JP2011218957A - ハイブリッド自動車およびその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電動走行優先モードを用いて走行しているときに内燃機関を始動するときに生じ得る車両の振動をより効果的に抑制する。
【解決手段】電動走行優先モードでの走行中にエンジンを始動するときにエンジンの冷却水の温度Twが暖機が必要な温度範囲内で予め定められた閾値Tref未満のときには、通常始動時に比して大きな制御ゲインkvと大きな制限トルクTlimとを設定し(S880,S890)、制御ゲインkvと制限トルクTlimにより制振トルクTvを設定し(S900,S910)、この制振トルクTvによりモータトルク指令Tm2*を補正してモータMG2を駆動制御する。これによりエンジンを始動する際に生じ得る車両の振動を抑制することができ、この車両の振動により運転者や乗員に不快感や違和感を与えるのを抑制することができる。
【選択図】図7

Description

本発明は、ハイブリッド自動車およびその制御方法に関し、詳しくは、車軸に連結された駆動軸と内燃機関の出力軸と発電機の回転軸との3軸に3つの回転要素が接続された遊星歯車機構と、駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、発電機および電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、システム停止の状態で外部電源を用いて二次電池を充電する充電器と、を備えるハイブリッド自動車、および、こうしたハイブリッド自動車の制御方法に関する。
従来、この種のハイブリッド自動車としては、駆動軸に接続されたモータの回転角加速度により車両の駆動力変動を検出し、検出した駆動力変動とは逆位相の変動トルクによりモータのトルク指令を補正して制振制御を行ない、この制振のための制御ゲインをエンジン始動動作や停止動作の都度に学習して更新するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このハイブリッド自動車では、制振のための制御ゲインをエンジン始動動作や停止動作の都度に学習することにより、車両ごとの振動特性のばらつきや経時変化に対応している。そして、こうした変動トルクによりモータのトルク指令を補正して制振制御を行なう場合、変動トルクが大きいと補正したトルク指令が頻繁にバッテリの出力制限より大きくなることから、変動トルクが大きくなりすぎないように上限トルクにより制限されることも行なわれている。
特開2008−24022号公報
近年のハイブリッド自動車には、システム停止の状態で外部電源に接続して外部電源からの電力によりモータに電力を供給する二次電池を充電することができるいわゆるプラグインハイブリッド自動車も提案されている。このプラグインハイブリッド自動車では、システム起動される毎に二次電池が充電されるため、システム停止するまでに二次電池の蓄電量を低くするように、エンジンの運転を停止した状態でモータからのパワーだけで走行する電動走行を優先して走行する電動走行優先モードを用いて走行する。こうしたモードで電動走行している最中に、運転者が大きくアクセルペダルを踏み込んで大きな駆動力による走行が要求されると、モータからのパワーだけでは要求される駆動力を出力することができないため、エンジンを始動し、エンジンからのパワーとモータからのパワーとにより要求される駆動力を出力して走行する。この場合、エンジンを始動しても、上述したように、システム停止するまでに二次電池の蓄電量をできるだけ低くするために、エンジンからのパワーが不要になると、エンジンの暖機が完了するのを待つことなく直ちにエンジンの運転を停止する。従って、電動走行優先モードでのエンジンの始動は、暖機が完了していない状態で比較的大きな駆動力により走行するときに行なわれることとなる。暖機が完了していない状態でのエンジンの始動は、暖機が完了しているときに比して大きな燃料増量を伴って行なわれるため、初爆によるトルク変動が大きくなる。一方、車軸に連結された駆動軸とエンジンの出力軸と第1モータの回転軸との3軸に遊星歯車機構の3つの回転要素を接続すると共に駆動軸に動力を出力可能な第2モータとを有するハイブリッド自動車では、第2モータから比較的大きな駆動力を出力して走行しているときにエンジンを始動すると、エンジン自体に作用するトルクが大きくなるためにそのマウントが押しつぶされてマウントとしての機能を発揮できなくなる場合が生じる。こうしたマウントとしての機能が発揮できない状態で大きな燃料増量を伴ってエンジンを始動すると、クランキング時のトルク変動や初爆によるトルク変動が車軸側に大きく作用し、車両を振動させることになる。こうしたプラグインハイブリッド自動車に上述したハイブリッド自動車の制振のための制御ゲインをエンジン始動動作や停止動作の都度に学習するものを適用することも考えられるが、ハイブリッド走行を電動走行に優先して走行するハイブリッド走行優先モードを用いて走行しているときのエンジンの始動動作に基づいて制御ゲインを学習すると、このエンジン始動が暖機が完了した状態で且つ比較的小さな駆動力を出力している状態で行なわれることから、電動走行優先モードを用いて走行しているときのエンジン始動には有効に作用しない。
本発明のハイブリッド自動車およびその制御方法は、電動走行優先モードを用いて走行しているときに内燃機関を始動するときに生じ得る車両の振動をより効果的に抑制することを主目的とする。
本発明のハイブリッド自動車およびその制御方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の第1のハイブリッド自動車は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に3つの回転要素が接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、システム停止の状態で外部電源に接続されて該外部電源からの電力を用いて前記二次電池を充電する充電器と、システム起動したときに前記二次電池が所定の蓄電状態より蓄電された状態のときにはシステム起動から所定の解除条件が成立するまでは前記内燃機関の始動時における前記電動機による制振制御である始動時制振制御を伴って前記電動機から入出力される動力だけを用いて走行する電動走行を前記内燃機関から出力される動力と前記電動機から入出力される動力とを用いて走行するハイブリッド走行に優先して走行する電動走行優先モードを用いて走行に要求される要求駆動力により走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御し、前記所定の解除条件が成立した以降は前記始動時制振制御を伴って前記ハイブリッド走行を前記電動走行に優先して走行するハイブリッド走行優先モードを用いて前記要求駆動力により走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、を備えるハイブリッド自動車であって、
前記制御手段は、前記電動走行優先モードにより走行している最中に前記内燃機関を始動するときに前記内燃機関を冷却する冷却媒体の温度が該内燃機関の暖機が必要な温度範囲内で予め定められた所定温度未満の所定機関始動時には、前記所定機関始動時ではないときに比して大きな制振トルクを用いた前記始動時制振制御を伴って前記内燃機関を始動しながら走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する手段である、
ことを要旨とする。
この本発明の第1のハイブリッド自動車では、電動走行をハイブリッド走行に優先して走行する電動走行優先モードにより走行している最中に内燃機関を始動するときに、内燃機関を冷却する冷却媒体の温度が内燃機関の暖機が必要な温度範囲内で予め定められた所定温度未満の所定機関始動時には、内燃機関の始動時における電動機による制振制御としての始動時制振制御における制振トルクを所定機関始動時ではないときに比して大きくして内燃機関を始動しながら走行するよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。所定機関始動時ではないときに比して大きな制振トルクを用いて始動時制振制御を行なうことにより、暖機が必要な状態で且つ大きな駆動力により走行している状態での内燃機関の始動におけるクランキングや初爆により生じ得る車両の振動をより効果的に抑制することができる。
こうした本発明の第1のハイブリッド自動車において、前記制御手段は、前記所定機関始動時には、前記所定機関始動時ではないときに比して大きな制御ゲインを用いた前記始動時制振制御を伴って前記内燃機関を始動しながら走行するよう制御する手段である、ものとすることもできるし、前記制御手段は、前記所定機関始動時には、前記所定機関始動時ではないときに比して大きな上限トルクで制限を課して得られる制振トルクを用いた前記始動時制振制御を伴って前記内燃機関を始動しながら走行するよう制御する手段である、ものとすることもできる。いずれの手法を用いても或いは双方の手法を用いても、所定機関始動時ではないときに比して大きな制振トルクを用いた始動時制振制御とすることができる。
本発明の第2のハイブリッド自動車は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に3つの回転要素が接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、システム停止の状態で外部電源に接続されて該外部電源からの電力を用いて前記二次電池を充電する充電器と、システム起動したときに前記二次電池が所定の蓄電状態より蓄電された状態のときにはシステム起動から所定の解除条件が成立するまでは前記内燃機関の始動時における前記電動機による制振制御である始動時制振制御を伴って前記電動機から入出力される動力だけを用いて走行する電動走行を前記内燃機関から出力される動力と前記電動機から入出力される動力とを用いて走行するハイブリッド走行に優先して走行する電動走行優先モードを用いて走行に要求される要求駆動力に対して緩変化処理を施して得られる駆動力を実行用駆動力として前記駆動軸に出力して走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御し、前記所定の解除条件が成立した以降は前記始動時制振制御を伴って前記ハイブリッド走行を前記電動走行に優先して走行するハイブリッド走行優先モードを用いて前記要求駆動力に対して緩変化処理を施して得られる駆動力を実行用駆動力として前記駆動軸に出力して走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、を備えるハイブリッド自動車であって、
前記制御手段は、前記電動走行優先モードにより走行している最中に前記内燃機関を始動するときに前記内燃機関を冷却する冷却媒体の温度が該内燃機関の暖機が必要な温度範囲内で予め定められた所定温度未満の所定機関始動時には、前記実行用駆動力の一時的な減少を伴って前記内燃機関を始動しながら走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する手段である、
ことを要旨とする。
この本発明の第2のハイブリッド自動車では、電動走行をハイブリッド走行に優先して走行する電動走行優先モードにより走行している最中に内燃機関を始動するときに、内燃機関を冷却する冷却媒体の温度が内燃機関の暖機が必要な温度範囲内で予め定められた所定温度未満の所定機関始動時には、走行に要求される要求駆動力に対して緩変化処理を施して得られる駆動力である実行用駆動力を一時的に減少させて内燃機関を始動しながら走行するよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。実行用駆動力を一時的に減少させるため、大きな駆動力により走行している状態を緩和することができ、暖機が必要な状態で且つ大きな駆動力により走行している状態での内燃機関の始動におけるクランキングや初爆により生じ得る車両の振動をより効果的に抑制することができる。
こうした本発明の第2のハイブリッド自動車において、前記制御手段は、前記所定機関始動時には、前記内燃機関のクランキング開始時から前記内燃機関が初爆する前までの少なくとも所定時間に亘って前記実行用駆動力を減少させる手段である、ものとすることもできる。これにより、初爆により生じるより大きな車両の振動をより効果的に抑制することができる。
これらの本発明の第1または第2のハイブリッド自動車において、前記制御手段は、前記ハイブリッド走行優先モードを用いて走行しているときには前記要求駆動力が第1の閾値より大きくなったときに前記内燃機関を始動するよう制御し、前記電動走行優先モードを用いて走行しているときには前記要求駆動力が前記第1の閾値より大きな第2の閾値より大きくなったときに前記内燃機関を始動するよう制御する手段である、ものとすることもできる。
本発明の第1のハイブリッド自動車の制御方法は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に3つの回転要素が接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、システム停止の状態で外部電源に接続されて該外部電源からの電力を用いて前記二次電池を充電する充電器と、を備え、システム起動したときに前記二次電池が所定の蓄電状態より蓄電された状態のときにはシステム起動から所定の解除条件が成立するまでは前記内燃機関の始動時における前記電動機による制振制御である始動時制振制御を伴って前記電動機から入出力される動力だけを用いて走行する電動走行を前記内燃機関から出力される動力と前記電動機から入出力される動力とを用いて走行するハイブリッド走行に優先して走行する電動走行優先モードを用いて走行に要求される要求駆動力により走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御し、前記所定の解除条件が成立した以降は前記始動時制振制御を伴って前記ハイブリッド走行を前記電動走行に優先して走行するハイブリッド走行優先モードを用いて前記要求駆動力により走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御するハイブリッド自動車の制御方法であって、
前記電動走行優先モードにより走行している最中に前記内燃機関を始動するときに前記内燃機関を冷却する冷却媒体の温度が該内燃機関の暖機が必要な温度範囲内で予め定められた所定温度未満の所定機関始動時には、前記所定機関始動時ではないときに比して大きな制振トルクを用いた前記始動時制振制御を伴って前記内燃機関を始動しながら走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する、
ことを特徴とする。
この本発明の第1のハイブリッド自動車の制御方法では、電動走行をハイブリッド走行に優先して走行する電動走行優先モードにより走行している最中に内燃機関を始動するときに、内燃機関を冷却する冷却媒体の温度が内燃機関の暖機が必要な温度範囲内で予め定められた所定温度未満の所定機関始動時には、内燃機関の始動時における電動機による制振制御としての始動時制振制御における制振トルクを所定機関始動時ではないときに比して大きくして内燃機関を始動しながら走行するよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。所定機関始動時ではないときに比して大きな制振トルクを用いて始動時制振制御を行なうことにより、暖機が必要な状態で且つ大きな駆動力により走行している状態での内燃機関の始動におけるクランキングや初爆により生じ得る車両の振動をより効果的に抑制することができる。
本発明の第2のハイブリッド自動車の制御方法は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に3つの回転要素が接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、システム停止の状態で外部電源に接続されて該外部電源からの電力を用いて前記二次電池を充電する充電器と、を備え、システム起動したときに前記二次電池が所定の蓄電状態より蓄電された状態のときにはシステム起動から所定の解除条件が成立するまでは前記内燃機関の始動時における前記電動機による制振制御である始動時制振制御を伴って前記電動機から入出力される動力だけを用いて走行する電動走行を前記内燃機関から出力される動力と前記電動機から入出力される動力とを用いて走行するハイブリッド走行に優先して走行する電動走行優先モードを用いて走行に要求される要求駆動力に対して緩変化処理を施して得られる駆動力を実行用駆動力として前記駆動軸に出力して走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御し、前記所定の解除条件が成立した以降は前記始動時制振制御を伴って前記ハイブリッド走行を前記電動走行に優先して走行するハイブリッド走行優先モードを用いて前記要求駆動力に対して緩変化処理を施して得られる駆動力を実行用駆動力として前記駆動軸に出力して走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御するハイブリッド自動車の制御方法であって、
前記電動走行優先モードにより走行している最中に前記内燃機関を始動するときに前記内燃機関を冷却する冷却媒体の温度が該内燃機関の暖機が必要な温度範囲内で予め定められた所定温度未満の所定機関始動時には、前記実行用駆動力の一時的な減少を伴って前記内燃機関を始動しながら走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する、
ことを特徴とする。
この本発明の第2のハイブリッド自動車の制御方法では、電動走行をハイブリッド走行に優先して走行する電動走行優先モードにより走行している最中に内燃機関を始動するときに、内燃機関を冷却する冷却媒体の温度が内燃機関の暖機が必要な温度範囲内で予め定められた所定温度未満の所定機関始動時には、走行に要求される要求駆動力に対して緩変化処理を施して得られる駆動力である実行用駆動力を一時的に減少させて内燃機関を始動しながら走行するよう内燃機関と発電機と電動機とを制御する。実行用駆動力を一時的に減少させるため、大きな駆動力により走行している状態を緩和することができ、暖機が必要な状態で且つ大きな駆動力により走行している状態での内燃機関の始動におけるクランキングや初爆により生じ得る車両の振動をより効果的に抑制することができる。
本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 エンジン22の構成の概略を示す構成図である。 ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される走行モード設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 電動走行優先モードが走行モードMdに設定されているときにハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される電動走行優先モード駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 ハイブリッド走行優先モードが走行モードMdに設定されているときにハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるハイブリッド走行優先モード駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 エンジン22を始動するときにハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される始動時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 モータMG2を駆動制御するためにモータECU40により実行されるモータ制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子の一例を示す説明図である。 充放電要求パワー設定用マップの一例を示す説明図である。 エンジン22の始動時にモータMG1のトルク指令Tm1*に設定するトルクマップの一例とエンジン22の回転数Neの変化の様子の一例とを示す説明図である。 第2実施例のハイブリッド自動車20Bでエンジン22を始動するときにハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される始動時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 第2実施例でモータMG2を駆動制御するためにモータECU40により実行されるモータ制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 第2実施例のハイブリッド自動車20Bのエンジン22の始動時にモータMG1のトルク指令Tm1*に設定するトルクマップの一例とエンジン22の回転数Neと実行用トルクT*との変化の様子の一例とを示す説明図である。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の第1実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。第1実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、例えばガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関として構成されたエンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して複数のピニオンギヤ33を連結したキャリア34が接続されると共に駆動輪39a,39bにギヤ機構37とデファレンシャルギヤ38とを介して連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aにリングギヤ32が接続されて遊星歯車機構として構成された3軸式の動力分配統合機構30と、例えば周知の同期発電電動機として構成されて動力分配統合機構30のサンギヤ31にロータが接続されたモータMG1と、例えば周知の同期発電電動機として構成されて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに減速ギヤ35を介してロータが接続されたモータMG2と、モータMG1,MG2を駆動するためのインバータ41,42と、例えばリチウムイオン二次電池として構成されたバッテリ50と、バッテリ50からの電力を昇圧してインバータ41,42に供給する周知の昇圧コンバータとして構成された昇圧回路55と、バッテリ50と昇圧回路55との接続や接続の解除を行なうシステムメインリレー56と、昇圧回路55よりシステムメインリレー56側の低電圧系電力ライン59に取り付けられて外部電源100からの交流電力を直流電力に変換してバッテリ50を充電する充電器90と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、図2に示すように、エアクリーナ122により清浄された空気をスロットルバルブ124を介して吸入すると共に燃料噴射弁126からガソリンを噴射して吸入された空気とガソリンとを混合し、この混合気を吸気バルブ128を介して燃料室に吸入し、点火プラグ130による電気火花によって爆発燃焼させて、そのエネルギにより押し下げられるピストン132の往復運動をクランクシャフト26の回転運動に変換する。エンジン22からの排気は、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC),窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する浄化装置(三元触媒)134を介して外気へ排出される。
エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により制御されている。エンジンECU24は、CPU24aを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU24aの他に処理プログラムを記憶するROM24bと、データを一時的に記憶するRAM24cと、計時するタイマ24dと、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。エンジンECU24には、エンジン22の状態を検出する種々のセンサからの信号、クランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ140からのクランクポジションやエンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサ142からの冷却水温Tw,燃焼室内に取り付けられた圧力センサ143からの筒内圧力Pin,燃焼室へ吸排気を行なう吸気バルブ128や排気バルブを開閉するカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサ144からのカムポジション,スロットルバルブ124のポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサ146からのスロットルポジション,吸気管に取り付けられたエアフローメータ148からのエアフローメータ信号AF,同じく吸気管に取り付けられた温度センサ149からの吸気温,空燃比センサ135aからの空燃比AF,酸素センサ135bからの酸素信号などが入力ポートを介して入力されている。また、エンジンECU24からは、エンジン22を駆動するための種々の制御信号、例えば、燃料噴射弁126への駆動信号や、スロットルバルブ124のポジションを調節するスロットルモータ136への駆動信号、イグナイタと一体化されたイグニッションコイル138への制御信号、吸気バルブ128の開閉タイミングの変更可能な可変バルブタイミング機構150への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。なお、エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータを出力する。なお、エンジンECU24は、クランクポジションセンサ140からのクランクポジションに基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転角速度ωm1,ωm2や回転数Nm1,Nm2を演算したり、モータMG2の回転角速度ωm2に基づいてモータMG2の回転軸に換算した駆動輪39a,39bのの回転角速度としての駆動輪回転角速度ωbを演算したりしている。第1実施例では、駆動輪回転角速度ωbは、モータMG2から駆動輪39a,39bの間の特性に限定することにより得られる2慣性系の制御系設計モデルに対して制御サンプル時間で0次ホールドを用いて離散化したモデルを用いて演算するものとした。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された電圧センサ51aからの端子間電圧Vb,バッテリ50の正極側の出力端子に取り付けられた電流センサ51bからの充放電電流Ib,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために、電流センサ51bにより検出された充放電電流Ibの積算値に基づいてバッテリ50から放電可能な蓄電量の全容量に対する割合としての蓄電割合SOCを演算したり、演算した蓄電割合SOCと電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算したりする。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の蓄電割合SOCに基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。
充電器90は、車両側コネクタ92を外部電源100の外部電源側コネクタ102に接続することにより、外部電源100からの電力を用いてバッテリ50を充電する。充電器90は、図示しないが低電圧系電力ライン59と車両側コネクタ92との接続や接続の解除を行なう充電用リレーや、外部電源100からの交流電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータ,AC/DCコンバータにより変換した直流電力の電圧を変換して低電圧系電力ライン59側に供給するDC/DCコンバータなどを備える。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、昇圧回路55よりインバータ41,42側の高電圧系電力ライン54に取り付けられたコンデンサ57の端子間に取り付けられた電圧センサ57aからの電圧(高電圧系の電圧)VHや、低電圧系電力ライン59に取り付けられたコンデンサ58の端子間に取り付けられた電圧センサ58aからの電圧(低電圧系の電圧)VL,イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、昇圧回路55のスイッチング素子へのスイッチング制御信号やシステムメインリレー56への駆動信号,充電器90への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された第1実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。なお、トルク変換運転モードと充放電運転モードは、いずれもエンジン22の運転を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するモードであるから、以下、両者を合わせてエンジン運転モードとして考えることができる。
また、第1実施例のハイブリッド自動車20では、自宅や予め設定した充電ポイントに到達するときにエンジン22の始動については十分に行なうことができる程度にバッテリ50の蓄電割合SOCが低くなるように走行中にバッテリ50の充放電の制御を行ない、自宅や予め設定した充電ポイントで車両をシステム停止した後に充電器90の車両側コネクタ92を外部電源100の外部電源側コネクタ102に接続し、充電器90の図示しないDC/DCコンバータとAC/DCコンバータとを制御することによって外部電源100から電力によりバッテリ50を満充電や満充電より低い所定の充電状態とする。そして、バッテリ50の充電後にシステム起動したときには、図3に例示する走行モード設定ルーチンに示すように、システム起動したときのバッテリ50の蓄電割合SOCがある程度の電動走行が可能な蓄電割合SOCとして予め設定された閾値Shv1(例えば40%や50%など)以上のときにバッテリ50の蓄電割合SOCがエンジン22の始動を行なうことができる程度に設定された閾値Shv2(例えば20%や30%など)に至るまでモータ運転モードによる走行(電動走行)を優先して走行する電動走行優先モードを設定して走行し(ステップS100〜S140)、システム起動したときのバッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Shv1未満のときやシステム起動したときのバッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Shv1以上であってもその後にバッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Shv2に至った以降はエンジン運転モードによる走行(ハイブリッド走行)を優先して走行するハイブリッド走行優先モードを設定して走行する(ステップS150)。
次に、第1実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に電動走行優先モードでの走行中にエンジン22を始動するときに生じ得る車両の振動を抑制する際の動作について説明する。この制振制御は、前提として、電動走行優先モードでの走行中のエンジン始動であり、比較の対象としてハイブリッド走行優先モードでも走行中のエンジン始動が用いられるため、まず、電動走行優先モードやハイブリッド走行優先モードによる走行中の駆動制御と両モードでエンジン22を始動する際の始動時駆動制御を説明し、その後、制振制御について説明する。図4は電動走行優先モードを用いて走行しているときにハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される電動走行優先モード駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図5はハイブリッド走行優先モードを用いて走行しているときにハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるハイブリッド走行優先モード駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図6はエンジン22を始動するときにハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される始動時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。また、図7は、エンジン22の始動時を含めてモータMG2による制振制御とモータMG2の駆動制御とを実行するためにモータECU40により実行されるモータ制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。図4および図5の駆動制御ルーチンは、エンジン22を始動しているときを除いて所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。また、図7のモータ制御ルーチンは、所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。
図4の電動走行優先モード駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50の蓄電割合SOC,バッテリ50の入出力制限Win,Woutなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS200)。ここで、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されたモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。また、バッテリ50の蓄電割合SOCは、電流センサ51bにより検出されたバッテリ50の充放電電流Ibの積算値に基づいて演算されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。さらに、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、バッテリ50の電池温度Tbとバッテリ50の蓄電割合SOCとに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪63a,63bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定すると共に(ステップS210)、設定した要求トルクTr*に緩変化処理としてのレートリミット処理を用いて実行用トルクT*を設定する(ステップS220)。ここで、要求トルクTr*は、第1実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図8に要求トルク設定用マップの一例を示す。レートリミット処理は、実行用トルクT*をレート値Trtだけ要求トルクTr*に向かう方向に変化させる処理であり、具体的には、要求トルクTr*が実行用トルクT*より大きいときには次式(1)により実行用トルクT*を設定し、要求トルクTr*が実行用トルクT*より小さいときには式(2)により実行用トルクT*を設定するのである。なお、レート値Trtは、本ルーチンの起動間隔時間において制御可能な要求トルクTr*の変化量より若干小さな値として固定した値としたり、この値より小さい範囲でアクセルペダル83の踏み込み速度に応じて変化する値としたりすることができる。このように、レートリミット処理を用いて実行用トルクT*を設定することにより、要求トルクTr*が急変しても、制御可能な実行用トルクT*を用いて制御することができる。
T*←T*+Trt (1)
T*←T*-Trt (2)
続いて、設定した実行用トルクT*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じたものと損失としてのロスLossとの和として走行のために車両に要求される走行用パワーPdrv*とを設定すると共に(ステップS230)、電力を駆動系のパワーに換算する換算係数kwをバッテリ50の出力制限Woutに乗じて得られる値と常温(例えば25℃)で蓄電割合SOCが80%程度のときのバッテリ50の出力制限Woutに相当するパワーより若干小さな値として予め定められたEV用判定パワーPevとのうち小さい方をエンジン22を始動するための閾値Pstartに設定する(ステップS240)。ここで、リングギヤ軸32aの回転数Nrは、車速Vに換算係数kを乗じること(Nr=k・V)によって求めたり、モータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで割ること(Nr=Nm2/Gr)によって求めることができる。
そして、エンジン22が運転中であるか或いは運転停止中であるかを判定し(ステップS250)、エンジン22が運転停止中であるときには、設定した走行用パワーPdrv*が閾値Pstart以下であるか否かを判定し(ステップS260)、走行用パワーPdrv*が閾値Pstart以下であるときには、電動走行を継続可能と判断し、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定すると共に(ステップS270)、実行用トルクT*を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したものをモータMG2から出力すべきトルク指令Tm2*として設定し(ステップS280)、設定したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS290)、本ルーチンを終了する。トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*,Tm2*のトルクがモータMG1,MG2から出力されるようインバータ41,42の図示しないスイッチング素子をスイッチング制御する。こうした制御により、モータMG2から駆動軸としてのリングギヤ軸32aに要求トルクTr*を出力して走行することができる。なお、モータECU40によりトルク指令Tm2*に基づいてモータMG2を駆動制御する様子については図7のモータ制御ルーチンの説明の際に説明する。
ステップS260で走行用パワーPdrv*が閾値Pstartより大きいと判定されると、エンジン22を始動するためにエンジン始動制御を実行する(ステップS300)。このエンジン始動制御については後述する。
エンジン22の始動が完了すると、ステップS250でエンジン22は運転中であると判定されるから、走行用パワーPdrv*を閾値Pstartからマージンとしての所定パワーαを減じた値と比較する(ステップS310)。ここで、所定パワーαは、走行用パワーPdrv*が閾値Pstart近傍のときにエンジン22の始動と停止とが頻繁に生じないようにヒステリシスを持たせるためのものであり、適宜設定することができる。走行用パワーPdrv*が閾値Pstartから所定パワーαを減じた値以上のときには、エンジン22の運転を継続すべきと判断し、走行用パワーPdrv*をエンジン22から出力すべきエンジン要求パワーPe*とすると共にエンジン要求パワーPe*とエンジン22を効率よく動作させる動作ラインとに基づいてエンジン22を運転すべき運転ポイントとしての目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(ステップS320)。エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を図9に示す。図示するように、目標回転数Ne*と目標トルクTe*は、動作ラインと要求パワーPe*(Ne*×Te*)が一定の曲線との交点により求めることができる。
続いて、エンジン22の目標回転数Ne*とモータMG2の回転数Nm2と動力分配統合機構30のギヤ比(サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)ρとを用いて次式(3)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に計算した目標回転数Nm1*と入力したモータMG1の回転数Nm1とに基づいて式(4)によりモータMG1から出力すべきトルク指令Tm1*を計算する(ステップS330)。ここで、式(3)は、動力分配統合機構30の回転要素に対する力学的な関係式である。ここで、式(4)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(4)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ-Nm2/ρ (3)
Tm1*=ρ・Te*/(1+ρ)+k1(Nm1*-Nm1)+k2∫(Nm1*-Nm1)dt (4)
そして、実行用トルクT*とトルク指令Tm1*と動力分配統合機構30のギヤ比ρを用いてモータMG2から出力すべきトルクとしてのトルク指令Tm2*を次式(5)により計算して設定し(ステップS340)、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信して(ステップS350)、本ルーチンを終了する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24はエンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とからなる運転ポイント(目標運転ポイント)で運転されるようエンジン22の燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などを行い、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*,Tm2*のトルクがモータMG1,MG2から出力されるようインバータ41,42の図示しないスイッチング素子をスイッチング制御する。ここで、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とからなる運転ポイントで運転されている場合を考えると、エンジン22から目標回転数Ne*と目標トルクTe*とからなる走行用パワーPdrv*を出力し、動力分配統合機構30と二つのモータMG1,MG2により駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転数Nrと実行用トルクT*とからなるパワーに変換して走行することになる。
Tm2*=(T*+Tm1*/ρ)/Gr (5)
ステップS310で走行用パワーPdrv*が閾値Pstartから所定パワーαを減じた値未満であると判定されると、エンジン22の運転を停止し(ステップS360)、電動走行するようモータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定すると共に要求トルクTr*を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したものをモータMG2のトルク指令Tm2*に設定し、設定したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS270〜S290)、本ルーチンを終了する。
こうした電動走行優先モード駆動制御ルーチンを実行することにより、第1実施例のハイブリッド自動車20は、基本的には走行用パワーPdrv*が通常時におけるバッテリ50の出力制限Woutに相当するパワーより若干小さく設定されたEV用判定パワーPev未満のときには電動走行により走行し、走行用パワーPdrv*がEV用判定パワーPev以上のときにはエンジン22から走行用パワーPdrv*を出力して走行するハイブリッド走行により走行することになり、システム停止までにバッテリ50の蓄電割合SOCを小さくする。
次に、ハイブリッド走行優先モードにより走行する際の動作について説明する。図5のハイブリッド走行優先モード駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50の蓄電割合SOC,バッテリ50の入出力制限Win,Woutなど制御に必要なデータを入力し(ステップS400)、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいてリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定すると共に(ステップS410)、設定した要求トルクTr*に緩変化処理としてのレートリミット処理を用いて実行用トルクT*を設定し(ステップS420)、設定した実行用トルクT*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じたものと損失としてのロスLossとの和として走行のために車両に要求される走行用パワーPdrv*とを設定する(ステップS430)。これらの処理は、電動走行優先モード駆動制御ルーチンのステップS200〜S230と同一である。
続いて、蓄電割合SOCに基づいてバッテリ50を充放電するためにエンジン22から出力すべきパワーとしての充放電要求パワーPb*を設定すると共に(ステップS432)、走行用パワーPdrv*と充放電要求パワーPb*の和としてエンジン要求パワーPe*を設定し(ステップS434)、エンジン22を図9に示した動作ライン上で比較的効率よく運転することができる最低パワーとして予め定められたHV用判定パワーPhvをエンジン22を始動するための閾値Pstartに設定する(ステップS440)。ここで、充放電要求パワーPb*は、第1実施例では、蓄電割合SOCと充放電要求パワーPb*との関係を予め定めて充放電要求パワー設定用マップとしてROM74に記憶しておき、蓄電割合SOCが与えられるとマップから対応する充放電要求パワーPb*を導出することにより設定するものとした。充放電要求パワー設定用マップの一例を図10に示す。図示するように、図3の走行モード設定ルーチンでハイブリッド走行優先モードに移行する際に用いた閾値Shv2(例えば20%や30%など)と同じかこれより若干大きい値として予め定められた目標蓄電割合SOC*を中心とする制御範囲(例えば、目標蓄電割合SOC*からプラスマイナス5%や10%の範囲など)より蓄電割合SOCが大きいときには蓄電割合SOCに応じて放電用の負の値のパワーが充放電要求パワーPb*に設定され、制御範囲より蓄電割合SOCが小さいときには蓄電割合SOCに応じて充電用の正の値のパワーが充放電要求パワーPb*に設定される。このように蓄電割合SOCが目標蓄電割合SOC*を中心とする制御範囲内のときには値0の充放電要求パワーPb*を設定するのは、バッテリ50の頻繁な充放電を抑制するためである。なお、HV用判定パワーPhvは、上述したように、エンジン22を図9に示した動作ライン上で比較的効率よく運転することができる最低パワーとして予め定められたものであるため、図4の電動走行優先モード駆動制御ルーチンのEV用判定パワーPevに比して、かなり小さな値として定められている。
こうして各値を設定すると、エンジン22が運転中であるか或いは運転停止中であるかを判定し(ステップS450)、エンジン22が運転停止中であるときには、設定したエンジン要求パワーPe*が閾値Pstart以下であるか否かを判定し(ステップS460)、エンジン要求パワーPe*が閾値Pstart以下であるときには、電動走行を継続可能と判断して、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定すると共に(ステップS470)、実行用トルクT*を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したものをモータMG2から出力すべきトルク指令Tm2*として設定し(ステップS480)、設定したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS490)、本ルーチンを終了する。これらの処理は、走行用パワーPdrv*に代えてエンジン要求パワーPe*を閾値Pstartと比較することを除いて図4の電動走行優先モード駆動制御ルーチンのステップS250〜S290の処理と同一である。
こうした電動走行を継続していると、蓄電割合SOCが小さくなり、ステップS432で大きな充放電要求パワーPb*が設定されることや比較的小さなパワーであるHV判定用パワーが閾値Pstartに設定されていることから、走行用パワーPdrv*と充放電要求パワーPb*との和であるエンジン要求パワーPe*は容易に閾値Pstartより大きくなり、ステップS460で否定的な判定がなされ、エンジン22を始動するためにエンジン始動制御が行なわれる(ステップS500)このエンジン始動制御については後述する。
エンジン22の始動が完了すると、ステップS450でエンジン22は運転中であると判定されるから、エンジン要求パワーPe*を閾値Pstartからマージンとしての所定パワーβを減じた値と比較する(ステップS510)。ここで、所定パワーβは、エンジン要求パワーPe*が閾値Pstart近傍のときにエンジン22の始動と停止とが頻繁に生じないようにヒステリシスを持たせるためのものであり、適宜設定することができ、前述の所定パワーαと同一であってもよく、異なる値としてもよい。エンジン要求パワーPe*が閾値Pstartから所定パワーβを減じた値以上のときには、エンジン22の運転を継続すべきと判断し、エンジン要求パワーPe*と図9の動作ラインとを用いて目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定し(ステップS520)、上述の式(3)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に式(4)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を計算する(ステップS530)。そして、上述の式(5)により計算される値(Tm2*)をモータMG2から出力すべきトルクの仮の値である仮トルクTm2tmpとして計算すると共に(ステップS540)、バッテリ50の入出力制限Win,Woutと設定したトルク指令Tm1*に現在のモータMG1の回転数Nm1を乗じて得られるモータMG1の消費電力(発電電力)との偏差をモータMG2の回転数Nm2で割ることによりモータMG2から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tm2min,Tm2maxを次式(6)および式(7)により計算すると共に(ステップS542)、設定した仮トルクTm2tmpを式(8)によりトルク制限Tm2min,Tm2maxで制限してモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し(ステップS544)、設定した目標回転数Ne*や目標トルクTe*,トルク指令Tm1*,Tm2*をエンジンECU24やモータECU40に送信して(ステップS550)、本ルーチンを終了する。ここで、バッテリ50の入出力制限Win,WoutによりモータMG2のトルク指令Tm2*を制限するのは、過大な電力によるバッテリ50の充放電を防止するためである。
Tm2min=(Win-Tm1*・Nm1)/Nm2 (6)
Tm2max=(Wout-Tm1*・Nm1)/Nm2 (7)
Tm2*=max(min(Tm2tmp,Tm2max),Tm2min) (8)
ステップS510でエンジン要求パワーPe*が閾値Pstartから所定パワーβを減じた値未満であると判定されると、エンジン22の運転を停止し(ステップS560)、電動走行するようモータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定すると共に要求トルクTr*を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したものをモータMG2のトルク指令Tm2*に設定し、設定したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信して(ステップS470〜S490)、本ルーチンを終了する。
こうしたハイブリッド走行優先モード駆動制御ルーチンを実行することにより、第1実施例のハイブリッド自動車20は、走行に必要な走行用パワーPdrv*とバッテリ50の蓄電割合SOCを目標蓄電割合SOC*を中心とする制御範囲内とするための充放電要求パワーPb*との和としてのエンジン要求パワーPe*がエンジン22を比較的効率よく運転することができるHV用判定パワーPhv以下のときには電動走行により走行し、エンジン要求パワーPe*がHV用判定パワーPhvより大きいときにはエンジン22からエンジン要求パワーPe*を出力してバッテリ50の充放電を伴って走行するハイブリッド走行により走行することになり、蓄電割合SOCを目標蓄電割合SOC*を中心とする制御範囲内に制御しながら効率よく走行する。
次に、電動走行優先モードやハイブリッド走行優先モードで走行しているときにエンジン22を始動する際の動作について説明する。図6の始動時駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50の蓄電割合SOC,バッテリ50の入出力制限Win,Woutなど制御に必要なデータを入力し(ステップS600)、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいてリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定すると共に(ステップS610)、設定した要求トルクTr*に緩変化処理としてのレートリミット処理を用いて実行用トルクT*を設定し(ステップS620)、設定した実行用トルクT*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じたものと損失としてのロスLossとの和として走行のために車両に要求される走行用パワーPdrv*とを設定する(ステップS630)。これらの処理は、電動走行優先モード駆動制御ルーチンのステップS200〜S230と同一である。
次に、エンジン始動時のトルクマップとエンジン22の始動開始からの経過時間tとに基づいてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する(ステップS640)。エンジン22の始動時にモータMG1のトルク指令Tm1*に設定するトルクマップの一例とエンジン22の回転数Neの変化の様子の一例とを図11に示す。第1実施例のトルクマップは、エンジン22の始動指示がなされた時間t11の直後からレート処理を用いて比較的大きなトルクをトルク指令Tm1*に設定してエンジン22の回転数Neを迅速に増加させる。エンジン22の回転数Neが共振回転数帯を通過したか共振回転数帯を通過するのに必要な時間以降の時間t12にエンジン22を安定して回転数Nref以上でモータリングすることができるトルクをトルク指令Tm1*に設定し、電力消費や駆動軸としてのリングギヤ軸32aにおける反力を小さくする。そして、エンジン22の回転数Neが回転数Nrefに至った時間t13からレート処理を用いてトルク指令Tm1*を値0とし、エンジン22の完爆が判定された時間t15から発電用のトルクをトルク指令Tm1*に設定する。ここで、回転数Nrefは、エンジン22の燃料噴射制御や点火制御を開始する回転数である。
こうしてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定すると、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で実行用トルクT*を駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するようモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し(ステップS650〜S670)、設定したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信し(ステップS680)、エンジン22の回転数Neが上述した回転数Nref以上であるか否かを判定し(ステップS690)、エンジン22の回転数Neが回転数Nref未満であるときにはステップS600に戻り、エンジン22の回転数Neが回転数Nref以上に至るまでステップS600〜S690の処理を繰り返す。ここで、ステップS650〜S670の処理は、図5のハイブリッド走行優先モード駆動制御ルーチンのステップS540〜S544の処理と同一である。
繰り返しステップS600〜S690の処理を実行しているうちにエンジン22の回転数Neが回転数Nref以上に至ると、エンジン22の燃料噴射や点火を開始する旨の制御信号をエンジンECU24に送信してエンジン22の燃料噴射と点火を開始し(ステップS700)、エンジン22が完爆に至ったか否かを判定し(ステップS710)、完爆に至ると、本ルーチンを終了する。
こうしたエンジン22の始動時の駆動制御により、エンジン22を始動しながらバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で実行用トルクT*を駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力して走行することができる。
次に、第1実施例のハイブリッド自動車20においてエンジン22の始動時を含めて行なわれる制振制御について説明する。制振制御は、第1実施例では、モータMG2のトルク指令Tm2*を受信したモータECU40が図7のモータ制御ルーチンを実行してトルク指令Tm2*を補正することにより行なわれる。モータ制御ルーチンが実行されると、モータECU40は、まず、モータMG2の回転角速度であるモータ回転角速度ωm2や駆動輪回転角速度ωb,走行モードMd,エンジン22の冷却水の温度(冷却水温)Tw,モータMG2のトルク指令Tm2*など制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS800)。ここで、走行モードMdは、ハイブリッド用電子制御ユニット70により設定されたものを通信により入力するものとした。また、冷却水温Twは、水温センサ142により検出されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、エンジン22の始動中であるか否か、即ち、図7の始動時駆動制御ルーチンを実行しているか否かを判定する(ステップS810)。エンジン22の始動中ではないときには、制振トルクを設定するための制御ゲインkvに通常時の値kset0を設定すると共に(ステップS820)、制振トルクの大きさ(正側および負側の大きさ)を制限するための制限トルクTlimに通常時の値Tset0を設定し(ステップS830)、次式(9)によりモータ回転角速度ωm2と駆動輪回転角速度ωbとの差に設定した制御ゲインkvを乗じた値として仮の制振トルクTvtmpを設定し(ステップS900)、式(10)に示すように設定した仮制振トルクTvtmpの大きさ(正側および負側の大きさ)を制限トルクTlimにより制限することにより制振トルクTvを設定し(ステップS910)、設定した制振トルクTvとトルク指令Tm2*との和を実行トルクT2*として設定し(ステップS920)、設定した実行トルクT2*がモータMG2から出力されるようパルス幅変調制御(PWM制御)などによりインバータ42の図示しないスイッチング素子をスイッチングしてモータMG2を駆動して(ステップS930)、本ルーチンを終了する。ここで、制御ゲインkvとして設定した通常時の値kset0は、エンジン22を運転している最中に生じる車両の振動を抑制することができる程度に設定されたものであり、実験などにより求めることができる。また、制限トルクTlimとして設定した通常時の値Tset0は、エンジン22を運転している最中に生じる車両の振動を抑制することができる程度に且つモータMG2から出力する実行トルクT2*がバッテリ50の入出力制限Win,Woutを超えないように制振トルクTvの大きさを制限するために設定されたものであり、実験などにより定めることができる。
Tvtmp=kv(ωm2−ωb) (9)
Tv=max(min(Tvtmp,Tlim),-Tlim) (10)
ステップS810でエンジン22が始動中であると判定されると、走行モードMdが電動走行優先モードであるか否かを判定すると共に(ステップS840)、冷却水温Twがエンジン22の暖機が必要な温度範囲内で予め設定された温度(例えば40℃など)としての閾値Tref未満であるか否かを判定する(ステップS850)。走行モードMdがハイブリッド走行優先モードであったり、走行モードMdが電動走行優先モードであっても冷却水温Twが閾値Tref以上のときには、エンジン22の通常始動時と判断し、制御ゲインkvに通常始動時の値kset1を設定すると共に(ステップS860)、制限トルクTlimに通常始動時の値Tset1を設定し(ステップS870)、設定した制御ゲインkvと制限トルクTlimを式(9)および式(10)に適用して制振トルクTvを設定し(ステップS910)、設定した制振トルクTvとトルク指令Tm2*との和を実行トルクT2*として設定してモータMG2を駆動制御して(ステップS920,S930)本ルーチンを終了する。ここで、制御ゲインkvとして設定した通常始動時の値kset1は、エンジン22の暖機が完了している状態やある程度完了している状態でエンジン22を始動するときに生じる車両の振動を抑制することができる程度に設定されたものであり、実験などにより求めることができる。また、制限トルクTlimとして設定した通常始動時の値Tset1は、エンジン22の暖機が完了している状態やある程度完了している状態でエンジン22を始動するときに生じる車両の振動を抑制することができる程度に且つモータMG2から出力する実行トルクT2*がバッテリ50の入出力制限Win,Woutを超えないように制振トルクTvの大きさを制限するために設定されたものであり、実験などにより定めることができる。
走行モードMdが電動走行優先モードであり且つ冷却水温Twが閾値Tref未満のときには、エンジン22の始動により通常始動時の制振制御では車両に振動が生じて運転者や乗員に不快感や違和感を与えると判断し、制御ゲインkvに通常始動時の値kset1より大きな値kset2を設定すると共に(ステップS880)、制限トルクTlimに通常始動時の値Tset1より大きな値Tse2を設定し(ステップS890)、設定した制御ゲインkvと制限トルクTlimを式(9)および式(10)に適用して制振トルクTvを設定し(ステップS910)、設定した制振トルクTvとトルク指令Tm2*との和を実行トルクT2*として設定してモータMG2を駆動制御して(ステップS920,S930)本ルーチンを終了する。ここで、制御ゲインkvに通常始動時の値kset1より大きな値kset2を用いると共に制限トルクTlimとに通常始動時の値Tset1より大きな値Tset2を用いるのは、車両の振動を十分に抑制することができるように通常始動時に比して大きな制振トルクTvを設定するためである。上述したように、電動走行優先モードでエンジン22の暖機が完了していない状態でエンジン22を始動すると、大きな燃料増量を用いた初爆による大きなトルク変動と、大きな駆動力(実行用トルクT*)での走行中のエンジン始動によるエンジン22のマウントのつぶれによる制振効果不足と、により、ハイブリッド走行優先モードでのエンジン始動時や暖機完了状態時の電動走行優先モードでのエンジン始動時である通常始動時に比して、クランキング時や初爆時に車両に大きな振動が生じる。第1実施例では、この車両に生じる大きな振動を抑制するために、通常始動時に比して大きな制御ゲインkvと大きな制限トルクTlimを用いて大きな制振トルクTvが設定されるようにするのである。これにより、電動走行優先モードでの走行中に暖機が完了していないエンジン22を始動する際に生じる車両の振動を抑制することができる。
以上説明した第1実施例のハイブリッド自動車20によれば、電動走行優先モードでの走行中にエンジン22を始動するときにエンジン22の冷却水の温度Twが暖機が必要な温度範囲内で予め定められた閾値Tref未満のときには、通常始動時に比して大きな制御ゲインkvと大きな制限トルクTlimとを用いて大きな制振トルクTvを設定し、この大きな制振トルクTvを用いてモータMG2による制振制御を行なうことにより、電動走行優先モードでの走行中に暖機が完了していないエンジン22を始動する際に生じ得る車両の振動を抑制することができ、この車両の振動により運転者や乗員に不快感や違和感を与えるのを抑制することができる。
第1実施例のハイブリッド自動車20では、走行モードMdが電動走行優先モードであり且つ冷却水温Twが閾値Tref未満のときにエンジン22を始動するときには、制御ゲインkvに通常始動時の値kset1より大きな値kset2を設定すると共に制限トルクTlimに通常始動時の値Tset1より大きな値Tse2を設定し、この制御ゲインkvと制限トルクTlimとを用いて通常始動時より大きな制振トルクTvを設定してモータMG2による制振制御を行なうものとしたが、走行モードMdが電動走行優先モードであり且つ冷却水温Twが閾値Tref未満のときには大きな制振トルクTvが設定されてモータMG2による制振制御が行なわれればよいから、制御ゲインkvには通常始動時の値kset1より大きな値kset2を設定するが制限トルクTlimには通常始動時の値Tset1を設定するものとしたり、逆に、制限トルクTlimには通常始動時の値Tset1より大きな値Tset2を設定するが制御ゲインkvには通常始動時の値kset1を設定するがものとしたりしても構わない。
第1実施例のハイブリッド自動車20では、駆動輪回転角速度ωbについては、モータMG2から駆動輪39a,39bの間の特性に限定することにより得られる2慣性系の制御系設計モデルに対して制御サンプル時間で0次ホールドを用いて離散化したモデルを用いて演算するものとしたが、駆動輪39a,39bに車輪速センサを取り付けて車輪速センサからの信号に基づいて演算するものとしても構わない。
第1実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22を始動中ではないときには制御ゲインkvに通常時の値kset0を設定し、走行モードMdがハイブリッド走行優先モードであったり走行モードMdが電動走行優先モードであっても冷却水温Twが閾値Tref以上のときには制御ゲインkvに通常始動時の値kset1を設定するものとしたが、値kset0と値kset1は同一の値であってもよいし異なる値であってもよい。また、第1実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22を始動中ではないときには制限トルクTlimに通常時の値Tset0を設定し、走行モードMdがハイブリッド走行優先モードであったり走行モードMdが電動走行優先モードであっても冷却水温Twが閾値Tref以上のときには制限トルクTlimに通常始動時の値Tset1を設定するものとしたが、値Tset0と値Tset1は同一の値であってもよいし異なる値であってもよい。
次に、本発明の第2実施例としてのハイブリッド自動車20Bについて説明する。第2実施例のハイブリッド自動車20Bのハード構成は図1および図2を用いて説明した第1実施例のハイブリッド自動車20と同一のハード構成をしている。従って、重複する説明を回避するために、第2実施例のハイブリッド自動車20Bのハード構成については第1実施例のハード構成と同一の符号を付し、その説明は省略する。第2実施例のハイブリッド自動車20Bでも、第1実施例のハイブリッド自動車20と同様に、図3の走行モード設定ルーチンによる走行モードの設定や図4の電動走行優先モード駆動制御ルーチンや図5のハイブリッド走行優先モード駆動制御ルーチンによる駆動制御が行なわれている。第2実施例のハイブリッド自動車20Bでは、図4の電動走行優先モード駆動制御ルーチンのステップS300や図5のハイブリッド走行優先モード駆動制御ルーチンのステップS500でエンジン22を始動するときには、図6の始動時駆動制御ルーチンに代えて図12の始動時駆動制御ルーチンが実行され、モータMG2による制振制御については、図7のモータ制御ルーチンに代えて図13のモータ制御ルーチンが実行される。この図13のモータ制御ルーチンでは、エンジン22の始動中には、走行モードMdやエンジン22の冷却水の温度Twに拘わらずに、制御ゲインkvに通常始動時の値kset1を設定すると共に(ステップS860)、制限トルクTlimに通常始動時の値Tset1を設定し(ステップS870)、設定した制御ゲインkvと制限トルクTlimを式(9)および式(10)に適用して制振トルクTvを設定し(ステップS910)、設定した制振トルクTvとトルク指令Tm2*との和を実行トルクT2*として設定してモータMG2を駆動制御する(ステップS920,S930)。即ち、第2実施例のハイブリッド自動車20Bでは、第1実施例のハイブリッド自動車20とは異なり、エンジン22の始動中は、走行モードMdやエンジン22の冷却水の温度Twに無関係に、常に通常始動時の値kset1と値Tset1とが制御ゲインkvと制限トルクTlimに設定されて制振制御が行なわれる。第2実施例のハイブリッド自動車20Bでは、上述の図12の始動時駆動制御ルーチンを実行することにより、通常制動時の値kset1および値Tset1を制御ゲインkvおよび制限トルクTlimとして用いた制振制御でも、走行モードMdが電動走行優先モードであり且つ冷却水温Twが閾値Tref未満のときにエンジン22を始動するときに生じ得る車両の振動を抑制している。以下に、図12の始動時駆動制御ルーチンを用いて第2実施例のハイブリッド自動車20によるエンジン22の始動制御を説明する。なお、説明と理解を容易にするために、図12の始動時駆動制御ルーチンの処理のうち図6の始動時駆動制御ルーチンの処理と同一の処理については同一のステップ番号を付した。
図12の始動時駆動制御ルーチンが実行されると、第2実施例のハイブリッド自動車20Bのハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50の蓄電割合SOC,バッテリ50の入出力制限Win,Woutなど制御に必要なデータを入力し(ステップS600)、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいてリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定する(ステップS610)。
続いて、走行モードMdが電動走行優先モードであるか否かを判定すると共に(ステップS612)、冷却水温Twがエンジン22の暖機が必要な温度範囲内で予め設定された温度(例えば40℃など)としての閾値Tref未満であるか否かを判定する(ステップS614)。いま、走行モードMdがハイブリッド走行優先モードのときや走行モードMdが電動走行優先モードであっても冷却水温Twが閾値Tref以上のときを考えれば、ステップS612か或いはステップS614で否定的な判定がなされる。このときには、設定した要求トルクTr*に緩変化処理としてのレートリミット処理を用いて実行用トルクT*を設定し(ステップS620)、設定した実行用トルクT*をバッテリ50の範囲内で駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力しながらモータMG2による反力を伴ってモータMG1によるエンジン22のクランキングを行なう処理(ステップS630〜S680)を実行し、エンジン22の回転数Neが上述した回転数Nref以上であるか否かを判定し(ステップS690)、エンジン22の回転数Neが回転数Nref未満であるときにはステップS600に戻り、エンジン22の回転数Neが回転数Nref以上に至るまでステップS600〜S690の処理を繰り返す。そして、エンジン22の回転数Neが回転数Nref以上に至ると、エンジン22の燃料噴射や点火を開始する旨の制御信号をエンジンECU24に送信してエンジン22の燃料噴射と点火を開始すると共に(ステップS700)、燃料噴射点火開始フラグF1に値1を設定し(ステップS702)、エンジン22が完爆に至ったか否かを判定し(ステップS710)、完爆に至ると、本ルーチンを終了する。これらの処理は、燃料噴射点火開始フラグF1の設定を除いて図7の始動時駆動制御ルーチンと同様である。なお、燃料噴射点火開始フラグF1は、この始動時駆動制御ルーチンの実行開始時に図示しない初期化処理により値0に設定される。
次に、走行モードMdが電動走行優先モードであり且つ冷却水温Twが閾値Tref未満のときを考える。このとき、ステップS612とステップS614では共に肯定的な判定がなされるから、この場合の処理として、燃料噴射点火開始フラグF1やトルク減少処理完了フラグF2の値を調べる処理を実行する(ステップS616、S618)。ここで、トルク減少処理完了フラグF2は、この始動時駆動制御ルーチンの実行開始時に図示しない初期化処理により値0に設定される。いま、このルーチンが実行されてから初めてステップS616,S618が実行されたときを考えると、燃料噴射点火開始フラグF1およびトルク減少処理完了フラグF2には初期化処理により値0が設定されているから、ステップS616とステップS618では共に肯定的な判定がなされる。このときには、レート値Trtの符号をマイナスとした負の値のレート値(−Trt)を用いて設定した要求トルクTr*に緩変化処理としてのレートリミット処理を施して実行用トルクT*を設定し(ステップS622)、このルーチンの実行を開始してから、即ちモータMG1によるエンジン22のクランキングを開始してから所定時間経過したか否かを判定する(ステップS624)。ここで、実行用トルクT*の負の値のレート値(−Trt)を用いたレートリミット処理は、実行用トルクT*を緩変化により減少させる処理となる。また、所定時間は、エンジン22のモータMG1によるクランキングを開始してエンジン22の回転数Neが共振回転数帯を通過するのに必要な時間より長くエンジン22の回転数Neが回転数Nrefに至るまでに要する時間より短い時間として定められている。モータMG1によるエンジン22のクランキングを開始してから所定時間経過していないときには、設定した実行用トルクT*をバッテリ50の範囲内で駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力しながらモータMG2による反力を伴ってモータMG1によるエンジン22のクランキングを行なう処理(ステップS630〜S680)を実行し、エンジン22の回転数Neが上述した回転数Nref以上であるか否かを判定する(ステップS690)。いま、モータMG1によるエンジン22のクランキングを開始してから所定時間経過していないときを考えているから、エンジン22の回転数Neは回転数Nref未満であるから、このステップS690の判定では否定的な判定がなされ、ステップS600に戻る。そして、モータMG1によるエンジン22のクランキングを開始してから所定時間経過するまでステップS600〜S690の処理を繰り返す。
モータMG1によるエンジン22のクランキングを開始してから所定時間経過すると、ステップS624では肯定的な判定がなされ、トルク減少処理完了フラグF2に値1を設定し(ステップS626)、ステップS630〜S690の処理を実行する。このようにトルク減少処理完了フラグF2に値1が設定されると、ステップS618では否定的な判定がなされ、実行用トルクT*のレートリミット処理による減少も増加も行なうことなく、ステップS630〜S690の処理を実行する。なお、モータMG1によるエンジン22のクランキングを開始してから所定時間経過しても、エンジン22の回転数Neは回転数Nrefに至っていないから、エンジン22の回転数Neが回転数Nref以上に至るまで、実行用トルクT*を保持した状態でモータMG1によるクランキングを行なう処理(ステップS600〜S690)を繰り返すことになる。
そして、エンジン22の回転数Neが回転数Nref以上に至ると、エンジン22の燃料噴射と点火を開始すると共に(ステップS700)、燃料噴射点火開始フラグF1に値1を設定し(ステップS702)、エンジン22が完爆に至ったか否かを判定し(ステップS710)、エンジン22が完爆に至るまでステップS600〜S710の処理を繰り返す。このとき、燃料噴射点火開始フラグF1には値1が設定されているから、ステップS616では否定的な判定がなされ、実行用トルクT*のレートリミット処理による増加がなされ(ステップS620)、ステップS630〜S710の処理を実行する。これ以降、実行用トルクT*のレートリミット処理による増加を伴いながらエンジン22が完爆に至るのを待って、本ルーチンを終了する。
図14にエンジン22の始動時にモータMG1のトルク指令Tm1*に設定するトルクマップの一例とエンジン22の回転数Neおよび実行用トルクT*の変化の様子の一例とを示す。エンジン22の始動時のトルクマップおよびエンジン22の回転数Neの時間変化は第1実施例のハイブリッド自動車20で用いた図11に示したトルクマップおよびエンジン22の回転数Neの時間変化と同一である。図示するように、実行用トルクT*は、エンジン22のモータMG1によるクランキングが開始される時間t11までは要求トルクTr*の上昇に伴ってレート値Trtによるレートリミット処理により増加するが、その後からエンジン22のモータMG1によるクランキングを開始してから所定時間が経過する時間t2までは負の値のレート値(−Trt)によるレートリミット処理により減少する。そして、実行用トルクT*ha,時間t2からエンジン22の回転数Neが回転数Nrefに至ってエンジン22の燃料噴射や点火を開始する時間t13までは時間t2のときの値を保持し、時間t13以降は正の値のレート値Trtによるレートリミット処理により再び増加する。このように、エンジン22の始動時の実行用トルクT*を一時的に減少させるのは、大きな駆動力での走行中のエンジン始動によるエンジン22のマウントのつぶれによる制振効果不足を抑制するためである。即ち、エンジン22の始動時の実行用トルクT*を一時的に減少させることにより、走行中のエンジン始動によるエンジン22のマウントのつぶれを抑制し、マウントによる制振効果を発揮させるようにするのである。これにより、通常制動時の値kset1および値Tset1を制御ゲインkvおよび制限トルクTlimとして用いた制振制御でも、走行モードMdが電動走行優先モードであり且つ冷却水温Twが閾値Tref未満のときにエンジン22を始動するときに生じ得る車両の振動を抑制することができる。
以上説明した第2実施例のハイブリッド自動車20Bによれば、走行モードMdが電動走行優先モードであり且つ冷却水温Twが閾値Tref未満のときにエンジン22を始動するときには、モータMG1によるクランキングを開始してから所定時間が経過するまでは要求トルクTr*に拘わらずに実行用トルクT*をレートリミット処理により減少させ、クランキングを開始してから所定時間が経過した以降であってエンジン22の燃料噴射と点火を開始するまでは実行用トルクT*をそのままの値で保持し、エンジン22の燃料噴射と点火を開始した以降に再び実行用トルクT*をレートリミット処理により要求トルクTr*に向けて増加させることにより、エンジン22のクランキング時や初爆時における実行用トルクT*を小さくして、走行中のエンジン始動によるエンジン22のマウントのつぶれによる制振効果不足を解消するから、電動走行優先モードでの走行中に暖機が完了していないエンジン22を始動する際に生じ得る車両の振動を抑制することができ、この車両の振動により運転者や乗員に不快感や違和感を与えるのを抑制することができる。
第2実施例のハイブリッド自動車20Bでは、走行モードMdが電動走行優先モードであり且つ冷却水温Twが閾値Tref未満のときにエンジン22を始動するときには、エンジン22のモータMG1によるクランキングを開始してから所定時間が経過するまでは負の値のレート値(−Trt)によるレートリミット処理により実行用トルクT*を減少させ、所定時間が経過してからエンジン22の回転数Neが回転数Nrefに至ってエンジン22の燃料噴射や点火を開始するまでは実行用トルクT*を所定時間が経過したときの値で保持し、その後正の値のレート値Trtによるレートリミット処理により実行用トルクT*を再び増加させるものとしたが、エンジン22のモータMG1によるクランキングを開始してから所定時間が経過するまでは負の値のレート値を用いればよいから、負の値のレート値(−Trt)とは異なるレート値によるレートリミット処理により実行用トルクT*を減少させるものとしてもよい。
第2実施例のハイブリッド自動車20Bでは、走行モードMdが電動走行優先モードであり且つ冷却水温Twが閾値Tref未満のときにエンジン22を始動するときには、エンジン22のモータMG1によるクランキングを開始してから所定時間が経過するまでは負の値のレート値(−Trt)によるレートリミット処理により実行用トルクT*を減少させるものとしたが、レートリミット処理に代えてなまし処理により実行用トルクT*を減少させるものとしたりするなど、他の処理を用いて実行用トルクT*を減少させるものとしてもよい。
第2実施例のハイブリッド自動車20Bでは、走行モードMdが電動走行優先モードであり且つ冷却水温Twが閾値Tref未満のときにエンジン22を始動するときには、エンジン22のモータMG1によるクランキングを開始してから所定時間が経過するまでは負の値のレート値(−Trt)によるレートリミット処理により実行用トルクT*を減少させるものとしたが、エンジン22のモータMG1によるクランキングを開始してからエンジン22n回転数Neが共振回転数帯を超えるまで負の値のレート値(−Trt)によるレートリミット処理により実行用トルクT*を減少させるものとしたり、エンジン22のモータMG1によるクランキングを開始してから実行用トルクT*が所定値以下に至るまで負の値のレート値(−Trt)によるレートリミット処理により実行用トルクT*を減少させるものとしたりしてもよい。
第2実施例のハイブリッド自動車20Bでは、走行モードMdが電動走行優先モードであり且つ冷却水温Twが閾値Tref未満のときにエンジン22を始動するときには、エンジン22のモータMG1によるクランキングを開始してから所定時間が経過した後はエンジン22の回転数Neが回転数Nrefに至ってエンジン22の燃料噴射や点火を開始するまでは実行用トルクT*を所定時間が経過したときの値で保持し、その後、正の値のレート値Trtによるレートリミット処理により実行用トルクT*を再び増加させるものとしたが、エンジン22のモータMG1によるクランキングを開始してからエンジン22の回転数Neが回転数Nrefに至るまで負の値のレート値(−Trt)によるレートリミット処理により実行用トルクT*を減少させ、その後、正の値のレート値Trtによるレートリミット処理により実行用トルクT*を再び増加させるものとするなど、実行用トルクT*を保持する時間を有さないものとしてもよい。
第2実施例のハイブリッド自動車20Bでも、第1実施例のハイブリッド自動車20と同様に、エンジン22を始動中ではないときには制御ゲインkvに通常時の値kset0を設定し、走行モードMdがハイブリッド走行優先モードであったり走行モードMdが電動走行優先モードであっても冷却水温Twが閾値Tref以上のときには制御ゲインkvに通常始動時の値kset1を設定するものとしたが、値kset0と値kset1は同一の値であってもよいし異なる値であってもよい。また、第2実施例のハイブリッド自動車20Bでも、第1実施例のハイブリッド自動車20と同様に、エンジン22を始動中ではないときには制限トルクTlimに通常時の値Tset0を設定し、走行モードMdがハイブリッド走行優先モードであったり走行モードMdが電動走行優先モードであっても冷却水温Twが閾値Tref以上のときには制限トルクTlimに通常始動時の値Tset1を設定するものとしたが、値Tset0と値Tset1は同一の値であってもよいし異なる値であってもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。本発明の第1のハイブリッド自動車と第1実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、モータMG1が「発電機」に相当し、動力分配統合機構30が「遊星歯車機構」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、バッテリ50が「二次電池」に相当し、充電器90が「充電器」に相当し、図3の走行モード設定ルーチンや図4の電動走行優先モード駆動制御ルーチン,図5のハイブリッド走行優先モード駆動制御ルーチン,図6の始動時駆動制御ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70と、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信してエンジン22を制御するエンジンECU24と、ハイブリッド用電子制御ユニット70からのトルク指令Tm1*を受信してモータMG1を駆動制御すると共にハイブリッド用電子制御ユニット70からのトルク指令Tm2*を受信して電動走行優先モードでの走行中にエンジン22を始動するときにエンジン22の冷却水の温度Twが暖機が必要な温度範囲内で予め定められた閾値Tref未満のときには通常始動時に比して大きな制御ゲインkvと大きな制限トルクTlimとを用いて大きな制振トルクTvを設定しこの大きな制振トルクTvを用いてモータMG2による制振制御を行なう図7のモータ制御ルーチンを実行するモータECU40と、が「制御手段」に相当する。
また、本発明の第2のハイブリッド自動車と第2実施例のハイブリッド自動車20Bでは、エンジン22が「内燃機関」に相当し、モータMG1が「発電機」に相当し、動力分配統合機構30が「遊星歯車機構」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、バッテリ50が「二次電池」に相当し、充電器90が「充電器」に相当し、図3の走行モード設定ルーチンや図4の電動走行優先モード駆動制御ルーチン,図5のハイブリッド走行優先モード駆動制御ルーチン,走行モードMdが電動走行優先モードであり且つ冷却水温Twが閾値Tref未満のときにエンジン22を始動するときには、モータMG1によるクランキングを開始してから所定時間が経過するまでは要求トルクTr*に拘わらずに実行用トルクT*をレートリミット処理により減少させ、クランキングを開始してから所定時間が経過した以降であってエンジン22の燃料噴射と点火を開始するまでは実行用トルクT*をそのままの値で保持し、エンジン22の燃料噴射と点火を開始した以降に再び実行用トルクT*をレートリミット処理により要求トルクTr*に向けて増加させる図12の始動時駆動制御ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70と、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信してエンジン22を制御するエンジンECU24と、ハイブリッド用電子制御ユニット70からのトルク指令Tm1*を受信してモータMG1を駆動制御すると共にハイブリッド用電子制御ユニット70からのトルク指令Tm2*を受信してモータMG2による制振制御を行なう図13のモータ制御ルーチンを実行するモータECU40と、が「制御手段」に相当する。
ここで、本発明の第1のハイブリッド自動車や第2のハイブリッド自動車における「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素エンジンなど如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「発電機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、誘導電動機など、駆動軸に動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「遊星歯車機構」としては、シングルピニオン式のプラネタリギヤとして構成された動力分配統合機構30に限定されるものではなく、ダブルピニオン式のプラネタリギヤなど如何なる遊星歯車機構としてもよい。「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、駆動軸に動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「二次電池」としては、リチウムイオン二次電池として構成されたバッテリ50に限定されるものではなく、ニッケル水素二次電池やニッケルカドミウム二次電池,鉛蓄電池など種々の二次電池を用いることができる。「充電器」としては、外部電源100からの交流電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータと変換した直流電力の電圧を変換するDC/DCコンバータとを備え、システム停止時にバッテリ50を充電する充電器90に限定されるものではなく、システム停止の状態で外部電源に接続されて外部電源からの電力を用いて二次電池を充電するものであれば如何なるものとしても構わない。「制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24とモータECU40とからなる組み合わせに限定されるものではなく単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。
本発明の第1のハイブリッド自動車における「制御手段」としては、電動走行優先モードでの走行中にエンジン22を始動するときにエンジン22の冷却水の温度Twが暖機が必要な温度範囲内で予め定められた閾値Tref未満のときには通常始動時に比して大きな制御ゲインkvと大きな制限トルクTlimとを用いて大きな制振トルクTvを設定しこの大きな制振トルクTvを用いてモータMG2による制振制御を行なうものに限定されるものではなく、走行モードMdが電動走行優先モードであり且つ冷却水温Twが閾値Tref未満のときには大きな制振トルクTvが設定されてモータMG2による制振制御が行なわれればよいから、制御ゲインkvには通常始動時の値kset1より大きな値kset2を設定するが制限トルクTlimには通常始動時の値Tset1を設定するものとしたり、逆に、制限トルクTlimには通常始動時の値Tset1より大きな値Tset2を設定するが制御ゲインkvには通常始動時の値kset1を設定するがものとしたりするなど、電動走行優先モードにより走行している最中に内燃機関を始動するときに内燃機関を冷却する冷却媒体の温度が内燃機関の暖機が必要な温度範囲内で予め定められた所定温度未満の所定機関始動時には、所定機関始動時ではないときに比して大きな制振トルクを用いた始動時制振制御を伴って内燃機関を始動しながら走行するよう内燃機関と発電機と電動機とを制御するものであれば如何なるものとしても構わない。
本発明の第2のハイブリッド自動車における「制御手段」としては、走行モードMdが電動走行優先モードであり且つ冷却水温Twが閾値Tref未満のときにエンジン22を始動するときには、モータMG1によるクランキングを開始してから所定時間が経過するまでは要求トルクTr*に拘わらずに実行用トルクT*をレートリミット処理により減少させ、クランキングを開始してから所定時間が経過した以降であってエンジン22の燃料噴射と点火を開始するまでは実行用トルクT*をそのままの値で保持し、エンジン22の燃料噴射と点火を開始した以降に再び実行用トルクT*をレートリミット処理により要求トルクTr*に向けて増加させながら、エンジン22を始動すると共に実行用トルクT*を駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力して走行するようエンジン22とモータMG1,MG2を制御するものに限定されるものではなく、エンジン22のモータMG1によるクランキングを開始してからエンジン22n回転数Neが共振回転数帯を超えるまで負の値のレート値(−Trt)によるレートリミット処理により実行用トルクT*を減少させるものとしたり、エンジン22のモータMG1によるクランキングを開始してから実行用トルクT*が所定値以下に至るまで負の値のレート値(−Trt)によるレートリミット処理により実行用トルクT*を減少させるものとしたり、エンジン22のモータMG1によるクランキングを開始してからエンジン22の回転数Neが回転数Nrefに至るまで負の値のレート値(−Trt)によるレートリミット処理により実行用トルクT*を減少させ、その後、正の値のレート値Trtによるレートリミット処理により実行用トルクT*を再び増加させるものとしたりするなど、電動走行優先モードにより走行している最中に内燃機関を始動するときに内燃機関を冷却する冷却媒体の温度が内燃機関の暖機が必要な温度範囲内で予め定められた所定温度未満の所定機関始動時には、実行用駆動力の一時的な減少を伴って内燃機関を始動しながら走行するよう内燃機関と発電機と電動機とを制御するものであれば如何なるものとしても構わない。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について第1実施例のハイブリッド自動車20や第2実施例のハイブリッド自動車20Bを用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、例えば、ハイブリッド自動車の制御方法の形態とするなど、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、ハイブリッド自動車の製造産業などに利用可能である。
20 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、37 ギヤ機構、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51a 電圧センサ、51b 電流センサ、51c 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 高電圧系電力ライン、55 昇圧回路、56 システムメインリレー、57,58 コンデンサ、57a,58a 電圧センサ、59 低電圧系電力ライン、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、90 充電器、92 車両側コネクタ、100 外部電源、102 外部電源側コネクタ、122 エアクリーナ、124 スロットルバルブ、126 燃料噴射弁、128 吸気バルブ、130 点火プラグ、132 ピストン、134 浄化装置、135a 空燃比センサ、135b 酸素センサ、136 スロットルモータ、138 イグニッションコイル、140 クランクポジションセンサ、142 水温センサ、143 圧力センサ、144 カムポジションセンサ、146 スロットルバルブポジションセンサ、148 エアフローメータ、149 温度センサ、150 可変バルブタイミング機構、MG1,MG2 モータ。

Claims (8)

  1. 内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に3つの回転要素が接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、システム停止の状態で外部電源に接続されて該外部電源からの電力を用いて前記二次電池を充電する充電器と、システム起動したときに前記二次電池が所定の蓄電状態より蓄電された状態のときにはシステム起動から所定の解除条件が成立するまでは前記内燃機関の始動時における前記電動機による制振制御である始動時制振制御を伴って前記電動機から入出力される動力だけを用いて走行する電動走行を前記内燃機関から出力される動力と前記電動機から入出力される動力とを用いて走行するハイブリッド走行に優先して走行する電動走行優先モードを用いて走行に要求される要求駆動力により走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御し、前記所定の解除条件が成立した以降は前記始動時制振制御を伴って前記ハイブリッド走行を前記電動走行に優先して走行するハイブリッド走行優先モードを用いて前記要求駆動力により走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、を備えるハイブリッド自動車であって、
    前記制御手段は、前記電動走行優先モードにより走行している最中に前記内燃機関を始動するときに前記内燃機関を冷却する冷却媒体の温度が該内燃機関の暖機が必要な温度範囲内で予め定められた所定温度未満の所定機関始動時には、前記所定機関始動時ではないときに比して大きな制振トルクを用いた前記始動時制振制御を伴って前記内燃機関を始動しながら走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する手段である、
    ハイブリッド自動車。
  2. 請求項1記載のハイブリッド自動車であって、
    前記制御手段は、前記所定機関始動時には、前記所定機関始動時ではないときに比して大きな制御ゲインを用いた前記始動時制振制御を伴って前記内燃機関を始動しながら走行するよう制御する手段である、
    ハイブリッド自動車。
  3. 請求項1または2記載のハイブリッド自動車であって、
    前記制御手段は、前記所定機関始動時には、前記所定機関始動時ではないときに比して大きな上限トルクで制限を課して得られる制振トルクを用いた前記始動時制振制御を伴って前記内燃機関を始動しながら走行するよう制御する手段である、
    ハイブリッド自動車。
  4. 内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に3つの回転要素が接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、システム停止の状態で外部電源に接続されて該外部電源からの電力を用いて前記二次電池を充電する充電器と、システム起動したときに前記二次電池が所定の蓄電状態より蓄電された状態のときにはシステム起動から所定の解除条件が成立するまでは前記内燃機関の始動時における前記電動機による制振制御である始動時制振制御を伴って前記電動機から入出力される動力だけを用いて走行する電動走行を前記内燃機関から出力される動力と前記電動機から入出力される動力とを用いて走行するハイブリッド走行に優先して走行する電動走行優先モードを用いて走行に要求される要求駆動力に対して緩変化処理を施して得られる駆動力を実行用駆動力として前記駆動軸に出力して走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御し、前記所定の解除条件が成立した以降は前記始動時制振制御を伴って前記ハイブリッド走行を前記電動走行に優先して走行するハイブリッド走行優先モードを用いて前記要求駆動力に対して緩変化処理を施して得られる駆動力を実行用駆動力として前記駆動軸に出力して走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する制御手段と、を備えるハイブリッド自動車であって、
    前記制御手段は、前記電動走行優先モードにより走行している最中に前記内燃機関を始動するときに前記内燃機関を冷却する冷却媒体の温度が該内燃機関の暖機が必要な温度範囲内で予め定められた所定温度未満の所定機関始動時には、前記実行用駆動力の一時的な減少を伴って前記内燃機関を始動しながら走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する手段である、
    ハイブリッド自動車。
  5. 請求項4記載のハイブリッド自動車であって、
    前記制御手段は、前記所定機関始動時には、前記内燃機関のクランキング開始時から前記内燃機関が初爆する前までの少なくとも所定時間に亘って前記実行用駆動力を減少させる手段である、
    ハイブリッド自動車。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1つの請求項に記載のハイブリッド自動車であって、
    前記制御手段は、前記ハイブリッド走行優先モードを用いて走行しているときには前記要求駆動力が第1の閾値より大きくなったときに前記内燃機関を始動するよう制御し、前記電動走行優先モードを用いて走行しているときには前記要求駆動力が前記第1の閾値より大きな第2の閾値より大きくなったときに前記内燃機関を始動するよう制御する手段である、
    ハイブリッド自動車。
  7. 内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に3つの回転要素が接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、システム停止の状態で外部電源に接続されて該外部電源からの電力を用いて前記二次電池を充電する充電器と、を備え、システム起動したときに前記二次電池が所定の蓄電状態より蓄電された状態のときにはシステム起動から所定の解除条件が成立するまでは前記内燃機関の始動時における前記電動機による制振制御である始動時制振制御を伴って前記電動機から入出力される動力だけを用いて走行する電動走行を前記内燃機関から出力される動力と前記電動機から入出力される動力とを用いて走行するハイブリッド走行に優先して走行する電動走行優先モードを用いて走行に要求される要求駆動力により走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御し、前記所定の解除条件が成立した以降は前記始動時制振制御を伴って前記ハイブリッド走行を前記電動走行に優先して走行するハイブリッド走行優先モードを用いて前記要求駆動力により走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御するハイブリッド自動車の制御方法であって、
    前記電動走行優先モードにより走行している最中に前記内燃機関を始動するときに前記内燃機関を冷却する冷却媒体の温度が該内燃機関の暖機が必要な温度範囲内で予め定められた所定温度未満の所定機関始動時には、前記所定機関始動時ではないときに比して大きな制振トルクを用いた前記始動時制振制御を伴って前記内燃機関を始動しながら走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する、
    ことを特徴とするハイブリッド自動車の制御方法。
  8. 内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に3つの回転要素が接続された遊星歯車機構と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な二次電池と、システム停止の状態で外部電源に接続されて該外部電源からの電力を用いて前記二次電池を充電する充電器と、を備え、システム起動したときに前記二次電池が所定の蓄電状態より蓄電された状態のときにはシステム起動から所定の解除条件が成立するまでは前記内燃機関の始動時における前記電動機による制振制御である始動時制振制御を伴って前記電動機から入出力される動力だけを用いて走行する電動走行を前記内燃機関から出力される動力と前記電動機から入出力される動力とを用いて走行するハイブリッド走行に優先して走行する電動走行優先モードを用いて走行に要求される要求駆動力に対して緩変化処理を施して得られる駆動力を実行用駆動力として前記駆動軸に出力して走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御し、前記所定の解除条件が成立した以降は前記始動時制振制御を伴って前記ハイブリッド走行を前記電動走行に優先して走行するハイブリッド走行優先モードを用いて前記要求駆動力に対して緩変化処理を施して得られる駆動力を実行用駆動力として前記駆動軸に出力して走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御するハイブリッド自動車の制御方法であって、
    前記電動走行優先モードにより走行している最中に前記内燃機関を始動するときに前記内燃機関を冷却する冷却媒体の温度が該内燃機関の暖機が必要な温度範囲内で予め定められた所定温度未満の所定機関始動時には、前記実行用駆動力の一時的な減少を伴って前記内燃機関を始動しながら走行するよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機とを制御する、
    ことを特徴とするハイブリッド自動車の制御方法。
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