JP2011216650A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐電圧の大きい、高性能な固体電解コンデンサの製造方法を提供する。
【解決手段】表面に誘電体被膜が形成された陽極体と、誘電体被膜上に形成された導電性高分子層と、を有するコンデンサ素子を備える固体電解コンデンサの製造方法であって、第1化成処理によって陽極体の表面に誘電体被膜を形成する工程と、化学重合によって誘電体被膜上に第1導電性高分子層を形成する工程と、化学重合によって生じた誘電体被膜の欠損部を第2化成処理によって修復する工程と、修復後、電解重合によって第1導電性高分子層上に第2導電性高分子層を形成する工程と、を有し、第2化成処理を、化成促進剤および第2導電性高分子層の前駆体を含む混合液中で行い、電解重合を、第2化成処理に用いた混合液中で行う、固体電解コンデンサの製造方法である。
【選択図】図4

Description

本発明は、固体電解コンデンサの製造方法に関し、特に、耐電圧の大きい、高性能な固体電解コンデンサの製造方法に関する。
従来より、小型化に適したコンデンサとして、電解質として導電性高分子層を有する固体電解コンデンサが広く知られている。このような固体電解コンデンサは、一般的に、誘電体被膜を有する陽極体と、誘電体被膜上に形成された導電性高分子層とを有するコンデンサ素子を備える構成となっている。
陽極体には、弁金属の金属板または金属箔をエッチングしたもの、および弁金属の粉末の成形体を焼結したものなどがあり、このような陽極体の表面を化成処理することにより、誘電体被膜を形成することができる。また、導電性高分子層としては、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェンなどが知られている。導電性高分子層の電気伝導性は高く、固体電解コンデンサの等価直列抵抗(以下、「ESR」という。)を低くすることが可能となる。
導電性高分子層を形成する方法として、化学重合を利用する方法および電解重合を利用する方法があり、特に、化学重合によって形成される導電性高分子層よりも、電解重合によって形成される導電性高分子層のほうが、その構造が緻密で質が高いことが知られている。しかしながら、誘電体被膜が絶縁体であるために、電解重合によって直接誘電体被膜上に導電性高分子層を形成するのは困難である。このため、誘電体被膜上に化学重合によって比較的に粗い導電性高分子層(A)を形成した後に、電解重合によって緻密な導電性高分子層(B)を積層して、導電性高分子層を形成する方法が広く採用されている。
上記方法によれば、化学重合と電解重合とを組み合わせることによって、質の高い導電性高分子層を簡便に形成することができる。しかし、一方で、化学重合時に用いる重合液や、化学重合で形成された導電性高分子によって誘電体被膜に欠損部が生じてしまい、結果的に、固体電解コンデンサの漏れ電流が大きくなったり、耐圧性能が低くなってしまうという問題も残っていた。この問題に対応して、化学重合によって導電性高分子層(A)を形成した後に、陽極体に再化成処理を行って誘電体被膜の欠損を修復する技術が開発されている(特許文献1)。
特開2001−148328号公報
しかしながら、引用文献1に開示される技術のように、再化成処理を行って固体電解コンデンサを製造する場合、製造工程数が増え、さらには製造のタクトタイムや製造コストが増加するという問題がある。このため、誘電体被膜の欠損部を修復して、固体電解コンデンサの耐電圧性能を向上させる他の技術の開発が望まれている。
そこで、本発明の目的は、耐電圧の大きい、高性能な固体電解コンデンサの製造方法を提供することにある。
本発明は、表面に誘電体被膜が形成された陽極体と、誘電体被膜上に形成された導電性高分子層と、を有するコンデンサ素子を備える固体電解コンデンサの製造方法であって、第1化成処理によって陽極体の表面に誘電体被膜を形成する工程と、化学重合によって誘電体被膜上に第1導電性高分子層を形成する工程と、化学重合によって生じた誘電体被膜の欠損部を第2化成処理によって修復する工程と、修復後、電解重合によって第1導電性高分子層上に第2導電性高分子層を形成する工程と、を有し、第2化成処理を、化成促進剤および第2導電性高分子層の前駆体を含む混合液中で行い、電解重合を、第2化成処理に用いた混合液中で行う、固体電解コンデンサの製造方法である。
上記固体電解コンデンサの製造方法は、第2化成処理において、混合液中で陽極体に電圧を印加することによって誘電体被膜の欠損部を修復し、電解重合において、第2化成処理に用いた混合液中で第1導電性高分子層に電流を通電することによって第2導電性高分子層を形成することが好ましい。
上記固体電解コンデンサの製造方法において、第2化成処理および電解重合は混合液中で連続して行われることが好ましい。
上記固体電解コンデンサの製造方法において、第2化成処理時の電流値は、陽極体1個当たり0.1mA以下であることが好ましい。
上記固体電解コンデンサの製造方法において、化成促進剤はリン酸であり、混合液におけるリン酸の含有量は、0.005質量%以上0.1質量%以下であることが好ましい。
上記固体電解コンデンサの製造方法において、混合液は、さらに、ドーパントを含むことが好ましい。
本発明によれば、化学重合によって生じた誘電体被膜の欠損部を効率的に修復することができ、もって、誘電体被膜の欠損部が修復された、高性能な固体電解コンデンサを提供することができる。
本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の好ましい一例のフローチャートである。 図1の製造工程を経て製造される固体電解コンデンサの構造の一例を模式的に示す断面図である。 第1化成処理を行うときの好ましい態様の一例を示す模式図である。 第2化成処理を行うときの電圧の印加方法を図解する模式的な図である。 電解重合を行うときの電流の通電方法を図解する模式的な図である。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。なお、図面における長さ、大きさ、幅などの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法を表していない。
図1は、本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の好ましい一例のフローチャートである。図2は、図1の製造工程を経て製造される固体電解コンデンサの構造の一例を模式的に示す断面図である。以下に、図1および図2を用いながら、本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の好ましい一例について説明する。なお、ここでは、焼結体からなる陽極体を有する固体電解コンデンサの製造方法について説明する。
<誘電体被膜の形成>(誘電体被膜形成工程)
まず、図1のステップS11において、第1化成処理によって陽極体10の表面に誘電体被膜12を形成する。
第1化成処理に供する焼結体からなる陽極体10には、図2に示すように、棒状体の陽極リード11が立設されている。このような陽極体は、たとえば、棒状体の陽極リード11の長手方向の一端側を弁金属粉末に埋め込んだ状態で、当該粉末を所望の形状に成形し、その後、当該成形体を焼結することによって形成することができる。弁金属としては、タンタル、ニオブ、チタン、アルミニウムなどを用いることができる。また、陽極リード11は金属で構成することができるが、特に、弁金属を好適に用いることができる。
第1化成処理は、たとえば、化成液に陽極体10を浸漬して、陽極体10に電圧を印加することにより実施することができる。図3は、第1化成処理を行うときの好ましい態様の一例を示す模式図である。図3において、処理浴31内には、化成液32が満たされている。化成液32には、直流電源33の正極側に接続された陽極体10と、直流電源33の負極側に接続された陰極片34が浸漬される。図3に示すように、陽極リード11と直流電源33とを電気的に接続することにより、容易に陽極体10を正極とすることができる。
図3に示す状態において、直流電源33から陽極体10に電圧が印加されることにより、陽極体10の表面に誘電体被膜12が形成される。なお、印加する電圧は、製造する固体電解コンデンサの定格電圧に依存させて調整することができる。
化成液32としては、リン酸を含有するリン酸水溶液を用いることが好ましい。リン酸水溶液は、たとえば、水にリン酸を添加してもよく、リン酸水素ナトリウムなどのリン酸塩、またはリン酸エステルなどのリン酸化合物を溶解させることによっても作製することができる。リン酸水溶液におけるリン酸の濃度は0.001質量%以上10質量%以下であることが好ましい。リン酸の濃度を上記範囲内とすることにより、化成処理時の酸化反応の制御が容易となり、誘電体被膜12の品質を向上させることができる。なお、本明細書において、溶液中のリン酸の濃度とは、リン酸を添加して調製した溶液全体の質量に対する、添加されたH3PO4の質量%をいう。
<第1導電性高分子層の形成>(第1導電性高分子層形成工程)
次に、図1のステップS12において、化学重合によって誘電体被膜12上に第1導電性高分子層を形成する。
化学重合による第1導電性高分子層の形成方法には、気相重合法と液相重合法とがある。気相重合法とは、第1導電性高分子層の基本骨格となるモノマーを含むガスを用いる方法である。たとえば、誘電体被膜12に酸化剤およびドーパントを付着させ、さらに該誘電体被膜12をモノマーを含むガスに曝露して、誘電体被膜12上でモノマーを酸化重合させることによって、第1導電性高分子層を形成することができる。なお、本工程で用いられる気相重合法は上記の場合に限られず、公知の気相重合法を用いることができる。
一方、液相重合法とは、モノマーを含む重合液を用いる方法である。たとえば、誘電体被膜12が形成された陽極体10を、モノマー、酸化剤、およびドーパントを含む重合液に浸漬させて、誘電体被膜12上でモノマーを酸化重合させることによって、第1導電性高分子層を形成することができる。本工程で用いられる液相重合法は上記の場合に限られず、公知の液相重合法を用いることができる。
モノマーとしては、脂肪族系化合物、芳香族系化合物、複素環式系化合物およびヘテロ原子含有化合物のうちの少なくとも1つを用いることができる。なかでも、チオフェンおよびその誘導体、ピロールおよびその誘導体、アニリンおよびその誘導体、ならびにフランおよびその誘導体が好ましい。これらのモノマーを重合して得られる第1導電性高分子層は、薄膜形成が可能で、導電性に優れるからである。特に、ピロールおよびその誘導体を好適に用いることができる。チオフェンの誘導体として、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3−アルキルチオフェンなどがあり、ピロールの誘導体として、N−メチルピロールなどがあり、アニリン誘導体としては、N,N−ジメチルアニリン、N−アルキルアニリンなどがある。
酸化剤としては、公知の酸化剤を用いることができ、たとえば、過酸化水素、過マンガン酸、次亜塩素酸、クロム酸などを挙げることができる。また、ドーパントとして、公知のドーパントを用いることができ、たとえば、アルキルスルホン酸、芳香族スルホン酸、多環芳香族スルホン酸などのスルホン酸化合物の酸または塩、硫酸、硝酸などを挙げることができる。また、酸化剤およびドーパントのかわりに、スルホン酸金属塩などの公知の酸化剤兼ドーパント材を用いてもよい。
<誘電体被膜の欠損部の修復>(修復工程)
次に、図1のステップS13において、化学重合によって生じた誘電体被膜12の欠損部を第2化成処理によって修復する。
上述の化学重合によって、第1導電性高分子層が形成されると同時に、誘電体被膜12に欠損部が生じる。誘電体被膜12の欠損部は、固体電解コンデンサの漏れ電流の増大、耐電圧の低下を引き起こしてしまうため、この欠損部を本工程によって修復する。以下に、図4を用いて本工程を具体的に説明する。
図4は、第2化成処理を行うときの電圧の印加方法を図解する模式的な図である。図4において、処理浴41内には、化成処理剤を含む混合液42が満たされている。混合液42には、直流電源43の正極側に接続された陽極体10と、陰極片44と、陽極片45とが浸漬している。陰極片44は、直流電源43の負極側に電気的に接続される。直流電源43の正極側の配線上には切り替え部46が設けられており、切り替え部46は、直流電源43の正極側と陽極体10との接続、および直流電源43の正極側と陰極片44の対極となる陽極片45との接続を切り替え可能な構成となっている。
図4に示すように、切り替え部46が直流電源43の正極側と陽極体10とを接続する態様となることにより、陽極体10に電圧が印加される。これにより、陽極体10の表面にある誘電体被膜12の欠損部が化成処理され、誘電体被膜12は、再度、陽極体10の表面全体を被覆する形状となる。なお、図4において、誘電体被膜12、第1導電性高分子層および欠損部についてはその構成が複雑となるため、図示していない。
本工程において、陽極体10に印加する電圧が第1化成処理時の電圧よりも極端に低い場合、たとえば、第1化成処理時の電圧の半分以下である場合には、修復効果が低くなる。また、印加する電圧が極端に高い場合には、誘電体被膜12が厚くなってしまい、静電容量が低下してしまう。したがって、第2化成処理時の電圧は、第1化成処理時の電圧の半分より大きく第1化成処理時の電圧以下、または第1化成処理時の電圧と同程度であることが好ましい。また、混合液42中には、後述するようにモノマーが含まれるが、陽極体10に大きな電流が流れると、モノマーの電解重合が進んでしまうおそれがある。このため、第2化成処理時の電流値は、陽極体1個当たり0.1mA以下にすることが好ましい。すなわち、第2化成処理時に陽極体に通電される電流は0.1mA以下となる。
混合液42に含まれる化成処理剤としては、リン酸を用いることができる。リン酸の供給源としては、リン酸そのものを用いることはもちろん、リン酸水素ナトリウムなどのリン酸塩、またはリン酸エステルなどのリン酸化合物を用いてもよい。混合液42中のリン酸の濃度が0.005質量%未満の場合、誘電体被膜12の修復効果が低いという問題がある。また、混合液42中のリン酸の濃度が0.1質量%を超える場合、第2導電性高分子層の導電性が低下するという問題がある。したがって、混合液42中におけるリン酸の濃度は0.005質量%以上0.1質量%以下であることが好ましい。
また、混合液42には、化成処理剤の他に、後述する電解重合に必要な、モノマーが含まれている。モノマーとしては、第2導電性高分子層の基本骨格となる化合物であればよく、脂肪族系化合物、芳香族系化合物、複素環式系化合物およびヘテロ原子含有化合物のうちの少なくとも1つを用いることができる。なかでも、チオフェンおよびその誘導体、ピロールおよびその誘導体、アニリンおよびその誘導体、ならびにフランおよびその誘導体が好ましく、特に、ピロールおよびその誘導体を好適に用いることができる。これらのいずれかを用いることにより、ポリチオフェン骨格、ポリピロール骨格、ポリアニリン骨格、またはポリフラン骨格からなる第2導電性高分子層を形成することができる。
また、後述する電解重合において、ドーパントを用いる場合、現段階で混合液42にドーパントを添加しておくことができる。ドーパントとしては、公知のドーパントを用いることができ、たとえば、アルキルスルホン酸、芳香族スルホン酸、多環芳香族スルホン酸などのスルホン酸化合物の酸または塩、硫酸、硝酸などを挙げることができる。
なお、モノマーおよびドーパントは、第2化成処理の途中または第2化成処理が終了してから次工程を行う間に混合液42に加えられてもよい。ただし、製造効率の観点からは、第2化成処理に供する混合液42を準備する際に、予め、添加しておくことが好ましい。また、混合液42に酸化剤などの支持電解質をさらに加えてもよい。酸化剤としては、過硫酸アンモニウムなどがある。
<第2導電性高分子層の形成>(第2導電性高分子層形成工程)
次に、図1のステップS14において、電解重合によって第1導電性高分子層上に第2導電性高分子層を形成する。本工程を経ることにより、誘電体被膜12上に、第1導電性高分子層および第2導電性高分子層からなる導電性高分子層13が形成され、図2に示すコンデンサ素子14が作製される。以下に、図5を用いて本工程を具体的に説明する。
図5は、電解重合を行うときの電流の通電方法を図解する模式的な図である。本工程は、前述した修復工程後、陽極体10を混合液42から取り出すことなく、連続して行うことができる。図5に示すように、修復工程終了後、切り替え部46の動作により、直流電源43の正極側の接続先が陽極体10から陽極片45に切り替えられる。
この切り替えにより、切り替え部46は図4に示す態様から図5に示す態様となり、直流電源43による電圧は陽極片45に印加されることになる。陽極片45に電圧が印加された際に、陽極片45が第1導電性高分子層と接していることにより、第1導電性高分子層に電流が通電される。これにより、混合液42中のモノマーがドーパントを取り込みながら第1導電性高分子層上で重合して、第2導電性高分子層が形成される。
<コンデンサ素子の封止>(封止工程)
次に、導電性高分子層13上に、カーボン層15および銀ペースト層16陰極層を形成する。本工程により、図2に示すように、導電性高分子層13上にカーボン層15および銀ペースト層16からなる陰極層が形成される。陰極引出層としてのカーボン層15は導電性を有していればよく、たとえば、グラファイトを用いて構成することができる。なお、カーボン層15および銀ペースト層16の形成は、それぞれ公知の技術を用いて形成することができる。
そして、陽極端子17を陽極リード11の露出している一端に接続し、銀ペースト層16上に接着層18を形成して陰極端子19の一端を接続し、これらを図2に示すように外装樹脂20にて封止する。最後に、外装樹脂20の外部に露出している陽極端子17および陰極端子19を外装樹脂20に沿うように折り曲げた後に、エージング処理することにより、図2に示す固体電解コンデンサ100を完成させる。なお、陽極端子17および陰極端子19は、たとえば銅または銅合金などの金属で構成することができ、外装樹脂20の素材としては、たとえばエポキシ樹脂を用いることができる。
以上に詳述した本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法によれば、化学重合によって生じた誘電体被膜12の欠損部を修復工程によって修復することができる。これにより、固体電解コンデンサの漏れ電流を低下させることができ、耐圧性能を高めることができる。
また、上述の製造方法によれば、修復工程と第2導電性高分子層形成工程との間において、陽極体10を、たとえば従来の化成処理液から従来の電解重合液に入れ替える必要がない。すなわち、修復工程と第2導電性高分子層形成工程を連続して行うことができ、製造タクトタイムの短縮を計ることができる。また、引上げにより起こり得る不純物の付着も回避することができる。
本発明における固体電解コンデンサは、上記の実施の形態に係る固体電解コンデンサに限定されず、公知の形状に応用することができる。公知の形状としては具体的に、巻回型の固体電解コンデンサ、弁金属の板を用いた積層型の固体電解コンデンサなどがある。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各実施例および各比較例において、固体電解コンデンサを100個ずつ製造した。
<実施例1>
≪誘電体被膜形成工程≫
まず、公知の方法を用いて、タンタル粉末を準備し、タンタルワイヤの一端側をタンタル粉末に埋め込んた状態で、タンタル粉末を直方体に成形した。そして、これを焼結することにより、陽極リードの一端が埋め込まれた陽極体を形成した。このときの陽極体の寸法は、縦×横×高さが1.8mm×2.2mm×1mmであった。
次に、第1化成処理として、陽極体をリン酸を0.02質量%を含むリン酸溶液に浸漬し、20Vの電圧を5時間印加した(図3参照)。この工程により、陽極体の表面にTa25からなる誘電体被膜を形成した。なお、当該リン酸溶液は、85%(密度が1.83g/ml)のリン酸水溶液を水で希釈して200gとしたリン酸水溶液である。
≪第1導電性高分子層形成工程≫
次に、液相重合法によって誘電体被膜上に第1導電性高分子層を形成した。具体的には、まず、ピロールを3mol/Lの濃度で含むエタノール溶液と、過硫酸アンモニウムおよびアルキルナフタレンスルホン酸各々を1mol/Lずつ含有する水溶液を準備した。そして、25℃に調整した上記エタノール溶液中に誘電体被膜が形成された陽極体を5分間浸漬し、次いで25℃に設定された上記水溶液に5分間浸漬して誘電体被膜上でモノマーを化学重合させることにより、第1導電性高分子層を形成した。その後、陽極体を水溶液から引き上げて乾燥させた。
≪修復工程≫
次に、第2化成処理によって、化学重合で生じた誘電体被膜の欠損部を修復した。具体的には、まず、混合液として、リン酸を0.02質量%、ピロールを0.1mol/L、アルキルナフタレンスルホン酸を0.1mol/L、および硫酸を0.1質量%含む水溶液を2Lを準備した。なお、リン酸源としては、85%リン酸水溶液を用い、硫酸源としては30%の硫酸水溶液を用いた。そして、この水溶液に、直流電源の正極側に接続された陽極体、および直流電源の負極側に接続された陰極片を浸漬して、陽極体に20Vの電圧を1時間印加した(図4参照)。なお、このときの電流は、0.1mA以下であった。
≪第2導電性高分子層形成工程≫
次に、電解重合によって第1導電性高分子層上に第2導電性高分子層を形成した。具体的には、陽極体を混合液に浸漬した状態のまま、直流電源の正極側に陰極片の対極となる陽極片を接続させ、陽極片を第1導電性高分子層に接続させた。そして、陽極片に20Vの電圧を印加して、第1導電性高分子層に0.3mAの電流を3時間通電した。この操作により、第1導電性高分子層上に第2導電性高分子層が形成された導電性高分子層が形成され、コンデンサ素子が作製された。
≪封止工程≫
上記操作の終了後、混合液から陽極体を引き上げ、これを水で洗浄後、100℃の乾燥器内に配置して乾燥させた。そして、乾燥後のコンデンサ素子に、グラファイト粒子懸濁液を塗布して大気中で乾燥させることによりカーボン層を形成し、さらに、公知の技術にしたがって、銀ペースト層を形成した。
そして、コンデンサ素子において、陽極リードに銅からなる陽極端子を溶接し、銀ペースト層上に銀接着剤を塗布して接着層を形成し、接着層に銅からなる陰極端子の一端を接着させた。さらに、陽極端子および陰極端子の一部が露出するように、コンデンサ素子を外装樹脂で封止した。露出する陽極端子および陰極端子を外装樹脂に沿うように折り曲げた後、エージング処理を行った。製造された固体電解コンデンサの定格電圧は6V、定格容量は150μFであり、縦×横×高さが3.5mm×2.8mm×1.9mmであった。
<比較例1>
修復工程を行わず、電解重合において、混合溶液の代わりに電解重合液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、固体電解コンデンサを製造した。電解重合では、ピロールを0.1mol/L、アルキルナフタレンスルホン酸を0.1mol/L、および硫酸を0.1質量%含む水溶液を電解重合液として用い、第1導電性高分子層に0.3mAの電流を3時間通電した。
<比較例2>
修復工程の代わりに、リン酸を0.02質量%含むリン酸水溶液を用いて、再化成処理を行い、比較例1と同様の方法で電解重合を行った以外は、実施例1と同様の方法で固体電解コンデンサを製造した。再化成処理では、上記リン酸水溶液2Lに第1導電性高分子層が形成された陽極体を浸漬し、該陽極体に20Vの電圧を1時間印加した。なお、再化成処理後、陽極体をリン酸水溶液から取り出し、洗浄乾燥してから電解重合液に浸漬した。
<比較例3>
電解重合液として、リン酸を0.02質量%、ピロールを0.1mol/L、アルキルナフタレンスルホン酸を0.1mol/L、および硫酸を0.1質量%含む水溶液を用いた以外は、比較例2と同様の方法で、固体電解コンデンサを製造した。
<性能評価>
≪耐電圧試験≫
実施例1および各比較例1〜3の固体電解コンデンサからそれぞれランダムに20個ずつ抽出した。抽出した固体電解コンデンサについて、印加する直流電圧を1V/秒の速度で上昇させて、耐電圧試験を行った。漏れ電流が1mA以上となったときの電圧を耐電圧とし、実施例1および各比較例1〜3の固体電解コンデンサにおける平均値を算出した。この結果を表1の「耐電圧(V)」に示した。
≪漏れ電流の測定≫
実施例1および各比較例1〜3固体電解コンデンサからそれぞれランダムに20個ずつ抽出した。抽出した固体電解コンデンサに対して、定格電圧を2分間印加し、その後の各固体電解コンデンサの漏れ電流量を測定し、実施例1および各比較例1〜3における平均値を算出した。この結果を表1の「漏れ電流(μA)」に示した。
Figure 2011216650
表1において、実施例1について、耐電圧が比較例1よりも大きく、漏れ電流が比較例1よりも小さかった。これは、化学重合によって誘電体被膜に欠損部が生じており、これを修復工程で修復することができたためと考えられる。
また、比較例2において、化学重合後にリン酸水溶液で化成処理し、その後、モノマー、ドーパントおよび酸化剤を含む重合液を用いて電解重合を行った場合、比較例1よりは漏れ電流が小さく、耐電圧が高い結果であった。しかしながら、実施例1と比較した場合、実施例1よりも漏れ電流が大きく、耐電圧性能も低かった。
また、比較例3において、リン酸水溶液で化成処理し、その後、リン酸とアルキルナフタレンスルホン酸を含む電解重合を行ったが、実施例1と比較した場合、実施例1よりも漏れ電流が大きく、耐電圧性能も低かった。比較例3において、重合液におけるモノマー、リン酸、アルキルナフタレンスルホン酸および硫酸のそれぞれの含有量は、実施例1における混合液中のモノマー、リン酸、アルキルナフタレンスルホン酸および硫酸の含有量と同等である。であるにも係わらず、実施例1における電解コンデンサのほうが比較例3における固体電解コンデンサの性能よりも高い理由は明確ではないが、誘電体被膜および第1導電性高分子層の形成状態、構造などが関係していると考えられる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、固体電解コンデンサの製造において広く利用することができる。
10 陽極体、11 陽極リード、12 誘電体被膜、13 導電性高分子層、14 コンデンサ素子、15 カーボン層、16 銀ペースト層、17 陽極端子、18 接着層、19 陰極端子、20 外層樹脂、31,41 処理浴、32 化成液、33,43 直流電源、34,44 陰極片、42 混合液、45 陽極片、46 切り替え部、 100 固体電解コンデンサ。

Claims (6)

  1. 表面に誘電体被膜が形成された陽極体と、前記誘電体被膜上に形成された導電性高分子層と、を有するコンデンサ素子を備える固体電解コンデンサの製造方法であって、
    第1化成処理によって前記陽極体の表面に前記誘電体被膜を形成する工程と、
    化学重合によって前記誘電体被膜上に第1導電性高分子層を形成する工程と、
    前記化学重合によって生じた前記誘電体被膜の欠損部を第2化成処理によって修復する工程と、
    修復後、電解重合によって前記第1導電性高分子層上に第2導電性高分子層を形成する工程と、を有し、
    前記第2化成処理を、化成促進剤および前記第2導電性高分子層の前駆体を含む混合液中で行い、前記電解重合を、前記第2化成処理に用いた前記混合液中で行う、固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 前記第2化成処理において、前記混合液中で前記陽極体に電圧を印加することによって前記誘電体被膜の欠損部を修復し、
    前記電解重合において、前記第2化成処理に用いた前記混合液中で前記第1導電性高分子層に電流を通電することによって前記第2導電性高分子層を形成する、請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 前記第2化成処理および前記電解重合は前記混合液中で連続して行われる、請求項1または2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  4. 前記第2化成処理時の電流値は、陽極体1個当たり0.1mA以下である、請求項1から3のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 前記化成促進剤はリン酸であり、前記混合液における前記リン酸の含有量は、0.005質量%以上0.1質量%以下である、請求項1から4のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  6. 前記混合液は、さらに、ドーパントを含む、請求項1から5のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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