JP7252187B2 - 繊維状セルロース複合樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
(請求項1に記載の手段)
原料繊維を解繊して平均繊維幅0.1~15μm、平均繊維長1.60mm以下で、かつフィブリル化された繊維状セルロースを得、
この繊維状セルロース及び樹脂、並びに多塩基酸を混練処理し、
前記混練処理に際しては、前記繊維状セルロースを前記多塩基酸で変性し、
前記混練処理に先立っては、前記繊維状セルロースの水分率が5%以下となるように脱水処理及び乾燥処理し、
この脱水処理及び乾燥処理に先立って前記繊維状セルロースに前記樹脂を添加しておき、脱水処理及び乾燥処理した後に前記樹脂が粉末樹脂として含まれているものとする、
ことを特徴とする繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。
(請求項2に記載の手段)
前記多塩基酸をフタル酸及び無水フタル酸の少なくともいずれか一方とし固形分での配合質量割合を0.1~50%とする、
請求項1に記載の繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。
(請求項3に記載の手段)
前記混練処理に際してアミン類を添加し、
前記アミン類の添加量を前記繊維状セルロース100質量部に対して1~200質量部とする、
請求項1又は請求項2に記載の繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。
(請求項4に記載の手段)
前記脱水処理及び乾燥処理の後、前記混練処理に先立って粉砕処理する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。
(請求項5に記載の手段)
前記脱水処理及び乾燥処理を前記繊維状セルロースの水分率が3%以下となるように行う、
請求項1~4のいずれか1項に記載の繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。
(請求項6に記載の手段)
前記繊維状セルロースに対する当該繊維状セルロースとのSP値の差が0.1~10である前記樹脂の添加に先立って、前記繊維状セルロースを固形分濃度1.0~70質量%の分散液としておく、
請求項1~5のいずれか1項に記載の繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。
(請求項7に記載の手段)
前記混練処理には、二軸以上の多軸混練機を使用する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。
(請求項8に記載の手段)
前記混練処理には、二軸以上の多軸混練機を使用し、
この二軸以上の多軸混練機のスクリューの周速が0.2~200m/分である、
請求項1~7のいずれか1項に記載の繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。
(請求項9に記載の手段)
前記混練処理には、二軸以上の多軸混練機を使用し、
この二軸以上の多軸混練機のスクリュー径と混練部の長さとの比が15~60である、
請求項1~8のいずれか1項に記載の繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。
平均繊維幅0.1~15μm、平均繊維長0.02~3.0mmで、かつフィブリル化率1.0~30.0%である繊維状セルロース及び樹脂の混練物であり、
繊維状セルロースと樹脂の溶解パラメータ(cal/cm3)1/2(SP値)の差が10~0.1である、
ことを特徴とする繊維状セルロース複合樹脂。
前記繊維状セルロースは、繊維長0.2mm以下の割合が12%以上である、
態様1に記載の繊維状セルロース複合樹脂。
前記繊維状セルロースは、ヒドロキシル基の一部又は全部が下記構造式(1)又は構造式(2)に示す官能基で置換されている、
態様1又は態様2に記載の繊維状セルロース複合樹脂。
前記繊維状セルロース及び前記樹脂、並びに多塩基酸を含有する、
態様1~3のいずれか1項に記載の繊維状セルロース複合樹脂。
前記多塩基酸がフタル酸及び無水フタル酸の少なくともいずれか一方である、
態様4に記載の繊維状セルロース複合樹脂。
原料繊維をリファイナーで解繊して平均繊維幅0.1~15μm、平均繊維長0.02~3.0mmで、かつフィブリル化率1.0~30.0%の繊維状セルロースを得、
前記繊維状セルロースとの溶解パラメータ(cal/cm3)1/2(SP値)の差が10~0.1である樹脂と混練する、
ことを特徴とする繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。
前記繊維状セルロース及び前記樹脂、並びに多塩基酸を混練し、この混練に際して前記繊維状セルロースを前記多塩基酸で変性する、
態様6に記載の繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。
前記繊維状セルロース及び樹脂、並びに多塩基酸を混練して、当該多塩基酸を含有する繊維状セルロース複合樹脂を得る、
態様6に記載の繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。
前記混練に先立って、前記繊維状セルロースを濃縮する、
態様6~8のいずれか1項に記載の繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。
前記濃縮に先立って又は前記濃縮に際して、前記繊維状セルロースに樹脂粉末を添加する、
態様9に記載の繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。
平均繊維幅0.1μm以上の繊維状セルロースはマイクロ繊維セルロースであり、原料繊維(パルプ繊維)を微細化(解繊)処理して得ることができる。原料となる繊維としては、植物由来の繊維、動物由来の繊維、微生物由来の繊維等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。ただし、植物繊維であるパルプ繊維を使用するのが好ましい。原料繊維がパルプ繊維であると、安価であり、また、サーマルリサイクルの問題を避けることができる。
原料繊維は化学的手法によって、前処理するのが好ましい。微細化(解繊)処理に先立って化学的手法によって前処理することで、微細化処理の回数を大幅に減らすことができ、微細化処理のエネルギーを大幅に削減することができる。
微細化処理は、例えば、ビーター、高圧ホモジナイザー、高圧均質化装置等のホモジナイザー、グラインダー、摩砕機等の石臼式摩擦機、単軸混練機、多軸混練機、ニーダーリファイナー等を使用して原料繊維を叩解することによって行うことができ、リファイナーを使用して行うことが好ましい。
微細化処理して得られたマイクロ繊維セルロースは、必要により水系媒体中に分散して分散液とすることができる。水系媒体は、全量が水であるのが特に好ましいが、一部が水と相溶性を有する他の液体である水系媒体も好ましく使用することができる。他の液体としては、炭素数3以下の低級アルコール類等を使用することができる。
マイクロ繊維セルロース及び樹脂と混練する多塩基酸としては、シュウ酸類、フタル酸類、マロン酸類、コハク酸類、グルタル酸類、アジピン酸類、酒石酸類、グルタミン酸類、セバシン酸類、ヘキサフルオロケイ酸類、マレイン酸類、イタコン酸類、シトラコン酸類、クエン酸類等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。だだし、フタル酸、フタル酸塩類及びこれら(フタル酸類)の誘導体の少なくともいずれか1種以上であるのが好ましい。
マイクロ繊維セルロースには、セルロースナノファイバー、ミクロフィブリルセルロース、ミクロフィブリル状微細繊維、微少繊維セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、スーパーミクロフィブリルセルロース等と称される各種微細繊維の中から1種又は2種以上を含ませることができ、また、これらの微細繊維が含まれていてもよい。また、これらの微細繊維を更に微細化した繊維をも含ませることもでき、また、含まれていてもよい。ただし、全原料繊維中におけるマイクロ繊維セルロースの割合が10質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは60質量%以上となるようにする必要がある。
マイクロ繊維セルロース及び樹脂(混練物)は、必要により再度混練処理を行った後、所望の形状に成形する。なお、混練物に変性マイクロ繊維セルロースが分散していても、成形加工性に優れている。
明細書中の用語は、特に断りのない限り、以下のとおりである。
固形分濃度0.01~0.1質量%のマイクロ繊維セルロースの水分散液100mlをテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターでろ過し、エタノール100mlで1回、t-ブタノール20mlで3回溶媒置換する。次に、凍結乾燥し、オスミウムコーティングして試料とする。この試料について、構成する繊維の幅に応じて5000倍、10000倍又は30000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡SEM画像による観察を行う。具体的には、観察画像に二本の対角線を引き、対角線の交点を通過する直線を任意に三本引く。さらに、この三本の直線と交錯する合計100本の繊維の幅を目視で計測する。そして、計測値の中位径を平均繊維径とする。
平均繊維長とフィブリル化率は、バルメット社製の繊維分析計「FS5」によって測定する。
上記平均繊維長を平均繊維幅(径)で除した値である。
JIS-K0131(1996)の「X線回折分析通則」に準拠して、X線回折法により測定した値である。なお、マイクロ繊維セルロースは、非晶質部分と結晶質部分とを有し、結晶化度は、マイクロ繊維セルロース全体における結晶質部分の割合を意味することになる。
JIS-P8215(1998)に準拠して測定する。なお、パルプ粘度が高いほどマイクロ繊維セルロースの重合度が高いことを意味する。
JIS P8121-2:2012に準拠して測定した値である。
繊維の水分率は、定温乾燥機を用いて、試料を105℃で6時間以上保持し質量の変動が認められなくなった時点の質量を乾燥後質量とし、下記式にて算出した値である。
繊維水分率(%)=[(乾燥前質量-乾燥後質量)÷乾燥前質量]×100
固形分濃度2.75重量%のマイクロ繊維セルロース(解繊にリファイナーを使用)水分散液365gに、フタル酸7g及びポリプロピレン粉末83gを添加し、105℃で加熱乾燥し混合物を得た。当該混合物の含水率は、10%未満であった。当該混合物を180℃、200rpmの条件で二軸混練機にて混練し、繊維状セルロース複合樹脂を得た。この複合樹脂をペレッターで2mm径、2mm長の円柱状にカットし、180℃で直方体試験片(長さ59mm、幅9.6mm、厚さ3.8mm)に射出成形した。得られた成形物について、表1に、曲げ試験の試験結果を示した。なお、曲げ試験の評価方法は、次のとおりである。
曲げ弾性率は、JIS K7171:2008に準拠して測定した。表中には、評価結果を以下の基準で示した。
樹脂自体の曲げ弾性率を1として複合樹脂の曲げ弾性率(倍率)が1.5倍以上の場合 :○
樹脂自体の曲げ弾性率を1として複合樹脂の曲げ弾性率(倍率)が1.5倍未満の場合:×
リファイナー処理回数、繊維状セルロースの繊維幅、繊維長、フィブリル化率、及び繊維水分率、並びに繊維(セルロース)、フタル酸、及び樹脂の混練時における配合割合、添加した多塩基酸(薬品)の種類・有無等を、表1に示すように変化させて試験を行った。結果は、表1に示した。なお、多塩基酸は基本的に混練直前に添加することとし、ただし、実施例9においては繊維状セルロースの分散液に添加することとした。
表1から、多塩基酸を使用する場合においては、CNFを使用するよりもMFCを使用する方が好ましいこと、フィブリル化率が重要なファクターになることが分かる。
Claims (9)
- 原料繊維を解繊して平均繊維幅0.1~15μm、平均繊維長1.60mm以下で、かつフィブリル化された繊維状セルロースを得、
この繊維状セルロース及び樹脂、並びに多塩基酸を混練処理し、
前記混練処理に際しては、前記繊維状セルロースを前記多塩基酸で変性し、
前記混練処理に先立っては、前記繊維状セルロースの水分率が5%以下となるように脱水処理及び乾燥処理し、
この脱水処理及び乾燥処理に先立って前記繊維状セルロースに前記樹脂を添加しておき、脱水処理及び乾燥処理した後に前記樹脂が粉末樹脂として含まれているものとする、
ことを特徴とする繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。 - 前記多塩基酸をフタル酸及び無水フタル酸の少なくともいずれか一方とし固形分での配合質量割合を0.1~50%とする、
請求項1に記載の繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。 - 前記混練処理に際してアミン類を添加し、
前記アミン類の添加量を前記繊維状セルロース100質量部に対して1~200質量部とする、
請求項1又は請求項2に記載の繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。 - 前記脱水処理及び乾燥処理の後、前記混練処理に先立って粉砕処理する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。 - 前記脱水処理及び乾燥処理を前記繊維状セルロースの水分率が3%以下となるように行う、
請求項1~4のいずれか1項に記載の繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。 - 前記繊維状セルロースに対する当該繊維状セルロースとのSP値の差が0.1~10である前記樹脂の添加に先立って、前記繊維状セルロースを固形分濃度1.0~70質量%の分散液としておく、
請求項1~5のいずれか1項に記載の繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。 - 前記混練処理には、二軸以上の多軸混練機を使用する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。 - 前記混練処理には、二軸以上の多軸混練機を使用し、
この二軸以上の多軸混練機のスクリューの周速が0.2~200m/分である、
請求項1~7のいずれか1項に記載の繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。 - 前記混練処理には、二軸以上の多軸混練機を使用し、
この二軸以上の多軸混練機のスクリュー径と混練部の長さとの比が15~60である、
請求項1~8のいずれか1項に記載の繊維状セルロース複合樹脂の製造方法。
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