JP2011201296A - 射出成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】粉状材料、ペレット状材料、及び液体材料のうちの少なくとも粉状材料とペレット状材料を含む成形材料を、射出成形装置のホッパーを介してシリンダ内に直接供給して射出成形する場合であっても、シリンダ内で成形材料を均一混練することができるので、例えば耐熱性が低いバイオマス樹脂をベース樹脂として使用しても高品質な成形品を安定的に製造することができる。
【解決手段】粉状材料、ペレット状材料、及び液体材料の少なくとも粉状材料とペレット状材料を含む成形材料を、射出成形装置10のシリンダ14内に直接供給して射出成形する射出成形方法において、各々の材料の射出1ショット分を、別々の計量フィーダ35C,37Cを用いて、供給開始から供給終了までの供給時間帯が60%以上同期するようにシリンダ14内に供給すると共に、射出成形サイクルの計量工程における計量時間内に供給を終了する。
【選択図】図1
【解決手段】粉状材料、ペレット状材料、及び液体材料の少なくとも粉状材料とペレット状材料を含む成形材料を、射出成形装置10のシリンダ14内に直接供給して射出成形する射出成形方法において、各々の材料の射出1ショット分を、別々の計量フィーダ35C,37Cを用いて、供給開始から供給終了までの供給時間帯が60%以上同期するようにシリンダ14内に供給すると共に、射出成形サイクルの計量工程における計量時間内に供給を終了する。
【選択図】図1
Description
本発明は、射出成形方法に係り、特に、粉体材料、ペレット状材料、及び液状材料の少なくとも粉体材料とペレット状材料を含む成形材料を、ホッパーからシリンダ内に直接供給する射出成形方法に関する。
樹脂(プラスチック)成形の代表的な成形方法の一つとして射出成形方法がある。射出成形方法は、雄型と雌型からなる金型(mold)のキャビティーに、加熱シリンダ(単にシリンダとも称す)内で溶融した樹脂成形材料をスクリュー又はプランジャーにて充填し、急冷した後で金型から取り出すことにより成形品を得る方法である。
射出成形の成形サイクルは、一般的に、計量工程、型締工程、射出工程、保圧工程、冷却工程、離型工程、とで構成される。
ここで計量工程について詳しく説明すると、計量工程はシリンダ内に供給された成形材料をスクリューの回転によりシリンダ先端部に貯蔵すると共に、貯蔵される成形材料自身の圧力を受けて、スクリューが所定の計量位置まで後退した後にスクリューの回転を停止して計量を終了する。この場合、スクリューの回転数、即ち成形材料の送り能力を上回る充分な量の成形材料をホッパーに充填しておき、スクリューの材料送り能力に合わせて成形材料の自重により、成形材料をホッパーからシリンダ内部に充満供給するノーマル供給方法が一般的である。したがって、背圧設定値が一定の場合にはスクリューの回転数が高いほど計量時間が短くなり、回転数が低いほど計量時間が長くなる。逆に、スクリュー回転数が一定の場合には、背圧を低く設定するほど計量時間が短くなり、高いほど計量時間が長くなる。
ところで、射出成形に使用される樹脂成形材料としては、従来から石油系樹脂が主として使用されていたが、大気汚染、地球温暖化、オゾン層破壊といった問題が顕在化しており、この対策として循環型の省エネルギー社会を構築する試みがなされている。その1つとして、石油系樹脂の成形材料から植物などの生物由来の植物系樹脂の成形材料への転換が図られている。
植物系の樹脂成形材料としては、いわゆるバイオマス樹脂(バイオマスプラスチック又はバイオプラスチックとも称す)があり、これを成形材料として種々の製品を製造する試みがなされている。
バイオマス樹脂の代表例としては、ポリ乳酸(ポリ乳酸樹脂又はPLAとも称す)やセルロース系樹脂が挙げられる。これらのバイオマス樹脂は地球環境において二酸化炭素の取込みと発生とが差し引きゼロになる効果が期待でき、この考えはカーボンニュートラルと呼ばれている。
しかし、バイオマス樹脂を成形材料として射出成形により成形品を製造する場合、バイオマス樹脂の耐熱性の低さが問題となる。バイオマス樹脂は、熱溶解して容易に流動できるようになる温度と樹脂の分解温度との差が石油系樹脂に比べて小さいため、射出成形や、その前処理としての加工工程において使用可能な温度設定範囲が狭く制限されるという問題がある。例えば射出成形装置に供給する前の前処理においてバイオマス樹脂と添加物とを混練機で混練してペレット化するときに、高熱に長い時間曝すと、樹脂が着色したり低分子化したりし易い。特に、バイオマス樹脂を難燃化するためには、バイオマス樹脂に大量の難燃剤(通常粉体)を練り込む必要があり、バイオマス樹脂と難燃剤とを予め混練機でペレット化してから射出成形装置に供給することが好ましい。しかし、混練機での加熱加工時にバイオマス樹脂が分解してしまい、成形品の強度が低下してしまうという問題がある。
また、バイオマス樹脂は強度的に脆い性質があり、強度がでにくいという問題もある。特に、バイオマス樹脂は上述の通り難燃剤を大量に練り込む必要があるため強度的に益々脆くなる。このため、バイオマス樹脂は難燃剤を練り込んで難燃性を確保した場合には、補強剤を添加して強度アップを図る必要がある。
バイオマス樹脂の強度アップの方法としては、石油系樹脂を混合することによっても達成できるが、これでは環境負荷低減の本質的な解決にはならない。別の方法として、ガラス繊維などの無機繊維や石油系の有機繊維を添加する方法があり、こちらの方が成形品の植物度をあまり下げることなく強度を得ることができるので、好ましい。更に別の方法として、竹やケナフ繊維など天然の材料を繊維化して添加する方法もあり、繊維部分もカーボンニュートラルな素材に置き換えることができる。
このように、バイオマス樹脂を射出成形のための成形材料として使用するためには、難燃剤や繊維等の添加物を添加することが一般的である。そして、バイオマス樹脂の耐熱性の低さを考慮すると、バイオマス樹脂と添加物とを混練混合してペレット化するための前処理を行わず、バイオマス樹脂や添加物を射出成形装置に直接投入して成形する直接投入成形法(Direct Mixing:DM法)を採用することが成形品の品質にとって好ましい。
しかし、射出成形装置は本来ペレットでの供給を前提とした装置として作られており、粉体材料、繊維状材料、ペレット状材料、及び液状材料のうちの少なくとも粉体材料とペレット状材料から構成される成形材料を、射出成形装置のホッパーを介してシリンダ内に直接供給して射出成形する場合には、2つの大きな問題がある。
1つ目の問題は、粉体材料とペレット状材料を直接供給しようとすると、ホッパーでの圧縮によるブリッジ等により、ホッパー出口やシリンダ内で詰まりが発生して安定供給できない等の問題がある。また、投入できたとしても、シリンダ内で粉体材料とペレット状材料とが分離して不均一になり易く、十分に均一混練されないという問題がある。特に成形材料に多量の粉体材料が含まれる場合には、直接投入成形法によって均一混練を行うことは困難である。特に、成形材料中の粉体(粉体に準ずる細かい繊維状態の成形材料を含む)比率が30重量%をこえると従来の射出成形方法では均一混練が不可能になる。
2つ目の問題は、例えば粉体材料とペレット状材料を直接供給するために攪拌機等により一旦混合した各々の材料をホッパーに供給しても、射出成形を繰り返している間に、射出成形装置の振動や、各々の材料の形状や比重差等により、それらの材料が分離してしまうことである。この結果、ホッパーからシリンダ内に供給する粉体材料とペレット状材料が設計通りの比率にならなくなるので、均一な品質の成形品を安定製造することが困難になる。
射出成形装置の詰まりやガス抜き等の問題を解消する技術としては、例えば特許文献1があり、直接投入成形法を行う従来技術としては特許文献2がある。
特許文献1には、射出成形装置のシリンダ内にガス成分(成形材料から発生)を分離する空間を形成するように、成形材料を自重供給ではなく定量フィーダ機構により定量供給する、いわゆるハングリーフィードが記載されている。これにより、シリンダ内に成形材料が詰まることなくガス抜きを確実に行うことができるので、良好な品質の成形品を安定製造できるとされている。
また、特許文献2には、射出成形装置のシリンダ内にベース樹脂自体の自重で供給されるベース樹脂に対して、添加剤をスクリュー部に直接供給することが提案されており、添加剤を計量工程だけではなく、射出工程や保圧工程でも供給し続けることを特徴としている。即ち、射出工程でもベース樹脂が供給されていることに着目し、それを補う形で射出工程でも添加剤を供給するものである。これによりシリンダ内のシリンダ長さ方向における添加剤の濃度ムラを改善できるとされている。
しかしながら、特許文献1の技術を、バイオマス樹脂と添加物(難燃剤、繊維等)から成る成形材料の射出成形、特に直接投入成形法に適用しても、良好な品質の成形品を得ることができないという問題がある。特許文献1は元々ペレットの状態でシリンダに供給することを前提としたものであり、大量の粉体や繊維を成形材料として供給する場合には、ホッパーからシリンダ内に直接供給しても均一混練を行うことができないので、安定的な品質の成形品を得ることはできない。
また、特許文献2は、射出工程でのベース樹脂と添加剤との関係をみたときに、添加剤は一定速度でシリンダ内に強制的に供給されるのに対して、ベース樹脂は回転していないスクリューが短時間で射出のため前進動作を行う状態下にあるシリンダ内に供給されることになる。即ち、ベース樹脂が自重でシリンダ内に供給される場合、射出のためにスクリューが前進するとはいっても、回転していないスクリューの溝に常に一定量を落下させることは極めて困難である。これにより、ベース樹脂のスクリューへの落下が間に合わずに定量的な供給を行うことができないので、ベース樹脂と添加剤とを一定比率で均一に混練することができないという問題がある。
事実、ペレット状のバイオマス樹脂に大量の粉体状の添加物を含む成形材料について、特許文献1や2の技術を適用して直接投入成形法で射出成形した成形品を検査すると、添加物がバイオマス樹脂に均一に分散されておらず、目的とする品質の成形品を得ることができない。
このような背景から、予めバイオマス樹脂と添加物を混練機で混練してペレットとして成形し、このペレットを射出成形装置に投入して成形せざるを得ないのが実情である。
しかし、上述したようにバイオマス樹脂は耐熱性が低く、混練機による前処理で高熱が加わることにより、射出成形装置に供給する前に成形材料が劣化して分子量が低下したり、着色したりしてしまう。この結果、折角、射出成形装置に適したペレット形状に成形材料を加工できても、樹脂の分子量が下がって成形品の強度がでなかったり、成形品が着色したりしてしまい品質が低下するという問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、粉体材料、ペレット状材料、及び液体材料のうちの少なくとも粉体材料とペレット状材料を含む成形材料を、射出成形装置のホッパーを介してシリンダ内に直接供給して射出成形する場合であっても、シリンダ内で成形材料を均一混練することができるので、例えば耐熱性が低いバイオマス樹脂をベース樹脂として使用しても高品質な成形品を安定的に製造することができる射出成形方法を提供することを目的とする。
本発明の射出成形方法は前記目的を達成するために、粉体材料、ペレット状材料、及び液体材料の少なくとも粉体材料とペレット状材料を含む成形材料を、射出成形装置のシリンダ内に直接供給して射出成形する射出成形方法において、前記各々の材料の射出1ショット分を、別々の計量フィーダを用いて、供給開始から供給終了までの供給時間帯が60%以上同期するように前記シリンダ内に供給すると共に、射出成形サイクルの計量工程における計量時間内に供給を終了することを特徴とする。
なお、粉体材料には、粉体に準ずる細かい繊維等も含むと共に、ペレット状材料には粉よりも大径な粒状材料も含むものとする。また、成形材料をシリンダ内に直接供給するとは、混練機等により成形材料を予め混練混合してペレット化する前処理加工を行わないことを意味する。
本発明の射出成形方法によれば、少なくとも粉体材料とペレット状材料から構成される成形材料の各々の材料の射出1ショット分を、別々の計量フィーダで供給開始から供給終了までの供給時間帯が60%以上同期するようにした(以下、「同期供給」という)。より好ましくは、供給時間帯が90%以上同期させることが好ましい。このように、60%以上同期させることにより、粉体材料とペレット状材料のように異なる形状や比重であっても、シリンダ内で成形材料を均一混練することができる。ここで、各々の材料の供給時間帯を60%以上同期させるとは、各々の材料を供給している時間帯のオーバラップする部分が60%以上あることを意味する。
また、本発明によれば、射出成形サイクルの計量工程における計量時間内にシリンダ内への供給を終了させるようにした。これにより、異なる形状の粉体材料とペレット状材料とをシリンダ内にスムーズに取り込むことができるので、取込み時に材料同士が分離しにくい。
ちなみに、従来技術である特許文献2では、計量工程中に重力によって自然供給される樹脂ペレットと同時に、添加剤も計量添加されるが、添加剤だけは計量中以外(例えば射出工程中など)のスクリューが回転せずに動作する際にも計量添加を継続し、これにより成形品中の添加剤の量(むら)をより安定化させるものである。この方法を用いると、スクリューが回転せずに前進する、射出工程のような状態でも添加剤が供給され、従来の方法と比べると添加剤濃度のばらつきや着色剤の色ムラを低減することは可能である。
しかし、例えば射出工程中のスクリューが前進している間は、計量工程中とは異なり、樹脂ペレットの供給量が変化するため、重力によって落下する樹脂ペレットと、定量供給している添加剤との比率を制御することはできない。更には、材料投入口(特許文献2における図1のC2部分)の材料の滞留が多くなり易いため、材料の再分離が起こり易い。特に本発明のように、成形材料中の添加剤比率即ち粉体材料比率が大きい場合や、粉体材料の見かけ比重が小さい場合には、成形材料を充分均質にすることができない。
これに対して、本発明では、樹脂ペレットが供給される時に合わせて添加剤も供給されるため、その比率を一定に保つことができる。また、成形材料のレベルセンサーをスクリュー直近(直上)に設置することによって、成形材料の滞留量を少なくすることができる。これにより、実質的にスクリューに入る前の成形材料の分離不均一を抑制して、安定した射出成形体を得ることができる。
このように本発明によれば、粉体材料とペレット状材料のように異なる形状や比重等の材料を、ホッパーを介してシリンダ内に直接供給しても、粉体材料とペレット状材料が設計通りの比率になり易いので、均一な品質の成形品を安定的に製造することができる。
本発明においては、前記計量工程では、前記シリンダ内に直接供給する成形材料の供給速度を、前記スクリューの回転数や背圧の設定値とは無関係に調整することにより、前記計量工程の計量時間を制御することが好ましい(以下「計量時間制御」という)。
具体的には、前記射出成形装置のシリンダ内に供給された成形材料をスクリューの回転によりシリンダ先端部に貯蔵すると共に、貯蔵される成形材料自身の圧力を受けて前記スクリューが計量設定位置まで後退した後に前記スクリューの回転を停止する計量工程では、前記スクリューに加える背圧を所定値に設定して前記スクリューの回転数を50rpm以上300rpm以下の範囲の一定回転数に設定すると共に、前記スクリュー回転数の材料送り能力に合わせて前記成形材料を投入口から自重で前記シリンダ内に充満供給するノーマル供給方法での計量時間をSN秒とした場合に、前記シリンダ内に供給する成形材料の供給速度を、前記SNの2倍秒以上180秒以下の計量時間になるように調整することを含み、これにより前記計量時間を前記スクリューの回転数及び前記背圧設定値とは無関係に制御する。
ここで成形材料の供給速度は、単位時間当たりの成形材料の供給量である。
本発明によれば、従来のようにスクリューの回転数、即ちシリンダ内で成形材料を送る材料送り能力や背圧設定値によって計量時間が決まってしまうのではなく、スクリューの回転数や背圧設定値とは全く無関係に成形材料の供給速度を調整することで、スクリューの送り能力や背圧設定値とは関係ない形で計量時間を制御するようにした。即ち、背圧を所定値に設定したときにスクリューの回転数を50rpm以上300rpm以下の高い混練性能が得られる一定回転数に設定しておく一方、シリンダ内に供給する成形材料の供給速度を、シリンダ内に成形材料を充満させるノーマル供給方法での計量時間SNの2倍秒以上180秒以下の計量時間になるように調整するようにした。
スクリュー回転数としては150〜200rpmがより好ましく、計量時間としては、SNの5倍秒以上SNの20倍以下であることがより好ましい。
これにより、スクリューの回転数を混練に適した速度で回転させ、しかも計量時間を長くとることができるので、例えば大量の粉体や繊維等から構成される成形材料をシリンダ内に直接供給しても、その成形材料を均一混練するのに必要なスクリュー回転数や必要混練時間を十分に確保することができる。
この場合、スクリューの回転数としては混練性能の向上と剪断発熱による劣化の両方を考慮して50rpm以上、300rpm以下の回転に設定する。なお、背圧設定値については、所望の値に設定することができるが、5〜150kg/cm2の範囲が好ましい。
更には、計量時間をスクリューの回転数や背圧設定値に関係なく長くとることができるので、スクリューの材料送り能力に対して成形材料の供給量を遥かに少なくできる。これにより、例えばブリッジや詰まりを生じ易い粉体を含む成形材料をシリンダ内に直接供給してもブリッジや詰まりを生じることがない。
したがって、同期供給と計量時間制御とを組み合わせることにより、形状な比重の異なる材料を直接投入成形法で射出成形しても、高品質な成形品を一層安定的に製造することができる。
本発明において、計量時間を、成形材料の必要混練時間に応じて制御することが好ましい。ここで、成形材料の必要混練時間は、上記したように、成形材料がシリンダ内において均一に混練されるまでに必要な時間を言い、予備試験等により求めることができる。ただし、必要混練時間が上記した180秒を超える場合には、180秒に設定することが好ましい。
また、本発明において、計量時間を、射出成形サイクルのうちの冷却工程開始から離型工程終了までの時間に応じて制御することが好ましい。これにより、冷却工程開始から離型工程終了までにスクリューの回転が停止する時間(待ち工程)を設ける必要がない。したがって、成形材料の混練を十分に行うことができるだけでなく、スクリューが停止することによる成形材料の加熱の偏りも防止できる。
本発明においては、前記成形材料のうち、前記粉体の比率が30重量%以上であることが好ましい。このような高い粉体比率において本発明は特に有効だからである。特には粉体比率は50重量%以上でることが好ましい。
本発明においては、前記成形材料はベース樹脂と添加物とで構成され、前記ベース樹脂がポリ乳酸樹脂、セルロース系樹脂の少なくとも1つであると共に、前記添加物が難燃剤、繊維の少なくとも1つであることを特徴とする。
ベース樹脂が耐熱性の低いポリ乳酸樹脂、セルロース系樹脂の少なくとも1つであると共に、添加物が難燃剤、繊維の少なくとも1つである場合のように、直接供給における均一混練が非常に難しい成形材料の場合であっても、高品質な成形品を安定的に製造することができる。
この場合、成形材料中のバイオマス樹脂の比率としては、30重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることが特に好ましい。これにより、環境負荷低減に寄与できるからでる。
本発明の射出成形方法によれば、粉体材料、ペレット状材料、及び液体材料のうちの少なくとも粉体材料とペレット状材料を含む成形材料を、射出成形装置のホッパーを介してシリンダ内に直接供給して射出成形する場合であっても、シリンダ内で成形材料を均一混練することができるので、例えば耐熱性が低いバイオマス樹脂をベース樹脂として使用しても高品質な成形品を安定的に製造することができる。
以下、添付図面に従って本発明の射出成形方法の好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、本発明の射出成形方法を実施する射出成形装置の一例を示す概略構成図である。なお、本実施の形態では、材料の形状として、粉体材料とペレット状材料の2種類の形状の材料を用いて射出成形する例で説明するが、粉体材料、ペレット状材料、及び液体材料の3種類にも適用できる。
図1に示すように、射出成形装置10は、先端にノズル12を有するシリンダ14を備え、シリンダ14内にスクリュー16が回転可能に配設される。ノズル12の対向端部であってスクリュー16の後端には、スクリュー16を回転させるモータ18と、圧力・速度の設定値に基づいてスクリュー16を軸方向(図1の左右方向)へ一定のストロークで進退動作させるピストン装置20を備えたモータ・ピストン装置22が設けられる。ピストン装置20によりスクリュー16が図1の左方向に進むことにより射出動作を行う。ピストン装置20には、スクリュー16が後退する背圧を検知する背圧センサー17が設けられ、測定値がコントローラ39に入力される。また、コントローラ39には、モータ・ピストン装置22から計量工程の開始と終了を知らせる計量信号が入力される。
シリンダ14の外周にはヒータ24が巻回して設けられ、シリンダ14が射出成形される成形材料の溶融温度(可塑化温度)等に基づいて所定温度に加熱される。また、ノズル12の先端は、内部にキャビティ28を形成する金型30のゲート32に接続される。金型30は、固定金型30Aと可動金型30Bとで構成され、可動金型30Bが固定金型30Aに対して開閉動作を行う。
シリンダ14の長さ方向において、ノズル12の対向端部には成形材料であるベース樹脂及び添加物等をシリンダ14内に供給する投入口25が形成されると共に、この投入口25にホッパー26が取り付けられる。
図2に示すように、シリンダ14内は、成形材料の投入口25から順に供給ゾーン、圧縮ゾーン、計量ゾーンの3つのゾーンに区分される。投入口25を介してホッパー26から供給ゾーンに投入された成形材料は、スクリュー16の回転によりシリンダ14内をスクリュー先端側に搬送される。シリンダ14内を搬送される成形材料は、回転するスクリュー16表面とシリンダ14内面との間で発生する剪断熱、及びシリンダ14の外周に設けられたヒータ24からの熱によって徐々に溶融される。圧縮ゾーンにおいて成形材料の溶融混練が開始される。圧縮ゾーンで溶融混練された成形樹脂は更に前方に搬送され、計量ゾーンに達する。そして、溶融混練された成形材料がシリンダ14先端部に溜まるにしたがってスクリュー16は後退し、計量設定位置に到達すると後退は停止する。
材料供給装置34は、主として、粉体材料をホッパー26に供給する粉体供給装置35と、ペレット状材料をホッパー26に供給するペレット供給装置37とで構成される。
粉体供給装置35は、攪拌機35A及び乾燥手段(図示せず)を備えた粉体混合タンク35Bと、粉体材料をホッパー26にフィードする粉体用計量フィーダ35Cとで構成される。そして、成形材料のうち粉体又は粉体に準ずる形状(例えば繊維)である複数種類の粉体材料を粉体混合タンク35Bで予めドライブレンドしてから、粉体用計量フィーダ35Cで射出1ショット分をホッパー26に供給する。
ペレット供給装置37は、攪拌機37A及び乾燥手段(図示せず)を備えたペレット混合タンク37Bと、ペレット用計量フィーダ37Cとで構成される。そして、成形材料のうちペレット状又はペレット状に準ずる材料(粒の大きな粒体)である複数種類のペレット状材料をペレット混合タンク37Bで予めドライブレンドしてから、ペレット用計量フィーダ37Cで射出1ショット分をホッパー26に供給する。ここでドライブレンドとは、材料を乾燥させながらブレンドすることを言う。
なお、図1では、粉体用計量フィーダ35C及びペレット用計量フィーダ37Cを、スクリューフィーダの例で図示しているが、テーブルフィーダ、ベルトフィーダ、ロータリフィーダ、ビンディスチャージャー、サークルフィーダ、剪断力を応用した振動式切出し装置等を採用してもよく、成形材料の性状において適宜使用することができる。
また、ホッパー26には、ホッパー26内の成形材料の貯留量を検出する上限レベルセンサー40及び下限レベルセンサー43が設けられる。上限レベルセンサー40のレベル信号H及び下限レベルセンサー43のレベル信号Lは、信号ケーブル又は無線を介してコントローラ39に入力される。そして、コントローラ39は、レベル信号H及びレベル信号Lに基づいて、粉体用計量フィーダ35C及びペレット用計量フィーダ37Cのフィード速度やフィードタイミングを制御し、ホッパー26内の成形材料の貯留量が上限レベルセンサー40及び下限レベルセンサー43の間に位置するようにする。即ち、粉体用計量フィーダ35C及びペレット用計量フィーダ37Cからホッパー26にフィードされる射出1ショット分の粉体材料及びペレット材料がホッパー26に貯留されている時間ができるだけ短時間になるようにする。これにより、ホッパー26内において、成形材料が滞留して、粉体材料とペレット材料とが分離するのを抑制する。
ホッパー26は、材料を貯蔵する機能は必要ないので、材料のこぼれを防止する程度の小さなサイズでよい。
ここで、図3を用いて、射出成形装置の射出成形サイクルについて説明する。
射出成形サイクルは、一般的に、計量工程、型締工程、射出工程、保圧工程、冷却工程、離型工程とで構成される。
計量工程は、ホッパー26から加熱されたシリンダ14内に供給された成形材料をスクリュー16の回転により混練して溶融(可塑化)しつつ圧送し、溶融した成形材料をシリンダ先端部14Aに貯蔵していく。そして、貯蔵される成形材料自身の圧力を受けて、スクリュー16は回転しながら後退し、予め設定された計量値に達するとスクリュー16の回転を停止して計量を終了する。計量工程に要する時間を計量時間という。
型締工程は、型開状態にある可動金型30Bと固定金型30Aとの金型30を閉じる工程であり、型締シリンダ(図示せず)により可動金型30Bを固定金型30Aの方向に移動させて当接させることにより金型30を閉める。
射出工程(充填工程とも言う)は、シリンダ14内で溶融し流動状態になった成形材料をスクリュー16の前進によりノズル12を通って金型30内に射出する。これにより、溶融した成形材料が金型30のキャビティ28内に充填される。
保圧工程は、射出工程で溶融した成形材料が金型30のキャビティ28内に充填された後も、スクリュー16によってキャビティ28内に圧力が加えられる。これにより、キャビティ28内の成形材料をキャビティ形状に形作る。
冷却工程では、成形品が離型の際に十分な剛性を有するように成形材料を冷却固化する。
離型工程では、型締シリンダにより可動金型30Bを固定金型30Aから離れる方向に移動させて金型30を開く。これにより、成形品が金型30から離型される。
上記各工程の中では、保圧が完了した後は、スクリュー16は自由に動けるようになるので、図3に示すように、nサイクル目の冷却工程に、n+1サイクル目の計量工程をできるだけオーバラップさせることで成形サイクルの効率化を図っている。なお、射出成形サイクルの「待ち工程」については後記する。
そして、本実施の形態では、上記の射出成形装置を用いて、粉体混合タンク35Bでドライブレンドされた粉体材料の射出1ショット分と、ペレット混合タンク37Bでドライブレンドされたペレット状材料の射出1ショット分と、をホッパー26に供給する際に、各々の材料の供給開始から供給終了までの供給時間帯が60%以上同期するように、好ましくは90%以上同期するようにした。このように同期させて供給する方法を「同期供給」と称することにする。
図4は、形状の異なる粉体材料とペレット状材料とを同期供給する態様の一例を示したものであり、図4(A)は100%同期を示し、図4(B)は50%同期を示したものである。
このように60%以上同期させることにより、粉体材料とペレット状材料のように異なる形状や比重等の材料を、ホッパー26を介してシリンダ14内に直接供給しても、粉体材料とペレット状材料が設計通りの配合比率になり易い。
また、コントローラ39は、上記したモータ・ピストン装置22から計量工程の開始と終了を知らせる計量信号に基づいて、射出成形サイクルの計量工程における計量時間内にホッパー26からシリンダ14内への成形材料の供給を終了させる。これにより、スクリュー回転中に異なる形状の粉体材料とペレット状材料とを投入口25からシリンダ14内にスムーズに取り込むことができるので、取込み時に材料同士が分離しにくい。
したがって、形状や比重の異なる各々の材料の射出1ショット分を、別々の計量フィーダ35C、37Cを用いて、供給開始から供給終了までの供給時間帯が60%以上同期するようにシリンダ14内に供給すると共に、射出成形サイクルの計量工程における計量時間内に供給を終了することにより、均一な品質の成形品を安定的に製造することができる。
また、本実施の形態においては、ホッパー26の下部に、テーブルフィーダ式の計量制御フィーダ41を設け、コントローラ39からの指示によりホッパー26からシリンダ14内に供給される成形材料の供給速度を、スクリュー16の回転数や背圧の設定値とは関係なく制御することが好ましい(以下、「計量時間制御」という)。なお、計量制御フィーダ41はテーブルフィーダ式に限定されるものではなく、上記各種の計量フィーダを適宜採用できる。
コントローラ39には、成形材料の種類(樹脂の種類や添加物の種類等)、材料の形状(粉体、粒体、又はペレット)、混合比率(ベース樹脂と添加物との割合)、射出成形条件(1ショットの射出量、シリンダの加熱温度、スクリューの回転数、背圧設定値等)等の諸因子に応じて、成形材料が均一且つ十分に混練されるための必要混練時間データが入力されている。これらの必要混練時間データは予め予備試験等により得ることができる。また、コントローラ39には、必要混練時間を確保するための計量時間と、計量制御フィーダ41から供給する成形材料の供給速度との関係が入力されている。
そして、コントローラ39は、背圧を所定値に設定すると共にスクリュー16の回転数を50rpm以上300rpm以下の範囲の一定回転数に設定する一方、スクリュー回転数の材料送り能力に合わせて成形材料を投入口25から自重でシリンダ14内に充満供給するノーマル供給方法での計量時間をSN秒とした場合に、シリンダ14内に供給する成形材料の供給速度を、SNの2倍秒以上180秒以下の計量時間になるように調整する。即ち、コントローラ39は、計量制御フィーダ41からホッパー26を介してシリンダ14内に供給する成形材料の供給速度を、スクリュー16の回転数や背圧設定値とは無関係に調整することにより、計量工程の計量時間をSNの2倍秒以上180秒以下の範囲内において成形材料の必要混練時間に応じて制御する(「計量時間制御」)。計量時間制御におけるより好ましい計量時間はSNの5倍秒以上SNの20倍秒以下の範囲内である。
これにより、スクリュー16の回転数を混練に適した速度で回転させ、しかも計量時間を長くとることができるので、例えば大量の粉体や繊維等から構成される成形材料をシリンダ内に直接供給しても、その成形材料を均一混練するのに必要なスクリュー回転数や必要混練時間を十分に確保することができる。
この場合、スクリューの回転数としては混練性能の向上と剪断発熱による劣化の両方を考慮して50rpm以上、300rpm以下の回転に設定することが好ましい。より好ましくは150〜200rpmの範囲に設定する。スクリュー回転数が50rpm未満では、十分に均一混練を行うことができず、300rpmを超えると剪断発熱によって成形材料が劣化する虞がある。特に、成形材料のベース樹脂がバイオマス樹脂の場合には、300rpmを超えると劣化の危険が大きくなる。
また、シリンダ内に供給する成形材料の供給速度を、シリンダ内に成形材料を充満させるノーマル供給方法での計量時間SNの2倍秒未満にすると、均一混練を行うことができない。一方、計量時間が180秒を超えて長くなると、均一混練はできてもベース樹脂の分解による低分子化が生じ、射出成形により得られる成形品の強度が低下する。
したがって、仮に予備試験によって得られた必要混練時間が180秒を超える場合には、180秒に設定することが好ましい。
図5は上記した計量工程における背圧の上昇速度とスクリュー16の回転数との一般的な関係を示す図である。図5の右肩上がりの直線から分かるように、スクリュー16の回転数が高くなればなるほど、背圧の上昇速度が速くなる。したがって、スクリュー16の回転数を速くして成形材料に対する剪断力を上げようとすると短時間で背圧が上昇し、計量工程が終了してしまう。これにより、成形材料を混練するための時間を長く確保できない。
逆に、スクリュー16の回転数を低くすると背圧が上昇する時間を遅くでき混練時間を長く確保できるが、スクリュー16の回転数が低いことにより成形材料に十分な混練を行うための剪断力を付与できない。
したがって、スクリュー16の回転数や背圧設定値が基準となって計量工程の計量時間が決まってしまう従来の射出成形方法では、混練時間を長く確保することができない。また、冷却工程に要する冷却時間が計量工程の計量時間より長い場合には、図3の射出成形サイクルに示すように、計量工程から型締工程までの間に計量工程が終了した後の待ち工程が必要になる。待ち工程は、計量工程が終了し、スクリュー16が停止した状態であるので、混練が停止した状態で待つことになる。これにより、成形材料の混練時間を十分に確保できない虞があると共に、スクリュー16が停止することにより成形材料の加熱が偏在し、可塑性分布が生じ易い。
特に、バイオマス樹脂のように、品質改善のために難燃剤や繊維等の添加物を多量に添加する必要のある成形材料では、計量工程において高い剪断力を長時間与える必要があり、冷却工程開始から離型工程終了までの時間を混練のためにフルに活用することが重要になる。
したがって、図5のAゾーンのように、スクリュー16の回転数が高いにも係わらず、背圧の上昇速度が遅いようにすることができれば、高い剪断力と混練時間の両方を満足することができる。
そこで、本実施の形態では、同期供給に加えて、計量時間制御を組み合わせて、同期供給によりホッパー26からシリンダ14内に供給された成形材料の供給速度をスクリュー16の回転数に関係なく調整して、必要混練時間に応じて計量時間を制御するようにした。
即ち、コントローラ39に成形材料の種類、成形条件等の上記諸因子が入力されると、コントローラ39は入力されている必要混練時間データから成形材料に必要な計量時間を選択する。また、コントローラ39は、計量制御フィーダ41に貯留されている成形材料について、計量を開始してから終了するまでの計量時間が必要混練時間になるための供給速度を演算し、計量制御フィーダ41に設定する。これにより、計量制御フィーダ41は、ホッパー26に貯留されている成形材料を、演算された供給速度に基づいてシリンダ14内に供給する。
例えば、バイオマス樹脂と添加物(難燃剤+ガラス繊維)とを均一且つ十分に混練するために必要な必要混練時間が20秒であるとした場合、計量工程での計量時間が少なくとも20秒以上になるように、計量制御フィーダ41に貯留されている成形材料の供給速度を制御する。この場合、計量工程開始から計量工程終了までの供給速度はできるだけ均等であることが好ましい。したがって、成形材料を計量制御フィーダ41からシリンダ14内に少量ずつ連続的にぱらぱら落とす少量連続供給方法(パラパラ入れ)か、計量制御フィーダ41からシリンダ14内に一定間隔で一定量を間欠的に落とす間欠供給方法を採用することが好ましい。
これにより、スクリュー16の回転数を混練に適した速度で回転させ、しかもスクリュー16が回転動作している計量時間を長くとることができるので、例えば多量の粉体や繊維から構成される成形材料をシリンダ14内に直接供給しても十分な混練を行うことができる。スクリュー16の回転数としては、混練性能の向上と剪断発熱による劣化の両方を考慮して30rpm以上、300rpm以下の回転に設定することが好ましい。また、計量時間をスクリュー16の回転数に関係なく長くとることができるので、粉体を含む成形材料をシリンダ14内に直接供給しても、成形材料の供給速度に対してスクリュー15の送り能力の方が断然大きいので、成形材料がホッパー26出口やシリンダ14内で詰まることもない。
特に、成形材料のうち、粉体の比率が30重量%以上である場合には、本発明の射出成形方法を行うことにより均一混練が可能となると共に、成形材料がホッパー26出口やシリンダ14内で詰まることなく射出成形することが可能となる。
即ち、石油系樹脂のように耐熱性が良く、添加物として粉体材料を有する場合でも射出成形の前処理として混練機によるペレット化ができるので、成形材料全てをペレット状態でシリンダ14内に投入することが可能となる。しかし、バイオマス樹脂のように耐熱性が悪く、添加物として大量の粉体材料を有する場合には、射出成形の前処理として混練機でのペレット化ができないので、大量の添加物を粉体のままシリンダ14内に直接投入することになる。
そして、ペレット100%の成形材料をシリンダ14内に直接投入(DM法)した場合と、粉体を30重量%以上、特には50重量%以上含む成形材料をシリンダ14内に直接投入(DM法)した場合には、圧縮ゾーンにおける成形材料の溶融挙動は全く異なる。即ち、添加剤として使用される難燃剤、相溶剤、分解防止剤等の粉体材料(繊維状も含む)の殆どは溶融しない。そのため、樹脂ペレットに剪断をかけるときと同じように剪断をかけても粉体材料とシリンダ内壁面との摩擦で急激な発熱が起きて樹脂が劣化する。また粉体材料はペレットに比べて嵩が高くシリンダ内で隙間ができ易いために、シリンダ外周に設けられたヒータ24の熱が伝わりにくく。このため、圧縮ゾーンにおいてシリンダ14の内壁面近傍の成形材料のみが高温になって溶融するが、スクリュー16のシャフト側の成形材料には熱が伝わりにくく溶融しにくい。そのため、短時間の計量では、スクリュー16のシャフト側近傍の成形材料は溶融されないまま計量ゾーンを介してスクリュー先端まで送られてしまう。これにより、粉体材料を大量に含む成形材料は均一混練を行うことができず、射出成形により得られた成形品の品質(強度、難燃性、外観の色等)が低下する。事実、粉体材料を30重量%以上含む成形材料を従来の成形方法で成形し、そのときにスクリュー16をシリンダ14から抜いて観察すると、圧縮ゾーン終了位置においてシリンダ14内壁面近傍の成形材料は溶融しているが、スクリュー16のシャフト近傍の成形材料は溶融せずに粉体のまま残っている。このことを図6及び図7により詳しく説明する。
図6は、シリンダ14内に成形材料を充満供給する従来のノーマル供給方法によって、100%ペレットの成形材料をシリンダ内に供給した場合の圧縮ゾーンにおける成形材料の溶融挙動である。圧縮ゾーン入口部分では図6(A)に示すように、未溶融の成形材料がソリッドベッド層S形成すると共に、シリンダ14の内壁面部分に成形材料が溶融したメルトフィルム層Mを形成する。このメルトフィルム層Mが形成されると、剪断エネルギーによる発熱によりソリッドベッド層Sを溶融していき、圧縮ゾーン中央部分では図6(B)に示すように未溶融の成形材料が分散するメルトプールPが形成される。そして、図6(C)に示すように圧縮ゾーン出口部分ではメルトプールP中に未溶融の成形材料が殆どなくなる。これにより均一混練を行うことができる。
図7は、従来のノーマル供給方法によって、粉体を30重量%以上含む成形材料(残りはペレット状態)をシリンダ14内に供給した場合の圧縮ゾーンにおける成形材料の溶融挙動である。圧縮ゾーン入口部分では図7(A)に示すように、スクリュー16の搬送中に粉体とペレットとが分離され、シリンダ14側にペレット層Xが形成され、スクリュー16のシャフト側に粉体層Yが形成される。そして、シリンダ14側に近いペレット層Xから溶融され、図7(B)のようにメルトフィルム層Mを形成する。しかし、粉体層Yがある場合には、100%ペレットのように圧縮ゾーン全体にメルトプールPを形成することはなく、圧縮ゾーン全体への熱伝達が悪くなる。これにより、図7(C)のように圧縮ゾーン出口においてもスクリュー16のシャフト周囲近傍に粉体層Yが付着し、スクリュー16のシャフトに巻きついた状態で計量ゾーンに送られる。これにより、十分に均一混練されていない成形材料が計量ゾーンに達してしまうので、射出された成形品の品質が悪くなる。
また、ベース樹脂としてバイオマス樹脂、例えばポリ乳酸を使用した場合、ポリ乳酸の融点は170℃付近であるが、分解が220℃付近から急速に始まる。このように、融点温度と分解温度が近いために、加熱溶融が非常に難しい。融点付近では流動性が非常に悪いために、できるだけ温度を上げて溶融したい。特に、ポリ乳酸のベース樹脂に上記したように溶融しにくい粉体を30重量%以上含む成形材料では、成形設定温度を200℃程度まで挙げないと加熱溶融することができない。しかし、粉体材料を大量に含む成形材料は、剪断発熱によってシリンダ14の成形設定温度よりも15〜25℃上昇し、シリンダ内部温度が220℃程度まで加熱してしまう。
しかし、粉体を30重量%以上含む成形材料をシリンダ内に直接供給した場合であっても、スクリュー回転数や背圧設定値に関係なく計量時間を長く確保することによって、混練に必要なスクリュー回転数を確保しつつ、シリンダ14内、特に圧縮ゾーンでの成形材料密度を顕著に低くすることが可能となる。これにより、成形材料に過大な剪断がかからないので、剪断発熱によるシリンダ内部温度の温度上昇を抑制できる。また、シリンダ内の成形材料密度が低くても計量時間を長く確保することによりシリンダ14側の熱がスクリュー16のシャフト側へゆっくりと伝達されると共に、長い計量時間を確保したままスクリュー回転数を高くできるので混練効率が向上する。これにより、粉体を30重量%以上含む成形材料であっても、圧縮ゾーン全体にメルトプールPを形成し易いので、成形品の品質低下を発生させることなく均一混練を行うことができる。
そして、成形品の品質低下を発生させることのない均一混練は、背圧を所定値に設定したときにスクリュー16の回転数は混練に適した50〜300rpmの一定回転数に設定する一方、成形材料の供給速度を、スクリュー16の回転数や背圧設定値とは関係なく、ノーマル供給方法での計量時間SNの2倍秒以上180秒以下の計量時間になるように調整して計量時間を確保することにより達成できる。
この場合、シリンダ内の供給ゾーン、圧縮ゾーン、計量ゾーンのうち少なくとも圧縮ゾーンの手前までは成形材料を充満させないように、成形材料を供給することが好ましい。
計量時間SNの2倍秒以上180秒以下の範囲内で必要計量時間を幾つに設定するかは、成形材料の組成や射出成形装置の条件等により予め試験等により適宜決めることができる。また、計量時間SNの2倍秒以上180秒以下は、粉体を30重量%以上含む成形材料であっても問題ない範囲であり、100%ペレットの成形材料のように成形条件が厳しくないものに対しても適用できることは勿論である。
なお、必要混練時間に応じて制御する計量時間は、冷却工程と離型工程との合計時間内で、材料の混合性に応じて、任意に設定することができるが、冷却工程と離型工程との合計時間と一致させると、より高い混練性が得られるので好ましい。これにより、上記した待ち工程をなくすことができるので、計量工程中は常にスクリュー16が回転した状態を維持することができる。
また、計量時間が前記合計時間よりも長くなる場合には、必要混練時間データの中からスクリュー16の回転数を上げた条件を選択して、計量時間を合計時間に一致させるとよい。
図8は、必要混練時間に応じて制御する計量時間が冷却工程と離型工程との合計時間と一致する場合の計量工程のイメージを図で示したものである。このときの成形材料の供給速度が1分当たりQgであるとする。図8(A)は冷却工程の開始、図8(B)は冷却工程の終了、図8(C)は離型工程の終了を示す図である。また、スクリュー16が進退するストロークのうち、最も前進した位置(図8の左側位置)をX位置、最も後退した位置をY位置として示す。
図8(A)の冷却工程開始と同時に、成形材料をQg/分の供給速度でシリンダ14内に供給し計量工程を開始する。このときのスクリュー16位置はスクリューの進退ストロークのうち最もノズル側のX位置にある。
成形材料の供給につれて背圧が上昇し、その背圧によってスクリュー16回転しながら徐々に後退する。そして、図8(B)のように、冷却工程終了時点において、スクリュー16はX位置とY位置の中間よりも少しY側に寄って位置する。更に成形材料の供給が続くにつれてスクリューが後退し、図8(C)のように、離型工程終了と同時にY位置に達する。
このように、同期供給に計量時間制御を組み合わせることにより、例えば粉体材料とペレット状材料のように形状や比重が異なる各々の材料を、シリンダ14内に均一供給でき且つ必要混練時間に応じて計量時間を制御することができるので、混練に長い時間を要する成形材料であっても、均一且つ十分に混練を行うことができる。したがって、本発明はバイオマス樹脂をベース樹脂として難燃剤や繊維等の添加剤を添加して直接投入成形法で射出成形する場合に特に有効である。
次に、本発明に使用する成形材料等の好ましい条件について説明する。
本発明は、石油系樹脂にも適用可能であるが、ポリ乳酸樹脂やセルロース系樹脂のバイオマス樹脂に適用することが好ましい。
ポリ乳酸系樹脂は、各種のものが利用可能であり、例えば、乳酸単独重合体樹脂、乳酸共重合体樹脂が挙げられる。また、ポリ乳酸系樹脂の原料である乳酸成分も特に限定されず、例えばL−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸またはこれらの混合物、または乳酸環状2量体であるL−ラクチド、D−ラクチド、meso−ラクチド、またはこれらの混合物を使用できる。
本発明に用いるポリ乳酸系樹脂の製造方法も特に限定されず、従来公知の方法で合成した樹脂が、各種、利用可能である。乳酸単独重合体樹脂は、例えば、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸等または、これらの混合物を直接脱水縮合するか、またはL−ラクチド、D−ラクチド、meso−ラクチド、または、これらの混合物等の開環重合によって得ることができる。また、乳酸共重合体樹脂は、例えば、乳酸モノマーまたはラクチドと、前記モノマーと共重合可能な他の成分とを共重合して得ることができる。共重合可能な他の成分としては、例えば、分子内に2個以上のエステル結合形成性の官能基をもつジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等、および、これらの種々の構成成分よりなる各種ポリエステル、各種ポリエーテル、各種ポリカーボネート等が挙げられる。
また、ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量も、特に限定はないが、50,000〜500,000が好ましく、より好ましくは100,000〜250,000である。
重量平均分子量が50,000以上であると、得られる本発明の成形品の強度がより高まるので好ましい。重量平均分子量が500,000以下であると射出成形に供する成形材料が均一になり易く、それによって得られる成形品の強度が、より高まる傾向があるので好ましい。
セルロース系樹脂は特に限定されないが、ジアセチルセルロース(DAC)やトリアセチルセルロース(TAC)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)を好ましく使用できる。セルロース系樹脂メーカーから供給されているセルロース系樹脂の粒径は、一般的に1〜30mmの範囲で不揃いな粒状体としてユーザに供給される。
本発明において、射出成形機に供給される成形材料のベース樹脂であるバイオマス樹脂の含有量は、30重量%以上含有するのが好ましく50重量%以上含有するのが更に好ましい。このような構成とすることにより、成形した繊維含有射出成形品に優れた環境性能を付与することができる。
本発明において添加物として用いられる難燃剤(難燃化剤)には特に限定はなく、樹脂(成形品)を難燃化するために用いられる公知の難燃剤が、各種利用可能である。一例として、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、リン含有難燃剤、ケイ素含有難燃剤、窒素化合物系難燃剤、無機系難燃剤等が挙げられる。これらの中でも、樹脂との混練時や成形加工時に機器や金型の腐食が少なく、成形品を焼却廃棄する際に、環境に悪影響を与える可能性が少なく、難燃効果の大きいリン含有難燃剤が好ましい。
リン含有難燃剤としては特に限定はなく、公知のものを用いることができる。例えば、リン酸エステル、リン酸縮合エステル、ポリリン酸塩などの有機リン系化合物が例示さされる。具体的には、リン酸エステルとしては、一例として、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチル等が例示される。
また、リン酸縮合エステルとしては、一例として、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート、ハイドロキノンポリ(2,6−キシリル)ホスフェートならびにこれらの縮合物などの芳香族リン酸縮合エステル等が例示される。
更に、リン酸、ポリリン酸と周期律表IA族〜IVB族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミンとの塩からなるポリリン酸塩を挙げることもできる。
ポリリン酸塩の代表的な塩として、金属塩としてリチウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、鉄(II)塩、鉄(III)塩、アルミニウム塩など、脂肪族アミン塩としてメチルアミン塩、エチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、エチレンジアミン塩、ピペラジン塩などがあり、芳香族アミン塩としてはピリジン塩、トリアジン等が挙げられる。
また、本発明においては、これらのリン含有難燃剤やケイ素含有難燃剤以外に、他の難燃剤を、必要に応じて用いてもよい。例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、メタスズ酸、酸化スズ、酸化スズ塩、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化第一錫、酸化第二スズ、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アンモニウム、オクタモリブデン酸アンモニウム、タングステン酸の金属塩、タングステンとメタロイドとの複合酸化物酸、スルファミン酸アンモニウム、臭化アンモニウム、ジルコニウム系化合物、グアニジン系化合物、フッ素系化合物、黒鉛、膨潤性黒鉛などの無機系難燃剤を用いることができる。
本発明の射出成形方法において添加物として用いられる繊維は、3〜10mmの長さのペレット状に接着または包埋されて成形されたものであるのが好ましい。また、接着または包埋に用いる樹脂は、バイオマス樹脂を含むのが好ましい。繊維は合成繊維、無機いずれの繊維も使用することが出来る。中でも合成繊維ではポリエステル繊維、ポリアリレート繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、等の繊維が安定した品質が得られ、機能を充分発揮する点で好ましく中でも、ポリエステル繊維がより好ましい。
成形品を強化するための繊維として、熱溶融性合成繊維を用いると、成形品に着火した際に、繊維が溶融により収縮して成形品表面に突出せず、炭化層の均一な生成を妨げないなどの点で好ましい。
ポリエステル樹脂は、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子化合物の総称を意味する。したがって、ポリエステル樹脂としては、PET(ポリエチレンテレフタエレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPT(ポリペンタメチレンテレフタレート)、PHT(ポリヘキサメチレンテレフタレート)、PBN(ポリブチレンナフタレート)、PES(ポリエチレンサクシネート)、PBS(ポリブチレンサクシネート)等のみならず、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合反応によって得られる高分子化合物が全て含まれる。
ジカルボン酸成分には、特に限定はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、オキシカルボン酸、多官能酸などが挙げられ、中でも、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、一例として、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等が例示される。
中でも、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸が好ましく、テレフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、一例として、例えば、シュウ酸、コハク酸、エイコ酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、マレイン酸、フマル酸等が例示される。脂環族ジカルボン酸としては、一例として、シクロヘキサンジカルボン酸等が例示される。このような脂肪族ジカルボン酸および脂環族ジカルボン酸の中では、コハク酸、アジピン酸、シクロヘキサンジカルボン酸が好ましく、コハク酸、アジピン酸がより好ましい。
オキシカルボン酸としては、一例として、p−オキシ安息香酸等が例示される。
さらに、多官能酸としては、一例として、トリメリット酸、ピロメリット酸等が例示される。
他方、ジオール成分にも、特に限定はなく、目的に応じて、適宜、選択することができる。一例として、脂肪族ジオール、脂環族ジオール、芳香族ジオール、ジエチレングリコール、ボリアルキレングリコールなどが挙げられ、中でも、脂肪族ジオールが好ましい。
脂肪族ジオールとしては、一例として、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール等が例示され、中でも、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオールが特に好ましい。
脂環族ジオールとしては、一例として、シクロヘキサンジメタノール等が例示される。さらに、芳香族ジオールとしては、一例として、ビスフェノールA、ビスフェノールS等が例示される。
本発明に用いるポリエステル繊維の重合度は、特に限定は無いが、固有粘度0.50dL/g以上が好ましく、優れた力学特性を発現させる場合には0.70dL/g以上がより好ましい。なお、固有粘度の上限は3.00dL/g程度である。
また、本発明で繊維として用いるポリエステル樹脂は、o−クロロフェノール溶液を25℃で測定したときの固有粘度が0.36〜1.60dL/g、特に0,52〜1.35dL/gの範囲にあるものが好ましい。このような固有粘度を有するポリエステル樹脂を用いることにより、機械的特性、成形性の点で、好ましい。
本発明において、この様な繊維は、引っ張り強さが2cN/dtex以上、であることが好ましく、5cN/dtex以上であることがより好ましい。
このような繊維を用いることにより、得られる繊維含有射出成形品の強度を向上することができ、特に、混合物中にバイオ樹脂を30重量%以上含有した場合でも、JISK7110に準ずるシャルピー試験において、当該混合物の成形品が4KJ/m2以上の衝撃強度を保てる点で、好ましい。
また、本発明において用いる繊維の断面形状には、特に限定は無い。一例として、円状であってもよく、この場合には、繊維の製造コストが低くなり、加えて樹脂組成物中での分散性が高まるので好ましい。あるいは、星状、多角形、不定形、凹凸のある形状などの異型断面や異型断面複合断面であってもよい。この場合、混合物において、樹脂との接触面積が多くなり密着性が高まり、本発明の繊維含有射出成形品の強度が高まる傾向があるので好ましい。なお、断面形状が円状ではない繊維の直径は、例えば、面積円相当径(Heywood径)を用いるものとする。
なお、本発明において、繊維の太さには、特に限定はなく、繊維によって強化した樹脂成形品において用いられるものを用いればよく、例えば、射出成形品の用途、使用する射出成形機、樹脂ペレットのサイズ等に応じて、適切な太さを、適宜、選択すればよい。
また、本発明において、射出成形装置に供給される材料は、核剤を含んでいても良い。核剤を含むことにより、成形性、耐熱性、製品強度を向上することができる。使用する核剤には、特に限定はなく、樹脂(ポリマー)の核剤として配合される公知のものを用いることができる。核剤は、無機系核剤でも有機系核剤でも良い。
無機系核剤としては、タルク、カオリナイト、モンモリロナイト、合成マイカ、クレー、ゼオライト、シリカ、グラファイト、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、硫化カルシウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウムおよびフェニルホスホネートの金属塩などが挙げられる。
他方、有機系核剤として、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム、テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、シュウ酸カルシウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸カルシウム、オクタコサン酸ナトリウム、オクタコサン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、トルイル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸亜鉛、アルミニウムジベンゾエート、カリウムジベンゾエート、リチウムジベンゾエート、ナトリウムβ−ナフタレート、ナトリウムシクロヘキサンカルボキシレートなどの有機カルボン酸金属塩、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、スルホイソフタル酸ナトリウムなどの有機スルホン酸塩、ステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)などのカルボン酸アミド、ベンジリデンソルビトールおよびその誘導体、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジーt−ブチルフェニル)フォスフェートなどのリン化合物金属塩、および2,2−メチルビス(4,6−ジーt−ブチルフェニル)ナトリウムなどが挙げられる。
これらの無機系核剤および有機系核剤は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用して用いてもよい。無機系と有機系を混合して用いてもよい。
本発明の射出成形方法に用いる成形材料として核剤を含有させる場合、その含有量は、ポリ乳酸樹脂等の樹脂100質量部に対して0.005〜5質量部の割合が好ましく、0.1〜1質量部の割合が更に好ましい。
また、本発明の射出成形方法に用いられる成形材料は可塑剤を含有してもよい。
使用する可塑剤には、特に限定は無く、樹脂の成形に一般的に用いられる可塑剤が、各種利用可能であり、例えば、ポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ボリアルキレングリコール系可塑剤およびエポキシ系可塑剤等が例示される。
ポリエステル系可塑剤としては、一例として、アジピン酸、セバチン酸、テレフタル酸・イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ロジンなどの酸成分と、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのジオール成分からなるポリエステルや、ポリカプロラクトンなどのヒドロキシカルボン酸からなるポリエステル等が例示される。
これらのポリエステルは単官能カルボン酸もしくは単官能アルコールで末端封鎖されていてもよく、またエポキシ化合物などで末端封鎖されていてもよい。
グリセリン系可塑剤としては、一例として、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノオレートおよびグリセリンモノアセトモノモンタネート等が例示される。ことができる。
多価カルボン酸系可塑剤としては、一例として、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジへブチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ブチルベンジルなどのフタル酸エステル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリへキシルなどのトリメリット酸エステル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸n−オクチルーn一デシル、アジピン酸メチルジグリコールブチルジグリコール、アジピン酸ベンジルメチルジグリコール、アジピン酸ベンジルブチルジグリコールなどのアジピン酸エステル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル、アゼライン酸ジー2−エチルヘキシルなどのアゼライン酸エステル、セバシン酸ジブチル、およびセバシン酸ジー2−エチルヘキシル等が例示される。
ポリアルキレングリコール系可塑剤としては、一例として、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド)ブロックおよび/又はランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノール類のエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のプロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のテトラヒドロフラン付加重合体などのボリアルキレングリコールあるいはその末端エポキシ変性化合物、末端エステル変性化合物、および末端エーテル変性化合物等が例示される。
エポキシ系可塑剤とは、一般にはエポキシステアリン酸アルキルと大豆油とからなるエポキシトリグリセリドなどを指すが、その他にも、主にビスフェノールAとエピクロロヒドリンを原料とするような、いわゆるエポキシ樹脂も使用することができる。
また、可塑剤としては、これ以外にも、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルプチレートなどの脂肪族ポリオールの安息香酸エステル、ステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド、オレイン酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチルなどのオキシ酸エステル、ペンタエリスリトール、各種ソルビトール等も、例示される。
本発明の射出成形方法で使用する成形材料に可塑剤を含有させる場合、その含有量は、ポリ乳酸等の樹脂100質量部に対して、1〜30質量部の割合が好ましく、5〜10質量部が更に好ましい。成形材料が上記好ましい範囲の含有率で可塑剤を含むと、本発明の成形品の製造時において、成形温度を10℃程度低減することができる。
本発明の射出成形方法に用いられる成形材料においては、核剤及び可塑剤以外にも、必要に応じて、界面活性剤、エラストマー、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、中和剤、顔料等の着色剤、分散剤、ロジン、合成ゴム類、無機質添加剤、抗菌剤、香料、離型剤、加水分解防止剤などの成分を含んでもよい。
本発明で用いられる成形材料において、樹脂、難燃剤、および繊維以外の成分は、合計で20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。
以上、本発明の射出成形方法について詳細に説明したが、本発明は、上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよいのは、もちろんのことである。
次に本発明の射出成形方法のより具体的な実施例を説明する。
[成形材料]
・ポリ乳酸樹脂(ヘ゜レット状)…ユニチカ製 テラマックTE7000 100重量部
・ポリリン酸アンモニウム系難然剤(粉体)…クラリアント社製AP423 40重量部
・相溶化剤(ホスファセ゛ン誘導体)(粉体)…伏見製薬所製 ラヒ゛トルFP110 10重量部
・酸化防止剤(粉体)…チハ゛スヘ゜シャリティケミカルス゛社製 イルカ゛ノックス245 0.5重量部
・加水分解防止剤(粉体)…日清紡製 カルボジライトLA1 3重量部
・エラストマー(ヘ゜レット状)…三菱レイヨン社製 メタフ゛レンSRK200 15重量部
合計 168.5重量部
なお、上記の材料のうち、粉体のエラストマーは予め溶融押し出しを行って、ペレット様形状に成形したものを用いた。
・ポリ乳酸樹脂(ヘ゜レット状)…ユニチカ製 テラマックTE7000 100重量部
・ポリリン酸アンモニウム系難然剤(粉体)…クラリアント社製AP423 40重量部
・相溶化剤(ホスファセ゛ン誘導体)(粉体)…伏見製薬所製 ラヒ゛トルFP110 10重量部
・酸化防止剤(粉体)…チハ゛スヘ゜シャリティケミカルス゛社製 イルカ゛ノックス245 0.5重量部
・加水分解防止剤(粉体)…日清紡製 カルボジライトLA1 3重量部
・エラストマー(ヘ゜レット状)…三菱レイヨン社製 メタフ゛レンSRK200 15重量部
合計 168.5重量部
なお、上記の材料のうち、粉体のエラストマーは予め溶融押し出しを行って、ペレット様形状に成形したものを用いた。
これらの材料のうち、ペレット状のポリ乳酸樹脂と、ペレットに準ずる形状であるエラストマーを予めペレット混合タンク37Bでドライブレンドしたものをペレット材料Aとした。ペレット材料Aの嵩比重は1.31であった。
また、ポリリン酸アンモニウム系難然剤、相溶化剤、酸化防止剤、及び加水分解防止剤を予め粉体混合タンク35Bでドライブレンドしたものを粉体材料Bとした。粉体材料Bの嵩比重は0.83であった。
更に、ペレット材料Aの形状調整を行って嵩比重1.10に小さくしたものをペレット材料A1とする。
[射出成形装置]
試験に供した射出成形装置10は、住友重機械工業製の150t射出成形装置(SG150U)を用いた。また、材料供給装置34は図1に示した構成のものを用いた。射出成形装置10に取り付けたホッパー26は、一般的な材料を貯留する大型のものではなく、小型容量のものを用いた。そして、ホッパー26に光学式の上限レベルセンサー40と下限レベルセンサー43を取り付け、コントローラ39はホッパー26内に貯留される成形材料の貯留量が上限レベルセンサー40と下限レベルセンサー43の間にくるように、粉体用計量フィーダ35Cとペレット用計量フィーダ37Cの射出1ショット分のフィード量を制御した。フィード量の制御は、粉体用計量フィーダ35Cとペレット用計量フィーダ37Cの駆動をON−OFFすることにより行った。
試験に供した射出成形装置10は、住友重機械工業製の150t射出成形装置(SG150U)を用いた。また、材料供給装置34は図1に示した構成のものを用いた。射出成形装置10に取り付けたホッパー26は、一般的な材料を貯留する大型のものではなく、小型容量のものを用いた。そして、ホッパー26に光学式の上限レベルセンサー40と下限レベルセンサー43を取り付け、コントローラ39はホッパー26内に貯留される成形材料の貯留量が上限レベルセンサー40と下限レベルセンサー43の間にくるように、粉体用計量フィーダ35Cとペレット用計量フィーダ37Cの射出1ショット分のフィード量を制御した。フィード量の制御は、粉体用計量フィーダ35Cとペレット用計量フィーダ37Cの駆動をON−OFFすることにより行った。
上記した射出成形装置10にシャルピー試験片と、UL試験片(厚み1.6mm)が同時に射出成形できる金型30をセットした。射出成形装置10のヒーター温度は、ノズル12側から195℃―195℃―190℃―180℃―30℃に設定した。また、1ショットの射出量は25gになるようにした。なお、本試験では、ホッパー26に設けたテーブルフィーダ式の計量制御フィーダ41は用いずに、成形材料の自重でシリンダ14内に供給されるようにした。
そして、以下に示す実施例1〜4及び比較例1〜3の射出成形条件で行った11ショット目〜30ショット目までに連続成形した20サンプルの試験片について、「試験片の重量(ばらつき)」、「シャルピー衝撃」、「燃焼性」、「分散性」の4項目について評価した。
「試験片の重量(ばらつき)」、「シャルピー衝撃」、「燃焼性」、「分散性」に関する評価の試験方法は次の通りである。
(試験片の重量(ばらつき))
測定に供する20サンプルの重量の標準偏差をσとしたときに、
標準偏差σが0.08未満を合格(○)とし、
標準偏差σが0.08以上を不合格(×)とした。
測定に供する20サンプルの重量の標準偏差をσとしたときに、
標準偏差σが0.08未満を合格(○)とし、
標準偏差σが0.08以上を不合格(×)とした。
(シャルピー衝撃試験)
シャルピー衝撃試験片をJISK−7111に準じて、長さ80mm±2mm、幅10mm±0.2mm、厚さ4mm±0.2mmとし、ノッチ加工(ノッチ半径0.25mm±0.05mm、ノッチ部の幅8.0mm±0.2mm)を行った。ノッチ付き試験片の質量は4.2gであった。試験装置はTOYOSEIKI社製のIMPACTTESTER(アナ
ログ式)を用いた。そして、上記の実施例及び比較例で得られた試験片をJISK−7111に準じてシャルピー衝撃試験に供し、5(kJm2)以上を合格(○)とし、5(kJm2)未満を不合格(×)とした。
シャルピー衝撃試験片をJISK−7111に準じて、長さ80mm±2mm、幅10mm±0.2mm、厚さ4mm±0.2mmとし、ノッチ加工(ノッチ半径0.25mm±0.05mm、ノッチ部の幅8.0mm±0.2mm)を行った。ノッチ付き試験片の質量は4.2gであった。試験装置はTOYOSEIKI社製のIMPACTTESTER(アナ
ログ式)を用いた。そして、上記の実施例及び比較例で得られた試験片をJISK−7111に準じてシャルピー衝撃試験に供し、5(kJm2)以上を合格(○)とし、5(kJm2)未満を不合格(×)とした。
(燃焼性試験:UL94−V)
テストピースは、長さ127mm、幅12.7mm、厚さ1.6mmの射出成形テストピースを用いた。UL94−Vはプラスチック部品などの燃焼性試験のうちでも最も基本的なもので、規定された寸法の試験片にガスバーナーの炎を当てて試験片の燃焼の程度を調べる。その等級は、難燃性が高い方から順に5VA,5VB,V−0,V−1,V−2,そしてHBがあり、V−1以上の難燃性を合格(○)とし、V−2以下の難燃性を不合格(×)とした。
テストピースは、長さ127mm、幅12.7mm、厚さ1.6mmの射出成形テストピースを用いた。UL94−Vはプラスチック部品などの燃焼性試験のうちでも最も基本的なもので、規定された寸法の試験片にガスバーナーの炎を当てて試験片の燃焼の程度を調べる。その等級は、難燃性が高い方から順に5VA,5VB,V−0,V−1,V−2,そしてHBがあり、V−1以上の難燃性を合格(○)とし、V−2以下の難燃性を不合格(×)とした。
(分散性試験)
テストピースはUL94に準じて長さ127mm、幅12.7mm、厚さ1.6mmの射出成形テストピースを用いた。このテストピースを、照度3800Lx〜4200Lxのライトテーブル(白色光)上に置き、テストピースを透過する透過光によって分散性の良し悪しを目視にて観察した。そして、次の◎〜××の5段階評価を行った。
テストピースはUL94に準じて長さ127mm、幅12.7mm、厚さ1.6mmの射出成形テストピースを用いた。このテストピースを、照度3800Lx〜4200Lxのライトテーブル(白色光)上に置き、テストピースを透過する透過光によって分散性の良し悪しを目視にて観察した。そして、次の◎〜××の5段階評価を行った。
◎…テストピース中に凝集体が見られず、色味も均一状態である。
○…テストピース中に凝集体が見られないが、色味にムラが観察される。
△…テストピース中に長さ0.5mm以上の微小な凝集体が僅かに観察される。
×…テストピース中に長さ0.5mm以上の凝集体が5個以上観察される。
××…テストピース中に長さ1mm以上の凝集体が10個以上観察される。
(判定)
上記した4つの評価項目が全て合格の場合に、判定において合格(○)であると評価し、1つでも不合格がある場合は判定において不合格(×)であると評価した。
上記した4つの評価項目が全て合格の場合に、判定において合格(○)であると評価し、1つでも不合格がある場合は判定において不合格(×)であると評価した。
[実施例及び比較例の射出成形条件及び試験結果]
実施例及び比較例の射出成形条件及び試験結果を図6の表に示す。
実施例及び比較例の射出成形条件及び試験結果を図6の表に示す。
(実施例1)
実施例1では、ペレット状材料Aと粉体材料Bとを、ペレット用計量フィーダ37Cと粉体用計量フィーダ35Cとにより、100%同期するようにホッパー26に供給した。その結果、「試験片の重量(ばらつき)」が○であると共に「分散性」は最も評価の高い◎であり、ペレット状材料Aと粉体材料Bとが均一混合されていることが分かる。均一混合された結果、「シャルピー衝撃」、「燃焼性」共に○の評価であり、総合評価も○であった。
実施例1では、ペレット状材料Aと粉体材料Bとを、ペレット用計量フィーダ37Cと粉体用計量フィーダ35Cとにより、100%同期するようにホッパー26に供給した。その結果、「試験片の重量(ばらつき)」が○であると共に「分散性」は最も評価の高い◎であり、ペレット状材料Aと粉体材料Bとが均一混合されていることが分かる。均一混合された結果、「シャルピー衝撃」、「燃焼性」共に○の評価であり、総合評価も○であった。
(実施例2)
実施例2では、ペレット状材料Aと粉体材料Bとを、ペレット用計量フィーダ37Cと粉体用計量フィーダ35Cとにより、60%同期するようにホッパー26に供給した。その結果、「分散性」の評価と「シャルピー衝撃」の数値において100%同期の実施例1よりも若干劣るが、品質上問題ない合格レベルであった。
実施例2では、ペレット状材料Aと粉体材料Bとを、ペレット用計量フィーダ37Cと粉体用計量フィーダ35Cとにより、60%同期するようにホッパー26に供給した。その結果、「分散性」の評価と「シャルピー衝撃」の数値において100%同期の実施例1よりも若干劣るが、品質上問題ない合格レベルであった。
(実施例3)
実施例3では、ペレット状材料A1と粉体材料Bとを、ペレット用計量フィーダ37Cと粉体用計量フィーダ35Cとにより、100%同期するようにホッパー26に供給した。その結果、実施例1と同様に「試験片の重量(ばらつき)」が○であると共に「分散性」は最も評価の高い◎であった。
実施例3では、ペレット状材料A1と粉体材料Bとを、ペレット用計量フィーダ37Cと粉体用計量フィーダ35Cとにより、100%同期するようにホッパー26に供給した。その結果、実施例1と同様に「試験片の重量(ばらつき)」が○であると共に「分散性」は最も評価の高い◎であった。
そして、「シャルピー衝撃」、「燃焼性」については、同じ100%同期の実施例1よりも更に良い評価となった。この理由として、実施例3のペレット状材料A1と粉体材料Bとの嵩比重差が、実施例1のペレット状材料Aと粉体材料Bとの嵩比重差よりも小さかったことが挙げられる。
(実施例4)
実施例4では、ペレット状材料A1と粉体材料Bとを、ペレット用計量フィーダ37Cと粉体用計量フィーダ35Cとにより、60%同期するようにホッパー26に供給した。その結果、「分散性」の評価と「シャルピー衝撃」の数値において100%同期の実施例3よりも若干劣るが、品質上問題ない合格レベルであった。また、実施例4は、同じ60%同期の実施例2の場合よりも嵩比重差が小さいことから、「分散性」と「シャルピー衝撃」の数値の点で実施例2よりも良い結果となった。
実施例4では、ペレット状材料A1と粉体材料Bとを、ペレット用計量フィーダ37Cと粉体用計量フィーダ35Cとにより、60%同期するようにホッパー26に供給した。その結果、「分散性」の評価と「シャルピー衝撃」の数値において100%同期の実施例3よりも若干劣るが、品質上問題ない合格レベルであった。また、実施例4は、同じ60%同期の実施例2の場合よりも嵩比重差が小さいことから、「分散性」と「シャルピー衝撃」の数値の点で実施例2よりも良い結果となった。
(比較例1)
比較例1では、ペレット状材料Aと粉体材料Bとを、ペレット用計量フィーダ37Cと粉体用計量フィーダ35Cとにより、50%同期するようにホッパー26に供給した。その結果、「試験片の重量(ばらつき)」は○であったものの、その他の「シャルピー衝撃」、「燃焼性」、及び「分散性」が×の評価となり、総合評価も×であった。
比較例1では、ペレット状材料Aと粉体材料Bとを、ペレット用計量フィーダ37Cと粉体用計量フィーダ35Cとにより、50%同期するようにホッパー26に供給した。その結果、「試験片の重量(ばらつき)」は○であったものの、その他の「シャルピー衝撃」、「燃焼性」、及び「分散性」が×の評価となり、総合評価も×であった。
(比較例2)
比較例2では、上記実施例1〜4及び比較例1のように、ペレット混合タンク37Bと粉体混合タンク35Bで別々にドライブレンドせずに、粉体混合タンク35B一緒にドライブレントしてから粉体用計量フィーダ35Cでホッパー26に供給した。その結果、4つの評価項目の全てが×であると共に、個々の項目についても比較例1より劣る結果であった。特に「分散性」については××の悪い評価であった。
比較例2では、上記実施例1〜4及び比較例1のように、ペレット混合タンク37Bと粉体混合タンク35Bで別々にドライブレンドせずに、粉体混合タンク35B一緒にドライブレントしてから粉体用計量フィーダ35Cでホッパー26に供給した。その結果、4つの評価項目の全てが×であると共に、個々の項目についても比較例1より劣る結果であった。特に「分散性」については××の悪い評価であった。
(比較例3)
比較例3は特許文献1に準じて試験したものである。即ち、東洋精機製作所の定量フィーダF3を手動でON−OFF操作して、特許文献1の供給方法により成形材料をシリンダ内に供給した。その結果、比較例3は、他の比較例1及び2に比べれば良かったものの、60%同期の実施例2及び4よりも悪い結果であり総合評価が×になった。特に、×となった分散性についてみると、比較例3は、添加材を計量工程だけではなく、スクリューが回転していない計量工程の後の射出工程や保圧工程でも供給し続けることを特徴としており、このことが分散性を悪くした原因と考察される。
比較例3は特許文献1に準じて試験したものである。即ち、東洋精機製作所の定量フィーダF3を手動でON−OFF操作して、特許文献1の供給方法により成形材料をシリンダ内に供給した。その結果、比較例3は、他の比較例1及び2に比べれば良かったものの、60%同期の実施例2及び4よりも悪い結果であり総合評価が×になった。特に、×となった分散性についてみると、比較例3は、添加材を計量工程だけではなく、スクリューが回転していない計量工程の後の射出工程や保圧工程でも供給し続けることを特徴としており、このことが分散性を悪くした原因と考察される。
[試験結果の考察]
以上の試験結果から分かるように、ペレット状材料A(又はA1)と粉体材料Bとを、射出成形装置のシリンダ内に直接供給して射出成形する場合に材料同士を均一混合するためには、以下の3つの条件を満足することが重要であることが分かる。
以上の試験結果から分かるように、ペレット状材料A(又はA1)と粉体材料Bとを、射出成形装置のシリンダ内に直接供給して射出成形する場合に材料同士を均一混合するためには、以下の3つの条件を満足することが重要であることが分かる。
(1)各々の材料の射出1ショット分を、別々の計量フィーダを用いてホッパーに供給する。
(2)供給開始から供給終了までの供給時間帯が60%以上同期するように供給する。
(3)射出成形サイクルの計量工程における計量時間内に供給を終了する。
10…射出成形装置、12…ノズル、14…シリンダ、16…スクリュー、17…背圧計、18…油圧モータ、20…ピストン装置、22…モータ・ピストン装置、24…ヒータ、26…ホッパー、28…キャビティ、30…金型、32…ゲート、34…材料供給装置、35…粉体供給装置、35A…攪拌機、35B…粉体混合タンク、35C…粉体用計量フィーダ、37…ペレット体供給装置、37A…攪拌機、37B…ペレット混合タンク、37C…ペレット用計量フィーダ、39…コントローラ、40…上限レベルセンサー、41…計量制御フィーダ、43…下限レベルセンサー
Claims (6)
- 粉体材料、ペレット状材料、及び液体材料の少なくとも粉体材料とペレット状材料を含む成形材料を、射出成形装置のシリンダ内に直接供給して射出成形する射出成形方法において、
前記各々の材料の射出1ショット分を、別々の計量フィーダを用いて、供給開始から供給終了までの供給時間帯が60%以上同期するように前記シリンダ内に供給すると共に、射出成形サイクルの計量工程における計量時間内に供給を終了することを特徴とする射出成形方法。 - 前記射出成形装置のシリンダ内に供給された成形材料をスクリューの回転によりシリンダ先端部に貯蔵すると共に、貯蔵される成形材料自身の圧力を受けて前記スクリューが計量設定位置まで後退した後に前記スクリューの回転を停止する計量工程では、
前記スクリューに加える背圧を所定値に設定して前記スクリューの回転数を50rpm以上300rpm以下の範囲の一定回転数に設定すると共に、
前記スクリュー回転数の材料送り能力に合わせて前記成形材料を投入口から自重で前記シリンダ内に充満供給するノーマル供給方法での計量時間をSN秒とした場合に、前記シリンダ内に供給する成形材料の供給速度を、前記SNの2倍秒以上180秒以下の計量時間になるように調整することを含み、
これにより前記計量時間を前記スクリューの回転数及び前記背圧設定値とは無関係に制御することを特徴とする請求項1の射出成形方法。 - 前記計量時間を前記成形材料の必要混練時間に応じて制御することを特徴とする請求項2の射出成形方法。
- 前記射出成形サイクルは、前記成形材料の計量工程、金型の型締工程、シリンダから金型への溶融樹脂の射出工程、金型内部の圧力を保圧する保圧工程、金型を冷却する冷却工程、金型を離型して成形品を取り出す離型工程とで構成されると共に、前記計量時間を、前記射出成形サイクルのうちの冷却工程開始から離型工程終了までの時間に応じて制御することを特徴とする請求項2の射出成形方法。
- 前記成形材料のうち、前記粉体の比率が30重量%以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1の射出成形方法。
- 前記成形材料はベース樹脂と添加物とで構成され、前記ベース樹脂がポリ乳酸樹脂、セルロース系樹脂の少なくとも1つであると共に、前記添加物が難燃剤、繊維の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1の射出成形方法。
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