JP2011214310A - 着脱式ガイド治具およびそれを用いた鋼管杭の建込み方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】中心板と少なくともその片面に付設した支持部材とを備える着脱式ガイド治具であり、中心板は該下鋼管杭に対し接する面と該面に続き上方外側に拡がる傾斜面とを有しており、支持部材は、少なくとも1個の磁石と少なくとも1枚のヨークとしての金属板とを有して下鋼管杭に対する吸着機能をそなえ、さらに、中心板と支持部材の固定手段を備えている。
【選択図】図1
Description
また、上記したような建設物だけでなく、橋梁基礎、港湾・臨海構造物基礎等にも広く鋼管杭は使われている。
しかし、この上鋼管杭を載せる作業は、鋼管杭が数トンレベルの重量物でかつ数mの長尺物であることから、その位置合わせは、作業者が直接手を触れないと極めて難しいものであり、また作業者が上下杭の間に挟まれる危険がある。
また、鋼管杭の建込み時の現場において、下鋼管杭にガイドを溶接する方法もあるが、この方法は現場での溶接工程が増えるだけでなく、使用後のガイドをハンマーで叩いて、下鋼管杭から取去る必要がある。そのため、下鋼管杭およびガイド共に破損するおそれがあり、特に、使用の度に局所的な破損が見られ、都度再加工を要していた。
1.鋼管杭の建込みに際し、上下鋼管杭を溶接して接合するために上鋼管杭を下鋼管杭に対して位置合わせするガイド治具であって、中心板と少なくともその片面に付設した支持部材とを備え、
該中心板は該下鋼管杭に対し接する面と該面に続き上方外側に拡がる傾斜面とを有し、
該支持部材は、少なくとも1個の磁石と少なくとも1枚のヨークとしての金属板とを有し、かつ下鋼管杭に対する吸着機能をそなえ、
さらに、該中心板と該支持部材の固定手段を備えることを特徴とする着脱式ガイド治具。
また、本発明の着脱式ガイド治具は、繰返して使用することができ、さらに、異なる鋼管径の鋼管杭の建込みを行う場合であっても、そのまま使用できるため、経済的にも極めて有利である。
図1(a)に、本発明にかかる着脱式ガイド治具の中心板と支持部材とを示す。図中、1は中心板、2は支持部材、3は磁石、4は傾斜面、5は下鋼管杭に対し接する面および6はヨークとしての金属板である。
本発明に従う着脱式ガイド治具の中心板1および支持部材2の固定手段に、特段の限定はないが、図1(b)に示したように、ボルトおよびナットを用いて、中心板1に支持部材2を固定して使用することが好ましい。
中心板1には、下鋼管杭に対して上方外側向きに傾斜している傾斜面4と下鋼管杭に対し接する面5(以下、単に杭と接する面という)がある。
また、支持部材2は、磁力を伝えるヨークとしての金属製の少なくとも1枚、好ましくは複数枚の金属板6(同図では、10枚)と、少なくとも1個の磁石3(同図では、3個)とを有している。
なお、杭と接する面5は、下鋼管杭の上部周面に、本発明の着脱式ガイド治具を正確に取付けるための基準面となるものである。
さらに、支持部材2は、磁石3およびスライドする金属板6を有していることにより、下鋼管杭に簡単かつ任意の強度で固定することができるのみならず、下鋼管杭から着脱式ガイド治具を外す時にも、容易に外すことができる。
以上の特徴により、鋼管杭の建込み作業中、作業者は上鋼管杭に手を添える必要がなく、安全に作業することができる。
そのため、例えば中心板に、ワイヤーロープ用開口部7や軽量化のための質量調整用の開口部8等の追加工ができる。というのは、廃棄を前提とした治具であれば、追加工はコストアップの影響が大きいが、相当回数にわたって繰返し使う場合には、作業性の改善による効果が、コストアップ分の影響を上回ることが期待できる。
すなわち、軽量化による、作業現場での繰返し作業時の確実性および安全性の向上や搬送負荷の低減、ワイヤーロープ用開口部7による着脱式ガイド治具の固定時間の短縮等の効果である。
図2(a)に、中心板1の一例を示す。
中心板の大きさとして、特に制限はないが、持ち運びや、鋼管杭への取付け作業性等を考慮すると、中心板の厚さは、6〜12mm程度が好ましく、杭と接する面5の高さH1は、50〜350mm程度が好ましく、傾斜面4の高さH2は、100〜500mm程度が好ましく、また、傾斜面の始点N1から先端部N2への上方外側への拡がり幅Wは、50〜200mm程度が好ましい。なお、図に示す角度θで表すと6〜39°程度が好ましい。
なお、傾斜面4を、図2(a)では直線的に示しているが、曲線的な稜線を持つ面でも良いことは、前述したとおりである。
また、図2(a)に示したように、使用時の強度を考慮した上で、質量調整用の開口部8を設けると、着脱式ガイド治具全体の重さが減って、作業者の負担軽減となるので好ましい。
同図に示したように、金属板6は、ボルトで締め付ける前にスライドが可能な長穴が設けられている。この長穴形状は金属板がスライドをすれば特に限定はないが、長径と短径の比、長径/短径は1〜3程度とするのが好ましい。また、金属板6の厚みに特に制限はないが2〜3mm程度が好ましい。
なお、磁石ホルダーの厚みとしては2mm程度が好ましい。
本発明に使用する磁石にも特に制限は無いが、フェライト系や、希土類系等、従来公知の永久磁石用磁性体がいずれも使用でき、図2(c)に示したような四角形状で、20〜30mm角、7mm程度の厚みのものが好適である。
なお、図1(a)では、金属板を、支持部材1個当たりで10枚用いた例を示しているが、磁石1個、金属板1枚の組合せを、中心板の左右いずれかに配置すれば、本発明にかかる着脱式ガイド治具となる。なお、金属板の枚数は支持部材1個当たり4〜32枚程度が、鋼管杭の径に対する汎用性、固定時の密着力および取外しの容易性という点で好ましい。
図3に、着脱式ガイド治具を下鋼管杭に固定した状態を示す。
図4に、着脱式ガイド治具を固定した下鋼管杭に、上鋼管杭を降ろした状態を示す。
同様の手順を繰返して、少なくとも3個の着脱式ガイド治具を下鋼管杭に取付ける。
この時、前記したように中心板にワイヤーロープ用開口部7または溝(図示せず)を設けておくと、この固縛作業がより簡単にできるので好ましい。
なお、本発明における溶接は、抵抗溶接等の従来公知の溶接方法いずれもが使用できる。
なお、本試験では、それぞれ3箇所に治具(ガイド)を取付け、試験を繰り返すたびに、治具を取り外して、再び固定するという作業を繰り返した。
また、この時のガイドの着脱の平均時間は、発明例でおよそ2分30秒(5回の平均)、従来例でおよそ4分(4回の平均)、であった。
その他の条件は、実施例1と同様である。
また、この時のガイドの着脱の平均時間は、発明例でおよそ2分30秒(5回の平均)、従来例でおよそ4分(4回の平均)、であった。
また、その着脱に要する時間も従来より38%程度短縮している。
2 支持部材
3 磁石
4 傾斜面
5 下鋼管杭に対し接する面
6 金属板
7 固定用のワイヤーロープ用開口部
8 質量調整用の開口部
H1 杭と接する面5の長さ
H2 傾斜面4の高さ
W 傾斜部4の拡がり幅
N1 傾斜面の始点
N2 中心板先端部
Claims (6)
- 鋼管杭の建込みに際し、上下鋼管杭を溶接して接合するために上鋼管杭を下鋼管杭に対して位置合わせするガイド治具であって、中心板と少なくともその片面に付設した支持部材とを備え、
該中心板は該下鋼管杭に対し接する面と該面に続き上方外側に拡がる傾斜面とを有し、
該支持部材は、少なくとも1個の磁石と少なくとも1枚のヨークとしての金属板とを有し、かつ下鋼管杭に対する吸着機能をそなえ、
さらに、該中心板と該支持部材の固定手段を備えることを特徴とする着脱式ガイド治具。 - 前記中心板が、鉄材または高強度樹脂材であることを特徴とする請求項1に記載の着脱式ガイド治具。
- 前記中心板が、ワイヤーロープ固定用のワイヤー通し穴または溝を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の着脱式ガイド治具。
- 前記金属板が、複数枚であり、個々の金属板の下鋼管杭に対向する面が、該下鋼管杭の表面曲率に沿う移動が可能であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の着脱式ガイド治具。
- 請求項1〜4いずれかに記載の着脱式ガイド治具を用いた鋼管杭の建込み方法であって、下鋼管杭に上鋼管杭を建込む際に、該下鋼管杭の上部周面の少なくとも3箇所に、該着脱式ガイド治具を、上方外側に拡がる傾斜面を該下鋼管杭の上端面より突出させて取付けたのち、該上鋼管杭を、該傾斜面を利用して該下鋼管杭の上端面に載置し、ついで、溶接により上下鋼管杭を接合した後、該着脱式ガイド治具を該下鋼管杭から取外すことを特徴とする鋼管杭の建込み方法。
- 前記着脱式ガイド治具を下鋼管杭に取付けたのち、さらにワイヤーロープを用いて、該着脱式ガイド治具を下鋼管杭に対して固縛することを特徴とする請求項5に記載の鋼管杭の建込み方法。
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