JP2011198632A - 電池セパレータ及び二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】
高い機械強度と高い親水性を併せ持つ2次電池セパレータ及び該電池セパレータを用いた二次電池を提供することを目標とする。
【解決手段】
ポリプロピレン系樹脂を主構成材料とし前記ポリプロピレン系樹脂同士が結着することによって構成された不織布に、ポリエチレン系樹脂表面を形成し、次いで、ポリエチレン系樹脂表面に親水化処理、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、UVオゾン処理やスルホン化処理を施したことを特徴とする電池セパレータ及び該電池セパレータを用いた二次電池を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、二次電池に好適な電池セパレータ及び二次電池に関し、例えばアルカリ二次電池に最適の電池セパレータ及びアルカリ二次電池に関するものである。
ニッケル水素二次電池などのアルカリ二次電池は、充放電特性、過充放電特性に優れ、長寿命で繰り返し使用できる。
また、内部抵抗が低く大電流特性に優れるため、電気自動車や電動工具などのバッテリー用としての利用が期待されている。
これらの電池に用いられるセパレータには、
(1)親水性を示し電解液を保持する能力、
(2)電池製造時に発生するバリや電池使用中に発生するデンドライドなどによる正極−負極間のショートを防ぐのに十分な機械強度が求められる。
従来、この種の二次電池のセパレータとしては、親水性の高いポリアミド系の不織布が使われていた。しかしながら、ポリアミド系の不織布は、アルカリ電解液中でセパレータが徐々に分解されること、また分解時に発生するアンモニアが正極上で硝酸イオンに酸化され、負極上で還元されてアンモニアに戻るシャトル効果によって自己放電が大きくなるなどの問題があることが判明した(非特許文献1)。
そこで、ポリアミド系の不織布に代わって化学的安定性に優れるポリオレフィン系の不織布がセパレータとして用いられるようになった。しかし、ポリオレフィン系の不織布はポリアミド系の不織布と比べて親水性に劣るため、以下のような種々の親水化処理を行う必要がある。
(1)界面活性剤処理
セパレータに界面活性剤を塗布する比較的容易な方法であり、具体的には、分子内にポリアルキレンオキシド基を有するアセチレングリコール系の非イオン性界面活性剤を塗工する方法などがある(特許文献1)。
(2)コロナ放電処理、プラズマ処理、UVオゾン処理
各々の方法で発生させたラジカルによって樹脂表面にカルボキシル基などの親水基を導入する安価な処理方法である。
具体的には、コロナ放電処理では、高周波高電圧パルス電界により発せられるコロナ放電を被処理物に照射する(特許文献2)。プラズマ処理では、互いに対向する一対の電極間に電界を印加することによりプラズマ放電を発生させて被処理物に親水性を付与する(特許文献3)。なお、以下の説明では、これらの処理をまとめて「ラジカル反応処理」と呼称する。
(3)フッ素ガス処理
フッ素ガスの酸化力を利用して繊維表面にカルボキシル基を導入する方法である。具体的なフッ素ガス処理方法としては、フッ素と酸素の混合ガスに不織布を接触させて、繊維表面にカルボキシル基を導入する。
(4)アクリル酸グラフト重合処理
アクリル酸を繊維とグラフト重合させて親水性を付与する処理方法で、親水性の付与だけでなく電池の自己放電を抑制する効果も発現することが分かっている。これは、シャトル効果の原因物質であるアンモニアをセパレータが吸着するためであると考えられている。
具体的な処理方法としては、不織布を溶媒としての水と重合開始剤としてのベンゾフェノンとビニルモノマーとしてのアクリル酸からなる混合溶液に浸漬し、窒素雰囲気中で水銀ランプにて紫外線を数分間照射することによって、アクリル酸をグラフト重合する方法がある(特許文献4)。
(5)スルホン化処理
スルホン酸基を繊維に導入して親水性を付与する方法で、アクリル酸グラフト重合処理と同様に、親水性の付与だけでなく電池の自己放電を抑制する効果も発現することが分かっている。
具体的な処理方法としては、硫酸/発煙硫酸混合溶液に浸漬してスルホン化する方法(特許文献5)や、発煙硫酸/濃硫酸の硫酸混合溶液の上に繊維を乗せ、硫酸混合溶液を加熱しサンプルを蒸焼する非接触スルホン化方法(特許文献6)などがある。
また、スルホン化処理は、スルホン酸基の導入とともにセパレータが炭化していくという副作用があり、処理の度合いを強めて親水性を向上させるとセパレータの機械強度が低下する。
一方、上記の親水化処理を施すポリオレフィン系の不織布としては、ポリプロピレンとポリエチレンの芯鞘型複合繊維や分割型複合繊維、ポリプロピレンなどの単一繊維からなる湿式不織布とポリプロピレン製のスパンボンド不織布やメルトブロー不織布などの乾式不織布がある。
現在は、上記の親水化処理とポリオレフィン系の不織布の組合せのうち、ポリプロピレンとポリエチレンの芯鞘型複合繊維や分割型複合繊維、ポリプロピレンなどの単一繊維からなる湿式不織布にスルホン化処理を施したものがセパレータとしてよく使われている。
特開2000−164193号公報 特開2001−043843号公報 特開2001−068087号公報 特開平10−125300号公報 特開平8−236094号公報 特開平11−144698号公報
松田好晴、竹原善一郎 編、電池便覧(平成13)、p237-238
ポリプロピレン製の乾式不織布は、湿式不織布と比べて少ない工程で製造できるため低コストであり、ポリエチレンより強度の高いポリプロピレン同士が結着することによって不織布を構成しているため、ポリエチレンを介して結着している湿式不織布より引張強度や突刺強度、引裂強度などの機械特性に優れるという特徴がある。
しかし、ポリプロピレンはポリエチレンと比べて反応性に劣るため、ラジカル反応処理やスルホン化処理などの親水化処理の効果が得られにくく、湿式不織布より親水性の面で劣るという問題がある。
本発明は、上気課題に鑑みてなされたもので、例えば、ポリプロピレン製の乾式不織布の親水性を改善し、高い親水性と高い機械強度を両立させる電池セパレータ及び該電池セパレータを用いた電池を提供することを目的とする。
上述した課題を解決する一手段として、例えばポリプロピレン製の乾式不織布の表面により反応性の高いポリエチレンの層を形成し、ラジカル反応処理やスルホン化処理などの親水化処理を行うことを提案する。
即ち、電池の正極と負極の間に挟まれて使用される電池セパレータであって、ポリプロピレン系樹脂を主構成材料とし、前記ポリプロピレン系樹脂同士が結着することによって構成された不織布表面にポリエチレン系樹脂表面を形成し、次いで、前記ポリエチレン系樹脂表面に親水化処理を施したことを特徴とする。
そして例えば、前記親水化処理が、ラジカル反応処理又はスルホン化処理から選択される一種又は複数種の処理であることを特徴とする。
また例えば、前記親水化処理は、ラジカル反応処理をした後にさらにスルホン化処理をすることを特徴とする。
更に例えば、前記ラジカル反応処理は、コロナ放電処理、プラズマ処理、UVオゾン処理から選択される一種の処理であることを特徴とする。
また例えば、前記不織布表面にポリエチレン系樹脂表面を形成する処理は、前記不織布表面にポリエチレン系エマルションを塗工する処理であることを特徴とする。あるいは、前記ポリエチレン系エマルションの塗布量が、前記不織布の坪量に対し、0.1〜10.0重量%であることを特徴とする。
更に例えば、前記不織布は、スパンボンド法により製造されることを特徴とする。
以上のいずれかの構成を備える電池セパレータを正極と負極の間に用いることを特徴とする二次電池とする。そして例えば、前記二次電池が、ニッケル水素蓄電池であることを特徴とする。
本発明によれば、高い親水性と高い機械強度を両立させる電池セパレータ及び該電池セパレータを用いた電池を提供することができる。
本発明にかかる一発明の実施の形態例電池セパレータの製造工程を説明するための図である。
以下、本発明に係る一発明の実施の形態例を詳細に説明する。本実施の形態例は、正極と負極の間に挟まれて使用される電池セパレータであって、ポリプロピレン系樹脂を主構成材料とし、前記ポリプロピレン系樹脂同士が結着することによって構成された不織布にポリエチレン系樹脂表面を形成し、次いで、ラジカル反応処理やスルホン化処理などの親水化処理を施したことを特徴とする電池セパレータである。
図1を参照して、本実施の形態例のセパレータの製造工程及び該セパレータを用いた2次電池の製造工程の概略を以下に説明する。図1は本発明に係る一発明の実施の形態例の電池用セパレータ及び該セパレータを用いた2次電池の製造方法の概略を説明するための工程図である。
工程S1乃至工程S3が本実施の形態例の電池用セパレータの製造工程を、工程S4乃至工程S8が2次電池の製造工程の概略を示している。
まず工程S1において、任意の方法でシートを形成して基布とする。基布については、主構成材料にポリプロピレン系樹脂が用いられており、大部分の交絡点がポリプロピレン系樹脂同士の結着によって形成されていれば良い。具体的には、延伸の掛かった連続繊維から構成されるスパンボンド不織布が、高い機械特性を得る上で好適である。
原料となるポリプロピレン系樹脂としては、基本骨格がポリプロピレンで構成されていれば、その形状や大きさについては、電池の基本性能を阻害するものでなければどのようなものであっても良い。
但し、アミンなど窒素含有の官能基や結合を有する構造のものは前述のポリアミド系不織布のようにシャトル効果を引き起こし、自己放電が大きくなるため好ましくない。
次いで、工程S2でポリエチレン系樹脂エマルションの塗工などにより、基布表面にポリエチレン系樹脂コート層(以下、「PEコート」と呼称)を形成する。
前記ポリエチレン系樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂からなる基布の表面にポリエチレン系樹脂層を形成可能なものであれば良いので、基本骨格がポリエチレンであれば、その他の構成がどのようなものであっても十分使用できる。
つまり、ポリエチレン系樹脂の分子構造中にエステル基やフェニル基などの官能基、または二重結合を有していても良い。但し、アミンなど窒素を含有する官能基や結合を有した場合、前述のシャトル効果を引き起こすため好ましくない。
また、ポリエチレン系樹脂エマルションの分散媒としては、ポリエチレン系樹脂を分散可能な溶媒であれば特に限定はないが、前述のように、窒素を含んでいるとシャトル効果を促進させる恐れがあるため、窒素を含むものは好ましくない。溶媒の入手のし易さ、分散媒及びエマルションとしての取扱い上の安全性および保管時の安定性から水を用いるのが好ましい。
ポリエチレン系樹脂エマルションを塗工する手段としては、ポリエチレン系樹脂エマルションに基布を浸漬させる方法や、ディップ含浸など公知の手段を用いれば良い。例えば、基布にポリエチレン系樹脂エマルションを噴霧させるのも手段として有効である。
ポリプロピレン系樹脂からなる基布に対するポリエチレン系樹脂の付着量としては、基布の坪量に対して、ポリエチレン系樹脂が0.1〜10重量%であることが好ましい。
より好ましい範囲としては1〜5重量%であり、最適な付着量としては3重量%である。0.1重量%を下回った場合は所望の効果が得られないし、10重量%を上回った場合は基布を構成する繊維間の隙間を埋めてしまい、セパレータの気密度が高くなり、電池に組み込んだ際、内部抵抗が高くなりすぎるという懸念がある。
その後、工程S3で不織布の繊維表面に親水基を導入する親水化処理を行い、PEコート層に親水性を付与する。ポリエチレンはポリプロピレンより反応性が高いので親水化処理の効率が上がり、親水性を改善することができる。
親水化処理としては、コロナ放電処理やプラズマ処理、UVオゾン処理などのラジカル反応処理やスルホン化処理などがある。なお、スルホン化処理の方法としては、熱濃硫酸、発煙硫酸、SO3ガスによる方法など公知の処理方法であれば、いずれの処理方法でも好適に使用可能である。
さらに、本実施の形態例では、工程S2において基布の表面全体にムラ無くポリエチレン系樹脂コート層が形成されているため、スルホン化による基布へのダメージを有効に防ぐことができ、スルホン化処理によるセパレータの機械強度の低下も抑えることができる。
また、これらの親水化処理は組み合わせることも可能である。例えば、最初にコロナ放電処理を行い、次いでスルホン化処理を行うことができる。この場合、あらかじめカルボン酸基を導入して親水化したPEコート層にスルホン化処理を行うことになるので、処理の効率がさらに向上し、より一層の親水性が付与される。
つまり、上記のような方法でポリプロピレン製の乾式不織布の親水性を改善することができ、高い機械強度と高い親水性を両立した電池セパレータを得ることが可能となる。
以上でセパレータが作製できる。セパレータの製造のみで電池製造を行わない場合には以上のようにしてセパレータを制作した段階で以降の工程を省略できる。
次にこのセパレータを用いた2次電池の作製工程を説明する。通常はセパレータと2次電池とは別の場所で作製されるため、工程S1乃至工程S3で作製されたセパレータは、電池製造現場に送られ、まず工程S4で製造する電池の仕様に合わせた形状に裁断される。続いて工程S5で正極材料と負極材料及びセパレータを重ねて巻き、電池ケース(電池缶)に収納する。なお、正極材料と負極材料及びセパレータを交互に積層する構造であっても良く、電池の仕様に合わせた積層状態であれば詳細に限定はない。
次に工程S6で、電極材料の正極と負極を電池ケースの正極と負極にそれぞれ溶接等で電気的接続状態とする。つぎに工程S7で、電解液を電池ケース内へ注液する。その後、工程S8で電池ケースの注液口を電池ケース蓋などで封止し電池形状が完成する。
なお、2次電池の作製方法は以上の例に限定されるものではなく、本実施の形態例のセパレータを使用した電池であれば詳細な仕様などは限定されない。
次に、本発明にかかる電池セパレータについての一実施例を比較例と共に説明する。
目付重量53g/m2、厚さ125μmのポリプロピレン(以下PP)製スパンボンド不織布に、塗工率0.1重量%となるようにポリエチレン(以下PE)エマルション液(例えば、三井化学製の「ケミパールM200」を用いることができる。)をディップ法にて塗工し、125℃で乾燥、定着させてPEコートを施した。その後、処理密度220kW/m2/minでコロナ放電処理を施して親水化して電池用セパレータとした。
PEエマルション液の塗工率を1重量%に変更した以外は、実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
PEエマルション液の塗工率を3重量%に変更した以外は、実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
PEエマルション液の塗工率を5重量%に変更した以外は、実施例1と同様の操作で電池用セパレータを得た。
PEエマルション液の塗工率を10重量%に変更した以外は、実施例1と同様の操作で電池用セパレータを得た。
PEエマルション液を「メイカテックス HP‐70」(明成化学工業製)とし、塗工率を3重量%に変更した以外は実施例1と同様の操作で電池用セパレータを得た。
PEエマルション液の塗工率を3重量%とし、コロナ放電処理の代わりに紫外線照度約15mV/cm2、オゾン濃度約300ppmの条件で3分間UVオゾン処理を行って親水化した以外は、実施例1と同様の操作で電池用セパレータを得た。
目付重量53g/m2、厚さ125μmのPP製スパンボンド不織布に、塗工率3重量%となるようにPEエマルション液(ケミパールM200、三井化学製)をディップ法にて塗工し、125℃で乾燥、定着させてPEコートを施した。その後、10mol%のSO3ガスを含む窒素ガスと25℃で2分間反応させてスルホン化処理を行い、約10重量%のNaOH水溶液に5分間浸漬してから水洗し、70℃で乾燥して電池用スルホン化セパレータを得た。
スルホン化処理前に、処理密度220kW/m2/minでコロナ放電処理を施した以外は、実施例8と同様の操作で電池用スルホン化セパレータを得た。
〔比較例1〕
目付重量53g/m2、厚さ125μmのPP製スパンボンド不織布に、処理密度220kW/m2/minでコロナ放電処理を施して電池用セパレータを作製した。
〔比較例2〕
繊維径11μm、繊維長5mmのPP/PEの芯鞘繊維を用いて湿式法にて目付重量53g、厚さ125μmの不織布を得た。これに処理密度220kW/m2/minでコロナ放電処理を施して電池用セパレータを作製した。
〔比較例3〕
PEエマルション液の塗工率を20重量%に変更した以外は、実施例1と同様の操作で電池用セパレータを得た。
〔比較例4〕
コロナ放電処理の代わりに、10mol%のSO3ガスを含む窒素ガスと25℃で2分間反応させてスルホン化処理を施した以外は、比較例1と同様の操作で電池用スルホン化セパレータを得た。
〔比較例5〕
コロナ放電処理の代わりに、10mol%のSO3ガスを含む窒素ガスと25℃で2分間反応させてスルホン化処理を施した以外は、比較例2と同様の操作で電池用スルホン化セパレータを得た。
〔比較例6〕
コロナ放電処理の後に、10mol%のSO3ガスを含む窒素ガスと25℃で2分間反応させてスルホン化処理を施した以外は、比較例1と同様の操作で電池用スルホン化セパレータを得た。
〔比較例7〕
コロナ放電処理の後に、10mol%のSO3ガスを含む窒素ガスと25℃で2分間反応させてスルホン化処理を施した以外は、比較例2と同様の操作で電池用スルホン化セパレータを得た。
以上のようにして作製したセパレータの強度を比較するために、以下の引張試験を行った。即ち、幅15mmの短冊状のサンプルを用い、掴み間隔180mm、引張速度200mm/minで引張強度を測定した。また、スルホン化セパレータについては、スルホン化処理による強度劣化の度合いを調べるため、処理前後の強度維持率も以下の式(1)を用いて算出した。
強度維持率(%)={スルホン化後強度(kgf)/スルホン化前強度(kgf)}×100 (1)
親水性の度合いを比較するために、70℃の30重量%KOH水溶液に30mm×30mm角のセパレータを浮かべ、セパレータが電解液に完全に濡れるまでの浸液時間を測定した。親水性が高いほど電解液との親和性が良くなり、濡れるまでにかかる時間は短くなる。
セパレータのガス透過性を評価するため、気密度を測定した。気密度は、JIS P 8117(紙及び板紙の透気度試験方法)の6mmφのアダプターを取り付けたB型測定器の下部試験片取り付け部分にセパレータ紙を押さえ付け、セパレータ紙の6mmφの部分を100ccの空気が通過するのに要する時間(sec/100cc)により測定した。
表1に、以上の測定結果の一覧を示す。表1は引張強度と浸液時間、気密度を説明するための表である。
Figure 2011198632
表1より、PP製スパンボンド不織布のセパレータは比較例2や比較例5、比較例7の湿式不織布のセパレータと比べて高い引張強度を示した。
一方、親水性においても、実施例1から実施例5のPEコートを施してコロナ放電処理を行ったセパレータは、PPよりも反応性の高いPE表面が形成されているため、比較例1の未コートのPP製スパンボンド不織布と比べて浸液時間が短く、高い親水性を示した。特に、PEエマルションの塗工率を10重量%にした実施例5のサンプルは、比較例2の湿式不織布セパレータを超える親水性を示した。
しかし、PEエマルションの塗工率を上げていくと、PEエマルションが繊維の隙間を埋めてしまい、気密度が増加する傾向であった。特に、PEエマルションの塗工率を20重量%とした比較例3のセパレータでは、気密度が急激に高くなりセパレータとして使用できないレベルとなった。
また、毛細管現象がうまく働かなくなったためか、塗工率が10重量%を越えたあたりから浸液時間も増加傾向となった。浸液時間と気密度のバランスから、実施例3における塗工率3重量%のサンプルが電池セパレータとしては好適である事が判明した。
「ケミパール M200」の代わりにエステル変性PEエマルション「メイカテックスHP−70」を塗工した実施例6のサンプルも、比較例1と比べて高い親水性を示した。
同様に、コロナ処理の代わりにUVオゾン処理を施した実施例7のサンプルも、比較例1と比べて高い親水性を示した。
一方、スルホン化処理を施した実施例8と9のセパレータに関しては、PEコート層がスルホン化による不織布の劣化を食い止めるので、スルホン化処理前後の強度維持率がPEコートを施していない比較例4や比較例6と比べて高い値を示した。
親水性においても実施例8と9のセパレータは、PPよりも反応性の高いPE表面が形成されているため、未コートの比較例4や比較例6よりも高い値を示した。特に、実施例9は、スルホン化処理前に親水処理を施しているためスルホン化処理効率が向上しており、比較例5の湿式不織布製のスルホン化セパレータと同等の親水性を示した。
次に、得られたセパレータを用いて密閉型ニッケル水素電池を作製した。電池の部材としては、正極には焼結式ニッケル電極を、負極には焼結式水素吸蔵合金を、電解液には30重量%の水酸化カリウム水溶液をそれぞれ用いた。なお、比較例3のサンプルは、気密度が高く、電池用セパレータとして明らかに不適であるので除外した。
作製した密閉型ニッケル水素電池は、充電0.1C率12時間、休止0.5時間、放電0.1C率で終止電圧1.0Vとして、10サイクル充放電を繰り返し、電池初期活性を行った。
〔不良率〕
上記の方法で各セパレータを用いた電池を100個ずつ作製し、その不良率を調べた。
〔自己放電試験〕
初期活性を行った密閉式ニッケル水素電池を充電0.1C率で12時間、休止0.5時間、放電0.1C率で終止電圧1.0Vとし、5サイクル繰り返した後の放電容量に対し、同条件(0.1C率)での充電後、45℃下で14日間放置したときの残存容量(0.1C率放電、終止電圧1.0V)の比を自己放電後の容量保存率とした。なお、充放電は全て25℃で行った。
〔サイクル寿命試験〕
初期活性を行った密閉式ニッケル水素電池を25℃下で1.0C率、1.1時間充電し、1時間休止させた後、終止電圧を1.0Vとして1.0C率で放電して理論容量に対する利用率が80%以下になったときのサイクル数をサイクル寿命として測定した。
以上のセパレータを用いた2次電池の電池試験結果を表2に示す。
Figure 2011198632
不良率は、比較例2と比較例4が1%、比較例5が2%、比較例7が3%、他は0%であった。不良の原因は、極材料のバリによってセパレータが破れたことによるショートと、電池作製時にかかる張力でセパレータの幅が収縮し、正極と負極が接触してしまったことによるショートであった。
容量保持率は、スルホン化処理を施したセパレータはその他の親水化処理を施したセパレータより高い値を示したが、同一処理を施したセパレータ間ではあまり差異はなかった。
一方、PEコートを施したセパレータを使用した電池は、未コートのセパレータを用いた電池と比べてサイクル寿命が高くなっていた。これは、PEコートによって親水性が向上して電解液との親和性が上がったため、電解液のドライアップが抑制されたためであると思われる。特に、実施例9のセパレータは比較例7の湿式不織布製のコロナ処理とスルホン化処理を施したセパレータと同等のサイクル特性を示した。
以上説明したように本実施例によれば、表面にPEコート層を形成したPP製スパンボンド不織布に、コロナ放電処理、プラズマ処理、UVオゾン処理などのラジカル反応処理やスルホン化処理を単独もしくは併用して行うことにより、高い機械強度と高い親水性を併せ持った電池セパレータ及び電池を提供することができる。

Claims (9)

  1. 電池の正極と負極の間に挟まれて使用される電池セパレータであって、ポリプロピレン系樹脂を主構成材料とし、前記ポリプロピレン系樹脂同士が結着することによって構成された不織布表面にポリエチレン系樹脂表面を形成し、次いで、前記ポリエチレン系樹脂表面に親水化処理を施したことを特徴とする電池セパレータ。
  2. 前記親水化処理が、ラジカル反応処理又はスルホン化処理から選択される一種又は複数種の処理であることを特徴とする請求項1記載の電池セパレータ。
  3. 前記親水化処理は、ラジカル反応処理をした後にさらにスルホン化処理をすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電池セパレータ。
  4. 前記ラジカル反応処理は、コロナ放電処理、プラズマ処理、UVオゾン処理から選択される一種の処理であることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の電池セパレータ。
  5. 前記不織布表面にポリエチレン系樹脂表面を形成する処理は、前記不織布表面にポリエチレン系エマルションを塗工する処理であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電池セパレータ。
  6. 前記ポリエチレン系エマルションの塗布量が、前記不織布の坪量に対し、0.1〜10.0重量%であることを特徴とする請求項5記載の電池セパレータ。
  7. 前記不織布は、スパンボンド法により製造されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の電池セパレータ。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の電池セパレータを用いたことを特徴とする二次電池。
  9. 前記二次電池が、ニッケル水素蓄電池であることを特徴とする請求項7記載の二次電池。
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