JP2011204465A - 高周波加速空胴用部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶接部を低減した高周波加速空胴を製造するための高周波加速空胴用部品の製造方法を提供することにある。
【解決手段】アルミシャフト1にニオブ薄膜11を巻き付け、このアルミシャフト1をアルミカプセル4に挿入し、このアルミカプセル4をアルミ端板2,3でアルミカプセル4の両端を塞ぎ、真空引き口H1で真空引きして真空気密溶接し、このアルミカプセル4をHIP加工し、HIP加工されたアルミカプセル4からニオブの円筒を取り出す超伝導高周波加速空胴用部品の製造方法。
【選択図】 図4
【解決手段】アルミシャフト1にニオブ薄膜11を巻き付け、このアルミシャフト1をアルミカプセル4に挿入し、このアルミカプセル4をアルミ端板2,3でアルミカプセル4の両端を塞ぎ、真空引き口H1で真空引きして真空気密溶接し、このアルミカプセル4をHIP加工し、HIP加工されたアルミカプセル4からニオブの円筒を取り出す超伝導高周波加速空胴用部品の製造方法。
【選択図】 図4
Description
本発明は、荷電粒子を高周波により加速する加速器に用いられる高周波加速空胴用部品の製造方法に関する。
一般に、加速器は、電子、陽子、又はイオン等の荷電粒子を電磁場で最大数兆電子ボルト(数TeV)程度の高エネルギ状態に加速するための装置である。加速器は、元々は原子核や素粒子の研究のために開発されてきた。近年では、加速器を用いて発生させた放射光(SOR(synchrotron orbital radiation)光と呼ばれる)を利用して、超LSI(large scale integrated circuit)、微細加工(リソグラフィ)、物質研究等、生命科学などの広範な科学技術分野にまで適用範囲を広げている。この放射光は、真空中をほぼ光速で伝搬する電子が偏向磁場によりその軌道が曲げられたときに、その軌道の接線方向に発生する。
このように適用範囲の広い加速器には、荷電粒子の加速やSOR光として失われたエネルギを補給するために、荷電粒子ビームのビームラインに高周波加速空胴が設けられている。
高周波加速空胴内に供給された高周波は、発振することより、高電場が発生する。この高電場により、荷電粒子ビームは加速する。このように高電場が発生すると高周波加速空胴の内表面に循環電流が流れる。この循環電流は、高周波電流であるため、高周波加速空胴の内面の材質に応じた表皮深さを流れる。これにより、循環電流は、ジュール損失を招く。
このジュール損失は、無酸素銅やアルミニウムなどで作られた常伝導高周波加速空胴で、荷電粒子ビームの加速に必要な高電界を得るには、極めて大きくなる。このジュール損失を補うためには、大きな高周波電力を供給できる大出力の高周波発振器が必要とされる。しかし、高周波発振器の出力には限界があり、さらにジュール損失により発熱した高周波加速空胴を冷却する上でも多くの問題がある。このため、常伝導高周波加速空胴の適用には限界がある。
よって、高周波加速空胴の内面に電流が流れる電流を小さくするために、常伝導材料に比べて高周波抵抗が極めて低い超伝導材料で高周波加速空胴を製造することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この超伝導高周波加速空胴の使用分野は、多方面に亘っている。例えば、電子ビーム加速器に関しては、近年ドイツで建設が進められているX線自由電子レーザ用として、又は世界各地で開発が進められている国際リニアコライダー用として実現しつつある。このように、超伝導高周波加速空胴は、限られた電力及び限られた空間の範囲で、できるだけ高いエネルギを持った電子を得るために用いられている。
しかしながら、このような超伝導高周波加速空胴の製造には、溶接が多く使われている。空胴内面の溶接スパッタや溶接時の不純物の巻き込みは、ジュール損失を増加させる原因となり、高周波加速空胴の性能を制限する。このため、溶接部はできる限り減らす方がよい。溶接による超伝導高周波加速空胴の製造としては、深絞り加工等により板材から成形された椀状の超伝導材を溶接により接合する方法がある。
これに対して、溶接部を無くす(シームレス)製造方法としては、超伝導材からなる円筒を液圧成型等によって、空胴形状に加工することが考えられる。ここで、円筒を作るには、板を丸めてつき合わせた先端部を溶接するか、又はバルク材を削りだして製造するかのいずれかの方法がとられる。しかし、板を丸める製造方法では、溶接部を無くすことはできない。また、バルク材の削りだす製造方法では、切削クズが大量に発生しコストが高騰してしまう。
そこで、本発明の目的は、溶接部を低減した高周波加速空胴を製造するための高周波加速空胴用部品の製造方法を提供することにある。
本発明の観点に従った高周波加速空胴用部品の製造方法は、伝導材で型を覆うステップと、前記伝導材で覆われた型を外殻に内包するステップと、前記型が内包された前記外殻を真空気密溶接するステップと、前記真空気密溶接された前記外殻を熱間等方圧加工するステップと、前記熱間等方圧加工された前記外殻から前記型に成型された前記伝導材を取り出すステップとを含む。
本発明によれば、溶接部を低減した高周波加速空胴を製造するための高周波加速空胴用部品の製造方法を提供することができる。
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1〜図7を参照して、本発明の第1の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法の各工程を説明する。なお、図中において、同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、異なる部分について主に述べる。以降の実施形態も同様にして重複する説明を省略する。
図1〜図7を参照して、本発明の第1の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法の各工程を説明する。なお、図中において、同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、異なる部分について主に述べる。以降の実施形態も同様にして重複する説明を省略する。
図1は、アルミシャフト1にニオブ薄膜11を巻き付けた状態を示す斜視図である。図2は、ニオブ薄膜11を巻き付けた状態のアルミシャフト1を長手方向と垂直に切断した切断面を示す断面図である。図3は、ニオブ薄膜11を巻き付けた状態のアルミシャフト1を長手方向に切断した切断面の上部を示す断面図である。
アルミシャフト1は、外直径70mm程度、厚さ10mm程度のアルミニウム製のシャフトである。
ニオブ薄膜11は、厚さ1mm程度以下、幅10mm程度以下のリボン状(又はテープ状)のニオブの薄膜である。ニオブは、超伝導材である。なお、厚さは、実用上、1mm程度から10μm程度のものが適当であるが、可能であればいくら薄くてもよい。
作業者は、図1及び図2に示すように、アルミシャフト1にニオブ薄膜11を巻き付ける。このとき、図3に示すように、ニオブ薄膜11は、隣接するニオブ薄膜11との間に隙間が生じないように少し重ねながら巻き付ける。作業者は、ニオブ薄膜11を厚さ5mm程度になるまでアルミシャフト1に積層する。
図4は、ニオブ薄膜11を巻き付けたアルミシャフト1をアルミカプセル4に挿入する状態を示す斜視図である。
アルミカプセル4は、内直径80mm程度、厚さ10mm程度の円筒型のアルミニウム製の外殻である。アルミ端板2,3は、厚さ10mm程度の円盤型のアルミニウム製の端板である。アルミ端板2には、真空引き口H1が設けられている。
作業者は、ニオブ薄膜11を巻き付けたアルミシャフト1をアルミカプセル4に挿入する。作業者は、アルミカプセル4にアルミシャフト1を挿入後、アルミ端板2,3でアルミカプセル4の両端を塞ぐように取り付ける。
図5は、熱間等方圧加工(以下、「HIP(hot isostatic pressing)加工」という。)をする前段階の工程におけるワーク20の状態を示す斜視図である。
作業者は、アルミカプセル4にアルミ端板2,3を取り付け後、アルミカプセル4とアルミ端板2,3を真空気密溶接して、真空引き口H1からカプセル内部を真空排気(真空引き)する。作業者は、ニオブ薄膜11を巻き付けたアルミシャフト1が内包された状態のアルミカプセル4を、HIP加工のワーク20として、HIP炉内に設置する。作業者は、ヒータ過熱とアルゴンガス加圧によって、ワーク20をHIP加工する。
図6は、HIP加工後の工程におけるワーク20を取り出す状態を示す斜視図である。
作業者は、HIP加工後、HIP炉からワーク20を取り出す。作業者は、取り出したカプセル状のワーク20のアルミ端板2,3部分を機械加工により除去する。その後、作業者は、ワーク20の内部からニオブ薄膜11が成型されたパイプ状のワーク12が巻き付けられたアルミシャフト1を取り出す。作業者は、ニオブのワーク12の内部からアルミシャフト1を機械加工により除去する。
図7は、HIP加工されたニオブのワーク12を加工する状態を示す斜視図である。
作業者は、取り出したニオブのワーク12(ニオブの円筒)の両端部を図7に示す切断線LCで切断して、端面を仕上げる。
作業者は、ニオブの円筒をサブミクロン程度の表面粗さになるまで磨く。
作業者は、このように製造されたニオブの円筒を、空胴を構成する部品として用いて、超伝導高周波加速空胴を製造する。
本実施形態によれば、超伝導高周波加速空胴に用いるための円筒の材料であるニオブ薄膜11をアルミシャフト1に巻き付けて拡散接合させる。その後、拡散接合されたニオブ薄膜11からアルミシャフト1を抜き取ることで、目的となる円筒を製造することができる。このとき、ニオブ薄膜11間は拡散接合されるため、製造された円筒は、結晶粒界が均一となる。また、この円筒を製造する工程において溶接をしていないため、この円筒は、溶接痕のない円筒となる。
また、ニオブ薄膜11は、全て接合されて円筒を形成する。このため、円筒を製造するための材料であるニオブ薄膜11を最小限にすることができる。
さらに、ニオブ薄膜11のアルミシャフト1への巻き数を任意に選択することで、任意の厚みの円筒を製造することができる。
従って、上述のように製造することで、結晶粒界が一様で溶接痕のない超伝導材の円筒を製造することができる。この円筒を超伝導高周波加速空胴に適用することで、この超伝導高周波加速空胴は、溶接部を低減することができる。このため、超伝導高周波加速空胴は、高電場を発生させることのできる高品質なものになる。また、この製造方法により、溶接作業による作業コスト、及び材料コストを低減して、超伝導高周波加速空胴を製造することができる。さらに、この製造方法は、任意の厚みの超伝導高周波加速空胴を製造することができる。
(第1の実施形態の変形例)
本変形例による製造方法は、アルミシャフト1の代わりに、セラミック製のシャフトを用いる。
本変形例による製造方法は、アルミシャフト1の代わりに、セラミック製のシャフトを用いる。
作業者は、ニオブのワーク12の内部からシャフトを除去する場合、このシャフトを粉砕する。
本変形例によれば、HIP接合後に、ニオブのワーク12からシャフトを抜き取ることが困難な場合であっても、シャフトを粉砕することで簡単に除去することができる。
(第2の実施形態)
図8及び図9を参照して、本発明の第2の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法を説明する。
図8及び図9を参照して、本発明の第2の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法を説明する。
本実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法は、第1の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法において、図2及び図3に示された、アルミシャフト1にニオブ薄膜11を巻き付ける工程を、図8及び図9に示された、アルミシャフト1にニオブ薄膜11及びスズ薄膜21を巻き付ける工程に代えたものである。その他の工程は、第1の実施形態における製造方法の工程と同様のため、説明を適宜省略する。以降の実施形態も同様にして重複する説明を省略する。
図8は、ニオブ薄膜11及びスズ薄膜21を巻き付けた状態のアルミシャフト1を長手方向と垂直に切断した切断面を示す断面図である。図9は、ニオブ薄膜11及びスズ薄膜21を巻き付けた状態のアルミシャフト1を長手方向に切断した切断面の上部を示す断面図である。
スズ薄膜21は、ニオブ薄膜11と同様のリボン状(又はテープ状)のスズの薄膜である。
作業者は、図8に示すように、ニオブ薄膜11及びスズ薄膜21を交互に重なるようにアルミシャフト1に巻き付ける。このとき、図9に示すように、ニオブ薄膜11は、隣接するニオブ薄膜11との間に隙間が生じないように少し重ねながら巻き付けられる。同様に、スズ薄膜21は、隣接するスズ薄膜21との間に隙間が生じないように少し重ねながら巻き付けられる。作業者は、ニオブ薄膜11及びスズ薄膜21を厚さ5mm程度になるまでアルミシャフト1に積層する。
アルミシャフト1に巻き付けられたニオブ薄膜11及びスズ薄膜21がHIP加工されることで、Nb3Snの円筒ができる。
作業者は、Nb3Snの円筒をサブミクロン程度の表面粗さになるまで磨く。
作業者は、この磨かれたNb3Snの円筒を、空胴を構成する部品として用いて、超伝導高周波加速空胴を製造する。
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用効果に加え、以下の作用効果を得ることができる。
Nb3Snは、超伝導臨界温度が高く、かつ磁場侵入長が短いため、超伝導高周波加速空胴の材質としては、ニオブよりも優れている。本実施形態による製造方法であれば、超伝導高周波加速空胴の材料としてニオブよりも優れているNb3Snの超伝導高周波加速空胴を製造することができる。
また、Nb3Snの円筒の厚みを任意に選ぶことができるため、研磨することによりサブミクロンオーダーの表面粗さの円筒を成型することができる。この円筒を用いることで、より高性能の超伝導高周波加速空胴を製造することができる。
これに対し、例えば、空胴形状に成型されたニオブ基板上にSnを蒸着させ、拡散接合させて超伝導高周波加速空胴を製造した場合、形成されるNb3Snは数10ミクロンの薄層であるため磨くことができない。
(第3の実施形態)
図10及び図11を参照して、本発明の第3の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法を説明する。
図10及び図11を参照して、本発明の第3の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法を説明する。
本実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法は、第1の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法において、図2及び図3に示された、アルミシャフト1にニオブ薄膜11を巻き付ける工程を、図10及び図11に示された、アルミシャフト1にニオブ薄膜11及び銅薄膜22を巻き付ける工程に代えたものである。その他の工程は、第1の実施形態における製造方法の工程と同様である。
図10は、ニオブ薄膜11及び銅薄膜22を巻き付けた状態のアルミシャフト1を長手方向と垂直に切断した切断面を示す断面図である。図11は、ニオブ薄膜11及び銅薄膜22を巻き付けた状態のアルミシャフト1を長手方向に切断した切断面の上部を示す断面図である。
銅薄膜22は、ニオブ薄膜11と同様に、リボン状(又はテープ状)の銅の薄膜である。
先ず、作業者は、図10に示すように、ニオブ薄膜11をアルミシャフト1に巻き付けられる。このとき、図11に示すように、ニオブ薄膜11は、隣接するニオブ薄膜11との間に隙間が生じないように少し重ねながら巻き付けられる。作業者は、ニオブ薄膜11を厚さ5mm程度になるまでアルミシャフト1に積層する。
次に、作業者は、図10に示すように、巻き付けたニオブ薄膜11の上からさらに銅薄膜22をアルミシャフト1に巻き付ける。このとき、図11に示すように、銅薄膜22は、隣接する銅薄膜22との間に隙間が生じないように少し重ねながら巻き付けられる。これにより、銅薄膜22は、アルミシャフト1の最も外側に巻き付けられる。
このようにアルミシャフト1に巻き付けられたニオブ薄膜11及び銅薄膜22がHIP加工されることで、銅ニオブクラッド材の円筒ができる。
作業者は、銅ニオブクラッド材の円筒をサブミクロン程度の表面粗さになるまで磨く。
作業者は、この磨かれた銅ニオブクラッド材の円筒を、空胴を構成する部品として用いて、超伝導高周波加速空胴を製造する。
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用効果に加え、以下の作用効果を得ることができる。
超伝導材のみからなる超伝導高周波加速空胴は、ジュール熱による発熱が大きい。一方、銅は、熱伝導率が高い。そこで、熱伝導率の高い銅の内面に超伝導材であるニオブが接合された銅ニオブクラッド材を、超伝導高周波加速空胴の材料として用いることで、ジュール熱を効率的に放熱することができる。
本実施形態による製造方法であれば、超伝導高周波加速空胴の材料としてニオブよりも優れている銅ニオブクラッド材の超伝導高周波加速空胴を製造することができる。
また、銅ニオブクラッド材の円筒の厚みを任意に選ぶことができるため、研磨することによりサブミクロンオーダーの表面粗さの円筒を成型することができる。この円筒を用いることで、より高性能の超伝導高周波加速空胴を製造することができる。
これに対し、例えば、銅の円筒の内面にニオブを蒸着又は爆着によって接合し、クラッド材の円筒を製造することが考えられる。しかし、蒸着の場合は、第2の実施形態でのNb3Snと同様にニオブ層が薄く、研磨できない。また、爆着の場合は、入熱が少なく、銅とニオブが十分に拡散接合しない。
(第4の実施形態)
図12を参照して、本発明の第4の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法を説明する。
図12を参照して、本発明の第4の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法を説明する。
本実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法は、第1の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法において、ニオブ薄膜11の代わりにニオブのワイヤ11Aを用いている。その他は、第1の実施形態と同様である。
図12は、ニオブのワイヤ11Aを巻き付けた状態のアルミシャフト1を長手方向に切断した切断面の上部を示す断面図である。
ニオブのワイヤ11Aは、直径1mm程度以下の太さである。なお、太さは、可能であればいくら細くてもよい。
作業者は、図12に示すように、アルミシャフト1にニオブのワイヤ11Aを巻き付ける。このとき、ニオブのワイヤ11Aは、隣接するニオブのワイヤ11Aとの間に隙間が生じないように密着させて巻き付けられる。また、ニオブのワイヤ11Aは、既に巻き付けられた一段下の隣接する2つのニオブのワイヤ11Aの間の上を通るように巻き付けられる。作業者は、ニオブのワイヤ11Aを厚さ5mm程度になるまでアルミシャフト1に積層する。
アルミシャフト1に巻き付けられたニオブのワイヤ11AがHIP加工されることで、ニオブの円筒ができる。
本実施形態によれば、ニオブのワイヤ11Aを用いても、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(第5の実施形態)
図13を参照して、本発明の第5の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法を説明する。
図13を参照して、本発明の第5の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法を説明する。
本実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法は、第2の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法において、ニオブ薄膜11の代わりに第4の実施形態に係るニオブのワイヤ11Aを、スズ薄膜21の代わりにスズのワイヤ21Aをそれぞれ用いている。その他は、第2の実施形態と同様である。
図13は、ニオブのワイヤ11A及びスズのワイヤ21Aを巻き付けた状態のアルミシャフト1を長手方向に切断した切断面の上部を示す断面図である。
スズのワイヤ21Aは、直径1mm程度以下の太さである。なお、太さは、可能であればいくら細くてもよい。
作業者は、図13に示すように、ニオブのワイヤ11A及びスズのワイヤ21Aを交互に重なるようにアルミシャフト1に巻き付ける。
先ず、ニオブのワイヤ11Aがアルミシャフト1に巻き付けられる。次に、スズのワイヤ21Aは、既に巻き付けられた一段下の隣接する2つのニオブのワイヤ11Aの間の上を通るように巻き付けられる。さらに、ニオブのワイヤ11Aは、既に巻き付けられた一段下の隣接する2つのスズのワイヤ21Aの間の上を通るように巻き付けられる。このようにして、作業者は、ニオブのワイヤ11A及びスズのワイヤ21Aの巻き付け作業を繰り返す。
このとき、ニオブのワイヤ11Aは、隣接するニオブのワイヤ11Aとの間に隙間が生じないように密着させて巻き付けられる。同様に、スズのワイヤ21Aも隣接するスズのワイヤ21Aと密着させて巻き付けられる。
作業者は、ニオブのワイヤ11A及びスズのワイヤ21Aを厚さ5mm程度になるまでアルミシャフト1に積層する。
アルミシャフト1に巻き付けられたニオブのワイヤ11A及びスズのワイヤ21AがHIP加工されることで、Nb3Snの円筒ができる。
本実施形態によれば、ニオブのワイヤ11A及びスズのワイヤ21Aを用いても、第2の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(第6の実施形態)
図14を参照して、本発明の第6の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法を説明する。
図14を参照して、本発明の第6の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法を説明する。
本実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法は、第3の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法において、ニオブ薄膜11の代わりに第4の実施形態に係るニオブのワイヤ11Aを、銅薄膜22の代わりに銅のワイヤ22Aをそれぞれ用いている。その他は、第3の実施形態と同様である。
図14は、ニオブのワイヤ11A及び銅のワイヤ22Aを巻き付けた状態のアルミシャフト1を長手方向に切断した切断面の上部を示す断面図である。
銅のワイヤ22Aは、直径1mm程度以下の太さである。なお、太さは、可能であればいくら細くてもよい。
先ず、作業者は、図14に示すように、ニオブのワイヤ11Aをアルミシャフト1に巻き付ける。このとき、ニオブのワイヤ11Aは、隣接するニオブのワイヤ11Aとの間に隙間が生じないように密着させて巻き付けられる。また、ニオブのワイヤ11Aは、既に巻き付けられた一段下の隣接する2つのニオブのワイヤ11Aの間の上を通るように巻き付けられる。作業者は、ニオブのワイヤ11Aを厚さ5mm程度になるまでアルミシャフト1に積層する。
次に、作業者は、図14に示すように、巻き付けたニオブのワイヤ11Aの上からさらに銅のワイヤ22Aをアルミシャフト1に巻き付ける。このとき、銅のワイヤ22Aは、隣接する銅のワイヤ22Aとの間に隙間が生じないように密着させて巻き付けられる。これにより、銅のワイヤ22Aは、アルミシャフト1の最も外側に巻き付けられる。
アルミシャフト1に巻き付けられたニオブのワイヤ11A及び銅のワイヤ22AがHIP加工されることで、銅ニオブクラッド材の円筒ができる。
本実施形態によれば、ニオブのワイヤ11A及び銅のワイヤ22Aを用いても、第3の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(第7の実施形態)
図15を参照して、本発明の第7の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法を説明する。
図15を参照して、本発明の第7の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法を説明する。
本実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法は、第2の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法において、スズ薄膜21の代わりに第5の実施形態に係るスズのワイヤ21Aを用いている。その他は、第2の実施形態と同様である。
図15は、ニオブ薄膜11及びスズのワイヤ21Aを巻き付けた状態のアルミシャフト1を長手方向に切断した切断面の上部を示す断面図である。
作業者は、図15に示すように、ニオブ薄膜11及びスズのワイヤ21Aを交互に重なるようにアルミシャフト1に巻き付ける。
このとき、ニオブ薄膜11は、隣接するニオブ薄膜11との間に隙間が生じないように少し重ねながら巻き付けられる。スズのワイヤ21Aは、隣接するスズのワイヤ21Aと近接するように巻き付けられる。
作業者は、ニオブ薄膜11及びスズのワイヤ21Aを厚さ5mm程度になるまでアルミシャフト1に積層する。
アルミシャフト1に巻き付けられたニオブ薄膜11及びスズのワイヤ21AがHIP加工されることで、Nb3Snの円筒ができる。
本実施形態によれば、ニオブ薄膜11及びスズのワイヤ21Aを用いても、第2の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(第8の実施形態)
図16を参照して、本発明の第8の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法を説明する。
図16を参照して、本発明の第8の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法を説明する。
本実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法は、第3の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法において、銅薄膜22の代わりに第6の実施形態に係る銅のワイヤ22Aを用いている。その他は、第3の実施形態と同様である。
図16は、ニオブ薄膜11及び銅のワイヤ22Aを巻き付けた状態のアルミシャフト1を長手方向に切断した切断面の上部を示す断面図である。
先ず、作業者は、図16に示すように、ニオブ薄膜11をアルミシャフト1に巻き付ける。このとき、ニオブ薄膜11は、隣接するニオブ薄膜11との間に隙間が生じないように少し重ねながら巻き付けられる。作業者は、ニオブ薄膜11を厚さ5mm程度になるまでアルミシャフト1に積層する。
次に、作業者は、図16に示すように、巻き付けたニオブ薄膜11の上からさらに銅のワイヤ22Aをアルミシャフト1に巻き付ける。このとき、銅のワイヤ22Aは、隣接する銅のワイヤ22Aと近接するように巻き付けられる。これにより、銅のワイヤ22Aは、アルミシャフト1の最も外側に巻き付けられる。
アルミシャフト1に巻き付けられたニオブ薄膜11及び銅のワイヤ22AがHIP加工されることで、銅ニオブクラッド材の円筒ができる。
本実施形態によれば、ニオブ薄膜11及び銅のワイヤ22Aを用いても、第3の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(第9の実施形態)
図17を参照して、本発明の第9の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法を説明する。
図17を参照して、本発明の第9の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法を説明する。
本実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法は、第2の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法において、ニオブ薄膜11の代わりに第4の実施形態に係るニオブのワイヤ11Aを用いている。その他は、第2の実施形態と同様である。
図17は、ニオブのワイヤ11A及びスズ薄膜21を巻き付けた状態のアルミシャフト1を長手方向に切断した切断面の上部を示す断面図である。
作業者は、図17に示すように、ニオブのワイヤ11A及びスズ薄膜21を交互に重なるようにアルミシャフト1に巻き付ける。
先ず、ニオブのワイヤ11Aがアルミシャフト1に巻き付けられる。このとき、ニオブのワイヤ11Aは、隣接するニオブのワイヤ11Aとの間に隙間が生じないように密着させて巻き付けられる。
次に、スズ薄膜21は、巻き付けられた一段下のニオブのワイヤ11Aの上から、隣接するスズ薄膜21との間に隙間が生じないように少し重ねながら巻き付けられる。
さらに、ニオブのワイヤ11Aは、巻き付けられた一段下のスズ薄膜21の上から、隣接するニオブのワイヤ11Aと近接するように巻き付けられる。
このようにして、作業者は、ニオブのワイヤ11A及びスズ薄膜21の巻き付け作業を繰り返す。作業者は、ニオブのワイヤ11A及びスズ薄膜21を厚さ5mm程度になるまでアルミシャフト1に積層する。
アルミシャフト1に巻き付けられたニオブのワイヤ11A及びスズ薄膜21がHIP加工されることで、Nb3Snの円筒ができる。
本実施形態によれば、ニオブのワイヤ11A及びスズ薄膜21を用いても、第2の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(第10の実施形態)
図18を参照して、本発明の第10の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法を説明する。
図18を参照して、本発明の第10の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法を説明する。
本実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法は、第3の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法において、ニオブ薄膜11の代わりに第4の実施形態に係るニオブのワイヤ11Aを用いている。その他は、第3の実施形態と同様である。
図18は、ニオブのワイヤ11A及び銅薄膜22を巻き付けた状態のアルミシャフト1を長手方向に切断した切断面の上部を示す断面図である。
先ず、作業者は、図18に示すように、ニオブのワイヤ11Aをアルミシャフト1に巻き付ける。このとき、ニオブのワイヤ11Aは、隣接するニオブのワイヤ11Aとの間に隙間が生じないように密着させて巻き付けられる。また、ニオブのワイヤ11Aは、既に巻き付けられた一段下の隣接する2つのニオブのワイヤ11Aの間の上を通るように巻き付けられる。作業者は、ニオブのワイヤ11Aを厚さ5mm程度になるまでアルミシャフト1に積層する。
次に、作業者は、図18に示すように、巻き付けたニオブのワイヤ11Aの上からさらに銅薄膜22をアルミシャフト1に巻き付ける。このとき、銅薄膜22は、隣接する銅薄膜22との間に隙間が生じないように少し重ねながら巻き付けられる。これにより、銅薄膜22は、アルミシャフト1の最も外側に巻き付けられる。
アルミシャフト1に巻き付けられたニオブのワイヤ11A及び銅薄膜22がHIP加工されることで、銅ニオブクラッド材の円筒ができる。
本実施形態によれば、ニオブのワイヤ11A及び銅薄膜22を用いても、第3の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(第11の実施形態)
図19を参照して、本発明の第11の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法を説明する。
図19を参照して、本発明の第11の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法を説明する。
本実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法は、第1の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法において、図5に示されたHIP加工の前段階の工程を、図19に示されたHIP加工の前段階の工程に代えたものである。その他の工程は、第1の実施形態における製造方法の工程と同様である。
アルミ端板2Aには、図5に示された真空引き口H1が設けられていない。その他は、第1の実施形態に係るアルミ端板2と同様である。
作業者は、ニオブ薄膜11が巻き付けられたアルミシャフト1をアルミカプセル4に挿入する。作業者は、アルミカプセル4にアルミシャフト1を挿入後、アルミ端板2A,3でアルミカプセル4の両端を塞ぐように取り付ける。
作業者は、アルミ端板2A,3にアルミカプセル4を取り付け後、ニオブ薄膜11が巻き付けられたアルミシャフト1が内包された状態のアルミカプセル4を、真空炉内に設置する。作業者は、真空炉内にあるアルミ端板2A,3が取り付けられたアルミカプセル4を、電子ビーム溶接により、真空気密溶接を行う。
作業者は、このように真空気密溶接されたアルミカプセル4を、HIP加工のワーク20Aとして、HIP加工する。
本実施形態によれば、電子ビーム溶接により、ワーク20Aの真空気密溶接を行うことにより、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(第12の実施形態)
図20及び図21を参照して、本発明の第12の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法を説明する。
図20及び図21を参照して、本発明の第12の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法を説明する。
本実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法は、第1の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法において、図4に示されたアルミカプセル4の代わりに、図20及び図21に示されたアルミカプセル4A1,4A2,4A3,4A4を用いた製造方法である。その他の工程は、第1の実施形態における製造方法の工程と同様である。
アルミカプセル4A1〜4A4は、第1の実施形態に係るアルミカプセル4を長手方向に4分割したものである。その他は、アルミカプセル4と同様である。
作業者は、図20に示すように、ニオブ薄膜11が巻き付けられたアルミシャフト1を、4分割されたアルミカプセル4A1〜4A4で覆うように取り付ける。作業者は、図21に示すように、取り付けられた4片のアルミカプセル4A1〜4A4の互いに隣接する4箇所の分割部を真空気密溶接する。
本実施形態によれば、第1の実施形態による作用効果に加え、以下の作用効果を得ることができる。
製造する超伝導高周波加速空胴の規模が大きい(径が大きい又は長い)場合、HIP加工する被対象となるワークも大きくなる。この場合においても、分割型のアルミカプセル4A1〜4A4を用いることで、HIP加工の前段階の処理において、超伝導材が巻き付けたアルミシャフト1を真空気密溶接するために行われるアルミカプセル4A1〜4A4で覆う作業をし易くすることができる。
(第13の実施形態)
図22及び図23を参照して、本発明の第13の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法を説明する。
図22及び図23を参照して、本発明の第13の実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法を説明する。
本実施形態に係る超伝導高周波加速空胴の製造方法は、第1の実施形態において成型した円筒の代わりに、2つの椀状を径の大きい側で互いに合わせた形状の超伝導部材(以下、「セル」という。)を成型する。また、本実施形態に係る製造方法は、第1の実施形態で用いた、アルミシャフト1、アルミ端板2,3、及びアルミカプセル4の代わりに、アルミパイプ1B、アルミ端板2B,3B、及びアルミカプセル4B1,4B2を用いる。その他は、第1の実施形態と同様である。
アルミパイプ1Bは、第1の実施形態に係るアルミシャフト1の中央部分を膨らました形状である。アルミパイプ1Bの外形は、セルの内側形状と略一致する。その他は、第1の実施形態に係るアルミシャフト1と同様である。
アルミカプセル4B1,4B2は、それぞれ径の小さい側に穴の空いた椀状になっている。アルミカプセル4B1,4B2の径の大きい側を互いに合わせた状態での内側の形状は、セルの外形と略一致する。その他は、第1の実施形態に係るアルミカプセル4と同様である。
アルミ端板2B,3Bは、それぞれのアルミカプセル4B1,4B2の径の小さい側に空けられた穴を塞ぐのに適した形状になっている。その他は、第1の実施形態に係るアルミ端板2,3と同様である。
作業者は、図22に示すように、全体を覆うように満遍なくニオブ薄膜11をアルミパイプ1Bに巻き付ける。この際、巻きつけられたニオブ薄膜11に多少の隙間があってもよい。
作業者は、ニオブ薄膜11が巻き付けられたアルミパイプ1Bに、アルミカプセル4B1,4B2の間に挟みこむように被せる。作業者は、アルミカプセル4B1,4B2をアルミパイプ4B1,4B2に被せた後、アルミ端板2B,3Bでアルミカプセル4B1,4B2のそれぞれの穴を塞ぐように取り付ける。作業者は、アルミ端板2B,3Bをアルミカプセル4B1,4Bに取り付けた状態で、真空気密溶接をする。図23は、この真空気密溶接されたアルミカプセル4B1,4B2の長手方向(空胴の中心軸方向)に切断した切断面を示している。
作業者は、ニオブ薄膜11が巻き付けられたアルミパイプ1Bが内包され、真空気密溶接されたアルミカプセル4B1,4B2をワークとしてHIP加工する。作業者は、HIP加工されたワークの外側のアルミニウム部分を機械加工により除去する。作業者は、ワークの内部からセル状に成型されたニオブに覆われたアルミパイプ1Bを取り出す。作業者は、機械加工により、セル状に成型されたニオブの内部からアルミパイプ1Bを除去する。なお、作業者は、アルミパイプ1Bを強塩基性の溶液に浸漬して、溶解除去してもよい。作業者は、取り出したセルの端部(アルミ端板2B,3Bに位置する部分)などを機械加工して仕上げる。作業者は、セルをサブミクロン程度の表面粗さになるまで磨く。作業者は、このように製造されたセルを、空胴を構成する部品として用いて、超伝導高周波加速空胴を製造する。
作業者は、このように製造されたセルを用いて、超伝導高周波加速空胴を製造する。
本実施形態によれば、円筒の製造に限らず、セルの製造であっても、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(第13の実施形態の変形例)
本変形例による製造方法は、アルミパイプ1Bの代わりに、セラミック製のパイプを用いる。
本変形例による製造方法は、アルミパイプ1Bの代わりに、セラミック製のパイプを用いる。
作業者は、セル状に成型されたニオブの内部からセラミック製のパイプを除去する場合、このパイプを粉砕する。
本変形例によれば、HIP接合後に、セル状に成型されたニオブからパイプを除去することが困難な場合であっても、パイプを粉砕することで簡単に除去することができる。
なお、各実施形態では、円筒形状又はセル形状のものについてのみ説明したが、これに限らない。荷電粒子ビームが通り抜ける空胴が形成されている形状であれば、どのような形状でも構わない。例えば、セルを多数連接させた蛇腹形状のものを製造することもできる。特に、第13の実施形態に係る製造方法であれば、複雑な形状であっても、HIP加工するために設けた空胴内部の部材を容易に除去することができる。また、この空胴内部の部材(アルミパイプ又はアルミシャフト)を除去する方法については、機械加工による除去、粉砕して除去、又は強塩基性の溶液に浸漬して溶解除去など、どの方法により除去してもよい。
また、各実施形態では、超伝導材を用いる製造方法について説明したが、常伝導材を用いてもよい。従って、最終的に製造されるものは、超伝導高周波加速空胴であっても、常伝導高周波加速空胴であってもよい。
さらに、第11から第13の実施形態において、説明の便宜上、超伝導材をニオブ薄膜11を用いる第1の実施形態を基本とした製造方法について説明したが、他の実施形態を基本としても用いることができる。
また、第12の実施形態において、アルミカプセル4A1〜4A4を4分割としたが、2分割以上であれば、いくつに分割されているものでもよい。製造する円筒の規模が大きい(径が大きい又は長い)場合は、分割数が多いと、アルミカプセルを被せる作業が行い易くなる。また、分割数が少なければ、アルミカプセルの真空気密溶接をする分割部を減らすことができる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1…アルミシャフト、2,3…アルミ端板、4…アルミカプセル、11…ニオブ薄膜、21…スズ薄膜、22…銅薄膜、20…ワーク、H1…真空引き口。
Claims (14)
- 伝導材で型を覆うステップと、
前記伝導材で覆われた型を外殻に内包するステップと、
前記型が内包された前記外殻を真空気密溶接するステップと、
前記真空気密溶接された前記外殻を熱間等方圧加工するステップと、
前記熱間等方圧加工された前記外殻から前記型に成型された前記伝導材を取り出すステップと
を含むことを特徴とする高周波加速空胴用部品の製造方法。 - 前記型を前記伝導材で覆うステップは、前記型に前記伝導材を巻き付けて行うこと
を特徴とする請求項1に記載の高周波加速空胴用部品の製造方法。 - 前記伝導材は、超伝導材であること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の高周波加速空胴用部品の製造方法。 - 前記伝導材は、ニオブを含むこと
を特徴とする請求項3に記載の高周波加速空胴用部品の製造方法。 - 前記伝導材は、スズを含むこと
を特徴とする請求項3又は請求項4に記載の高周波加速空胴用部品の製造方法。 - 前記伝導材は、銅を含むこと
を特徴とする請求項3又は請求項4に記載の高周波加速空胴用部品の製造方法。 - 前記型は、アルミニウムを含むこと
を特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の高周波加速空胴用部品の製造方法。 - 前記型は、セラミックを含むこと
を特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の高周波加速空胴用部品の製造方法。 - 前記成型された伝導材をサブミクロンオーダーの表面粗さに磨くステップ
を含むことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の高周波加速空胴用部品の製造方法。 - 前記真空気密溶接は、電子ビーム溶接により行うこと
を特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の高周波加速空胴用部品の製造方法。 - 前記外殻は、前記型が内包される前の状態において分割されていること
を特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の高周波加速空胴用部品の製造方法。 - 前記型を粉砕して、前記成型された伝導材から前記型を除去すること
を特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の高周波加速空胴用部品の製造方法。 - 前記型を化学的に溶解して、前記成型された伝導材から前記型を除去すること
を特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の高周波加速空胴用部品の製造方法。 - 請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の高周波加速空胴用部品の製造方法で製造された部品を用いて高周波加速空胴を製造するステップ
を含むことを特徴とする高周波加速空胴の製造方法。
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