JP2020070378A - 繊維状セルロース複合樹脂及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
平均繊維幅0.1μm以上のマイクロ繊維セルロース及び樹脂、並びに多塩基酸塩類を含む、
ことを特徴とする繊維状セルロース複合樹脂。
前記マイクロ繊維セルロースは、平均繊維長0.02〜3.0mmで、かつフィブリル化率1.0〜30%である、
請求項1に記載の繊維状セルロース複合樹脂。
前記多塩基酸塩類は、フタル酸塩類及びフタル酸塩類の誘導体の少なくともいずれか一方である、
請求項1又は請求項2に記載の繊維状セルロース複合樹脂。
前記フタル酸塩類は、フタル酸水素カリウム、フタル酸水素ナトリウム、フタル酸ナトリウム、フタル酸アンモニウムの中から選択された少なくともいずれか1種以上である、
請求項3に記載の繊維状セルロース複合樹脂。
前記多塩基酸塩類の一部が、前記マイクロ繊維セルロースを変性している、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維状セルロース複合樹脂。
原料繊維を平均繊維幅0.1μm以上に留まる範囲で解繊してマイクロ繊維セルロースとし、
このマイクロ繊維セルロース及び樹脂、並びに多塩基酸塩類を混練する、
ことを特徴とする繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。
マイクロ繊維セルロース(MFC)は、原料繊維(パルプ繊維)を微細化(解繊)処理して得ることができる。原料となる繊維としては、植物由来の繊維、動物由来の繊維、微生物由来の繊維等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。ただし、植物繊維であるパルプ繊維を使用するのが好ましい。原料繊維がパルプ繊維であると、安価であり、また、サーマルリサイクルの問題を避けることができる。
原料繊維は化学的手法によって、前処理するのが好ましい。微細化(解繊)処理に先立って化学的手法によって前処理することで、微細化処理の回数を大幅に減らすことができ、微細化処理のエネルギーを大幅に削減することができる。
微細化処理は、例えば、ビーター、高圧ホモジナイザー、高圧均質化装置等のホモジナイザー、グラインダー、摩砕機等の石臼式摩擦機、単軸混練機、多軸混練機、ニーダーリファイナー等を使用して原料繊維を叩解することによって行うことができ、リファイナーを使用して行うことが好ましい。
微細化処理して得られたマイクロ繊維セルロースは、水系媒体中に分散していったん分散液とすることができる。水系媒体は、全量が水であるのが特に好ましいが、一部が水と相溶性を有する他の液体である水系媒体も好ましく使用することができる。他の液体としては、炭素数3以下の低級アルコール類等を使用することができる。
多塩基酸塩類としては、例えば、シュウ酸塩類、マロン酸塩類、コハク酸塩類、グルタル酸塩類、アジピン酸塩類、酒石酸塩類、グルタミン酸塩類、セバシン酸塩類、ヘキサフルオロケイ酸塩類、マレイン酸塩類、イタコン酸塩類、シトラコン酸塩類、クエン酸塩類、フタル酸塩類、フタル酸塩類の誘導体等を使用することができる。多塩基酸塩類を使用すると、多塩基酸を使用する場合と比べて、得られる樹脂組成物の着色が抑えられ、また、高温での発泡が抑えられる。なお、多塩基酸塩類は、多塩基酸と比べてカルボキシル基の水素イオンが少ないため、セルロース繊維に対する酸分解が抑えられ、もって着色が抑えられるものと考えられる。また、多塩基酸は、多塩基酸塩類よりも高温で揮発し易く、発泡し易いものと考えられる。
マイクロ繊維セルロースには、セルロースナノファイバー、ミクロフィブリルセルロース、ミクロフィブリル状微細繊維、微少繊維セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、スーパーミクロフィブリルセルロース等と称される各種微細繊維の中から1種又は2種以上を含ませることができ、また、これらの微細繊維が含まれていてもよい。また、これらの微細繊維を更に微細化した繊維をも含ませることもでき、また、含まれていてもよい。ただし、全原料繊維中におけるマイクロ繊維セルロースの割合が10質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは60質量%以上となるようにする必要がある。
マイクロ繊維セルロース及び樹脂(混練物)は、必要により再度混練処理を行った後、所望の形状に成形するのが好ましい。なお、混練物にはマイクロ繊維セルロースが分散しているが、成形加工性に優れている。
明細書中の用語は、特に断りのない限り、以下のとおりである。
固形分濃度0.01〜0.1質量%のマイクロ繊維セルロースの水分散液100mlをテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターでろ過し、エタノール100mlで1回、t−ブタノール20mlで3回溶媒置換する。次に、凍結乾燥し、オスミウムコーティングして試料とする。この試料について、構成する繊維の幅に応じて5000倍、10000倍又は30000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡SEM画像による観察を行う。具体的には、観察画像に二本の対角線を引き、対角線の交点を通過する直線を任意に三本引く。さらに、この三本の直線と交錯する合計100本の繊維の幅を目視で計測する。そして、計測値の中位径を平均繊維径とする。
上記平均繊維径の場合と同様にして、各繊維の長さを目視で計測する。計測値の中位長を平均繊維長とする。
繊維長0.2mm以下の割合とフィブリル化率は、バルメット社製の繊維分析計「FS5」によって測定する。
上記平均繊維長を平均繊維幅(径)で除した値である。
JIS−K0131(1996)の「X線回折分析通則」に準拠して、X線回折法により測定した値である。なお、マイクロ繊維セルロースは、非晶質部分と結晶質部分とを有し、結晶化度は、マイクロ繊維セルロース全体における結晶質部分の割合を意味することになる。
JIS−P8215(1998)に準拠して測定する。なお、パルプ粘度が高いほどマイクロ繊維セルロースの重合度が高いことを意味する。
JIS P8121−2:2012に準拠して測定した値である。
繊維の水分率は、定温乾燥機を用いて、試料を105℃で6時間以上保持し質量の変動が認められなくなった時点の質量を乾燥後質量とし、下記式にて算出した値である。
繊維水分率(%)=[(乾燥前質量−乾燥後質量)÷乾燥前質量]×100
固形分濃度2.75重量%のマイクロ繊維セルロースの水分散液365gに、フタル酸ナトリウム7g及びポリプロピレン粉末83gを添加し、105℃で加熱乾燥し微細セルロース繊維混合物を得た。当該マイクロ繊維セルロース混合物の含水率は10%未満であった。
JIS K7171:2008に準拠して測定した。表中には、以下の基準で示した。
○:樹脂自体の曲げ弾性率を1として複合樹脂の曲げ弾性率(倍率)が1.4倍以上の場合
×:樹脂自体の曲げ弾性率を1として複合樹脂の曲げ弾性率(倍率)が1.4倍未満の場合
○:目視で白色からベージュ色の場合
×:目視で茶褐色から黒色の場合
Claims (6)
- 平均繊維幅0.1μm以上のマイクロ繊維セルロース及び樹脂、並びに多塩基酸塩類を含む、
ことを特徴とする繊維状セルロース複合樹脂。 - 前記マイクロ繊維セルロースは、平均繊維長0.02〜3.0mmで、かつフィブリル化率1.0〜30%である、
請求項1に記載の繊維状セルロース複合樹脂。 - 前記多塩基酸塩類は、フタル酸塩類及びフタル酸塩類の誘導体の少なくともいずれか一方である、
請求項1又は請求項2に記載の繊維状セルロース複合樹脂。 - 前記フタル酸塩類は、フタル酸水素カリウム、フタル酸水素ナトリウム、フタル酸ナトリウム、フタル酸アンモニウムの中から選択された少なくともいずれか1種以上である、
請求項3に記載の繊維状セルロース複合樹脂。 - 前記多塩基酸塩類の一部が、前記マイクロ繊維セルロースを変性している、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維状セルロース複合樹脂。 - 原料繊維を平均繊維幅0.1μm以上に留まる範囲で解繊してマイクロ繊維セルロースとし、
このマイクロ繊維セルロース及び樹脂、並びに多塩基酸塩類を混練する、
ことを特徴とする繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。
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