JP6388343B2 - リン酸鉄リチウム正極材料、及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リン酸鉄リチウム正極材料、及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、リン酸鉄リチウム正極材料、及びリチウムイオン二次電池に関するものである。
オリビン型結晶構造を持つリン酸鉄リチウムは、理論容量が大きく(170mAh/g)、比較的高い起電力(対Li/Li負極にて約3.4〜3.5V)を有し、更に熱力学的に安定であり、400℃程度まで酸素放出や発熱がほとんどないため、安全性の観点からも好ましい正極材料であると言える。
更に、資源的に豊富な鉄・リン等から安価に製造できるため、有力な正極材料として期待されている。
一方で、リン酸鉄リチウムは導電性が低く(25℃において導電率σ≦10−8S/cm程度)、リチウムイオンの拡散性が低い(25℃において拡散係数D≦10−13 cm/s程度)ため、このままでは良好な出力特性が得られない。
前記低い導電性を改善するため、原料を焼成してリン酸鉄リチウムを製造する際に、熱分解により導電性炭素を生成する炭素被覆原料を用い、加熱分解により導電性炭素をリン酸鉄リチウムの一次粒子表面に被覆することが行われている(例えば、特許文献1)。
特開2011−181526号公報
ここで、前記炭素被覆原料としては、有機酸、糖類、石油ピッチ、石炭ピッチ、カーボンブラック、水溶性高分子等の種々の物質が用いられている。
本発明者らは、鋭意研究の結果、ある種の炭素被覆原料を用いてリン酸鉄リチウムに導電性炭素被覆層を形成することにより、リチウムイオン二次電池を作製したときに良好なサイクル特性を示すリン酸鉄リチウム正極材料とすることができることを見出した。
本発明はかかる知見に基づきなされたものであり、その目的は、サイクル特性の良好なリチウムイオン二次電池を作製可能なリン酸鉄リチウム正極材料を提供することにある。また、前記リン酸鉄リチウム正極材料を用いて良好な電池特性を有するリチウムイオン二次電池を提供することにある。
上記課題に鑑み、本発明の第1の態様に係るリン酸鉄リチウム正極材料は、一般式LiFePOで表されるリン酸鉄リチウムの一次粒子の表面に、炭素被覆原料を加熱分解して形成した導電性炭素被覆層を備えるリン酸鉄リチウム正極材料であって、前記リン酸鉄リチウム正極材料を用いて作製したリチウムイオン二次電池のサイクル試験において、サイクルを重ねた際に初回よりも放電容量(mAh/g)が1%以上増加する特性を有することを特徴とするものである。
本明細書において「サイクル試験」とは、1回の充放電を1サイクルとして充放電を繰り返す試験を言う。
リチウムイオン二次電池に対して前記サイクル試験を行うと、一般的に、初回〜3サイクル目の放電容量が一番大きく、サイクルを重ねると次第に放電容量(mAh/g)が低下する。尚、2サイクル目以降に放電容量の値として1〜2mAh/g程度の増加が見られる場合があるが、これは測定誤差の範囲であり、増加量としては通常1%未満である。
本発明者らは、ある種の炭素被覆原料を用いてリン酸鉄リチウムの一次粒子に導電性炭素被覆層を形成したリン酸鉄リチウム正極材料を用いて作製したリチウムイオン二次電池は、初回から数回のサイクルを重ねた際に、前記放電容量が初回よりも1%以上増加する特性を示すことを見出した。
このような「放電容量が初回よりも増加する特性」を示すリチウムイオン二次電池は、初回放電容量を基準として、数サイクル後の放電容量が高くなり、その高い放電容量から当該放電容量の低下が始まるので、より長寿命の電池とすることができる。すなわち、本態様に係るリン酸鉄リチウム正極材料によれば、サイクル特性が良いリチウムイオン二次電池を作製することができる。
尚、前記「放電容量が初回よりも増加する特性」については後に詳述する。
また、本明細書において一般式LiFePOとは、リチウム(Li)と鉄(Fe)とリン酸(PO)が化学量論比において、ほぼ1:1:1の割合で含有されていることを意味し、厳密に各成分が1:1:1で含まれている場合に限られない。また、他の成分や不純物を全く含まないことを要求しない。
また、「導電性炭素被覆層」はリン酸鉄リチウムの一次粒子の表面を隙間なく覆う場合に限られず、その表面の一部に設けられる場合も含むものとする。
本発明の第2の態様に係るリン酸鉄リチウム正極材料は、第1の態様において、前記サイクル試験の4サイクル目以降において、前記放電容量(mAh/g)の増加が1%以上あることを特徴とするものである。
本態様によれば、サイクル試験の4サイクル目以降まで放電容量が増加するので、当該電池の放電容量低下の開始が遅くなり、より長寿命の電池とすることができる。
本発明の第3の態様に係るリン酸鉄リチウム正極材料は、第1の態様または第2の態様において、電気伝導率が、10−3S/cm〜5×10−1S/cmであることを特徴とするものである。
本態様によれば、第1の態様と同様の作用効果に加え、炭素コートされた前記リン酸鉄リチウム正極材料のBET比表面積が、8m/g〜15m/gであることにより、リン酸鉄リチウム正極材料として適度な電気伝導性を示す導電性炭素被覆層をリン酸鉄リチウムの一次粒子の表面に付与することができる。
本発明の第4の態様に係るリン酸鉄リチウム正極材料は、第1の態様から第3の態様のいずれかにおいて、BET比表面積が、8m/g〜15m/gであることを特徴とするものである。
本態様によれば、前記リン酸鉄リチウム正極材料を用いて製造したリチウムイオン二次電池において、良好な放電容量を確保することができる。
本発明の5の態様に係るリチウムイオン二次電池は、第1の態様から第4の態様のいずれかのリン酸鉄リチウム正極材料を構成要素に含むことを特徴とするものである。
本態様によれば、第1の態様から第4の態様のいずれかのリン酸鉄リチウム正極材料を用いてリチウムイオン二次電池を構成し、第1の態様から第5の態様と同様の効果を得ることができる。すなわち、良好なサイクル特性を有するリチウムイオン二次電池とすることができる。
本発明に係るリン酸鉄リチウム正極材料の模式図。 サイクル試験におけるサイクル数と放電容量維持率との関係を示す図。 リン酸鉄リチウム正極材料の電気伝導率とBET比表面積との関係を示す図。
以下において、本発明に係るリン酸鉄リチウム正極材料、及びリチウムイオン二次電池について説明する。
<リン酸鉄リチウム正極材料について>
図1は、本発明に係るリン酸鉄リチウム正極材料の模式図である。
本発明に係るリン酸鉄リチウム正極材料1は、一般式LiFePOで表されるリン酸鉄リチウムの一次粒子2の表面に、後述する炭素被覆原料を加熱分解して形成した導電性炭素被覆層3を備えている。
尚、導電性炭素被覆層3は、一次粒子2の表面を隙間なく覆われていてもよく、その表面の一部に導電性炭素被覆層3が設けられ、一次粒子2の表面が一部露出した状態で設けられていてもよい。
リン酸鉄リチウム正極材料1は、複数の一次粒子2が導電性炭素被覆層3を介して凝集した二次粒子4が集まって構成されている。
尚、一次粒子2の平均粒径は、50nm以上400nm以下であることが望ましい。
リン酸鉄リチウム正極材料1の一次粒子2の表面に導電性炭素被覆層3を形成する炭素被覆原料としては、石炭ピッチが用いられている。
尚、リン酸鉄リチウム正極材料1の具体的な製造方法については、後に説明する。
以上のように、リン酸鉄リチウム(LiFePO)の一次粒子2の表面に、炭素被覆原料として石炭ピッチを加熱分解して形成した導電性炭素被覆層3を備えるリン酸鉄リチウム正極材料1は、後述の試験例に示されるように、当該正極材料1を用いて作製したリチウムイオン二次電池のサイクル試験において、サイクルを重ねた際に初回よりも放電容量(mAh/g)が1%以上増加する特性(以下、「放電容量増加特性」と称する場合がある)を有する。
ここで、リン酸鉄リチウム正極材料1を用いて作製したリチウムイオン二次電池のサイクル試験における、前記「放電容量増加特性」について説明する。
通常、リン酸鉄リチウムに導電性炭素被覆層を形成する(以下、炭素コート処理と称する場合がある)場合、導電性炭素被覆層を厚くすれば電気伝導性が一層向上するが、一方で、前記導電性炭素被覆層によりリチウムイオンの移動が抑制され、リチウムイオン伝導性は低下する場合がある。すなわち、電気伝導性とリチウムイオン伝導性とはトレードオフの関係になる場合がある。
一般的に石炭ピッチは、他の炭素被覆原料に比して、ベンゼン環等の環状炭化水素を多く含んでいる。前記環状炭化水素は、鎖状炭化水素よりも立体的な導電性炭素被覆層を形成し、環状構造同士の間に隙間が形成され易いと考えられる。
尚、鎖状炭化水素は、環状炭化水素によって形成される導電性炭素被覆層よりも隙間のない緻密な層となる。
ここで、前記石炭ピッチを炭素被覆原料として形成した導電性炭素被覆層では、初回の充放電から数サイクルの充放電を繰り返し、電子が導電性炭素被覆層の炭素基底面を何度か通るうちに、前記環状構造同士の間に形成された前記「隙間」に緩みが生じ、その「隙間」をリチウムイオンが通ることができるようになり、リチウムイオン伝導性が向上すると考えられる。このことにより、サイクル試験における数サイクル目の放電容量(mAh/g)が初回放電容量よりも増加する「放電容量増加特性」を示すと考えられる。
本発明に係るリン酸鉄リチウム正極材料1を用いて作製した二次電池は、前記「放電容量増加特性」を有するので、初回放電容量を基準として、数サイクル後の放電容量が高くなる。その結果、前記初回放電容量より高い放電容量から当該放電容量の低下が始まるので、より長寿命の電池とすることができる。以って、サイクル特性が良いリチウムイオン二次電池を作製することができる。
尚、導電性炭素被覆層3を備えるリン酸鉄リチウム正極材料1の電気伝導率は、10−3S/cm〜5×10−1S/cmであることが好ましい。このことにより、リン酸鉄リチウム正極材料1を用いて製造したリチウムイオン二次電池において良好な放電容量を確保することができる。
また、また、リン酸鉄リチウム正極材料1のBET比表面積は、8m/g〜15m/gであることが望ましい。
このことにより、リン酸鉄リチウム正極材料1として適度な電気伝導性を示す導電性炭素被覆層3をリン酸鉄リチウムの一次粒子2の表面に付与することができる。
<リン酸鉄リチウム正極材料の製造方法の概要>
以下において、本発明に係るリン酸鉄リチウム正極材料の製造方法の概要について説明する。
本発明に係るリン酸鉄リチウム正極材料1を構成するリン酸鉄リチウム(LiFePO)は、成分Li導入用原料と、成分PO導入用原料と、成分Fe導入用原料とを混合し、所定の温度で焼成することによって反応を進めることにより、反応生成物として得ることができる。
導電性炭素被覆層3は、混合した各成分導入用原料に炭素被覆原料を添加、混合して焼成する(焼成工程)ことにより、生成したリン酸鉄リチウムの表面に形成することができる。
<<各成分導入用原料>>
成分Li導入用原料としては、例えば、炭酸リチウム(LiCO)が挙げられる。また、Liを含む他の炭酸塩や炭酸水素塩、LiOH等の水酸化物、LiCl等の塩化物を含むハロゲン化物、LiNO等の硝酸塩、その他有機酸塩等のLiのみ目的の正極材料中に残留するようなLi含有分解揮発性化合物が用いられる。
成分PO導入用原料としては、例えば、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)のような、リン酸イオンのみ正極材料中に残留するような分解揮発性リン酸塩やリン酸水素塩が挙げられる。このような物質としては、他に(NHHPO、(NHPO等のアンモニウム塩等がある。
また、無水リン酸P、リン酸HPO等を用いることもできる。
尚、成分Li及び成分POの導入用原料として、LiPO、LiHPO、LiHPO等のリン酸塩やリン酸水素塩を用いることもできる。
成分Fe導入用原料としては、例えば、シュウ酸鉄(II)・二水和物(FeC・2HO)が挙げられる。また、水酸化物、炭酸塩や炭酸水素塩、塩化物等のハロゲン化物、硝酸塩、その他、Feのみが目的の正極材料中に残留するような分解揮発性化合物(例えば、前記シュウ酸塩の他、酢酸塩等の有機酸塩、アセチルアセトン錯体類や、メタロセン錯体等の有機錯体など)のほか、リン酸塩やリン酸水素塩を用いることもできる。
<<炭素被覆原料>>
炭素被覆原料としては、石炭ピッチが用いられる。
<<製造工程>>
(1)原料混合工程
原料の一例としての炭酸リチウム(LiCO)とリン酸二水素アンモニウム(NHPO)とシュウ酸鉄(II)・二水和物(FeC・2HO:以下、単にシュウ酸鉄と称する場合がある)を混合し、粉砕して原料混合物を得る。炭酸リチウムとリン酸二水素アンモニウムとシュウ酸鉄は、リチウム、鉄、リンの化学量論比が1:1:1となるように混合される。前記原料の混合は、例えばプラネタリーミキサー等の公知の混合装置を用いて行うことができる。また粉砕は、ボールミル等の公知の粉砕機を用いて行うことができる。
尚、前記粉砕は、混合、粉砕後の原料混合物の粒度分布がD50≦15μmとなるようにすることが好ましい。粒度分布がD50≦15μmの細粒に原料を粉砕することにより、リン酸鉄リチウム正極活物質の合成反応をより高効率に行うことができる。
(2)焼成工程
前記原料混合工程において混合した原料(以下、混合原料という)を焼成してLiFePOを生成する。本説明では、第1焼成工程と第2焼成工程の二段階の焼成を行う焼成工程について説明する。
(2-1)第1焼成工程
前記混合原料を、焼成炉等の焼成装置において焼成する。
焼成温度は、室温から300℃以上500℃以下までの温度に昇温することが好ましく、350℃以上450℃以下までの温度であることがより好ましい。焼成時間は、数時間(例えば1時間〜8時間程度)である。
(2-2)第2焼成工程
前記第1焼成工程後に、前記第1焼成工程後の前記混合原料に対して炭素被覆原料としての石炭ピッチを添加、混合し、この炭素被覆原料混合物を焼成炉等により、室温から600℃以上850℃以下(より好ましくは、650℃以上780℃以下)までの温度に昇温して焼成を行う。
石炭ピッチの添加量は、前記混合原料に対して1.0wt%〜5.0wt%とする。より好ましくは、1.5wt%〜4.5wt%である。
前記第2焼成工程は、焼成炉内を昇温後、数時間(例えば1時間〜8時間程度)かけて行われる。
尚、前記第1焼成工程後の前記混合原料では、その一部はリン酸鉄リチウムの生成反応が進んでいるが、反応完了前であるため「原料」と称するものとする。
第2焼成工程を行うことにより、リン酸鉄リチウムの生成反応が完了する。そして、リン酸鉄リチウムの一次粒子の表面に導電性炭素を有するリン酸鉄リチウム正極材料としての生成物が得られる。
前記焼成工程を第1焼成工程と第2焼成工程の二段階で行うことにより、第2焼成工程時に発生する反応ガス(原料の分解ガス、水蒸気等)を少なくすることができる。このことにより、第2焼成工程時に前記炭素被覆原料が前記反応ガスにより発泡する虞を低減することができる。以って、より均一に熱分解炭素を析出させることができ、得られる電極材料の表面導電性が良好となる。
(焼成工程における他の工程)
前記第2焼成工程を行うに当たり、前記第1焼成工程後の前記混合原料に前記炭素被覆原料(石炭ピッチ)を混合した後の炭素被覆原料混合物に対して粉砕工程を行うことができる。粉砕は、例えば、ターボミルかジェットミル等の設備用いて行うことができる。
このことによって、前記炭素被覆原料混合物を減容化することができる。粉砕後のメディアン径は100μm以下であることが好ましく、より好ましくは50μm以下である。
尚、上記説明では第1焼成工程と第2焼成工程の二段階の焼成を行う場合について説明したが、焼成工程を二段階に分けず、一段階の焼成によって行うことも可能である。
その場合には、「(1)原料混合工程」において各成分導入用原料とともに、炭素被覆原料としての石炭ピッチを混合した後、一段階の焼成を行う。
一段階で行う場合、室温から600℃以上850℃以下(より好ましくは、650℃以上780℃以下)の温度で焼成することにより、一次粒子の表面に、石炭ピッチを熱分解して形成した導電性炭素を有する本発明のリン酸鉄リチウム正極材料を得ることができる。
[試験例]
炭素被覆原料として石炭ピッチを用いて形成した導電性炭素被覆層を有するリン酸鉄リチウム正極材料を製造し、それらを用いてリチウムイオン二次電池を作成し、その電池特性を調べた(実施例1〜実施例3)。比較例として、他の炭素被覆原料を用いて導電性炭素被覆層を形成したリン酸鉄リチウム正極材料を製造し、同様にリチウムイオン二次電池を作成し、その電池特性を調べた(比較例1〜比較例4)。
(実施例1〜実施例3)
原料として、炭酸リチウム、73.8909gとリン酸二水素アンモニウム、115.0257gと、シュウ酸鉄(II)・二水和物、179.8946gを計量し、粉砕機を用いて混合、粉砕し、混合原料を得た(粉砕後D50≦15μm)。
前記混合原料に対し、第1焼成工程(焼成温度:400℃、保持時間:4時間)を行った後、炭素被覆原料を添加した後、解砕機により解砕し、第2焼成工程(焼成温度:720℃、保持時間:4時間)を行い、導電性炭素被覆層を有するリン酸鉄リチウム正極材料としての生成物を得た。
実施例1〜実施例3は、前記炭素被覆原料として石炭ピッチを用い、それぞれの実施例において添加量を変えた。また比較例としては、前記炭素被覆原料として石油ピッチ、クエン酸、PVA(ポリビニルアルコール)を用いて導電性炭素被覆層を形成したリン酸鉄リチウム正極材料を製造した。
実施例1〜実施例3及び比較例1〜比較例4における炭素被覆原料の種類と添加量を表1に示す。
Figure 0006388343
製造したリン酸鉄リチウム正極材料(実施例1〜実施例3、比較例1〜比較例5)を用いてリチウムイオン二次電池を作製し、サイクル試験を行った。
作製したリチウムイオン二次電池とサイクル試験の条件を以下に示す。
<リチウムイオン二次電池>
セルタイプ:CR2032
正極電極組成:LFP:AB:PVdF=91:4:5
正極担持量:16 mg/cm2
負極:Li−Metal
電解液:1M LiPF in EC/EMC
温度:25℃
充電条件:0.1C(CC−CV):4.3V(初回)
充電条件:0.1C(CC):4.3V(2サイクル目以降)
放電条件:0.1(CC):2.0V
尚、LFP=リン酸鉄リチウム、AB=アセチレンブラック、PVdF=ポリフッ化ビニリデン、LiPF=六フッ化リン酸リチウム、EC=エチレンカーボネート、EMC=エチルメチルカーボネートである。
実施例1〜実施例3、及び比較例1〜比較例5のリン酸鉄リチウム正極材料を用いて作製したリチウムイオン二次電池のサイクル試験の結果を表2に示す。図2に、前記サイクル試験におけるサイクル数と放電容量維持率との関係を示す。また図3に、実施例1〜実施例3、及び比較例1〜比較例5の各正極材料の電気伝導率とBET比表面積との関係を示す。
Figure 0006388343
表2に示すように、実施例1〜実施例3においては、1サイクル目から6サイクル目までの放電容量増加率が1%以上、特に実施例3においては2%以上であった。
一方、比較例1〜比較例5では、前記放電容量増加率が1%未満であった。
実施例1〜実施例3においては、初回(1サイクル目)の充放電容量を基準として6サイクル目の放電容量が増加している。このように、初回から数サイクル後(本試験では6サイクル目)の放電容量が高くなることにより、その結果として良好なサイクル特性(長寿命性能)が得られると考えられる。
また、前述したようにサイクル試験において、通常は初回〜3サイクル目の放電容量が一番大きく、4サイクル目以降は次第に放電容量(mAh/g)が低下する。本発明に係るリン酸鉄リチウム正極材料では、図2において実線で示す実施例1〜実施例3のように、4サイクル目以降に前記放電容量(mAh/g)が1%以上増加する(放電容量維持率が101%以上になる)ので、当該電池の放電容量低下の開始が遅くなり、より長寿命の電池とすることができる。
図3は、実施例1〜実施例3および比較例1〜比較例4のリン酸鉄リチウム正極材料の電気伝導率とBET比表面積との関係を示す図である。
実施例1〜実施例3のプロットは図の左上寄りの領域に位置し、比較例1〜比較例5は右下寄りの領域に位置する傾向がある。すなわち、実施例1〜実施例3は、比較例1〜5よりも、BET比表面積の値に対する電気伝導率が高い。
本試験結果から、このBET比表面積に対する電気伝導率の高さが、高い放電容量と良好なサイクル特性に関係していると推察される。
以上のように、リン酸鉄リチウムの一次粒子の表面に、炭素被覆原料として石炭ピッチを加熱分解して形成した導電性炭素被覆層を設けることにより、電池を作製したときに、十分な放電容量を有するとともに、良好なサイクル特性を示すリン酸鉄リチウム正極材料とすることができる。
また、本発明に係るリン酸鉄リチウム正極材料を用いてリチウムイオン電池を作製することにより、良好なサイクル特性を示す電池を得ることができる。
以上、本発明に係るリン酸鉄リチウム正極材料、及びリチウムイオン二次電池の一例について説明したが、本発明はこれらに限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれる。
1 リン酸鉄リチウム正極材料、2 一次粒子、
3 導電性炭素被覆層、4 二次粒子

Claims (3)

  1. 一般式LiFePO4で表されるリン酸鉄リチウムの一次粒子の表面に、炭素被覆原料としての石炭ピッチを加熱分解して形成した導電性炭素被覆層を備えるリン酸鉄リチウム正極材料であって、
    前記リン酸鉄リチウム正極材料を用いて作製したリチウムイオン二次電池のサイクル試験において、サイクルを重ねた際に初回よりも放電容量(mAh/g)が1%以上増加する特性を有し、電気伝導率(S/cm)とBET比表面積(m /g)とが、縦軸Yに電気伝導率、横軸XにBET比表面積を示し、縦軸Yを対数とする片対数グラフにおいて、座標(X=9.1,Y=8.10E−03)と座標(X=13.1,Y=1.00E−01)とを通る直線を含む、前記直線よりも上側の領域に入るとともに、電気伝導率が10 −3 S/cm〜5×10 −1 S/cmであり、BET比表面積が8m /g〜15m /gであることを特徴とする、リン酸鉄リチウム正極材料。
  2. 請求項1に記載のリン酸鉄リチウム正極材料において、
    前記サイクル試験の4サイクル目以降において、前記放電容量(mAh/g)の増加が1%以上あることを特徴とする、リン酸鉄リチウム正極材料。
  3. 請求項1または請求項2に記載のリン酸鉄リチウム正極材料を構成要素に含むことを特徴とする、リチウムイオン二次電池。
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