JP2011210649A - 二次電池用の炭素被覆電極材料の製造方法及び炭素被覆電極材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】炭素被覆電極材料中における導電性炭素の含有量を更に減らすことが可能な二次電池用の炭素被覆電極材料の製造方法及びそのように導電性炭素の含有量を更に減らした炭素被覆電極材料を提供すること。
【解決手段】本発明に係る二次電池用の炭素被覆電極材料の製造方法は、二次電池の電極材料粒子1と、熱分解により導電性炭素4を生じ得る炭素前駆物質2と、炭素粉末3とを含む混合物を、前記炭素前駆物質2の熱分解が進行する温度及び雰囲気で焼成する工程を含み、炭素被覆電極材をえることを特徴とする。
【選択図】図2
【解決手段】本発明に係る二次電池用の炭素被覆電極材料の製造方法は、二次電池の電極材料粒子1と、熱分解により導電性炭素4を生じ得る炭素前駆物質2と、炭素粉末3とを含む混合物を、前記炭素前駆物質2の熱分解が進行する温度及び雰囲気で焼成する工程を含み、炭素被覆電極材をえることを特徴とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、二次電池用の炭素被覆電極材料の製造方法及び炭素被覆電極材料に関するものである。
金属リチウム電池、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池等に代表される二次電池の炭素被覆電極材料として、導電性炭素で被覆されたリン酸鉄リチウム(LiFePO4)等の正極材料が知られている。
例えば、粒子状のリン酸鉄リチウム系正極材料は、シュウ酸鉄(II)[(FeC2O4)・2H2O]、リン酸二水素アンモニウム[NH4H2PO4]、水酸化リチウム一水和物[LiOH・H2O]等の原料を混合して焼成することによって製造される。
例えば、粒子状のリン酸鉄リチウム系正極材料は、シュウ酸鉄(II)[(FeC2O4)・2H2O]、リン酸二水素アンモニウム[NH4H2PO4]、水酸化リチウム一水和物[LiOH・H2O]等の原料を混合して焼成することによって製造される。
具体的には、リン酸鉄リチウム系正極材料の場合、特許文献1に記載のように、焼成工程を二工程に分けて行なう製造方法が知られている。すなわち、第1の焼成工程としてリン酸鉄リチウムの前記原料の混合物に対して350℃〜400℃程度(中温域)にて0.5時間〜5時間程度の一次焼成を行う。そして、該一次焼成物を一旦焼成炉の外部に取り出して粉砕し、熱分解により導電性炭素を生じ得る炭素前駆物質を混合した状態で、第2の焼成工程として500〜800℃程度(好ましくは600℃〜700℃程度)にて0.5時間〜10時間程度の二次焼成を行う。この二次焼成によって、導電性炭素で被覆された粒子状のリン酸鉄リチウム正極材料を得る製造方法が知られている。
従来の製造方法で得られる炭素被覆リン酸鉄リチウム正極材料は、該炭素被覆リン酸鉄リチウム正極材料における導電性炭素の含有量が5wt%〜6wt%程度であった。電池の容量を高めるための一つの因子として正極活物質の充填密度を更に高めることが挙げられるが、導電性炭素の含有量を、その特性を低下することなく減らすことが従来はできなかったので、その観点から電池容量を更に高めることができなかった。
本発明の目的は、炭素被覆電極材料中における導電性炭素の含有量を更に減らすことが可能な二次電池用の炭素被覆電極材料の製造方法及びそのように導電性炭素の含有量を更に減らした炭素被覆電極材料を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様に係る二次電池用の炭素被覆電極材料の製造方法は、二次電池の電極材料粒子と、熱分解により導電性炭素を生じ得る炭素前駆物質と、炭素粉末とを含む混合物を、前記炭素前駆物質の熱分解が進行する温度及び雰囲気で焼成する工程を含むことを特徴とするものである。
ここで、「炭素被覆」とは、この出願の明細書においては、電極材料粒子の表面に導電性を付与するように炭素が設けられている状態を意味するが、電極材料粒子の表面を完全に被覆していない状態も導電性に影響しない範囲で含む意味で使われている。
ここで、「炭素被覆」とは、この出願の明細書においては、電極材料粒子の表面に導電性を付与するように炭素が設けられている状態を意味するが、電極材料粒子の表面を完全に被覆していない状態も導電性に影響しない範囲で含む意味で使われている。
本態様によれば、二次電池の電極材料粒子と、熱分解により導電性炭素を生じ得る炭素前駆物質と、更に炭素粉末とを含む混合物を、前記炭素前駆物質の熱分解が進行する温度及び雰囲気で焼成する。すなわち、炭素粉末が混入された状態で前記炭素前駆体が熱分解されて電極材料粒子の表面に導電性炭素を生じるようになっている。
この際、前記炭素粉末は、前記炭素前駆体から生じる導電性炭素には被覆されない性質があることを本発明者らは見出した。このような性質の炭素粉末が混入されていることによって、炭素前駆体から熱分解によって生じる導電性炭素は、炭素粉末の表面には付着しないので、電極材料粒子の表面に付着しやすくなる。更に、電極材料粒子の間に分散して存在する当該炭素粒子によって、前記導電性炭素の付着が始まり、その付着量が次第に増えつつある状態の炭素被覆電極材料の粒子同士の凝集が防止される。このような導電性炭素形成のメカニズムでは、前記炭素粉末は電極材料の粒子表面には付着しないで単独で存在しており、焼成工程終了後は炭素被覆電極材料から分離除去されるということができる。
従って、炭素前駆体の原料としての量を、焼成後の炭素被覆電極材料における炭素含有量が従来の5wt%〜6wt%よりも少ない例えば0.8wt%〜2.0wt%程度になるように設定することによって、炭素被覆電極材料中における導電性炭素の含有量をその特性を低下することなく大幅に減らすことが可能になる。
すなわち、炭素被覆電極材料中における導電性炭素の含有量を従来よりも減らすことが可能で、これにより二次電池中における電極活物質の充填密度を従来よりも高めることができ、以て電池容量を高めることができる。
すなわち、炭素被覆電極材料中における導電性炭素の含有量を従来よりも減らすことが可能で、これにより二次電池中における電極活物質の充填密度を従来よりも高めることができ、以て電池容量を高めることができる。
本発明の第2の態様は、前記第1の態様に係る二次電池用の炭素被覆電極材料の製造方において、前記炭素前駆物質は初溜点が250℃以上のタールであることを特徴とするものである。
本態様によれば、前記炭素前駆物質が初溜点が250℃以上のタールであることで、第1の態様の効果を一層安定して得ることができる。
本態様によれば、前記炭素前駆物質が初溜点が250℃以上のタールであることで、第1の態様の効果を一層安定して得ることができる。
本発明の第3の態様は、前記第1の態様又は第2の態様に係る二次電池用の炭素被覆電極材料の製造方法において、前記焼成時の温度は750℃以下であり、前記炭素粉末の材料は融点が前記焼成時の温度より高いものであることを特徴とするものである。
本態様によれば、前記焼成時の温度が750℃以下であるので、電極材料粒子の粒径の増大を防止できると共に、炭素前駆体を効果的に熱分解して導電性炭素を電極材料粒子の表面に析出させることができる。
更に、前記炭素粉末の材料は融点が前記焼成時の温度より高いものであるので、焼成に際して、炭素粉末は溶融しないで安定した粉末状態で存在することになる。従って、焼成時に前記導電性炭素が付着し、その付着量が次第に増えつつある状態の炭素被覆電極材料の粒子同士が凝集することを、溶融しないで粉末状態で存在する前記炭素粉末によって効果的に防止することができる。
更に、前記炭素粉末の材料は融点が前記焼成時の温度より高いものであるので、焼成に際して、炭素粉末は溶融しないで安定した粉末状態で存在することになる。従って、焼成時に前記導電性炭素が付着し、その付着量が次第に増えつつある状態の炭素被覆電極材料の粒子同士が凝集することを、溶融しないで粉末状態で存在する前記炭素粉末によって効果的に防止することができる。
本発明の第4の態様は、前記第3の態様に係る二次電池用の炭素被覆電極材料の製造方において、前記炭素粉末は、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素、黒鉛、活性炭のいずれか一種以上のものであることを特徴とするものである。
本態様によれば、これらの炭素粉末は融点が1000℃以上であるので、前記第3の態様の効果を効果的に得ることができる。
本態様によれば、これらの炭素粉末は融点が1000℃以上であるので、前記第3の態様の効果を効果的に得ることができる。
本発明の第5の態様に係る二次電池用の炭素被覆電極材料は、電極材料粒子と、該電極材料粒子を被覆する導電性炭素とを備える二次電池用の炭素被覆電極材料であって、前記炭素被覆電極材料は、粒径が50nm〜500nmであり、且つ前記炭素被覆電極材料における炭素含有量が0.8wt%〜2.0wt%であることを特徴とするものである。
ここで「炭素含有量」は、粒子1個当たりであることを基本とするが、その決め方は炭素被覆電極材料の単位重量当たりにおける炭素含有量を測定して決めも実質的に変わらないのでそのように決めたものも含む意味で使われている。
本態様によれば、粒径が50nm〜500nmであり、且つ前記炭素被覆電極材料における炭素含有量が0.8wt%〜2.0wt%であるので、二次電池中における電極活物質の充填密度を従来よりも高めることができ、以て電池容量を高めることができる。炭素含有量が1.1wt%〜1.4wt%であるものは、導電性、安定性、更に製造容易性の点から好ましい範囲である。
本発明の第6の態様に係る二次電池用の炭素被覆電極材料は、電極材料粒子と、該電極材料粒子を被覆する導電性炭素とを備える二次電池用の炭素被覆電極材料であって、前記炭素被覆電極材料は、前記第1の態様から第3の態様のいずれか一つに記載された製造方法によって製造された粒径が50nm〜500nmのものであり、且つ該炭素被覆電極材料における前記導電性炭素は、焼成時の熱分解により炭素前駆物質から生じたものであると共に、当該炭素被覆電極材料における炭素含有量は0.8wt%〜2.0wt%であることを特徴とするものである。
本態様によれば、前記第5の態様と同様の効果を得ることができる。
本態様によれば、前記第5の態様と同様の効果を得ることができる。
本発明の第7の態様は、前記第5の態様又は第6の態様に係る二次電池用の炭素被覆電極材料において、前記導電性炭素は、初溜点が250℃以上のタールを炭素前駆物質とするものであることを特徴とするものである。
本態様によれば、前記第2の態様と同様の効果を得ることができる。
本態様によれば、前記第2の態様と同様の効果を得ることができる。
本発明の第8の態様は、前記第5の態様から第7の態様のいずれか一つに係る二次電池用の炭素被覆電極材料において、前記電極材料粒子はリン酸鉄リチウム(LiFePO4)であることを特徴とするものである。
本態様によれば、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)を正極材料に用いた高容量の二次電池を提供することができる。
本態様によれば、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)を正極材料に用いた高容量の二次電池を提供することができる。
本発明によれば、炭素被覆電極材料中における導電性炭素の含有量を従来よりも減らすことが可能で、これにより二次電池中における電極活物質の充填密度を従来よりも高めることができ、以て電池容量を高めることができる。
図1乃至図3に基づいて、本発明の製造方法の一実施例を説明する。本実施例は、電極材料粒子がリン酸鉄リチウム系正極材料であり、該リン酸鉄リチウム系正極材料の粒子を導電性炭素で被覆する製造方法である。尚、本発明はこの実施例に限られるものではない。
リン酸鉄リチウム系正極材料は、リン酸二水素アンモニウム[NH4H2PO4]等のリン酸導入用の原料(PO4を含むもの)と、シュウ酸鉄(II)[(FeC2O4)・2H2O]等の鉄導入用原料(Feを含むもの)と、水酸化リチウム一水和物[LiOH・H2O]等のリチウム導入用の原料(Liを含むもの)を含む焼成前駆体を焼成することによって製造される。
本実施例では、前記焼成前駆体の焼成を第1の焼成工程と第2の焼成工程の二段階で行う場合を説明する。
本実施例では、公知の焼成炉を用いて、先ず300℃〜400℃程度の低温の温度範囲、且つ窒素ガス等の不活性ガス雰囲気で焼成を行う第1の焼成工程である一次焼成(ステップS1)が行われる。この一次焼成工程によって得られる一次焼成処理物は、そのほとんどが粒子状態のリン酸鉄リチウムになっている。
本実施例では、公知の焼成炉を用いて、先ず300℃〜400℃程度の低温の温度範囲、且つ窒素ガス等の不活性ガス雰囲気で焼成を行う第1の焼成工程である一次焼成(ステップS1)が行われる。この一次焼成工程によって得られる一次焼成処理物は、そのほとんどが粒子状態のリン酸鉄リチウムになっている。
次に、該一次焼成処理物に対して、公知の粉砕装置によって粉砕処理が実行され、一次粒子が凝集した一次凝集状態が解消される(ステップS2)。
そして、前記粉砕処理が実行された一次焼成処理物であるリン酸鉄リチウムと、炭素前駆物質として初溜点が250℃以上のタールと、炭素粉末としてアセチレンブラックの粉末とが混合される(ステップS3)。図2の上段に、焼成処理前の粒子構造(混合物の状態)を説明するための要部断面図が示されている。一次焼成処理物1(リン酸鉄リチウム粒子)と炭素前駆体2(タール)と炭素粉末3(アセチレンブラック)とが均一に混合されている。ここで、炭素粉末3は、その形状は粒形状、短繊維形状等で、サイズは最長箇所が前記一次粒子の粒径と同程度から五分の一程度のものが用いられる。
尚、ステップS2とステップS3の順番を逆にして行っても良い。すなわち、前記一次焼成処理物であるリン酸鉄リチウムと、炭素前駆物質として初溜点が250℃以上のタールとを混合し、更に炭素粉末としてアセチレンブラックの粉末を投入する。そして、その後に粉砕(解砕)処理を行ってもよい。
或は、ステップS2とステップS3はまとめて一緒に行っても良い。
或は、ステップS2とステップS3はまとめて一緒に行っても良い。
前記炭素粉末3の材料は融点が後述する焼成時の温度より高いものが用いられる。これにより、後述する第二の焼成工程において、炭素粉末3は溶融しないで安定した粉末状態で存在することになる。従って、焼成時に前記導電性炭素4が付着し、その付着量が次第に増えつつある状態の炭素被覆電極材料の粒子同士が凝集することを、溶融しないで粉末状態で存在する前記炭素粉末3によって効果的に防止することができる。
また、前記炭素粉末3として、前記アセチレンブラックに代えて、ケッチェンブラック、気相成長炭素、黒鉛、活性炭、その他の炭素粉末のいずれか一種以上のものを用いてもよい。これらの炭素粉末は融点が1000℃以上であるので、後述する第二の焼成工程において溶融しないで安定した粉末状態で存在することができる。
また、前記炭素粉末3として、前記アセチレンブラックに代えて、ケッチェンブラック、気相成長炭素、黒鉛、活性炭、その他の炭素粉末のいずれか一種以上のものを用いてもよい。これらの炭素粉末は融点が1000℃以上であるので、後述する第二の焼成工程において溶融しないで安定した粉末状態で存在することができる。
続いて、ステップS3で得られる混合物に対して、前記第1の焼成工程よりも高温域(500℃〜750℃程度、より好ましくは600℃〜700℃程度)で、且つ窒素ガス等の不活性ガス雰囲気で焼成を行う第2の焼成工程である二次焼成を行う(ステップS4)。二次焼成の焼成炉はロータリーキルン等の原料を動かしながら焼成を実行できるものが用いられる。この二次焼成によって、図2の下段に示されているように、炭素前駆物質2(タール)は熱分解され、導電性炭素4となって前記一次粒子である一次焼成処理物1(リン酸鉄リチウム粒子)の表面に析出する。
その際、炭素粉末3が混入された状態で前記炭素前駆物質2(タール)が熱分解されて一次焼成処理物1(リン酸鉄リチウム粒子)の表面に導電性炭素4を生じるが、該炭素粉末3は、前記炭素前駆物質2(タール)から生じる導電性炭素4には被覆されない性質があることを本発明者らが見出したことは前述の通りである。すなわち、このような性質の炭素粉末3が混入されているので、炭素前駆物質2(タール)から熱分解によって生じる導電性炭素4は、炭素粉末3の表面には付着しない分、一次焼成処理物1(リン酸鉄リチウム粒子)の表面に付着しやすくなる。更に、一次焼成処理物1(リン酸鉄リチウム粒子)の間に分散して存在する当該炭素粒子3によって、前記導電性炭素4の付着が始まり、その付着量が次第に増えつつある状態の炭素被覆電極材料5の粒子同士の凝集(被覆炭素を接点とする凝集(融合))が防止される。
上記のような導電性炭素形成のメカニズムでは、図2の下段に示したように、前記炭素粉末3は電極材料粒子1の表面には付着しないで単独で存在している。従って、焼成工程終了後に分級機などによる分級処理(ステップS5)にかけて炭素被覆電極材料5の粒径を揃える処理を行う際に、該炭素粉末3も同時に分離除去することができる。
従って、炭素前駆体2の原料としての量を、焼成後の炭素被覆電極材料5における炭素含有量が従来の5wt%〜6wt%よりも少ない、例えば0.8wt%〜2.0wt%程度になるように設定することによって、炭素被覆電極材料5中における導電性炭素4の含有量を、その特性を低下することなく大幅に減らすことが可能になる。このようにして製造された炭素被覆電極材料5の粒径は50nm〜500nmである。
炭素被覆電極材料5中の炭素含有量が1.1wt%〜1.4wt%であり、被覆電極材料5の粒径が50nm〜250nmであるものが、導電性、安定性、更に製造容易性の点から好ましい範囲であることを確認した。
図3は、従来の製造方法における焼成処理前と焼成処理後の粒子構造を説明するための要部断面図であり、上段が焼成処理前、下段が焼成処理後である。従来の製造方法では、図3の上段に示したように、炭素粉末は混入されていない。
そのため、焼成処理によって、炭素前駆体2が熱分解されて導電性炭素4が電極材粒子1の表面に析出するが、その際、前記導電性炭素4の付着が始まり、その付着量が次第に増えつつある状態の炭素被覆電極材料5の粒子同士が互いに凝集(被覆炭素を接点とする凝集(融合))して、図3の下段に示したように凝集粒子6ができてしまう。この凝集粒子6は、その大きさが25μm以上にもなり、その大きなままでは電極材料粒子としては使えない。この凝集粒子6を粉砕するにはジェットミル等による強力な粉砕処理が必要であり、それによって高コスト化する問題がある。
本発明に係る製造方法においては、上記説明の通り、炭素粉末3の存在によって凝集粒子6はできない。そのため、焼成処理終了後にジェットミル等による強力な粉砕処理が不用であり、コストダウンを図ることができる。
1 電極材料粒子、 2 炭素前駆体、 3 炭素粉末、 4 導電性炭素、
5 炭素被覆電極材、 6 凝集粒子
5 炭素被覆電極材、 6 凝集粒子
Claims (8)
- 二次電池の電極材料粒子と、熱分解により導電性炭素を生じ得る炭素前駆物質と、炭素粉末とを含む混合物を、前記炭素前駆物質の熱分解が進行する温度及び雰囲気で焼成する工程を含むことを特徴とする二次電池用の炭素被覆電極材料の製造方法。
- 請求項1に記載された二次電池用の炭素被覆電極材料の製造方法において、
前記炭素前駆物質は初溜点が250℃以上のタールであることを特徴とする二次電池用の炭素被覆電極材料の製造方法。 - 請求項1又は2に記載された二次電池用の炭素被覆電極材料の製造方法において、
前記焼成時の温度は750℃以下であり、
前記炭素粉末の材料は融点が前記焼成時の温度より高いものであることを特徴とする二次電池用の炭素被覆電極材料の製造方法。 - 請求項3に記載された二次電池用の炭素被覆電極材料の製造方法において、
前記炭素粉末は、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素、黒鉛、活性炭のいずれか一種以上のものであることを特徴とする二次電池用の炭素被覆電極材料の製造方法。 - 電極材料粒子と、該電極材料粒子を被覆する導電性炭素とを備える二次電池用の炭素被覆電極材料であって、
前記炭素被覆電極材料は、粒径が50nm〜500nmであり、且つ前記炭素被覆電極材料における炭素含有量が0.8wt%〜2.0wt%であることを特徴とする二次電池用の炭素被覆電極材料。 - 電極材料粒子と、該電極材料粒子を被覆する導電性炭素とを備える二次電池用の炭素被覆電極材料であって、
前記炭素被覆電極材料は、請求項1から3のいずれか一項に記載された製造方法によって製造された粒径が50nm〜500nmのものであり、
且つ該炭素被覆電極材料における前記導電性炭素は、焼成時の熱分解により炭素前駆物質から生じたものであると共に、当該炭素被覆電極材料における炭素含有量は0.8wt%〜2.0wt%であることを特徴とする二次電池用の炭素被覆電極材料。 - 請求項5又は6に記載された二次電池用の炭素被覆電極材料において、
前記導電性炭素は、初溜点が250℃以上のタールを炭素前駆物質とするものであることを特徴とする二次電池用の炭素被覆電極材料。 - 請求項5〜7のいずれか一項に記載された二次電池用の炭素被覆電極材料において、
前記電極材料粒子はリン酸鉄リチウム(LiFePO4)であることを特徴とする二次電池用の炭素被覆電極材料。
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