JP4881078B2 - 一酸化炭素濃度を低減する方法および燃料電池システム - Google Patents
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Description
しかし、これらの原料中には水素以外の元素も存在するため、燃料電池への燃料ガス中に炭素由来の不純物が混入することは避けられない。中でも一酸化炭素は燃料電池の電極触媒として使われている白金系貴金属を被毒するため、燃料ガス中に一酸化炭素が存在すると充分な発電特性が得られなくなる。特に低温作動させる燃料電池ほど一酸化炭素吸着は強く、被毒を受けやすい。このため固体高分子形燃料電池を用いたシステムでは燃料ガス中の一酸化炭素の濃度が低減されていることが必要不可欠である。
これに対し化学的な方法はより現実的な方法である。化学的方法としては、一酸化炭素をメタン化する方法、酸化して二酸化炭素に転化する方法などが考えられる。
本発明者らはかかる課題について鋭意研究した結果、触媒の種類と触媒の温度との組み合わせが重要な役割を有していることを見出し、本発明を完成したものである
本発明の第1は、水素および一酸化炭素を含有する原料ガスと酸素含有ガスとを触媒の存在下に接触させて一酸化炭素を選択的に酸化する方法において、該触媒としてアルミナ、シリカ、ジルコニアおよびチタニアから選ばれる少なくとも1種を含む無機酸化物からなる担体にRuを担持した触媒を用い、かつ酸素導入前の触媒温度が95℃以上100℃以下であることを特徴とする水素および一酸化炭素を含有する原料ガス中の一酸化炭素濃度を低減する方法である。
担体の形状、大きさ、成型方法は特に限定されるものではなく、また成型時に適度なバインダーを添加して成形性を高めたものであってもよい。
担持される金属の担持量については特に限定されるものではないが、外率(担体重量基準)で、0.01〜10質量%が好ましく、0.03〜3質量%が特に好ましい。
また金属塩は溶媒に溶解するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、Ptでは、PtCl2、K2PtCl4、K2PtCl6、(NH4)2PtCl6、Pd(NH3)4Cl2・H2OおよびPt(C5H7O2)2が好ましい。Pdでは、Na2PdCl6・nH2O、(NH4)2PdCl6、Pd(NH3)4Cl2・H2OおよびPd(C2H5CO2)2が好ましい。Ruでは、RuCl3・nH2O、Ru(NO3)3、K2(RuCl5(H2O))、(NH4)2RuCl6、(Ru(NH3)6)Br3、Ru(NH3)6Cl3、Na2RuO4、K2RuO4、Ru(CO)5、[Ru(NH3)5Cl]Cl3、Ru3(CO)12およびRu(C5H7O2)2が好ましい。Auでは、AuBr3、AuCl3、KAuBr4およびAu(OH)3が好ましい。Rhでは、Na3RhCl6、RhCl3・nH2O、[Rh(NH3)5Cl]Cl3、Rh(NO3)3およびRh(C5H7O2)2が好ましい。Irでは、Na2IrCl6・nH2O、Na2IrBr6、[Ir(NH3)5Cl]Cl3、IrCl4・nH2OおよびIr(C5H7O2)3が好ましい。
一酸化炭素および水素を含有する原料ガスとしては、通常、燃料電池用の燃料ガスの出発原料(原燃料)として用いられる炭化水素、あるいはアルコールやエーテル等の含酸素炭化水素等を各種方法により改質反応を行って得られる水素を主成分とするガスが用いられる。
原燃料としては、天然ガス、LPG、ナフサ、灯油、ガソリンまたはこれらに相当する各種溜分や、メタン、エタン、プロパン、ブタン等の炭化水素、メタノール、エタノール等の各種アルコール、およびジメチルエーテル等のエーテル等が用いられる。
脱硫反応の条件は、原燃料の状態および硫黄含有量によって異なるため一概には言えないが、通常、反応温度は常温〜450℃が好ましく、特に常温〜300℃が好ましい。反応圧力は常圧〜1MPaが好ましく、特に常圧〜0.2MPaが好ましい。SVは原料が液体の場合で0.01〜15h−1の範囲が好ましく、0.05〜5h−1の範囲がさらに好ましく、0.1〜3h−1の範囲が特に好ましい。気体原料を用いる場合は、100〜10,000h−1の範囲が好ましく、200〜5,000h−1の範囲がさらに好ましく、300〜2,000h−1の範囲が特に好ましい。
改質反応により得られるガス(改質ガス)は、主成分として水素を含むものの、他の成分としては、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気等が含有される。
かかる前処理としては、改質ガス中の一酸化炭素濃度を低減させるため、改質ガス中の一酸化炭素を水蒸気と反応させ、水素と二酸化炭素に転化する方法、いわゆる水性ガスシフト反応が挙げられる。水性ガスシフト反応以外の前処理としては、一酸化炭素を吸着分離する方法、あるいは膜分離する方法等が挙げられる。
水性ガスシフト反応は改質ガスの組成等によって、必ずしも反応条件は限定されるものではないが、通常、反応温度は120〜500℃が好ましく、特に150〜450℃が好ましい。反応圧力は常圧〜1MPaが好ましく、特に常圧〜0.2MPaが好ましい。SVは100〜50,000h−1が好ましく、特に300〜10,000h−1が好ましい。
原料ガスに加える酸素含有ガスとしては特に限定されるものではないが、空気や酸素が挙げられる。
導入する酸素含有ガスの量は、全酸素量と原料ガス中の一酸化炭素の濃度比(モル比)が0.5〜3.0の範囲とすることが好ましく、特に0.5〜2.0が好ましい。前記濃度比が0.5より小さい場合は、化学量論的に酸素が足りないため一酸化炭素との酸化反応が十分に進行しない。また、前記濃度比が3.0より大きい場合は、水素の酸化により、水素濃度の低下、水素の酸化熱により反応温度の上昇、メタンの生成などの副反応が起こりやすくなるため好ましくない。
本発明の燃料電池システムを以下に説明する。
図1は、本発明の燃料電池システムの一例を示す概略図である。
燃料タンク3内の原燃料は燃料ポンプ4を経て脱硫器5に流入する。この時、必要であれば選択酸化反応器11からの水素含有ガスを添加できる。脱硫器5内には例えば銅−亜鉛系あるいはニッケル−亜鉛系の収着剤などを充填することができる。脱硫器5で脱硫された原燃料は水タンク1から水ポンプ2を経た水と混合した後、気化器6に導入され、改質器7に送り込まれる。
この様にして製造された水素と一酸化炭素を含有する原料ガスは高温シフト反応器9および低温シフト反応器10により改質反応が行われる。高温シフト反応器9には鉄−クロム系触媒、低温シフト反応器10には銅−亜鉛系触媒等の触媒が充填されている。
外率0.25質量%のRuがγ―アルミナに担持された触媒を触媒Aとし、外率0.01質量%のPtと0.25質量%のRuがγ―アルミナに担持した触媒を触媒Bとする。
各触媒24ccをそれぞれ反応管に充填し、水素気流中、350℃で1時間還元した後、一酸化炭素除去反応評価を行った。試験ガスとしては、灯油を水蒸気改質し、水性ガスシフト反応して得られた原料ガスに酸素を加えたものを用いた。試験ガス中の組成は、水素58vol%、一酸化炭素0.5vol%、二酸化炭素18vol%、酸素0.5vol%、水21vol%であり、反応評価条件は常圧、GHSV=5,000h−1である。
触媒Aを用い、酸素以外の試験ガスを流通させた状態で、触媒温度を85℃にする。続いて酸素を導入し、1時間後に酸素の導入を中止する。この操作を1回とし、これを繰り返す。反応生成ガスの一酸化炭素濃度が10volppmを越えるまでの回数(サイクル数)を求める。結果を表1に示す。
酸素導入前の触媒温度を90℃にする以外、比較例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
酸素導入前の触媒温度を95℃にする以外、比較例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
酸素導入前の触媒温度を100℃にする以外、比較例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
触媒Bを用い、酸素導入前の触媒温度を75℃にする以外、比較例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
酸素導入前の触媒温度を80℃にする以外、比較例3と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
酸素導入前の触媒温度を90℃にする以外、比較例3と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
酸素導入前の触媒温度を95℃にする以外、比較例3と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
実施例1の一酸化炭素濃度低減方法を用いて得られた生成ガスを図1の固体高分子形燃料電池アノード極に導入して発電を行ったところ正常に作動した。
実施例2の一酸化炭素濃度低減方法を用いて得られた生成ガスを図1の固体高分子形燃料電池アノード極に導入して発電を行ったところ正常に作動した。
実施例3の一酸化炭素濃度低減方法を用いて得られた生成ガスを図1の固体高分子形燃料電池アノード極に導入して発電を行ったところ正常に作動した。
実施例4の一酸化炭素濃度低減方法を用いて得られた生成ガスを図1の固体高分子形燃料電池アノード極に導入して発電を行ったところ正常に作動した。
実施例5の一酸化炭素濃度低減方法を用いて得られた生成ガスを図1の固体高分子形燃料電池アノード極に導入して発電を行ったところ正常に作動した。
2 水ポンプ
3 燃料タンク
4 燃料ポンプ
5 脱硫器
6 気化器
7 改質器
8 空気ブロアー
9 高温シフト反応器
10 低温シフト反応器
11 選択酸化反応器
12 アノード
13 カソード
14 固体高分子電解質
15 電気負荷
16 排気口
17 固体高分子型燃料電池
18 加温用バーナー
Claims (7)
- 水素および一酸化炭素を含有する原料ガスと酸素含有ガスとを触媒の存在下に接触させて一酸化炭素を選択的に酸化する方法において、該触媒としてアルミナ、シリカ、ジルコニアおよびチタニアから選ばれる少なくとも1種を含む無機酸化物からなる担体にRuを担持した触媒を用い、かつ酸素導入前の触媒温度が95℃以上100℃以下であることを特徴とする水素および一酸化炭素を含有する原料ガス中の一酸化炭素濃度を低減する方法。
- 水素および一酸化炭素を含有する原料ガスと酸素含有ガスとを触媒の存在下に接触させて一酸化炭素を選択的に酸化する方法において、該触媒としてアルミナ、シリカ、ジルコニアおよびチタニアから選ばれる少なくとも1種を含む無機酸化物からなる担体に、PtとRuを担持した触媒を用い、かつ酸素導入前の触媒温度が80℃以上95℃以下であることを特徴とする水素および一酸化炭素を含有する原料ガス中の一酸化炭素濃度を低減する方法。
- 酸素と原料ガス中の一酸化炭素の比がモル比で0.5〜3であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
- 原料ガスが、炭化水素、アルコールまたはエーテルを改質反応および水性ガスシフト反応を行って得られたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の方法。
- 原料ガスが、炭化水素、アルコールまたはエーテルを脱硫反応、改質反応および水性ガスシフト反応を行って得られたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の方法。
- 原料ガス中の一酸化炭素濃度が0.1〜2vol%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の方法。
- 酸化反応後の生成ガス中の一酸化炭素濃度が100volppm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの項に記載の方法。
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