JP2011210865A - 圧電・焦電素子用多孔質樹脂シート及びその製造方法 - Google Patents

圧電・焦電素子用多孔質樹脂シート及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】圧電性能に優れる圧電・焦電素子用多孔質樹脂シートの製造方法、及びその方法により製造される圧電・焦電素子用多孔質樹脂シートを提供する。
【解決手段】圧電・焦電素子用多孔質樹脂シートの製造方法は、電極付き多孔質樹脂シート1の少なくとも片面に絶縁板2を設けた積層シート3を、電圧印加用電極4,5の間に設置する工程、及び電圧印加用電極4,5の間に電圧を印加することにより、電極付き多孔質樹脂シート1の気泡内部を帯電させる工程を含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、タッチパネル、超音波診断装置、超音波発生装置、発電装置、探査装置、マイク、音響変成器、計測機器、圧電振動子、機械的フィルター、圧電トランス、遅延装置、及び温度センサなどに設けられる圧電素子又は焦電素子用の多孔質樹脂シート及びその製造方法に関する。
圧電・焦電素子を作製するための高分子材料としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、多孔質ポリプロピレン(E−PP)などが用いられており、例えば、PVdFを圧電素子に用いた場合、その圧電定数d33は20pC/N程度を示すことが知られている。これら高分子材料で作製された圧電・焦電素子は、無機材料で作製された圧電・焦電素子にはない可とう性、柔軟性、耐摩耗性を有しているため広く用いられている。
例えば、特許文献1では、ポリフッ化ビニリデン系樹脂(PVdF)からなる結晶性極性高分子シートを延伸する際に分極電圧を印加して、結晶性極性高分子シートを分極処理することにより高分子圧電体フィルムを製造する方法が提案されている。
特許文献2では、ポリフッ化ビニリデン等の熱可塑性樹脂に扁平状あるいは鱗片状充填剤を添加し、フィルムあるいはシートに成形加工した後に、場合によりフィルムあるいはシートを延伸処理を行った後に、直流高電圧を印加することで帯電処理を行って圧電素子材料を製造する方法が提案されている。
また、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)は、無極性のポリマーであるが、ポリマー表面に電荷がトラップされることによって圧電・焦電素子になることが知られている。
しかしながら、PVdF及びFEPからなる圧電・焦電素子は、無機材料からなる圧電・焦電素子に比べて圧電率が低いという問題があった。一方、圧電率を向上させるために、多孔質ポリプロピレン(EMFI:Electro Mechanical FIlm)からなる圧電・焦電素子が開発されている。
例えば、特許文献3では、引張りにより約0.25μmの高さ、80μmの長さ、および50μmの幅の平偏化された気泡を有する多孔構造の発泡ポリプロピレンフィルム層を含む誘電性フィルムが提案されている。
また、特許文献4では、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなり、独立気泡を有するシートに電荷をトラップすることにより生成される圧電・焦電素子が提案されている。
多孔質ポリプロピレンフィルムは、多数の空孔が巨大な双極子を構成し、フィルム面に圧力が加わると空孔が容易に圧縮されるため双極子の値が大きく変化するという特性を有している。双極子の値が大きく変化すると、フィルムの両面の電極に誘導される電荷も大きく変化するため、多孔質ポリプロピレンフィルムからなる圧電・焦電素子は、高い圧電率を有している。
従来、これら多孔質フィルムからなる圧電・焦電素子は、多孔質フィルムにコロナ放電等の帯電処理を施して気泡内部に電荷をトラップさせ、その後、帯電した多孔質フィルムの両面に電極を蒸着又は接着することによって製造していた。
例えば、成形加工した多層フィルム又はシートを、回転シリンダーの上を連続的に移動させ、その間約15〜30mm離れた位置に設置した針状電極との間で30kVのDC電圧を2〜5秒加えて帯電させ、帯電させた多層フィルム又はシート表面に電極層として蒸着フィルム又は電極フィルムを導電性接着剤で接着してタッチパネル用シートを製造することが記載されている(特許文献5)。
上記のように、多孔質フィルムの帯電方法としては、通常、直流コロナ放電が採用されている。この帯電方法の場合、多孔質フィルムを帯電させた後に該多孔質フィルムの両面に蒸着により電極を形成するが、蒸着により電極を形成する際に多孔質フィルムに高熱が加わる。その結果、多孔質フィルムに帯電した実電荷が消失するという問題があった。一方、帯電した多孔質フィルムの両面に接着剤で電極フィルムを貼り合わせて電極を形成する場合には、接着剤の弾性によって多孔質フィルムの変形が阻害され、圧電性能が低下するという問題があった。また、多孔質フィルムの両面に電極を形成した後に直流コロナ放電を行う場合には、多孔質フィルムにわずかでも抵抗の低い部分があると、多孔質フィルム表面の電極を伝わって電荷・イオンがその部分に集まり、その部分の電極が剥がれるという問題があった。
特開2008−171935号公報 特開2006−111837号公報 特公平5−41104号公報 特開2007−231077号公報 特開2008−44332号公報
本発明の目的は、圧電性能に優れる圧電・焦電素子用多孔質樹脂シートの製造方法、及びその方法により製造される圧電・焦電素子用多孔質樹脂シートを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す製造方法により上記目的を達成できることを見出し本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、多孔質樹脂シートに帯電処理を施すことにより気泡内部を帯電させる工程(A)を含む圧電・焦電素子用多孔質樹脂シートの製造方法において、
前記多孔質樹脂シートは、両面に電極を有する電極付き多孔質樹脂シートであり、
前記工程(A)は、前記電極付き多孔質樹脂シートの少なくとも片面に絶縁板を設けた積層シートを、電圧印加用電極の間に設置する工程(A1)、及び前記電圧印加用電極の間に電圧を印加することにより、前記電極付き多孔質樹脂シートの気泡内部を帯電させる工程(A2)を含む圧電・焦電素子用多孔質樹脂シートの製造方法、に関する。
本発明者らは、多孔質樹脂シートの両面に電極を形成した後に帯電処理を行う場合には、コロナ放電のような気体を介して帯電させる方法ではなく、多孔質樹脂シートに直接電圧を印加する方法が有効であることを見出した。しかし、多孔質樹脂シートの気泡内部に火花放電を起こし始めるためには、少なくとも多孔質樹脂シート自体の絶縁破壊電圧(耐電圧)付近まで電圧を高くすることが必要であるが、電極が設けられた多孔質樹脂シートに直接高電圧を印加すると、電極間に放電現象が起こり導通することにより多孔質樹脂シート自体が絶縁破壊してしまい、圧電・焦電素子としての機能を失うという問題がある。そこで本発明者らは、多孔質樹脂シートよりも絶縁破壊しにくい絶縁板を介して多孔質樹脂シートに高電圧を印加することにより上記問題を解決した。つまり、絶縁板は電気を通さないため、多孔質樹脂シートに高電圧は印加されるが電流は流れず、それにより多孔質樹脂シートが絶縁破壊することを防止できる。上記方法によれば、電極が設けられた多孔質樹脂シートの気泡内部に十分な火花放電を起こせる高い電圧を印加することができ、それにより圧電性能に優れる圧電・焦電素子用多孔質樹脂シートを製造することができる。
前記工程(A2)においては、多孔質樹脂シートの絶縁破壊電圧の2/3以上の電圧を電極付き多孔質樹脂シートに印加することが好ましい。本発明の製造方法においては、電極付き多孔質樹脂シートの少なくとも片面に絶縁板を設けているため、多孔質樹脂シートの絶縁破壊電圧の2/3以上の電圧を電極付き多孔質樹脂シートに印加した場合でも多孔質樹脂シートが絶縁破壊を起こすことはない。また、前記電圧を印加することにより、多孔質樹脂シートの気泡内部に十分な火花放電を起こすことができ、それにより圧電性能に非常に優れる圧電・焦電素子用多孔質樹脂シートを製造することができる。
前記絶縁板は、比誘電率が11以下、厚さが10μm〜1.5mmであることが好ましい。比誘電率が11を超えると、絶縁性が低下し高電圧を印加した際に絶縁板に電流が流れやすくなるため、多孔質樹脂シートが絶縁破壊を起こす可能性が高くなる。また、厚さが10μm未満の場合には絶縁板の取扱いが難しくなり、1.5mmを超える場合には多孔質樹脂シートの気泡内部に火花放電を起こすために非常に高い電圧を印加しなければならず、作業者の安全性が低下するおそれがある。
前記多孔質樹脂シートは、平均最大垂直弦長が1〜40μm、かつ平均アスペクト比(平均最大水平弦長/平均最大垂直弦長)が0.7〜4.0の気泡を有し、体積空孔率が20〜75%であることが好ましい。
平均最大垂直弦長が1μm未満の場合には、弾性率が大きくなりすぎ、多孔質樹脂シートが変形し難くなるため圧電率を高くし難くなる傾向にある。一方、平均最大垂直弦長が40μmを超える場合には、帯電処理の際に気泡にかかる電圧密度が低くなり、火花放電が起き難くなる傾向にある。そして、火花放電を十分に起こすために印加電圧を高くすると工業化の際に危険性が増す傾向にある。
平均アスペクト比が0.7未満の場合には、双極子の変化量が小さくなるため圧電率を高くし難くなる傾向にある。一方、平均アスペクト比が4.0を超える場合には、気泡の扁平率が大きくなり、歪み回復率が小さくなるため、短時間で同じ圧力が複数回加えられたときの圧電性能の再現性が悪くなる傾向にある。
体積空孔率が20%未満の場合には、トラップできる体積が少なくなるため、トラップできる電荷量も少なくなり、圧電率を高くし難くなる傾向にある。一方、体積空孔率が75%を超える場合には、歪み回復率が小さくなるため、短時間で同じ圧力が複数回加えられたときの圧電性能の再現性が悪くなる傾向にある。
また、前記多孔質樹脂シートは、厚さが20〜500μmであることが好ましい。厚さが20μm未満の場合には、多孔質樹脂シートの取扱いが難しくなり、500μmを超える場合には、多孔質樹脂シートの全気泡内部に火花放電を起こすために非常に高い電圧を印加しなければならず、工業化の際に危険性が増す傾向にある。
本発明の製造方法によると、従来の多孔質フィルムからなる圧電・焦電素子に比べて圧電性能に優れる圧電・焦電素子用多孔質樹脂シートを製造することが可能であり、100pC/N以上の圧電定数d33を有する圧電・焦電素子用多孔質樹脂シートを製造することも可能である。
両面に電極を有する電極付き多孔質樹脂シートの概略断面図である。 電極付き多孔質樹脂シートの気泡内部を帯電させる工程を示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明の製造方法に用いられる多孔質樹脂シートは、公知のものを特に制限なく使用可能である。電極の蒸着工程又はスパッタ工程、あるいは電極材料をコーティングした後の加熱工程などを考慮すると、多孔質樹脂シートは耐熱性を有する樹脂成分により形成されていることが好ましい。
特に本発明においては、平均最大垂直弦長が1〜40μm、かつ平均アスペクト比(平均最大水平弦長/平均最大垂直弦長)が0.7〜4.0の気泡を有し、体積空孔率が20〜75%である多孔質樹脂シートを用いることが好ましい。
前記多孔質樹脂シートは、例えば、樹脂成分と、該樹脂成分の硬化体と相分離する相分離化剤とを含む樹脂組成物を基板上に塗布し、硬化させてミクロ相分離構造を有する樹脂シートを作製し、該樹脂シートから前記相分離化剤を除去することにより製造することができる。
樹脂成分としては、5%重量減少温度が250℃以上、好ましくは280℃以上である樹脂を用いることが好ましく、例えば、ポリスチレン、(メタ)アクリル樹脂、ABS樹脂、及びAS樹脂などの汎用プラスチック;ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、及び環状ポリオレフィンなどのエンジニアリングプラスチック;ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド、及びポリエーテルイミドなどのスーパーエンジニアリングプラスチック;エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂(ユリア樹脂)、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド、シリコーン樹脂、及びジアリルフタレート樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらのモノマー、オリゴマーを用いてもよい。これらのうち、熱硬化性樹脂、エンジニアリングプラスチック、又はスーパーエンジニアリングプラスチックを用いることが好ましい。
相分離化剤とは、樹脂成分に対して相溶性であり、かつ該樹脂成分の硬化体と相分離する化合物である。ただし、樹脂成分と相分離する化合物であっても、有機溶剤を加えることで均一状態(均一溶液)となるものは使用可能である。相分離化剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール;ポリアルキレングリコールの片末端又は両末端メチル封鎖物;ポリアルキレングリコールの片末端又は両末端(メタ)アクリレート封鎖物;ウレタンプレポリマー;フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、及びオリゴエステル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート系化合物などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。オリゴマーの場合、重量平均分子量は100〜10000であることが好ましく、より好ましくは100〜3000である。重量平均分子量が100未満の場合には、樹脂成分の硬化体と相分離し難くなり、一方、重量平均分子量が10000を超えると、ミクロ相分離構造が大きくなりすぎたり、樹脂シート中から除去し難くなる。
多孔質樹脂シートの気泡径、体積空孔率、孔径分布などは、使用する樹脂成分、相分離化剤などの原料の種類や配合比率、及び反応誘起相分離時における加熱温度や加熱時間などの反応条件により変化するため、目的とする気泡径、体積空孔率、孔径分布を得るために系の相図を作成して最適な条件を選択することが好ましい。
平均最大垂直弦長が1〜40μm、かつ平均アスペクト比(平均最大水平弦長/平均最大垂直弦長)が0.7〜4.0の気泡を有し、体積空孔率が20〜75%である多孔質樹脂シートを作製するためには、樹脂成分100重量部に対して相分離化剤を25〜300重量部用いることが好ましく、より好ましくは60〜200重量部である。
樹脂組成物には、架橋剤、可塑剤、粘着付与剤、レベリング剤、チクソトロピー剤、及び着色剤等の添加剤を適宜添加してもよい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
以下、前記多孔質樹脂シートの製造方法の具体例について説明する。
まず、少なくとも樹脂成分及び相分離化剤を含む樹脂組成物を基板上に塗布する。
均一な樹脂組成物を調製するために、トルエン、及びキシレンなどの芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、及びイソプロピルアルコールなどのアルコール類;メチルエチルケトン、及びアセトンなどのケトン類;N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、及びジメチルホルムアミドなどのアミド類などの有機溶媒を使用してもよい。有機溶媒の使用量は、樹脂成分100重量部に対して通常100〜500重量部であり、好ましくは300〜500重量部である。
基材としては、平滑な表面を有するものであれば特に制限されず、例えば、PET、PE、及びPPなどのプラスチックフィルム;ガラス板;ステンレス、銅、及びアルミニウムなどの金属箔が挙げられる。連続して樹脂シートを製造するために、ベルト状の基材を用いてもよい。
樹脂組成物を基材上に塗布する方法は特に制限されず、連続的に塗布する方法としては、例えば、ワイヤーバー、キスコート、及びグラビアなどが挙げられ、バッチで塗布する方法としては、例えば、アプリケーター、ワイヤーバー、及びナイフコーターなどが挙げられる。
次に、基板上に塗布した樹脂組成物を硬化させて、相分離化剤がミクロ相分離した樹脂シートを作製する。ミクロ相分離構造は、通常、樹脂成分を海、相分離化剤を島とする海島構造となる。
樹脂組成物が溶媒を含まない場合には、塗布膜に熱硬化処理などの硬化処理を施し、塗布膜中の樹脂成分を硬化させて相分離化剤を不溶化する。
樹脂組成物が溶媒を含む場合には、塗布膜中の溶媒を蒸発(乾燥)させてミクロ相分離構造を形成した後に樹脂成分を硬化させてもよく、樹脂成分を硬化させた後に溶媒を蒸発(乾燥)させてミクロ相分離構造を形成してもよい。溶媒を蒸発(乾燥)させる際の温度は特に制限されず、用いた溶媒の種類により適宜調整すればよいが、通常10〜250℃であり、好ましくは10〜200℃である。
次に、樹脂シートからミクロ相分離した相分離化剤を除去して多孔質樹脂シートを作製する。なお、相分離化剤を除去する前に樹脂シートを基材から剥離しておいてもよい。
樹脂シートから相分離化剤を除去する方法は特に制限されないが、溶剤で抽出する方法が好ましい。溶剤は、相分離化剤に対して良溶媒であり、かつ樹脂成分の硬化体を溶解しないものを用いる必要があり、例えば、トルエン、エタノール、酢酸エチル、及びヘプタンなどの有機溶剤、液化二酸化炭素、超臨界二酸化炭素などが挙げられる。液化二酸化炭素、及び超臨界二酸化炭素は、樹脂シート内に浸透しやすいため相分離化剤を効率よく除去することができる。
溶剤として液化二酸化炭素または超臨界二酸化炭素を用いる場合には、通常、圧力容器を用いる。圧力容器としては、例えば、バッチ式の圧力容器、耐圧性のシート繰り出し・巻き取り装置を有する圧力容器などを用いることができる。圧力容器には、通常、ポンプ、配管、及びバルブなどにより構成される二酸化炭素供給手段が設けられている。
液化二酸化炭素または超臨界二酸化炭素で相分離化剤を抽出する際の温度及び圧力は、二酸化炭素の臨界点以上であればよく、通常、32〜230℃、7.3〜100MPaであり、好ましくは40〜200℃、10〜50MPaである。
抽出は、樹脂シートを入れた圧力容器内に、液化二酸化炭素または超臨界二酸化炭素を連続的に供給・排出して行ってもよく、圧力容器を閉鎖系(投入した樹脂シート、液化二酸化炭素または超臨界二酸化炭素が容器外に移動しない状態)にして行ってもよい。超臨界二酸化炭素を用いた場合には、樹脂シートの膨潤が促進され、かつ不溶化した相分離化剤の拡散係数の向上によって効率的に樹脂シートから相分離化剤が除去される。液化二酸化炭素を用いた場合には、前記拡散係数は低下するが、樹脂シート内への浸透性が向上するため効率的に樹脂シートから相分離化剤が除去される。
抽出時間は、抽出時の温度、圧力、相分離化剤の配合量、及び樹脂シートの厚さなどにより適宜調整する必要があるが、通常、1〜10時間であり、好ましくは2〜10時間である。
一方、溶剤として有機溶剤を用いて抽出する場合、大気圧下で相分離化剤を除去できるため、液化二酸化炭素または超臨界二酸化炭素を用いて抽出する場合に比べて多孔質樹脂シートの変形を抑制できる。また、抽出時間を短縮することもできる。さらに、有機溶剤中に順次樹脂シートを通すことにより、連続的に相分離化剤の抽出処理を行うことができる。
有機溶剤を用いた抽出方法としては、例えば、有機溶剤中に樹脂シートを浸漬する方法、樹脂シートに有機溶剤を吹き付ける方法などが挙げられる。相分離化剤の除去効率の観点から浸漬法が好ましい。また、数回に亘って有機溶剤を交換したり、撹拌しながら抽出することで効率的に相分離化剤を除去することができる。
相分離化剤を除去した後に多孔質樹脂シートを乾燥処理等してもよい。
多孔質樹脂シートの厚さは用途により異なるが、20〜500μmであることが好ましく、より好ましくは50〜200μmである。
多孔質樹脂シートは、平均最大垂直弦長が1〜40μm、かつ平均アスペクト比(平均最大水平弦長/平均最大垂直弦長)が0.7〜4.0の気泡を有し、体積空孔率が20〜75%であることが好ましい。平均最大垂直弦長は1〜10μmであることがより好ましく、特に好ましくは3〜7μmである。平均アスペクト比は0.9〜2.0であることがより好ましく、体積空孔率は35〜75%であることがより好ましい。
また、多孔質樹脂シートの熱変形温度は、100℃以上であることが好ましく、より好ましくは150℃以上である。熱変形温度が100℃未満の場合には、多孔質樹脂シートを電気機器などの発熱する装置と接触させて使用する時に、多孔質樹脂シートが変形したり、圧電性能が低下するなどの問題が生じるおそれがある。
本発明の製造方法に用いられる電極付き多孔質樹脂シート1は、図1に示すように前記多孔質樹脂シート1Aの両面に電極1Bを設けたものである。電極1Bの材料は電気を十分に通すものであればよく、公知の材料を特に制限なく使用可能である。電極1Bは、例えば、金属を蒸着又はスパッタ等することにより多孔質樹脂シート1Aの表面に形成することができる。電極1Bは、多孔質樹脂シート1Aの各辺の1mm以上内側に形成されていることが好ましい。それにより、後述の帯電工程時における沿面放電を防止することができる。
以下、本発明の圧電・焦電素子用多孔質樹脂シートの製造方法について説明する。
図2は、電極付き多孔質樹脂シートの気泡内部を帯電させる工程を示す概略図である。
まず、前記電極付き多孔質樹脂シート1の少なくとも片面に絶縁板2を設けた積層シート3を、電圧印加用上部電極4と電圧印加用下部電極5との間に設置する。
絶縁板2の材料は、導電性の低いものであれば特に制限されず、例えば、ガラス、樹脂、ゴムなどが挙げられる。特に、比誘電率が11以下の材料を用いることが好ましく、例えば、ガラス(比誘電率:3.5〜10.0)、石英ガラス(比誘電率:3.5〜4.0)、ソーダ石灰ガラス(比誘電率:6.0〜8.0)、硼珪酸ガラス(比誘電率:4.0〜5.0)、アクリル樹脂(比誘電率:2.7〜4.5)、メタクリル樹脂(比誘電率:2.2〜3.2)、ポリエチレン(比誘電率:2.3〜2.4)、ポリプロピレン(比誘電率:2.0〜2.3)、ポリウレタン(比誘電率:5.0〜5.3)、ポリエチレンテレフタレート(比誘電率:2.9〜3.0)、ポリアミド(比誘電率:2.6〜2.6)、ポリビニルアルコール(比誘電率:2.0)、ポリカーボネート(比誘電率:2.9〜3.0)、ポリスチレン(比誘電率:2.4〜2.6)、エポキシ樹脂(比誘電率:2.5〜6.0)、尿素樹脂(比誘電率:5.0〜10.0)、塩化ビニール樹脂(比誘電率:2.8〜8.0)、シリコン樹脂(比誘電率:3.5〜5.0)、フッ素樹脂(比誘電率:4.0〜8.0)、ナイロン(比誘電率:3.5〜5.0)、天然ゴム(比誘電率:2.7〜4.0)、ブチルゴム(比誘電率:2.5〜3.5)、スチレンブタジエンゴム(比誘電率:3.0〜7.0)、シリコンゴム(比誘電率:3.0〜3.5)などが挙げられる。
絶縁板2の厚さは特に制限されないが、10μm〜1.5mmであることが好ましく、より好ましくは100μm〜1.2mmである。
絶縁板2の大きさは特に制限されないが、重ねた際に電極付き多孔質樹脂シート1の電極より5mm以上周囲が大きいことが好ましく、電極付き多孔質樹脂シート1より大きいことがより好ましい。また、電圧印加用上部電極4より大きいことが好ましい。上記大きさにすることにより、帯電工程時における沿面放電を効果的に防止することができる。
絶縁板2は、電極付き多孔質樹脂シート1の少なくとも片面に設ければよいが、両面に設けてもよい。また、図2に示すように、上側の絶縁板2よりも下側の絶縁板2を大きくして、少なくとも電圧印加用上部電極4の周端部(エッジ)を絶縁性部材6で被覆することが好ましく、電圧印加用上部電極4の周端部(エッジ)を絶縁性部材6で被覆すると共に、積層シート3の周囲も絶縁性部材6で被覆することがより好ましい。絶縁性部材6としては、例えば、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、及びウレタン系樹脂などが挙げられる。絶縁性部材6は、電圧印加用上部電極4の上面より5mm以上高く堆積させることが好ましく、より好ましくは15mm以上であり、特に好ましくは50mm以上である。それにより、帯電工程時における沿面放電をより効果的に防止することができる。
電圧印加用上部電極4及び電圧印加用下部電極5の材料は電気を十分に通すもの(例えば、電気抵抗が50Ω以下のもの)であればよく、金、銀、銅、白金、及びアルミニウムなどの公知の材料を特に制限なく使用可能である。電圧印加用上部電極4及び電圧印加用下部電極5は、絶縁板2の表面に蒸着又はスパッタ等により設けてもよく、絶縁板2の上面又は下面に積層してもよい。絶縁板2の電圧印加用上部電極4又は電圧印加用下部電極5が積層される面には、ITOなどからなる導電層が設けられていてもよい。電圧印加用上部電極4及び電圧印加用下部電極5の大きさも特に制限されないが、図2に示すように、電圧印加用上部電極4は絶縁板2よりも小さいことが好ましい。
その後、電源7を用いて電圧印加用上部電極4と電圧印加用下部電極5との間に電圧を印加することにより、電極付き多孔質樹脂シート1の気泡内部を帯電させる。
積層シート3に電圧を加える場合、電極付き多孔質樹脂シート1と絶縁板2には、厚さや比誘電率に起因して電圧が割り振られる。電極付き多孔質樹脂シート1に割り当てられる電圧は、原理的には多孔質樹脂シート自体の絶縁破壊電圧以上が必要である。一般に、1気圧の空気中で火花放電を起こす場合には、パッシェンの法則により少なくとも350V印加する必要がある。例えば、平均最大垂直弦長が1〜40μm、かつ平均アスペクト比(平均最大水平弦長/平均最大垂直弦長)が0.7〜4.0の気泡を有し、体積空孔率が20〜75%、厚さが20〜500μmの多孔質樹脂シートを用いる場合、気泡内部で火花放電を起こすには、当該多孔質樹脂シートに約0.5〜30kVの電圧を割り当てる必要がある。より具体的には、平均最大垂直弦長が5μm、かつ平均アスペクト比(平均最大水平弦長/平均最大垂直弦長)が1.0の気泡を有し、体積空孔率が50%、厚さが100mmの多孔質樹脂シートを用いる場合、気泡内部で火花放電を起こすには、当該多孔質樹脂シートに約7kVの電圧を割り当てる必要がある。多孔質樹脂シートに割り当てられる電圧が多孔質樹脂シート自体の絶縁破壊電圧よりはるかに小さいと、気泡内部で火花放電が起きないため、気泡内部で分極が形成されない。
多孔質樹脂シートの場合、気泡内部の状態(表面の荒れ等)に起因して、絶縁破壊電圧より低い電圧で火花放電が起き始める。必要な印加電圧は、使用する多孔質樹脂シート及び絶縁板の種類によって異なるが、多孔質樹脂シートの絶縁破壊電圧の2/3以上の電圧が電極付き多孔質樹脂シートに割り当てられるように印加することが好ましい。より好ましくは、多孔質樹脂シートの絶縁破壊電圧以上の電圧を電極付き多孔質樹脂シートに割り当てるように印加する。特に好ましくは、パッシェンの法則から求めた空気の絶縁破壊が起こるのに必要な電圧を電極付き多孔質樹脂シートに割り当てるように印加する。ただし、工業化における安全性を考慮すると、系全体の印加電圧は20kV以下が好ましい。
上記製造方法により得られる圧電・焦電素子用多孔質樹脂シートは、従来の多孔質フィルムからなる圧電・焦電素子に比べて圧電性能が優れている。詳しくは、従来の多孔質フィルムからなる圧電・焦電素子は、圧電定数d33が40〜60pC/N程度であるが、本発明の製造方法によると、圧電定数d33が100pC/N以上の圧電・焦電素子用多孔質樹脂シートを製造することも可能である。
以下に実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら限定されるものではない。
〔測定及び評価方法〕
(5%重量減少温度の測定)
示差熱熱重量同時測定装置(セイコーインスツルメンツ社製、TG/DTA300)を用い、大気中で昇温速度10℃/minの条件にて、多孔質樹脂シートの重量が5%減少した時の温度を測定した。
(平均最大垂直弦長、平均最大水平弦長、及び平均アスペクト比の測定)
多孔質樹脂シートを液体窒素で冷却し、刃物を用いてシート面に対して垂直に切断してサンプルAを作製した。サンプルAの切断面にAu蒸着処理を施し、該切断面をSEMで観察した。その画像を画像処理ソフト(三谷商事(株)製、WinROOF)で二値化処理し、気泡部と樹脂部とに分離して気泡の最大垂直弦長を測定した。同様の方法で、シート面に対して水平に切断してサンプルBを作製し、気泡の最大水平弦長を測定した。なお、最大垂直弦長とは、気泡をシート面に対して垂直に切断した時の各気泡の最大長さであり、最大水平弦長とは、気泡をシート面に対して水平に切断した時の各気泡の最大長さである。50個の気泡について最大垂直弦長及び最大水平弦長をそれぞれ測定し、その平均値を平均最大垂直弦長及び平均最大水平弦長とした。また、下記式により平均アスペクト比を算出した。
平均アスペクト比=平均最大水平弦長/平均最大垂直弦長
(体積空孔率の測定)
多孔質樹脂シートから24mmφのサンプルを切り出し、その面積s、厚さl、及び重量mを測定した。また、多孔質樹脂シートの樹脂成分の比重σをJIS Z8807−1976に準拠して測定した。具体的には、樹脂成分を4cm×8.5cmの短冊状(厚さ:任意)に切り出したものを比重測定用試料とし、温度23℃±2℃、湿度50%±5%の環境で16時間静置した。その後、比重計(ザルトリウス社製)を用いて比重σを測定した。そして、下記式により体積空孔率を算出した。
体積空孔率(%)={100−(m/(s×l×σ))}×100
(多孔質樹脂シートに印加される電圧)
積層シートを直列コンデンサと考え、各層の容量をC(上部ガラス)、C(多孔質樹脂シート)、C(下部ガラス)とし、計算を簡便にするために各層のCnを比誘電率/厚さ(m)とした。印加電圧をVとすると、電極付き多孔質樹脂シートに印加される電圧Vは下記式にて求められる。
=V×{(C×C)/(C×C+C×C+C×C)}
(圧電性能の評価)
圧電性能測定装置を用い、作製した圧電・焦電素子用多孔質樹脂シートをおもりの下に設置し、室温雰囲気下、湿度20%の条件で、サンプルの厚さ方向に一定の交流加速度α(周波数:90−300Hz、大きさ:2−10m/s)を与え、そのときの応答電荷を測定し、圧電定数d33を求めた。
実施例1
環状オレフィンポリマー(JSR社製、商品名:アートン)100重量部、溶媒としてトルエン、及び相分離化剤としてトリプロピレングリコール(TPG)100重量部を混合して、透明で均一な樹脂組成物を調製した。500μmのクリアランスを持つアプリケーターを用いて、該樹脂組成物をPETフィルム(三菱ポリエステル社製、DIAFOIL # MRF38、厚さ38μm)のシリコーン処理面上に塗布し、その後、90℃の恒温乾燥機内で25分間乾燥してトルエンを蒸発除去して樹脂シートを作製した。
樹脂シートをPETフィルムから剥離し、該樹脂シートを100mm×150mmの短冊状に切断した。切断した樹脂シートを500ccの耐圧容器に入れ、25℃に加熱、及び25MPaに加圧した後、該圧力を保ったまま7.4(l/min)の流量で二酸化炭素を注入し、排出してTPGを抽出する操作を2時間行って、厚さ110μmの多孔質樹脂シート(気泡の平均最大垂直弦長:4.80μm、気泡の平均アスペクト比:1.07、体積空孔率:約50%)を作製した。
多孔質樹脂シートを3cm×3cmの大きさに切断し、その両面の中央部に25mm×25mmの蒸着金電極を形成して電極付き多孔質樹脂シートを作製した。上部ガラスとして、石英ガラス(大きさ:26mm×76mm、厚さ:150μm)を用い、下部ガラスとして、酸化インジウムスズ(ITO)が片面に蒸着された石英ガラス(大きさ:35mm×35mm、厚さ:1mm)を用いた。下部ガラスのITOが蒸着されていない面上に電極付き多孔質樹脂シートを積層し、さらにその上に上部ガラスを積層して積層シートを得た。当該積層シートを電圧印加用上部電極と電圧印加用下部電極との間に設置し、図2に示すように電圧印加用上部電極のエッジを被覆するように、シリコン系樹脂をエッジ上1cmの高さに堆積させて電圧印加用上部電極のエッジを絶縁した。そして、図2に示すように電源に接続して回路を形成した。電圧印加用上部電極に−10kVの電圧を1分間印加し、電極付き多孔質樹脂シートの気泡内部を帯電させることにより圧電・焦電素子用多孔質樹脂シートを作製した。
実施例2
電圧印加用上部電極に−12kVの電圧を1分間印加した以外は、実施例1と同様の方法で圧電・焦電素子用多孔質樹脂シートを作製した。
実施例3
上部ガラスとして、ソーダ石灰ガラス(大きさ:35mm×35mm、厚さ:300μm)を用い、下部ガラスとして、酸化インジウムスズ(ITO)が片面に蒸着された石英ガラス(大きさ:35mm×35mm、厚さ:400μm)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で圧電・焦電素子用多孔質樹脂シートを作製した。
実施例4
環状オレフィンポリマー(ポリプラスチック社製、商品名:トパス)100重量部、溶媒としてトルエン−シクロへキサン(重量比1:1)、及び相分離化剤としてジプロピレングリコールモノメチルエーテル100重量部を混合して、透明で均一な樹脂組成物を調製した。500μmのクリアランスを持つアプリケーターを用いて、該樹脂組成物をPETフィルム(三菱ポリエステル社製、DIAFOIL # MRF38、厚さ38μm)のシリコーン処理面上に塗布し、その後、90℃の恒温乾燥機内で25分間乾燥してトルエン−シクロへキサンを蒸発除去して樹脂シートを作製した。
樹脂シートをPETフィルムから剥離し、該樹脂シートを100mm×150mmの短冊状に切断した。切断した樹脂シートを500ccの耐圧容器に入れ、25℃に加熱、及び25MPaに加圧した後、該圧力を保ったまま7.4(l/min)の流量で二酸化炭素を注入し、排出してジプロピレングリコールモノメチルエーテルを抽出する操作を2時間行って、厚さ70μmの多孔質樹脂シート(気泡の平均最大垂直弦長:4.37μm、気泡の平均アスペクト比:1.29、体積空孔率:約45%)を作製した。その後、実施例1と同様の方法で圧電・焦電素子用多孔質樹脂シートを作製した。
比較例1
実施例1で作製した多孔質樹脂シートを3cm×3cmの大きさに切断し、アースにつないだ金属板上に粘着テープで固定した。多孔質樹脂シート上7mmの位置に設置した針の先端に、室温および湿度20%の環境下で、直流高電圧(−5.14kV)を1分間印加して多孔質樹脂シートの気泡内部を帯電させた。帯電直後の圧電定数d33を測定したところ427pC/Nであった。その後、多孔質樹脂シートの両面の中央部に25mm×25mmの蒸着金電極を形成して電極付き多孔質樹脂シートを作製した。電極付き多孔質樹脂シートの圧電定数d33を測定したところほぼ0pC/Nであった。
Figure 2011210865
本発明の圧電・焦電素子用多孔質樹脂シートは、可とう性を有する圧電素子または焦電素子の材料として利用可能である。このような圧電素子または焦電素子を備えた機器としては、例えば、計算機、コンピュータ、及び携帯電話などの電子機器が挙げられる。さらに、制御機器を狭小部に搭載する必要のある自動車及び飛行機等の機械の制御回路にも利用可能である。
1:電極付き多孔質樹脂シート
1A:多孔質樹脂シート
1B:電極
2:絶縁板
3:積層シート
4:電圧印加用上部電極
5:電圧印加用下部電極
6:絶縁性部材
7:電源








Claims (6)

  1. 多孔質樹脂シートに帯電処理を施すことにより気泡内部を帯電させる工程(A)を含む圧電・焦電素子用多孔質樹脂シートの製造方法において、
    前記多孔質樹脂シートは、両面に電極を有する電極付き多孔質樹脂シートであり、
    前記工程(A)は、前記電極付き多孔質樹脂シートの少なくとも片面に絶縁板を設けた積層シートを、電圧印加用電極の間に設置する工程(A1)、及び前記電圧印加用電極の間に電圧を印加することにより、前記電極付き多孔質樹脂シートの気泡内部を帯電させる工程(A2)を含む圧電・焦電素子用多孔質樹脂シートの製造方法。
  2. 工程(A2)において、多孔質樹脂シートの絶縁破壊電圧の2/3以上の電圧を電極付き多孔質樹脂シートに印加する請求項1記載の圧電・焦電素子用多孔質樹脂シートの製造方法。
  3. 前記絶縁板は、比誘電率が11以下、厚さが10μm〜1.5mmである請求項1又は2記載の圧電・焦電素子用多孔質樹脂シートの製造方法。
  4. 前記多孔質樹脂シートは、平均最大垂直弦長が1〜40μm、かつ平均アスペクト比(平均最大水平弦長/平均最大垂直弦長)が0.7〜4.0の気泡を有し、体積空孔率が20〜75%である請求項1〜3のいずれかに記載の圧電・焦電素子用多孔質樹脂シートの製造方法。
  5. 前記多孔質樹脂シートは、厚さが20〜500μmである請求項4記載の圧電・焦電素子用多孔質樹脂シートの製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の方法により製造される圧電・焦電素子用多孔質樹脂シート。
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