JP2011191428A - 映り込み防止フィルム - Google Patents

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久晴 水留
Yuji Sawamura
裕二 澤村
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Abstract

【課題】内部散乱および表面散乱を調整することでディスプレイ等から出射された光を鮮明に表示することができる映り込み防止フィルムを提供する。
【解決手段】外光の映り込みを防止する映り込み防止層と、前記映り込み防止層が一の面に設けられた基材と、前記基材の他の面に設けられた粘着層と、を備え、前記映り込み防止層および前記粘着層には微粒子が含まれるように構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、映り込み防止フィルムに関する。
基材のどちらか一方の側に少なくとも防眩層または反射防止層を有し、基材の反対側に易接着層を有した光学用フィルムが知られている(特許文献1参照)。
特開2001−91705号公報
しかしながら、上記光学用フィルムは易接着層を有しているが、当該易接着層は偏光子との密着性を良くするためにあり、前記光学用フィルムを液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどのディスプレイ(以下、ディスプレイという)の前面に貼り合わせるだけの接着力を有していない。さらに前記易接着層は薄膜であるため、内部散乱を調整する機能を前記易接着層に付与することが難しく、表面に設けられた防眩層または反射防止層の機能との組み合わせに乏しいなどの問題があった。
本発明は、かかる実情を考慮してなされたものである。即ち、本発明は、内部散乱および表面散乱を調整することでディスプレイ等から出射された光を鮮明に表示することができる映り込み防止フィルムを提供しようとするものである。
上記課題は以下の手段によって達成される。
上記課題を達成する本発明は、外光の映り込みを防止する映り込み防止層と、前記映り込み防止層が一の面に設けられた基材と、前記基材の他の面に設けられた粘着層と、を備え、前記映り込み防止層および前記粘着層には微粒子が含まれている映り込み防止フィルムである。
本発明によれば、内部散乱および表面散乱を調整することでディスプレイ等から出射された光を鮮明に表示することができるという優れた効果を奏し得る。
本発明の実施形態にかかる映り込み防止フィルムの断面図である。
以下、本発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本実施形態にかかる映り込み防止フィルムの断面図である。この映り込み防止フィルム10は、映り込み防止層1と、基材2と、粘着層3とを備え、基材2の一の面に映り込み防止層1が、他の面に粘着層3が設けられている。
映り込み防止層1は、微粒子4およびバインダー樹脂5を含有する。微粒子1は、微粒子であれば特に制限はないが、好ましくはシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の無機微粒子、またはポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン、ポリカーボネート等の有機微粒子などである。微粒子4の平均粒径は1〜3μmが好ましい。これにより外部からの入射光(外光)を表面散乱させ、ディスプレイ等から出射された光を鮮明に表示することができる。本発明における表面散乱とは、映り込み防止層1の表面における外光の散乱をいい、より具体的には映り込み防止層1と空気層との界面における光の屈折・反射をいう。
バインダー樹脂5は、紫外線硬化型樹脂または熱硬化型樹脂を用いることができる。紫外線硬化型樹脂はウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート、ポリエステルアクリレート等の2官能以上の多官能モノマーまたはオリゴマーを単独または2種以上を混合したものを用いることができる。熱硬化型樹脂はウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などを用いることができる。なお、バインダー樹脂5は、紫外線硬化型樹脂と熱硬化型樹脂を併用することもできる。本実施形態では、バインダー樹脂5の反応機構に応じて、硬化剤または重合開始剤を選択または併用して、樹脂組成物を作製する。そして、後述する製法により映り込み防止層1を作製する。なお、前記樹脂組成物には用途に応じてレベリング剤、消泡剤、防汚剤、帯電防止剤を加えることができる。
重合開始剤は、ラジカル型光重合開始剤、カチオン型光重合開始剤を用いることができる。硬化剤は、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等のイソシアネート類、ジエチレントリアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン等のアミン類、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸等の酸無水物類、過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンバーオキサイド等の有機過酸化物類などを用いることができる。これらは併用することもできる。加える量は、反応速度、硬化度合いにより適宜調整することができる。
有機溶剤は、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール系溶剤、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン系溶剤、トルエン等の芳香族系溶剤などの一般的な有機溶剤を用いることができる。
微粒子4の屈折率とバインダー樹脂5の屈折率の差は0.03〜0.1であることが好ましい。前記屈折率差を有することによって外光が映り込み防止層1に入射した際に屈折・反射が起こり、効率的な散乱が可能となる。本実施形態では、微粒子4の屈折率は1.45であり、バインダー樹脂5の屈折率は1.51である。
微粒子4の添加量は、バインダー樹脂5が100重量部(固形分換算)に対し、0.1〜3重量部であることが好ましい。これにより映り込み防止層1の内部に微粒子4が均一に存在し、表面には微細な凹凸が形成される。また、外光を表面散乱させ、ディスプレイ等から出射された光を鮮明に表示することができる。
映り込み防止層1のヘイズは2〜7%である。このようなヘイズとすることで、外光を表面散乱させ、ディスプレイ等から出射された光を鮮明に表示することができる。なお、ヘイズとは、サンプルの全透過光(Tt)に対する拡散透過光(Td)の割合をいい、拡散透過光は直線透過光に対して2.5度以上傾いた散乱光をいう。
基材2は、光学用の透明なフィルムであれば特に制限はない。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィン(COP)、ポリカーボネート(PC)などのフィルムを用いることができる。基材2の厚さは、用途により適宜選択できるが、加工性、手扱いの観点から50〜300μmであることが好ましい。
粘着層3は、微粒子6およびバインダー樹脂7を含有する。微粒子6は、微粒子であれば特に制限はないが、好ましくはシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の無機微粒子、またはポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン、ポリカーボネート等の有機微粒子などである。微粒子6の平均粒径は2〜10μmが好ましい。これにより、レンズ効果によるギラツキを抑え、粘着層3の内部で内部散乱させることができ、ディスプレイ等から出射された光を鮮明に表示することができる。本発明における内部散乱とは、映り込み防止層1および粘着層3の内部で発生する光の散乱をいい、より具体的には微粒子6とバインダー樹脂7との界面において発生する光の屈折や反射をいう。
バインダー樹脂7は、被着体であるディスプレイと十分に密着する程度の粘着力を発現するものであれば特に制限はない。例えば、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤、ゴム系粘着剤などを用いることができる。これら粘着剤を後述する製法により粘着層3を作製する。なお、前記樹脂組成物には用途に応じて紫外線吸収剤、シランカップリング剤、可塑剤、粘着付与樹脂などを加えることができる。
微粒子6の屈折率とバインダー樹脂7の屈折率の差は0.03〜0.2であることが好ましい。前記屈折率差により粘着層3に入射した光を屈折・反射させ、散乱させることができるためである。本実施形態では、微粒子6の屈折率は1.45であり、バインダー樹脂7の屈折率は1.52である。
微粒子6の添加量は、バインダー樹脂7が100重量部(固形分換算)に対し、0.05〜5重量部であることが好ましい。これにより微粒子6が粘着層3全体に均一な状態で存在する。また、微粒子6がディスプレイ側から入射した光を屈折・反射させることにより、入射した光に起因するレンズ効果を低減することができる。この結果、ディスプレイ等から出射された光を鮮明に表示することができる。
粘着層3のヘイズは、5〜10%である。このようなヘイズとすることで、内部散乱が起こり、レンズ効果を抑制し、ディスプレイ等から出射された光を鮮明に表示することができる。
ヘイズは映り込み防止層1よりも粘着層3の方が高く、粘着層3の厚さは10μm以上であることが好ましい。以下、この関係について詳述する。
映り込み防止層1は、外光による映像の劣化を防ぐために表面散乱を大きくすることが望ましい。表面散乱を大きくする方法としては、映り込み防止層1の表面に微細な凹凸を形成する方法が挙げられる。一方、粘着層3は、ディスプレイから出射された映像の劣化(例えば、映像がぼやける)を抑えるために内部散乱を小さくするのが好ましい。
しかし、映り込み防止層1の表面の凹凸が大きすぎたり、凹凸の数が多すぎたりすると、表面散乱が大きくなりすぎる。そうすると、この凹凸によって生じるレンズ効果により、ディスプレイから出射された光(映像)が収束(結像)し、ディスプレイ全体でギラツキを生じる。このギラツキを解消する方法としては、凹凸を小さくしたり、数を少なくしたりする方法がある。しかし、この場合は外光による映像の劣化が起こりやすく、トレードオフの関係が生じる。
この現象を抑える方法として、内部散乱を利用して、レンズ効果を低減しギラツキを抑える方法がある。しかし、内部散乱が強くなるとヘイズに影響を与え、映像がぼやけるという不具合を生じる。従って、映り込み防止層1の同一層内で表面散乱と内部散乱を調整することは困難である。
以上のことから本発明は、映り込み防止層1と粘着層3に微粒子4,6を加え、各層のヘイズを変化させている。具体的には、粘着層3のヘイズを映り込み防止層1よりも高くし、粘着層3の厚さを10μm以上としている。即ち、粘着層3の微粒子6によりディスプレイから出射された光(映像)を適度に散乱させることにより、粘着層3内に微粒子6が存在しないときの映像よりもギラツキを低減することができる。また、粘着層3の厚さを10μm以上とすることにより、粘着層3内に存在する微粒子6による散乱角を大きくする必要がなくなる。つまり、粘着層3内の微粒子6とバインダー樹脂7の屈折率差を小さくできる。これにより、粘着層3のヘイズを高くすることなく、映り込み防止層1の表面散乱を適度に保つことができ、映像を鮮明に保つことができる。
次に映り込み防止フィルムの作製方法について説明する。まず、映り込み防止層1に使用する樹脂組成物および粘着層3に使用する樹脂組成物をそれぞれ作製する。これら樹脂組成物の粘度はエタノール、イソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール系溶剤、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン系溶剤、トルエン等の芳香族系溶剤などの有機溶剤で希釈し調整する。樹脂組成物の固形分濃度はコーターの種類、塗布スピード、塗布厚に応じて調整を行うが、好ましくは映り込み防止層1に使用する樹脂組成物は固形分濃度が10〜50質量%、粘着層3に使用する樹脂組成物は固形分濃度が15〜30質量%である。
上記樹脂組成物を基材2に塗布する。塗布方法は、グラビアコーター、ダイコーター、ワイヤーバーコーター、リバースコーター、キスコーター、コンマコーターなど公知の方法を利用することができる。塗布した樹脂組成物は、乾燥させ、硬化させる。なお、乾燥と硬化は同時に行うことができる。
硬化方法は、樹脂組成物の硬化機構により適宜選択することができる。例えば、熱硬化型の場合は加熱により硬化させ、紫外線硬化型の場合は紫外線を照射することにより硬化させる。併用する場合は熱と紫外線を別々に与えても良いし、同時に与えても良い。硬化条件は、硬化方法、塗布厚、加工スピードにより異なるが、本実施形態では、各樹脂組成物が十分反応する程度の熱、紫外線を与えることが好ましい。
本実施形態は以下の手順で作製している。まず、映り込み防止層1に使用する樹脂組成物を基材2に塗布し、乾燥させた後に、硬化させ映り込み防止層1を作製する。次に粘着層3に使用する樹脂組成物を離型処理が施された離型フィルムに塗布し、乾燥させ、溶剤分を除去し、半硬化状態とする粘着層3を作製する。そして、映り込み防止層1が設けられていない基材面に粘着層3を貼り合わせて映り込み防止フィルムを作製する。なお、映り込み防止フィルムは離型フィルムを剥がして被着体と貼り合わせて使用する。
乾燥後の塗布厚は、映り込み防止層1の厚さは映り込み防止性能、内部散乱および表面
硬度の観点から2〜5μmであり、粘着層3の厚さは内部散乱及び粘着性能の観点から10〜40μmである。
次に、映り込み防止フィルムの使用形態について説明する。本発明の映り込み防止フィルムは、主にディスプレイやタッチパネル用ディスプレイの表面に貼り合わせて使用される。具体的には、ディスプレイ表面と映り込み防止フィルムの粘着層3とを貼り合わせて使用する。これにより、外部からの光を映り込み防止層11により表面散乱させ、粘着層3により内部散乱させる。これにより、ディスプレイから表示された情報をより鮮明に表示することが可能となる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により何ら制限されるものではない。当業者は、以下に示す実施例のみならず様々な変更を加えて実施することが可能であり、かかる変更も本特許請求の範囲に包含される。
(映り込み防止層1の塗布液(A)の作製)
アクリル系紫外線硬化型樹脂28.5重量部(日本合成化学工業株式会社製:紫光UV−1700B(固形分100%))、シリカ粒子0.3重量部(東ソー・シリカ株式会社製:AZ−204(平均粒子径1.3μm))及び開始剤1.2重量部(チバ・ジャパン株式会社製:IRGACURE184)を混合し、これにトルエン35重量部、メチルイソブチルケトン35重量部を加えて撹拌し、固形分濃度が30%の塗布液(A)を得た。
(粘着層3の塗布液(B)の作製)
アクリル系粘着剤99.7重量部(綜研化学株式会社製:SKダイン1435(固形分30%)、シリカ粒子0.12重量部(日本シリカ工業株式会社製:E−150J(平均粒径4.7μm))及び架橋剤0.18重量部(綜研化学株式会社製:TD−75)を混合し、塗布液(B)を得た。
(映り込み防止フィルムの作製)
塗布液(A)を100μmのPETフィルム(東洋紡績株式会社製:A4300)にバーコーターで塗布後、300mJ/cmの紫外線にて硬化し、映り込み防止層1を作製した。次に塗布液(B)をシリコーン系離型剤で表面処理された離型フィルム(リンテック株式会社製:PET3811)にドクターブレードにて乾燥後の膜厚が25μmになるように塗布し、100℃で90秒間加熱乾燥し、粘着層3を作製した。そして、映り込み防止層1が設けられた面と反対の面に粘着層3を貼り合せ、圧着することにより映り込み防止フィルムを得た。
比較例
(映り込み防止層1の塗布液(C)の作製)
アクリル系紫外線硬化型樹脂27.8重量部(日本合成化学工業株式会社製:紫光 UV−1700B(固形分100%))、シリカ粒子1.0重量部(東ソー・シリカ株式会社製:AZ−204(平均粒子径1.3μm))及び開始剤1.2重量部(チバ・ジャパン株式会社製:IRGACURE184)を混合し、これにトルエン35重量部、メチルイソブチルケトン35重量部を加えて撹拌し、固形分濃度が30%の塗布液(C)を得た。
(粘着層3の塗布液(D)の作製)
アクリル系粘着剤99.82重量部(綜研化学株式会社製:SKダイン1435(固形分30%)、架橋剤0.18重量部(綜研化学株式会社製:TD−75)を混合し、塗布液(D)を得た。
映り込み防止フィルムは上述した方法と同じ条件で作製した。
(映り込み防止フィルムの評価)
得られた映り込み防止フィルムについて、ヘイズ、鏡面光沢度、ギラツキを評価した。
(1)ヘイズは、JIS
K 7136に基づきヘイズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製:HM−150)にて測定した。
(2)鏡面光沢度は、JIS
Z 8741に基づき光沢計(日本電色工業株式会社製:VG 2000)にて測定した。
(3)ギラツキは、映り込み防止フィルムを0.5mm厚のガラス板に貼合し、このガラス板を映り込み防止フィルムが観察者側に来るように全白の画像を表示させた液晶ディスプレイの前面に設置して測定した。評価方法は目視にて行い、以下の5段階で判定した。
5:強い。
4:やや強い。
3:使用に耐え得る。
2:弱い。
1:ほとんどない。



上記の結果から、表面散乱と内部散乱の機能を分離した実施例は、表面散乱と内部散乱の機能を映り込み防止層に集約させた比較例に比べ、ヘイズは同程度であるが、ギラツキは弱いことがわかった。このことから、本発明における映り込み防止フィルムは、ディスプレイ等から出射された光を鮮明に表示することができる。
本発明は、内部散乱および表面散乱を調整することでディスプレイ等から出射された光を鮮明に表示することができる映り込み防止フィルムに関するものである。
1 映り込み防止層
2 基材
3 粘着層
4 微粒子
5 バインダー樹脂
6 微粒子
7 バインダー樹脂
10 映り込み防止フィルム



Claims (3)

  1. 外光の映り込みを防止する映り込み防止層と、
    前記映り込み防止層が一の面に設けられた基材と、
    前記基材の他の面に設けられた粘着層と、を備え、
    前記映り込み防止層および前記粘着層には微粒子が含まれていることを特徴とする映り込み防止フィルム。
  2. 前記粘着層のヘイズは、前記映り込み防止層のヘイズよりも高いことを特徴とする請求項1に記載の映り込み防止フィルム。
  3. 前記粘着層の厚さは、10μm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の映り込み防止フィルム。
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