JP2011218075A - 電動車椅子 - Google Patents
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Abstract
【課題】側溝近傍や駅のプラットホーム走行時に、側溝や線路上への転落を警告することによって、安全な操作を容易行える電動車椅子を提供する。
【解決手段】自車に取り付けた距離センサによって、自車と走行路面までの距離を計測し、その計測結果を基に、自車近傍の段差を検知して、乗員へ警告あるいは走行禁止の判断を行うことによって、凹段差への転落の危険性を軽減できるため、駅のプラットホーム上などにおいても電動車椅子を安全に操作さすることが容易となる。
【選択図】図1
【解決手段】自車に取り付けた距離センサによって、自車と走行路面までの距離を計測し、その計測結果を基に、自車近傍の段差を検知して、乗員へ警告あるいは走行禁止の判断を行うことによって、凹段差への転落の危険性を軽減できるため、駅のプラットホーム上などにおいても電動車椅子を安全に操作さすることが容易となる。
【選択図】図1
Description
本発明は電動車椅子、特に障害物検知センサにより障害物を検知して電動車椅子を走行停止させる機能を有する電動車椅子に関するものである。
電動車椅子の走行方向を乗員が指示するためのジョイスティックなどの走行方向指示手段を備え、前記走行方向指示手段を乗員が操作することにより、簡単な操作だけで、電動モータなどが駆動されて前記指示走行方向に容易に走行することができる電動車椅子は知られている。
この種の電動車椅子において、特開2003−324218号公報には、障害物を検知する非接触式の障害物検知センサを車椅子本体に設けて、前記障害物検知センサにて障害物を検知した場合に、検知された前記障害物が存在する方向以外の方向への走行が指示された場合は前記障害物が存在する方向以外の方向に走行することを許可し、前記障害物が存在する方向への走行が指示された場合には、その方向への走行を禁止する制御手段を有する構成が開示されている。
上記従来技術においては、専ら走行進路上に存在する壁や他の移動体など物体を想定していて、障害物の検出方法はじめ停止に関わるロジックもその想定に即したものとなっており、走行路の状態変化、例えば、駅のプラットホームを走行しているときなどは、プラットホームの縁辺から線路への落下などは、防止することが困難である。
この改善策として、走行路の形状や状態を非接触型センサで感知して、走行制御、操縦操作補助を行う電動車椅子を提供する。
解決しようとする課題は、線路への転落、脱輪の危険性を有する駅プラットホーム上での走向やホームと車両間の隙間を超えて車内へ進入するといった走向シーンにおいて進行路の状態センシングによって、凹段差への転落、脱輪といった危険性を軽減することにある。
また、前記では、駅のプラットホーム上の走行シーンを例としたが、一般の道路においても、側溝等の凹段差のある場面でも同様に活用が可能であるため、従来技術にある衝突回避制御等と併せて使用することで、操縦や危険認識に疎い高齢者や障害者でも、安全性を維持しつつ、行動範囲を拡大させることのできる電動車椅子を提供することができる。
本発明は、走行路の状態を検知可能とするため、非接触型距離センサを走行方向の路面に向けて設置し電動車椅子上のセンサ取り付け位置と路面の高さを常に計測しながら走行するとともに、前記センサ出力を動作制御コントローラ内の路面形状判断手段に入力し、その判断結果を基に、警告の発報要否、走行の継続可否を決定する事を最も主要な特徴とする。
本発明の電動車椅子は、車体上部の所定位置に設置した距離センサから斜めに走行路を走査するため、センサの視野すなわち走行路面を、常に観測確認でき、電動車椅子の進行方向走行路面の凹凸を手前で検知し乗員に警報したり自動停止させたりといった安全制御を行うことができる利点がある。
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図18を用いて説明する。ここで、図1は本発明の実施の形態にかかる電動車椅子の側面断面図、図2は同電動車椅子の部分切欠正面図、図3は同電動車椅子の動作制御用コントローラの内部ブロック図である。
図1の様に本発明にかかる電動車椅子1は、乗員が電動車椅子を操作するための操作手段2、前部駆動輪5、駆動モータ4、動作制御コントローラ6、バッテリ7、後輪9および、これら全ての構成品を保持し車椅子を形成するフレーム8で構成されている。
乗員は当該電動車椅子1の座面1aに着座し、操作手段2を操作して、電動車椅子を意図した方向へ走行指示するものとする。操作手段2は、一般にジョイスティックと呼ばれるレバー状の操作スイッチで、当該レバーを目的とする方向へ倒す事によって乗員の走行方向指示を受け付け、その方向と押し込み量を動作制御コントローラへ伝達する。動作制御コントローラ6は、この走行方向指示とそのときレバーを押し込まれた量を基に左右の駆動モータ4を動作させる速度を決定し、モータ4を駆動する。
ここで、電動車椅子1の操縦方法と操作手段2について図1、図4を用いて説明する。操作手段2は図4bのように乗員がつかんで操作するレバー2aとレバーの操作量を検出する基板2bおよびこれらを保持形成するカバー部材(図示せず)によって構成されており、図1の電動車椅子1の肘掛け部前端に、レバーの操作方向と電動車椅子の向きが一致するように設置されている。
乗員は、操作手段2のレバー2aの上端部2A近傍を握って、電動車椅子1を走行させたい方向へレバー上端2Aを押し込む事によって電動車椅子を操縦する。また、押し込まれた方向への移動速度は、当該レバー2aの押し込み量によって決定される物とし、当該レバーは、乗員が意図した方向へ押し込む為の力を加える事をやめた場合、内蔵したスプリング機構(図示せず)によって中立位置に自動的に戻る構造となっており、レバーが中立位置に戻ると電動車椅子は停止する。
レバー2aの押し込み方向と押し込み量の判別例を図4aに示す。この図は、レバー上端2Aと基板2bの位置関係で図示した。実際の操作手段2b内部のスイッチ接点の構造によっては基板2b上の領域分けの意味合いが方向的に前後と左右が逆となる場合があるが、当該操作手段2の構成、構造等は、本発明の特徴とはしていないので、詳しい電気、機構系の説明は省略する。
上記図4bのレバー2a操作の判別例は、前進、後退と言った最も利用頻度の高い直進動作指示には、大きめの領域をさいて、乗員がその動作を継続させたいと考えているときに、レバーの状態を一定に保持しようと苦労しないで良いように配慮するとともに、直進判定領域の外側には、レバーを操作する向きが旋回の急峻さに比例する領域を配し、体の不自由な乗員にも容易に操作できるよう配慮しているが、あくまで一例であって、採用する操作手段の構造や特化する利用シーンによっては、適宜検討変更が行われるものである。
かくして、操作手段2に対して行われた乗員の操作内容は、コントローラ6に入力され、必要に応じてA/D変換が行われた後に、CPU11内操作内容判定手段11aに入力され、操作手段2を乗員がどのように操作中であるかを元に、操作内容判定手段11aでは、移動方向と移動速度に対する乗員の要求を判定する。当該判定結果は、ブロック図3後段の走行許可判断手段11cとモータ速度決定手段11dに送られ、障害物が検出されていない一般的な利用シーンにおいては、動作許可禁止判断手段11cは、常に動作許可の判定を下すため、操作内容判定手段11aの内容に即して、左右の駆動輪の回転速度がモータ速度決定手段11dによって決定され、その結果を基に最終的にはモータ駆動手段13によってモータが駆動され、電動車椅子1が走行する。
当該モータ4としては、DCモータ等が採用され、PWM制御、つまりモータの電極に対して所望の極性で、短時間に断続的に電源をON/OFF(通電・非通電)を繰り返すことによって、その回転方向と回転速度の高低を制御できるものとする。
よって、例えば、操作手段2のレバーを前進方向にレバーの可動範囲一杯に押し込まれた場合は、動作制御コントローラ6は、電動車いす1を前方向へ最大速度で移動させるために必要な左右のモータ4の通電ON時間の割合を決定する。また、操作手段2のレバーを斜め右前方向にレバーの可動範囲未満で押し込まれた場合は、動作制御コントローラ6は、電動車いす1を斜め右前方へ最大速度以下でレバーの押し込み量に相当する速度で移動させるために必要な左右のモータ4の通電ON時間の割合を決定しモータ駆動手段13に伝達する。
他の移動方向についても同様で操作手段2のレバーの操作方向と操作量を基に、動作制御コントローラ6は、左右のモータ4の駆動速度を個別に決定して、電動車いす1を乗員の意図する方向への操縦することを可能としている。
図5に示すように、本発明の請求項1では、電動車椅子1に、距離センサ3を設置し、距離センサ3の設置位置から、電動車椅子1の前方の所定距離17前方の路面までの距離3aを測定するように構成する。
ここで、所定距離17は、当該電動車椅子1の最高速度および最高速度走行時に必要な停止距離を勘案し、調整しあらかじめ設定されている値である。一般に電動車椅子の最高時速は、6km/時≒1.7m/秒であり、スリップ等を考慮して、所定距離17は1.7mの数倍程度の値を設定することになる。
この例では、自車の近傍として、距離センサ3を自車の前方路面に向けて設置し、専ら前方の路面形状の監視を行うべく構成し、進行方向にある凹段差への転落を回避しようとしているが、自車の後方や側方の路面に向けて当該センサを設置し、道路に並走する側溝への転落や後方にある凹段差への転落を回避するように構成することも可能である。
さらに、距離センサ1台でセンサの向けられている方向の路面までの距離を写真の様に一括して採取する事のできる、カメラタイプの距離センサを活用し、前面と側方の路面までの距離を同時に計測する様な構成を取ることも考えられる。
まず図5〜図12を使って行き先路面の状態毎に距離センサ3の計測結果がどのような傾向となるかを説明する。はじめに図5では、電動車椅子1は行き先平坦な路面上を路面との距離3aを計測しつつ、走行している状態を示しており、この場合、電動車椅子1の移動時間または、一定速走行なら移動距離と3aの関係は図6の様になり、3aは、電動車椅子の振動などで、僅かなの変動は生じるが、図6の様に概して一定の値となる。
次に図7では、電動車椅子1は行き先の路面が無くなる場合、例えば駅のプラットホーム上で乗車準備のために線路方向へ路面との距離3aを計測しつつ、走行している状態であり、この場合、電動車椅子1の移動時間または、一定速走行なら移動距離と3aの関係は図6の様になり、3aは、電動車椅子1が走行によってとプラットホームの縁辺に接近し、その距離が所定距離17以下の値となったところから、3bの状態となり、それ以前よりも大きな距離を示すこととなる。その測定結果は図8の様なパターンとなる。
次に図9では、電動車椅子1は行き先の路面が一旦無くなりその先で元の走行路面とは高さが異なるものの新たな路面が繋がっている場合、例えば駅のプラットホーム上から電車のドアを介して車両内部へ路面との距離3aを計測しつつ、走行している状態であり、この場合、電動車椅子1の移動時間または、一定速走行なら移動距離と3aの関係は図10の様になり、3aは、電動車椅子1が走行によってとプラットホームの縁辺に接近し、その距離が所定距離17以下の値となったところから、3bの状態となり、一旦それ以前よりも大きな距離を示した後に、新たな走行路面(この例では、電車内の床面)のたかさに相当する距離データ3cを示すこととなる。図9の例の場合、プラットホームより電車内床面がわずかに低くなっているため、その測定結果は図10の様なパターンとなる。
図11、図12は、電動車椅子1は行き先の路面が一旦無くなりその先で元の走行路面とは高さが異なるものの新たな路面が繋がっている場合、例えば駅のプラットホーム上から電車のドアを介して車両内部へ路面との距離3aを計測しつつ、走行している状態であり、この場合、電動車椅子1の移動時間または、一定速走行なら移動距離と3aの関係は図12の様になり、3aは、電動車椅子1が走行によってとプラットホームの縁辺に接近し、その距離が所定距離17以下の値となったところから、3bの状態となり、一旦それ以前よりも大きな距離を示した後に、新たな走行路面(この例では、電車内の床面)のたかさに相当する距離データ3cを示すこととなる。図11の例の場合、プラットホームより電車内床面がわずかに高くなっているため、その測定結果は図12の様なパターンとなる。
図13、図14は、電動車椅子1の行き先の路面上に縁石等の段差・障害物がある例において、やはり路面との距離を計測しつつ走行している状態であり、この場合、電動車椅子1の移動時間または、一定速走行なら移動距離と3aの関係は図14の様になり、3aは、電動車椅子1が走行によってと段差に接近し、その距離が所定距離17以下の値となったところから、3bの状態となり、一旦それ以前よりも徐々に小さな距離を示すようになり、新たな走行路面(この例では、段差の上面)のたかさに相当する距離データ3cを示すこととなる。図13の例の場合、その測定結果は図14の様なパターンとなる。
ここまで説明してきたように、本発明の構成のように、電動車椅子1の所定の位置に設置した、距離センサ3を使って、走行しながら、電動車椅子1の前方路面との距離を計測することによって、電動車椅子1の行き先方向の路面状態、を知ることができる。距離センサ3は、電動車椅子1の前面の所定の位置に1〜複数個設置する。電動車椅子1の幅分の走行路面の状態を検知するために、本実施例においては、電動車椅子1の左右の肘掛け部前端に各1個の距離センサを設置したが、これは、距離センサとして、赤外線やレーザー光を使った、センサが向けられている方向の極狭い範囲を測定対象(範囲)とする物を前提としているためで、同様なレーザー光を使ったセンサであってもスキャン式のように、所定の測定範囲を走査検索する物や、また前述の様にカメラのような縦横幅を有する視野(検知領域)を持っていて、カメラ画像のようにセンサが向けられている方向の風景を写真撮影するがの如くにセンサの視野内にある物体までの距離を集積した距離画像として出力するセンサの活用も考えられる。こういったセンサを利用する場合は、採用するセンサの視野を勘案して、センサの使用個数を削減することができると同時に、より緻密な判断が可能となる。
次に、図3を用いて、距離センサ3の計測結果の処理の流れを説明する。電動車椅子1の前方に向けて左右に各1個設置した距離センサ3の測定結果は、電動車椅子1の車速を計測する車速センサの出力とともに、それらの出力信号の仕様に即して適宜A/D変換等の前段信号処理を行った上で、コントローラ6内のCPU11にデジタルデータとして入力される。CPU11内では、これらのデータが、路面形状判断手段11bに入力され、センサが監視を行っている方向の走行路の状態を分析判断し、その判断結果を後段の走行許可判断手段11cに引き継ぐ。
図3の走行許可判断手段11cでは、操作手段2に対して行われた乗員の操作を元に操作内容判断手段11aが判断した乗員の走行要求内容と、前記路面形状の判断結果を用いて、乗員の走行要求通りに電動車椅子1を走行させてよいかどうか総合的な判断が行われる。
次に、図3の路面形状判断手段11bの判断ロジックを、前述の路面形状と距離センサ出力の傾向の関連の例(図5〜13)をふまえて、図15、図16フローチャートを用いて説明する。路面形状判断手段は、電動車椅子1の移動に伴って、所定の時間観測した、距離センサの出力データの列が、図5〜13のどのパターンにもっともよく合致するかによって判断、判定を行う。ここで、前述の様に、カメラタイプの距離画像センサを用いる場合は、一回の測定で、当該データ列相当の一連のデータが得られるため、判断の一部手順を省略することができる。
まず、電動車椅子1の制御システム起動時、および、停止中から走行を開始する際に、距離データのデータ列を格納する、データバッファを初期化する。センサデータ用のデータバッファは、所定の時間分距離センサの観測した路面までの距離のデータを保持するために、CPUの揮発メモリ上に距離データd1(n)、車速データSp(n)、および路面形状判定結果R(n) (ここで、n=0、1、2、・・・・・、N)を確保し、初期化にあたっては当該領域を値0でクリアする。また、距離データの測定採取は、図15に示すように電動車椅子の動作制御プログラム1巡回に1回以上行う必要があるため、データの点数Nは、所定の整数で、電動車椅子の最高速度と制御プログラムでデータを取得する時間間隔から決定され、前述の電動車椅子停止距離(約1.7m)の数倍分の路面までの距離データを保持できるように設定する。
電動車椅子1が操作手段2の操作を図15のS3で受け付けておらず、モータが停止している場合は、図15のS6ステップにおいて、路面形状判断処理の初期化、具体的には図15のS01〜S03によって行われ、距離データバッファの内容がクリアされる。
次に電動車椅子1が操作手段2の操作を図15のS3で受け付けてS6で走行許可となり、S7でモータの速度が決定されモータがセンサ監視方向へ向けて動作を開始すると、図15のS32で取得した距離センサのデータを、S7ステップの路面形状判断が実行され、図16のS11ステップにおいて、図15のS2ステップで取得した距離データおよび車速データがそれぞれ前述でクリアしたデータバッファ、d1(n)、Sp(n)のn=0からn=Nまで保持され、バッファがデータで満たされた時点からセンサデータの解析つまり路面形状の判断判定が毎回実施され、その後に新たなデータが得られた場合は、図16のS15で、データバッファ上で、もっとも古いデータを捨てて、図16のS21〜S24に示すように、データをシフトさせ、データバッファには常に最新データからN回前の計測結果を保持するように構成する。この様にデータバッファがデータで満たされた後は、図16のS14でデータ列d1(n) {n=0、1、2、・・・・・、N}の変化パターンが前述の路面形状と距離センサ出力の傾向の関連の例(図5〜13)に相当するかを判定し、その判断結果も判定開始からN回前までR(n) {n=0、1、2、・・・・・、N}に保持され、全てのデータ列が、N番目を最新(最遠)として、0番目を最古(最近)と言う順序で構成されることとなる。これを元にS7ステップで図3の11c走行許可判断手段が通常通り走行を許可するかどうかの判断を行い、その結果を元にS9ステップでモータの速度が決定される。
路面形状判定結果データ列R(n)
{n=0、1、2、・・・・・、N}は、同時に採取された車速データSp(n) {n=0、1、2、・・・・・、N}とともに、図3の11c走行許可判断手段によって、過去にさかのぼって解析され、進行方向の路面の段差のまでの距離から、乗員に警報を発するか、乗員の操作に関わらず電動車椅子1を減速あるいは自動停止させるかを決定し、その結果をフローチャートでは図15のステップS8、ブロック図では図3の11dモータ速度決定手段および12警報発報手段へ引き継ぎ、距離センサを設置した監視方向への電動車椅子1の動作および警報を制御する。
{n=0、1、2、・・・・・、N}は、同時に採取された車速データSp(n) {n=0、1、2、・・・・・、N}とともに、図3の11c走行許可判断手段によって、過去にさかのぼって解析され、進行方向の路面の段差のまでの距離から、乗員に警報を発するか、乗員の操作に関わらず電動車椅子1を減速あるいは自動停止させるかを決定し、その結果をフローチャートでは図15のステップS8、ブロック図では図3の11dモータ速度決定手段および12警報発報手段へ引き継ぎ、距離センサを設置した監視方向への電動車椅子1の動作および警報を制御する。
この動作許可判断の判定手順を図17のフローチャートを使って説明する。各データ列の検査は、最古(最も近かい位置)から開始する事にするため、まず図17のS1において、mに0を代入すると共に、電動車椅子1から検出した段差までの距離を算定するために使用する変数Dに0を代入して初期化する。路面形状判定結果のデータ列R(m)をm=0番から順番に検査すると同時に、S3ステップにおいて、各計測時点の時車速Sp(m)に計測インターバル時間dTを乗じ移動距離を計算しさらに積算して行く。R(m)の判定結果が平坦路以外となった時点で、検査を終了し、ステップS5の判定を行いDの値、つまり路面形状が平坦路ではなくなるポイントまでの距離を評価し、Dが所定の発報距離より大きい(遠い)場合は、当該判定では何も行わずに判定を終了する。
一方、図17ステップS5の判定において、Dが発報距離より小さい(近い)場合は、S6ステップにおいて、警報発報手段(図3の12)に対して発報を指示し、モータ速度決定手段(図3の13)に対して減速を指示した後に、S7ステップにおいて、所定の要停止距離との比較を行いDが要停止距離よりも小さい(近い)場合は、さらにモータ速度決定手段(図3の13)に停止の指示を発行する。
また、S5の判定においてDの値が発報距離よりも大きい(遠い)場合および保持しデータ列内に平坦路以外の判定を見いだせなかった(図17のS4の結果がNo)場合は、当該判定後何も行わずに処理を終了するため通常通りに走行できる。
この実施例においては、距離センサ3の監視方向を電動車椅子1の前方に構成し、前進走行時に路面形状の変化によって凹段差に転落することを防止することが可能となるが、距離センサ3を側方や後方に向けて配置し、当該方向の監視を行うようにすれば、例えば、側溝が並走する走行路を走行中に操作を誤って側溝に転落すると言った事故の抑制を行うこともできる。
最後に、当該実施例の場合、データバッファがデータで満たされるまでは、当該制御が行われないという問題点が懸念されるが、現在停止した理由を保持し、路面形状が理由で現在停止しているのであれば、同様の制御を継続するなどの対処を行えば、制御の遅れを最小に押さえることが可能となる他、前述のカメラタイプの距離センサを活用すれば、停止状態でも電動車椅子の周辺の路面形状を取得できるため解消が可能である。
請求項1の発明においては、前述の通り、電動車椅子1に最も近い路面段差を見いだした時点で、その段差との距離を元に、警報発報や減速、停止と言った動作制御を実施するようにしているが、この場合、例えば駅のプラットホーム上において、入線してきた電車の客室内に進行しようとした場合、ホームと車室床面の間の間隙に当該仕組みが反応して、車室内へ乗り込めなくなる懸念がある。こういった場合、電動車椅子の乗員に判断を委ねて、当該安全装置を介助した上で、電車の車内へ進行させる事も考えられるが、乗員の手間を増やすだけでなく、その間、当該安全機構が無効とせざるを得なくなる。こういった状況に対してさらなる工夫を行った発明が請求項2である。
請求項2の発明では、請求項1の様に電動車椅子1に最も近い段差の有無で速度規制、動作規制を行うのではなく、段差の継続する距離も判定して、当該段差が小規模で電動車椅子をそのまま動作させても転落等を起こさずに踏破できる可能性がある場合には、動作規制を行わないように構成した。
請求項2の発明で追加する判定を、図18のフローチャートを使って説明する。請求項2の発明においても、図17の判定を行い、警報、速度規制の指示を図3の11dモータ速度決定手段が後段の処理ブロックに対して発行するところまでは、請求項1の発明と同じとなる。
そこで、図18フローチャートにおいても、まず図17の判定を行うところから、判定を開始する。前述の様に図17の判定においては、路面形状の判定結果データR(m){m=0、1、2、・・・N}を電動車椅子1に近い位置、m=0のデータから検査を行い、R(m)≠平坦路、となったところで、警報等の発報指示を行い判断処理を終了する。この判定に引き続き、図18の判断においては、R(m)格納データの検査をさらに遠方に向けて継続し、R(m)≠平坦路、と言う判定結果となっている距離を同定する。そこで、図18のS0でまず図17の判定終了時点のR(m)を検査し、R(m)=平坦路の場合は、図17の判定で段差を検出していないこととなるため、図18の判定もそのまま1回分終了する。
逆に、図18のS0でまず図17の判定終了時点のR(m)を検査し、R(m)≠平坦路の場合は、図17の判定が、電動車椅子1最近の段差を検出して終了しているため、このR(m)≠平坦路となっている領域の規模をR(m)の継続検査によって求める。このためにまず図18のS1で図17終了時点のmの値をSmに保持すると共に、距離積算データDを0でクリアする。
次に、S2〜S4でmを1ずつ増加させながら、R(m)の検査を継続しつつR(m)≠平坦路、と言う判定結果となっている領域の継続距離をS3ステップで変数Dに積算する。R(m)の検査は、データ列を全て監査し終わった場合(S4判定No)の場合とR(m)=平坦路 判定(S2判定No)のデータが出現したところで終了する。
R(m)=平坦路 で、R(m)の検査を終える場合は、路面の段差が終了して平坦路に戻ったことを表しているため、ステップS5において、検査終了までに積算したDの値を踏破可能距離と比較し、Dが踏破可能距離未満の場合は、行き先には段差が存在するが、通常走行で踏破が可能であると見なして、図17で発行された警報指示は継続するものの減速や停止の指示はキャンセルする。(図18ステップS6)
逆に、Dが踏破可能距離より大きい場合は、踏破不可能な段差でそのまま進行しても段差を踏破できないため、図17の指示内容に因らずステップS7で停止指示を発行し、電動車椅子1を停止させる。
この踏破可能距離は、電動車椅子の車輪の大きさや最大車速によって決定される所定値となる。
最後に、図18ステップS4の判定がNo、つまり、データ列を検査し尽くして終了する判定場合は、何も行わず、図17の判定を採用する。
このような構成を取ることによって、例えば駅のプラットホーム上を走行し、乗車位置に移動する場合、列車入線前は、プラットホームの縁辺の手前で、警報発報の上自動的に停止し、列車が入線してドアが開いている場合、ホームと車体の間隙が踏破できる程度であれば、そのまま車室内へ進行することができるため、煩わしい操作手順の増加を招かずに、段差の検知を行いながら安全に走行可能となる利点がある。
1 電動車椅子本体
2 操作手段
3 距離センサ
4 駆動モータ
5 駆動輪
6 コントローラ
7 バッテリ
8 フレーム
9 A/D変換器
10 CPU
12 警報発報手段
13 モータ制御手段
14 警告ランプ
15 警報ブザー
15 速度センサ
2 操作手段
3 距離センサ
4 駆動モータ
5 駆動輪
6 コントローラ
7 バッテリ
8 フレーム
9 A/D変換器
10 CPU
12 警報発報手段
13 モータ制御手段
14 警告ランプ
15 警報ブザー
15 速度センサ
Claims (2)
- 走行方向を複数の方向の中から選択して指示する走行方向指示手段とその方向への移動速度を指定する事のできる移動速度選択手段から成る操作手段および走行制御手段と、自車と路面までの距離によって道路形状を関知する道路形状判断手段と道路状況判断手段の判断結果を基に警報および走行の許可・禁止を判定する走行許可判定手段を有し、当該道路形状判断手段が、自車近傍に段差ありと判断した場合、当該段差へのさらなる接近に対して一旦停止を含めた警告を行う事を特徴とする電動車椅子。
- 請求項1の電動車椅子において、当該段差が、走行指示の方向に存在し、段差の規模が踏破不可能であると判断される場合は、減速あるいは走行を禁止する事を特徴とする電動車椅子。
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Cited By (8)
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