JP2011210920A - 超電導マグネットの保護抵抗体、およびそれを備えた超電導マグネット装置 - Google Patents

超電導マグネットの保護抵抗体、およびそれを備えた超電導マグネット装置 Download PDF

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Abstract

【課題】従来よりも設置スペースの小さい保護抵抗体(超電導マグネットの保護抵抗体)を提供すること。
【解決手段】メインコイル2に沿う湾曲した形状のプレート6と、プレート6のプレート面に沿って取り付けられφ1.6mmのステンレス製線材で形成された抵抗要素7(7a〜7i)と、を備える保護抵抗体5である。保護抵抗体5は、メインコイル2とシールドコイル3との間に配置され、ヘリウム容器4に収容された液体ヘリウム11で浸漬冷却される。
【選択図】図2

Description

本発明は、クエンチが起きたときに超電導マグネットで蓄えられていたエネルギーを吸収することで当該超電導マグネットを保護する保護抵抗体、およびそれを備えた超電導マグネット装置に関する。
超電導マグネットの保護抵抗体としては、例えば特許文献1に開示されたものがある。特許文献1に開示された抵抗器(保護抵抗体)は、薄板が波状に折り返されて形成された抵抗体を具備してなる。この抵抗体の下方には冷却ファンが配置され、当該冷却ファンにより抵抗体が冷却されている。当該抵抗器によると、抵抗体の長さ方向および幅方向の寸法を変更することにより抵抗値を任意に選定できるとともに、小型の抵抗体とすることができ設置スペースの省略化を図ることができると、特許文献1において称されている。
特開平11−26820号公報
一方、例えば、医療で用いられるMRI装置などでは、大きなボア径を確保しながら装置全体を小型化する必要がある。ここで、小型な超電導マグネット装置に対しては(または、超電導マグネット装置を小型化するにあたり)、特許文献1に開示されたような抵抗器では、その設置方法(設置スペース確保)に苦慮する。薄板が波状に折り返されて形成された抵抗体を具備してなる抵抗器では、波状という形状および通風という冷却方法とから、ある程度の厚みを抵抗体(抵抗器)にもたせなければならないからである。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、従来よりも設置スペースの小さい保護抵抗体(超電導マグネットの保護抵抗体)を提供することである。
上記目的を達成するための本発明は、プレートと、前記プレートのプレート面に沿って取り付けられ、線材で形成された少なくとも1本の抵抗要素と、を備え、前記抵抗要素が液体ヘリウムで浸漬冷却される超電導マグネットの保護抵抗体である。
この構成によると、プレート(板状体)、およびそのプレート面に沿って取り付けられ線材で形成された抵抗要素で保護抵抗体を構成することにより、保護抵抗体の厚みを薄くでき、従来よりも狭い場所に保護抵抗体を設置できる。
また本発明において、線材が折り曲げられて形成された複数本の前記抵抗要素が、相互に直列に接続されされた状態で前記プレート面に取り付けられていることが好ましい。
この構成によると、多数本の抵抗要素を設ける場合であっても、プレートの厚み方向に直交する方向の保護抵抗体のサイズを小さくすることができる。
さらに本発明において、W字型形状の複数本の前記抵抗要素が、圧着端子を介して相互に直列に接続された状態で前記プレート面に取り付けられていることが好ましい。
この構成によると、プレートの厚み方向に直交する方向の保護抵抗体のサイズを小さくすることができる。また、隣り合う抵抗要素同士の接続なども容易に行なえる。
また本発明は、その第2の態様によれば、超電導線材を巻回してなるメインコイルと、前記メインコイルの外側に配置され、超電導線材を巻回してなるシールドコイルと、前記シールドコイルの外側に配置され、液体ヘリウムを収容するヘリウム容器と、を備え、前記メインコイルと前記シールドコイルとの間に配置された本発明に係る保護抵抗体が前記液体ヘリウムで浸漬冷却される超電導マグネット装置である。
この構成によると、メインコイルとシールドコイルとの間の隙間を小さくすることができ(または、メインコイルとシールドコイルとの間のわずかな隙間に保護抵抗体を設置でき)、超電導マグネット装置の小型化を図ることができる。
本発明によると、本発明の構成要件、特に、プレート(板状体)、およびそのプレート面に沿って取り付けられ線材で形成された抵抗要素により、保護抵抗体の厚みを薄くできる。その結果、従来よりも設置スペースの小さい保護抵抗体とすることができる。
本発明の一実施形態に係る保護抵抗体を備える超電導マグネット装置の側断面図である。 図1のA−A断面図である。 図2に示す保護抵抗体の詳細図である。 図1、2に示す超電導マグネット装置の超電導回路図である。 図3に示した抵抗要素の変形例を示す図である。 図2に示した保護抵抗体の変形例を示す図である。 図6に示した保護抵抗体の変形例を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
(超電導マグネット装置の構成)
図1および図2に示すように、本実施形態の超電導マグネット装置1は、メインコイル2と、メインコイル2と同軸でその外側に配置されたシールドコイル3と、シールドコイル3の外側に配置され液体ヘリウム11を収容するヘリウム容器4と、を具備してなる。メインコイル2とシールドコイル3との間の隙間には、本発明に係る保護抵抗体5が配置されている。
メインコイル2は、ボア空間Sに所定の磁場を発生させるためのコイルである。また、シールドコイル3は、超電導マグネット装置1から外部へ漏れる漏れ磁場を低減させるための磁場を発生させるためのコイルである。
メインコイル2は、5つの超電導コイル8a〜8eと、巻枠9とを有する。超電導コイル8a〜8eは、それぞれ、超電導線材が巻枠9にソレノイド状に巻かれてなるものである。シールドコイル3は、4つの超電導コイル8f〜8iと、巻枠10とを有する。超電導コイルf〜8iは、それぞれ、超電導線材が巻枠10にソレノイド状に巻かれてなるものである。超電導線材は、例えばNbTi超電導線材やNbSn超電導線材などである。なお、巻枠9・10は、非磁性材であるアルミニウム材、ステンレス材などからなる。
(保護抵抗体)
図3は、保護抵抗体5の詳細図である。このうち、図3(a)は、図2に示す保護抵抗体5のB−B展開図である。図3(b)は、図3(a)に示した抵抗要素7(a)の拡大図であり、図3(c)は、図3(b)のC−C矢視図である。
図2および図3に示すように、本実施形態の保護抵抗体5は、湾曲した形状(さらには円弧状)のプレート6と、プレート6のプレート面に沿って取り付けられた計9本の抵抗要素7(7a〜7i)とを具備してなる。
(プレート)
プレート6は、例えばSUS304などの非磁性の長方形の金属板を円弧状に曲げて形成されたものである。プレート6は、メインコイル2の巻枠9のフランジ部外周に沿うように円弧状に曲げて形成されている(図1参照)。プレート6に設けられた孔17は、抵抗要素7を取り付けるための孔である。また、プレート6に設けられた孔18は、巻枠9のフランジ部にプレート6を取り付けるための孔である。なお、プレート6は、GFRPなどの樹脂材料からなるものであってもよい。
(抵抗要素)
図3(a)に全体を、図3(b)に詳細を示したように、抵抗要素7(7a〜7i)は、それぞれ、φ1.6mmのステンレス製線材をW字型形状に折り曲げて形成したものである。抵抗要素7(7a〜7i)は、圧着端子13を介して相互に直列に接続されている。そして、相互に直列に接続された抵抗要素7(7a〜7i)は、ボルト・ナット12により、プレート6に取り付けられている。なお、ボルト・ナット12は、ダブルナットとされているが、シングルナットでもよい。
また、プレート6への抵抗要素7(7a〜7i)の取り付けは、ボルト・ナット12に限定されるものではない。例えば、プレート6と抵抗要素7(7a〜7i)との間の絶縁を確保した上で、ネジが切られていない細い釘状部材と、かえりを有する抜け止め用のワッシャーとを用いて、抵抗要素7(7a〜7i)をプレート6に取り付けてもよい。
本実施形態のように、多数本の抵抗要素が必要なときであっても、W字型形状の抵抗要素とすることで、プレート6の厚み方向に直交する方向の保護抵抗体5のサイズを全体として小さくすることができる。
また、抵抗要素7(7a〜7i)を、圧着端子13を介して相互に接続することにより、隣り合う抵抗要素7(7a〜7i)の接続が容易となる。さらには、抵抗要素7(7a〜7i)をボルト・ナット12により、プレート6に取り付けることで、抵抗要素7(7a〜7i)とプレート6との固定も容易となっている。
また、線材からなる抵抗要素7の長さ寸法を変更することにより、その抵抗値を任意に選定できる。ここで、抵抗要素7の長さ寸法を変更する場合、例えば、プレート6の長手方向に直交する方向の相互に対向するボルト・ナット12(または孔17)の間隔を変更してもよいし(縮めたり広げたりする)、ボルト・ナット12(または孔17)の間隔はそのままで、1本当たりの折り曲げ回数を変更することにより、抵抗要素7の長さ寸法を変更してもよい。
抵抗要素7を構成するステンレス製線材としては、SUS304、SUS308などのの非磁性のステンレス製線材が挙げられる。ただし、抵抗要素7を構成する線材は、ステンレス製線材に限られることはない。また、抵抗要素7の径もφ1.6mmのものに限られるものではない。
図3(c)に示すように、プレート6の抵抗要素7側のプレート面には絶縁シート17が貼り付けられている。絶縁シート17は、プレート6と抵抗要素7との間の絶縁を確保するためのものである。絶縁シート17の材料は、例えばポリアミドである。また、ボルト・ナット12のボルトの頭部とプレート6との間には、鍔を有する筒状の絶縁部材18が絶縁を確保するために挟み込まれている。さらに、本実施形態では、絶縁シート17と抵抗要素7(または圧着端子13)との間にGFRP製の筒状ナット15が挿入されている。筒状ナット15は、絶縁シート17が何らかの原因で剥がれた場合においても確実な絶縁を確保するためのものである。
なお、図4(b)に示した、一端が抵抗要素7aに接続された導線14の他端は、例えば、超電導コイル8aに接続される。図4(c)においては、導線14の図示を省略している。
図3(a)に、二点鎖線で示したように、プレート6には、抵抗要素7(7a〜7i)とともに保護用のダイオード19を取り付けることもできる。また、図示を省略するが、永久電流スイッチなどの他の部品をプレート6に取り付けることもできる。
以上説明したように、保護抵抗体5は、メインコイル2に沿う湾曲した形状のプレート6、およびそのプレート面に沿って取り付けられ線材で形成された抵抗要素7(7a〜7i)を主たる部材として有するものであるため、全体としてその厚みを薄くできている。その結果、メインコイル2とシールドコイル3との間のわずかな隙間に保護抵抗体5を設置できており、超電導マグネット装置1の小型化を実現できている。
次に、図4は、超電導マグネット装置1の超電導回路図である。図4に示した超電導回路は、メインコイル2およびシールドコイル3に電流を流すとともに、これらコイル2・3をクエンチなどから保護するための回路(保護回路)である。なお、図4中のコイル表示、抵抗要素表示において、図1に示した超電導コイル8a〜8i、および図3(a)に示した抵抗要素7a〜7iと符号を合わせている。なお、超電導コイルの順序および抵抗要素の順序は、あくまで一例であり、図4に示したものに限られることはない。
図4に示したように、各超電導コイル8a〜8iの両端には、それぞれ抵抗要素7a〜7iが並列に接続されている。そして、直列に接続された超電導コイル8a〜8iの両端には、直流電源11が接続され閉回路が形成されている。
励磁され定常状態となったコイル2・3においては、その超電導回路内を流れる電流は、直流電源11から超電導コイル8a〜8iへ流れ直流電源11へと戻る。この定常状態において、例えば、超電導コイル8aにクエンチが発生した場合、直流電源11から超電導コイル8aへ流れていた電流は抵抗要素7aを通り、超電導コイル8b〜8iへ流れ直流電源11へと戻る。超電導コイル8aを流れていた電流は急激に減少し、超電導コイル8aの損傷は防止される。
ここで、本実施形態では、抵抗要素7(7a〜7i)を含む保護抵抗体5は、図2に示したように、液体ヘリウム11に浸漬しているため十分に冷却されており、かつ、抵抗要素7(7a〜7i)には、φ1.6mmのステンレス製線材を使用しているため当該抵抗要素7(7a〜7i)は冷却されやすい。したがって、抵抗要素7aに電流が流れ発熱したとしても、抵抗要素7aの温度上昇は少なく、換言すれば、液体ヘリウム11の蒸発量も少ない。すなわち、保護抵抗体5は、超電導コイル8a〜8iを保護する役割を十分に果たす。
(抵抗要素の変形例)
図5は、図3に示した抵抗要素7(7a)の変形例を示す図である。図5(a)に示す抵抗要素7aは、V型形状に線材が折り曲げられてなる抵抗要素である。図5(b)に示す抵抗要素7aは、図4(b)に示した抵抗要素と同じくW字型形状に線材が折り曲げられてなるものであるが、中央の折り曲げ位置が変更されている。
(保護抵抗体の変形例)
図6は、図2に示した保護抵抗体5の変形例を示す図である。図6に示したように、メインコイル2とシールドコイル3との間にある程度の間隔がある場合には、保護抵抗体25を構成するプレート6を、平板形状のプレート6としてもよい。この場合、例えば、プレート6の両端に支持部材16を取り付け、この支持部材16を介して、プレート6をメインコイル2に固定する。
また、図7に示したようなプレートであってもよい。なお、図7においては、抵抗要素7、ボルト・ナット12の表記を省略している。図7(a)に示した保護抵抗体35を構成するプレート6は、平板を折り曲げたものである。なお、2つ以上の折り曲げ箇所を有するプレートとしてもよい。また、図7(b)に示した保護抵抗体45を構成するプレート6は、湾曲した曲面を2つ有するものである。なお、3つ以上の湾曲した曲面を有するプレートとしてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することが可能なものである。
1:超電導マグネット装置
2:メインコイル
3:シールドコイル
4:ヘリウム容器
5:保護抵抗体
6:プレート
7:抵抗要素
11:液体ヘリウム

Claims (4)

  1. プレートと、
    前記プレートのプレート面に沿って取り付けられ、線材で形成された少なくとも1本の抵抗要素と、
    を備え、
    前記抵抗要素が液体ヘリウムで浸漬冷却されることを特徴とする、超電導マグネットの保護抵抗体。
  2. 請求項1に記載の保護抵抗体において、
    線材が折り曲げられて形成された複数本の前記抵抗要素が、相互に直列に接続された状態で前記プレート面に取り付けられていることを特徴とする、超電導マグネットの保護抵抗体。
  3. 請求項1または2に記載の保護抵抗体において、
    W字型形状の複数本の前記抵抗要素が、圧着端子を介して相互に直列に接続された状態で前記プレート面に取り付けられていることを特徴とする、超電導マグネットの保護抵抗体。
  4. 超電導線材を巻回してなるメインコイルと、
    前記メインコイルの外側に配置され、超電導線材を巻回してなるシールドコイルと、
    前記シールドコイルの外側に配置され、液体ヘリウムを収容するヘリウム容器と、
    を備え、
    前記メインコイルと前記シールドコイルとの間に配置された請求項1〜3のいずれかに記載の保護抵抗体が前記液体ヘリウムで浸漬冷却されることを特徴とする、超電導マグネット装置。
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