JP2011197181A - 光学補償膜及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗工により膜の厚み方向に大きな位相差を有し、その位相差の波長依存性の小さな塗工膜からなる光学補償膜を提供する。
【解決手段】マレイミド系樹脂と、ニトリル系溶剤10〜40重量%、メチルエチルケトン(MEK)0〜30重量%およびトルエン50〜70重量%よりなる混合溶剤、からなる溶液を塗工して得られる光学補償膜であって、該光学補償膜の面内の直交する任意の2軸をx軸、y軸とし、面外方向をz軸とし、x軸方向の屈折率をnx、y軸方向の屈折率をny、z軸方向の屈折率をnzとした際の3次元屈折率関係がnx≒ny>nzであり、面外方向複屈折(ΔP)が0.007以上であることを特徴とする光学補償膜。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高い位相差性能を発現する光学補償膜及びその製造方法に関するものである。
液晶ディスプレイは、マルチメディア社会における最も重要な表示デバイスとして、携帯電話からコンピューター用モニター、ノートパソコン、テレビまで幅広く使用されている。液晶ディスプレイには表示特性向上のため多くの光学フィルムが用いられている。
特に光学補償フィルムは、正面や斜めから見た場合のコントラスト向上、色調の補償などに大きな役割を果たしている。従来の光学補償フィルムとしては、ポリカーボネートや環状ポリオレフィン、セルロース系樹脂の延伸フィルムが用いられている。しかしながらこれらのフィルムには延伸工程が必要となること、延伸工程での位相差の均一性を求めることが困難となる、等の課題がある。また、特に大面積のフィルムにおいては、延伸により発現する位相差の制御を行うことがよりいっそう困難となる。
この延伸による課題を解決する方法として、塗工(コーティング)により未延伸での光学補償機能を発現させる光学補償膜の検討がなされている。
アクロン大学のハリス及びチェンは、剛直棒状のポリイミド、ポリエステル、ポリアミド、ポリ(アミド−イミド)、ポリ(エステル−イミド)よりなる光学補償膜を提案しており(例えば特許文献1、2参照。)、これらの材料は、自発的な分子配向性を有していることから塗工により延伸工程を経ることなく位相差を発現するという特徴がある。
更に、ポリイミドの塗工性(溶剤への溶解性)を向上したポリイミドからなる光学補償膜(例えば特許文献3参照)、ディスコティック液晶化合物を偏光板の保護フィルムに塗工した偏光板(例えば特許文献4参照。)、等が提案されている。
また、フェニルマレイミド−イソブテン共重合体からなる延伸フィルム(例えば特許文献5参照)が提案されている。
この他、マレイミド系樹脂として脂肪族マレイミド樹脂からなる塗工膜により光学補償する方法(例えば特許文献6参照)が提案されている。
米国特許第5344916号公報 特表平10−508048号公報 特開2005−070745号公報 特許第2565644号公報 特開2004−269842号公報 特開2008−287226号公報
しかし、特許文献1〜3において提案された方法で用いられるポリマーは、芳香族ポリマーであることから位相差の波長依存性が大きく、液晶表示素子の光学補償膜として用いた場合に色ずれなど画質低下の課題を有するものであった。
また、特許文献4に提案されているディスコティック液晶化合物を用いる方法は、液晶化合物を均一に配向させることが必要となり塗工プロセスが煩雑化する、配向ムラが大きい等の課題を有するばかりか、該液晶化合物も芳香族化合物が主体となることから位相差の波長依存性が大きいという品質上の課題も有するものであった。
特許文献5で得られるような延伸フィルムは、塗工するだけでは位相差は発現しない(nx=ny=nz)。
特許文献6で得られる塗工膜による光学補償性能は十分とはいえず、より性能に優れた光学補償膜が求められている。
そこで、本発明はより薄膜化した性能に優れた光学補償膜を提供することを目的とするものであり、さらに詳しくは、特定の樹脂と特定の溶剤組成からなる樹脂溶液を塗工することでより薄膜化した光学補償膜においてその面外方向複屈折(ΔP)が0.007以上を発現する光学補償膜を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の樹脂と特定の溶剤からなる溶液を塗工して得られる膜が光学補償機能を有する膜、特に液晶表示素子用の光学補償に好適な塗工型光学補償膜となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、マレイミド系樹脂と溶剤としてニトリル系溶剤を必須成分として、MEKおよびトルエンの混合溶剤からなる溶液を用いた光学補償膜に関するものであり、この溶液を塗工して得られる光学補償膜の面内の直交する任意の2軸をx軸、y軸とし、面外方向をz軸とし、x軸方向の屈折率をnx、y軸方向の屈折率をny、z軸方向の屈折率をnzとした際の3次元屈折率関係がnx≒ny>nzであり、面外方向複屈折(ΔP)が0.007以上であることを特徴とする。
以下、本発明の光学補償膜について詳細に説明する。
本発明の光学補償膜は、マレイミド系樹脂と、ニトリル系溶剤10〜40重量%、メチルエチルケトン(MEK)0〜30重量%およびトルエン50〜70重量%よりなる混合溶剤、からなる溶液を塗工して得られる光学補償膜であって、該光学補償膜の面内の直交する任意の2軸をx軸、y軸とし、面外方向をz軸とし、x軸方向の屈折率をnx、y軸方向の屈折率をny、z軸方向の屈折率をnzとした際の3次元屈折率関係がnx≒ny>nzであり、下記式(1)で示される面外方向複屈折(ΔP)が0.007以上であることを特徴とする光学補償膜である。
ΔP=(nx+ny)/2−nz (1)
本発明の光学補償膜に用いる溶剤は、ニトリル系溶剤10〜40重量%、メチルエチルケトン(MEK)0〜30重量%およびトルエン50〜70重量%よりなる混合溶剤であり、特にニトリル系溶剤10〜40重量%を用いることを特徴とし、ニトリル系溶剤が10重量%未満である場合はマレイミド系樹脂溶液の粘度が上昇したり、最も溶解性が悪い場合にはゲル化を生じ、40重量%を超える場合には溶解性が悪く白濁を生じる。
ここで、ニトリル系溶剤としては例えばアセトニトリル、ブチロニトリル、プロピオニトリル等が挙げられ、そのなかでも特にアセトニトリルが好ましく、これらの一種以上を用いることができる。
本発明の光学補償膜に用いるマレイミド系樹脂としては、例えばN−置換マレイミド重合体樹脂、N−置換マレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂等が挙げられ、該マレイミド系樹脂を構成するN−置換マレイミド残基単位としては、例えば下記一般式(a)で示されるN−置換マレイミド残基単位を挙げることができる。
Figure 2011197181
(ここで、Rは、炭素数1〜18の直鎖状アルキル基,炭素数1〜18の分岐状アルキル基,炭素数1〜18の環状アルキル基、ハロゲン基、エーテル基、エステル基、アミド基を示す。)
一般式(a)で示されるN−置換マレイミド残基単位におけるRは、炭素数1〜18の直鎖状アルキル基,炭素数1〜18の分岐状アルキル基,炭素数1〜18の環状アルキル基、ハロゲン基、エーテル基、エステル基、アミド基であり、炭素数1〜18の直鎖状アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、クロロエチル基、メトキシエチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ラウリル基等が挙げられ、炭素数1〜18の分岐状アルキル基としては、例えばイソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられ、炭素数1〜18の環状アルキル基としては、例えばシクロヘキシル基等が挙げられ、ハロゲン基としては、例えば塩素、臭素、フッ素、ヨウ素等が挙げられる。これらの1種又は2種以上が挙げられ、特に位相差量が大きく、溶剤への溶解性、機械的強度に優れる光学補償膜となることから、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基が好ましい。
該N−置換マレイミド残基単位の具体的例示としては、例えばN−メチルマレイミド残基単位、N−エチルマレイミド残基単位、N−クロロエチルマレイミド残基単位、N−メトキシエチルマレイミド残基単位、N−n−プロピルマレイミド残基単位、N−イソプロピルマレイミド残基単位、N−n−ブチルマレイミド残基単位、N−イソブチルマレイミド残基単位、N−s−ブチルマレイミド残基単位、N−t−ブチルマレイミド残基単位、N−n−ヘキシルマレイミド残基単位、N−シクロヘキシルマレイミド残基単位、N−n−オクチルマレイミド残基単位、N−n−ラウリルマレイミド残基単位等の1種又は2種以上が挙げられ、特に位相差量が大きく、溶剤への溶解性、機械的強度に優れる光学補償膜となることから、N−n−ブチルマレイミド残基単位、N−イソブチルマレイミド残基単位、N−s−ブチルマレイミド残基単位、N−t−ブチルマレイミド残基単位、N−n−ヘキシルマレイミド残基単位、N−n−オクチルマレイミド残基単位が好ましい。
該N−置換マレイミド重合体樹脂としては、例えばN−メチルマレイミド重合体樹脂、N−エチルマレイミド重合体樹脂、N−クロロエチルマレイミド重合体樹脂、N−メトキシエチルマレイミド重合体樹脂、N−n−プロピルマレイミド重合体樹脂、N−イソプロピルマレイミド重合体樹脂、N−n−ブチルマレイミド重合体樹脂、N−イソブチルマレイミド重合体樹脂、N−s−ブチルマレイミド重合体樹脂、N−t−ブチルマレイミド重合体樹脂、N−n−ヘキシルマレイミド重合体樹脂、N−シクロヘキシルマレイミド重合体樹脂、N−n−オクチルマレイミド重合体樹脂、N−n−ラウリルマレイミド重合体樹脂等を挙げることができる。
該N−置換マレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂としては、例えばN−メチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−エチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−クロロエチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−メトキシエチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−n−プロピルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−イソプロピルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−n−ブチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−イソブチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−s−ブチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−t−ブチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−n−ヘキシルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−シクロヘキシルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−n−オクチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−n−ラウリルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂等を挙げることができる。
その中でも、特に製膜時の成膜性に優れ、光学補償機能、耐熱性に優れた光学補償膜となることからN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂、N−n−ヘキシルマレイミド重合体樹脂、N−n−オクチルマレイミド重合体樹脂、N−n−オクチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂であることが好ましい。
また、本発明の光学補償膜を構成するマレイミド系樹脂は、本発明の目的を逸脱しない限りにおいてN−置換マレイミド残基単位、無水マレイン酸残基単位以外の残基単位を含有するものであってもよく、該残基単位としては、例えばスチレン残基単位、α−メチルスチレン残基単位等のスチレン類残基単位;アクリル酸残基単位;アクリル酸メチル残基単位、アクリル酸エチル残基単位、アクリル酸ブチル残基単位等のアクリル酸エステル類残基単位;メタクリル酸残基単位;メタクリル酸メチル残基単位、メタクリル酸エチル残基単位、メタクリル酸ブチル残基単位等のメタクリル酸エステル類残基単位;酢酸ビニル残基単位、プロピオン酸ビニル残基単位、ピバリン酸ビニル残基単位、ラウリン酸ビニル残基単位、ステアリン酸ビニル残基単位等のビニルエステル類残基単位;アクリロニトリル残基単位;メタクリロニトリル残基単位等の1種又は2種以上を挙げることができる。
また、該マレイミド系樹脂としては、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(以下、GPCと記す。)により測定した溶出曲線より得られる標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1×10以上のものであることが好ましく、特に機械特性に優れ、製膜時の成形加工性に優れた光学補償膜となることから2×10以上2×10以下であることが好ましい。
本発明の光学補償膜を構成するマレイミド系樹脂の製造方法としては、該マレイミド系樹脂が得られる限りにおいて如何なる方法により製造してもよく、例えばN−置換マレイミド類、無水マレイン酸、場合によってはN−置換マレイミド類と共重合可能な単量体を併用しラジカル重合あるいはラジカル共重合を行うことにより製造することができる。この際のN−置換マレイミド類としては、例えばN−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−クロロエチルマレイミド、N−メトキシエチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−s−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−n−オクチルマレイミド、N−n−ラウリルマレイミド等の1種又は2種以上が挙げられ、共重合可能な単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル;メタクリロニトリル等の1種又は2種以上を挙げることができる。
また、ラジカル重合法としては、公知の重合方法で行うことが可能であり、例えば塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法等のいずれもが採用可能である。
ラジカル重合法を行う際の重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系開始剤が挙げられる。
そして、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法において使用可能な溶媒として特に制限はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;シクロヘキサン;ジオキサン;テトラヒドロフラン(THF);アセトン;メチルエチルケトン;ジメチルホルムアミド;酢酸イソプロピル;水;N−メチルピロリドン等が挙げられ、これらの混合溶媒も挙げられる。
また、ラジカル重合を行う際の重合温度は、重合開始剤の分解温度に応じて適宜設定することができ、一般的には40〜150℃の範囲で行うことが好ましい。
本発明の光学補償膜のマレイミド系樹脂とニトリル系溶剤10〜40重量%、メチルエチルケトン(MEK)0〜30重量%およびトルエン50〜70重量%よりなる混合溶剤の割合は、マレイミド系樹脂10〜20重量%、混合溶剤80〜90重量%が好ましい。
本発明の光学補償膜は、マレイミド系樹脂と特定の溶剤からなる溶液を塗工して得られる光学補償膜であって、該光学補償膜の面内で直交する任意の2軸をx軸、y軸とし、面外方向をz軸とし、x軸方向の屈折率をnx、y軸方向の屈折率をny(nx、nyが異なる場合、最も小さい屈折率をnxとする)、z軸方向の屈折率をnzとした際の3次元屈折率関係がnx≒ny>nzであり、未延伸で膜の厚み方向の屈折率が小さくなるという特異な挙動を示し、単層膜にて面外方向複屈折(ΔP)が0.007以上を発現することを見出している。
また、ラジカル懸濁重合にて該マレイミド系樹脂を合成した場合、まれに微量の重合分散剤が残留することがあるが、そうした場合にもニトリル系溶剤を所定量用いることで該マレイミド系樹脂溶液として良好な溶解性、溶液調整を可能にする。しかし、ニトリル系溶剤が10重量%未満の場合には該マレイミド系樹脂溶液の粘度が上昇するおそれがあり、最も溶解性が悪い場合にはゲル化を生じることもあり、重合処方によって残留する分散剤濃度によりその程度が異なる。
また、本発明の光学補償膜の面外位相差量(Rth)は、該マレイミド系樹脂の塗工膜の厚みおよび樹脂溶液の組成により容易に制御することが可能であり、位相差フィルムとしての適応が期待できる光学補償膜となることから、測定波長589nmの光で測定した際の下記式(2)で示される面外位相差量(Rth)が30〜2000nmの範囲にあることが好ましく、さらに液晶表示素子の視野角改善効果に優れたものとなることから50〜1000nm、特に80〜500nmの範囲にあることが好ましい。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d (2)
(ここで、dは光学補償膜の膜厚(nm)を示す。)
本発明の光学補償膜は、液晶表示素子に用いた際に色ずれの小さい液晶表示素子となることから位相差量の波長依存性が小さいものであることが好ましく、さらに40度傾斜させ測定波長450nmの光で測定した位相差量(R450)と測定波長589nmの光で測定した位相差量(R589)の比で示される位相差量の波長依存性(R450/R589)が1.1以下が好ましく、特に1.08以下が好ましい。
本発明の光学補償膜は、液晶表示素子に用いた際に画質の特性が良好なものとなることから、JIS K 7361−1(1997年版)を準拠し測定した光線透過率が85%以上であることが好ましく、特に90%以上であることが好ましい。また、JIS K 7136(2000年版)を準拠し測定したヘーズ(曇り度)が2%以下であることが好ましく、特に1%以下であることが好ましい。
本発明の光学補償膜は、液晶表示素子に用いた際の品質の安定性から耐熱性が高いものであることが好ましく、用いるマレイミド系樹脂のガラス転移温度が100℃以上であるものが好ましく、さらに120℃以上であるものが好ましく、特に135℃以上であるものが好ましい。
本発明の光学補償膜は、面外方向複屈折(ΔP)が0.007以上であり、好ましくは0.007〜0.1である。
本発明の光学補償膜は、マレイミド系樹脂と溶剤としてニトリル系溶剤、MEKおよびトルエンの混合溶剤を用いた光学補償膜に関するものであり、この液を塗工して得られる光学補償膜の面内の直交する任意の2軸をx軸、y軸とし、面外方向をz軸とし、x軸方向の屈折率をnx、y軸方向の屈折率をny、z軸方向の屈折率をnzとした際の3次元屈折率関係がnx≒ny>nzであり、面外方向複屈折(ΔP)が0.007以上を発現することを特徴とし、好ましい製造方法として、ガラス基板、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂製フィルム基材にマレイミド系樹脂とニトリル系溶剤、MEKおよびトルエンの混合溶剤からなる溶液を塗工し乾燥することにより製造する方法が挙げられ、マレイミド系樹脂としては特に上記一般式(a)で示されるマレイミド残基単位よりなるマレイミド系樹脂であることが好ましい。
乾燥条件は、室温から180℃の温度で乾燥する方法が好ましい。
塗工方法は、マレイミド系樹脂を溶媒に溶解した溶液をガラス基板、あるいはセルロース系樹脂製フィルム上に塗工後、加熱等により溶媒を除去する方法である。その際の塗工方法としては、例えばドクターブレード法、バーコーター法、グラビアコーター法、スロットダイコーター法、リップコーター法、コンマコーター法等が用いられる。工業的には薄膜塗工はグラビアコーター法、厚膜塗工はコンマコーター法が一般的である。
塗工の際に使用する溶剤としては、ニトリル系溶剤、トルエンおよびMEKを含有する混合溶剤からなり、マレイミド系樹脂10〜20重量%に対して混合溶剤80〜90重量%配合することができ、またこの溶剤100重量%はニトリル系溶剤10〜40重量%含まれることを必須として残る溶剤がMEK0〜30重量%およびトルエン50〜70重量%の混合溶剤であることが好ましい。ニトリル系溶剤としては、例えばアセトニトリル、ブチロニトリル、プロピオニトリルなどが挙げられ、これらの一種以上を用いることができる。
溶液塗工においては、より容易に高い透明性を有し、且つ厚み精度、表面平滑性に優れた光学補償膜が得られることから、溶液粘度10〜10000cpsとすることが好ましく、特に10〜5000cpsをすることが好ましい。
この際のマレイミド系樹脂の塗工厚さは、塗工膜の厚み方向の位相差量により決められ、その中でも優れた表面平滑性、視野角改良を有する光学補償膜が得られることから、乾燥後1〜200μmが好ましく、さらに好ましくは5〜100μm、特に好ましくは10〜50μmである。
本発明の光学補償膜は、ガラス基板又はセルロース系樹脂製フィルム等の基板と積層した光学補償フィルムとすることもできる。
本発明の光学補償膜は、偏光板と積層して用いることもできる。
また、本発明の光学補償膜は熱安定性を高めるために酸化防止剤が配合されていても良い。該酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、その他酸化防止剤が挙げられ、これら酸化防止剤はそれぞれ単独又は併用して用いても良い。そして、相乗的に酸化防止作用が向上することからヒンダードフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤を併用して用いることが好ましく、その際には例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤100重量部に対してリン系酸化防止剤を100〜500重量部で混合して使用することが特に好ましい。また、酸化防止剤の添加量としては、本発明の光学補償膜を構成するマレイミド系樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましく、特に0.5〜1重量部の範囲であることが好ましい。
さらに、紫外線吸収剤として、例えばベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、トリアジン、ベンゾエートなどの紫外線吸収剤を必要に応じて配合していてもよい。
また、製膜の際の塗膜レベリング(平滑性)を向上させるためのレベリング剤として知られる公知の添加剤を必要に応じて配合することができる。レベリング剤としては例えばシリコン系レベリング剤などが挙げられる。
本発明の光学補償膜は、発明の主旨を越えない範囲で、その他ポリマー、高分子電解質、導電性錯体、無機フィラー、顔料、染料、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤等が配合されたものであってもよい。
本発明の光学補償膜は、塗工するだけで光学補償機能を発現し、従来のニトリル系溶剤を含まない溶液処方に比べて高い位相差性能を有するものであり、その光学補償機能の制御も容易であることから液晶表示素子、特にVA−モードの液晶テレビのコントラストや視角特性の改良に有効な光学補償膜として有用なものである。
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら制限されるものではない。
〜マレイミド系樹脂(共重合体)の組成〜
核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名JNM−GX270)を用い、プロトン核磁気共鳴分光(H−NMR)スペクトル分析より求めた。
〜数平均分子量(Mn)の測定〜
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製、商品名HLC−802A)を用い、ジメチルホルムアミドを溶剤とし標準ポリスチレン換算値として求めた。
〜ガラス転移温度(Tg)の測定〜
示差走査型熱量計(セイコー電子工業(株)製、商品名DSC2000)を用い、10℃/min.の昇温速度にて測定した。
〜光線透過率の測定〜
透明性の一評価として、JIS K 7361−1(1997年版)に準拠して光線透過率の測定を行った。
〜ヘーズの測定〜
透明性の一評価として、JIS K 7136(2000年版)に準拠してヘーズの測定を行った。
〜屈折率の測定〜
JIS K 7142(1981年版)に準拠してアッベ屈折率計(アタゴ製)を用いて測定した。
〜3次元屈折率の計算〜
試料傾斜型自動複屈折計(王子計測機器(株)製、商品名KOBRA−WR)を用いて仰角を変えて測定波長589nmの光で3次元屈折率を測定した。さらに、3次元屈折率より下記式(1)で示される面外方向複屈折(ΔP)、下記式(2)で示される面外位相差量(Rth)および下記式(3)で示される面内位相差量(Re)をそれぞれ算出した。
ΔP=(nx+ny)/2−nz (1)
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d (2)
(ここで、dは光学補償膜の膜厚(nm)を示す。)
Re=(nx−ny)×d (3)
(ここで、dは光学補償膜の膜厚(nm)を示す。)
位相差量の波長依存性(R450/R589)は、40度傾斜させ測定波長450nmの光で測定した位相差量(R450)と測定波長589nmの光で測定した位相差量(R589)の比で示した。
合成例1(N−n−ブチルマレイミド重合体樹脂の製造例1)
ガラス封管中に、N−n−ブチルマレイミド32.4g、重合開始剤としてジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.054gを仕込み、窒素置換後、重合温度60℃、重合時間5時間の条件にてラジカル重合反応を行なった。反応後、クロロホルムを加えポリマー溶液とした後に、過剰のメタノールと混合することにより重合体を析出させた。得られた重合体を濾過後、メタノールで十分洗浄し80℃にて乾燥し20gのN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂を得た。得られたN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂の数平均分子量は120000であった。また、ガラス転移温度(以下、Tgと称する)は185℃であった。
合成例2(N−n−ブチルマレイミド重合体樹脂の製造例2)
攪拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた500mLの4口フラスコに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、商品名メトローズ60SH−50)0.6g、蒸留水186g、N−ブチルマレイミド100g(0.65モル)、および油溶性ラジカル重合開始剤であるtert−ブチルパーオキシピバレート0.33g(0.0022モル)を入れ、窒素バブリングを1時間行なった後、550rpmで攪拌しながら50℃で12時間保持することにより懸濁重合を行なった。懸濁重合反応の終了後、フラスコの中の懸濁重合により得られたN−ブチルマレイミド重合体粒子を濾過後、蒸留水500mLで4回およびメタノール500mLで4回洗浄を行うことによりN−ブチルマレイミド重合体樹脂を得た(収率:61%)。得られたN−ブチルマレイミド重合体樹脂の数平均分子量は98,000であった。N−n−ブチルマレイミド重合体樹脂にはヒドロキシプロピルメチルセルロースが240ppm残留するものであった。
合成例3(N−n−ヘキシルマレイミド重合体樹脂の製造例)
ガラス封管中に、N−n−ヘキシルマレイミド40g、重合開始剤として、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.05gを仕込み、窒素置換後、重合温度60℃、重合時間5時間の条件にてラジカル重合反応を行なった。反応後、クロロホルムを加えポリマー溶液とした後に、過剰のメタノールと混合することにより重合体を析出させた。得られた重合体を濾過後、メタノールで十分洗浄し80℃にて乾燥し32gのN−n−ヘキシルマレイミド重合体樹脂を得た。得られたN−n−ヘキシルマレイミド重合体樹脂の数平均分子量は160000であった。また、Tgは148℃であった。
合成例4(N−n−オクチルマレイミド重合体樹脂の製造例)
ガラス封管中に、N−n−オクチルマレイミド28g、重合開始剤として、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.032gを仕込み、窒素置換後、重合温度60℃、重合時間5時間の条件にてラジカル重合反応を行なった。反応後、クロロホルムを加えポリマー溶液とした後に、過剰のメタノールと混合することにより重合体を析出させた。得られた重合体を濾過後、メタノールで十分洗浄し80℃にて乾燥し15gのN−n−オクチルマレイミド重合体樹脂を得た。得られたN−n−オクチルマレイミド重合体樹脂の数平均分子量は270000であった。また、Tgは138℃であった。
合成例5(N−n−オクチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂の製造例)
ガラス封管中に、N−n−オクチルマレイミド26g、無水マレイン酸2.4g、重合開始剤として、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.036gを仕込み、窒素置換後、重合温度60℃、重合時間5時間の条件にてラジカル重合反応を行なった。反応後、クロロホルムを加えポリマー溶液とした後に、過剰のメタノールと混合することにより重合体を析出させた。得られた重合体を濾過後、メタノールで十分洗浄し80℃にて乾燥し19gのN−n−オクチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂を得た。得られたN−n−オクチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂は、無水マレイン酸残基を20重量%含有するものであり、数平均分子量は120000であった。また、Tgは150℃であった。
実施例1
合成例1で得られたN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂を70重量%のトルエンと30重量%のアセトニトリルからなる混合溶剤に溶解し、15%樹脂固形分溶液を調整した。溶液の状態は良好であった。この溶液を用いてコーターにより厚さ100μmのガラス基板に塗工し、室温で24時間乾燥して幅120mm、厚み11μmの塗工膜を得た。得られた塗工膜の物性を以下に示す。
得られた塗工膜は、光線透過率91.8%、ヘーズ0.5%であり、3次元屈折率はnx=1.51723、ny=1.51723、nz=1.50722であり、ΔP=0.0100、Rth=110nmおよびRe=0nmであり、良好なΔPとRthを示した。さらに位相差量の波長依存性を示すR450/R589は1.05であった。
これらの結果、得られた塗工膜は、nx=ny>nzであり、波長依存性が小さく光学補償膜として薄膜にて良好な機能を有する。
実施例2
溶剤をトルエン65重量%、MEK5重量%、アセトニトリル30重量%とした以外は、実施例1と同様の方法により幅120mm、厚み11μmの塗工膜を得、物性を評価した。
溶液の状態は良好であった。
得られた塗工膜は、光線透過率92.0%、ヘーズ0.3%であり、3次元屈折率はnx=1.51708、ny=1.51708、nz=1.50754であり、ΔP=0.0095、Rth=105nmおよびRe=0nmであり、良好なΔPとRthを示した。さらに位相差量の波長依存性を示すR450/R589は1.06であった。
これらの結果、得られた塗工膜は、nx=ny>nzであり、波長依存性が小さく光学補償膜として薄膜にて良好な機能を有する。
実施例3
溶剤をトルエン55重量%、MEK15重量%、アセトニトリル30重量%とした以外は、実施例1と同様の方法により幅120mm、厚み11μmの塗工膜を得、物性を評価した。
溶液の状態は良好であった。
得られた塗工膜は、光線透過率91.7%、ヘーズ0.3%であり、3次元屈折率はnx=1.51696、ny=1.51696、nz=1.50778であり、ΔP=0.0092、Rth=101nmおよびRe=0nmであった。さらに位相差量の波長依存性を示すR450/R589は1.06であり、良好なΔPとRthを示した。
これらの結果、得られた塗工膜は、nx=ny>nzであり、波長依存性が小さく光学補償膜として薄膜にて良好な機能を有する。
実施例4
溶剤をトルエン65重量%、アセトニトリル35重量%とした以外は、実施例1と同様の方法により幅120mm、厚み11μmの塗工膜を得、物性を評価した。
溶液の状態は良好であった。
得られた塗工膜は、光線透過率91.2%、ヘーズ0.9%であり、3次元屈折率はnx=1.51690、ny=1.51690、nz=1.50790であり、ΔP=0.0090、Rth=99nmおよびRe=0nmであり、良好なΔPとRthを示した。さらに位相差量の波長依存性を示すR450/R589は1.06であった。
これらの結果、得られた塗工膜は、nx=ny>nzであり、波長依存性が小さく光学補償膜として薄膜にて良好な機能を有する。
実施例5
溶剤をトルエン60重量%、アセトニトリル10重量%およびMEK30重量%とした以外は、実施例1と同様の方法により幅120mm、厚み11μmの塗工膜を得、物性を評価した。
溶液の状態は良好であった。
得られた塗工膜は、光線透過率91.2%、ヘーズ0.9%であり、3次元屈折率はnx=1.51626、ny=1.51626、nz=1.50917であり、ΔP=0.0071、Rth=78nmおよびRe=0nmであり、良好なΔPとRthを示した。さらに位相差量の波長依存性を示すR450/R589は1.06であった。
これらの結果、得られた塗工膜は、nx=ny>nzであり、波長依存性が小さく光学補償膜として薄膜にて良好な機能を有する。
実施例6
合成例2のN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂を用いて溶剤をトルエン70重量%、アセトニトリル25重量%およびMEK5重量%とした以外は、実施例1と同様の方法により幅120mm、厚み11μmの塗工膜を得、物性を評価した。
溶液の状態は良好であった。
得られた塗工膜は、光線透過率91.2%、ヘーズ0.9%であり、3次元屈折率はnx=1.51681、ny=1.51681、nz=1.50808であり、ΔP=0.0087、Rth=96nmおよびRe=0nmであり、良好なΔPとRthを示した。さらに位相差量の波長依存性を示すR450/R589は1.06であった。
これらの結果、得られた塗工膜は、nx=ny>nzであり、波長依存性が小さく光学補償膜として薄膜にて良好な機能を有する。
実施例7
合成例3で得られたN−n−ヘキシルマレイミド重合体樹脂を用いた以外は実施例1と同様にしてコーターによりガラス基板に塗工し、室温で24時間乾燥して幅120mm、厚み11μmの塗工膜を得た。溶液の状態は良好であった。
得られた塗工膜の物性を以下に示す。
得られた塗工膜は、光線透過率91.0%、ヘーズ0.9%であり、3次元屈折率はnx=1.52082、ny=1.52082、nz=1.51355であり、ΔP=0.0073、Rth=80nmおよびRe=0nmであり、良好なΔPとRthを示した。さらに位相差量の波長依存性を示すR450/R589は1.05であった。
これらの結果、得られた塗工膜は、nx=ny>nzであり、波長依存性が小さく光学補償膜として薄膜にて良好な機能を有する。
実施例8
合成例4で得られたN−n−オクチルマレイミド重合体樹脂を用いた以外は実施例1と同様にしてコーターによりガラス基板に塗工し、室温で24時間乾燥して幅120mm、厚み11μmの塗工膜を得た。溶液の状態は良好であった。
得られた塗工膜の物性を以下に示す。
得られた塗工膜は、光線透過率92.2%、ヘーズ0.5%であり、3次元屈折率はnx=1.51426、ny=1.51426、nz=1.50717であり、ΔP=0.0071、Rth=78nmおよびRe=0nmであり、良好なΔPとRthを示した。さらに位相差量の波長依存性を示すR450/R589は1.06であった。
これらの結果、得られた塗工膜は、nx=ny>nzであり、波長依存性が小さく光学補償膜として薄膜にて良好な機能を有する。
実施例9
合成例5で得られたN−n−オクチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂を用いた以外、実施例2と同様にしてコーターによりガラス基板に塗工し、室温で24時間乾燥して、幅120mm、厚み12μmの塗工膜を得た。溶液の状態は良好であった。
得られた塗工膜の物性を以下に示す。
得られた塗工膜は、光線透過率92.2%、ヘーズ0.8%であり、3次元屈折率はnx=1.50782、ny=1.50782、nz=1.50057であり、ΔP=0.0073、Rth=87nm、Re=0nmであり、良好なΔPとRthを示した。さらに位相差量の波長依存性を示すR450/R589は1.05であった。
これらの結果、得られた塗工膜は、nx=ny>nzであり、波長依存性が小さく光学補償膜として薄膜にて良好な機能を有する。
実施例10
実施例1において基材としてガラス基板の代わりに厚さ80μm、平均屈折率1.49、Rth=40nmであるセルロース系樹脂製フィルムを用いた以外は同様の方法により幅120mm、厚み11μmの塗工膜を得、物性を評価した。
溶液の状態は良好であった。
得られた塗工膜フィルム(塗工膜+基材)は、光線透過率91.8%、ヘーズ0.5%であり、3次元屈折率はnx=1.51723、ny=1.51723、nz=1.50722であり、ΔP=0.0100、Rth=110nmおよびRe=0nmであり、良好なΔPとRthを示した。さらに位相差量の波長依存性を示すR450/R589は1.05であった。
これらの結果、得られた塗工膜フィルムは、nx=ny>nzであり、波長依存性が小さく光学補償膜と基材を有する光学補償フィルムとして薄膜にて良好な機能を有する。
比較例1
実施例1において、溶剤としてアセトニトリルのみを用いて15%樹脂固形分溶液を調整したが、溶解できず溶液は白濁状態であったため製膜できなかった。
比較例2
実施例1において、溶剤としてトルエンのみを用いて15%樹脂固形分溶液を調整したが、溶解できず溶液は高粘度、白濁状態であったため製膜できなかった。
比較例3
溶剤としてMEKのみを用いて15%樹脂固形分溶液を調整した以外は実施例1と同様にしてコーターによりガラス基板に塗工し、室温で24時間乾燥して、幅120mm、厚み11μmの塗工膜を得た。溶液の状態は良好であった。
得られた塗工膜の物性を以下に示す。
得られた塗工膜は、光線透過率92.2%、ヘーズ0.8%であり、3次元屈折率はnx=1.51578、ny=1.51578、nz=1.51014であり、ΔP=0.0056、Rth=62nm、Re=0nmであった。さらに位相差量の波長依存性を示すR450/R589は1.05であり、ΔPが小さく、位相差量も小さかった。
得られた塗工膜は、nx=ny>nzであり、波長依存性が小さいが、ニトリル系溶剤を用いなかったため実施例1と比較してより位相差性能が低い。
比較例4
実施例5において、溶剤としてトルエン60重量%とMEK40重量%を用いて15%樹脂固形分溶液とした以外は同様にしてコーターによりガラス基板に塗工し、室温で24時間乾燥して、幅120mm、厚み12μmの塗工膜を得た。溶液の状態は良好であった。
得られた塗工膜の物性を以下に示す。
得られた塗工膜は、光線透過率92.2%、ヘーズ0.8%であり、3次元屈折率はnx=1.51507、ny=1.51507、nz=1.51157であり、ΔP=0.0035、Rth=42nm、Re=0nmであった。さらに位相差量の波長依存性を示すR450/R589は1.05であり、ΔPが小さく、位相差量も小さかった。
得られた塗工膜は、nx=ny>nzであり、波長依存性が小さいが、ニトリル系溶剤を用いなかったため実施例1と比較してより位相差性能が低い。
比較例5
合成例2のポリn−ブチルマレイミドを用いて溶剤をトルエン60重量%、MEK40重量%として溶液調整したが、ニトリル系溶剤を用いなかったため溶液は溶解できず高粘度ゲル状態であったため製膜できなかった。
Figure 2011197181

Claims (12)

  1. マレイミド系樹脂と、ニトリル系溶剤10〜40重量%、メチルエチルケトン(MEK)0〜30重量%およびトルエン50〜70重量%よりなる混合溶剤、からなる溶液を塗工して得られる光学補償膜であって、該光学補償膜の面内の直交する任意の2軸をx軸、y軸とし、面外方向をz軸とし、x軸方向の屈折率をnx、y軸方向の屈折率をny、z軸方向の屈折率をnzとした際の3次元屈折率関係がnx≒ny>nzであり、下記式(1)で示される面外方向複屈折(ΔP)が0.007以上であることを特徴とする光学補償膜。
    ΔP=(nx+ny)/2−nz (1)
  2. ニトリル系溶剤がアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルより選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学補償膜。
  3. 下記一般式(a)で示されるN−置換マレイミド残基単位よりなるマレイミド系樹脂からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学補償膜。
    Figure 2011197181
    (ここで、Rは、炭素数1〜18の直鎖状アルキル基,炭素数1〜18の分岐状アルキル基,炭素数1〜18の環状アルキル基、ハロゲン基、エーテル基、エステル基、アミド基を示す。)
  4. 測定波長589nmの光で測定した際の下記式(2)で示される面外位相差量(Rth)が30〜2000nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学補償膜。
    Rth=((nx+ny)/2−nz)×d (2)
    (ここで、dは光学補償膜の膜厚(nm)を示す。)
  5. 40度傾斜させ測定波長450nmの光で測定した位相差量(R450)と測定波長589nmの光で測定した位相差量(R589)の比で示される位相差量の波長依存性(R450/R589)が、1.1以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学補償膜。
  6. 塗工膜が未延伸膜であることを特徴する請求項1〜5のいずれかに記載の光学補償膜。
  7. 液晶表示素子用光学補償膜であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学補償膜。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の光学補償膜と基材からなることを特徴とする光学補償フィルム。
  9. 基材がガラス基板又はセルロース系樹脂製フィルムであることを特徴とする請求項8に記載の光学補償フィルム。
  10. マレイミド系樹脂と、ニトリル系溶剤10〜40重量%、メチルエチルケトン(MEK)0〜30重量%およびトルエン50〜70重量%よりなる混合溶剤、からなる溶液を基材上に塗工することを特徴とする光学補償膜の製造方法。
  11. 室温から180℃までの温度において乾燥することを特徴とする請求項10に記載の光学補償膜の製造方法。
  12. マレイミド系樹脂が、上記一般式(a)で示されるマレイミド残基単位よりなるマレイミド系樹脂であることを特徴とする請求項10又は11に記載の光学補償膜の製造方法。
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