JP2011213547A - 一酸化炭素濃度の低減方法、水素製造装置および燃料電池システム - Google Patents

一酸化炭素濃度の低減方法、水素製造装置および燃料電池システム Download PDF

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Abstract

【課題】
一酸化炭素の転化率および得られる水素の濃度が向上した、水素および一酸化炭素を含有する原料ガス中の一酸化炭素濃度の低減方法、ならびにこの方法を用いたメタネーション反応部を有する水素製造装置および燃料電池システムを提供すること。
【解決手段】
水素および一酸化炭素を含有する原料ガスと触媒とを接触させて、該原料ガス中の一酸化炭素をメタネーションにより低減する、一酸化炭素濃度の低減方法であって、上記触媒は、アルミナを含む担体と該担体に担持された0.3〜3質量%のルテニウムとを含有し、かつ径方向に沿った触媒断面における径方向のルテニウムの相対担持深度X(Ru)が下記式(1)で表される条件を満たす、一酸化炭素濃度の低減方法。
25≦X(Ru)≦50 …(1)
[式中、X(Ru)は、触媒断面の半径に対するルテニウムの担持深度の比率(%)を示す。]
【選択図】なし

Description

本発明は、一酸化炭素濃度の低減方法、水素製造装置および燃料電池システムに関する。
燃料電池は燃料の燃焼反応による自由エネルギー変化を直接電気エネルギーとして取り出せるため、高い効率が得られるという特徴がある。さらに有害物質を排出しないことも相俟って、様々な用途への展開が図られている。特に固体高分子形燃料電池は、出力密度が高く、コンパクトで、しかも低温で作動するのが特徴である。
一般的に燃料電池用の燃料ガスとしては水素を主成分とするガスが用いられるが、その原料には天然ガス、LPG、ナフサ、灯油等の炭化水素、メタノール、エタノール等のアルコール、ジメチルエーテル等のエーテル等が用いられる。しかし、これらの原料中には水素以外の元素も存在するため、燃料電池に供される燃料ガス中に炭素由来の不純物が混入することは避けられない。
このような不純物の中でも、一酸化炭素は燃料電池の電極触媒として使われている白金系貴金属を被毒するため、燃料ガス中に一酸化炭素が存在すると充分な発電特性が得られなくなる。特に低温作動させる燃料電池ほど一酸化炭素吸着は強く、被毒を受けやすい。このため固体高分子形燃料電池を用いたシステムでは燃料ガス中の一酸化炭素の濃度が低減されていることが必要不可欠である。
一酸化炭素濃度を低減させる方法としては、例えば原料を改質して得られた改質ガス中の一酸化炭素を水蒸気と反応させ、水素と二酸化炭素に転化する方法、いわゆる水性ガスシフト反応が挙げられる。しかし、この方法では0.5〜1容量%程度までしか一酸化炭素濃度を低減することができない。
また、他の一酸化炭素濃度を低減させる方法として、改質ガスに酸素または酸素含有ガス(空気等)を導入し、一酸化炭素を二酸化炭素に変換する方法がある。しかし、この方法では、改質ガス中に大量に存在する水素も酸化されてしまうために、水素がロスするとともに一酸化炭素の除去が不十分となり得る。
これに対して、下記反応式(2)で示されるように、一酸化炭素を水素でメタネーションしてメタンに変換することにより一酸化炭素濃度を低減させる方法もある。この方法では、改質ガスに二酸化炭素が含まれていると、副反応である二酸化炭素のメタネーションが起こり、水素がロスするとともに反応が暴走して反応温度が急激に上昇するおそれがある。そこで、一酸化炭素のみを選択的にメタネーションする方法が望まれている。
CO+3H→CH+HO …(2)
例えば、特許文献1では、所定の担体にルテニウムが担持された触媒を用いることにより、一酸化炭素のメタネーションの選択性が向上することが報告されている。
特開2007−196206号公報
しかしながら、上述の特許文献1に記載の方法等の従来の方法には、一酸化炭素の転化率および得られる水素の濃度について、未だ改善の余地がある。
そこで本発明は、一酸化炭素の転化率および得られる水素の濃度が向上した、水素および一酸化炭素を含有する原料ガス中の一酸化炭素濃度の低減方法、ならびにこの方法を用いるメタネーション反応部を有する水素製造装置および燃料電池システムを提供することを目的とする。
本発明は、水素および一酸化炭素を含有する原料ガスと触媒とを接触させて、該原料ガス中の一酸化炭素をメタネーションにより低減する、一酸化炭素濃度の低減方法であって、上記触媒は、アルミナを含む担体と該担体に担持された0.3〜3質量%のルテニウムとを含有し、かつ径方向に沿った触媒断面における径方向のルテニウムの相対担持深度X(Ru)が下記式(1)で表される条件を満たす、一酸化炭素濃度の低減方法を提供する。
25≦X(Ru)≦50 …(1)
[式中、X(Ru)は、触媒断面の半径に対するルテニウムの担持深度の比率(%)を示す。]
上記触媒は、径方向に沿った触媒断面における径方向に対して、ルテニウム濃度の強度が最大値を示す位置における強度をY1、Y1の強度の5%を示す位置をP1、触媒の最表面の位置をP0、P0とP1の中間点をPmとした場合に、PmからP1の領域におけるルテニウム濃度の最大強度Y2と、前記Y1が下記式(3)で表される条件を満たす触媒であることが好ましい。これにより、一酸化炭素の転化率および得られる水素の濃度がさらに向上する。
2≦Y1/Y2≦10 …(3)
また、本発明は、上述の一酸化炭素濃度の低減方法で一酸化炭素をメタネーションにより低減するメタネーション反応部を有する水素製造装置および該水素製造装置を備える燃料電池システムを提供する。
本発明によれば、一酸化炭素の転化率および得られる水素の濃度が向上した、水素および一酸化炭素を含有する原料ガス中の一酸化炭素濃度の低減方法、ならびにこの方法を用いるメタネーション反応部を有する水素製造装置および燃料電池システムを提供することができる。
本発明の方法における触媒の一実施形態を示す模式断面図であり、触媒を径方向に沿った平面で切断したときの断面図である。 本発明の方法における触媒のルテニウムの径方向への濃度分布が好適な触媒の一例を示す模式図である。 触媒による一酸化炭素のメタネーション反応についての評価および高濃度水素含有ガスの製造において好適に使用される反応装置の一例を示す模式断面図である。 本発明の実施形態に係る燃料電池システムの一例を示す概念図である。 触媒A1について、触媒の径方向に沿った平面で触媒を切断したときの断面を、EPMAを用いた線分析により測定した結果を示す図である。 触媒A2について、触媒の径方向に沿った平面で触媒を切断したときの断面を、EPMAを用いた線分析により測定した結果を示す図である。 触媒B1について、触媒の径方向に沿った平面で触媒を切断したときの断面を、EPMAを用いた線分析により測定した結果を示す図である。 触媒A3について、触媒の径方向に沿った平面で触媒を切断したときの断面を、EPMAを用いた線分析により測定した結果を示す図である。 触媒A4について、触媒の径方向に沿った平面で触媒を切断したときの断面を、EPMAを用いた線分析により測定した結果を示す図である。 触媒A5について、触媒の径方向に沿った平面で触媒を切断したときの断面を、EPMAを用いた線分析により測定した結果を示す図である。 触媒B2について、触媒の径方向に沿った平面で触媒を切断したときの断面を、EPMAを用いた線分析により測定した結果を示す図である。 触媒A6について、触媒の径方向に沿った平面で触媒を切断したときの断面を、EPMAを用いた線分析により測定した結果を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本実施形態の一酸化炭素の低減方法は、水素および一酸化炭素を含有する原料ガスと触媒とを接触させて、原料ガス中の一酸化炭素をメタネーションにより低減するものである。
上記触媒は、アルミナを含む担体と該担体に担持された0.3〜3質量%のルテニウムとを含有し、かつ径方向に沿った触媒断面における径方向のルテニウムの相対担持深度X(Ru)が下記式(1)で表される条件を満たす。
25≦X(Ru)≦50 …(1)
[式中、X(Ru)は、触媒断面の半径に対するルテニウムの担持深度の比率(%)を示す。]
図1は本発明の方法における触媒の一実施形態を示す模式断面図であり、触媒を径方向に沿った平面で切断したときの断面図である。
本明細書中、「ルテニウムの担持深度」とは、触媒の径方向に対して、触媒の最表面からルテニウムが存在する所定の位置までの距離を示す。ここで、ルテニウムが存在する所定の位置とは、EPMAを用いた線分析により、ルテニウム濃度が最大値を示す位置における強度に対して、その強度の1%の強度を示す位置をいう。
また本明細書中、「ルテニウムの相対担持深度」とは、触媒の半径に対する、ルテニウムの担持深度の比率を百分率(%)で表した値をいう。すなわち、触媒の半径をR、ルテニウムの担持深度をC、ルテニウムの相対担持深度をX(Ru)とすれば、X(Ru)=C/R×100(%)を意味する。なお、触媒の最表面から中心位置までルテニウムが存在している場合は、X(Ru)=100(%)となる。
本実施形態の方法によれば、ルテニウムの相対担持深度X(Ru)が上記式(1)を満たす触媒、より好ましくは30≦X(Ru)≦48、さらに好ましくは32≦X(Ru)≦43を満たす触媒を用いることにより極めて高い選択性で一酸化炭素がメタネーションされる。
図2は、本発明の方法における触媒のルテニウムの径方向への濃度分布が好適な触媒の一例を示す模式図であり、触媒の径方向に沿った平面上のルテニウムの濃度分布を示している。
まず、径方向に沿って触媒を切断したときの断面を、EPMAを用いた線分析により、所定の位置におけるルテニウムの濃度の強度を測定し、その強度が最大値を示した位置における強度をY1とし、Y1の5%の強度を示す位置P1を決定する。そして、触媒の最表面の位置をP0として、P0とP1の中間点Pmを決定する。次いで、PmからP1の領域において、ルテニウム濃度の強度が最大値を示す強度Y2を求める。
本実施形態の方法においては、かかるY1とY2が下記式(3)で示される条件を満たす触媒を用いることにより、一酸化炭素のメタネーションの選択性をさらに向上させることができる。
2≦Y1/Y2≦10 …(3)
さらに、Y1/Y2は、一酸化炭素のメタネーションの選択性をさらに向上させる点から2≦Y1/Y2≦7の条件を満たすことがより好ましく、2≦Y1/Y2≦5の条件を満たすことがさらに好ましい。
担体は、その成分としてアルミナを含むものであれば、特に限定されない。例えば、γアルミナ、αアルミナなどを用いることができる。表面積が大きく、ルテニウムとの親和性が高い点から、γ−アルミナがより好ましい。また、アルミナと、シリカ、チタニア、ジルコニア等から選ばれる無機酸化物との混合物を使用することもできる。上記触媒においては担体として、担体の形状、大きさ、成型方法は特に限定するものではない。また成型時には適度なバインダーを添加して成形性を高めてもよい。
上記担体は、球状あるいは円柱状の形状を有するものが好ましい。上記触媒の半径とは、担体が球状の場合はその半径をいい、円柱状の場合はその底面に平行に切断した断面の半径をいう。球状あるいは円柱の形状には、厳密にいう球および円柱だけでなく、その一部の形状は変形しているが、実質的には球あるいは円柱とみなすことができるものも包含する。また、球状および円柱状以外の他の形状の担体においても、上記球状あるいは円柱状の場合に準じて、上記ルテニウムの相対担持深度を制御することができる。
なお、担体が球状である場合、該担体の平均細孔径は特に限定されないが、6nm未満が好ましい。
上記担体には活性金属としてルテニウムが担持されるが、ルテニウム以外の金属を添加すると、逆シフト反応などの副反応が進行するため、活性金属はルテニウムのみとすることが好ましい。
担体へのルテニウムの担持量は、担体に対して、0.3〜3質量%であり、0.5〜2質量%が好ましい。0.3質量%未満であると触媒としての性能が充分でなく、3質量%より多いと、原料ガス中に含まれる二酸化炭素のメタン化反応が加速度的に進行するため、反応の暴走をまねくおそれがある。
ルテニウムの担持方法についても特に制限はなく、担持する金属の金属塩を溶媒に溶解した金属溶液を用いる含浸法、平衡吸着法、競争吸着法が好ましく採用される。特に競争吸着法を採用する場合には、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フッ化水素酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸、乳酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸等の競争吸着剤を用いることができる。これらの中で、含浸する際に使用する水溶液が取り扱いやすく、かつルテニウムを担持した後に、触媒表面に吸着した水溶液を除去しやすい点から、クエン酸が好ましい。
担持回数についても特に制限はなく、担持工程において、全てを同時に担持もしくは、数回に分けて担持することが好ましい。さらに、第1の工程において競争吸着法によりルテニウムを担持した後に、第2の工程において含浸法または平衡吸着法によりさらにルテニウムを担持することがより好ましい。
また、金属溶液に用いる溶媒は金属塩を溶解できるものであれば特に限定されるものではないが、水またはエタノールが好ましい。
また金属塩は溶媒に溶解するものであれば特に限定されないが、Ruについては、RuCl・nHO、Ru(NO、K(RuCl(HO))、(NHRuCl、(Ru(NH)Br、Ru(NHCl、NaRuO、KRuO、Ru(CO)、[Ru(NHCl]Cl、Ru(CO)12およびRu(Cが好ましい。また、複数の金属塩を混合してもよい。
担体に金属を担持した後、溶媒を除去する必要があるが、空気中での自然乾燥あるいは加熱乾燥、減圧下での脱気乾燥のいずれの方法を採用することができる。なお、乾燥した後、高温処理することも好ましく行われるが、この場合、水素雰囲気で、300〜800℃の温度で1〜5時間実施するのが好ましい。調製された触媒中には、担体や担持金属塩などに由来する塩化物イオンが残留している場合があるが、塩化物イオン濃度は100質量ppm以下とすることが必要である。好ましくは80質量ppm以下であり、特に好ましくは50質量ppm以下である。塩化物イオン濃度が100質量ppmより多いと、担持金属の凝集等を促進しCO選択酸化活性が低下する。上記の方法で調製された触媒を実用に供する場合、通常、前処理として、水素還元を行う。その条件として100〜800℃、好ましくは150〜250℃で1〜5時間、好ましくは1〜3時間を採用する。
なお、ルテニウムの相対担持深度は、例えば競争吸着剤の濃度の変更、担持する際の温度変更や減圧等により調節することができる。また、上記Y1/Y2は、例えば担持回数を2回以上とすること、担持する際の温度変更や減圧等により調節することができる。
上記一酸化炭素および水素を含有する原料ガスとしては、通常、燃料電池用の燃料ガスの出発原料(原燃料)として用いられる炭化水素、あるいはアルコールやエーテル等の含酸素炭化水素等を各種方法により改質反応を行って得られる水素を主成分とするガスが用いられる。原燃料としては、天然ガス、LPG、ナフサ、灯油、ガソリンまたはこれらに相当する各種溜分や、メタン、エタン、プロパン、ブタン等の炭化水素、メタノール、エタノール等の各種アルコール、およびジメチルエーテル等のエーテルなどが用いられる。
上記原燃料を改質する方法としては、特に限定されるものではなく、水蒸気改質方法、部分酸化改質方法、オートサーマルリフォーミング等の各種方法が挙げられる。本実施形態においてはこれらのいずれの方法も採用することができる。
なお、硫黄を含んでいる原燃料をそのまま改質工程に供給してしまうと、改質触媒が被毒を受け、改質触媒の活性が発現せず、また寿命も短くなるため、改質反応に先だって、原燃料を脱硫処理しておくことが好ましい。脱硫反応の条件は、原燃料の状態および硫黄含有量によって異なるため一概には言えないが、通常、反応温度は常温〜450℃が好ましく、特に常温〜300℃が好ましい。反応圧力は常圧〜1MPaが好ましく、特に常圧〜0.2MPaが好ましい。SVは原料が液体の場合で0.01〜15h−1の範囲が好ましく、0.05〜5h−1の範囲がさらに好ましく、0.1〜3h−1の範囲が特に好ましい。気体原料を用いる場合は、100〜10,000h−1の範囲が好ましく、200〜5,000h−1の範囲がさらに好ましく、300〜2,000h−1の範囲が特に好ましい。
また改質反応条件も必ずしも限定されるものではないが、通常、反応温度は200〜1000℃が好ましく、特に400〜850℃が好ましい。反応圧力は常圧〜1MPaが好ましく、特に常圧〜0.2MPaが好ましい。SVは0.01〜40h−1が好ましく、特に0.1〜10h−1が好ましい。改質反応により得られるガス(改質ガス)は、主成分として水素を含むものの、他の成分としては、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気等が含有される。
本実施形態においては、原料ガスとして上記改質ガスを直接用いることも可能であるが、かかる改質ガスを予め前処理して一酸化炭素濃度をある程度低減させたものを用いてもよい。かかる前処理としては、改質ガス中の一酸化炭素濃度を低減させるため、改質ガス中の一酸化炭素を水蒸気と反応させ、水素と二酸化炭素に転化する方法、いわゆる水性ガスシフト反応が挙げられる。水性ガスシフト反応以外の前処理としては、一酸化炭素を吸着分離する方法、あるいは膜分離する方法等が挙げられる。
本実施形態においては、改質ガス中の一酸化炭素を低減し、かつ水素を増やすためにも、改質ガスをさらに水性ガスシフト反応したものを原料ガスとするのが好ましく、これにより一酸化炭素濃度の低減をより効果的にすることができる。水性ガスシフト反応は改質ガスの組成等によって、必ずしも反応条件は限定されるものではないが、通常、反応温度は120〜500℃が好ましく、特に150〜450℃が好ましい。反応圧力は常圧〜1MPaが好ましく、特に常圧〜0.2MPaが好ましい。空間速度(SV)は100〜50,000h−1が好ましく、特に300〜10,000h−1が好ましい。
原料ガスにおける一酸化炭素濃度は、通常0.1〜2容量%である。一方、原料ガスにおける水素濃度は通常40〜85容量%である。また、原料ガスには、一酸化炭素および水素以外の成分として、例えば窒素、二酸化炭素等が含まれていてもよい。
水素および一酸化炭素を含有する原料ガスと触媒とを接触させて一酸化炭素のメタネーション反応を行う際、反応圧力は、燃料電池システムの経済性、安全性等も考慮し、常圧〜1MPaの範囲が好ましく、特に常圧〜0.2MPaが好ましい。反応温度としては、一酸化炭素濃度を低下させる温度であれば、特に限定はないが、低温では反応速度が遅くなり、高温では選択性が低下するため、通常は80〜350℃が好ましく、100〜300℃がより好ましく、200〜240℃が特に好ましい。GHSVは過剰に高すぎると一酸化炭素のメタネーション反応が進行しにくくなり、一方低すぎると装置が大きくなりすぎるため、1,000〜50,000h−1の範囲が好ましく、特に3,000〜30,000h−1の範囲が好ましい。
図3は、一酸化炭素のメタネーション反応を行うメタネーション反応器として好適に用いられる反応装置の一例を示す模式断面図である。図3に示した反応装置は固定床流通式反応装置であり、図3はガスの流通方向に沿った平面で反応装置を切断したときの断面図を示している。
図3に示した反応装置においては、反応容器21の内部に触媒が充填されており、触媒層22の上流側にはガス導入口23が、下流側にはガス排出口24がそれぞれ設けられている。また、反応容器21の外周の触媒層22に対応する位置には、触媒層22を加熱するためのヒータ25が配置されている。
反応容器21のガス導入口23からは、水素および一酸化炭素を含有する原料ガスが導入される。
また、本実施形態に係る燃料電池システムは、水素製造装置と燃料電池スタックを備え、例えば、図4の構成を備える。図4は本実施形態の燃料電池システムの一例を示す概略図である。
図4において、燃料タンク3内の燃料は燃料ポンプ4を経て脱硫器5に流入する。脱硫器5内には例えば銅−亜鉛系あるいはニッケル−亜鉛系の収着剤などを充填することができる。このとき、必要であれば改質器7の下流、シフト反応器9の下流、メタネーション反応器10の下流、およびアノードオフガスの少なくともいずれかからの水素含有ガスを添加できる。脱硫器5で脱硫された燃料は水タンク1から水ポンプ2を経た水と混合した後、気化器6に導入されて気化され、改質器7に送り込まれる。
改質器7に充填する触媒としてはニッケル系、ルテニウム系、ロジウム系などの触媒を用いることができる。改質器7の反応管は燃料タンク3からの燃料およびアノードオフガスを燃料とするバーナー17により加温され、好ましくは350〜700℃の範囲に調節される。
このようにして製造された水素と一酸化炭素を含有する改質ガスは、シフト反応器9、メタネーション反応器10を順次通過させることで燃料電池の特性に影響を及ぼさない程度まで一酸化炭素濃度が低減される。シフト反応器に用いる触媒の例としては、シフト反応器9には鉄−クロム系触媒および/あるいは銅−亜鉛系触媒が挙げられる。メタネーション反応器10には上記本実施形態の触媒が用いられる。
固体高分子形燃料電池16はアノード11、カソード12、固体高分子電解質13からなり、アノード11側には上記の方法で得られた一酸化炭素濃度が低減された原料ガスが、カソード12側には空気ブロアー8から送られる空気が、それぞれ必要であれば適当な加湿処理を行った後で導入される。このとき、アノード11では水素ガスがプロトンとなり電子を放出する反応が進行し、カソード12では酸素ガスが電子とプロトンを得て水となる反応が進行する。これらの反応を促進するため、それぞれ、アノード11には白金黒、活性炭担持のPt触媒あるいはPt−Ru合金触媒などが、カソード12には白金黒、活性炭担持のPt触媒などが用いられる。通常アノード11、カソード12の両触媒とも、必要に応じてポリテトラフルオロエチレン、低分子の高分子電解質膜素材、活性炭などと共に多孔質触媒層に成形される。
次いでNafion(デュポン社製)、Gore(ゴア社製)、Flemion(旭硝子社製)、Aciplex(旭化成社製)等の商品名で知られる高分子電解質膜の両側に上述の多孔質触媒層を積層しMEA(Membrane Electrode Assembly)が形成される。さらにMEAを金属材料、グラファイト、カーボンコンポジットなどからなるガス供給機能、集電機能、特にカソードにおいては重要な排水機能等を持つセパレータで挟み込むことで燃料電池が組み立てられる。電気負荷14はアノード11、カソード12と電気的に連結される。アノードオフガスはバーナー17において消費される。カソードオフガスは排気口15から排出される。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[触媒調製]
(触媒A1、A2、A3、A4)
市販の粒子状のγ−アルミナ担体に、金属Ru量で0.5質量%の塩化ルテニウムを、競争吸着剤であるクエン酸水溶液を用いて担持し、乾燥により水分を除去した後、還元することでRu/Al触媒(A1)を調製した。
ここで、競争吸着剤であるクエン酸水溶液の濃度を変えることで、Ruの担持深度、濃度分布を変えた触媒をそれぞれ、触媒A1、触媒A2、触媒A3、触媒A4とした。
(触媒B1)
金属Ru量が2質量%としたこと以外は上記触媒A1と同様にして調製された触媒を触媒B1とした。
(触媒A5、A6)
市販の粒子状のγ−アルミナ担体に、第1の工程において金属Ru量で0.25質量%の塩化ルテニウムを、競争吸着剤のクエン酸水溶液を用いて担持し、乾燥により水分を除去した。引き続き、第2の工程において金属Ru量で0.25重量%の塩化ルテニウムを含浸法で担持し、乾燥により水分を除去した後、還元することでRu/Al触媒(A5)を調製した。
ここで、競争吸着剤であるクエン酸水溶液の濃度を変えることで、Ruの担持深度、濃度分布を変えた触媒をそれぞれ、触媒A5、触媒A6とした。
(触媒B2)
金属Ru量が2質量%としたこと以外は上記触媒A5と同様にして調製された触媒を触媒B2とした。
(実施例1〜6、比較例1,2)
[メタネーション反応]
上記触媒を上述の図3に示す反応装置に充填し、前処理として、200℃で1時間水素還元を行った。
次に、水素(H)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)を含む原料ガスを触媒層に供給し、原料ガス中の一酸化炭素のメタネーション反応を行った。反応条件は、GHSVを8,000h−1、反応温度(触媒層入口温度)を200〜240℃とした。また、原料ガス組成は、標準条件として、H:55.5容量%、CO:5,000容量ppm、CO:24容量%、HO:20容量%とした。
上記の一酸化炭素のメタネーション反応において、反応開始から所定時間経過時に、触媒層下流端におけるガス組成の測定を行った。ガス分析にはTCDガスクロマトグラフィーを使用した。その結果を表1および表2に示す。
[EPMAを用いた線分析]
Ru担持深度を制御した触媒である触媒A1〜A4、触媒B1について、触媒の径方向に沿った平面で触媒を切断したときの断面を、EPMAを用いた線分析により測定した。触媒A1の結果を図5に、触媒A2の結果を図6に、触媒B1の結果を図7に、触媒A3の結果を図8に、触媒A4の結果を図9に、それぞれ示す。これらの図における横軸は、触媒の径方向の相対位置(%)を示している。ここで、「径方向の相対位置」とは、触媒の径方向に沿った、半径に対する触媒の最表面位置から所定の位置までの距離の比率を百分率(%)で表した値をいい、触媒の最表面位置が0(%)、中心位置が100(%)である。また、縦軸は、所定の相対位置でのルテニウム濃度の強度を示している。
径方向へのRuの濃度分布を制御した触媒である触媒A5、触媒A6、触媒B2について、触媒の径方向に沿った平面で触媒を切断したときの断面を、EPMAを用いた線分析により測定した。触媒A5の結果を図10に、触媒B2の結果を図11に、触媒A6の結果を図12にそれぞれ示す。
上記EPMAを用いた線分析を行った結果に基づいて、触媒A1〜A6、触媒B1〜B2のX(Ru)、およびY1/Y2を算出した。その結果を表1および表2に示す。
表1、2から明らかであるように、実施例1〜6では、いずれもメタネーション反応を行ったときの一酸化炭素の転化率が95%以上であり、かつH濃度(wetベース)が54容量%以上である。一方、比較例1ではCO転化率が不十分であり、比較例2ではH濃度が低い。
1…水タンク、2…水ポンプ、3…燃料タンク、4…燃料ポンプ、5…脱硫器、6…気化器、7…改質器、8…空気ブロアー、9…シフト反応器、10…メタネーション反応器、11…アノード、12…カソード、13…固体高分子電解質、14…電気負荷、15…排気口、16…固体高分子形燃料電池、17…加温用バーナー、21…反応容器、22…触媒層、23…ガス導入口、24…ガス排出口、25…ヒータ。

Claims (4)

  1. 水素および一酸化炭素を含有する原料ガスと触媒とを接触させて、該原料ガス中の一酸化炭素をメタネーションにより低減する、一酸化炭素濃度の低減方法であって、
    前記触媒は、アルミナを含む担体と該担体に担持された0.3〜3質量%のルテニウムとを含有し、かつ径方向に沿った触媒断面における径方向のルテニウムの相対担持深度X(Ru)が下記式(1)で表される条件を満たす、一酸化炭素濃度の低減方法。
    25≦X(Ru)≦50 …(1)
    [式中、X(Ru)は、触媒断面の半径に対するルテニウムの担持深度の比率(%)を示す。]
  2. 前記触媒は、径方向に沿った触媒断面における径方向に対して、ルテニウム濃度の強度が最大値を示す位置における強度をY1、Y1の強度の5%を示す位置をP1、触媒の最表面の位置をP0、P0とP1の中間点をPmとした場合に、PmからP1の領域におけるルテニウム濃度の最大強度Y2と、前記Y1が下記式(3)で表される条件を満たす触媒である、請求項1記載の一酸化炭素濃度の低減方法。
    2≦Y1/Y2≦10 …(3)
  3. 請求項1または2に記載の一酸化炭素濃度の低減方法で一酸化炭素をメタネーションにより低減するメタネーション反応部を有する水素製造装置。
  4. 請求項3に記載の水素製造装置を備える燃料電池システム。
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