JP6138192B2 - 鋼管杭施工方法 - Google Patents
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Description
このような従来の施工方法では、次の杭を先行打ちするため、杭の打設位置を正確に調整するのは難しく、さらに杭の鉛直精度の確保が困難であった。そのため、例えば一旦杭打ちしてから、その杭の向きを再調整しなければならず、手間や時間がかかるという問題があった。
また、梁による杭の連結作業(梁を杭に溶接する作業)を行うには高所作業や水中作業が必要になるため、手間や時間がかかるばかりでなく、作業に危険が伴うという問題があった。
しかし、特許文献2記載の方法も、次の杭を先行打ちした後、補強部材を杭間でスライド挿入する方法であるため、杭の鉛直精度の確保が困難であるという問題は依然解消されていない。
また、上記スライド構造とすることで、支持杭と補強部材とをボルト締めや溶接等で固定しなくても、鉛直方向のみの固定(例えば、第1の支持杭に補強部材を支持するストッパを設ける)だけで支持杭に対する補強部材の位置を決定することができる。これにより、高所作業や水中作業を減らすことができ、安全性を向上させることができる。
また、第2の鋼管杭を既設の第1の鋼管杭外周面に対しスライドさせるだけで、鉛直方向を別途調整することなく第2の鋼管杭の良好な鉛直精度を得ることができる。また、第1の鋼管杭と第2の鋼管杭とは間に継手が介在して連結されることとなるため、各鋼管杭間の距離を一定とすることも可能となる。そして、鋼管杭の打設工程においては、第2の鋼管杭の打設の深さを第1の鋼管杭の上面を基準に決定することができるので、鋼管杭(第1の鋼管杭と第2の鋼管杭)同士の杭先端の高さを揃えることができる。
図1は、参考例の桟橋構築方法の施工前の状態を示す図である。
本発明に係る桟橋構築方法は、一から新たに桟橋を構築する場合と既設の桟橋から順次延長して桟橋を構築する場合の両方に用いることができるが、以下、桟橋完成部分(A)から桟橋未完成部分(B)に向けて桟橋を順次延長して構築する方法について説明する。図中、(W)は水面、(G)は地面(水底)である。尚、一から新たに桟橋を構築する場合にも、以下に説明する方法と同様の方法を適用することが可能である。
以下、参考例に係る桟橋構築方法を作業工程に沿って説明する。
先ず、補強部材を地組する。
図2は、(a)補強部材の正面図であり、(b)補強部材の左側面図である。
補強部材(1)は、互いに平行に延びる複数の支持部材(2)と、隣り合う支持部材同士を支持部材長手方向に対して斜め方向及び直角方向に連結する連結材(3)とから構成される。
補強部材(1)の連結材(3)は、支持部材(2)の長手方向に対して直角方向に連結するとともに互いに平行に間隔をおいて配置された繋ぎ材(31)と、支持部材(2)の長手方向に対して斜め方向に連結するとともに隣り合う繋ぎ材(31)間にクロスして設けられたブレス材(32)とからなり、繋ぎ材(31)とブレス材(32)とは繋ぎ材(31)の左右両端部に夫々固定された固定板(33)を介して一体に接続されている。
補強部材(1)は、支持部材(2)と繋ぎ材(31)によって格子状に形成されており、支持部材(2)の本数は、図2(b)では3本(つまり計6本)とされているが、2本(つまり計4本)又は4本(つまり計8本)以上であってもよい。
補強部材(1)は、支持部材(2)同士を長手方向に連結した状態で次工程である補強部材配置工程に供給してもよい。支持部材(2)同士の連結は、支持部材(2)の端部に形成したフランジ同士の溶接又はボルト止めにより行うことができる。
図3は、地組した補強部材をクレーンにより吊り下げる様子を示す図である。図4は、補強部材配置工程を説明するための図であり、(a)補強部材同士を連結する前の状態、(b)補強部材を所定高さに配置している状態を示す図である。
図3に示すように、上記地組工程にて地組した補強部材(1)を、桟橋完成部分(A)上でクレーンにより吊り下げ、図4における上側から既設の第1の支持杭(4a)に沿って順次吊降ろす。具体的には、地組した補強部材(1)の一端面側(1a)の支持部材(2)と既設の第1の支持杭(4a)の外周面に設けられた継手とを係合させた状態で、補強部材(1)を第1の支持杭(4a)外周面に対し支持杭長手方向(図3、図4(a)の矢印方向)にスライドさせて、補強部材(1)を上面が桟橋完成部分(A)の橋面とほぼ同じ高さとなる位置で仮固定する。仮固定の方法は、限定されるものではなく、例えば桟橋完成部分(A)の既設補強部材(11)あるいは第1の支持杭(4a)に、図3の左右方向に移動可能あるいは水平方向に回動可能なストッパを設けることにより、補強部材(1)を仮固定することができる。あるいは、既設補強部材(11)を反力にして所定のワイヤで補強部材(1)を吊ることで、補強部材(1)を仮固定することができる。
最初の補強部材(1)を第1の支持杭(4a)外周面に対してスライドさせて、上面が桟橋完成部分(A)の橋面とほぼ同じ高さとなる位置まで吊り降ろし仮固定すると、次いで次の補強部材(1)を図4における上側から既設の第1の支持杭(4a)に沿って吊降ろし、補強部材(1)同士を連結させる。この連結作業は、桟橋完成部分(A)の橋面とほぼ同じ高さに橋面から水平にスライドし張り出し可能に設けられた足場上で行うことができる。補強部材同士を連結後、下側の補強部材(1)の仮固定を外し、次いで上側の補強部材(1)の上面が桟橋完成部分(A)の橋面とほぼ同じ高さとなる位置まで、連結された補強部材を吊り降ろして下側の補強部材(1)を仮固定する。これを繰り返して所望の数の補強部材(1)を配置する。
図5は、支持杭と補強部材の支持部材との係合部の平面図である。
第1の支持杭(4a)はその外周面に、T字形断面を有するとともに支持杭の上端から下端まで延設された継手(5)を備えている。一方、補強部材(1)の支持部材(2)は、支持杭(4a)に対向する面の一部が開口した中空の四角断面を有する長尺の部材である。図5に示すように、継手(5)が支持部材(2)の上側(図4における上側)から該部材(2)に挿入されることにより、支持部材(2)と既設の第1の支持杭(4a)とを係合させた状態で補強部材(1)を第1の支持杭(4a)外周面に対しスライドさせながら、クレーンにより吊り降ろすことが可能となる。
よって、既設の桟橋から順次延長して桟橋を構築する場合は、予め既設の第1の支持杭(4a)の外周面に継手(5)を固定する。一から新たに桟橋を構築する場合は、支持杭の外周面に継手(5)を固定したものを第1の支持杭(4a)として使用することができる。
補強部材(1)の支持部材(2)は鋼管であって、第1の支持杭(4a)に対向する面の一部が開口した略C型断面を有する鋼管からなる継手(6)を備えている。第1の支持杭(4a)が有する継手(5)が支持部材(2)の上側(図4における上側)から継手(6)に挿入されることにより、補強部材(1)を第1の支持杭(4a)に対しスライドさせながら、クレーンにより吊り降ろすことが可能となる。
次に、新たな支持杭を打設する。本明細書において、既設の支持杭に対し新たに打設する支持杭を第2の支持杭と称す。
図7は、第2の支持杭を補強部材にスライドさせている状態を示す図である。
第2の支持杭(4b)は、第1の支持杭(4a)と同様に、補強部材(1)外周面に対し補強部材(1)の上側(図7における上側)からスライド可能に構成されている。具体的には、第2の支持杭(4b)の外周面に設けられた継手と配置された補強部材(1)の他端面側(1b)の支持部材(2)とを係合させた状態で、第2の支持杭(4b)を支持部材(2)の他端面(1b)に対し支持部材長手方向(図7の矢印方向)にスライド下降させる。これにより、図7に示すように水底(G)に第2の支持杭(4b)の下面が接触しない所定高さ位置まで吊り降ろす。
下端にダウンザホールハンマ(7)と拡張可能なハンマービット(8)を有するロッド(9)を、所定高さ位置に吊り降ろされた第2の支持杭(4b)の内部に挿通する。そして、ダウンザホールハンマ(7)の打撃作用とハンマービット(8)の回転掘削作用によって地面(G)に掘削孔を形成する。
掘削孔の形成時に排出された掘削土は、高圧エアを供給することにより第2の支持杭(4b)とロッド(9)の隙間を通って上昇し、第2の支持杭(4b)の上端部から排出ホース(図示せず)を介して桟橋上に配置したベッセル(図示せず)に収容される。これにより、水の汚濁が防止される。また、ベッセルに収容された岩塊を検証することにより、掘削孔が予定深度(支持層)に達したか否かを確認することができる。
補強部材(1)の連結材(3)は、支持部材(2)の長手方向に対して直角方向に連結するとともに互いに平行に間隔をおいて配置された繋ぎ材(31)と、支持部材(2)の長手方向に対して斜め方向に連結するとともに隣り合う繋ぎ材(31)間にクロスして設けられたブレス材(32)とからなり、繋ぎ材(31)とブレス材(32)とは繋ぎ材(31)の左右両端部に夫々固定された固定板(33)を介して一体に接続されている。
ブレス材(32)は、互いにクロス部で互いに回動自在に固定されており、繋ぎ材(31)は、油圧シリンダ等の伸縮可能な長さ調整機構(21)により、長手方向の長さ(図10における左右方向の長さ)が調整可能に構成される。これにより、図11に示すように、補強部材(1)は支持部材(2)の長手方向に対し折り畳み可能に構成されている。
これにより、補強部材(1)を折り畳んだ状態で作業することができるので、運搬や補強部材の配置の作業効率を向上させることができる。
上記にて、支持杭と補強部材を交互に設置する方法について説明したが、支持杭(鋼管杭)を連続して打設する方法にも、同様のスライドによる配置方法を用いることができる。
外周面に継手が設けられた第1の鋼管杭(10a)を地面(水底)に打設する。これは、第1の鋼管杭(10a)をクレーンにより吊り下げ、上記した桟橋構築方法と同様の方法(ダウンザホール工法)により行うことができる(図8参照)。
次に、打設された第1の鋼管杭(10a)の継手に対して第2の鋼管杭(10b)の外周面に設けられた継手を係合させた状態で、第1の鋼管杭(10a)外周面に対し上側(図13における上側)から第2の鋼管杭(10b)をスライドさせて、図13に示すように水底(G)に第2の鋼管杭(10b)の下面が接触しない所定高さ位置まで吊り降ろす。鋼管杭同士の係合及びスライド機構として、例えば図6に示す継手などの上記した桟橋構築方法と同様の構成を採用できる。
また、第2の鋼管杭(10b)は、第1の鋼管杭(10a)に対しスライド挿入するだけで、第2の鋼管杭(10b)の鉛直方向を別途調整することなく第2の鋼管杭(10b)の良好な鉛直精度を得ることができる。また、各鋼管杭間の距離を一定とすることも可能となる。そして、鋼管杭の打設工程においては、第2の鋼管杭(10b)の打設の深さを第1の鋼管杭(10a)の上面を基準に決定することができるので、鋼管杭同士の杭先端の高さを揃えることができる。
2 支持部材
3 連結材
31 繋ぎ材
32 ブレス材
4a 第1の支持杭
4b 第2の支持杭
5 継手
6 継手
7 ダウンザホールハンマ
8 ハンマービット
9 ロッド
10a 第1の鋼管杭
10b 第2の鋼管杭
Claims (4)
- 外周面に継手が設けられた第1の鋼管杭を打設する工程と、
打設された第1の鋼管杭の継手に対して第2の鋼管杭の外周面に設けられた継手を係合させた状態で、該第2の鋼管杭を前記第1の鋼管杭外周面に対し該鋼管杭長手方向にスライドさせて、地面に打設する鋼管杭打設工程と、
前記第2の鋼管杭の前記第1の鋼管杭と係合していない側の外周面に設けられた継手に対して、前記第2の鋼管杭の継手に係合する継手が設けられた支持部材と、該支持部材の長手方向に対して直角方向に連結するとともに互いに平行に間隔をおいて配置された繋ぎ材と、前記支持部材の長手方向に対して斜め方向に連結するとともに隣り合う前記繋ぎ材間にクロスして設けられたブレス材とからなり、前記繋ぎ材と前記ブレス材とは前記繋ぎ材の左右両端部に夫々固定された固定板を介して一体に接続された連結材を有し、前記ブレス材は、互いにクロス部で互いに回動自在に固定されており、前記繋ぎ材は、伸縮可能な長さ調整機構により、長手方向の長さが調整可能に構成されている折り畳み可能な補強部材を、前記支持部材の継手を係合させた状態で、前記第2の鋼管杭の外周面に対し該第2の鋼管杭長手方向にスライドさせてさらに配置する工程と、
を備え、
前記第1の鋼管杭の継手は、T字型断面を有するとともに鋼管杭の上端から下端まで延設されており、
前記第2の鋼管杭の継手は、前記第1の鋼管杭の継手に係合する形状であることを特徴とする鋼管杭施工方法。 - 前記第2の鋼管杭の継手は、前記第1の鋼管杭に対向する面の一部が開口した中空の四角断面を有する長尺の部材であることを特徴とする請求項1記載の鋼管杭施工方法。
- 前記第2の鋼管杭の継手は、前記第1の鋼管杭に対向する面の一部が開口した略C型断面を有する長尺の部材であることを特徴とする請求項1記載の鋼管杭施工方法。
- 前記鋼管杭打設工程において、
下端にダウンザホールハンマと拡張可能なハンマービットを有するロッドを、前記第2の鋼管杭の内部に挿通して、前記ダウンザホールハンマの打撃作用と前記ハンマービットの回転掘削作用によって掘削孔を形成し、次いで該掘削孔に前記第2の鋼管杭を打ち込むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の鋼管杭施工方法。
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