JP2011219504A - 回路基板用熱硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱膨張率が低く、耐熱性及び導体回路との密着性に優れる熱硬化性組成物、並びに、それを用いたプリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板及び半導体装置を提供すること。
【解決手段】本発明による熱硬化性組成物は、(A)ビスマレイミド化合物と、(B)芳香族ジアミン化合物と、(C)フェノール系化合物とを含んでなることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性組成物、並びにそれを用いたプリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置に関する。
近年、電子機器の高機能化等の要求に伴い、電子部品の高密度集積化、さらには高密度実装化が進んでおり、これらに使用される高密度実装対応のプリント配線板等は、従来にも増して小型化かつ高密度化が進んでいる。
プリント配線板を薄型化した場合には、実装信頼性の低下、プリント配線板のそりが大きくなるという問題が生じるため、用いられる熱硬化性組成物又は熱硬化性樹脂組成物の熱膨張率を下げ、ガラス転移温度を上昇させる検討が盛んに行われている。
回路基板用熱硬化性樹脂組成物として、ビスマレイミド化合物と、ジアミン類化合物とを反応させることが一般に知られている。例えば、特許文献1には、ポリシロキサン変性マレイミド化合物、ビスマレイミド化合物及び芳香族ジアミンを所定の比率で配合してなる耐熱性樹脂組成物について記載されている。特許文献1によると、その耐熱性樹脂組成物は高耐熱性を有し、かつ低応力性、密着性に優れるものであると述べられている。また、例えば、特許文献2には、ジアミノ化合物を含むジアミン成分と酸二無水物成分より得られる樹脂、またはその前駆体に、ビスマレイミド化合物を配合してなることを特徴とする樹脂組成物について記載されている。特許文献2によると、その樹脂組成物は、低熱膨張率と高密着性を有しながら、金属積層板とした場合のワニスの脱溶媒性、脱水性に優れるものであると述べられている。
更なる低熱膨張率、高耐熱性及び高密着性を充分に発現するためには、ビスマレイミド化合物と、ジアミン化合物とを完全に反応させることが必要である。したがって、ビスマレイミド化合物と、ジアミン化合物とを完全に反応させるために、低温での反応では充分に反応が進まないことから高温で反応させることが必要であるが種々の弊害が生じる場合がある。例えば、高温で反応させると、ビスマレイミド化合物が自己重合するため、硬化収縮が大きくなり、プリント配線板等に用いた場合、充分な導体回路との密着性を得ることができないという問題がある。
特開平05−86138号公報 特開2006−104337号公報
本発明は、熱膨張率が低く、耐熱性及び導体回路との密着性に優れる熱硬化性組成物、並びに、それを用いたプリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板及び半導体装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための手段は、以下のとおりである。
(1)(A)ビスマレイミド化合物と、(B)芳香族ジアミン化合物と、(C)フェノール系化合物とを含んでなる、熱硬化性組成物。
(2)その(C)フェノール系化合物が、少なくとも一つの疎水性基を有する、(1)に記載の熱硬化性組成物。
(3)その疎水性基が、炭素数4〜10の置換若しくは無置換の炭化水素基である、(2)に記載の熱硬化性組成物。
(4)(1)から(3)のいずれかに記載の熱硬化性組成物を基材に含浸させてなる、プリプレグ。
(5)(4)に記載のプリプレグの少なくとも片面上に金属層を配置してなる、積層板。
(6)少なくとも2枚のそのプリプレグが積層されたプリプレグ積層体からなる、(5)に記載の積層板。
(7)(1)から(3)のいずれかに記載の熱硬化性熱硬化性組成物を支持フィルム又は金属箔上に配置してなる、樹脂シート。
(8)(4)に記載のプリプレグ、(5)若しくは(6)に記載の積層板、又は(7)に記載の樹脂シートから形成されたプリント配線板。
(9)(8)に記載のプリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体装置。
本発明によれば、熱膨張率が低く、耐熱性及び導体回路との密着性に優れ、高ガラス転移温度を有する回路基板用熱硬化性組成物、並びに、それを用いたプリプレグ、積層板、樹脂シートが提供され、さらに、それらを用いたプリント配線板、特に薄型のシステムインパッケージ基板、及び半導体装置が提供される。
以下、本発明について更に詳しく説明をする。
本発明の熱硬化性組成物は、ガラス繊維基材等の基材に含浸させプリプレグ、プリプレグを用いた積層板に用いることができる。また、本発明の熱硬化性組成物は、優れた絶縁性を有することから、例えばプリント配線板の絶縁層に用いることができる。さらに、本願発明の熱硬化性組成物は、低線膨張であり、耐熱性及び導体回路との密着性に優れることから、半導体装置のインターポーザとして用いることができる。
半導体装置のプリント配線板としては、マザーボード及びインターポーザが知られている。インターポーザは、マザーボードと同様のプリント配線板であるが、半導体素子(ベアチップ)又は半導体パッケージとマザーボードの間に介在し、マザーボード上に搭載される。インターポーザは、マザーボードと同様に、半導体パッケージを実装する基板として用いてもよいが、マザーボードと異なる特有の使用方法としては、パッケージ基板又はモジュール基板として用いられる。
パッケージ基板とは、半導体パッケージの基板としてインターポーザが用いられるという意味である。半導体パッケージには、半導体素子をリードフレーム上に搭載し、両者をワイアボンディングで接続し、樹脂で封止するタイプと、インターポーザをパッケージ基板として用い、半導体素子をそのインターポーザ上に搭載し、両者をワイアボンディング等の方法で接続し、樹脂で封止するタイプとがある。
(1)熱硬化性組成物
本発明による熱硬化性組成物は(A)ビスマレイミド化合物と、(B)芳香族ジアミン化合物と、(C)フェノール系化合物とを含んでなり、それらを含むことによって、硬化物の低熱膨張率を達成でき、耐熱性及び導体回路との密着性に優れる。
ここで硬化物とは、熱硬化性組成物を構成する組成物中の硬化性成分が有する官能基の反応が実質的に完結した状態のものを意味し、例えば、示差走査熱量測定(DSC)装置により発熱量を測定することにより評価することができる。具体的には、この発熱量がほとんど検出されない状態を指すものである。硬化物を得る条件としては、例えば、120〜220℃で、30〜180分間処理することが好ましく、180〜230℃で、45〜120分間処理することがより好ましい。
本発明による熱硬化性組成物は(A)ビスマレイミド化合物と、(B)芳香族ジアミン化合物と、(C)フェノール系化合物とを含んでなるが、本発明の目的に反しない範囲において、その他の樹脂、硬化剤、硬化促進剤、難燃剤、カップリング剤、無機充填材、その他の成分を添加してよい。
(A)ビスマレイミド化合物
本発明による熱硬化性組成物に含有される(A)ビスマレイミド化合物は、分子内に少なくとも2つのマレイミド基を有する化合物である。ビスマレイミド化合物のマレイミド基は、5員環の平面構造を有し、マレイミド基の二重結合が分子間で相互作用しやすく極性が高いため、マレイミド基、ベンゼン環、その他の平面構造を有する化合物等と強い分子間相互作用を示し、分子運動を抑制することができる。そのため、本発明による熱硬化性組成物は、硬化物の熱膨張率を下げることが可能となり、さらに、耐熱性に優れることとなる。
本発明による熱硬化性組成物に含有されるビスマレイミド化合物は、特に限定されることはないが、例えば、4,4‘−ジフェニルメタンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、p−フェニレンビスマレイミド、2,2’−[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、N,N‘−エチレンジマレイミド、N,N‘−ヘキサメチレンジマレイミド等が挙げられ、ポリマレイミドとしては、ポリフェニルメタンマレイミド等が挙げられる。
低吸水率等を考慮すると、2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンが好ましい。
本発明による熱硬化性組成物に含有される(A)ビスマレイミド化合物は、1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明による熱硬化性組成物中の(A)ビスマレイミド化合物の含有量は、熱硬化性組成物全体の中からシリカ、水酸化アルミニウム、及びその他の無機充填材を除いた組成物中の60〜95質量%であることが好ましく、70〜90質量%であることがより好ましく、75質量%〜85質量%であることが更に好ましい。
上記のように、(A)ビスマレイミド化合物を適切に含有させることにより、本発明による熱硬化性組成物は、効果的に低線膨張係数を発現させることができる。(A)ビスマレイミド化合物の含有量が上記の下限値(60%)未満であると線膨張係数が十分に低くならない場合があり、実用上問題ないが、実装信頼性が低下するか、プリント配線板の反りが大きくなる場合がある。そして、上記の上限値(95%)超であると、実用上問題ないが、導体回路と樹脂層との密着性に関するピール強度が低下する場合がある。
(B)芳香族ジアミン化合物
本発明による熱硬化性組成物に含有される(B)芳香族ジアミン化合物は、分子内に少なくとも2つ以上のアミノ基を有し、かつ、芳香族環構造を有する化合物である。(A)ビスマレイミド化合物と(B)芳香族ジアミン化合物とを反応させることにより、本発明による熱硬化性組成物は、硬化物の熱膨張率を更に下げることが可能となり、また、耐熱性を更に向上させることが可能となる。
さらに、(B)芳香族ジアミン化合物は分子内に窒素原子を有するため、(A)ビスマレイミド化合物と反応して得られる硬化物は、導体回路と高い密着性を有する。
(B)芳香族ジアミン類化合物は、特に限定されることはないが、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、o−キシレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3‘−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2‘−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。
低熱膨張率を発現する観点から、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3‘−ジアミノジフェニルスルホンが好ましい。また、低吸水の点からは2,2‘−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンが好ましい。
本発明による熱硬化性組成物に含有される(B)芳香族ジアミン化合物は、1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明による熱硬化性組成物中の(B)芳香族ジアミン化合物の含有量については、(A)ビスマレイミド化合物との当量比の観点から、(A)ビスマレイミド化合物と(B)芳香族ジアミン化合物の当量比は0.8(下限値)〜1.2(上限値)であることが好ましく、0.85〜1.15であることがより好ましく、0.9〜1.05であることが更に好ましい。
上記当量比が上記の下限値(0.8)未満又は上記の上限値(1.2)超であると、実用上問題ないが、未反応の化合物が残存し、耐熱性が低下する場合がある。
(C)フェノール系化合物
本発明による熱硬化性組成物に含有される(C)フェノール系化合物は、少なくとも一つのフェノール性水酸基を有する化合物であり、(A)ビスマレイミド化合物と(B)芳香族ジアミン化合物の反応を促進させることができる。
(C)フェノール系化合物より離脱した水素イオンは、(A)ビスマレイミド化合物のマレイミド基のC−C二重結合に付加し、二重結合の一方の炭素がカチオンとなる。
そうすると(B)芳香族ジアミン化合物の窒素原子が(A)ビスマレイミド化合物のC−C二重結合を求核攻撃しやすくなりなることから、硬化反応を促進させることができると推定される。したがって、(C)フェノール系化合物存在下において、(A)ビスマレイミド化合物と(B)芳香族ジアミン化合物とは低温でも反応をすることができるため、従来のものと比較して本発明の熱硬化性組成物の硬化物の熱膨張率をさらに下げることが可能となり、また耐熱性を更に向上させることが可能となる。
また、(C)フェノール系化合物は、(A)ビスマレイミド化合物の自己重合を抑制し、硬化性組成物の硬化物の架橋構造に歪を生じないため、残留応力が小さく導体回路との密着性に優れる。
(C)フェノール系化合物は、少なくとも一つの疎水性基を有することが好ましい。疎水性基とは、一般的に用いられる通常の意味を有するものであるが、水に対する親和性が低いか、水に溶解しにくいか、又は水に混ざりにくい性質を有する置換基である。フェノール系化合物に少なくとも一つの疎水性基を有することで遊離したフェノール系化合物の量を少なくすることが可能となり半田耐熱性が改善される。
疎水性基は、特に限定されることはないが、炭素数4〜10の置換若しくは無置換の炭化水素基が好ましく、分岐を有する炭素数4〜10の置換若しくは無置換の炭化水素基がより好ましく、tert−ブチル基が更に好ましい。特に、tert−ブチル基は嵩高い置換基であるため吸水率を低くして半田耐熱性を改良する。
(C)フェノール系化合物は、特に限定されることはないが、例えば、2,2‘−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4‘−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジンー2,4,6(1H,3H,5H)トリオン等が挙げられる。
硬化性制御の容易性、融点及び揮発性の観点から、好ましい(C)フェノール系化合物は、次の一般式(1)で表される化合物である。
Figure 2011219504
一般式(1)中のR1及びR2はそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換のアルキル基であり、R3は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状の置換又は無置換のアルキレン基である。
一般式(1)で表される化合物の中でも、R3が炭素数2以上である化合物がより好ましく、4,4‘−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)が更に好ましい。
本発明による熱硬化性組成物に含有される(C)フェノール系化合物は、1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明による熱硬化性組成物中の(C)フェノール系化合物の含有量は、熱硬化性組成物全体の中からシリカ、水酸化アルミニウム、及びその他の無機充填材を除いた組成物中の0.2質量%(下限値)〜10.0質量%であり(上限値)であることが好ましく、0.5〜5.0質量%であることがより好ましく、1.0質量%〜4.0質量%であることが更に好ましい。
上記のように、(C)フェノール系化合物を適切に含有させることにより、本発明による熱硬化性組成物は、効果的に半田耐熱性を改善することができる。(C)フェノール系化合物の含有量が上記の下限値(0.2質量%)未満であると、実用上問題ないが、半田耐熱性を充分に改善することができない場合がある。上記の上限値(10.0質量%)超であると、実用上問題ないが、半田耐熱性を充分に改善することができない場合がある。
(2)プリプレグ
本発明によるプリプレグは、本発明の熱硬化性組成物を基材に含浸させてなるものである。本発明によるプリプレグは、耐熱性等の特性に優れる。
本発明によるプリプレグで用いられる基材は、特に限定されることはないが、例えばガラス繊布、ガラス不繊布等のガラス繊維基材、ガラス以外の無機化合物を成分とする繊布、不繊布等の無機繊維基材、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等の有機繊維で構成される有機繊維基材等が挙げられる。
強度、吸水率の観点から、ガラス繊布、ガラス不繊布等のガラス繊維基材が好ましい。
本発明の熱硬化性組成物を基材に含浸させる方法は、特に限定されることはないが、例えば、溶剤を用いて熱硬化性組成物を樹脂ワニスにし、基材を樹脂ワニスに浸漬する方法、各種コーターによる塗布する方法、スプレーによる吹き付ける方法等が挙げられる。
含浸性の観点から基材を樹脂ワニスに浸漬する方法が好ましい。これによって、基材に対する熱硬化性組成物の含浸性を更に向上することが可能である。なお、基材を樹脂ワニスに浸漬する場合、通常の含浸塗布設備を使用することができる。
樹脂ワニスに用いられる溶媒は、本発明の熱硬化性組成物に対して良好な溶解性を示すことが好ましいが、悪影響を及ぼさない範囲で貧溶媒を使用しても構わない。良好な溶解性を示す溶媒であれば、特に限定されることはないが、例えばN−メチルピロリドン等が挙げられる。
樹脂ワニス中の固形分は、特に限定されることはないが、本発明の熱硬化性組成物の固形分40〜80質量%が好ましく、50〜65質量%がより好ましい。これにより、樹脂ワニスの基材への含浸性を更に向上させることができる。
基材に本発明の熱硬化性組成物を含浸させ、所定温度、例えば80〜200℃で乾燥させることによりプリプレグを得ることができる。
(3)積層板
本発明による積層板は、本発明のプリプレグの少なくとも片面上に金属層を配置してなるものか、又は少なくとも2枚の本発明のプリプレグが積層されたプリプレグ積層体の少なくとも片面上に金属層を配置してなるものである。本発明の積層体は、誘電率及び誘電正接が低く、耐熱性及びと密着性に優れる。
本発明による積層板は、本発明のプリプレグの片面又は上下両面に、金属箔及び/又は支持フィルムを重ねてよい。さらに、本発明による積層板は、少なくとも2枚の本発明のプリプレグが積層されたプリプレグ積層体の片面又は最も外側の上下両面に、金属箔及び/又は支持フィルムを重ねてよい。
支持フィルムは、取扱いが容易であるものを選択することができる。支持フィルムは、特に限定されることはないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂フィルム、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性を有した熱可塑性樹脂フィルム等が挙げられ、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂フィルムが好ましい。
支持フィルムの厚さは、取扱いが容易であれば、特に限定されることはないが、1〜100μmが好ましく、3〜50μmがより好ましい。
金属箔は、特に限定されないが、例えば、銅及び/又は銅系合金、アルミ及び/又はアルミ系合金、鉄及び/又は鉄系合金、銀及び/又は銀系合金、金及び金系合金、亜鉛及び亜鉛系合金、ニッケル及びニッケル系合金、錫及び錫系合金等が挙げられる。
金属箔の厚さは、特に限定されないが、0.1μm以上70μm以下であることが好ましく、1μm以上35μ以下がより好ましく、1.5μm以上18μm以下が更に好ましい。金属箔の厚さが0.1μm(下限値)未満であると、実用上問題ないが、金属箔が傷つき、ピンホールが発生し、金属箔をエッチングし導体回路として用いる場合に、回路パターン成形時のメッキバラツキ、回路断線、エッチング液やデスミア液等の薬液の染み込み等が発生することがある。金属箔の厚さが70μm(上限値)超であると、金属箔の厚みバラツキが大きくなるか、金属箔粗化面の表面粗さバラツキが大きくなることがある。
また、金属箔は、キャリア箔付き極薄金属箔を用いてもよい。キャリア箔付き極薄金属箔とは、剥離可能なキャリア箔と極薄金属箔とを張り合わせた金属箔である。キャリア箔付き極薄金属箔を用いることでプリプレグの両面に極薄金属箔層を形成できることから、例えば、セミアディティブ法等で回路を形成する場合、無電解メッキを行うことなく、極薄金属箔を直接給電層として電解メッキすることで、回路を形成後、極薄銅箔をフラッシュエッチングすることができる。キャリア箔付き極薄金属箔を用いることによって、厚さ10μm以下の極薄金属箔でも、例えばプレス工程での極薄金属箔のハンドリング性の低下や、極薄銅箔の割れや切れを防ぐことができる。極薄金属箔の厚さは、0.1μm以上10μm以下が好ましく、0.5μm以上5μm以下がより好ましく、1μm以上3μm以下が更に好ましい。極薄金属箔の厚さが0.1μm(下限値)未満であると、実用上問題ないが、キャリア箔剥離後の極薄金属箔の傷つき、極薄金属箔のピンホールの発生、ピンホールの発生による回路パターン成形時のメッキバラツキ、回路配線の断線、エッチング液やデスミア液等の薬液の染み込み等が発生する場合がある。極薄金属箔の厚さが10μm(上限値)超であると、実用上問題ないが、極薄金属箔の厚みバラツキが大きくなるか、極薄金属箔粗化面の表面粗さのバラツキが大きくなる場合がある。通常、キャリア箔付き極薄金属箔は、プレス成形後の積層板に回路パターン形成する前にキャリア箔を剥離する。
プリプレグと金属箔及び/又は支持フィルムとを重ねたものを加熱、加圧して成形することで本発明の積層板を得ることができる。加熱する温度は、特に限定されないが、150〜240℃が好ましく、180〜220℃がより好ましい。前記加圧する圧力は、特に限定されないが、2〜5MPaが好ましく、2.5〜4MPaがより好ましい。
(4)樹脂シート
本発明による樹脂シートは、本発明の熱硬化性熱硬化性組成物を支持フィルム及び/又は金属箔上に配置してなるものである。本発明の熱硬化性組成物を用いた樹脂シートは、樹脂ワニスからなる絶縁層を支持フィルム、又は金属箔上に形成することにより得られる。
樹脂ワニス中の本発明の熱硬化性組成物の含有量は、特に限定されないが、45〜85質量%が好ましく、55〜75質量%がより好ましい。
次に、樹脂ワニスを、各種塗工装置を用いて、支持フィルム上及び/又は金属箔上に塗工した後乾燥するか、又は樹脂ワニスをスプレー装置により支持フィルム又は金属箔に噴霧塗工した後乾燥する。どちらかの方法により樹脂シートを作製することができる。
塗工装置は、ボイドがなく、均一な絶縁層の厚みを有する樹脂シートを効率よく製造することができるものであれば、特に限定されないが、例えば、ロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーター、コンマコーター、カーテンコーター等が挙げられる。これらの中でも、ダイコーター、ナイフコーター及びコンマコーターが好ましい。
支持フィルムは、支持フィルムに絶縁層を形成するため、取扱いが容易であるものを選択することが好ましい。また、樹脂シートの絶縁層を内層回路基板面に積層後、支持フィルムを剥離することから、内層回路基板に積層後、剥離が容易なものであることが好ましい。したがって、支持フィルムは、絶縁層から適度な強度で剥離することが容易であるものであれば、特に限定されることはないが、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂フィルム、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性を有した熱可塑性樹脂フィルム等が挙げられ、これらの中でも、ポリエステル樹脂フィルムが好ましい。
支持フィルムの厚さは、取扱いが容易で、さらに絶縁層表面の平坦性に優れれば特に限定されることはないが、1〜100μmが好ましく、3〜50μmがより好ましい。
金属箔は、支持フィルム同様、内層回路基板に樹脂シートを積層後、剥離して用いてもよいし、金属箔をエッチングし導体回路として用いてもよい。金属箔は、特に限定されることはないが、例えば、銅及び/又は銅系合金、アルミ及び/又はアルミ系合金、鉄及び/又は鉄系合金、銀及び/又は銀系合金、金及び/又は金系合金、亜鉛及び/又は亜鉛系合金、ニッケル及び/又はニッケル系合金、錫及び/又は錫系合金等が挙げられる。
金属箔の厚さは、特に限定されないが、0.1μm以上70μm以下であることが好ましく、1μm以上35μ以下がより好ましく、1.5μm以上18μm以下が更に好ましい。金属箔の厚さが0.1μm(下限値)未満であると、実用上問題ないが、金属箔が傷つき、ピンホールが発生し、さらに、金属箔をエッチングし導体回路として用いる場合、回路パターン成形時のメッキバラツキ、回路断線、エッチング液やデスミア液等の薬液の染み込み等が発生することがある。金属箔の厚さが70μm(上限値)超であると、実用上問題ないが、金属箔の厚みバラツキが大きくなるか、金属箔粗化面の表面粗さバラツキが大きくなることがある。
また、金属箔はキャリア箔付き極薄金属箔を用いてもよい。キャリア箔付き極薄金属箔とは、剥離可能なキャリア箔と極薄金属箔とを張り合わせた金属箔である。キャリア箔付き極薄金属箔を用いることで前記絶縁層の両面に極薄金属箔層を形成できることから、例えば、セミアディティブ法等で回路を形成する場合、無電解メッキを行うことなく、極薄金属箔を直接給電層として電解メッキすることで、回路を形成後、極薄銅箔をフラッシュエッチングすることができる。キャリア箔付き極薄金属箔を用いることによって、厚さ10μm以下の極薄金属箔でも、例えばプレス工程での極薄金属箔のハンドリング性の低下や、極薄銅箔の割れや切れを防ぐことができる。極薄金属箔の厚さは、0.1μm以上10μm以下が好ましく、0.5μm以上5μm以下がより好ましく、1μm以上3μm以下が更に好ましい。前記極薄金属箔の厚さが0.1(下限値)未満であると、実用上問題ないが、キャリア箔剥離後の極薄金属箔の傷つき、極薄金属箔のピンホールの発生、ピンホールの発生による回路パターン成形時のメッキバラツキ、回路配線の断線、エッチング液やデスミア液等の薬液の染み込み等が発生する場合がある。極薄金属箔の厚さが10μm(上限値)超であると、極薄金属箔の厚みバラツキが大きくなるか、極薄金属箔粗化面の表面粗さのバラツキが大きくなる場合がある。通常、キャリア箔付き極薄金属箔は、プレス成形後の積層板に回路パターン形成する前にキャリア箔を剥離する。
(5)プリント配線板
本発明によるプリント配線板は、本発明のプリプレグ、本発明の積層板又は本発明の樹脂シートから形成されるものである。
本発明によるプリント配線板の製造方法は、特に限定されることはないが、例えば、以下のように製造することができる。
両面に銅箔を有する積層板を用意し、ドリル等によりスルーホールを形成し、メッキにより前記スルーホールを充填した後、積層板の両面に、エッチング等により所定の導体回路(内層回路)を形成し、導体回路を黒化処理等の粗化処理することにより内層回路基板を作製する。
本発明の熱硬化性組成物を用いた場合、従来に比べ微細スルーホールを歩留まり良好で形成することができ、さらに、従来に比べスルーホール形成後の壁の凹凸が非常に小さなものとなる。
次に内層回路基板の上下面に、本発明の樹脂シート、又は本発明のプリプレグを形成し、加熱加圧成形する。具体的には、本発明の樹脂シート、又は本発明のプリプレグと内層回路基板とを合わせて、真空加圧式ラミネーター装置などを用いて真空加熱加圧成形させる。その後、熱風乾燥装置等で加熱硬化させることにより内層回路基板上に絶縁層を形成することができる。ここで加熱加圧成形する条件としては、特に限定されないが、一例を挙げると、温度60〜160℃、圧力0.2〜3MPaで実施することができる。また、加熱硬化させる条件としては特に限定されないが、一例を挙げると、温度140〜240℃、時間30〜120分間で実施することができる。
別の方法としては、本発明の樹脂シート、又は本発明のプリプレグを内層回路基板に重ね合わせ、これを、平板プレス装置等を用いて加熱加圧成形することにより内層回路基板上に絶縁層を形成することもできる。ここで加熱加圧成形する条件としては、特に限定されないが、一例を挙げると、温度140〜240℃、圧力1〜4MPaで実施することができる。
本発明の積層体は、絶縁層表面を過マンガン酸塩、重クロム酸塩等の酸化剤などにより粗化処理した後、金属メッキにより新たな導電配線回路を形成することができる。
本発明の熱硬化性組成物を用いた場合、従来に比べ微細配線加工に優れ、導体回路を形成した際の導体幅(ライン)、及び導体間(スペース)が非常に狭い配線を歩留まり良く形成することができる。
その後、絶縁層を加熱することにより硬化させる。硬化させる温度は、特に限定されないが、例えば、160℃〜240℃の範囲で硬化してよく、180℃〜200℃の範囲で硬化させることが好ましい。
次に、絶縁層に、炭酸レーザー装置を用いて開口部を設け、電解銅めっきにより絶縁層表面に外層回路形成を行い、外層回路と内層回路との導通を図る。なお、外層回路には、半導体素子を実装するための接続用電極部を設ける。その後、最外層にソルダーレジストを形成し、露光・現像により半導体素子が実装できるよう接続用電極部を露出させ、ニッケル金メッキ処理を施し、所定の大きさに切断し、多層プリント配線板を得ることができる。
本発明の熱硬化性組成物を用いた場合、ニッケル金メッキの際に従来のエポキシ熱硬化性組成物を用いた場合に比べ、絶縁層にニッケル等の金属原子が残らないため、電気信頼性に優れる。
(6)半導体装置
本発明による半導体装置は、本発明のプリント配線板に半導体素子を搭載してなるものである。
半導体装置は、本発明のプリント配線板に半導体素子を実装し、製造することができる。半導体素子の実装方法、封止方法は特に限定されない。例えば、半導体素子とプリント配線板とを用い、フリップチップボンダーなどを用いて多層プリント配線板上の接続用電極部と半導体素子の半田バンプの位置合わせを行う。その後、IRリフロー装置、熱板、その他加熱装置を用いて半田バンプを融点以上に加熱し、プリント配線板と半田バンプとを溶融接合することにより接続する。そして、プリント配線板と半導体素子との間に液状封止樹脂を充填し、硬化させることで半導体装置を得ることができる。
本発明の熱硬化性組成物を用いると、半導体素子を実装する約260℃の温度においてもプリント配線板の反りを抑制できるので実装性に優れる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
以下、本発明をより具体的に説明するための実施例を提供する。なお、本発明は、その目的及び主旨を逸脱しない範囲で以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)樹脂ワニスの調製
2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン(ケイアイ化成製BMI−80、二重結合当量285)を82.3質量部、4,4‘−ジアミノジフェニルメタン(アミン当量49.5)を14.3質量部、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)(大内新興化学製ノクラックNS−30)を3.4質量部、水酸化アルミニウム(昭和電工製HP−360)を150質量部にN−メチルピロリドンを加え不揮発分65%となるように調整し、樹脂ワニスを得た。
(2)プリプレグの製造
上述の樹脂ワニスを用いて、ガラス繊布(厚さ0.18mm、日東紡績社製)100質量部に対して、樹脂ワニスを固形分で80質量部含浸させて、190℃の乾燥炉で7分間乾燥させ、樹脂含有量44.4質量%のプリプレグを作製した。
(3)積層板の製造
上記プリプレグを2枚重ね、上下に厚さ18μmの電解銅箔(日本電解製YGP−18)を重ねて、圧力4MPa、温度220℃で180分間加熱加圧成形を行い、厚さ0.4mmの両面銅張積層板を得た。
(4)樹脂シートの製造
前記で得られた樹脂ワニスを、剥離可能なキャリア箔層と0.5〜5.0μmの厚みの電解銅箔層とを張り合わせた銅箔(三井金属鉱山社製、マイクロシンEx−3、キャリア箔層:銅箔(18μm)、電解銅箔層(3μm))の電解銅箔層に、コンマコーターを用いて乾燥後の樹脂層が40μmとなるように塗工し、これを150℃の乾燥装置で10分間乾燥して、樹脂シートを製造した。
(5)プリント配線板の作製
前記で得られた積層板に、0.1mmのドリルビットを用いてスルーホール加工を行った後、メッキによりスルーホールを充填した。さらに、両面をエッチングにより回路形成し、内層回路基板として用いた。前記内層回路基板の表裏に、前記で得られたプリプレグを重ね合わせ、これを、真空加圧式ラミネーター装置を用いて、温度100℃、圧力1MPaにて真空加熱加圧成形させた。これを、熱風乾燥装置にて170℃で60分間加熱し硬化させて、積層体を得た。
次に、表面の電解銅箔層に黒化処理を施した後、炭酸ガスレーザーで、層間接続用のφ60μmのビアホールを形成した。次いで、70℃の膨潤液(アトテックジャパン社製、スウェリングディップ セキュリガント P)に5分間浸漬し、さらに80℃の過マンガン酸カリウム水溶液(アトテックジャパン社製、コンセントレート コンパクト CP)に15分浸漬後、中和してビアホール内のデスミア処理を行った。次に、フラッシュエッチングにより電解銅箔層表面を1μm程度エッチングした後、無電解銅メッキを厚さ0.5μmで行い、電解銅メッキ用レジスト層を厚さ18μm形成しパターン銅メッキし、温度200℃時間60分加熱してポストキュアした。次いで、メッキレジストを剥離し全面をフラッシュエッチングして、L/S=20/20μmのパターンを形成した。
最後に回路表面にソルダーレジスト(太陽インキ社製PSR4000/AUS308)を厚さ20μm形成しプリント配線板を得た。
(6)半導体装置の製造
プリント配線板は、前記で得られたプリント配線板であって、半導体素子の半田バンプ配列に相当するニッケル金メッキ処理が施された接続用電極部を配したものを50mm×50mmの大きさに切断し使用した。半導体素子(TEGチップ、サイズ15mm×15mm、厚み0.8mm)は、Sn/Pb組成の共晶で形成された半田バンプを有し、半導体素子の回路保護膜はポジ型感光性樹脂(住友ベークライト社製CRC−8300)で形成されたものを使用した。半導体装置の組み立ては、まず、半田バンプにフラックス材を転写法により均一に塗布し、次にフリップチップボンダー装置を用い、多層プリント配線板上に加熱圧着により搭載した。次に、IRリフロー炉で半田バンプを溶融接合した後、液状封止樹脂(住友ベークライト社製、CRP−4152S)を充填し、液状封止樹脂を硬化させることで半導体装置を得た。尚、液状封止樹脂の硬化条件は、温度150℃、120分の条件であった。
(実施例2)
2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンを83.5質量部、4,4‘−ジアミノジフェニルメタンを13.0質量部、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)を3.5質量部、水酸化アルミニウム(昭和電工製HP−360)を150質量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(実施例3)
2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンを81.1質量部、4,4‘−ジアミノジフェニルメタンを15.5質量部、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)を3.4質量部、水酸化アルミニウム(昭和電工製HP−360)を150質量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(実施例4)
2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンを84.6質量部、4,4‘−ジアミノジフェニルメタンを14.4質量部、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)を1.0質量部、水酸化アルミニウム(昭和電工製HP−360)を150質量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(実施例5)
2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンを81.8質量部、4,4‘−ジアミノジフェニルメタンを14.2質量部、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)を4.0質量部、水酸化アルミニウム(昭和電工製HP−360)を150質量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(実施例6)
2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンを82.6質量部、4,4‘−ジアミノジフェニルメタンを14.3質量部、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)(大内新興製ノクラックNS−6)を3.1質量部、水酸化アルミニウム(昭和電工製HP−360)を150質量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(実施例7)
2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンを83.5質量部、4,4‘−ジアミノジフェニルメタンを14.5質量部、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン(川口化学製アンテージDBH)を2.0質量部、水酸化アルミニウム(昭和電工製HP−360)を150質量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(実施例8)
2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンを81.8質量部、4,4‘−ジアミノジフェニルメタンを14.2質量部、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(大内新興製ノクラック200)を4.0質量部、水酸化アルミニウム(昭和電工製HP−360)を150質量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(実施例9)
2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンを82.4質量部、4,4‘−ジアミノジフェニルメタンを14.3質量部、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)(大内新興製ノクラック300)を3.3質量部、水酸化アルミニウム(昭和電工製HP−360)を150質量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(実施例10)
2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンを85.2質量部、4,4‘−ジアミノジフェニルメタンを14.8質量部、2,2’−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバガイギー製IRGANOX1035)を3.0質量部、水酸化アルミニウム(昭和電工製HP−360)を150質量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(実施例11)
ビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(ケイアイ化成製BMI−70、二重結合当量221)を78.5質量部、4,4‘−ジアミノジフェニルメタンを17.5質量部、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)を4.0質量部、水酸化アルミニウム(昭和電工製HP−360)を150質量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(実施例12)
2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンを77.6質量部、4,4‘−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5‘−ジメチルジフェニルメタン(イハラケミカル製キュアハードMED アミン当量70.5)を19.2質量部、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)を3.2質量部、水酸化アルミニウム(昭和電工製HP−360)を150質量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(実施例13)
2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンを79.1質量部、3,3’−ジエチル−4,4‘−ジアミノジフェニルメタン(日本化薬製カヤハードA−A アミン当量63.5)を17.6質量部、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)を3.3質量部、水酸化アルミニウム(昭和電工製HP−360)を150質量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(実施例14)
2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンを79.4質量部、4,4−ジアミノジフェニルスルホン(三井化学ファイン製4,4‘−DAS アミン当量62)を17.3質量部、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)を3.3質量部、水酸化アルミニウム(昭和電工製HP−360)を150質量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(実施例15)
2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンを74.4質量部、4,4−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン(三井化学ファイン製BISANILINE−P アミン当量86)を22.5質量部、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)を3.1質量部、水酸化アルミニウム(昭和電工製HP−360)を150質量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(実施例16)
2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンを71.3質量部、2,2‘−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(和歌山精化製BAPP アミン当量103)を25.7質量部、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)を3.0質量部、水酸化アルミニウム(昭和電工製HP−360)を150質量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(実施例17)
2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンを84.4質量部、4,4‘−ジアミノジフェニルメタンを13.7質量部、4,4’−イソプロピリデンビスフェノールを1.9質量部、水酸化アルミニウム(昭和電工製HP−360)を150質量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(実施例18)
2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンを84.3質量部、4,4‘−ジアミノジフェニルメタンを13.7質量部、4,4’−チオビスフェノールを2.0質量部、水酸化アルミニウム(昭和電工製HP−360)を150質量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(実施例19)
2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンを84.2質量部、4,4‘−ジアミノジフェニルメタンを13.7質量部、2,4,6−トリメチルフェノールを2.1質量部、水酸化アルミニウム(昭和電工製HP−360)を150質量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(比較例1)
2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンを85.2質量部、4,4‘−ジアミノジフェニルメタンを14.8質量部、水酸化アルミニウムを150質量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(比較例2)
2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンを89.3質量部、4,4‘−ジアミノジフェニルメタンを10.7質量部、水酸化アルミニウムを150質量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(比較例3)
2,2’−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンを79.7質量部、4,4‘−ジアミノジフェニルメタンを20.3質量部、水酸化アルミニウムを150質量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(比較例4)
ビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンを80.1質量部、4,4‘−ジアミノジフェニルメタンを19.9質量部、水酸化アルミニウム(昭和電工製HP−360)を150質量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
(比較例5)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC製エピクロンN−690、エポキシ当量220)を70.5質量部、4,4‘−ジアミノジフェニルメタンを25.7質量部、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)を3.8質量部、水酸化アルミニウム(昭和電工製HP−360)を150質量部とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製し、プリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置を得た。
各実施例及び比較例により得られた樹脂ワニス及び積層板について、次の各評価を行った。各評価を、評価方法と共に以下に示す。また得られた結果を表1に示す。
1.評価方法
(1)ゲルタイム
JIS C6521に準拠して、固形質量が0.15gとなる量のワニスを170℃に加熱したキュアプレート上に載せ、ストップウォッチで計時を開始する。棒の先端にて試料を均一に攪拌し、糸状に試料が切れてプレートに残るようになった時、ストップウォッチを止める。この試料が切れてプレートに残るようになるまでの時間をゲルタイムとした。
(2)ガラス転移温度
前記実施例、及び比較例で得られた厚さ0.4mmの両面銅張積層板を全面エッチングし、6mm×25mmの試験片を作製し、DMA装置(TAインスツルメント社製動的粘弾性測定装置DMA983)を用いて5℃/分で昇温し、tanδのピーク位置をガラス転移温度とした。
(3)線膨張係数
前記実施例、及び比較例で得られた厚さ0.4mmの両面銅張積層板を全面エッチングし、得られた積層板から5mm×20mmの試験片を作製し、TMA装置(TAインスツルメント社製)を用いて5℃/分の条件で、面方向(X方向)の線膨張係数を測定した。
(4)半田耐熱性
得られた積層板を50mm×50mmにグラインダーソーでカットした後、エッチングにより銅箔を1/4だけ残した試料を作製し、JIS C 6481に準拠して評価した。評価は、121℃、100%、2時間、PCT吸湿処理を行った後に、260℃及び288℃の半田槽に30秒間浸漬した後で外観の異常の有無を調べた。
評価基準:異常なし
:フクレあり(全体的にフクレの箇所がある)
:微小フクレ(ガラスクロスの上にできる小さなフクレ、初期段階)
(5)ピール強度
前記実施例、及び比較例で得られた厚さ0.4mmの両面銅張積層板から100mm×20mmの試験片を作製し、23℃におけるピール強度を測定した。
尚、ピール強度測定は、JIS C 6481に準拠して行った。
2.評価結果
表1から明らかなように、実施例1〜19は、本発明の熱硬化性組成物を用いた積層板であり、ガラス転移温度も高く、熱膨張係数も低い値であり、半田耐熱性も問題なく、密着性に優れていた。さらに、ゲルタイムが短いことから、生産性に優れるものであった。
本発明の熱硬化性化合物に含有される(C)フェノール系化合物を用いなかった比較例1〜4の積層板は、実施例1〜19の積層板と比較して、ゲルタイムが長く、生産性に劣るものとなり、密着性が十分な値とならなかった。
さらに、tert−ブチル基を有さないフェノール系化合物(実施例17〜19)を用いた積層板と比較して、tert−ブチル基を有したフェノール系化合物(実施例1〜16)を用いた積層板の方が高温での半田耐熱性がより優れる結果となった。
ビスマレイミドの代わりにエポキシ樹脂を用いた比較例5の積層板は、ゲルタイム、密着性は良好であるが、線膨張率が高く高温での半田耐熱性が劣る結果となった。
Figure 2011219504
Figure 2011219504
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なお、樹脂シートについても上記と同様な実験を行って同様な結果を得ることができた。
さらに、本発明の積層板及び樹脂シートを用いて形成されたプリント配線板は良好なものとなった。そして、そのプリント配線板に半導体を搭載してなる半導体装置も良好なものとなった。

Claims (9)

  1. (A)ビスマレイミド化合物と、(B)芳香族ジアミン化合物と、(C)フェノール系化合物とを含んでなる、熱硬化性組成物。
  2. 前記(C)フェノール系化合物が、少なくとも一つの疎水性基を有する、請求項1に記載の熱硬化性組成物。
  3. 前記疎水性基が、炭素数4〜10の置換若しくは無置換の炭化水素基である、請求項2に記載の熱硬化性組成物。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物を基材に含浸させてなる、プリプレグ。
  5. 請求項4に記載のプリプレグの少なくとも片面上に金属箔を配置してなる、積層板。
  6. 少なくとも2枚の前記プリプレグが積層されたプリプレグ積層体からなる、請求項5に記載の積層板。
  7. 請求項1から3のいずれか1項に記載の熱硬化性熱硬化性組成物を支持フィルム又は金属箔上に配置してなる、樹脂シート。
  8. 請求項4に記載のプリプレグ、請求項5若しくは請求項6に記載の積層板、又は請求項7に記載の樹脂シートから形成されたプリント配線板。
  9. 請求項8に記載のプリント配線板に半導体素子を搭載してなる半導体装置。
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