JP2011195065A - 車両用制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の走行中にブレーキ操作がなされる状態においてオルタネータ46の発電電力を増大させる制御を行う場合、充電時にバッテリ48が受け入れ可能な最大電力をオルタネータ46の発電可能な電力が上回ることに起因してオルタネータ46の発電電力が低下し、エンジン10の燃費低減効果を向上させることが困難となること。
【解決手段】ラジエータファン26や、コンデファン38、PTCヒータ44等の電気負荷のいずれを優先的に駆動させるかを決定する処理である優先順位設定処理を行う。そして、車両の走行中にブレーキ操作がなされる状態において電気負荷の消費電力を強制的に増大させる処理によって増大可能なオルタネータ46の発電電力を超えないことを条件として、優先順位が高い電気負荷から順に強制的に駆動させる処理を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】ラジエータファン26や、コンデファン38、PTCヒータ44等の電気負荷のいずれを優先的に駆動させるかを決定する処理である優先順位設定処理を行う。そして、車両の走行中にブレーキ操作がなされる状態において電気負荷の消費電力を強制的に増大させる処理によって増大可能なオルタネータ46の発電電力を超えないことを条件として、優先順位が高い電気負荷から順に強制的に駆動させる処理を行う。
【選択図】 図1
Description
本発明は、内燃機関を動力源として発電する発電機と、該発電機の発電電力によって充電される蓄電池と、前記発電機及び前記蓄電池のうち少なくとも一方を電力供給源として駆動される複数の電気負荷とを備える車両に適用され、前記発電機を操作する車両用制御装置に関する。
この種の制御装置としては、下記特許文献1に見られるように、車両の減速状態において車両の運動エネルギを発電機の発電エネルギに変換する制御であるいわゆる回生発電制御を行うものが知られている。詳しくは、車両の減速状態において発電機の出力電圧を高く設定することで発電機の発電エネルギを増大させ、変換された発電エネルギを蓄電池や電気負荷に供給している。これにより、蓄電池や電気負荷へ電力を供給する場合における発電機の駆動トルクの増大を抑制することで、内燃機関の燃費低減効果を向上させることが可能となる。
ところで、上記蓄電池には通常、充電時に蓄電池が受け入れ可能な最大電力(最大充電電力)が存在する。ここで回生発電制御時における発電機の発電可能な電力が最大充電電力を上回ると、最大充電電力を上回る分の電力を発電機によって発電することができなくなることがある。この場合、回生発電制御によって発電機の発電電力を適切に増大させることができず、回生発電制御による内燃機関の燃費低減効果の向上度合いが低下することが懸念される。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、回生発電制御による発電機の発電電力を増大させることで、内燃機関の燃費低減効果を好適に向上させることのできる車両用制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は、内燃機関を動力源として発電する発電機と、該発電機の発電電力によって充電される蓄電池と、前記発電機及び前記蓄電池のうち少なくとも一方を電力供給源として駆動される複数の電気負荷とを備える車両に適用され、前記発電機を操作する車両用制御装置において、前記複数の電気負荷は、入力される電気エネルギを熱エネルギに変換する熱エネルギ変換手段を含むものであり、前記車両の走行中にドライバによってブレーキ操作がなされているか否かを判断する判断手段と、前記判断手段によって前記ブレーキ操作がなされていると判断されることを条件として、前記発電機の現在の回転速度に応じた最大発電電力へと該発電機の発電電力を増大すべく前記熱エネルギ変換手段の消費電力を強制的に増大させる消費電力増大手段とを備えることを特徴とする。
上記発明では、判断手段によって車両の走行中にブレーキ操作がなされていると判断されることを条件として、上記態様にて発電機の発電電力を増大すべく熱エネルギ変換手段の消費電力を強制的に増大させる。これにより、その後熱エネルギ変換手段によって電気エネルギが熱エネルギに変換されることに起因する熱エネルギ変換手段の消費電力の増大を抑制することで、発電機の発電電力の増大を抑制し、発電機の駆動トルクの増大を抑制することができる。したがって、発電機の駆動に伴う内燃機関の燃料消費量の増大を抑制することができ、ひいては内燃機関の燃費低減効果を好適に向上させることができる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記熱エネルギ変換手段は、複数の手段からなるものであり、前記複数の熱エネルギ変換手段のそれぞれの将来の駆動要求度合いの予測に基づき、該複数の熱エネルギ変換手段のそれぞれの優先順位を設定する優先順位設定手段を更に備え、前記消費電力増大手段は、前記設定された優先順位が高い熱エネルギ変換手段の消費電力を優先的に増大させることを特徴とする。
上記発明では、複数の熱エネルギ変換手段のそれぞれの将来の駆動要求度合いの予測に基づき、これら熱エネルギ変換手段のそれぞれの優先順位を設定し、優先順位が高い熱エネルギ変換手段の消費電力を優先的に増大させる。このため、駆動される蓋然性が高い熱エネルギ変換手段の消費電力を優先的に増大させることができ、その後熱エネルギ変換手段の消費電力の増大を好適に抑制することができる。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記熱エネルギ変換手段は、前記内燃機関を冷却する冷却水の放熱を行うべく回転駆動されるラジエータファンを含むものであり、前記優先順位設定手段は、前記冷却水の温度が高いほど前記ラジエータファンの優先順位を高く設定することを特徴とする。
冷却水の温度は通常、内燃機関の燃焼状態を良好なものとする上で設定される所定温度範囲内に制御される。このため、冷却水の温度が高くなる場合、ラジエータファンの回転駆動によって冷却水の温度を低下させる処理が行われる。したがって、ラジエータファンの優先順位を冷却水の温度が高いほど高く設定することで、近い将来、ラジエータファンの駆動要求度合いが大きくなると予測される場合に優先順位を高く設定することができる。
請求項4記載の発明は、請求項2又は3記載の発明において、前記熱エネルギ変換手段は、空調制御用の冷凍サイクルを循環する冷媒の放熱を行うべく回転駆動されるコンデンサファンを含むものであり、前記優先順位設定手段は、前記冷媒の圧力が高いほど前記コンデンサファンの優先順位を高く設定することを特徴とする。
冷凍サイクルの信頼性等を維持するために通常、冷凍サイクルの冷媒圧力を所定圧以下とすることが要求される。このため、冷媒圧力が高くなる場合、コンデンサファンの回転駆動によって冷媒圧力を低下させる処理が行われる。したがって、コンデンサファンの優先順位を冷媒圧力が高いほど高く設定することで、近い将来、コンデンサファンの駆動要求度合いが大きくなると予測される場合に優先順位を高く設定することができる。
なお、上記冷凍サイクルの冷媒を機関駆動式の圧縮機によって循環させる場合、消費電力増大手段によって冷媒圧力を低下させることで、圧縮機の駆動トルクを低減させることができる。これにより、圧縮機の駆動に伴う内燃機関の燃料消費量の増大を好適に抑制することができ、ひいては内燃機関の燃費低減効果をより好適に向上させることができる。
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明において、前記熱エネルギ変換手段は、前記内燃機関を冷却する冷却水の放熱を行うべく回転駆動されるラジエータファン、空調制御用の冷凍サイクルを循環する冷媒の放熱を行うべく回転駆動されるコンデンサファン、暖房制御を行うべく通電に伴い加熱されるヒータ及び前記車両の窓の曇りを除去すべく通電に伴い加熱されるデフォッガのうち少なくとも1つを含むものであることを特徴とする。
上記発明では、消費電力増大手段によって増大させた消費電力にて生成された熱エネルギを、上記増大させる処理の後に好適に有効利用することができる。
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明において、前記内燃機関のトルク生成が指示されていないと判断されることを条件として該内燃機関への燃料の供給を停止する燃料カット手段を更に備え、前記消費電力増大手段は、前記判断手段によって前記ブレーキ操作がなされていると判断されること及び前記燃料カット手段によって燃料の供給が停止されることを条件として、前記熱エネルギ変換手段の消費電力を強制的に増大させることを特徴とする。
上記発明では、燃料を消費することなく消費電力増大手段によって発電機の発電電力を増大させることができるため、内燃機関の燃費低減効果をより好適に向上させることができる。
以下、本発明にかかる制御装置を内燃機関(エンジン)を搭載した車両(自動車)に適用した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に本実施形態にかかるエンジンシステム、空気調節システム(エアコンシステム)及び発電システムの全体構成を示す。
図示されるように、エンジン10の各気筒には、燃料噴射弁12が設けられている。燃料噴射弁12から供給された燃料と吸気との混合気は、エンジン10の図示しない燃焼室において燃焼に供される。混合気の燃焼によって発生するエネルギは、エンジン10の出力軸(クランク軸14)の回転力として取り出される。なお、クランク軸14付近には、クランク軸14の回転角度を検出するクランク角度センサ16が設けられている。
エンジン10のシリンダブロック内等には、エンジン10を冷却する冷却水が充填されるウォータジャケット18が区画形成されている。ウォータジャケット18は、往流路20aと復流路20bとで構成される冷却水通路を介してラジエータ22と接続されている。そして図示しない電動ポンプの駆動によって、冷却水通路を介して冷却水がウォータジャケット18を循環することで、エンジン10が冷却される。すなわち、冷却水は、ウォータジャケット18を通過する間にエンジン10の熱を奪った後、往流路20aを介してラジエータ22に導入される。そしてこの冷却水がラジエータ22にて冷却された後、復流路20bを介してエンジン10に再び戻される。これにより、エンジン10が適温に保持される。なお、エンジン10には、ウォータジャケット18内の冷却水の温度(冷却水温)を検出する水温センサ24が設けられている。
ラジエータ22の車両後方側には、DCモータ等によって回転駆動されるラジエータファン26が設けられている。ラジエータファン26が回転駆動されると、ラジエータ22付近に空気の流れが形成される。これにより、ラジエータ22において冷却水と熱交換するための空気量が増大し、冷却水の放熱が促進される。なお本実施形態では、ラジエータファン26として、回転駆動されるか否かが2値的に切り替えられる(オン・オフ操作される)ものを想定している。
一方、エアコンシステムは、車室内に温風又は冷風を供給する空気通路28と、この通路を流れる空気を冷却するための冷凍装置とを備えて構成されている。
冷凍装置は、冷凍サイクルに冷媒を循環させるべく冷媒を吸入・吐出するコンプレッサ30や、コンデンサ32、エバポレータ34(蒸発器)、更にはヒータコア36等を備えて構成されている。なお本実施形態では、上記コンプレッサ30として、クランク軸14の回転力を動力源として駆動されるものを想定している。
コンデンサ32は、DCモータ等によって回転駆動されるファン(コンデファン38)から送風される空気と、コンプレッサ30から吐出供給される冷媒との熱交換が行われる部材である。詳しくは、コンデファン38の送風量が多くなると、コンデンサ32における上記熱交換が促進されるため、冷凍サイクルの高圧側の冷媒圧力(高圧側圧力)が低下する。なお本実施形態では、コンデファン38として、回転駆動されるか否かが2値的に切り替えられる(オン・オフ操作される)ものを想定している。
コンデンサ32から流出した冷媒は、図示しないレシーバによって気液分離され、分離された液冷媒は、温度式膨張弁40によって急激に膨張され霧状とされる。霧状とされた冷媒は、上記空気通路28内に設けられるエバポレータ34に供給され、エバポレータ34において空気通路28を流れる空気と上記霧状とされた冷媒とが熱交換することで冷媒の一部又は全部が気化する。これにより、空気通路28を流れる空気が冷却される。なお、エバポレータ34で気化した冷媒は、コンプレッサ30の吸入口に吸入される。また、上記レシーバと温度式膨張弁40とを接続する配管には、上記高圧側圧力を検出する冷媒圧センサ42が設けられている。
一方、上記空気通路28内には、上記エバポレータ34に加えて、この通路に空気流を生じさせる図示しないブロワや、空気通路28を流れる空気を加熱するヒータコア36、更にはPTCヒータ44等が設けられている。詳しくは、ヒータコア36は、往流路20aを介してウォータジャケット18から供給されるエンジン10の冷却水を熱源として、ブロワから送風された空気を加熱するものである。
PTCヒータ44は、ヒータコア36付近に設けられている。PTCヒータ44は、その内部に備えられるPTCサーミスタへの通電に伴い加熱されるものであり、エンジン10の始動直後等、冷却水温が低い状態(冷間状態)において空気通路28を流れる空気を暖房用に加熱するためのものである。詳しくは、PTCヒータ44の通電に伴いこのヒータの温度が上昇する。そしてPTCヒータ44の温度が所定値を上回ると、PTCサーミスタの抵抗が急増することでPTCサーミスタに流れる電流が制限される。これにより、PTCヒータ44の温度が所定温度に維持される。なお、PTCヒータ44は、ヒータコア36に内蔵されるものであってもよい。
こうした構成において、ブロワにより送風された空気は、上記エバポレータ34や、ヒータコア36、PTCヒータ44を通過して所望の温度となるよう熱交換される。そして熱交換された空気が空気通路28に形成された図示しない吹出口から車室内へと供給されることで、車室内を冷房したり暖房したりする。
上記発電システムは、交流発電機(オルタネータ46)と、バッテリ48(鉛蓄電池)とを備えて構成されている。オルタネータ46は、クランク軸14の回転力を動力源として回転駆動されるロータ49、ロータ49に設けられた界磁石(ロータコイル50)、ロータ49の内側に配置されたステータコイル52、整流回路54及びレギュレータ56等を備えて構成されている。
ステータコイル52には、整流回路54が接続されている。整流回路54は、ステータコイル52から出力される交流電流を直流電流に変換するためのものであり、整流回路54の一方の端子は、オルタネータ46の出力端子(B端子)と接続され、他方の端子はレギュレータ56に接続されるとともに接地されている。
レギュレータ56は、スイッチング素子(トランジスタ58)と、電圧比較回路(コンパレータ60)とを備えて構成されており、ロータコイル50を流れる電流(界磁電流)を操作することでオルタネータ46の出力電圧(B端子の電圧)を調節するものである。詳しくは、レギュレータ56内において、トランジスタ58のエミッタは、整流回路54の両端子のうち接地側の端子と接続されており、トランジスタ58のコレクタは、ロータコイル50に接続されるとともにフリーホイールダイオード62を介してB端子に接続されている。
上記コンパレータ60の反転入力端子には、分圧回路によって分圧されたオルタネータ46の出力電圧に応じた電圧(検出電圧)が入力され、コンパレータ60の非反転入力端子には、オルタネータ46の出力電圧の指令値に応じた電圧(指令電圧)が入力されるようになっている。またコンパレータ60の出力端子は、トランジスタ58のベースに接続されている。
こうした構成によれば、検出電圧が指令電圧よりも低い場合、コンパレータ60の出力端子からハイ信号が出力されることでトランジスタ58がオン状態とされ、検出電圧が指令電圧よりも高い場合、コンパレータ60の出力端子からロー信号が出力されることでトランジスタ58がオフ状態とされる。これにより、コンパレータ60によってトランジスタ58がオン・オフ操作されることで界磁電流が調節され、オルタネータ46の出力電圧を調節することが可能となる。
上記B端子には、バッテリ48が接続されており、バッテリ48には、上記ラジエータファン26や、コンデファン38、PTCヒータ44、更にはデフォッガ64等の車載電気負荷が図示しないスイッチを介して並列接続されている。ここでデフォッガ64は、通電に伴い加熱されるものであり、車両の窓ガラス(リアウィンドウ)の曇りが生じる場合に窓ガラスを暖めることで曇りを除去するためのものである。なお、窓ガラスの車室内側付近には、この付近の空気の湿度(相対湿度)を検出する湿度センサ65が設けられている。
エアコンシステムを操作対象とする電子制御装置(以下、エアコンECU66)は、周知のCPU、ROM、RAM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成されている。エアコンECU66には、デフォッガ64に通電するか否かを選択すべく乗員によって操作される操作スイッチ68や、冷媒圧センサ42、更には湿度センサ65等の出力信号が入力される。エアコンECU66は、これら入力に応じてROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、コンプレッサ30や、コンデファン38、PTCヒータ44、更にはデフォッガ64等の各種機器を操作する。そして、これら各種機器を操作することで、車室内の空調制御等を行う。
上記コンデファン38の駆動制御は、冷媒圧センサ42の出力値に基づく高圧側圧力を、冷凍装置の信頼性等を維持するために設定される所定圧以下とすべくコンデファン38を通電操作するものとなる。具体的には、高圧側圧力が上記所定圧以上となる場合にコンデファン38を回転駆動させ、その後高圧側圧力が上記所定圧よりも低い圧力以下となる場合にコンデファン38を停止させる。また、PTCヒータ44の通電制御は、エンジン10が冷間状態であって且つ暖房制御の要求がある場合にPTCヒータ44に通電するものとなる。
一方、エンジンシステムを操作対象とする電子制御装置(以下、エンジンECU70)は、周知のCPU、ROM、RAM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成されている。エンジンECU70には、ドライバのアクセルペダルの操作量を検出するアクセルセンサ72や、ドライバのブレーキペダルの操作量を検出するブレーキセンサ74、バッテリ48の電圧を検出するバッテリ電圧センサ76、バッテリ48に供給される電流を検出する電流センサ78、車両の走行速度を検出する車速センサ80、クランク角度センサ16、更には水温センサ24等の出力信号が入力される。なお、エンジンECU70とエアコンECU66とは、双方向の通信を行うことで情報のやりとりを行う。詳しくは、エンジンECU70には、エアコンECU66から出力されるコンデファン38の駆動状態に関する情報や、操作スイッチ68、湿度センサ65の出力信号等が入力される。一方、エアコンECU66には、エンジンECU70から出力されるクランク角度センサ16等の出力信号が入力される。
エンジンECU70は、上記入力に応じて、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、燃料噴射弁12による燃料噴射制御や、ラジエータファン26の駆動制御等を行う。ここでラジエータファン26の駆動制御は、水温センサ24の出力値に基づく冷却水温を、下限温度及び上限温度によって規定される所定温度範囲内に制御すべくラジエータファン26を通電操作するものとなる。具体的には、冷却水温が上限温度を上回る場合にラジエータファン26を回転駆動させ、その後冷却水温が上記上限温度未満であって且つ上記下限温度よりも高い温度以下となる場合にラジエータファン26を停止させる。
特にエンジンECU70は、オルタネータ46の発電制御を行う。詳しくは、エンジンECU70は、上記指令電圧を設定し、設定された指令電圧をコンパレータ60に出力する。これにより、トランジスタ58がオン・オフ操作され、オルタネータ46の出力電圧がその指令値に制御される。ここで本実施形態では、エンジン10の要求トルクの増大がドライバによって指示される状態である車両の加速状態において、オルタネータ46の出力電圧の指令値を通常時の指令値(例えば13.5V)よりも低い値(例えば12V)とすべく、上記指令電圧を通常時の指令電圧よりも低い電圧である加速時電圧に設定する。これは、車両の加速状態においてエンジン10の生成トルクを車両の力行に適切に用いつつ燃料消費量の増大を抑制するための設定である。つまり、指令電圧を高く設定すると、オルタネータ46の発電に伴うオルタネータ46の駆動トルクが増大する。オルタネータ46の駆動トルクが増大すると、オルタネータ46によって吸収されるエンジン10の生成トルクが増大し、不足するエンジン10の生成トルクを補償すべく燃料噴射量が増大する。このため、指令電圧を加速時電圧に設定することでオルタネータ46の駆動トルクを低下させ、エンジン10の生成トルクを車両の力行に適切に用いつつ燃料噴射量の増大を抑制する。
一方、ドライバによってブレーキ操作がなされる状態において、オルタネータ46の出力電圧の指令値を通常時の指令値よりも高い値(例えば14.5V)とすべく、指令電圧を通常時の指令電圧よりも高い電圧である減速時回生電圧に設定する。これは、バッテリ48への充電を促進することでエンジン10の燃費低減効果を向上させるための設定である。つまり、車両の運動エネルギをブレーキシステムによって熱エネルギに変換する代わりにオルタネータ46の発電エネルギとして利用することで、バッテリ48への充電を促進する。これにより、その後バッテリ48に充電するために駆動されるオルタネータ46の駆動トルクの増大を抑制し、エンジン10の燃費低減効果を向上させる。
ところで、エンジン10の燃費低減効果の向上を図るためには、ブレーキ操作がなされる状態においてオルタネータ46の発電電力をその最大値とすることが望まれる。しかしながら、ブレーキ操作がなされる状態において、必ずしも上記発電電力がその最大値とされていないことが本発明者らによって見出されている。つまり、バッテリ48には、充電時にバッテリ48が受け入れ可能な最大電力(最大充電電力)が存在する。このため、ブレーキ操作がなされる状態におけるオルタネータ46の発電可能な電力が最大充電電力を上回ると、オルタネータ46とバッテリ48との電位差が小さくなることで、オルタネータ46の出力電流が小さくなることがある。この場合、オルタネータ46の発電可能な電力のうち最大充電電力を上回る分の電力をオルタネータ46によって発電することができなくなり、オルタネータ46の発電電力が低下するおそれがある。
特にバッテリ48として鉛蓄電池が搭載される本実施形態では、例えばニッケル水素蓄電池やリチウムイオン蓄電池と比較して鉛蓄電池の最大充電電力が小さい。このため、オルタネータ46の発電可能な電力に対してバッテリ48の最大充電電力が小さくなり、オルタネータ46の発電電力の低下が顕著となりやすい。
こうした問題を解決すべく、本発明者らは、ブレーキ操作がなされる状態においてオルタネータ46の発電電力を増大させることによってエンジン10の燃費低減効果の向上を図るための手法について詳細に検討した。そして、ブレーキ操作がなされる状態において、ラジエータファン26や、コンデファン38、PTCヒータ44、更にはデフォッガ64の消費電力を強制的に増大させることで、オルタネータ46の現在の出力電圧に応じた発電電力の最大値へとオルタネータ46の発電電力を増大させる減速時駆動制御を行うなら、燃費低減効果を向上させることが可能であるとの知見を得た。これは、これら電気負荷が電気エネルギを熱エネルギに変換する手段であり、発電電力を増大させた後において変換された熱エネルギを有効利用できるためである。以下、減速時駆動制御について、ラジエータファン26、コンデファン38、PTCヒータ44及びデフォッガ64のそれぞれの場合に分けて詳述する。
<1.ラジエータファン26の減速時駆動制御>
ブレーキ操作がなされる状態においてラジエータファン26が回転駆動されていない場合、オルタネータ46の発電電力によってラジエータファン26を強制的に回転駆動させることで、ラジエータ22において冷却水と熱交換させる空気量を増大させ、冷却水温を低下させる。これにより、ブレーキ操作がなされる状態におけるラジエータファン26の消費電力を増大させることで、オルタネータ46の発電電力を増大させる減速時駆動制御を行う。そして減速時駆動制御の後、冷却水温の上昇によって冷却水温が上記上限温度を上回るまでの時間を長くすることで、ラジエータファン26の回転駆動が開始されるタイミングを遅延させる。このため、減速時駆動制御の後においてラジエータファン26の回転駆動に伴う消費電力の増大を抑制することができ、オルタネータ46の発電電力の増大を抑制することが可能となる。したがって、オルタネータ46の駆動に伴うエンジン10の燃料消費量の増大を抑制することができ、エンジン10の燃費低減効果を向上させることが可能となる。
<2.コンデファン38の減速時駆動制御>
ブレーキ操作がなされる状態においてコンデファン38が回転駆動されていない場合、オルタネータ46の発電電力によってコンデファン38を強制的に回転駆動させることで、コンデンサ32において冷媒と熱交換させる空気量を増大させ、高圧側圧力を低下させる。これにより、ブレーキ操作がなされる状態におけるコンデファン38の消費電力を増大させることで、オルタネータ46の発電電力を増大させる減速時駆動制御を行う。そして減速時駆動制御の後、高圧側圧力の上昇によって高圧側圧力が上記所定圧を上回るまでの時間を長くすることで、コンデファン38の回転駆動が開始されるタイミングを遅延させる。このため、減速時駆動制御の後においてコンデファン38の回転駆動に伴う消費電力の増大を抑制することができ、エンジン10の燃費低減効果を向上させることが可能となる。
<3.PTCヒータ44の減速時駆動制御>
ブレーキ操作がなされる状態においてPTCヒータ44に通電されていない場合、オルタネータ46の発電電力によってPTCヒータ44に強制的に通電することで、PTCヒータ44の温度を上昇させる。これにより、ブレーキ操作がなされる状態におけるPTCヒータ44の消費電力を増大させることで、オルタネータ46の発電電力を増大させる減速時駆動制御を行う。そして減速時駆動制御の後、PTCヒータ44を用いた暖房制御が行われる場合、PTCヒータ44の温度が既に高くなっているため、PTCヒータ44に流れる電流を低減させることが可能となる。したがって、PTCヒータ44への通電に伴う消費電力の増大を抑制することができ、エンジン10の燃費低減効果を向上させることが可能となる。
<1.ラジエータファン26の減速時駆動制御>
ブレーキ操作がなされる状態においてラジエータファン26が回転駆動されていない場合、オルタネータ46の発電電力によってラジエータファン26を強制的に回転駆動させることで、ラジエータ22において冷却水と熱交換させる空気量を増大させ、冷却水温を低下させる。これにより、ブレーキ操作がなされる状態におけるラジエータファン26の消費電力を増大させることで、オルタネータ46の発電電力を増大させる減速時駆動制御を行う。そして減速時駆動制御の後、冷却水温の上昇によって冷却水温が上記上限温度を上回るまでの時間を長くすることで、ラジエータファン26の回転駆動が開始されるタイミングを遅延させる。このため、減速時駆動制御の後においてラジエータファン26の回転駆動に伴う消費電力の増大を抑制することができ、オルタネータ46の発電電力の増大を抑制することが可能となる。したがって、オルタネータ46の駆動に伴うエンジン10の燃料消費量の増大を抑制することができ、エンジン10の燃費低減効果を向上させることが可能となる。
<2.コンデファン38の減速時駆動制御>
ブレーキ操作がなされる状態においてコンデファン38が回転駆動されていない場合、オルタネータ46の発電電力によってコンデファン38を強制的に回転駆動させることで、コンデンサ32において冷媒と熱交換させる空気量を増大させ、高圧側圧力を低下させる。これにより、ブレーキ操作がなされる状態におけるコンデファン38の消費電力を増大させることで、オルタネータ46の発電電力を増大させる減速時駆動制御を行う。そして減速時駆動制御の後、高圧側圧力の上昇によって高圧側圧力が上記所定圧を上回るまでの時間を長くすることで、コンデファン38の回転駆動が開始されるタイミングを遅延させる。このため、減速時駆動制御の後においてコンデファン38の回転駆動に伴う消費電力の増大を抑制することができ、エンジン10の燃費低減効果を向上させることが可能となる。
<3.PTCヒータ44の減速時駆動制御>
ブレーキ操作がなされる状態においてPTCヒータ44に通電されていない場合、オルタネータ46の発電電力によってPTCヒータ44に強制的に通電することで、PTCヒータ44の温度を上昇させる。これにより、ブレーキ操作がなされる状態におけるPTCヒータ44の消費電力を増大させることで、オルタネータ46の発電電力を増大させる減速時駆動制御を行う。そして減速時駆動制御の後、PTCヒータ44を用いた暖房制御が行われる場合、PTCヒータ44の温度が既に高くなっているため、PTCヒータ44に流れる電流を低減させることが可能となる。したがって、PTCヒータ44への通電に伴う消費電力の増大を抑制することができ、エンジン10の燃費低減効果を向上させることが可能となる。
なお、冷間状態においてPTCヒータ44の減速時駆動制御を行うなら、冷却水温を上昇させることでエンジン10の暖機を促進することも可能となる。これにより、エンジン10の冷間状態における稼働時間を短縮することが可能となる。
<4.デフォッガ64の減速時駆動制御>
ブレーキ操作がなされる状態において、操作スイッチ68がオフされてデフォッガ64に通電されていない場合、操作スイッチ68がオフされているときであってもオルタネータ46の発電電力によってデフォッガ64に強制的に通電することで、デフォッガ64や窓ガラスの温度を上昇させる。これにより、ブレーキ操作がなされる状態におけるデフォッガ64の消費電力を増大させることで、オルタネータ46の発電電力を増大させる減速時駆動制御を行う。そして減速時駆動制御の後、窓ガラスが曇り始めるまでの時間を遅延させることで、窓ガラスの曇りを除去すべくユーザによって操作スイッチ68がオンされる時間を短くする。このため、デフォッガ64への通電に伴う消費電力の増大を抑制することができ、エンジン10の燃費低減効果を向上させることが可能となる。
<4.デフォッガ64の減速時駆動制御>
ブレーキ操作がなされる状態において、操作スイッチ68がオフされてデフォッガ64に通電されていない場合、操作スイッチ68がオフされているときであってもオルタネータ46の発電電力によってデフォッガ64に強制的に通電することで、デフォッガ64や窓ガラスの温度を上昇させる。これにより、ブレーキ操作がなされる状態におけるデフォッガ64の消費電力を増大させることで、オルタネータ46の発電電力を増大させる減速時駆動制御を行う。そして減速時駆動制御の後、窓ガラスが曇り始めるまでの時間を遅延させることで、窓ガラスの曇りを除去すべくユーザによって操作スイッチ68がオンされる時間を短くする。このため、デフォッガ64への通電に伴う消費電力の増大を抑制することができ、エンジン10の燃費低減効果を向上させることが可能となる。
次に、図2に、本実施形態にかかる減速時駆動制御処理を含む車載機器の制御処理の手順を示す。この処理は、エンジンECU70によって、例えば所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS10において、車両の走行中にブレーキ操作がなされているか否かを判断する。本実施形態では、車速センサ80の出力値に基づく車両の走行速度Vが所定速度Vα(>0)を上回るとの条件と、ブレーキセンサ74の出力値に基づくブレーキ操作量が所定量(例えば0)よりも大きいとの条件との論理積が真であると判断された場合、車両の走行中にブレーキ操作がなされていると判断する。なお、車両の走行中にブレーキ操作がなされている状態は、例えば、車両の走行速度を低下させたり、下り坂においてブレーキ操作を行いつつ車両を定速走行させたりする状態である。
ステップS10においてブレーキ操作がなされていると判断された場合には、ステップS12に進み、燃料噴射弁12の燃料噴射を停止する制御である燃料カット制御が行われているか否かを判断する。本実施形態では、アクセル操作がなされていない(エンジン10のトルク生成が指示されていない)との条件及びエンジン回転速度NEが規定速度Nαを上回るとの条件の論理積が真であると判断された場合、燃料カット制御を行う。なお、上記規定速度Nαは、燃料カット制御の後、燃料噴射弁12からの燃料噴射の開始によって燃焼が再開される場合にエンジン10を適切に再始動可能な値の下限値として設定すればよい。また、アクセル操作がなされていないか否かは、アクセルセンサ72の出力値から算出されるアクセル操作量が0であるか否かに基づき判断し、エンジン回転速度NEは、クランク角度センサ16の出力値に基づき算出すればよい。
上記ステップS10においてブレーキ操作がなされていないと判断されたり、ステップS12において燃料カット制御が行われていないと判断されたりする場合には、ステップS14において上記指令電圧を通常時の指令電圧又は加速時電圧に設定する。一方、上記ステップS12において燃料カット制御が行われていると判断された場合には、ステップS16において指令電圧を減速時回生電圧に設定する。
続くステップS18では、減速時駆動制御によって増大させることが可能なオルタネータ46の発電電力である余剰電力を算出する。本実施形態では、余剰電力を、図3に例示される最大発電電力と、バッテリ48に充電される電力(バッテリ受入電力)と、オルタネータ46から電気負荷へと供給される現在の電力(実消費電力)とに基づき算出する。ここで最大発電電力は、オルタネータ46によって発電可能と想定されて且つオルタネータ46の回転速度(ロータ49の回転速度)毎に定まる発電電力の最大値である。本実施形態では、最大発電電力を、オルタネータ46の回転速度と、オルタネータ46の発電電力の最大値との関係(オルタネータ46の発電特性)が規定されるマップに、オルタネータ46の回転速度を入力することで算出する。そして余剰電力を、最大発電電力からバッテリ受入電力及び実消費電力の加算値を減算した値として算出する。なお、オルタネータ46の回転速度は、エンジン回転速度NEと、クランク軸14とロータ49との回転速度比とに基づき算出すればよい。また、バッテリ受入電力は、バッテリ電圧センサ76の出力値に基づくバッテリ電圧及び電流センサ78の出力値に基づく電流値から算出すればよい。具体的には、バッテリ受入電力を、上記バッテリ電圧と上記電流値との乗算値として算出すればよい。更に、実消費電力は、電気負荷の現在の駆動状態に基づき算出すればよい。
図2の説明に戻り、続くステップS20では、優先順位設定処理を行う。この処理は、減速時駆動制御によるエンジン10の燃費低減効果の更なる向上を図るためのものである。つまり、ラジエータファン26、コンデファン38、PTCヒータ44及びデフォッガ64のうち、駆動される蓋然性が高い電気負荷の消費電力を優先的に増大させることで、その後電気負荷が駆動されることに伴う消費電力の増大を抑制する。本実施形態では、ラジエータファン26、コンデファン38、PTCヒータ44及びデフォッガ64のそれぞれを駆動させる要求度合いを定量化した図4の(A)〜(D)に示す駆動要求度合いを算出し、駆動要求度合いの大きい電気負荷から順に優先順位を高く設定する。
(A)ラジエータファン26:冷却水温THWが高くなることで冷却水温THWが上限温度を上回る場合、冷却水温THWを所定温度範囲内に制御すべくラジエータファン26が回転駆動される。このため、冷却水温THWが高いほど、近い将来ラジエータファン26が回転駆動される蓋然性が高くなる。したがって本実施形態では、冷却水温THWが高いほど、ラジエータファン26の駆動要求度合いを大きく設定する。なお、ラジエータファン26が既に回転駆動されている場合、このファンの駆動要求度合いを0に設定してもよい。
(B)コンデファン38:高圧側圧力Pdが高くなることで高圧側圧力Pdが所定圧を上回る場合、高圧側圧力Pdを所定圧以下に制御すべくコンデファン38の駆動要求が生じる。このため高圧側圧力Pdが高いほど、近い将来コンデファン38が回転駆動される蓋然性が高くなる。したがって本実施形態では、高圧側圧力Pdが高いほど、コンデファン38の駆動要求度合いを大きく設定する。なお、コンデファン38が既に回転駆動されている場合、このファンの駆動要求度合いを0に設定してもよい。
(C)PTCヒータ44:PTCヒータ44を用いた暖房制御は、冷却水温THWが低い状態である冷間状態において行われる。このため冷却水温THWが低いほど、近い将来PTCヒータ44に通電される蓋然性が高くなる。したがって本実施形態では、暖房制御が行われることを条件として、冷却水温THWが低いほど、PTCヒータ44の温度を上昇させるべくPTCヒータ44の駆動要求度合いを大きく設定する。なお、エンジン10が暖機状態とされていたり、暖房制御の要求がなかったりする場合、PTCヒータ44の駆動要求度合いを0に設定してもよい。
(D)デフォッガ64:窓ガラスの車室内側付近の空気の湿度が高くなると、窓ガラスの曇りが生じる。このため空気の湿度が高いほど、近い将来操作スイッチ68がオンされることでデフォッガ64への通電が指示される蓋然性が高くなる。したがって本実施形態では、湿度センサ65の出力値に基づく空気の湿度が高いほど、デフォッガ64の駆動要求度合いを大きく設定する。
図2の説明に戻り、続くステップS22では、上記ステップS18の処理で算出された余剰電力を超えないことを条件として、上記減速時駆動制御によって優先順位が高い電気負荷から順に駆動させる。詳しくは、電気負荷が駆動される場合に増大すると想定される消費電力が余剰電力を超えないことを条件として、減速時駆動制御によって駆動させる電気負荷を優先順位が高い方から追加する。ここで減速時駆動制御によってコンデファン38や、PTCヒータ44、デフォッガ64を駆動させる場合、エアコンECU66を介して駆動させればよい。
なお、ステップS14、S22の処理が完了する場合には、この一連の処理を一旦終了する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)ラジエータファン26の減速時駆動制御処理を行った。このため、その後ラジエータファン26の回転駆動が開始されるタイミングを遅延させることができ、ラジエータファン26の回転駆動に伴う消費電力の増大を好適に抑制することができる。これにより、オルタネータ46の発電電力の増大を抑制することができ、ひいてはエンジン10の燃費低減効果を好適に向上させることができる。
(2)コンデファン38の減速時駆動制御処理を行った。これにより、その後コンデファン38の回転駆動が開始されるタイミングを遅延させることでコンデファン38の駆動に伴う消費電力の増大を抑制することができ、オルタネータ46の発電電力の増大を抑制することができる。更に、上記処理によって高圧側圧力Pdを低下させることで、コンプレッサ30の駆動トルクを低減させることもできる。したがって、エンジン10の燃費低減効果をより好適に向上させることができる。
(3)PTCヒータ44の減速時駆動制御処理を行った。このため、その後PTCヒータ44を用いて暖房制御が行われる場合、PTCヒータ44への通電に伴う消費電力の増大を抑制することができる。これにより、エンジン10の燃費低減効果を好適に向上させることができる。
(4)デフォッガ64の減速時駆動制御処理を行った。このため、その後に窓ガラスが曇り始めるタイミングを遅延させることができ、デフォッガ64への通電に伴う消費電力の増大を抑制することができる。これにより、エンジン10の燃費低減効果を好適に向上させることができる。
(5)ラジエータファン26等の電気負荷の駆動要求度合いに基づきこれら電気負荷の優先順位を設定する優先順位設定処理を行った。そして余剰電力を超えないことを条件として、設定された優先順位が高い電気負荷から順に、上記減速時駆動制御処理によって強制的に駆動させた。これにより、駆動される蓋然性が高い電気負荷を優先的に駆動させることができ、ひいてはエンジン10の燃費低減効果を好適に向上させることができる。
(6)減速時駆動制御中に燃料カット制御を行った。これにより、燃料噴射弁12から燃料噴射することなくオルタネータ46の発電電力を増大させることができ、ひいてはエンジン10の燃費低減効果をより好適に向上させることができる。
(7)車両に搭載されるバッテリ48を鉛蓄電池とした。この場合、バッテリ48の最大充電電力がオルタネータ46の発電可能な電力に対して小さくなり、オルタネータ46の発電電力が低下しやすい。このため本実施形態は、上記減速時駆動制御処理の利用価値が高い。
(その他の実施形態)
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記実施形態では、ラジエータファン26やコンデファン38をオン・オフ操作されるものとしたがこれに限らない。例えば、供給される電力に応じて送風量を連続的又は段階的に可変設定可能なものとしてもよい。この場合、減速時駆動制御処理は、ラジエータファン26やコンデファン38が既に回転駆動されているとき、ラジエータファン26やコンデファン38の回転速度を更に上昇させる処理とすればよい。これにより、冷却水温THWや高圧側圧力Pdを更に低下させることができる。
・上記実施形態では、ラジエータ22及びコンデンサ32において放熱を促進させるためのファンを各別に設けたがこれに限らない。例えば、ラジエータ22とコンデンサ32とを接近させて配置し、これら熱交換器において放熱を促進させるための共通のファンを設けてもよい。
・バッテリ受入電力及び実消費電力の加算値の算出手法としては、上記実施形態に例示したものに限らない。例えばオルタネータ46の出力電圧と出力電流との積によって算出してもよい。
・減速時駆動制御処理によって駆動される電気負荷としては、上記実施形態に例示したものに限らない。例えば、冬期等、外気温度が低い場合に車室内の快適性を向上させることを目的として設けられるシートヒータであってもよい。この場合、上記処理によってシートヒータの温度が過度に上昇することで乗員に違和感を与える事態を回避すべく、シートヒータへの通電量を制限する手段を備えることが望ましい。
・デフォッガ64の減速時駆動制御処理としては、上記実施形態に例示したものに限らない。例えば、操作スイッチ68がオンされている場合、デフォッガ64への通電量を通常時の通電量よりも大きくする処理を行ってもよい。ただしこの場合、デフォッガ64への通電量が過大となることでデフォッガ64の信頼性が低下する事態を回避すべく、デフォッガ64への通電量に上限を設けることが望ましい。
・本願発明が適用される車両としては、走行動力源としてエンジン10のみを備えるものに限らない。例えば走行動力源としてエンジン10とともに電動機を備えるハイブリッド車両であってもよい。この場合、コンプレッサ30を、バッテリ48やオルタネータ46を電力供給源として駆動される電動式のものとしてもよい。このとき減速時制御処理として、コンプレッサ30の駆動トルク(吐出容量)を強制的に増大させる処理を行ってもよい。これにより、例えば冷房制御のための熱をエバポレータ34に蓄えることができ、減速時駆動制御処理の後、冷房制御のためにコンプレッサ30が駆動されることに伴う消費電力の増大を抑制することができる。したがって、コンプレッサ30の駆動に伴う消費電力を補償するために駆動されるオルタネータ46の駆動トルクの増大を抑制することができる。
10…エンジン、12…燃料噴射弁、24…水温センサ、26…ラジエータファン、38…コンデファン、42…冷媒圧センサ、44…PTCヒータ、46…オルタネータ、48…バッテリ、64…デフォッガ、66…エアコンECU、70…エンジンECU(車両用制御装置の一実施形態)。
Claims (6)
- 内燃機関を動力源として発電する発電機と、該発電機の発電電力によって充電される蓄電池と、前記発電機及び前記蓄電池のうち少なくとも一方を電力供給源として駆動される複数の電気負荷とを備える車両に適用され、前記発電機を操作する車両用制御装置において、
前記複数の電気負荷は、入力される電気エネルギを熱エネルギに変換する熱エネルギ変換手段を含むものであり、
前記車両の走行中にドライバによってブレーキ操作がなされているか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段によって前記ブレーキ操作がなされていると判断されることを条件として、前記発電機の現在の回転速度に応じた最大発電電力へと該発電機の発電電力を増大すべく前記熱エネルギ変換手段の消費電力を強制的に増大させる消費電力増大手段とを備えることを特徴とする車両用制御装置。 - 前記熱エネルギ変換手段は、複数の手段からなるものであり、
前記複数の熱エネルギ変換手段のそれぞれの将来の駆動要求度合いの予測に基づき、該複数の熱エネルギ変換手段のそれぞれの優先順位を設定する優先順位設定手段を更に備え、
前記消費電力増大手段は、前記設定された優先順位が高い熱エネルギ変換手段の消費電力を優先的に増大させることを特徴とする請求項1記載の車両用制御装置。 - 前記熱エネルギ変換手段は、前記内燃機関を冷却する冷却水の放熱を行うべく回転駆動されるラジエータファンを含むものであり、
前記優先順位設定手段は、前記冷却水の温度が高いほど前記ラジエータファンの優先順位を高く設定することを特徴とする請求項2記載の車両用制御装置。 - 前記熱エネルギ変換手段は、空調制御用の冷凍サイクルを循環する冷媒の放熱を行うべく回転駆動されるコンデンサファンを含むものであり、
前記優先順位設定手段は、前記冷媒の圧力が高いほど前記コンデンサファンの優先順位を高く設定することを特徴とする請求項2又は3記載の車両用制御装置。 - 前記熱エネルギ変換手段は、前記内燃機関を冷却する冷却水の放熱を行うべく回転駆動されるラジエータファン、空調制御用の冷凍サイクルを循環する冷媒の放熱を行うべく回転駆動されるコンデンサファン、暖房制御を行うべく通電に伴い加熱されるヒータ及び前記車両の窓の曇りを除去すべく通電に伴い加熱されるデフォッガのうち少なくとも1つを含むものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用制御装置。
- 前記内燃機関のトルク生成が指示されていないことを条件として該内燃機関への燃料の供給を停止する燃料カット手段を更に備え、
前記消費電力増大手段は、前記判断手段によって前記ブレーキ操作がなされていると判断されること及び前記燃料カット手段によって燃料の供給が停止されることを条件として、前記熱エネルギ変換手段の消費電力を強制的に増大させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用制御装置。
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