先端部での応力が低減され、き裂の進展性が低減されること。
[判定基準]欠陥を付与した配管にIHSIを施工し、施工後MgCl浸漬により、欠陥の先端部からSCCによるき裂の新たな進展、発生がないことを目視により確認する。IHSI施工後のMgCl浸漬前後での超音波探傷試験サイジング(き裂深さの計測)、内面目視確認も実施する。なお、配管内表面は目視可能であるものの、き裂の先端部は目視できない(見えない)ため、そこは非破壊検査である超音波探傷試験で確認する。
また、IHSI未施工試験体では、MgCl浸漬後に割れたりき裂が進展するため、IHSI施工試験体では、「新たに割れない」、「進展しない」という事象が確認されれば、応力が改善(応力低減、進展性低減)されていると判定する。
(4)新たなき裂の発生が抑制されること。
[判定基準]欠陥を付与した配管にIHSIを施工し、施工後MgCl浸漬により、微小インディケーション近傍からSCCによるき裂の新たな進展、発生がないことを目視により確認する。
このような検証(確性試験)より、その対象とする欠陥が超音波探傷試験の検出限界以下の微小インディケーションではあるものの、有限寸法の欠陥を付与した溶接継手部に対するIHSI施工により、以下の項目が確認されている。すなわち、有限寸法の比較的浅い欠陥が存在する溶接継手部にIHSIを施工することで、
(ア)き裂に対して悪影響を及ぼさないこと。
(イ)溶接継手部の機械的性質に悪影響を及ぼさないこと。
(ウ)き裂先端部での応力が低減され、き裂の進展性が抑制されること。
(エ)新たなき裂の発生が抑制されること。
がそれぞれ確認されている。
このような従来のIHSIに基づく検証(確性試験)を踏まえ、前記した財団法人発電設備技術検査協会への委託による確性試験では、特に以下の(5)〜(8)に示す4点を主な確認項目とした。
なお、以下に示すき裂の深さは、図2(a)に示すように配管1の内面側に形成されたき裂Cの、配管1の内面6から先端までの長さ(深さ)dをいう。また、き裂Cの長さは、図2(b)に示すように配管1の内面6の、周方向における長さ(円弧の長さ)Lをいい、配管1の中心(中心軸)に対する周方向での角度で示すこともある。
確認事項(5)〜(8)と、確認を行うための確性試験の内容、及び確性試験によって得られた結果に基づく評価を以下に示す。
(5)IHSIがき裂に対して悪影響を及ぼさないこと
[確性試験の内容]
欠陥を有する配管にIHSIを施工することで、欠陥がIHSI加熱中に有意に進展しないこと、材料の機械的性質に悪影響が生じていないことを、以下のようにして確認した。
放電加工によるき裂(EDMノッチ)を形成し、その先端に疲労き裂を付与することで、き裂深さが3t/8[mm](ただし、tは配管[母材]の厚さとし、18mm〜48mmとする。)であり、き裂長さが90°範囲程度のき裂を形成した試験体を作製した。この試験体に対し、最高加熱温度として650℃を超える温度でのIHSIを3回施工した。
そして、得られたIHSI施工後の試験体の、断面観察を行った。
また、断面の硬さを、ビッカース硬さ試験で計測した。
[評価]
図3(a)の試験体の断面写真(断面図)、及び(a)の要部拡大写真である(b)の断面写真(要部拡大断面図)に示すように、き裂先端の延性破壊は観察されず、したがって疲労き裂先端での延性破壊兆候は確認されなかった。
また、ビッカース硬さ試験結果より、き裂先端部での極端な硬さの上昇も確認されなかった。
したがって、IHSIは、き裂及び継手に悪影響を及ぼさないことが、試験的に確認された。
また、有限要素法(FEM)による解析によっても、溶接部、熱影響部及び母材については、き裂深さが3t/8、き裂長さが母材(配管)の全周であるき裂が存在していても、材料の破壊靱性値(JIC値)を超えないことが確認された。
(6)き裂先端部での応力が改善(低減)され、き裂の進展性が抑制されること
[確性試験の内容]
MgCl浸漬によりSCCを模擬した深いき裂を強制的に付与し、IHSI施工した試験体に対して再度MgCl浸漬を行い、き裂が有意に進展しないことを、以下のようにして確認した。
MgCl浸漬によりSCCを模擬した深さ3t/8のき裂を試験体に強制的に付与し、さらにこの試験体に対してIHSIを施工した後、再度、MgCl浸漬を行った。なお、IHSIについては、ΔTreqの約1.5倍の温度差でのIHSIを1回施工した。
そして、得られた再MgCl浸漬後の試験体について、断面観察を行った。
また、再度MgCl浸漬を行う前と行った後の、超音波探傷試験サイジング(き裂深さの計測)を行った。
[評価]
再度MgCl浸漬を行う前と行った後の、超音波探傷試験サイジングの結果より、再度MgCl浸漬を行う前と行った後では、き裂深さに有意な差は確認できなかった。
また、再MgCl浸漬後の試験体について断面観察を行った結果を、図4(a)〜(c)の断面写真(断面図)に示す。図4(a)の要部拡大写真(要部拡大断面図)である(b)に示すように、深いき裂(主き裂)で、明確なき裂の拡幅が確認された。また、図4(a)の別の箇所の要部拡大写真(要部拡大断面図)である(c)に示すように、主き裂回りに発生した浅いき裂(副次き裂)等に、き裂の拡幅が明確に観察されないものがあった。
ここで、き裂先端部での応力低減効果の確認は、前記(3)、(ウ)に示したように超音波探傷試験サイジング結果に基づいて確認されている。一方で本事象を断面観察結果から把握する場合、IHSI施工によってき裂に生じる変化・影響を把握・考慮した上で、断面観察結果から効果を推測する必要がある。
FEM解析(有限要素法解析)の結果から、き裂を有する配管へIHSIを施工すると、その加熱ピーク時においてき裂先端部が拡幅され、引張側で塑性変形することが分かっている。き裂先端部はIHSI加熱終了後では圧縮応力場が残存し、き裂の進展性を抑制する効果が期待される。
その結果、断面観察では応力低減効果が得られた徴候として、き裂幅の拡幅(図4(b))や、き裂先端部での鈍化事象(図4(c))として観察されると考えられる。
したがって、主き裂は先端の応力が低減され、き裂の進展性が抑止されることが確認された。
(7)き裂の近傍におけるIHSIによる残留応力改善(低減)効果の確認
[確性試験の内容]
管内表面のき裂近傍のIHSI効果を、以下のようにして確認した。
放電加工により深さ3t/8のき裂を付与した試験体にIHSI施工したものと、同じくき裂を付与した試験体にIHSI施工をしていないもの(As Welded)とを用意した。そして、これら試験体をMgCl浸漬し、新たなき裂の発生の有無を確認した。なお、IHSIについては、ΔTreqの約1.5倍の温度差でのIHSIを1回施工した。
そして、得られたMgCl浸漬後のそれぞれの試験体について、目視による内面観察、及び写真による断面観察を行った。
[評価]
MgCl浸漬後のそれぞれの試験体内面を目視によって観察した結果、IHSI施工していないものではほぼ全周に新たなひびが発生していたのに対し、IHSI施工したものでは、き裂の近傍にのみひびが発生していた。
また、MgCl浸漬後のそれぞれの試験体について、その断面観察を写真撮影で行った結果、IHSI施工なしのものでは、き裂先端においても微細なひびが発生していたのに対し、IHSI施工したものでは、き裂前端にひびの発生が認められなかった。
したがって、き裂近傍でのIHSI効果は減少傾向となり、新たなき裂の発生はIHSI施工をしていないもの(As Welded)より改善することが分かった。
よって、き裂近傍における新たなき裂発生の可能性は、IHSIを施工しない場合に比べて低いと判断される。
(8)き裂が存在しない健全部においては、従来のき裂が無い溶接継手部にIHSIを適用した場合(予防保全工法IHSI)と同等の効果があることの確認
[確性試験の内容]
管内表面のき裂以外のIHSI効果を、以下のようにして確認した。
放電加工により深さ3t/8のき裂と深さ5t/8のき裂とを付与した試験体に、IHSIを施工した。なお、IHSIについては、ΔTreqの約1.5倍の温度差でのIHSIを1回施工した。
そして、これら試験体をMgCl浸漬し、配管内表面の放電加工き裂付与部以外の新たなき裂発生の有無を、目視で確認した。
また、歪みゲージによって残留応力を計測した。
[評価]
き裂がない部位の目視観察では、新たなひびは確認されなかった。なお、き裂がある部位では、目視観察によって新たなひびが確認された。
また、歪みゲージによる残留応力計測結果より、き裂なし部は十分に圧縮側へ改善されており、予防保全効果があることが確認された。
したがって、き裂の存在しない健全部においては、従来のIHSI(予防保全工法IHSI)と同等の効果があることが確認された。
以上の評価より、き裂を有する配管にIHSIを施工することで、既に発生している深いき裂(主き裂)の進展性が抑制されることが分かった。
また、き裂の存在しない健全部での応力改善効果は、従来のIHSIと同等の効果が得られることも分かった。さらに、IHSIの施工により、き裂先端に延性き裂が発生することがないこと、新たなき裂の発生もIHSI未施工の場合に比べて増加することはない(継手部に悪影響を及ぼさない)ことも確認された。
よって、き裂を有する実機配管へのIHSI施工は、技術的には問題が無く、その有効性(深いき裂の進展性を抑制すること、すなわちSCCの発生及び進展のポテンシャルを下げること)が確認された。
以上より、本実施形態の高周波誘導加熱残留応力改善法は、以下のように、高周波誘導加熱残留応力改善法(IHSI)が適用可能なき裂の寸法等を規定している。なお、配管にき裂が存在すること以外については、高周波誘導加熱残留応力改善法の基本的な施工条件は、従来の配管にき裂が存在しない場合と同様である。
すなわち、第1の高周波誘導加熱残留応力改善法では、特に図1に示した溶接継手部2をティグ(TIG)溶接で形成する場合に、まず、配管1の内面にき裂があるか否かを超音波探傷試験で調べる。そして、超音波探傷試験によって図2(a)に示したように配管1の内面にき裂Cがあり、該き裂Cの深さdが、配管1の厚さをt[mm]とすると、この厚さtの3/8倍以下、すなわち(3t/8)[mm]以下であり、かつ、該き裂Cの長さLが、配管1の内側の全周の長さ以下であることが確認された場合に、本改善法を実施する。なお、き裂Cの深さdの下限については特に制限されないものの、例えば超音波探傷試験の検出限界を超える深さとされる。また、き裂Cの長さLが配管1の全周の長さ以下とは、図2(b)に示すLが角度で360°以下であることを意味する。したがって、き裂Cの長さLについては、本実施形態では実質的に制限されないことになる。
ただし、配管(母材)1の外径は250A〜700Aとされ、配管1の厚さtは18mm〜48mmとされる。
また、図1(a)に示した溶接継手部2を加熱した際の最高加熱温度は650℃以下とされ、さらに、高周波誘導加熱コイルのコイル幅Lは、以下の式(3)を満たす長さとされる。
L≧2.7√(RT) ……式(3)
R:配管の公称厚さ中心における曲率半径(mm)
t:配管の厚さ(mm)
また、高周波誘導コイル3による溶接継手部2の加熱時間τについては、以下の式(4)を満たす時間とされる。
τ≧(0.7×t/a) ……式(4)
t:配管の厚さ(mm)
aは材料の熱拡散率(mm/sec)
なお、300℃を超える温度領域での高周波加熱による累積加熱時間は、3時間以内(3時間を超えると脆化が発生)とする。
また、配管1の内外面温度差、すなわち配管1の厚さ方向に発生させる温度差ΔTについては、以下の式(5)の条件を満たすものとする。
ΔT≧4(1−ν)σy /Eα ……式(5)
ν;ポアソン比
E;縦弾性係数(MPa)
α;線膨張係数(mm/mm℃)
σy;材料の降伏点応力(材料の降伏点強さ)(MPa)
このような第1の高周波誘導加熱残留応力改善法によれば、配管1の内面にき裂Cがあり、このき裂Cの深さdを(3t/8)[mm]以下としたので、特に前記確認事項(5)〜(7)及びそれぞれの[評価]に示したように、き裂に対して悪影響を及ぼすことがなく、また、き裂先端部での応力を低減してき裂の進展性を抑制することができ、さらに、き裂の近傍におけるIHSIによる残留応力低減効果を得ることができる。
したがって、従来ではき裂があるため使用できずに取り替えていた配管1の溶接継手部2を、IHSIを施工することでそのまま有効利用することができ、これにより、配管のコストの低減化を図り、さらに、プラントを長期間停止させることなく、その安定的な運転を可能にすることができる。
また、図1に示した溶接継手部2をサブマージ溶接(SAW)又は被覆アーク溶接(SMAW)で形成する場合で、特にき裂の先端が図1(a)に示した溶接材部7に達している可能性がある場合には、IHSIを施工する配管のき裂について、以下のように規定する。
すなわち、第2の高周波誘導加熱残留応力改善法では、特に図1に示した溶接継手部2をサブマージ溶接(SAW)又は被覆アーク溶接(SMAW)で形成する場合で、かつ、対象となる配管1の外径が300Aを超え600A以下である場合に、まず、配管1の内面にき裂があるか否かを超音波探傷試験で調べる。そして、超音波探傷試験によって図2(a)に示したように配管1の内面にき裂Cがあり、該き裂Cの深さdが、配管1の厚さをt[mm]とすると、この厚さtの0.1179倍以下、すなわち(0.1179t)[mm]以下であり、かつ、該き裂Cの長さLが、配管1の全周の長さ以下であることが確認された場合に、前記溶接継手部2を加熱する際の最高加熱温度を650℃以下として、本改善法を実施する。なお、き裂Cの深さdの下限については特に制限されないものの、例えば超音波探傷試験の検出限界を超える深さとされる。
また、配管1の厚さt、高周波誘導加熱コイルのコイル幅L、高周波誘導コイル3による溶接継手部2の加熱時間τ、配管1の内外面温度差ΔTについては、第1の高周波誘導加熱残留応力改善法と同様とする。
このような第2の高周波誘導加熱残留応力改善法によれば、配管1の内面にき裂Cがあり、このき裂Cの深さdを(0.1179t)[mm]以下としたので、前記第1の改善法と同様に、き裂に対して悪影響を及ぼすことがなく、また、き裂先端部での応力を低減してき裂の進展性を抑制することができ、さらに、き裂の近傍におけるIHSIによる残留応力低減効果を得ることができる。
したがって、配管のコストの低減化を図り、さらに、プラントを長期間停止させることなく、その安定的な運転を可能にすることができる。
また、第3の高周波誘導加熱残留応力改善法では、図1に示した溶接継手部2をサブマージ溶接(SAW)又は被覆アーク溶接(SMAW)で形成する場合で、特にき裂の先端が図1(a)に示した溶接材部7に達している可能性がある場合において、対象となる配管1の外径が300Aを超え600Aである場合に、まず、配管1の内面にき裂があるか否かを超音波探傷試験で調べる。そして、超音波探傷試験によって図2(a)に示したように配管1の内面にき裂Cがあり、該き裂Cの深さdが、配管1の厚さをt[mm]とすると、この厚さtの0.1590倍以下、すなわち(0.1590t)[mm]以下であり、かつ、該き裂Cの長さLが、配管1の全周の長さ以下であることが確認された場合に、前記配管1の内外面温度差をΔTとし、
ΔT=BΔTreq
(ただし、ΔTreq =4(1−ν)σy /Eα
ν;ポアソン比
E;縦弾性係数(MPa)
α;線膨張係数(mm/mm℃)
σy;材料の降伏点応力(MPa) とする)
としたとき、前記Bが1.4以下となるようにして、本改善法を実施する。なお、き裂Cの深さdの下限については特に制限されないものの、例えば超音波探傷試験の検出限界を超える深さとされる。
また、配管1の厚さt、高周波誘導加熱コイルのコイル幅L、高周波誘導コイル3による溶接継手部2の加熱時間τについては、第1の高周波誘導加熱残留応力改善法と同様とする。
このような第3の高周波誘導加熱残留応力改善法によれば、配管1の内面にき裂Cがあり、このき裂Cの深さdを(0.1590t)[mm]以下としたので、前記第1の改善法と同様に、き裂に対して悪影響を及ぼすことがなく、また、き裂先端部での応力を低減してき裂の進展性を抑制することができ、さらに、き裂の近傍におけるIHSIによる残留応力低減効果を得ることができる。
したがって、配管のコストの低減化を図り、さらに、プラントを長期間停止させることなく、その安定的な運転を可能にすることができる。
また、第4の高周波誘導加熱残留応力改善法では、図1に示した溶接継手部2をサブマージ溶接(SAW)又は被覆アーク溶接(SMAW)で形成する場合で、特にき裂の先端が図1(a)に示した溶接材部7に達している可能性がある場合において、対象となる配管1の外径が250A以上300A以下である場合に、まず、配管1の内面にき裂があるか否かを超音波探傷試験で調べる。そして、超音波探傷試験によって図2(a)に示したように配管1の内面にき裂Cがあり、該き裂Cの深さdが、配管1の厚さをt[mm]とすると、この厚さtの0.2100倍以下、すなわち(0.2100t)[mm]以下であり、かつ、該き裂Cの長さLが、配管1の全周の長さ以下であることが確認された場合に、前記溶接継手部2を加熱する際の最高加熱温度を650℃以下として、本改善法を実施する。なお、き裂Cの深さdの下限については特に制限されないものの、例えば超音波探傷試験の検出限界を超える深さとされる。
また、配管1の厚さt、高周波誘導加熱コイルのコイル幅L、高周波誘導コイル3による溶接継手部2の加熱時間τ、配管1の内外面温度差ΔTについては、第1の高周波誘導加熱残留応力改善法と同様とする。
このような第4の高周波誘導加熱残留応力改善法によれば、配管1の内面にき裂Cがあり、このき裂Cの深さdを(0.2100t)[mm]以下としたので、前記第1の改善法と同様に、き裂に対して悪影響を及ぼすことがなく、また、き裂先端部での応力を低減してき裂の進展性を抑制することができ、さらに、き裂の近傍におけるIHSIによる残留応力低減効果を得ることができる。
したがって、配管のコストの低減化を図り、さらに、プラントを長期間停止させることなく、その安定的な運転を可能にすることができる。
また、第5の高周波誘導加熱残留応力改善法では、図1に示した溶接継手部2をサブマージ溶接(SAW)又は被覆アーク溶接(SMAW)で形成する場合で、特にき裂の先端が図1(a)に示した溶接材部7に達している可能性がある場合において、対象となる配管1の外径が250A以上300A以下である場合に、まず、配管1の内面にき裂があるか否かを超音波探傷試験で調べる。そして、超音波探傷試験によって図2(a)に示したように配管1の内面にき裂Cがあり、該き裂Cの深さdが、配管1の厚さをt[mm]とすると、この厚さtの0.2738倍以下、すなわち(0.2738t)[mm]以下であり、かつ、該き裂Cの長さLが、配管1の全周の長さ以下であることが確認された場合に、前記配管1の内外面温度差をΔTとし、
ΔT=BΔTreq
(ただし、ΔTreq =4(1−ν)σy /Eα
ν;ポアソン比
E;縦弾性係数(MPa)
α;線膨張係数(mm/mm℃)
σy;材料の降伏点応力(MPa) とする)
としたとき、前記Bが1.4以下となるようにして、本改善法を実施する。なお、き裂Cの深さdの下限については特に制限されないものの、例えば超音波探傷試験の検出限界を超える深さとされる。
また、配管1の厚さt、高周波誘導加熱コイルのコイル幅L、高周波誘導コイル3による溶接継手部2の加熱時間τについては、第1の高周波誘導加熱残留応力改善法と同様とする。
このような第5の高周波誘導加熱残留応力改善法によれば、配管1の内面にき裂Cがあり、このき裂Cの深さdを(0.2738t)[mm]以下としたので、前記第1の改善法と同様に、き裂に対して悪影響を及ぼすことがなく、また、き裂先端部での応力を低減してき裂の進展性を抑制することができ、さらに、き裂の近傍におけるIHSIによる残留応力低減効果を得ることができる。
したがって、配管のコストの低減化を図り、さらに、プラントを長期間停止させることなく、その安定的な運転を可能にすることができる。
1…配管、2…溶接継手部、3…高周波誘導コイル、4…高周波誘導加熱電源、5…外面、6…内面、7…溶接材部(デポ部)、8…母材部、C…き裂、d…き裂の深さ、L…き裂の長さ

Claims (1)

  1. オーステナイト系ステンレス鋼製配管の、ティグ溶接(GTAW)によって形成された溶接継手部の内面の残留応力を改善すべく、該溶接継手部の外周に、該溶接継手部を中心にして高周波誘導コイルを所定幅で配置し、かつ前記配管内に冷却水を流しながら前記高周波誘導コイルに高周波電流を流して前記溶接継手部を加熱する高周波誘導加熱残留応力改善法であって、
    前記配管の内面にき裂があるか否かを超音波探傷試験で調べ、前記超音波探傷試験によって前記配管の内面に前記超音波探傷試験の検出限界を超える深さのき裂があり、該き裂の深さが、前記配管の厚さをtとするとこの厚さtの3/8倍以下であり、かつ、該き裂の長さが前記配管の全周の長さ以下であることが確認された場合に、実施することを特徴とする高周波誘導加熱残留応力改善法。
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