JP2017045866A - 超電導磁石装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】クエンチ時に超電導磁石装置に印加する電磁力を、その向きをほぼ一定としながら単調減少させるクエンチ保護回路を有する超電導磁石装置を提供する。【解決手段】クエンチ保護回路にロゴスキーコイルおよび可変抵抗を備え、クエンチ時に回路電流減衰時定数に応じて外部抵抗値を変更する機構を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、超電導磁石装置に関する。
一般的に、磁場を利用する装置、例えば磁気共鳴画像装置(以下、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置と称する。)においては、発生磁場が高いほど生体の大部分を構成する水素原子核の核磁気共鳴(NMR(Nuclear Magnetic Resonance))現象が組織によって異なることを利用して、生体組織を画像化するものであり、共鳴の強さや、共鳴の時間的変化の速さが画像のコントラストとして現われるようになっている。
このようなMRI装置では、高画質の画像を得るために、撮像領域に磁場強度が高く時間的空間的に高い均一度を有する静磁場(均一磁場空間)を生成する必要がある。また、放射光施設で用いられる偏向磁石も、磁場を利用する装置の一つとして挙げられる。これらの施設で利用される偏向磁石は、荷電粒子ビームの軌道を曲げるために利用される磁石であって、その磁場強度が高いほど曲げ角度が大きくなる。そのため、磁場強度を高めるほど装置の小型化が可能となる。このように、磁場を利用する装置は近年高磁場化する傾向にあるため、しばしば超伝導磁石が用いられる。
超電導磁石装置は、所望の空間に磁場を生成するための単一もしくは複数個の超電導主コイルと、超電導主コイルが生成する磁場が装置外へ漏洩することを抑制するための、超電導主コイルのコイル電流とは逆向きの電流を流した、単一もしくは複数個の超電導シールドコイルと、コイル電流が作る磁束を通すための磁路となる磁性材と、超電導主コイルおよび超電導シールドコイルの冷却用の液体ヘリウムを納めた冷却容器と、この冷却容器を包囲し、且つほぼ同軸上に設けられた輻射シールドと、さらにこの輻射シールドの外周に真空断熱用途で設けられた真空容器と、から構成されている。
ところで、超電導磁石装置の超電導コイル(超電導主コイル、超電導シールドコイル)に用いられている超電導線材の一部が超電導状態から常電導状態へと転移し磁場が消滅する現象(クエンチ)が発生する場合がある。この過程では、超電導主コイルを流れる電流および超電導シールドコイルを流れる電流は時間的に減衰し、定格運転時の静磁場に対して、クエンチ時には動磁場が生成される。また、ある不特定の超電導コイルがクエンチすると、他の超電導コイルがクエンチに至るまでに一定時間を要する。このため、磁石中心に対して軸方向に対称に超電導コイルが配置されているが、クエンチ後の減衰電流は対称とはならず、それぞれが作る磁場によって漏洩磁場は拡大し、コイルに印加する最大電磁力も増加するコイルが存在する。磁場の向きによっては、定格運転時の電磁力の向きとは逆向きとなるため、コイル支持構造が大掛かりになる。
この電磁力を抑制するための対策として、磁石外部に電気良導体を設置し、電気良導体に誘導電流を流すことで電磁力を発生させ、前記した非対称電磁力を打ち消すことで当該電磁力を抑制する方法がある。ただし、磁石外部に電気良導体を設置するスペースが必要となり、空間的な制約が発生する。
また、超電導磁石が大型化して蓄積エネルギーが高くなると、クエンチが発生した場合にクエンチした単一のコイルで全磁気エネルギーを消費すると磁石に致命的なダメージを与える可能性が高まる。これを避けるために、超伝導コイルを複数の閉回路に分割し、各保護回路で磁気エネルギーを分散消費させる方法が採られる。
ところが、保護回路を複数に分割すると、クエンチ起点となったコイルを含む回路の電流は抵抗により減衰するが、他の回路において超電導状態を維持したコイルが存在すると、磁束保存により回路電流が増大する。これにより、上記した非対称電磁力が発生しやすくなる。また、コイルを支持するための構造物が大きくなるため、熱侵入路が増大して冷却効果が損なわれるだけでなく、物量増大によるコストアップも避けられない。
このような問題を解決する方法として、超電導主コイルおよび超電導シールドコイルを含む電気回路にクエンチ時の電流変化を検知するためのロゴスキーコイルを設置して、超電導コイルとは熱的に非接触にクエンチを検知し、電源遮断して速やかに電流を減衰させて磁石を保護する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平5−327042号公報
しかし、超電導磁石装置が複数の超電導コイルから構成されている場合すなわち、電気回路が区分される場合は、それによって、幾何学的に同一かつ対称位置に配置されている超電導コイルであっても流れる電流値は対称とはならない。すなわち、超電導主コイルと超電導シールドコイルが生成する磁場も非平衡となって漏洩磁場が拡大し、前記磁場とコイル電流で生成される電磁力の大きさや向きも定格運転時と異なるため、各超電導コイルを支持する構造は、定格運転時に要求される強度に対して大きくマージンをとって設計することが必要とされ、超電導磁石装置そのものの大型化の要因となる。
また、コイルに印加する電磁力の向きが定格運転時に比べて反転する場合、磁石の健全性を確保するために反転電磁力にも耐え得る支持構造を有する必要がある。この反転電磁力はクエンチ時にのみ発生する電磁力であり、定格運転時には不要な支持構造であって構造が大型化する要因となる。
そこで本発明は、超電導コイルの支持構造を小型化できる超電導磁石装置を提供することを目的とする。
そこで、本発明の超電導磁石装置は一例として、超電導コイルを有する回路が複数個互いに接続されて構成される超電磁石装置であって、前記超電導コイルに対して並列に接続され、前記回路を構成するダイオードおよび可変抵抗からなる抵抗ユニットと、前記回路のそれぞれに取り付けられ、取り付けられた前記回路の電流変化量を検知する電流変化検出手段と、前記電流変化検出手段と接続され、前記抵抗ユニットに含まれる前記可変抵抗の抵抗値を変更する抵抗変更機構と、を備える。
本発明によれば、そこで本発明は、超電導コイルの支持構造を小型化できる超電導磁石装置を提供することができる。
第1実施形態の超電導磁石装置が適用される超電導磁石装置の中心軸を含む断面図である。 第1実施形態の超電導磁石装置の保護回路を示す回路図である。 第1実施形態の超電導磁石装置の各分割回路電流の時間推移図である。 第1実施形態の超電導磁石装置の各超電導コイル両端電圧の時間推移図である。 第1実施形態の超電導磁石装置の各超電導コイル最高温度の時間推移図である。 第1実施形態の超電導磁石装置の保護回路における外部抵抗の時間推移図である。 第1実施形態の超電導磁石装置のクエンチ時の12Bコイルに印加する軸方向および径方向電磁力の時間推移図である。 第2実施形態の超電導磁石装置の保護回路を示す回路図である。 第2実施形態の可変抵抗器の具体的な体系例である。
以下、本発明の実施形態に係る超電導磁石装置について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
≪第1実施形態≫
図1は、第1実施形態の超電導磁石装置1を、中心軸Zを含む平面で分割した場合の断面模式図である。
空間Fは、例えば中心軸Zを中心とした軸対称空間である。超電導磁石装置1は、空間Fに磁場を生成するための超電導主コイル(第1コイル)10A、10B、11A、11B、12A、12Bと、生成した磁場が装置外へ漏洩することを抑制するための超電導シールドコイル(第2コイル)20A、20Bと、を有しており、中心軸Zを軸として同軸上に配置されている。
また、超電導主コイル10Aと超電導主コイル10Bとは、空間Fの中心Oを通りかつ中心軸Zを法線とする対称面(図示せず)に対して対称に配置されている。同様に、超電導主コイル11A、11Bは対称面に対して対称に配置され、超電導主コイル12A、12Bは対称面に対して対称に配置され、超電導シールドコイル20A、20Bは対称面に対して対称に配置されている。
また、超電導磁石装置1は、超電導主コイル10A、10B、11A、11B、12A、12B、超電導シールドコイル20A、20Bを、冷媒61とともに収容する冷却容器62と、この冷却容器62を覆うように形成された輻射シールド63と、冷却容器62および輻射シールド63を囲繞し、内部を真空にした真空容器64と、を有している。
冷却容器62に収容される冷媒61としては、例えば液体ヘリウム等の液化した冷媒が用いられており、この冷媒61と輻射シールド63とを冷却するための図示しない冷凍機が真空容器64に設置されている。冷却容器62内は、このような冷媒61によって、例えば、4.2K程度に保たれている。
超電導主コイル10A、10B、11A、11B、12A、12Bには、一定の電流が流れており、超電導シールドコイル20A、20Bには、超電導主コイル10A、10B、11A、11B、12A、12Bとは逆方向の一定の電流が流れている。
なお、これらの超電導主コイル10A、10B、11A、11B、12A、12B、超電導シールドコイル20A、20Bは、電磁力、漏洩磁場、最大経験磁場、磁場均一度、および磁場強度を許容範囲内に抑えるように、位置、形状、および設置個数の変更が可能である。
図2は、第1実施形態の超電導磁石装置1の保護回路を含めた回路図の例である。
超電導主コイル10A、10B、11A、11B、12A、12B、超電導シールドコイル20A、20B、ダイオードD1、D2、D3、D4、ロゴスキーコイル(電流変化検出手段)RG1、RG2、RG3、RG4、および可変抵抗R1、R2、R3、R4が、図2に示すような回路で接続されている。
ダイオードD1、D2、D3、D4は双方向ダイオードとなっており、ある閾値α以上の電圧が両端に印加された場合にダイオードがターンオンして導通を開始する。電圧が閾値α以下である場合は電流が流れず、つまり可変抵抗R1、R2、R3、R4には電流が流れない。たとえば超電導コイルを励磁する場合は、励磁スピードに相当する誘導電圧が前記閾値αを超えない範囲に留める必要がある。さもないと、励磁中に可変抵抗R1、R2、R3、R4に電流が分流することになる。
一部の超電導コイルにおいてクエンチが発生すると、当該超電導コイルを含む最小単位の保護回路の電流が減衰する。この電流変化をロゴスキーコイルRG1、RG2、RG3、RG4で計測すれば、電流変化量から誘導電圧を計算できる。この電圧と抵抗による電圧降下が一致するように可変抵抗R1、R2、R3、R4を設定する。
なお、電流変化を検出する手段はロゴスキーコイルを使った電流計に限られず、他に環状の磁気コアを使う変流器方式、磁気コアに空隙を形成してこの空隙にホール素子を設置する方式、磁気コアに空隙を形成してこの空隙にフラックスゲート型磁気センサを配置する方式を採用してもよい。また各回路に対して設置されている、電流変化の検出手段と、この検出手段からの信号を受け取って各回路に配置された可変抵抗の抵抗値を変更する制御部とを抵抗変更機構とする。
以下に可変抵抗値の決定方法を説明する。
まず、本実施例での回路を、超伝導主コイルと超伝導シールドコイルとが対をなして直列に接続された回路と考えると、超電導主コイル10Aと超電導シールドコイル20Bとが対をなして直列に接続されて最小単位の回路C1を形成する同様に超電導シールドコイル20Aと超電導主コイル10Bとが対をなして直列に接続されて最小単位の回路C2を形成し、超電導主コイル12Bと超電導主コイル11Bとが対をなして直列に接続されて最小単位の回路C3を形成し、超電導主コイル11Aと超電導主コイル12Aとが対をなして直列に接続されて最小単位の回路C4を形成する。
そして、それぞれの回路C1、C2、C3、C4において、超電導コイルに対して、直列に接続されたダイオードD1、D2、D3、D4および可変抵抗R1、R2、R3、R4とからなる抵抗ユニットが並列に接続されている。また回路C1、C2、C3、C4に流れる電流を計測するために回路内にロゴスキーコイルRG1、RG2、RG3、RG4が設置されている。ロゴスキーコイルRG1、RG2、RG3、RG4の電流信号を抵抗指示部40に集約し、以下の回路方程式を用いて可変抵抗値R1、R2、R3、R4を決定する。
(R1+RL1)×IC1+VD1 = L1×dIC1/dt (1)
(R2+RL2)×IC2+VD2 = L2×dIC2/dt (2)
(R3+RL3)×IC3+VD3 = L3×dIC3/dt (3)
(R4+RL4)×IC4+VD4 = L4×dIC4/dt (4)
ここで、L1、L2、L3、L4はそれぞれ回路C1、C2、C3、C4に接続されている超電導コイルの相互インダクタンスも考慮したインダクタンス、RL1、RL2、RL3、RL4は前記インダクタンスL1、L2、L3、L4に関わる超電導コイルの中で常電導転移して抵抗を発生した場合の抵抗値、VD1、VD2、VD3、VD4はそれぞれ回路内のダイオードD1、D2、D3、D4の両端電圧、IC1、IC2、IC3、IC4はそれぞれ回路を流れる回路電流を表す。このとき、各回路の電流減衰時定数τ1、τ2、τ3、τ4はそれぞれ
τ1=L1/(R1+RL1) (5)
τ2=L2/(R2+RL2) (6)
τ3=L3/(R3+RL3) (7)
τ4=L4/(R4+RL4) (8)
と書き表される。この値を抵抗指示部40にて算出し、最小時定数τを選出する。τと異なる時定数となった回路について、例えばC1回路について、可変抵抗変更後の抵抗値をR1’とすると、
L1/(R1+RL1):L1/(R1’+RL1)=τ1:τ (9)
より、
R1’=τ1/τ×(R1+RL1)−RL1 (10)
と抵抗値を求める。他の回路C2、C3、C4についても同様に求める。
図1に示す第1実施形態の超電導磁石装置1について、図2の保護回路を用いた解析結果を以下に示す。まず本実施例の効果を確認するための比較対象として、可変抵抗を持たない、つまり可変抵抗R1、R2、R3、R4をすべてゼロとした回路を用いた。図3(a)にこの結果を示す。
図3(a)は、回路C1の中の超電導主コイル10Aがクエンチ起点となる例である。図3(a)に示すよう、まず超電導主コイル10Aを含む回路C1の電流が減衰する。その後、最小単位の回路を想定した場合に同一回路C1内にある超電導シールドコイル20Bも常電導転移し、回路C1を流れる電流が減衰する。この減衰の様子を図3(a)にて実線で示している。また回路C1を流れる電流が減衰した後に、回路C1を構成する超電導主コイル10Aおよび超電導シールドコイル20Bに対して超電導磁石装置1の中心Oを挟んで対称の配置関係である超電導コイル10B、20Aがクエンチ誘発して回路C2電流が減衰している。この減衰の様子を図3(a)にて点線で示している。
回路C3、C4については、超電導主コイル10A、10B、20A、20Bよりもインダクタンスの小さな超電導シールドコイル11A、11B、12A、12Bであり、経験磁場も小さく、クエンチ誘発が遅れている。超電導状態をより長く維持しているために、回路C1、C2の電流が減衰したことによる磁束減少分を回路C3、C4で磁束保存する方向に電流が誘導され、定格値よりも高い電流が流れている。
これに対して、本実施形態でのコイル電流を図3(b)に示す。図3(b)に示すように、各回路電流がほぼ同じ波形となっている。したがって、本実施例の超電導磁石装置1は、一部の超電導コイルにクエンチが発生し、これが他の超電導コイルに伝播する場合にも、各回路の電流減衰時定数が同じであり、磁場分布形状をおよそ定格時の形状に保つことができ、コイルに印加される電磁力の向きを定格時と同じように保つことができる。
図3(b)の説明に戻る。超電導主コイル10Aがクエンチすると、その電流変化や発熱によって他のコイルに電圧が誘導される。誘導電圧値はダイオードがターンオンするための閾値、たとえば5Vを超越するまで通電しないが、図4よりおよそ0.5s後にはコイル端子間電圧が5Vを越えるため、各回路に含まれる可変抵抗にも電流が流れる。各回路C1、C2、C3、C4に抵抗が挿入されることで電流が減衰し、超電導コイルの常電導転移が促進される。
図5は各超電導コイルにおけるコイルの最高温度を示している。初期は約4Kであって、コイル温度の急激な上昇は常電導転移したことを表している。超電導コイル10Aがクエンチ起点となって温度が上昇し、約0.5s以降から他の超電導コイルもクエンチが誘発されることによって、それら超電導コイルの温度も遅れて上昇している。
超電導コイルの温度上昇によって、コイル内に抵抗を発生するが、この抵抗値の時間発展を示したグラフを図6に示す。超電導主コイル10Aがクエンチして電流が減衰するため、各回路C1、C2、C3、C4の減衰時定数はC1の時定数に調整されるように可変抵抗R2、R3、R4が決定され挿入される。なお、この可変抵抗の設定は、先に述べた抵抗指示部40から出力される指令信号に基づき実行される。
時刻約1sまでは超電導主コイル10A以外のコイルの抵抗値が小さいために、ほぼ超電導主コイル10A相当の抵抗が回路C2、C3、C4に挿入される。したがって1s以下の領域ではR2、R3、R4には略同一の抵抗値を有して変化する。その後は超電導主コイル10A以外のコイルにも抵抗が発生するために、上記した減衰時定数にあわせるために必要な追加抵抗値、つまり可変抵抗で生成すべき抵抗値は各回路によって異なる変化をたどる。なお、いずれの変化であっても各回路に設置された可変抵抗の抵抗値は一度上昇した後に減少し、図6に示すようなピークを持った抵抗値の時間発展を描く。
この回路電流値における、たとえば超電導主コイル12Bの電磁力を図7に示す。ここでも比較として可変抵抗値をゼロとした場合を図7(a)に、本実施例の超電導磁石装置1における電磁力を図7(b)に示す。
比較対象(a)では、図3(a)で示した定格電流以上の電流が超電導主コイル12Bに誘導されることに起因して、径方向にはたらく電磁力についても一度上昇カーブを描くことから定格電磁力以上の電磁力が発生していることが理解できる。また、軸方向にはたらく電磁力についても向きが逆転する、すなわち0Nの線を行き来するように電磁力のカーブが描かれるため、電磁力の反転が発生している。
これに対して、図7(b)の本実施例の超電導磁石装置1における電磁力は、径方向、軸方向ともに定格電磁力が最大値、すなわち定格電流が流れる際にはたらく電磁力(より正確にはその絶対値)を上回る電磁力が観察されず、単調に減衰していくことがわかる。
以上から、本実施例によれば、クエンチ過程において、各回路を流れる電流変化を検出し、それぞれの回路の電流減衰時定数を取得し、そのうち最小の時定数に対して近い値となる、理想的には一致するように、各回路のインダクタンスを可変抵抗の抵抗値を制御することによって、各回路内に含まれる超電導コイルにはたらく電磁力の不均衡が生じることを抑制することが可能な超電導磁石装置を提供することができる。
また、各超電導コイルにはたらく電磁力の不均衡の発生を抑制できるため、従来であれば予測困難な過大電磁力や反転する電磁力に備える目的で、定格電流運転時にはたらく電磁力に対して大きなマージンを採って支持構造を設計したいたところ、このマージンを小さくし、支持構造の簡素化や小型化を図ることが可能となる。
なお、上述の例では、説明の簡単のために超電導コイルについて、主コイルとシールドコイルとを例にあげたが、これに限ることなく、超電導コイルを含む小回路を接続することで、一つの大型の超電導磁石装置を実現するような場合は、本実施例を適用することが可能である。
≪第2実施形態≫
次に、第2実施形態を説明する。図8は、第2実施形態の超伝導磁石装置の保護回路を示す回路図であり、可変抵抗部にほぼ連続的に変化する抵抗ではなく、複数の抵抗およびスイッチを並列に接続した抵抗器R11、R12、R13、R14を備えている。
第1実施形態では、ほぼ連続的に抵抗値を変えられることを想定したが、本磁石体系では可変抵抗値は高々20Ωであり、たとえば図9に示すような5Ω、10Ω、15Ω、20Ωからなる抵抗器を考える。図9右にスイッチの組み合わせによる合成抵抗値をリストしたが、およそ0〜20Ωまでの抵抗値を再現可能である。細かな刻み幅で抵抗を調整するために、更に抵抗を追加するなどで対応できる。
≪第3実施形態≫
次に、第3実施形態に係る超電導磁石装置について説明する。本発明は、超電導コイルが常電導転移して発生する抵抗も考慮して可変抵抗を決定し、各回路C1、C2、C3、C4の電流減衰時定数をほぼ一致させることで定格運転時の電磁力の向きをそのまま維持して、値を単調減少させる。つまり、超電導コイルがクエンチした後の各超電導コイルの発生抵抗を把握できれば、追加で必要な可変抵抗値は事前に設定できる。クエンチ起点となるコイルは超電導コイル10A、10B、11A、11B、12A、12B、20A、20Bの8個であり、発生抵抗の時間発展は超電導線内のクエンチ伝搬速度で決定できる。クエンチ伝搬速度については、[M. Wilson、 Superconducting Magnets、 London、 U.K.、 Oxford Univ. Press、 1987]に示されており、例えば低温超電導線材であるNbTi(ニオブチタン)コイルのクエンチ時発生抵抗については、周方向のクエンチ伝搬速度v1以下のように計算できる。
Figure 2017045866
ここで、Jは導体の電流密度、(γC)avmは線材全体の平均熱容量、L0はローレンツ数、θsは常電導転移温度、θ0はベース温度をそれぞれ表す。また、径方向と軸方向伝搬速度vrおよびvzはそれぞれ
Figure 2017045866
Figure 2017045866
と計算できる。ここで、(γC)avは平均コイル熱容量、k1、krおよびkzはそれぞれ周方向、径方向および軸方向の熱伝導率である。
事前にクエンチ起点コイルごとに発生抵抗を求めることで、可変抵抗値の時間発展データをテーブル化可能であり、クエンチ検知ができれば前記した回路電流減衰を実現できる。このような可変抵抗値の時間発展データを記憶した記憶部を抵抗変更機構あるいは抵抗変更指示部40にもたせてもよい。
なお、本発明は、前記した第1〜第3実施形態に記載の技術に限らず、その効果を奏する範囲にて適宜変更して実施することができる。
1 超電導磁石装置
10A、10B、11A、11B、12A、12B 超電導主コイル(超電導コイル)
20A、20B 超電導シールドコイル(超電導コイル)
D1、D2、D3、D4 ダイオード(抵抗ユニットの一部)
RG1、RG2、RG3、RG4 ロゴスキーコイル
R1、R2、R3、R4 可変抵抗(抵抗ユニットの一部)
R11、R12、R13、R14 スイッチを含む抵抗器
C1、C2、C3、C4 分割された最小単位の電気回路
61 冷媒
62 冷却容器
63 輻射シールド
64 真空容器
70 クエンチ検出器
80 電源およびスイッチ
F 磁場空間
O 中心
Z 中心軸

Claims (5)

  1. 超電導コイルを有する回路が複数個互いに接続されて構成される超電磁石装置であって、
    前記超電導コイルに対して並列に接続され、前記回路を構成するダイオードおよび可変抵抗からなる抵抗ユニットと、
    前記回路のそれぞれに取り付けられ、取り付けられた前記回路の電流変化量を検知する電流変化検出手段と、
    前記電流変化検出手段と接続され、前記抵抗ユニットに含まれる前記可変抵抗の抵抗値を変更する抵抗変更機構と、
    を備える超電導磁石装置。
  2. 前記電流検出手段はロゴスキーコイルであって、
    前記抵抗変更機構は、
    前記ロゴスキーコイルの計測値から取得されるそれぞれの前記回路の電流変化量に基づき前記抵抗ユニットに含まれる前記可変抵抗の抵抗値を変更する
    請求項1に記載の超電導磁石装置。
  3. 前記抵抗変更機構は、
    それぞれの前記回路の電流変化量に基づき、前記超電導コイルに発生する誘導電圧に相当する電圧降下を生じさせる抵抗値を可変抵抗に設定するための抵抗指示部
    を備える請求項2に記載の超電導磁石装置。
  4. 前記抵抗変更指示部は、
    前記超電導コイルごとにクエンチ時発生抵抗の時系列データを保持し、クエンチを検知後に前記データに即して可変抵抗値を変更する記憶部
    を備える請求項2または請求項3に記載の超電導磁石装置。
  5. 前記可変抵抗に、直列に接続された抵抗とスイッチ群を並列に接続した抵抗器を用いる
    請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の超電導磁石装置。
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