JP2016051833A - 超電導電磁石装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】蓄積された磁気エネルギを迅速に消費できる超電導電磁石装置を提供する。【解決手段】超電導コイルL1と、この超電導コイルと同軸に巻き線されたコイル状の電熱ヒーターL2と、電熱ヒーターと直列に接続され通電を制御するダイオードD1と、超電導コイルを励磁する励磁電源と、超電導コイルに永久電流を流すための永久電流スイッチ1と、を有する超電導磁石装置において、超電導コイルの一部で常電導転移が発生してコイル電流が減衰した場合に、磁気的に結合したコイル状電熱ヒーターに起電力を誘導して電熱ヒーターを加熱し、熱的に接触した超電導コイルをクエンチ誘発させることで、超電導コイルでの局所的なエネルギー消費を防止し、超電導磁石装置を保護する。【選択図】図2
Description
本発明は、単数もしくは複数個の超電導コイルから構成される超電導電磁石装置に関する。
一般的に、磁場を利用する装置、例えば磁気共鳴画像装置(以下、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置と称する。)は、生体の大部分を構成する水素原子核の核磁気共鳴(NMR(Nuclear Magnetic Resonance))現象が組織によって異なることを利用して、生体組織を画像化するものであり、共鳴の強さや、共鳴の時間的変化の速さが画像のコントラストとして現われるようになっている。このようなMRI装置では、高画質の画像を得るために、撮像領域に磁場強度が高く時間的空間的に高い均一度を有する静磁場(均一磁場空間)を生成する必要がある。また、放射光施設で用いられる偏向磁石も、磁場を利用する装置の一つとして挙げられる。これらの施設で利用される偏向磁石は、荷電粒子ビームの軌道を曲げるために利用される磁石であって、その磁場強度が高いほど曲げ角度が大きくなる。そのため、磁場強度を高めるほど装置の小型化が可能となる。このように磁場を利用する装置は近年高磁場化する傾向にあるため、しばしば超電導磁石が用いられる。
超電導電磁石装置は、超電導コイルを基本構成に備える。この超電導コイルは超電導線材を巻き回すことで形成されるが、ときとして超電導線の一部が超電導状態から常電導状態へと転移(常電導転移)し磁場が消滅するという現象(クエンチ)が、発生する場合がある。このクエンチ発生時には、超電導線が常電導転移することにより、超電導コイルに電気抵抗が発生する。この電気抵抗にコイル電流(永久電流)が流れてジュール発熱し、コイル電流(永久電流)を迅速に減衰させ、超電導コイルに蓄積された磁気エネルギが迅速に消費される。ただし、超電導コイルのクエンチした箇所で局所的な磁気エネルギの消費が起きると、クエンチした箇所が焼損する恐れがある。
したがって、従来からこのクエンチによって超電導磁石装置が致命的なダメージを被ることのないよう、NbTiやNb3Snなどの金属を利用した超電導コイルの保護対策が考案されている。例えば、(1)クエンチが発生した場合に、クエンチした単一のコイルで全磁気エネルギーを消費することを避けるために、超電導コイルを複数の小さな閉回路に分割し、各閉回路で磁気エネルギーを分散消費させる。
また、(2)クエンチ発生時に、超電導コイルのクエンチの発生していない箇所にも意図的にクエンチを発生させて、ある特定の超電導コイルへの電力流入の集中を防止し、蓄積された磁気エネルギを他の超電導コイルでも迅速に消費するためのクエンチ保護回路が設けられている。このクエンチ保護で従来よく用いられる方法の一つに、超電導コイルと電熱ヒーターが電気的に接続され、超電導コイルのクエンチが検出されたときに超電導コイルを流れる電流を電熱ヒーターへ転流し、その入熱によって他のコイル群を連鎖的にクエンチ誘発させることで磁気エネルギーを分散消費し、超電導磁石を保護する方法がある。
(2)の方法で用いられる電熱ヒータとしては、例えばステンレスや銅を材質としたシート状導線を用いることができる。また、電熱ヒーターとして超電導コイルと同軸に巻き線した常電導の電熱ヒーターコイルを用いることもできる。常電導線として、例えば銅線を用いる。電熱ヒーターコイルを用いる場合、超電導コイルと同方向の電流が流れるため、相互に引力が作用し熱的伝導特性が向上するメリットがあることが文献1に記されている。
巻き線した常電導コイルを電熱ヒーターとして利用する場合、電熱ヒーターがインダクタンスをもつことになる。これにより、超電導コイル電流の変化により電熱ヒーターとの鎖交磁束にも時間的変化が現れ、それを打ち消す方向に電熱ヒーターに誘導起電力が発生する。また、電熱ヒーターに抵抗成分しか持たない場合と異なり、この誘導起電力を電熱ヒーターに通電するための起電力として利用することができる。
電熱ヒーターには、励磁中に電流が流れ込むことを防止するためにダイオードを直列に接続する。このダイオード両端にターンオン電圧以上の電圧が印加されるとダイオードが導通状態となり、電熱ヒーターが発熱する。つまり、電熱ヒーターを動作させるためには、ダイオード両端にターンオン電圧を印加する必要がある。
しかしながら、電熱ヒーターがインダクタンスを持つことにより、クエンチした超電導コイル両端に発生した起電力を相殺するように誘導起電力が電熱ヒーターに発生し、結果としてダイオード両端電圧が低下する可能性がある。用いるダイオードとして、ターンオン電圧が低いダイオードを採用することも可能だが、ターンオン電圧を低くしすぎると、励磁電源の電圧もターンオン電圧以下に設定する必要があり、励磁速度を低下させることになる。
上記した状況について電気回路を用いて示す。図1に超電導コイルに電熱ヒーターコイルを巻き線した場合の代表的な電気回路の概念図を示す。超電導コイルL1に電熱ヒーターコイルL2が巻き線されており、双方の結合係数はほぼ1である。励磁が終了し、定格運転状態に移行したあとは、永久電流スイッチ9がオン状態となり、永久電流スイッチ9と超電導コイルL1とで閉じた電気回路を形成する。
この状態では抵抗が閉回路内に存在しないため、電流は減衰することなく永久電流が流れ続ける。ここで、超電導コイルL1に不具合が生じて一部が常電導に転移した場合を考えると、その常電導部の抵抗をr、超電導コイルL1と電熱ヒーターコイルL2との相互インダクタンスをM、ダイオードD1の両端電圧をVD1とすれば、
L1 dI/dt - rI = M dI/dt - VD1 = 0(V) (1)
とかける。
L1 dI/dt - rI = M dI/dt - VD1 = 0(V) (1)
とかける。
ここで、超電導コイルL1の一部が常電導転移したタイミングではダイオードD1はターンオンしていないので、電熱ヒーターコイルL2には電流は流れていない。相互インダクタンスは結合係数kを用いて、
M = k√(L1L2) (2)
であり、電熱ヒーターコイルが超電導コイルと同様に巻き線されており、L1とL2がほぼ同等の値となる場合は、相互インダクタンスMはほぼL1に等しい。この場合、式(1)は
L1 dI/dt - rI = L1 dI/dt - VD1 = 0(V) (3)
と書けるから、ダイオードD1の両端電圧VD1はrIにほぼ等しい。常電導転移した直後は常電導領域も狭く抵抗rは微小であり、ダイオードD1のターンオン電圧に比べてrIは小さい。つまり、ダイオードD1のターンオンが遅れることを意味する。
M = k√(L1L2) (2)
であり、電熱ヒーターコイルが超電導コイルと同様に巻き線されており、L1とL2がほぼ同等の値となる場合は、相互インダクタンスMはほぼL1に等しい。この場合、式(1)は
L1 dI/dt - rI = L1 dI/dt - VD1 = 0(V) (3)
と書けるから、ダイオードD1の両端電圧VD1はrIにほぼ等しい。常電導転移した直後は常電導領域も狭く抵抗rは微小であり、ダイオードD1のターンオン電圧に比べてrIは小さい。つまり、ダイオードD1のターンオンが遅れることを意味する。
超電導コイルと電熱ヒーターを電気的に直列に接続し、かつ前記超電導コイルと前記電熱ヒーターとを、熱的に接続することで、前記超電導コイルがクエンチした場合にコイル電流が前記電熱ヒーターに転流し、クエンチが発生した前記超電導コイル以外の超電導コイルにもクエンチを伝搬して、蓄積された磁気エネルギを迅速に消費できる。ただし、電熱ヒーターへの通電を制限するダイオードが通電状態となるためには、ダイオード両端にターンオン電圧以上の電圧を印加する必要がある。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、励磁速度を過度に低下させることなく、かつ不具合時に蓄積された磁気エネルギーを迅速に消費できる超電導磁石装置を提供することである。
前記課題を解決するために、本発明に係る超伝導磁石装置は、超電導コイルと、前記超電導コイルに同軸に巻き線されたコイル状の電熱ヒーターと、前記コイル状電熱ヒーターと直列に接続されたダイオードと、前記超電導コイルと閉回路を形成する永久電流スイッチと、を有し、前記超電導コイルと前記コイル状電熱ヒーターとが磁気的かつ熱的に結合されたことを特徴とする。
また、本発明に係る超電導磁石の保護方法は、超電導コイルの一部が常電導転移した場合の超電導コイルの磁束変化を、電熱ヒーターコイルでの誘導起電力に直接変換し、その起電力で電熱ヒーターを発熱させて超電導コイルをクエンチ誘発させることを特徴とする方法である。
本発明によれば、蓄積された磁気エネルギーを迅速に消費できる超電導電磁石装置を提供できる。なお、前記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
(第1の実施形態)
図2に、本発明の第1の実施形態に係る超電導コイル、電熱ヒーターコイルおよびダイオードを含む電気回路図を示す。
(第1の実施形態)
図2に、本発明の第1の実施形態に係る超電導コイル、電熱ヒーターコイルおよびダイオードを含む電気回路図を示す。
本実施例の超電導磁石装置は、その基本構成として超電導コイル、電熱ヒーターコイルL2、ダイオードを有している。図2はこれらの構成を有する超電導磁石装置が永久電流スイッチ1をONとした永久電流モードで定格運転している状態を示している。永久電流運転下においては、超電導コイルと永久電流スイッチ1とが閉回路を形成しており、この閉回路内を電流が循環している。
この閉回路に対して電熱ヒーターコイルL2を含む回路が並列に接続される。この回路は電熱ヒーターコイルL2とダイオードおよび電源タップ2がそれぞれ直列に接続されて構成されており、電熱ヒーターコイルL2およびダイオードは超電導コイルと同様に極低温下に設置され、電源タップ2とスイッチ機構(以下、単にスイッチと呼ぶ)は常温下に設置されている。なお、図1に示した励磁用電源回路は省略した。
電熱ヒーターコイルL2には複数の電圧タップ2が設置されており、スイッチにより接続箇所を変更することができ、超電導コイルと電熱ヒーターコイルL2との巻線比を変更することができる。
電圧タップ2およびスイッチの具体的な体系としては、例えば図2に示すように、パワーリード3を介して常温側にスイッチを設けることが考えられる。また各電圧タップ2は、電熱ヒーターコイルL2に対して、一方の端部を基準としたときに巻き線の回数が異なる箇所に設置される。このような体系を採ることによって、超電導コイルの励磁時や定格運転時において、それぞれの運転状況に適した電熱ヒーターコイルL2のインダクタンスを設定できる。なお、電熱ヒーターコイルL2(L2)のインダクタンスは超電導コイルのインダクタンス(L1)よりも大きいことが望ましい。
次に本実施例の超電導磁石装置が永久電流運転(定格運転)している場合における電源タップ2の設定について説明する。
超電導磁石装置が定格運転をしている場合、電熱ヒーターコイルL2のインダクタンスが大きくなる電源タップ2とスイッチを接続する。 図2のスイッチ2で電源タップ位置を変更して、電熱ヒーターコイルL2のインダクタンスL2が超電導コイルのインダクタンスL1より大きくなる電圧タップ2を選択することで、相互インダクタンスMは結合係数k(ほぼ1に等しい)を用いて、
M = k√(L1L2)> kL1 ≒L1 (4)
となるから、式(1)から
VD1 =(M-L1) dI/dt + rI > rI (5)
と書き表すことができる。
M = k√(L1L2)> kL1 ≒L1 (4)
となるから、式(1)から
VD1 =(M-L1) dI/dt + rI > rI (5)
と書き表すことができる。
上述のように電源タップ2の接続を設定した場合、図2の電気回路において、超電導コイルの一部で常電導転移が発生すると電流の流れは次のようになる。
超電導磁石装置が定格運転している場合、永久電流スイッチ1はON状態となっているため、永久電流スイッチ1の両端電圧はゼロである。つまり超電導コイルの両端電圧もゼロであり、超電導コイルの一部が常電導転移して抵抗成分rが発生した場合、超電導コイルの電流をIとすれば、
0=L1dI/dt - rI
である。
0=L1dI/dt - rI
である。
一方、電熱ヒーターコイルL2を含む経路においては、インダクタンス成分がなければ電熱ヒーターコイルL2の両端電圧は、永久電流スイッチ1の両端電圧と同じゼロ(V)であるが、超電導コイルとの相互インダクタンスMを持つので、MdI/dtの起電力が発生する。永久電流スイッチ1の両端電圧は0Vであるため、電熱ヒーターコイルL2を含む経路の両端電圧もゼロ(V)となり、MdI/dt=VD1の関係が成立する。
上述するとおり、VD1はrIより大きいため超電導コイルの一部が常伝導転移した直後であって超電導コイルに発生した抵抗rが十分に大きくなくとも、ダイオードに対してターンオンさせるに十分な電圧を発生させることができ、電熱ヒーターコイルL2に電流が流れジュール発熱を生じさせることが可能となる。
つまり、本回路を用いれば、回路中に遮断機構を設けることなく、超電導コイルの一部が常電導転移した場合に電熱ヒーターコイルL2(電熱ヒーターコイルL2の抵抗R1を含む)に電流を流すことが可能であり、受動的な磁石保護機能を持たせることができる。
また、複数の電源タップ2が電熱ヒーターコイルL2に設けられることによって、電熱ヒーターコイルL2のインダクタンスL2を可変とできる。その結果、超電導コイルの一部が常伝導転移した場合に、その直後であってもターンオン電圧よりも大きな電圧がダイオードに印加され、迅速に電熱ヒーターコイル2への通電が実行されてジュール発熱が生じ、超電導コイルの一部に発生した常伝導転移を超電導コイル全体へ効果的に伝搬させることが可能となる。
また、電熱ヒーターコイルL2については、図3に示すようにボビン4に超電導線5が巻き線されて超電導コイルL1を形成し、その外周に常電導線6を巻き線して電熱ヒーターコイルL2を形成する。超電導コイルと電熱ヒーターコイルL2との位置関係は、図4のように電熱ヒーターコイルL2を対称軸寄りの内側に巻き線することもできる。
超電導コイルと電熱ヒーターコイルL2に同方向電流を通電することで、双方に電磁的な引力が働き、電熱ヒーターコイルL2の発熱を効果的に超電導線に伝熱することができる。また、超電導コイルの側面全域に電熱ヒーターコイルL2を熱的に接触させることが可能な構造であるため、熱伝導率の低い超電導線材を用いた超電導コイルの不具合時磁石保護回路として利用できる。
電熱ヒーターコイルL2に電圧タップ2を設置する具体的な例を図5に示す。電熱ヒーターコイルL2のインダクタンスは、超電導コイルのインダクタンスより大きくなるように、例えば巻き線数を超電導コイルより多くすることで、電熱ヒーターコイルL2のインダクタンスの可変領域を広くすることができる。
ところで、電熱ヒーターコイルL2に電圧タップ2を設けることで、例えば超電導コイルの励磁速度を変更することが可能となる。
超電導磁石装置の励磁中は、図1に示す永久電流スイッチ1はOFF状態(高抵抗状態)であって、超電導コイルのみに電流が流れる。ただし、励磁中のコイル電流変化dI/dtにより電熱ヒーターコイルL2の両端にMdI/dtの誘導起電力が発生し、励磁電源の両端電圧をEとすれば、Eは
E = M dI/dt + VD1 (6)
となる。相互インダクタンスMは、式(4)より電熱ヒーターコイルL2のインダクタンスにより決まる。
E = M dI/dt + VD1 (6)
となる。相互インダクタンスMは、式(4)より電熱ヒーターコイルL2のインダクタンスにより決まる。
ここで電熱ヒーターコイルL2のインダクタンスを大きく設定した場合には、Mが大きな値となり、ダイオードの降伏電圧を超越してしまい、電熱ヒーターコイルL2に電流が流れ、好ましくないタイミングで超電導コイルにクエンチを誘発させる可能性がある。
しかし、本実施例の超電導磁石装置は、電熱ヒーターコイルL2のインダクタンスを小さく設定することも可能であるため、そのように電圧タップ2を設定することによって相互インダクタンスMを励磁中は小さくすることができる。
この場合、式(6)より、励磁中における電熱ヒーターコイルL2に発生する電圧が抑制され、結果、ダイオードに対して降伏電圧が印加される可能性が低くなり、励磁中のクエンチ誘発を抑制することができる。
以上説明したように本実施例の超電導磁石装置は、電熱ヒーターコイルL2に複数の電圧タップを設けることによって相互インダクタンスM(インダクタンスL2)を調整することができる。また、励磁時はダイオードの降伏電圧を超過しないような起電力が発生する相互インダクタンスMとなる電源タップ2とスイッチを接続し、定格運転時はダイオードのターンオン電圧を超過する起電力が生じるような相互インダクタンスMとなる電源タップ2とスイッチを接続することによって、超電導磁石装置を安全に稼働させることが可能となる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、電圧タップ2を用いてダイオードD1の両端電圧VD1を調整する方法を示した。第2の実施形態では、ダイオードD1の両端電圧VD1を調整する方法として、ヒーター回路を備えたペルチェ素子を用いる方法を示す。
第1の実施形態では、電圧タップ2を用いてダイオードD1の両端電圧VD1を調整する方法を示した。第2の実施形態では、ダイオードD1の両端電圧VD1を調整する方法として、ヒーター回路を備えたペルチェ素子を用いる方法を示す。
図6に、本発明の第2の実施形態に係る超電導コイル、電熱ヒーターコイル、ダイオードおよびペルチェ素子を含む電気回路図を示す。永久電流スイッチ1をONとした永久電流モードで定格運転している状態を示しており、図1に示した励磁用電源回路は省略した。
ヒーター回路8を備えたペルチェ素子7を設置する目的は、ペルチェ素子のゼーベック効果を利用してペルチェ素子7両端に電圧を発生させるためである。ゼーベック効果とは、物体の温度差が電圧に直接変換される現象である。温度差は、極低温状態となっている周囲温度とヒーター8による温度とで生成される。極低温条件下でのゼーベック効果については、例えばペルチェ素子であるFeSb2を用いた場合のゼーベック係数が、文献2[A. Bentien,et.al.,Colossal Seebeck coefficient in strongly correlated semiconductor FeSb2, Europhysics Letters, 80 (2007) 17008]に記載されている。FeSb2の極低温領域(<10K)での比抵抗はおよそ1000mΩ cmである。FeSb2の代表的な寸法として、文献2に記されている寸法4×3×0.5mm3/セルとすると、抵抗は0.004Ω/セルとなる。
また、10K付近でのゼーベック係数は10000μV/Kであるから、温度差10Kとすれば100mV/セルである。したがってFeSb2からなるペルチェ素子を、50セル直列に接続したとすれば、その両端電圧は5V、抵抗は0.2Ωである。超電導コイルL1として、例えば超電導線材の直径2mm、超電導コイル直径1000mm、1000ターン巻きコイルを仮定すると、極低温での導線の比抵抗を1.0e-10Ωmとすれば、電熱ヒーターコイルの抵抗Rは、R = 0.03Ωであるから、ペルチェ素子と直列接続しておよそ0.3Ωとなるから、16A程度の通電が可能と試算される。このときの電熱ヒーターコイルの発熱WはW=0.3(Ω)×16(A)^2=7.7(W)であり、経験的に常電導転移させるのに必要なヒーター熱量2Wに対して十分な発熱量を得られる。
(第3の実施形態)
図7に、本発明の第3の実施形態に係る超電導コイル、電熱ヒーターコイル、ダイオードおよび電圧タップを含む電気回路図を示す。永久電流スイッチ1をONとした永久電流モードで定格運転している状態を示しており、図1に示した励磁用電源回路は省略した。超電導コイルL1を含む回路と電熱ヒーターコイルL2を含む回路は独立した電気回路と成っていてもよい。超電導コイルL1の一部が常電導転移することで電流減衰が発生し、これに伴う磁束変化による電熱ヒーターコイルL2の誘導起電力が電熱ヒーター通電の起電力となって電熱ヒーターを発熱させ、超電導コイルクエンチを誘発する。
図7に、本発明の第3の実施形態に係る超電導コイル、電熱ヒーターコイル、ダイオードおよび電圧タップを含む電気回路図を示す。永久電流スイッチ1をONとした永久電流モードで定格運転している状態を示しており、図1に示した励磁用電源回路は省略した。超電導コイルL1を含む回路と電熱ヒーターコイルL2を含む回路は独立した電気回路と成っていてもよい。超電導コイルL1の一部が常電導転移することで電流減衰が発生し、これに伴う磁束変化による電熱ヒーターコイルL2の誘導起電力が電熱ヒーター通電の起電力となって電熱ヒーターを発熱させ、超電導コイルクエンチを誘発する。
(第4の実施形態)
図8に、本発明の第4の実施形態に係る超電導コイル、電熱ヒーターコイル、ダイオードおよび電圧タップを含む電気回路図を示す。永久電流スイッチ1をONとした永久電流モードで定格運転している状態を示しており、図1に示した励磁用電源回路は省略した。また、電熱ヒーターコイル2の抵抗R1を省略した。
図8に、本発明の第4の実施形態に係る超電導コイル、電熱ヒーターコイル、ダイオードおよび電圧タップを含む電気回路図を示す。永久電流スイッチ1をONとした永久電流モードで定格運転している状態を示しており、図1に示した励磁用電源回路は省略した。また、電熱ヒーターコイル2の抵抗R1を省略した。
超電導コイル2が複数存在する場合は、図8に示すように超電導コイルL1a,L1b,L1cおよび電熱ヒーターコイルL2a,L2b,L2cをそれぞれのコイル群で直列に接続する。この回路は、第1の実施形態で示した、超電導コイルL1と電熱ヒーターコイルL2とで構成された電気回路において、各コイルを複数コイルに分割した回路と考えることができる。超電導コイルL1の一部が常電導転移することで電流減衰が発生し、これに伴う磁束変化による電熱ヒーターコイルL2の誘導起電力が電熱ヒーター通電の起電力となって電熱ヒーターを発熱させ、超電導コイルクエンチを誘発する。
(第5の実施形態)
図9に、本発明の第5の実施形態に係る超電導線5および常電導線6の巻き線状態を示す。ボビン4に超電導線5と常電導線6が共巻きされた構成となっている。電熱ヒーターとして巻き線された常電導線6が超電導コイルL1の内部にまで巻かれているため、不具合時に常電導線6で発生した熱は超電導線全域に伝熱され、超電導コイルL1全体をクエンチ誘発することができる。
図9に、本発明の第5の実施形態に係る超電導線5および常電導線6の巻き線状態を示す。ボビン4に超電導線5と常電導線6が共巻きされた構成となっている。電熱ヒーターとして巻き線された常電導線6が超電導コイルL1の内部にまで巻かれているため、不具合時に常電導線6で発生した熱は超電導線全域に伝熱され、超電導コイルL1全体をクエンチ誘発することができる。
(第6の実施形態)
図10に、本発明の第6の実施形態に係る超電導コイル、電熱ヒーターコイル、ダイオードおよび永久電流スイッチを含む電気回路図を示す。永久電流スイッチ1をONとした永久電流モードで定格運転している状態を示しており、図1に示した励磁用電源回路は省略した。この回路はダイオードD1の両端電圧を制御してターンオン電圧以下に抑制する、上記までの方針とは異なり、ダイオードD1がターンオンしたとしても電熱ヒーターコイルL2には電流を流さない回路構成である。
図10に、本発明の第6の実施形態に係る超電導コイル、電熱ヒーターコイル、ダイオードおよび永久電流スイッチを含む電気回路図を示す。永久電流スイッチ1をONとした永久電流モードで定格運転している状態を示しており、図1に示した励磁用電源回路は省略した。この回路はダイオードD1の両端電圧を制御してターンオン電圧以下に抑制する、上記までの方針とは異なり、ダイオードD1がターンオンしたとしても電熱ヒーターコイルL2には電流を流さない回路構成である。
励磁中は永久電流スイッチ1および11をOFFとして超電導コイルL1を励磁し、定格運転時には永久電流スイッチ1および11をONにすることで、不具合発生時には超電導コイル電流の減衰に伴う鎖交磁束変化により電熱ヒーターコイルL2に誘導起電力を発生させ、ダイオードD1をターンオンさせて電熱ヒーターコイルL2に通電する。
1、11 永久電流スイッチ
L1 超電導コイル
L2 電熱ヒーターコイル
R1 電熱ヒーターコイル抵抗
D1 ダイオード
L1a, L1b, L1c 複数に分割された各超電導コイル
L2a, L2b, L2c 複数に分割された各電熱ヒーターコイル
11 励磁電源
12 スイッチ
2 電圧タップ
3 パワーリード
4 ボビン
5 超電導線
6 常電導線(銅線)
7 ペルチェ素子
8 ペルチェ素子加熱用ヒーターと電源
9 電圧発生用抵抗
10 電圧発生用抵抗に用いる電流電源
L1 超電導コイル
L2 電熱ヒーターコイル
R1 電熱ヒーターコイル抵抗
D1 ダイオード
L1a, L1b, L1c 複数に分割された各超電導コイル
L2a, L2b, L2c 複数に分割された各電熱ヒーターコイル
11 励磁電源
12 スイッチ
2 電圧タップ
3 パワーリード
4 ボビン
5 超電導線
6 常電導線(銅線)
7 ペルチェ素子
8 ペルチェ素子加熱用ヒーターと電源
9 電圧発生用抵抗
10 電圧発生用抵抗に用いる電流電源
Claims (6)
- 超電導コイルと、
前記超電導コイルに同軸に巻き線されたコイル状の電熱ヒーターと、
前記コイル状電熱ヒーターと直列に接続されたダイオードと、
前記超電導コイルと閉回路を形成する永久電流スイッチと、を有し、
前記超電導コイルと前記コイル状電熱ヒーターとが磁気的かつ熱的に結合されたことを特徴とする超電導電磁石装置。 - 前記超電導磁石装置は、
前記コイル状電熱ヒーター内において巻き線数が異なる箇所にそれぞれ設置された少なくとも2個以上の電圧タップと、
前記ダイオードおよび前記電圧タップのいずれか一つと接続されることで、前記ダイオードと前記コイル状電熱ヒーターとを直列に接続させるスイッチと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の超電導電磁石装置。 - 前記コイル状電熱ヒーターの巻き線数が超電導コイルの巻き線数よりも多いことを特徴とする請求項1に記載の超電導電磁石装置。
- 前記コイル状電熱ヒーターと直列にペルチェ素子が接続され、
前記ペルチェ素子を加熱するヒーターが備えられたことを特徴とする請求項1に記載の超電導電磁石装置。 - 前記コイル状電熱ヒーターと直列に永久電流スイッチが接続されたことを特徴とする請求項1に記載の超電導電磁石装置。
- 前記超電導コイル導体と前記コイル状電熱ヒーター線とが、共巻きされた構成を特徴とする請求項1に記載の超電導電磁石装置。
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