JP2011204524A - 発光装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】意図した形状の有機EL層が形成された発光装置の製造方法を提供することである。
【解決手段】支持基板と、該支持基板上に設けられ、前記支持基板上に設定される区画を画定する隔壁と、隔壁によって画定される区画に設けられた複数の有機EL素子とを備え、該有機EL素子が、第1の電極と、第2の電極と、第1および第2の電極間に設けられる有機EL層とを含んで構成される発光装置の製造方法であって、前記第1の電極と前記隔壁とがその上に設けられた前記支持基板を用意する工程と、有機EL層となる材料を含むインキを、隔壁によって囲まれる領域に供給する工程と、供給されたインキを固化することにより前記有機EL層を形成する工程と、前記第2の電極を形成する工程とを含み、前記インキを供給する工程では、前記隔壁によって囲まれる領域の容積の90%以上120%以下の体積のインキを供給する、発光装置の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は発光装置の製造方法に関する。
表示装置には、その構成や原理を異にする種々の装置がある。そのひとつとして現在、有機EL(Electro Luminescence)素子を画素の光源に使用した表示装置が実用化されつつある。
この表示装置は支持基板上に整列して配置される複数の有機EL素子を備える。支持基板上には有機EL素子が設けられる区画が設定されており、通常、支持基板上にはこの区画を画定するための隔壁が設けられている。すなわち複数の有機EL素子は、隔壁によって画定される区画にそれぞれ整列して設けられている。
有機EL素子は、一対の電極と、この電極間に設けられる有機EL層とから構成され、各構成要素を順次積層することによって作製される。
有機EL素子を構成する有機EL層は塗布法によって形成することが可能である。有機EL層を塗布法によって形成する際の態様を図4に示す。図4(1)に示すように、まず有機EL層となる材料を含むインキを、隔壁1によって囲まれた領域に供給する。供給されたインキは乾燥しつつ収縮し、その結果として有機EL層3が形成される(図4(2)参照)(たとえば特許文献1参照。)。
特開2002−75640号公報
たしかに塗布法によって有機EL層3を形成することは可能ではあるが、意図した形状の有機EL層3を塗布法によって形成することは難しく、欠陥のある有機EL層3が形成されることもある。図5および図6は、意図した形状とは異なる有機EL層が形成された表示装置を模式的に示す図である。有機EL層3の膜厚は、当該有機EL層3に亘って均一であることが好ましいが、たとえば図5に示すように隔壁1との境界領域の膜厚が極めて薄い有機EL層3が形成されることがある。このような有機EL層3が形成されると、膜厚の極めて薄い部分の電気抵抗が極めて小さくなり、リーク電流が発生するという問題がある。
また図6に示すように、隔壁1に囲まれた領域2に供給されたインキが、隔壁1表面に沿って濡れ拡がりつつ乾燥し、隔壁1の側面上にまで有機EL層3が形成されることがあり、場合によっては隔壁1によって囲まれた領域2を超えて隣の区画にまでインキが溢れ出し、隣の区画に供給されるべきインキと混ざるという、混色の問題が生じることもある。
したがって本発明の目的は意図した形状の有機EL層が形成された発光装置の製造方法を提供することである。
本発明は、支持基板と、
該支持基板上に設けられ、前記支持基板上に設定される区画を画定する隔壁と、
隔壁によって画定される区画に設けられた複数の有機EL素子とを備え、
該有機EL素子が、第1の電極と、第2の電極と、第1および第2の電極間に設けられる有機EL層とを含んで構成される発光装置の製造方法であって、
前記第1の電極と前記隔壁とがその上に設けられた前記支持基板を用意する工程と、
有機EL層となる材料を含むインキを、隔壁によって囲まれる領域に供給する工程と、
供給されたインキを固化することにより前記有機EL層を形成する工程と、
前記第2の電極を形成する工程とを含み、
前記インキを供給する工程では、前記隔壁によって囲まれる領域の容積の90%以上120%以下の体積のインキを供給する、発光装置の製造方法に関する。
また本発明は、前記隔壁は、前記支持基板上において所定の行方向にそれぞれ延在する複数本の隔壁部材から構成され、
複数本の隔壁部材は、前記行方向とは方向が異なる列方向に所定の間隔をあけて配置されている、発光装置の製造方法に関する。
また本発明は、前記インキの粘度が15cP以上30cP以下である、発光装置の製造方法に関する。
また本発明は、前記インキの濃度が10mg/ml以上30mg/ml以下である、発光装置の製造方法に関する。
また本発明は、前記隔壁と前記インキとの接触角が5度以上50度以下である、発光装置の製造方法に関する。
また本発明は、前記支持基板を用意する工程の後、かつ前記インキを供給する工程の前に、酸素プラズマ処理を施す、発光装置の製造方法に関する。
また本発明は、前記インキの表面張力が30mN/m以上72mN/m以下である、発光装置の製造方法に関する。
また本発明は、前記インキは、沸点が190℃以上260℃以下の溶媒を含む、発光装置の製造方法に関する。
また本発明は、前記インキを供給する工程では、液柱状にインキを流下し、インキを供給する、発光装置の製造方法に関する。
また本発明は、前記インキを供給する工程では、ノズルプリンティング法によってインキを供給する、発光装置の製造方法に関する。
本発明によれば、不所望な穴の形成や、不所望な混色を防いで、意図した形状の有機EL層が形成された発光装置を作製することができ、素子不良の発生が抑制された発光装置を作製することができる。
本実施形態の発光装置21を模式的に示す平面図である。 発光装置21を模式的に示す断面図である。 成膜状態を評価した結果を示す図である。 有機EL層を塗布法によって形成する際の態様を示す図である。 意図した形状とは異なる有機EL層が形成された表示装置を模式的に示す図である。 意図した形状とは異なる有機EL層が形成された表示装置を模式的に示す図である。
本発明の発光装置の製造方法は、支持基板と、該支持基板上に設けられ、前記支持基板上に設定される区画を画定する隔壁と、隔壁によって画定される区画に設けられた複数の有機EL素子とを備え、該有機EL素子が、第1の電極と、第2の電極と、第1および第2の電極間に設けられる有機EL層とを含んで構成される発光装置の製造方法であって、前記第1の電極と前記隔壁とがその上に設けられた前記支持基板を用意する工程と、有機EL層となる材料を含むインキを、隔壁によって囲まれる領域に供給する工程と、供給されたインキを固化することにより前記有機EL層を形成する工程と、前記第2の電極を形成する工程とを含み、前記インキを供給する工程では、前記隔壁によって囲まれる領域の容積の90%以上120%以下の体積のインキを供給する。
発光装置はたとえば表示装置として利用される。表示装置には主にアクティブマトリクス駆動型の装置と、パッシブマトリクス駆動型の装置とがある。本発明は両方の型の表示装置に適用することができるが、本実施形態では一例としてアクティブマトリクス駆動型の表示装置に適用される発光装置について説明する。
<発光装置の構成>
まず発光装置の構成について説明する。図1は本実施形態の発光装置21を模式的に示す平面図であり、図2は発光装置21を模式的に示す断面図である。発光装置21は主に支持基板11と、この支持基板上に設けられ、支持基板上に設定される区画を画定する隔壁17と、隔壁17によって画定される区画に設けられた複数の有機EL素子22とを備え、該有機EL素子22が、第1の電極12と、第2の電極16と、第1および第2の電極間に設けられる有機EL層13,14とを含んで構成される。
複数の有機EL素子22は支持基板11上に設定される所定の区画にそれぞれ整列して配置されている。そして隔壁17は支持基板11上に設定される所定の区画を画定するために設けられ、その形状は、支持基板11上に設定される区画の形状に応じて定まる。たとえば支持基板11上にマトリクス状の区画が設定される場合、支持基板にはこのマトリクス状の区画を画定する格子状の隔壁が設けられる。また支持基板11上にストライプ状の区画が設定される場合、支持基板にはこのストライプ状の区画を画定するストライプ状の隔壁17が設けられる。本実施形態では支持基板にストライプ状の隔壁17が設けられる形態の発光装置について説明する。すなわち本実施形態では隔壁17は、支持基板11上において所定の行方向Xにそれぞれ延在する複数本の隔壁部材20から構成されている。複数本の隔壁部材20は、行方向Xとは方向が異なる列方向Yに所定の間隔をあけて配置されている。なお本実施形態おける行方向Xおよび列方向Yは、互いに垂直な方向であって、かつそれぞれが支持基板11の厚み方向Zに垂直な方向を意味する。以下において、列方向Yに隣り合う一対の隔壁部材20と支持基板11とによって規定される凹みを凹部18ということがある。支持基板11上には複数本の隔壁部材20に対応する複数本の凹部18が設定される。本実施形態では、この複数本の凹部18が、隔壁によって画定される区画に相当する。
なお本実施形態では支持基板11と隔壁17との間に絶縁膜15がさらに設けられる。この絶縁膜15はたとえば行方向Xまたは列方向Yに隣り合う有機EL素子22間の電気的な絶縁を確保するために設けられる。本実施形態における絶縁膜15は格子状に形成されている。格子状の絶縁膜15は、行方向Xに延在する複数本の帯状の部材と、列方向Yに延在する複数本の帯状の部材とが一体的に形成されて構成されている。換言すると絶縁膜15は電気絶縁性を示す薄膜に多数の開口がマトリクス状に形成された形状を有する。絶縁膜15の開口は、支持基板の厚み方向の一方から見て(以下、「平面視で」ということがある。)有機EL素子と重なる位置に形成される。絶縁膜15の開口は平面視で、後述する第1の電極12とほぼ一致するように形成され、たとえば略矩形、小判形、略円形および略楕円形などに形成される。格子状の絶縁膜15は平面視で、第1の電極12を除く領域に主に形成され、その一部が第1の電極12の周縁を覆って形成されている。また前述した複数本の隔壁部材20は、絶縁膜15の一部を構成する複数本の帯状の部材上に設けられる。
有機EL素子22は隔壁によって画定される区画に設けられる。本実施形態では複数の有機EL素子22は、列方向Yに隣り合う隔壁部材20間(すなわち凹部18)に設けられ、各隔壁部材20間において、行方向Xに所定の間隔をあけて配置されている。すなわち本実施形態では複数の有機EL素子22は支持基板11上においてマトリクス状に整列して配置されており、それぞれ行方向Xに所定の間隔をあけるとともに、列方向Yにも所定の間隔をあけて配置される。なお各有機EL素子22は物理的に離間している必要はなく、個別に駆動できるように電気的に絶縁されていればよい。そのため有機EL素子を構成する一部の層(電極や有機EL層)は他の有機EL素子と物理的につながっていてもよい。
有機EL素子22は、第1の電極12、有機EL層13,14、第2の電極16が支持基板11寄りからこの順に配置されて構成される。
第1の電極12および第2の電極16は、陽極と陰極とからなる一対の電極を構成する。すなわち第1の電極12および第2の電極16のうちの一方が陽極として設けられ、他方が陰極として設けられる。また第1の電極12および第2の電極16のうちの第1の電極12が支持基板11寄りに配置され、第2の電極16が、第1の電極12よりも支持基板11から離間して配置される。
有機EL素子22は1層以上の有機EL層を備える。なお有機EL層は第1の電極と第2の電極とに挟持される全ての層を意味する。有機EL素子は有機EL層として少なくとも1層以上の発光層を備える。また電極間には発光層に限らず、必要に応じて所定の層が設けられる。たとえば陽極と発光層との間には有機EL層として、正孔注入層、正孔輸送層、および電子ブロック層などが設けられ、発光層と陰極との間には有機EL層として、正孔ブロック層、電子輸送層、および電子注入層などが設けられる。
本実施形態の有機EL素子22は第1の電極12と発光層14との間に、有機EL層として正孔注入層13を備える。
以下では実施の一形態として、陽極として機能する第1の電極12と、正孔注入層13と、発光層14と、陰極として機能する第2の電極16とが、支持基板11寄りからこの順番で積層されて構成される有機EL素子22について説明する。
本実施形態の発光装置21はアクティブマトリクス型の装置なので、第1の電極12は有機EL素子22ごとに個別に設けられる。すなわち有機EL素子22の数と同数の第1の電極12が支持基板11上に設けられる。たとえば第1の電極12は薄膜状であって、平面視で略矩形状に形成される。第1の電極12は支持基板11上において、各有機EL素子が設けられる位置に対応してマトリクス状に設けられる。複数の第1の電極12は、行方向Xに所定の間隔をあけるとともに、列方向Yに所定の間隔をあけて配置される。なお第1の電極12は平面視で、列方向Yに隣り合う隔壁部材20間に設けられ、各隔壁部材20間において、行方向Xに所定の間隔をあけて配置されている。
前述したように格子状の絶縁膜15は平面視で第1の電極12を除く領域に主に形成され、その一部が第1の電極12の周縁を覆って形成される。すなわち絶縁膜15には第1の電極12上に開口が形成され、この開口によって第1の電極12の表面が絶縁膜15から露出している。
正孔注入層13は隔壁部材20に挟まれた領域に行方向Xに延在して配置される。すなわち正孔注入層13は、列方向Yに隣り合う隔壁部材20によって画定される凹部18に、帯状に形成されており、行方向Xに隣り合う有機EL素子22に亘って連続して形成されている。
発光層14は隔壁部材20に挟まれた領域に行方向Xに延在して配置される。すなわち発光層14は、列方向Yに隣り合う隔壁部材20によって画定される凹部18に、帯状に形成されており、行方向Xに隣り合う有機EL素子に亘って連続して形成されている。帯状の発光層14は帯状の正孔注入層13上に積層される。
本発明はモノクロ表示装置にも適用することができるが、本実施形態では一例としてカラー表示装置について説明する。カラー表示装置の場合、赤色、緑色および青色のいずれか1種の光を放つ3種類の有機EL素子が支持基板11上に設けられる。カラー表示装置はたとえば以下の(I)(II)(III)の行を、この順序で、列方向Yに繰り返し配置することにより実現することができる。
(I)赤色の光を放つ複数の有機EL素子22Rが行方向Xに所定の間隔をあけて配置される行。
(II)緑色の光を放つ複数の有機EL素子22Gが行方向Xに所定の間隔をあけて配置される行。
(III)青色の光を放つ複数の有機EL素子22Bが行方向Xに所定の間隔をあけて配置される行。
このように発光色の異なる3種類の有機EL素子を形成する場合、通常は素子の種類ごとに発光色の異なる発光層が設けられる。本実施形態では以下の(i)(ii)(iii)の行を、この順序で、列方向Yに繰り返し配置する。
(i)赤色の光を放つ発光層14Rが設けられる行。
(ii)緑色の光を放つ発光層14Gが設けられる行。
(iii)青色の光を放つ発光層14Bが設けられる行。
この場合、行方向Xに延在する帯状の3種類の発光層14R,14G,14Bが、それぞれ列方向Yに2行の間隔をあけて順次正孔注入層13上に積層される。
第2の電極16は発光層14上に設けられる。なお本実施形態では第2の電極16は複数の有機EL素子22にまたがって連続して形成され、複数の有機EL素子に共通の電極として設けられる。第2の電極16は、発光層14上だけでなく、隔壁17上にも形成され、発光層14上の電極と隔壁17上の電極とが連なるように全面に形成されている。
<発光装置の製造方法>
次に発光装置の製造方法について説明する。
(支持基板を用意する工程)
本工程では第1の電極12と隔壁17とがその上に設けられた支持基板11を用意する。アクティブマトリクス型の表示装置の場合、複数の有機EL素子を個別に駆動するための回路が予め形成された基板を支持基板11として用いることができる。たとえばTFT(Thin Film Transistor)およびキャパシタなどが予め形成された基板を支持基板として用いることができる。なお第1の電極12と隔壁17とを以下のように本工程で形成することによって、第1の電極12と隔壁17とがその上に設けられた支持基板11を用意してもよいが、第1の電極12と隔壁17とが予めその上に設けられた支持基板11を市場から入手することにより支持基板11を用意してもよい。
次に支持基板11上に複数の第1の電極12をマトリクス状に形成する。第1の電極12は、たとえば支持基板11上の一面に導電性薄膜を形成し、これをフォトリソグラフィー法によってマトリクス状にパターニングすることによって形成される。またたとえば所定の部位に開口が形成されたマスクを支持基板11上に配置し、このマスクを介して支持基板11上の所定の部位に導電性材料を選択的に堆積することにより第1の電極12をパターン形成してもよい。第1の電極12の材料については後述する。
次に隔壁17を支持基板11上に形成する。本実施形態では複数本の隔壁部材20からなる隔壁17を形成する。隔壁17は有機物または無機物によって構成される。隔壁17を構成する有機物としてはアクリル樹脂、フェノール樹脂、およびポリイミド樹脂などの樹脂を挙げることができる。また隔壁17を構成する無機物としてはSiOやSiNなどを挙げることができる。隔壁は有機物によって構成することが好ましい。隔壁で囲まれた凹部18に供給されるインキを凹部18内に保持するためには、隔壁は撥液性を示すことが好ましいが、一般に無機物よりも有機物の方がインキに対して撥液性を示すので、有機物によって隔壁を構成することにより、凹部18内にインキを保持する能力が高まるためである。
有機物からなる隔壁17を形成する場合、まずたとえばポジ型またはネガ型の感光性樹脂を一面に塗布し、所定の部位を露光、現像する。さらにこれを硬化することによって、複数本の隔壁部材20が形成される。なお感光性樹脂としてはフォトレジストを用いることができる。また無機物からなる隔壁17を形成する場合、無機物からなる薄膜をプラズマCVD法やスパッタ法などによって一面に形成し、次に所定の部位を除去することにより複数本の隔壁部材20が形成される。所定の部位の除去はたとえばフォトリソグラフィー法によって行われる。
なお格子状の絶縁膜15を備える発光装置を作製する場合には、隔壁17を形成する工程の前に絶縁膜15を形成する。絶縁膜15はたとえば隔壁の材料として例示した材料を用いて、隔壁を形成する方法と同様にして格子状に形成することができる。
隔壁17に加えて絶縁膜15を形成する場合、絶縁膜15は、有機物よりも親液性を示す無機物によって構成することが好ましい。絶縁膜15が撥液性を示す場合、隔壁に囲まれる凹部18に供給されるインキが絶縁膜15に弾かれつつ乾燥することがあり、絶縁膜15の存在が有機EL層の平坦性に影響し、その結果として平坦な有機EL層が得られないおそれがあるためである。
隔壁17の形状、並びにその配置は、画素数および解像度などの表示装置の仕様や製造の容易さなどに応じて適宜設定される。たとえば隔壁部材20の列方向Yの幅L1は、5μm〜50μm程度であり、隔壁部材20の高さL2は0.5μm〜5μm程度であり、列方向Yに隣り合う隔壁部材20間の間隔L3、すなわち凹部18の列方向Yの幅L3は、10μm〜200μm程度である。また第1の電極12の行方向Xおよび列方向Yの幅はそれぞれ10μm〜400μm程度である。
(有機EL層を形成する工程)
本工程ではまず有機EL層となる材料を含むインキを、隔壁によって囲まれる領域に供給する。本実施形態では有機EL層に相当する正孔注入層13となる材料を含むインキを、隔壁17によって囲まれる領域に供給する。すなわちインキを凹部18に供給する。
インキを供給する方法としては、隔壁部材20間にインキを選択的に供給することが可能な塗布法であればどのような方法でもよい。このような方法としてはインキを断続的に滴下する方法、液柱状にインキを流下する方法、および印刷版に付着させたインキを印刷する方法などがある。断続的にインキを滴下する方法では、インキの着弾点において液滴間に隙間が空く場合があり、これが膜厚の均一性を低下させる原因となることがあり、また印刷版を用いる方法では、版と被印刷物とを高精度に位置合わせする必要があり、大面積にわたって意図した通りにインキを印刷することが難しいが、連続的にインキを流下する方法ではこのような問題が本質的に生じないため、上述したインキを供給する方法としては液柱状にインキを流下する方法が好ましい。液柱状にインキを流下し、インキを供給する方法としては、ノズルからインキを液柱状に流下するノズルプリンティング法が好ましい。なおインキを断続的に滴下する方法には、インクジェットプリント法があげられ、印刷版に付着させたインキを印刷する方法としては、凸版印刷法および凹版印刷法などがあげられる。
ノズルプリンティング法では一筆書きで各行(各凹部18)にインキを供給する。すなわち支持基板11の上方に配置されるノズルから液柱状のインキを吐出したまま、ノズルを行方向Xに往復移動させつつ、ノズルの往復移動の折り返しの際に、支持基板を列方向Yに所定の距離だけ移動させることによって、各行にインキを供給する。たとえばノズルの往復移動の折り返しの際に、支持基板を列方向Yに1行分だけ移動することによって、全ての行にインキを供給することができる。
より具体的にはノズルから液柱状のインキを吐出したまま、以下の(1)〜(4)の工程をこの順序で繰り返すことにより、全ての隔壁部材20間(凹部18)にインキを供給することができる。
(1)ノズルを行方向Xの一端から他端に移動する工程。
(2)支持基板11を列方向Yの一方に1行分だけ移動する工程。
(3)ノズルを行方向Xの他端から一端に移動する工程。
(4)支持基板を列方向Yの一方に1行分だけ移動する工程。
本工程では、前記隔壁によって囲まれる領域の容積の90%以上120%以下の体積のインキを供給する。インキの供給は、前記隔壁によって囲まれる領域の容積の90%以上118%以下がさらに好ましい。本実施形態では隔壁によって囲まれる領域の容積は、凹部18の容積に相当する。なお図2では隔壁部材20の断面形状を台形によって示しているが、通常、隔壁部材20の断面形状はドーム型になっている。このようなドーム型の断面形状を有する隔壁部材20では、隔壁によって囲まれる領域の容積は、各隔壁部材20の稜線を結ぶ平面を上面とする、凹部18の容積に相当する。
隔壁によって囲まれる領域の容積に対して、供給するインキの量が少なすぎる場合、供給したインキが凹部18の底面で完全には濡れ拡がらないことがあり、結果として有機EL層に穴が形成されることがある。他方、隔壁によって囲まれる領域の容積に対して、供給するインキの量が多すぎる場合、所定の区画(凹部18)に供給されたインキが、隔壁部材20を越えて、隣の区画(凹部18)にまで溢れ出ることがある。これに対して、隔壁によって囲まれる領域の容積の90%以上120%以下の体積のインキを供給した場合には、凹部18の底面でインキが濡れ拡がり、穴のない有機EL層(本実施形態では正孔注入層)が形成されるとともに、隣の区画(凹部18)にまでインキが溢れ出ることを防ぐことができ、インキが供給された区画(凹部18)にのみ有機EL層(本実施形態では正孔注入層)を形成することができる。
有機EL層に相当する正孔注入層13は、隔壁部材20間に供給されたインキが固化することによって形成される。インキの固化はたとえば溶媒を除去することによって行うことができる。溶媒の除去は、自然乾燥、加熱乾燥および真空乾燥などによって行うことができる。また使用するインキが、光や熱などのエネルギーを加えることによって重合する材料を含む場合、インキを供給した後に光や熱などのエネルギーを加えることによって正孔注入層13を固化してもよい。
(発光層を形成する工程)
次に発光層を形成する。前述したようにカラー表示装置を作製する場合、3種類の有機EL素子を作製する必要がある。そのため発光層の材料を行ごとに塗りわける必要がある。たとえば3種類の発光層を行ごとに形成する場合、赤色の光を放つ材料を含む赤インキ、緑色の光を放つ材料を含む緑インキ、青色の光を放つ材料を含む青インキを、それぞれ列方向Yに2行の間隔をあけて塗布する必要がある。これら赤インキ、緑インキ、青インキを所定の行に順次塗布することによって、各発光層を塗布成膜することができる。赤インキ、緑インキ、青インキを所定の行に順次塗布する方法としては、隔壁部材間にインキを選択的に供給することが可能な塗布法であればどのような方法でもよい。このような方法としては、インキを断続的に滴下する方法、液柱状にインキを流下する方法、および印刷版に付着させたインキを印刷する方法などがあるが、上述したように本実施形態では液柱状にインキを流下する方法が好ましい。たとえば液柱状にインキを流下する方法の1つであるノズルプリンティング法によって、前述した正孔注入層を形成する方法と同様にしてインキを塗布することができる。
より具体的にはノズルから液柱状の赤インキを吐出したまま、以下の(1)〜(4)の工程をこの順序で繰り返すことにより、列方向Yに2行の間隔をあけて隔壁部材20間(凹部18)に赤インキを供給することができる。
(1)ノズルを行方向Xの一端から他端に移動する工程。
(2)支持基板11を列方向Yの一方に3行分だけ移動する工程。
(3)ノズルを行方向Xの他端から一端に移動する工程。
(4)支持基板を列方向Yの一方に3行分だけ移動する工程。
上述の赤インキと同様にして緑インキ、青インキをそれぞれ供給することによって、列方向Yに2行の間隔をあけて隔壁部材20間(凹部18)にそれぞれ緑インキ、青インキを供給することができる。
本工程では、前記隔壁によって囲まれる領域の容積の90%以上120%以下の体積のインキを供給する。なお本工程におけるインキは、赤インキ,青インキ,緑インキに相当する。このように、供給するインキの量を調整することによって、凹部18の底面でインキが濡れ拡がり、穴のない有機EL層(本実施形態では発光層)を形成することができるとともに、隣の区画にまでインキが溢れ出ることを防ぐことができ、インキが供給された区画にのみ有機EL層(本実施形態では発光層)を形成することができる。
なお、上述のように正孔注入層13を形成する工程では1種類のインキを各行に供給するため、たとえインキが隔壁を超えて隣の区画にまで溢れ出たとしても、同じ種類のインキが混ざるだけである。他方、赤インキ,青インキ,緑インキのように違う種類のインキを塗り分ける場合、インキが隔壁を超えて隣の区画にまで溢れ出し、違う種類のインキが混ざり合うことになると、発光色や発光効率などの発光特性に大きな影響を及ぼすことがあるが、本実施形態では供給するインキの量を調整することによって、違う種類のインキが混ざり合うことを防ぐことができ、発光特性の低下を防ぐことができる。
発光層は、隔壁部材20間に供給されたインキが固化することによって形成される。インキの固化はたとえば溶媒を除去することによって行うことができる。溶媒の除去は、自然乾燥、加熱乾燥および真空乾燥などによって行うことができる。また使用するインキが、光や熱などのエネルギーを加えることによって重合する材料を含む場合、インキを供給した後に光や熱などのエネルギーを加えることによって発光層を固化してもよい。
発光層を形成した後、必要に応じて所定の有機層や無機層などを所定の方法によって形成する。これらは印刷法、インクジェット法、ノズルプリンティング法などの所定の塗布法、さらには所定の乾式法を用いて形成してもよい。
(第2の電極を形成する工程)
次に第2の電極を形成する。前述したように本実施形態では第2の電極を支持基板上の全面に形成する。これによって複数の有機EL素子を基板上に形成することができる。
上述の有機EL層(本実施の形態では正孔注入層および発光層)を形成する工程において使用するインキは、その粘度が15cP以上30cP以下であることが好ましい。たとえばインキの粘度が低すぎると、凹部18に供給されたインキが隔壁部材20を越えて、隣の区画に溢れ出るおそれがあり、他方、インキの粘度が高すぎると、ノズルからのインキの吐出不良が発生することがあるが、粘度が15cP以上30cP以下のインキを使用することで、隔壁で囲まれた領域に供給されたインキが、隔壁を越えて隣の区画に溢れ出ることを防ぐとともに、インキの吐出不良を防ぐことができる。
また上述の有機EL層(本実施の形態では正孔注入層および発光層)を形成する工程において使用するインキは、その濃度が10mg/ml以上30mg/ml以下であることが好ましい。インキの濃度が高すぎると、インキがゲル化したり、インキの固形分成分が沈殿したりすることがあるためである。
なお有機EL層の膜厚は主にインキの濃度とその供給量によって定まる。通常、有機EL層の膜厚はその最適値が予め決まっているために、インキの濃度とインキの供給量とは、有機EL層の膜厚の最適値から逆算して定まる。そして本実施形態では隔壁によって囲まれる領域の容積の90%以上120%以下の体積のインキを供給するため、インキの供給量は、隔壁の高さによって主に定まる。そのため、インキの濃度が10mg/ml以上30mg/ml以下とした場合、隔壁の高さは自ずから所定の範囲の高さに設定される。インキの濃度が低い場合、所定の膜厚の有機EL層を得るためにはインキの供給量を多くする必要があるが、そのためには隔壁の高さを高くする必要がある。そのため、隔壁によって囲まれる領域の容積の90%以上120%以下の体積のインキを供給すると、隔壁表面とインキとが接触する面積が大きくなる。インキはその溶媒が気化することによって収縮しつつ薄膜化するが、その際に、隔壁表面を伝いつつ収縮するので、インキと隔壁表面とが接触する面積が大きい場合、隔壁表面の性状の影響を大きく受け、結果として均一な膜厚の有機EL層を得ることができないことがある。これに対して、濃度が10mg/ml以上30mg/ml以下のインキを使用した場合には、適度な高さの隔壁を使用することができる。そのためインキと隔壁とが接触する面積を比較的小さくすることができ、薄膜化する際の、隔壁表面の性状の影響を小さくし、結果として均一な膜厚の有機EL層を得ることができる。
また隔壁は、インキとの接触角が5度以上50度以下であることが好ましい。インキとの接触角が小さすぎる場合、インキが隔壁表面に沿って濡れ拡がり、凹部18に供給されたインキが隔壁部材20を越えて、隣の区画に溢れ出るおそれがあるためである。逆に、凹部18に供給されたインキを凹部18に保持するためには、たしかに隔壁が撥液性を示すことが好ましいが、インキとの接触角を高くするためには通常、撥液処理が必要になり、工程数が増加してしまう。たとえばインキとの接触角を高くするためにはCFガス中においてプラズマ処理を行う必要がある。また撥液処理を施す際に意図しない不純物が素子に混入することによって素子の特性が低下するおそれもある。そこでインキとの接触角を5度以上50度以下とすることにより、インキが溢れ出ることを防ぐとともに、工程数の増加および素子特性の低下を抑制することができる。
また上述の有機EL層(本実施の形態では正孔注入層および発光層)を形成する工程において使用するインキは、その表面張力が30mN/m以上72mN/m以下であることが好ましい。インキの表面張力が低すぎる場合、凹部18に供給されたインキが隔壁部材20を越えて隣の区画に溢れ出るおそれがあるが、表面張力の高いインキを用いることによって、インキが隔壁部材20を越えて隣の区画に溢れ出ることを防ぐことができる。なお表面張力は、高い方が好ましく特にその上限値を規定する必要はないが、通常、72mN/m以下である。
また上述の有機EL層(本実施の形態では正孔注入層および発光層)を形成する工程において使用するインキは、沸点が190℃以上260℃以下の溶媒を含むことが好ましい。沸点の高い溶媒は蒸発し難く、このような特性を示す沸点の高い溶媒を用いることによって、凹部18に供給されたインキの乾燥速度を遅くすることができ、インキが固化するまでの時間を長くすることができる。このようにインキを液状の状態に長く保つことによって、凹部18中におけるインキの濃度および液面の高さを均一化することができ、結果として膜厚が均一な有機EL層を得ることができる。インキにおける、沸点が190℃以上260℃以下の溶媒の割合は、10重量%〜70重量%が好ましく、40重量%〜60重量%がさらに好ましい。
上述のインキの表面張力および粘度は、有機EL層となる材料の濃度(固形分濃度)および溶媒の種類を調整することによって調整することができる。なおインキの組成および特性はインキが薄膜化する際に経時的に変化するが、上述のインキの組成およびその特性は、インキが流下されるときのインキの組成およびその特性を意味する。インキの溶媒としては所定の沸点を示す溶媒を1種単独で用いても、複数種類の溶媒を併用してもよい。インキの溶媒としては、たとえばクロロホルム(沸点61℃)、塩化メチレン(沸点40℃)、1,1−ジクロロエタン(沸点57℃)、1,2−ジクロロエタン(沸点83℃)、1,1,1−トリクロロエタン(沸点74℃)、1,1,2−トリクロロエタン(沸点113℃)等の脂肪族塩素系溶媒、クロロベンゼン(沸点132℃)、o−ジクロロベンゼン(沸点180℃)、m−ジクロロベンゼン(沸点173℃)、p−ジクロロベンゼン(沸点174℃)等の芳香族塩素系溶媒、テトラヒドロフラン(沸点66℃)、1,4−ジオキサン(沸点101℃)等の脂肪族エーテル系溶媒、アニソール(沸点154℃)、エトキシベンゼン(沸点170℃)等の芳香族エーテル系溶媒、トルエン(沸点111℃)、o−キシレン(沸点144℃)、m−キシレン(沸点139℃)、p−キシレン(沸点138℃)、エチルベンゼン(沸点136℃)、p−ジエチルベンゼン(沸点184℃)、メシチレン(沸点211℃)、n−プロピルベンゼン(沸点159℃)、イソプロピルベンゼン(沸点152℃)、n−ブチルベンゼン(沸点183℃)、イソブチルベンゼン(沸点173℃)、s−ブチルベンゼン(沸点173℃)、テトラリン(沸点208℃)、シクロヘキシルベンゼン(沸点235℃:737mmHgで測定)等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン(沸点81℃)、メチルシクロヘキサン(沸点101℃)、n−ペンタン(沸点36℃)、n−ヘキサン(沸点69℃)、n−へプタン(沸点98℃)、n−オクタン(沸点126℃)、n−ノナン(沸点151℃)、n−デカン(沸点174℃)、デカリン(cis体は沸点196℃、trans体は沸点187℃)、ビシクロヘキシル(沸点217〜233℃)等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン(沸点56℃)、メチルエチルケトン(沸点80℃)、メチルイソブチルケトン(沸点117℃)、シクロヘキサノン(沸点156℃)、2−ヘプタノン(沸点150℃)、3−ヘプタノン(沸点147℃:765mmHgで測定)、4−ヘプタノン(沸点144℃)、2−オクタノン(沸点174℃)、2−ノナノン(沸点195℃)、2−デカノン(沸点209℃)等の脂肪族ケトン系溶媒、アセトフェノン(沸点202℃)等の芳香族ケトン系溶媒、酢酸エチル(沸点77℃)、酢酸ブチル(沸点120〜125℃)等の脂肪族エステル系溶媒、安息香酸メチル(沸点200℃)、安息香酸ブチル(沸点213℃)、酢酸フェニル(沸点196℃)等の芳香族エステル系溶媒、エチレングリコール(沸点198℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(沸点171℃)、エチレングリコールモノエチルエーテル(沸点135℃)、エチレングリコールモノメチルエーテル(沸点125℃)、1,2−ジメトキシエタン(沸点85℃)、プロピレングリコール(沸点188℃)、1,2−ジエトキシメタン(沸点124℃)、トリエチレングリコールジエチルエーテル(沸点222℃)、2,5−ヘキサンジオール(沸点218℃)等の脂肪族多価アルコール系溶媒及び脂肪族多価アルコールの誘導体からなる溶媒、メタノール(沸点65℃)、エタノール(沸点78℃)、プロパノール(沸点97℃)、イソプロパノール(沸点82℃)、シクロヘキサノール(沸点161℃)等の脂肪族アルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド(沸点37℃)等の脂肪族スルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン(沸点202℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(沸点153℃)等の脂肪族アミド系溶媒があげられる。
また支持基板を用意する工程の後、かつ前記インキを供給する工程の前に、親液化処理を施すことが好ましい。このように親液化処理を施すことによって、凹部18に供給されたインキが凹部18の底面を濡れ拡がるため、有機EL層に穴が形成されることを防ぐことができる。親液化はUV処理や酸素プラズマ処理によって行うことができるが、これらの中でも酸素プラズマ処理が好ましい。酸素プラズマ処理は、親液化処理を行う際に、意図しない不純物が素子に混入するおそれが少ないからである。
なお前述したように、液柱状にインキを流下し、インキを供給する方法は、ストライプ状に配置される凹部18にインキを欠陥なく簡易に供給する方法として適しているが、さらに、上述の濃度、表面張力、隔壁との接触角、粘度を満たすインキを供給する方法に特に適している。すなわちインクジェットプリント法では上述の濃度、表面張力、粘度を満たすインキではノズルに目詰まりが生じるおそれがあるため、濃度が低いインキを使用することが多く、そのため、表面張力および粘度の低いインキを使用することになるが、この場合、前述したように、凹部18に供給されたインキが隔壁部材20を越えて隣の区画に溢れ出るおそれがある。そこで濃度の低いインキを使用する場合には、インキの供給量を多くするとともに、インキが隔壁を超えて溢れ出ることを防ぐために、隔壁に撥液処理を施すことが多いが、隔壁に撥液処理を施すことは、前述したように撥液処理を施す際の意図しない不純物の混入、および工程数の増加につながる。これに対して液柱状にインキを流下し、インキを供給する方法では、ノズルに目詰まりが生じるおそれが少ないため、上述の濃度、表面張力、粘度を満たすインキを供給することができ、さらに隔壁との接触角が上述の範囲内であっても、たとえば上述の濃度、表面張力、粘度を満たすインキを使用することによって、凹部18に供給されたインキが隔壁部材20を越えて隣の区画に溢れ出ることを防ぐことができ、意図した形状の有機EL層を形成することができる。
<有機EL素子の構成>
前述したように有機EL素子は種々の層構成をとりうるが、以下では有機EL素子の層構造、各層の構成、および各層の形成方法についてさらに詳しく説明する。
前述したように有機EL素子は、陽極および陰極からなる一対の電極(第1および第2の電極)と、該電極間に設けられる1または複数の有機EL層とを含んで構成され、1または複数の有機EL層として少なくとも1層の発光層を有する。なお有機EL素子は、無機物と有機物とを含む層、および無機層などを含んでいてもよい。有機層を構成する有機物としては、低分子化合物でも高分子化合物でもよく、また低分子化合物と高分子化合物との混合物でもよい。有機層は、高分子化合物を含むことが好ましく、ポリスチレン換算の数平均分子量が10〜10である高分子化合物を含むことが好ましい。
陰極と発光層との間に設けられる有機EL層としては、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層などを挙げることができる。陰極と発光層との間に電子注入層と電子輸送層との両方の層が設けられる場合、陰極に近い層を電子注入層といい、発光層に近い層を電子輸送層という。陽極と発光層との間に設けられる有機EL層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層などを挙げることができる。正孔注入層と正孔輸送層との両方の層が設けられる場合、陽極に近い層を正孔注入層といい、発光層に近い層を正孔輸送層という。
本実施の形態の有機EL素子のとりうる層構成の一例を以下に示す。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
c)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
d)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極
e)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
f)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
g)陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
h)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
j)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
k)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
l)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
m)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
n)陽極/発光層/電子注入層/陰極
o)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
p)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(ここで、記号「/」は、記号「/」を挟む各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
本実施の形態の有機EL素子は2層以上の発光層を有していてもよい。上記a)〜p)の層構成のうちのいずれか1つにおいて、陽極と陰極とに挟持された積層体を「構造単位A」とすると、2層の発光層を有する有機EL素子の構成として、下記q)に示す層構成を挙げることができる。なお2つある(構造単位A)の層構成は互いに同じでも、異なっていてもよい。
q)陽極/(構造単位A)/電荷発生層/(構造単位A)/陰極
また「(構造単位A)/電荷発生層」を「構造単位B」とすると、3層以上の発光層を有する有機EL素子の構成として、下記r)に示す層構成を挙げることができる。
r)陽極/(構造単位B)x/(構造単位A)/陰極
なお記号「x」は、2以上の整数を表し、(構造単位B)xは、構造単位Bがx段積層された積層体を表す。また複数ある(構造単位B)の層構成は同じでも、異なっていてもよい。
ここで、電荷発生層とは電界を印加することにより正孔と電子を発生する層である。電荷発生層としては、たとえば酸化バナジウム、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、酸化モリブデンなどから成る薄膜を挙げることができる。
有機EL素子は、陽極および陰極から構成される一対の電極のうちの陽極を陰極よりも支持基板寄りに配置して、支持基板に設けてもよく、また陰極を陽極よりも支持基板寄りに配置して、支持基板に設けてもよい。たとえば上記a)〜r)において、右側から順に各層を支持基板上に積層して有機EL素子を構成してもよく、また左側から順に各層を支持基板上に積層して有機EL素子を構成してもよい。積層する層の順序、層数、および各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜設定することができる。
次に、有機EL素子を構成する各層の材料および形成方法についてより具体的に説明する。
<陽極>
発光層から放たれる光が陽極を通って素子外に出射する構成の有機EL素子の場合、陽極には光透過性を示す電極が用いられる。光透過性を示す電極としては、金属酸化物、金属硫化物および金属などの薄膜を用いることができ、電気伝導度および光透過率の高いものが好適に用いられる。具体的には酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、および銅などから成る薄膜が用いられ、これらの中でもITO、IZO、または酸化スズから成る薄膜が好適に用いられる。
陽極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などを挙げることができる。また陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
陽極の膜厚は、求められる特性や成膜工程の簡易さなどを考慮して適宜設定され、たとえば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
<陰極>
陰極の材料としては、仕事関数が小さく、発光層への電子注入が容易で、電気伝導度の高い材料が好ましい。また陽極側から光を取出す構成の有機EL素子では、発光層から放たれる光を陰極で陽極側に反射するために、陰極の材料としては可視光に対する反射率の高い材料が好ましい。陰極には、たとえばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属および周期表の13族金属などを用いることができる。陰極の材料としては、たとえばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、前記金属のうちの2種以上の合金、前記金属のうちの1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうちの1種以上との合金、またはグラファイト若しくはグラファイト層間化合物などが用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などを挙げることができる。また陰極としては導電性金属酸化物および導電性有機物などから成る透明導電性電極を用いることができる。具体的には、導電性金属酸化物として酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、およびIZOを挙げることができ、導電性有機物としてポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などを挙げることができる。なお陰極は、2層以上を積層した積層体で構成されていてもよい。なお電子注入層が陰極として用いられることもある。
陰極の膜厚は、求められる特性や成膜工程の簡易さなどを考慮して適宜設定され、たとえば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法などを挙げることができる。
<正孔注入層>
正孔注入層を構成する正孔注入材料としては、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、および酸化アルミニウムなどの酸化物や、フェニルアミン系化合物、スターバースト型アミン系化合物、フタロシアニン系化合物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、およびポリチオフェン誘導体などを挙げることができる。
正孔注入層の膜厚は、求められる特性および成膜工程の簡易さなどを考慮して適宜設定され、たとえば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<正孔輸送層>
正孔輸送層を構成する正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などを挙げることができる。
正孔輸送層の膜厚は、求められる特性および成膜工程の簡易さなどを考慮して設定され、たとえば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<発光層>
発光層は、通常、主として蛍光及び/又はりん光を発光する有機物、または該有機物とこれを補助するドーパントとから形成される。ドーパントは、たとえば発光効率の向上や、発光波長を変化させるために加えられる。なお発光層を構成する有機物は、低分子化合物でも高分子化合物でもよく、塗布法によって発光層を形成する場合には、発光層は高分子化合物を含むことが好ましい。発光層を構成する高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量はたとえば10〜10程度である。発光層を構成する発光材料としては、たとえば以下の色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料、ドーパント材料を挙げることができる。
(色素系材料)
色素系材料としては、たとえば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体などを挙げることができる。
(金属錯体系材料)
金属錯体系材料としては、たとえばTb、Eu、Dyなどの希土類金属、またはAl、Zn、Be、Ir、Ptなどを中心金属に有し、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを配位子に有する金属錯体を挙げることができ、たとえばイリジウム錯体、白金錯体などの三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、フェナントロリンユーロピウム錯体などを挙げることができる。
(高分子系材料)
高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素系材料や金属錯体系発光材料を高分子化したものなどを挙げることができる。
発光層の厚さは、通常約2nm〜200nmである。
<電子輸送層>
電子輸送層を構成する電子輸送材料としては、公知のものを使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体などを挙げることができる。
電子輸送層の膜厚は、求められる特性や成膜工程の簡易さなどを考慮して適宜設定され、たとえば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<電子注入層>
電子注入層を構成する材料としては、発光層の種類に応じて最適な材料が適宜選択され、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のうちの1種類以上を含む合金、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、またはこれらの物質の混合物などを挙げることができる。アルカリ金属、アルカリ金属の酸化物、ハロゲン化物、および炭酸塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化カリウム、フッ化カリウム、酸化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化セシウム、炭酸リチウムなどを挙げることができる。また、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩の例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。電子注入層は、2層以上を積層した積層体で構成されてもよく、たとえばLiF/Caなどを挙げることができる。
電子注入層の膜厚としては、1nm〜1μm程度が好ましい。
有機EL層のうちで塗布法によって形成することが可能な有機EL層が複数ある場合には、全ての有機EL層を塗布方法を用いて形成することが好ましいが、たとえば塗布法によって形成することが可能な複数の有機EL層のうちの少なくとも1層を塗布法を用いて形成し、他の有機EL層を塗布法とは異なる方法によって形成してもよい。また複数の有機EL層を塗布法で形成する場合であっても、その塗布法の具体的方法が異なる塗布法によって複数の有機EL層を形成してもよい。たとえば本実施形態では正孔注入層および発光層をノズルコーティング法によって形成したが、正孔注入層をスピンコート法で形成し、発光層をノズルコーティング法によって形成してもよい。また塗布法とは異なる方法として、真空蒸着法、スパッタリング法、ラミネート法、およびスプレーコート法などによって有機EL層を形成してもよい。
図1および図2に模式的に示す発光装置とほぼ同様の構成の発光装置を作製した。なお本実施例で作製した有機EL素子は、正孔注入層と発光層との間に中間層をさらに備える。
まず陽極および絶縁膜がその上に形成された支持基板を用意した。支持基板はガラス板からなり、陽極

はITO薄膜からなり、絶縁膜はSiOからなる。陽極および絶縁膜の膜厚は200nmである。絶縁膜にはITOが露出するように矩形状の開口が形成されており、開口のサイズは行方向Xが200μm、列方向Yが70μmである。
次にストライプ状の隔壁部材を形成した。まずポジ型感光成材料であるOFPR−800(東京応化社製)をスピンコーティング法により基板全面に塗布成膜し、膜厚が2μmの薄膜を形成した。次に、隔壁部材の列方向Yの幅が20μm、隔壁部材と隔壁部材との間隔(周期)が100μmとなるように設計されたフォトマスクを用いて露光し、さらにアルカリ現像液(NMD-3東京応化社製)により現像を行った。そして230℃で30分間加熱硬化処理を行い、完全に不溶化させて隔壁部材を形成した。隔壁によって囲まれる領域の容積は、行方向Xの単位長さ当たり、1.63×10−10であった。
次に、インキを塗布する前に、基板に酸素プラズマ処理を施した。SAMCO社製RIE−200Lを用い、酸素ガスを導入し、5Pa、40SCCM、30Wの条件で30秒間酸素プラズマ処理を施した。
次に、正孔注入層としてPEDOT膜を形成した。まず、H.C.Starck社製のCLEVIOS P VP CH8000と純水とを、体積比で40:60となるように混合してインキを調整した。インキの表面張力は70mN/m、粘度は6.3cPであった。また、隔壁に対する接触角は40度であった。用意したインキをノズルプリンティング装置(大日本スクリーン製造(株)社製、NP−300G)を使用し、流量78μL/min、ノズル走査速度2.5m/sの条件で各凹部に塗布した。その後、クリーンオーブン(ヤマト化学(株)社製、DT610)を用いて大気下で200度、20分加熱し、正孔注入層を形成した。
次に中間層を形成した。まず、和光純薬工業(株)製の特級アニソールと特級フェニルシクロヘキサンを1:1で混合した溶媒に、中間層となる高分子材料を10mg/mlの濃度で添加し、50℃で10時間加熱撹拌し、中間層用のインキを調製した。インキの表面張力は34mN/mであり、粘度は4.5cPであった。また隔壁に対する接触角は15度であった。用意したインキをノズルプリンティング装置(大日本スクリーン製造(株)社製、NP−300G)を使用し、流量26μL/min、ノズル走査速度3.0m/sの条件で各凹部に塗布した。その後、ホットプレート(アズワン(株)社製、HP−1LA)を用いて窒素雰囲気下で180℃で60分加熱し、中間層を形成した。
次に発光層を形成した。まず和光純薬工業(株)製の特級アニソールと特級フェニルシクロヘキサンを1:1で混合した溶媒に、高分子青色発光材料、高分子緑色発光材料、高分子赤色発光材料をそれぞれ20mg/mlの濃度で添加し、50℃で10時間加熱撹拌し、発光層用のインキを調製した。青インキ、緑インキ、赤インキの表面張力はいずれも34mN/mであり、粘度はそれぞれ26cP、20cP、 24cPであった。また隔壁に対する接触角はいずれも15度であった。
上記で調製した赤インキ、青インキ、緑インキをそれぞれ2行おきに凹部に供給した。インキの供給にはノズルプリンティング装置(大日本スクリーン製造(株)社製、NP−300G)を使用し、青インキ、緑インキ、赤インキの順で塗布した。塗布の条件は、青インキは流量26μL/minでノズル走査速度2.6m/s、緑インキは流量30μL/minでノズル走査速度2.6m/s、赤インキは流量36μL/minでノズル走査速度3.0m/sとした。その後、ホットプレート(アズワン(株)社製、HP−1LA)を用いて窒素雰囲気下で130℃で15分加熱し、発光層を形成した。
次にBaを膜厚5nm、Alを膜厚100nmとなるよう順次蒸着し、陰極を形成した。
赤インキ、緑インキ、青インキの供給量を変えて、上述の発光装置を複数作製した。なおインキの供給量は、単位時間当たりのインキの吐出量、及び/又は、ノズルの走査速度を制御することによって調整した。
インキを供給し、これを固化した後に、その表面を蛍光顕微鏡((株)ニコン社製、ECLIPSE E800)を使用して観察し、成膜状態を評価した。図3は、評価結果を示す図である。横軸は、インキの供給量を表す。縦軸は評価結果を表し、同程度の評価結果のものを同じ高さで表している。図中、意図した有機EL層が成膜できた場合を記号「○」で表し、インキが凹部の底面で完全には濡れ拡がらず、部分的に有機EL層に穴が形成されている場合を記号「□」で表し、インキが隣の区画にまで溢れ出るまでには至らないが、隔壁上にまで有機EL層が形成されている場合を記号「△」で表し、インキが隣の区画にまで溢れ出し、隣の区画にまで有機EL層が形成されている場合を記号「×」で表している。
1 隔壁
2 隔壁によって囲まれた領域
3 有機EL層
11 支持基板
12 第1の電極(陽極)
13 正孔注入層
14 発光層
15 絶縁膜
16 第2の電極(陰極)
17 隔壁
18 凹部
20 隔壁部材
21 発光装置
22 有機EL素子

Claims (10)

  1. 支持基板と、
    該支持基板上に設けられ、前記支持基板上に設定される区画を画定する隔壁と、
    隔壁によって画定される区画に設けられた複数の有機EL素子とを備え、
    該有機EL素子が、第1の電極と、第2の電極と、第1および第2の電極間に設けられる有機EL層とを含んで構成される発光装置の製造方法であって、
    前記第1の電極と前記隔壁とがその上に設けられた前記支持基板を用意する工程と、
    有機EL層となる材料を含むインキを、隔壁によって囲まれる領域に供給する工程と、
    供給されたインキを固化することにより前記有機EL層を形成する工程と、
    前記第2の電極を形成する工程とを含み、
    前記インキを供給する工程では、前記隔壁によって囲まれる領域の容積の90%以上120%以下の体積のインキを供給する、発光装置の製造方法。
  2. 前記隔壁は、前記支持基板上において所定の行方向にそれぞれ延在する複数本の隔壁部材から構成され、
    複数本の隔壁部材は、前記行方向とは方向が異なる列方向に所定の間隔をあけて配置されている、請求項1記載の発光装置の製造方法。
  3. 前記インキの粘度が15cP以上30cP以下である、請求項1または2記載の発光装置の製造方法。
  4. 前記インキの濃度が10mg/ml以上30mg/ml以下である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
  5. 前記隔壁と前記インキとの接触角が5度以上50度以下である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
  6. 前記支持基板を用意する工程の後、かつ前記インキを供給する工程の前に、酸素プラズマ処理を施す、請求項5記載の発光装置の製造方法。
  7. 前記インキの表面張力が30mN/m以上72mN/m以下である、請求項1〜6のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
  8. 前記インキは、沸点が190℃以上260℃以下の溶媒を含む、請求項1〜7のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
  9. 前記インキを供給する工程では、液柱状にインキを流下し、インキを供給する、請求項1〜8のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
  10. 前記インキを供給する工程では、ノズルプリンティング法によってインキを供給する、請求項1〜9のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
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