JP7139155B2 - 繊維状セルロース複合樹脂及びその製造方法 - Google Patents
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Description
平均繊維幅が1μm以上のマイクロ繊維セルロース及び樹脂、並びに相溶化剤として多塩基酸を含有し、
前記多塩基酸がフタル酸、フタル酸塩類及びこれらの誘導体の少なくともいずれか1種以上である、
ことを特徴とする繊維状セルロース複合樹脂。
前記マイクロ繊維セルロースは、繊維長0.2mm以下の割合が12%以上である、
請求項1に記載の繊維状セルロース複合樹脂。
原料繊維を解繊して平均繊維幅1μm以上のマイクロ繊維セルロースとし、
このマイクロ繊維セルロース及び樹脂、並びに相溶化剤として多塩基酸を混練して、当該多塩基酸を含有する繊維状セルロース複合樹脂を得、
前記多塩基酸としてフタル酸、フタル酸塩類及びこれらの誘導体の少なくともいずれか1種以上を使用する、
ことを特徴とする繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。
前記混練するマイクロ繊維セルロースの含水率が0.1%以上である、
請求項3に記載の繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。
マイクロ繊維セルロース(MFC)は、原料繊維(パルプ繊維)を微細化(解繊)処理して得ることができる。原料となる繊維としては、植物由来の繊維、動物由来の繊維、微生物由来の繊維等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。ただし、植物繊維であるパルプ繊維を使用するのが好ましい。原料繊維がパルプ繊維であると、安価であり、また、サーマルリサイクルの問題を避けることができる。
原料繊維は化学的手法によって、前処理するのが好ましい。微細化(解繊)処理に先立って化学的手法によって前処理することで、微細化処理の回数を大幅に減らすことができ、微細化処理のエネルギーを大幅に削減することができる。
微細化処理は、例えば、ビーター、高圧ホモジナイザー、高圧均質化装置等のホモジナイザー、グラインダー、摩砕機等の石臼式摩擦機、単軸混練機、多軸混練機、ニーダーリファイナー等を使用して原料繊維を叩解することによって行うことができ、リファイナーを使用して行うことが好ましい。リファイナーとは、パルプ繊維を叩解する装置であり、公知のものを用いることができる。リファイナーとしては、パルプ繊維に対して効率的に剪断力を付与し、予備的な解繊を進めることができること等の点から、コニカルタイプやダブルディスクリファイナー(DDR)及びシングルディスクリファイナー(SDR)が好ましい。なお、解繊処理工程において、リファイナーを用いると、処理後の分離や洗浄が不要となる点からも好ましい。
微細化処理して得られたマイクロ繊維セルロースは、水系媒体中に分散していったん分散液とすることができる。水系媒体は、全量が水であるのが特に好ましいが、一部が水と相溶性を有する他の液体である水系媒体も好ましく使用することができる。他の液体としては、炭素数3以下の低級アルコール類等を使用することができる。
マイクロ繊維セルロース及び樹脂と混練する多塩基酸としては、シュウ酸類、フタル酸類、マロン酸類、コハク酸類、グルタル酸類、アジピン酸類、酒石酸類、グルタミン酸類、セバシン酸類、ヘキサフルオロケイ酸類、マレイン酸類、イタコン酸類、シトラコン酸類、クエン酸類等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。だだし、フタル酸、フタル酸塩類及びこれら(フタル酸類)の誘導体の少なくともいずれか1種以上であるのが好ましい。
マイクロ繊維セルロースには、セルロースナノファイバー、ミクロフィブリルセルロース、ミクロフィブリル状微細繊維、微少繊維セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、スーパーミクロフィブリルセルロース等と称される各種微細繊維の中から1種又は2種以上を含ませることができ、また、これらの微細繊維が含まれていてもよい。また、これらの微細繊維を更に微細化した繊維をも含ませることもでき、また、含まれていてもよい。ただし、全原料繊維中におけるマイクロ繊維セルロースの割合が10質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは60質量%以上となるようにする必要がある。
マイクロ繊維セルロース及び樹脂(混練物)は、必要により再度混練処理を行った後、所望の形状に成形する。なお、混練物にはマイクロ繊維セルロースが分散しているが、成形加工性に優れている。
明細書中の用語は、特に断りのない限り、以下のとおりである。
固形分濃度0.01~0.1質量%のマイクロ繊維セルロースの水分散液100mlをテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターでろ過し、エタノール100mlで1回、t-ブタノール20mlで3回溶媒置換する。次に、凍結乾燥し、オスミウムコーティングして試料とする。この試料について、構成する繊維の幅に応じて5000倍、10000倍又は30000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡SEM画像による観察を行う。具体的には、観察画像に二本の対角線を引き、対角線の交点を通過する直線を任意に三本引く。さらに、この三本の直線と交錯する合計100本の繊維の幅を目視で計測する。そして、計測値の中位径を平均繊維径とする。
上記平均繊維径の場合と同様にして、各繊維の長さを目視で計測する。計測値の中位長を平均繊維長とする。
数平均繊維径と繊維長0.2mm以下の割合は、バルメット社製の繊維分析計「FS5」によって測定する。
上記平均繊維長を平均繊維幅(径)で除した値である。
JIS-K0131(1996)の「X線回折分析通則」に準拠して、X線回折法により測定した値である。なお、マイクロ繊維セルロースは、非晶質部分と結晶質部分とを有し、結晶化度は、マイクロ繊維セルロース全体における結晶質部分の割合を意味することになる。
JIS-P8215(1998)に準拠して測定する。なお、パルプ粘度が高いほどマイクロ繊維セルロースの重合度が高いことを意味する。
JIS P8121-2:2012に準拠して測定した値である。
繊維の水分率は、定温乾燥機を用いて、試料を105℃で6時間以上保持し質量の変動が認められなくなった時点の質量を乾燥後質量とし、下記式にて算出した値である。
繊維水分率(%)=[(乾燥前質量-乾燥後質量)÷乾燥前質量]×100
固形分濃度2.75重量%のマイクロ繊維セルロース水分散液365gに、フタル酸7gおよびポリプロピレン粉末83gを添加し、105℃で加熱乾燥して微細状セルロースの混合物を得た。この混合物の含水率は、10%未満であった。次に、当該混合物を180℃、200rpmの条件で二軸混練機にて混練し、繊維状セルロース複合樹脂を得た。この繊維状セルロース複合樹脂をペレッターで2mm径、2mm長の円柱状にカットし、180℃で直方体試験片(長さ59mm、幅9.6mm、厚さ3.8mm)に射出成形した。得られた成形物について、表1に、曲げ試験の試験結果を示した。なお、曲げ試験の評価方法は、次のとおりである。
曲げ弾性率は、JIS K7171:2008に準拠して測定した。表中には、評価結果を以下の基準で示した。
樹脂自体の曲げ弾性率を1として複合樹脂の曲げ弾性率(倍率)が1.5倍以上の場合 :○
樹脂自体の曲げ弾性率を1として複合樹脂の曲げ弾性率(倍率)が1.5倍未満の場合 :×
MFC、フタル酸、及び樹脂の混練時における配合割合、フタル酸の添加の有無、混練時におけるMFCの水分率(含水率)、繊維状セルロースの繊維幅、繊維長0.2mm以下の割合等を、表1に示すように変化させて試験を行った。結果は、表1に示した。なお、実施例5においては、フタル酸をMFC及び樹脂の混練前に添加することとした。また、比較例4においては、フタル酸をMFC及び樹脂の混練後に添加することとした。
表1から、特に相溶化剤として多塩基酸を使用する場合においては、CNFを使用するよりもMFCを使用する方が好ましいことが分かる。
Claims (4)
- 平均繊維幅が1μm以上のマイクロ繊維セルロース及び樹脂、並びに相溶化剤として多塩基酸を含有し、
前記多塩基酸がフタル酸、フタル酸塩類及びこれらの誘導体の少なくともいずれか1種以上である、
ことを特徴とする繊維状セルロース複合樹脂。 - 前記マイクロ繊維セルロースは、繊維長0.2mm以下の割合が12%以上である、
請求項1に記載の繊維状セルロース複合樹脂。 - 原料繊維を解繊して平均繊維幅1μm以上のマイクロ繊維セルロースとし、
このマイクロ繊維セルロース及び樹脂、並びに相溶化剤として多塩基酸を混練して、当該多塩基酸を含有する繊維状セルロース複合樹脂を得、
前記多塩基酸としてフタル酸、フタル酸塩類及びこれらの誘導体の少なくともいずれか1種以上を使用する、
ことを特徴とする繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。 - 前記混練するマイクロ繊維セルロースの含水率が0.1%以上である、
請求項3に記載の繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。
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