JP2011195609A - 繊維複合材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】機械強度や低線膨張特性に優れ、用いられるマトリックス樹脂の選択範囲が広く、家電品の筺体や電子デバイスの基板材料、自動車用部品、住宅内装材料、包装・容器材料等の広範囲な用途に適用できる繊維複合材料を得ることにある。
【解決手段】少なくとも界面活性剤とマトリックス樹脂を含有する非水溶性分散媒体中に、セルロース繊維が分散してなり、前記非水溶性分散媒体中で前記界面活性剤が逆ミセルを形成し、前記逆ミセル内に前記セルロース繊維が内包されてなるセルロース繊維分散体を用いて成型されることを特徴とする繊維複合材料。
【選択図】なし
【解決手段】少なくとも界面活性剤とマトリックス樹脂を含有する非水溶性分散媒体中に、セルロース繊維が分散してなり、前記非水溶性分散媒体中で前記界面活性剤が逆ミセルを形成し、前記逆ミセル内に前記セルロース繊維が内包されてなるセルロース繊維分散体を用いて成型されることを特徴とする繊維複合材料。
【選択図】なし
Description
本発明は、逆ミセル内にセルロース繊維が内包されてなるセルロース分散体を用いて成型される繊維複合材料に関する。
樹脂に各種繊維状強化材を配合することで、その強度、剛性を大幅に向上させた繊維強化複合材料は、電気・電子、機械、自動車、建材等の産業分野で広く用いられている。この繊維強化複合材料に配合される繊維状強化材としては、優れた強度と軽量性を有するガラス繊維が主に用いられている。しかし、ガラス繊維強化材料では、高剛性化は達成されるが比重が大きくなるため、軽量化に限界があった。また、このガラス繊維強化材料を廃棄する場合、ガラス繊維自体が不燃性であるために、焼却処理する際に燃焼炉を傷める、また、燃焼効率が低くなるといった問題があり、サーマルリサイクル性に適しないという欠点もあった。
これに対し、繊維状強化材としてポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維といった有機材料からなる繊維強化材が検討されてきたが、これら強化材を配合した繊維強化材料は軽量性やサーマルリサイクル性については確保できるものの、機械的補強効果が十分でないという問題があった。
一方、近年、カーボンニュートラルの観点から植物由来材料を利用した高機能材料が注目される中、竹、ケナフ、サトウキビ、木材等の植物繊維を添加した強化樹脂が検討されているが(例えば特許文献1、2参照)、提案されている複合材料は、いずれも引っ張り弾性率、曲げ弾性率等の力学特性が不十分であるため用途が限定されていた。
これに対し、近年、この植物繊維を解繊してミクロフィブリル化したセルロース繊維を樹脂に混合した繊維複合材料が提案されている。このようなミクロフィブリル化したセルロース繊維を樹脂の強化材として用いた場合、機械的強度を向上させるほか、線膨張係数を低減できることが報告されている(例えば特許文献3、4参照)。
特許文献3には、繊維複合材料の作製方法として、ミクロフィブリル状のセルロース繊維の分散液から乾燥工程を経て、シートやブロック状等に賦形し繊維集合体とした後、これに硬化性モノマーを含浸・硬化させる方法が開示されているが、一旦フィブリル化した繊維が再度凝集した状態で成形されるため、マトリックス樹脂中への分散状態が不均一であり(凝集部位の形成)、得られる複合材料に強度斑が発生するという問題があった。
これに対し、特許文献4では、繊維をミクロフィブリル化してマトリックス樹脂中に均一に分散させる方法として二軸混練機を用いてパルプを溶融樹脂に添加し、溶融混練して解繊する方法が開示されている。しかしながら、樹脂中への分散が未だ不十分であり、得られる繊維複合材料は機械強度や熱特性の点で不十分なものであった。
従って、従来の繊維複合材料は、強化材としてのセルロース繊維をマトリックス中へ均一に分散することが未だ困難であるため、得られる繊維複合材料の力学的強度が不十分で、線膨張係数の低減効果も小さく、その適用範囲は限定されたものであった。
従来の繊維複合材料は、引張り強度、曲げ強度等の機械強度や低線膨張特性が不十分であり、その適用範囲が限定されるといった問題があった。本発明の目的は、機械強度や低線膨張特性に優れ、用いられるマトリックス樹脂の選択範囲が広く、家電品の筺体や電子デバイスの基板材料、自動車用部品、住宅内装材料、包装・容器材料等の広範囲な用途に適用できる繊維複合材料を得ることにある。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
1.少なくとも界面活性剤とマトリックス樹脂を含有する非水溶性分散媒体中に、セルロース繊維が分散してなり、前記非水溶性分散媒体中で前記界面活性剤が逆ミセルを形成し、前記逆ミセル内に前記セルロース繊維が内包されてなるセルロース繊維分散体を用いて成型されることを特徴とする繊維複合材料。
2.前記界面活性剤が反応性界面活性剤であることを特徴とする前記1記載の繊維複合材料。
3.前記セルロース繊維が、平均繊維径が2〜1000nmのセルロース繊維であることを特徴とする前記1または2記載の繊維複合材料。
4.前記セルロース繊維が、表面修飾されていることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項記載の繊維複合材料。
本発明によれば、セルロース繊維をマトリックス樹脂中へ均一に分散させることが可能となることで、引張り強度、曲げ強度等の力学特性や、線膨張係数等の熱特性に優れ、適用範囲の広い繊維複合材料が得られる。
本発明は、少なくとも界面活性剤とマトリックス樹脂を含有する非水溶性分散媒体中に、セルロース繊維が分散してなり、前記非水溶性分散媒体中で前記界面活性剤が逆ミセルを形成し、前記逆ミセル内に前記セルロース繊維が内包されてなるセルロース繊維分散体を用いて成型されることを特徴とする繊維複合材料である。
本発明者らは、上記課題に対し、マトリックス樹脂の強化材としてセルロース繊維に着目し、セルロース繊維の配合方法について鋭意検討した結果、パルプ等を解繊処理して得られるセルロース繊維を逆ミセル内に内包させ、油相の連続層にマトリックス樹脂を溶解させたセルロース繊維分散液を用いて成形することで、セルロース繊維がマトリックス樹脂中へ均一に分散したセルロース繊維複合材料が得られることを見出した。また、前記セルロース繊維を予め表面修飾することで、マトリックス樹脂への分散性もさらに向上し、力学特性、熱特性を大幅に改善できることが判明し、適用範囲の広い繊維複合材料を得ることができた。
以下、本発明の繊維複合材料についてさらに詳しく説明するが、以下の実施態様に限定されるものではない。
(セルロース繊維)
本発明に用いられる原料セルロースとしては、植物由来のパルプ、木材、コットン、麻、竹、綿、ケナフ、ヘンプ、ジュート、バナナ、ココナツ、海草等の植物繊維から分離した繊維、海産動物であるホヤが産生する動物繊維から分離した繊維、あるいは酢酸菌より産生させたバクテリアセルロース等が挙げられる。
本発明に用いられる原料セルロースとしては、植物由来のパルプ、木材、コットン、麻、竹、綿、ケナフ、ヘンプ、ジュート、バナナ、ココナツ、海草等の植物繊維から分離した繊維、海産動物であるホヤが産生する動物繊維から分離した繊維、あるいは酢酸菌より産生させたバクテリアセルロース等が挙げられる。
これらの中で、植物繊維から分離した繊維が好ましく用いることができるが、より好ましくはパルプ、コットン等の植物繊維から得られる繊維である。本発明に用いられるセルロース繊維は、これらのセルロース繊維を硫酸や塩酸等の酸を用いたセルロースの酸加水分解による化学的方法、もしくは高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、リファイナー、グラインダー、石臼等により、セルロースの解繊や微細化を行う物理的方法により得られるが、その解繊維処理方法について何ら制限はない。
これらのセルロースにおいては、重合度が一般に1000〜3000(分子量で、数万〜数百万)の範囲であるといわれ、不溶性の天然繊維である。本発明では、これを解繊した結晶性フィブリルの繊維径が重要であるため、重合度(分子量)がこの範囲にある不溶性の天然繊維であればよい。
具体例として、パルプ等のセルロース繊維を、水を入れた分散容器に0.1〜3質量%となるように投入し、これを高圧ホモジナイザーで解繊処理して、平均繊維径0.1〜10μm程度のミクロフィブリルに解繊されたセルロース繊維の水分散液を得る。さらにグラインダー等で繰り返し磨砕処理することで、平均繊維径2〜500nm程度のナノオーダーのセルロース繊維を得ることができる。上記磨砕処理に用いられるグラインダーとしては、例えば、ピュアファインミル(栗田機械製作所社製)等が挙げられる。
また、別の方法として、セルロース繊維の分散液を一対のノズルから250MPa程度の高圧でそれぞれ噴射させ、その噴射流を互いに高速で衝突させることによってセルロース繊維を粉砕する高圧式ホモジナイザーを用いる方法が知られている。用いられる装置としては、例えば、三和機械社製の「ホモジナイザー」、スギノマシン(株)製の「アルテマイザーシステム」、等が挙げられる。
さらに、上記の機械的な解繊方法の他、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルラジカル(TEMPO)を触媒としてセルロース非晶領域の一級水酸基を酸化してカルボキシルを導入し、フィブリル相互の静電反発を利用して化学的に解繊する方法を用いてもよい。
このようにして解繊処理して得られるセルロース繊維の平均繊維径としては、好ましくは2〜1000nmであり、より好ましくは2〜500nm、さらに好ましくは4〜100nmである。本発明に用いるセルロース繊維とは、セルロースのミクロフィブリルで、セルロース分子鎖が数十本水素結合で結合した結晶性の繊維(繊維径2〜4nmのものが最小単位)の単位が、さらに束ねられた形態で繊維の階層構造を形成しており、解繊度合いによってミクロンレベルの繊維径のファイバーを形成しているものである。ここで示される平均繊維径は、マトリックス樹脂中に分散した繊維の径の平均値であり、透過型電子顕微鏡等による画像観察結果より求められる。
本発明において、セルロース繊維の平均繊維径が1000nmを超えると、繊維複合材料の強度が不十分となる恐れがある。また、セルロース繊維の平均繊維径が2nm未満のものは前記高圧ホモジナイザーによる解繊処理、また、グラインダー等による磨砕処理によっては得ることが困難となる。
また、本発明において、セルロース繊維の長さについては特に限定されるものではないが、平均繊維長で100nm以上が好ましく、さらに好ましくは500nm以上である。この平均繊維長が100nmより短いと、繊維複合材料の強度が不十分となる恐れがある。
本発明において、平均繊維径、平均繊維長の測定は、得られた繊維について透過型電子顕微鏡、H−1700FA型(日立製作所社製)を用いて10000倍の倍率で観察した後、得られた画像について無作為に繊維を100本選び、画像処理ソフト(WINROOF)を用いて一本毎の繊維径及び繊維長を解析し、それらの単純な数平均値を求めた。
(セルロース繊維の表面修飾)
本発明に用いられるセルロース繊維としては、表面修飾されたミクロフィブリル化セルロース繊維が好ましく用いられ、セルロース繊維の水酸基を、酸、アルコール類、ハロゲン化試薬、酸無水物、イソシアナート類、シランカップリング剤等の修飾剤を用いて化学修飾させることが好ましい。また、化学的に解繊したセルロース繊維に関しては、導入されたカルボキシル基を利用して化学修飾してもよい。化学修飾する方法は公知の方法に従って行うことができ、例えば、解繊処理したセルロース繊維を、水あるいは適当な溶媒に添加して分散させた後、これに化学修飾剤を添加して適当な反応条件下で反応させればよい。
本発明に用いられるセルロース繊維としては、表面修飾されたミクロフィブリル化セルロース繊維が好ましく用いられ、セルロース繊維の水酸基を、酸、アルコール類、ハロゲン化試薬、酸無水物、イソシアナート類、シランカップリング剤等の修飾剤を用いて化学修飾させることが好ましい。また、化学的に解繊したセルロース繊維に関しては、導入されたカルボキシル基を利用して化学修飾してもよい。化学修飾する方法は公知の方法に従って行うことができ、例えば、解繊処理したセルロース繊維を、水あるいは適当な溶媒に添加して分散させた後、これに化学修飾剤を添加して適当な反応条件下で反応させればよい。
この場合、化学修飾剤のほかに、必要に応じて反応触媒を添加することができ、例えば、ピリジンやN,N−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化ナトリウム等の塩基性触媒や酢酸、硫酸、過塩素酸等の酸性触媒を用いることができるが、反応速度や重合度の低下を防止するため、ピリジン等の塩基性触媒を用いることが好ましい。反応温度としては、セルロース繊維の黄変や重合度の低下等の変質を抑制し、反応速度を確保する観点で、40〜100℃程度が好ましい。反応時間については用いる修飾剤や処理条件により適宜選定すればよい。
化学修飾によりセルロース繊維に導入する官能基としては、例えば、アセチル基、メタクリロイル基、プロパノイル基、ブタノイル基、iso−ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。
反応性基を導入する場合は、例えば反応性基を導入できるシランカップリング剤が好ましく用いられ、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のビニル基を末端に有するシランカップリング剤、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のエポキシ基を末端に有するシランカップリング剤、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプト基を末端に有するシランカップリング剤等が挙げられる。これらの中で、末端にエポキシ基、あるいはビニル基を有するものが好ましく用いられる。
これらの官能基は一種、あるいは二種以上が導入されていてもよい。特に、マトリクス樹脂が有する官能基と同一、あるいは同種の官能基、またはマトリクス樹脂に対して反応性を有する官能基を導入することで、セルロース繊維とマトリックス樹脂との親和性を向上させたり、セルロース繊維とマトリックス樹脂の間で共有結合を形成させたりすることが可能となるため、セルロース繊維のマトリックス樹脂中への均一な分散性が確保でき、良好な機械的強度や耐熱性、低線膨張係数等の物性向上効果が得られる。
(界面活性剤)
本発明に用いられる界面活性剤は、非水溶性溶媒中で逆ミセルを形成することができるものであれば特に制限なく使用することができるが、油溶性界面活性剤が、非水溶性溶媒中で逆ミセルを形成することができるため好適に用いられる。
本発明に用いられる界面活性剤は、非水溶性溶媒中で逆ミセルを形成することができるものであれば特に制限なく使用することができるが、油溶性界面活性剤が、非水溶性溶媒中で逆ミセルを形成することができるため好適に用いられる。
逆ミセルとは、油溶性界面活性剤が非水溶性溶媒中において、油溶性界面活性剤の親水基を内側に向け、油溶性界面活性剤の疎水基を外側に向けて集合することにより形成される分子集合体である。逆ミセルの内部は親水性が高いため、非水溶性溶媒中において親水性が高いセルロース繊維が逆ミセル中に内包される。
油溶性界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤のいずれであってもよく、これらを単独もしくは複数併用して用いても構わない。油溶性界面活性剤の具体例としては、アニオン性界面活性剤であるビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム等のスルホン酸塩型、カチオン性界面活性剤であるセチルトリメチルアンモニウムブロミド等の4級アンモニウム塩型、非イオン性界面活性剤であるペンタエチレングリコールドデシルエーテル等のエーテル型等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、本発明においては反応性基を有する反応性界面活性剤が好ましく用いられる。反応性基を有することでマトリックス樹脂と反応するため、繊維複合材料中に界面活性剤残存によるマトリックス樹脂の可塑化等により、繊維複合材料の耐熱性や機械的強度の低下といった物性低下を抑制することができる。反応性界面活性剤の具体例としては、アルキル・アリルサクシネートスルホン酸ナトリウム、2−ソディウムスルホエチルメタクリレート、アルコキシポリエチレングリコールメタクリレート、アルコキシポリエチレングリコールマレイン酸エステル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(非水溶性分散媒体)
本発明に用いられる分散媒体は、界面活性剤が逆ミセルを形成する非水溶性の溶媒である。この非水溶性溶媒としては、脂肪族系炭化水素、ハロゲン系溶媒、エーテル系溶媒等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。脂肪族系炭化水素の具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ハロゲン系溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等が挙げられる。エーテル系溶媒の具体例としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等が挙げられる。
本発明に用いられる分散媒体は、界面活性剤が逆ミセルを形成する非水溶性の溶媒である。この非水溶性溶媒としては、脂肪族系炭化水素、ハロゲン系溶媒、エーテル系溶媒等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。脂肪族系炭化水素の具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ハロゲン系溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等が挙げられる。エーテル系溶媒の具体例としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等が挙げられる。
これらの非水溶性溶媒は、単独もしくは複数を併用して用いても構わない。また、本発明の分散媒体は水溶性溶媒を含んでいても構わない。水溶性溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコールや、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(マトリックス樹脂)
本発明に用いられるマトリックス樹脂としては、ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、アミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられるがこれらの樹脂種に限定されるものではない。また、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線等の活性エネルギー線硬化性樹脂の何れかに限定されるものでもなく、これらの一種、あるいは複数種をブレンドして用いても差し支えない。
本発明に用いられるマトリックス樹脂としては、ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、アミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられるがこれらの樹脂種に限定されるものではない。また、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線等の活性エネルギー線硬化性樹脂の何れかに限定されるものでもなく、これらの一種、あるいは複数種をブレンドして用いても差し支えない。
前記ビニル系樹脂としては、エチレン、プロピレン、スチレン、ブタジエン、ブテン、イソプレン、クロロプレン、イソブチレン、イソプレン等の単独重合体または共重合体、あるいはノルボルネン骨格を有する環状ポリオレフィン等のポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等の酢酸ビニル系樹脂が挙げられる。
前記(メタ)アクリル系樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル、メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−オクチル(メタ)アクリルアミド等のN置換(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記アミド系樹脂としては、6,6−ナイロン、6−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、4,6−ナイロン、6,10−ナイロン、6,12−ナイロン等の脂肪族アミド系樹脂や、フェニレンジアミン等の芳香族ジアミンと塩化テレフタロイルや塩化イソフタロイル等の芳香族ジカルボン酸またはその誘導体からなる芳香族ポリアミド等が挙げられる。
上記ポリカーボネート系樹脂としては、ビスフェノールAやその誘導体であるビスフェノール類と、ホスゲンまたはフェニルジカーボネートとの反応物等が挙げられる。
上記セルロース系樹脂としては、セルロースエステルが好ましく、例えばセルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートブチレート、セルロースピバレート、セルロースカプロエート、セルロースアセテートカプロエート等が挙げられる。
上記ポリエステル系樹脂としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のジオール類とテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸との共重合体によって得られる芳香族ポリエステル系樹脂、ジオール類とコハク酸、吉草酸等の脂肪族ジカルボン酸との共重合体や、グリコール酸や乳酸等のヒドロキシカルボン酸の単独重合体または共重合体、上記ジオール類、上記脂肪族ジカルボン酸及び上記ヒドロキシカルボン酸の共重合体等の脂肪族ポリエステルが挙げられる。
上記シリコーン系樹脂としては、構成単位としてアルキル基、芳香族基等の有機基を有するものが好ましく、特にメチル基、フェニル基等の有機基を有するものが好ましい。かかる有機基を有するシリコーン系樹脂の具体例としては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、これらの変性体等を挙げることができる。
上記フッ素樹脂としては、テトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロピレン、クロロトリフロロエチレン、フッ化ビリニデン、フッ化ビニル、ペルフルオロアルキルビニルエーテル等の重合体又は共重合体樹脂が挙げられる。また、これらは必要に応じて一種、あるいは二種以上を組み合わせて用いてもよい。
(安定剤)
本発明の繊維複合材料では、フェノール系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤の中から選ばれた一種以上の安定剤を追加して添加してもよい。これら安定剤を適宜選択し、複合材料に添加することで、成形加工時のセルロース繊維やマトリックス樹脂の劣化、あるいは使用環境における繊維複合材料の耐熱性、耐光性等の物性変動を高度に抑制することができる。
本発明の繊維複合材料では、フェノール系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤の中から選ばれた一種以上の安定剤を追加して添加してもよい。これら安定剤を適宜選択し、複合材料に添加することで、成形加工時のセルロース繊維やマトリックス樹脂の劣化、あるいは使用環境における繊維複合材料の耐熱性、耐光性等の物性変動を高度に抑制することができる。
好ましいフェノール系安定剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート等の特開昭63−179953号公報や特開平1−168643号公報に記載されるアクリレート系化合物;オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニルプロピオネート))メタン[即ち、ペンタエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート))]、トリエチレングリコール−ビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)等のアルキル置換フェノール系化合物;6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン基含有フェノール系化合物;等が挙げられる。
また、好ましいヒンダードアミン系安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1−アクロイル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルデカンジオエート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート)、4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−[2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド等が挙げられる。
また、好ましいリン系安定剤としては、一般の樹脂工業で通常使用されるものであれば格別な限定はなく、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のモノホスファイト系化合物;4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4′−イソプロピリデンビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)等のジホスファイト系化合物等が挙げられる。これらの中でも、モノホスファイト系化合物が好ましく、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等が特に好ましい。
また、好ましいイオウ系安定剤としては、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス(β−ラウリルチオ−プロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
これらの安定剤の配合量は本発明の目的を損なわれない範囲で適宜選択されるが、樹脂組成物100質量部に対して通常0.01〜2質量部、好ましくは0.01〜1質量部である。
(繊維複合材料の製造方法)
次に本発明の繊維複合材料の製造方法について説明する。
次に本発明の繊維複合材料の製造方法について説明する。
本発明の繊維複合材料は、界面活性剤とマトリックス樹脂を含有する非水溶性分散媒体中に、セルロース繊維が分散してなり、前記非水溶性分散媒体中で前記界面活性剤が逆ミセルを形成し、前記逆ミセル内に前記セルロース繊維が内包されてなるセルロース繊維分散体を成型して得られるものである。界面活性剤の添加量は、セルロース繊維の質量に対して20質量%以上であることが好ましい。界面活性剤の量がセルロース繊維に対して20質量%以上であれば、非水溶性溶媒中で界面活性剤が逆ミセルを形成し、逆ミセル中にセルロース繊維が内包される。逆ミセルを安定に形成するためには、界面活性剤の量は30質量%以上であることがより好ましく、50%質量以上であることがさらに好ましい。逆ミセル内でのセルロース繊維添加量は、セルロース繊維の水分散液に対して1〜70質量%であり、安定な逆ミセルを形成する上で、1〜50質量%で添加することが好ましい。
セルロース繊維の分散方法は、公知の方法に従って行えばよく、例えば、油溶性界面活性剤と樹脂(モノマー)、さらに必要に応じて前記安定剤を含む非水溶性溶媒中にセルロース繊維と水を加えた後、プロペラ型撹拌機、タービン型撹拌機、高速ミキサー、ホモミキサー等のミキサー類、ボールミル、コロイドミル、ビーズミル等のミル類、高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザーやナノマイザー等の超高圧ホモジナイザー、スターラー、超音波照射装置等を用いて行えばよい。セルロース繊維の添加量は、繊維複合材料100質量部に対して10〜90質量部とすることが好ましく、20〜70質量部とすることがさらに好ましい。このようにしてセルロース繊維を逆ミセルに内包させたセルロース繊維分散液を調製した後、この分散液をキャスト製膜する等して成型することで繊維複合材料を得ることができる。
マトリックス樹脂として硬化性樹脂を用いる場合、マトリックス樹脂は紫外線及び電子線照射、あるいは加熱処理のいずれかの操作によって硬化し得るもので、前記セルロース繊維分散液を基板上に塗布した後、紫外線及び電子線を照射して硬化させればよい。前記繊維含有モノマー組成物を硬化させる方法としては、マトリックス樹脂が紫外線及び電子線硬化性の場合は、透光性の所定形状の金型等に必要に応じて光重合開始剤を添加した組成物を充填、あるいは基板上に塗布した後、紫外線及び電子線を照射して硬化させればよい。
ここで用いられる光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等の光ラジカル開始剤等が挙げられる。
一方、マトリックス樹脂が熱硬化性の場合は、必要に応じて熱ラジカル発生剤等の熱重合開始剤を添加したモノマー組成物を調製後、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形等により熱硬化成形することができる。ここで用いられる熱重合開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1′−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物等が挙げられる。
(繊維複合材料の物性評価方法)
繊維複合材料の物性評価は以下の方法で行う。実施例における評価もこの方法で行った。
繊維複合材料の物性評価は以下の方法で行う。実施例における評価もこの方法で行った。
(1)曲げ弾性率及び曲げ強度
板状に成形した繊維複合材料を140mm×12mm×2mmで切り出し、オートグラフ(「DSS−500」型島津製作所製)により、支点間距離80mm、曲げ速度2mm/分、20℃で曲げ弾性率及び曲げ強度の測定を行う。
板状に成形した繊維複合材料を140mm×12mm×2mmで切り出し、オートグラフ(「DSS−500」型島津製作所製)により、支点間距離80mm、曲げ速度2mm/分、20℃で曲げ弾性率及び曲げ強度の測定を行う。
(2)線膨張係数
前記成形体について、40〜80℃の範囲内で温度を変化させ、線膨張係数を測定した。測定装置としてSII(セイコーインスツルメンツ)社EXSTAR6000 TMA/SS6100を用いる。
前記成形体について、40〜80℃の範囲内で温度を変化させ、線膨張係数を測定した。測定装置としてSII(セイコーインスツルメンツ)社EXSTAR6000 TMA/SS6100を用いる。
(3)セルロース繊維の分散性
前記成形体を目視にて観察し、繊維の凝集体の有無により均一性について評価する。
前記成形体を目視にて観察し、繊維の凝集体の有無により均一性について評価する。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例
〔セルロース繊維の解繊〕
(製造例1)
針葉樹から得られた亜硫酸漂白パルプを純水に0.1質量%となるように添加した懸濁液を、石臼式粉砕機(ピュアファインミルKMG1−10;栗田機械製作所社製)を用いて回転するディスク間を中央から外に向かって通過させる磨砕処理(回転数:1500回転/分)を50回(50パス)行い、セルロース繊維を解繊した。この水分散液を濾過後、純水で洗浄し、70℃で乾燥させてセルロース繊維Aを得た。得られたセルロース繊維は走査型電子顕微鏡観察結果より、平均繊維径4nmに解繊されており、ミクロフィブリル化していることを確認した。
〔セルロース繊維の解繊〕
(製造例1)
針葉樹から得られた亜硫酸漂白パルプを純水に0.1質量%となるように添加した懸濁液を、石臼式粉砕機(ピュアファインミルKMG1−10;栗田機械製作所社製)を用いて回転するディスク間を中央から外に向かって通過させる磨砕処理(回転数:1500回転/分)を50回(50パス)行い、セルロース繊維を解繊した。この水分散液を濾過後、純水で洗浄し、70℃で乾燥させてセルロース繊維Aを得た。得られたセルロース繊維は走査型電子顕微鏡観察結果より、平均繊維径4nmに解繊されており、ミクロフィブリル化していることを確認した。
(製造例2)
製造例1において、石臼式粉砕機を用いた磨砕処理を30回に変更すること以外は同様の操作にてセルロース繊維を解繊し、セルロース繊維Bを得た。得られたセルロース繊維は走査型電子顕微鏡観察結果より、平均繊維径40nmに解繊されており、ミクロフィブリル化していることを確認した。
製造例1において、石臼式粉砕機を用いた磨砕処理を30回に変更すること以外は同様の操作にてセルロース繊維を解繊し、セルロース繊維Bを得た。得られたセルロース繊維は走査型電子顕微鏡観察結果より、平均繊維径40nmに解繊されており、ミクロフィブリル化していることを確認した。
(製造例3)
無水酢酸/ピリジン(モル比1/1)溶液500質量部に、製造例1で得られたミクロフィブリル化したセルロース繊維Aの10質量部を添加して分散させ、室温で3時間攪拌した。次に分散した繊維を濾過し、500質量部の水で3回水洗した後、200質量部のエタノールで2回洗浄した。さらに、500質量部の水で2回水洗を行った後、70℃にて乾燥させ、表面修飾したセルロース繊維Cを得た。得られたセルロース繊維は走査型電子顕微鏡観察結果より、平均繊維径は4nmに保たれていた。
無水酢酸/ピリジン(モル比1/1)溶液500質量部に、製造例1で得られたミクロフィブリル化したセルロース繊維Aの10質量部を添加して分散させ、室温で3時間攪拌した。次に分散した繊維を濾過し、500質量部の水で3回水洗した後、200質量部のエタノールで2回洗浄した。さらに、500質量部の水で2回水洗を行った後、70℃にて乾燥させ、表面修飾したセルロース繊維Cを得た。得られたセルロース繊維は走査型電子顕微鏡観察結果より、平均繊維径は4nmに保たれていた。
(製造例4)
製造例1において、石臼式粉砕機を用いた磨砕処理を10回に変更すること以外は同様の操作にてセルロース繊維を解繊し、セルロース繊維Dを得た。得られたセルロース繊維は走査型電子顕微鏡観察結果より、平均繊維径200nmに解繊されており、ミクロフィブリル化していることを確認した。
製造例1において、石臼式粉砕機を用いた磨砕処理を10回に変更すること以外は同様の操作にてセルロース繊維を解繊し、セルロース繊維Dを得た。得られたセルロース繊維は走査型電子顕微鏡観察結果より、平均繊維径200nmに解繊されており、ミクロフィブリル化していることを確認した。
(製造例5)
製造例1において、石臼式粉砕機を用いた磨砕処理を7回に変更すること以外は同様の操作にてセルロース繊維を解繊し、セルロース繊維Eを得た。得られたセルロース繊維は走査型電子顕微鏡観察結果より、平均繊維径500nmに解繊されており、ミクロフィブリル化していることを確認した。
製造例1において、石臼式粉砕機を用いた磨砕処理を7回に変更すること以外は同様の操作にてセルロース繊維を解繊し、セルロース繊維Eを得た。得られたセルロース繊維は走査型電子顕微鏡観察結果より、平均繊維径500nmに解繊されており、ミクロフィブリル化していることを確認した。
(製造例6)
製造例1において、石臼式粉砕機を用いた磨砕処理を5回に変更すること以外は同様の操作にてセルロース繊維を解繊し、セルロース繊維Fを得た。得られたセルロース繊維は走査型電子顕微鏡観察結果より、平均繊維径950nmに解繊されており、ミクロフィブリル化していることを確認した。
製造例1において、石臼式粉砕機を用いた磨砕処理を5回に変更すること以外は同様の操作にてセルロース繊維を解繊し、セルロース繊維Fを得た。得られたセルロース繊維は走査型電子顕微鏡観察結果より、平均繊維径950nmに解繊されており、ミクロフィブリル化していることを確認した。
(製造例7)
製造例1において、石臼式粉砕機を用いた磨砕処理を3回に変更すること以外は同様の操作にてセルロース繊維を解繊し、セルロース繊維Eを得た。得られたセルロース繊維は走査型電子顕微鏡観察結果より、平均繊維径1050nmに解繊されており、ミクロフィブリル化していることを確認した。
製造例1において、石臼式粉砕機を用いた磨砕処理を3回に変更すること以外は同様の操作にてセルロース繊維を解繊し、セルロース繊維Eを得た。得られたセルロース繊維は走査型電子顕微鏡観察結果より、平均繊維径1050nmに解繊されており、ミクロフィブリル化していることを確認した。
〔繊維複合材料の作製〕
(繊維複合材料1〜9の作製)
表1に示す配合組成(質量部)に従って各原料を混合した後、この混合液を30min高圧ホモジナイザー処理を行い、セルロース繊維が逆ミセル内に内包されたセルロース繊維分散液を調製した。次に、この分散液を用いて100μm厚のスペーサーを挟んだ2枚の鏡面ステンレスシートの間に塗布、乾燥後、180℃、2MPaで30minホットプレスして繊維複合材料1〜9を得た。
(繊維複合材料1〜9の作製)
表1に示す配合組成(質量部)に従って各原料を混合した後、この混合液を30min高圧ホモジナイザー処理を行い、セルロース繊維が逆ミセル内に内包されたセルロース繊維分散液を調製した。次に、この分散液を用いて100μm厚のスペーサーを挟んだ2枚の鏡面ステンレスシートの間に塗布、乾燥後、180℃、2MPaで30minホットプレスして繊維複合材料1〜9を得た。
なお、表1中、モノマー、及び製造例に記載した成分以外の配合成分の詳細は以下の通りである。
界面活性剤:ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(東京化成工業社)
反応性界面活性剤:アルコキシポリエチレングリコールマレイン酸エステル(日本乳化剤社製)
非水溶性分散媒体:メチレンクロライド
重合開始剤:アゾビスイソブチロニトリル
安定剤A:テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート
安定剤B:2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト
(繊維複合材料10〜13の作製)
表1に示す配合組成に従って各原料を混合後、混練機を用いて混練することで熱硬化性の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を100μm厚のスペーサーを挟んだ2枚の鏡面ステンレスシートの間に塗布後、180℃、2MPaで30minホットプレスして繊維複合材料を得た。
界面活性剤:ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(東京化成工業社)
反応性界面活性剤:アルコキシポリエチレングリコールマレイン酸エステル(日本乳化剤社製)
非水溶性分散媒体:メチレンクロライド
重合開始剤:アゾビスイソブチロニトリル
安定剤A:テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート
安定剤B:2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト
(繊維複合材料10〜13の作製)
表1に示す配合組成に従って各原料を混合後、混練機を用いて混練することで熱硬化性の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を100μm厚のスペーサーを挟んだ2枚の鏡面ステンレスシートの間に塗布後、180℃、2MPaで30minホットプレスして繊維複合材料を得た。
〔繊維複合材料の評価〕
作製した繊維複合材料1〜13について、下記方法で評価した。
作製した繊維複合材料1〜13について、下記方法で評価した。
(1)曲げ弾性率及び曲げ強度
板状に成形した繊維複合材料を140mm×12mm×2mmで切り出し、オートグラフ(「DSS−500」型島津製作所製)により、支点間距離80mm、曲げ速度2mm/分、20℃で曲げ弾性率及び曲げ強度の測定を行った。
板状に成形した繊維複合材料を140mm×12mm×2mmで切り出し、オートグラフ(「DSS−500」型島津製作所製)により、支点間距離80mm、曲げ速度2mm/分、20℃で曲げ弾性率及び曲げ強度の測定を行った。
(2)線膨張係数
前記成形体について、40〜80℃の範囲内で温度を変化させ、線膨張係数を測定した。測定装置としてSII(セイコーインスツルメンツ)社EXSTAR6000 TMA/SS6100を用いた。
前記成形体について、40〜80℃の範囲内で温度を変化させ、線膨張係数を測定した。測定装置としてSII(セイコーインスツルメンツ)社EXSTAR6000 TMA/SS6100を用いた。
(3)セルロース繊維の分散性
前記成形体を目視にて観察し、繊維の凝集体の有無により均一性について評価した。
前記成形体を目視にて観察し、繊維の凝集体の有無により均一性について評価した。
評価の結果を表1に示す。
表1から明らかなように、本発明の繊維複合材料1〜9は、機械的強度に優れ、かつ線膨張係数が大幅に低減していることが分かる。中でも、セルロース繊維表面を予め表面修飾したり、反応性界面活性剤を用いたりして製造した繊維複合材料3、9は特に高い効果を示した。
Claims (4)
- 少なくとも界面活性剤とマトリックス樹脂を含有する非水溶性分散媒体中に、セルロース繊維が分散してなり、前記非水溶性分散媒体中で前記界面活性剤が逆ミセルを形成し、前記逆ミセル内に前記セルロース繊維が内包されてなるセルロース繊維分散体を用いて成型されることを特徴とする繊維複合材料。
- 前記界面活性剤が反応性界面活性剤であることを特徴とする請求項1記載の繊維複合材料。
- 前記セルロース繊維が、平均繊維径が2〜1000nmのセルロース繊維であることを特徴とする請求項1または2記載の繊維複合材料。
- 前記セルロース繊維が、表面修飾されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の繊維複合材料。
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