以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(第1実施形態)
本発明による製本された冊子3を図1に示し、本文としての写真紙1並びに表紙4の概略断面図を図5に示す。また、本発明による製造装置と製造方法の概略図を図2および図3に示す。
本実施形態は、基材となる紙の両面に受容層が設けられ、受容層の外側に保護層が設けられた構造、または、基材となる紙の両面に受容層が設けられた構造の昇華転写用の写真紙1に関する。ここで、基材となる紙の両面に受容層が設けられ、受容層の外側に保護層が設けられた構造の場合には、受容層および保護層をまとめて樹脂層5a〜5dと称し、基材となる紙の両面に受容層が設けられた構造の場合には、受容層を樹脂層5e〜5hと称する。なお、樹脂層5a〜5hは一例としてコーティングにより塗布される。
本実施形態では、この樹脂層が設けられた写真紙1などにおいて樹脂層5a〜5hを熱溶着させ、写真紙1同士および写真紙1と表紙4を接着させることで十分な製本強度のある無線綴冊子を製本することができる製造装置と製造方法に関するものである。
図1の製本された冊子3は、複数枚の本文としての写真紙1が積み重ねられた堆積体としての本紙2と、この写真紙1の本紙2を覆う一枚の表紙4とを具備する。
なお、表紙4は二つ折りされた一枚ではなく、本紙2の表面と裏面とで二枚に分離されていてもよい。
図1の各写真紙1は両面に樹脂層5a〜5hがコーティングされ、本紙2のうち隣り合う写真紙1のとじしろ部分6の外面同士が樹脂層5a〜5hの熱融着によって接着されている。また、本紙2の外側写真紙1の外面にコーティングされた樹脂層5a〜5hと表紙4の内面にコーティングされた樹脂層5a〜5hとが熱融着によって接着されている。あるいは、本紙2の外側写真紙1の外面と表紙4の内面とは糊または両面粘着テープによって接着されていてもよい。
樹脂層5は超音波振動または熱板17によって熱融着され、写真紙1の両面の樹脂層には感熱昇華転写された写真画像や文字等の情報が記録されている。また、写真画像や文字等の情報は写真紙1の片面だけに記録されていてもよく、さらに、複数枚の本文としての写真紙1が積み重ねられた堆積体としての本紙2の一部の写真紙1には、写真画像や文字等の情報が記録されていなくともよい。
溶着部7はとじしろ部分6に複数個設けられている。なお、典型的にはとじしろ部分6の幅は3mm〜10mm程度である。
図5(A)の写真紙1aは基材19aの表裏に、昇華転写用の受容層22a、22bがコーティング等されて設けられ、受容層22a、22bの外側に保護層21a、21bがコーティング等されて設けられている。本願の樹脂層5a、5bには受容層22a、22bと保護層21a、21bが含まれる。
基材19aは、紙単体、樹脂フィルム単体、または、紙と樹脂フィルムの積層体などの材料から構成される。また、受容層22a、22bは熱可塑性樹脂から構成され、熱可塑性樹脂の一例には塩化ビニル系樹脂があり、塩化ビニル系樹脂の一例には塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体がある。また、保護層21a、21bは熱可塑性樹脂から構成され、この熱可塑性樹脂の一例にはアクリル系樹脂がある。
図5(B)の表紙4aは基材19bの表裏に、昇華転写用の受容層22c、22dがコーティング等されて設けられ、受容層22c、22dの外側に保護層21c、21dがコーティング等されて設けられている。本願の樹脂層5c、5dには受容層22c、22dと保護層21c、21dが含まれる。
基材19bは、紙単体、樹脂フィルム単体、または、紙と樹脂フィルムの積層体などの材料から構成される。また、受容層22c、22dは熱可塑性樹脂から構成され、熱可塑性樹脂の一例には塩化ビニル系樹脂があり、塩化ビニル系樹脂の一例には塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体がある。また、保護層21c、21dは熱可塑性樹脂から構成され、この熱可塑性樹脂の一例にはアクリル系樹脂がある。
図5(C)の写真紙1bは基材19cの表裏の外面に、昇華転写用の受容層として樹脂層5e、5fがコーティングされている。基材19cは、紙単体、樹脂フィルム単体、または、紙と樹脂フィルムの積層体などの材料から構成される。また、樹脂層5e、5fは熱可塑性樹脂から構成され、この熱可塑性樹脂の一例には塩化ビニル系樹脂があり、塩化ビニル系樹脂の一例には塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体がある。
図5(D)の表紙4bは基材19dの表裏の外面に、昇華転写用の受容層として樹脂層5g、5hがコーティングされている。基材19dは、紙単体、樹脂フィルム単体、または、紙と樹脂フィルムの積層体などの材料から構成される。また、樹脂層5g、5hは熱可塑性樹脂から構成され、この熱可塑性樹脂の一例には塩化ビニル系樹脂があり、塩化ビニル系樹脂の一例には塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体がある。
図2の製造装置では、基材19に樹脂層5a〜5hをコーティングした、昇華転写用の写真紙1が挿入される挿入口13と、挿入口13に挿入された写真紙1が堆積される本文重畳手段としての堆積部12と、熱溶着部9のスライダ10に取り付けられた超音波振動子8の先端が堆積部12に堆積された写真紙1の端の部分であるとじしろ部分6に接し、先に堆積した本文1にコーティングされた樹脂層5a〜5hと後から堆積した本文1にコーティングされた樹脂層5a〜5hとをとじしろ部分6で超音波振動によって熱融着し、先に堆積する本文1と後から堆積する本文1とを接着させる本文接着手段としての熱溶着部9と、堆積部12に堆積された写真紙1を押えるクランプ機構14とを含んで構成される。
また、熱溶着部9は、堆積部12に挿入されて堆積した写真紙1の束である堆積体2と同じ幅に罫線16を設けてU字型に二つ折りされた表紙4用の写真紙1の片方の面にコーティングされた樹脂層5a〜5hと二つ折りされた表紙4に接する本文1にコーティングされた樹脂層5a〜5hを熱融着させ、表紙4と本文1とを接着させる表紙接着手段としても機能する。
写真紙1を堆積する堆積部12は、受け板20と、それを傾斜させて用紙を2辺または3辺で当止めする当止めガイド11で構成される。また、写真紙1の大きさや厚みによっては、写真紙1の自重によって当止めガイド11まで本文1がスライドし難い場合もあるので、必要に応じて受け板20部分にモータや空気圧にて偏心円盤を回転させる振動機構(図示せず)を設けても良い。
写真紙1を熱溶着する熱溶着部9は、少なくとも1つ以上の超音波振動子8が1つのスライダ10に一定の間隔で固定され、スライダ10は写真紙1の表面に対して上下方向(図2および図3の矢印A方向)とスライダ10に取り付けられた超音波振動子8が並ぶ方向(図2および図3の矢印B方向)の2方向に移動できる。
したがって、スライダ10に取り付けられた超音波振動子8は図2および図3の矢印B方向に移動しながら、図2および図3の矢印A方向に上下して、写真紙1同士を複数の箇所で熱溶着させることができる。
写真紙1のとじしろ部分6の複数の箇所で写真紙1同士を熱溶着できるので、冊子3として完成させた後の写真紙1の接着強度を適切に調整することができる。
すなわち、写真紙1を一枚ずつ開いた場合の写真紙1のとじしろ部分6での写真紙1間の接着強度を熱溶着箇所である溶着部7の個数で適切に制御することができる。また、超音波振動子8の振動振幅、振動時間、超音波振動子8の先端と写真紙1との接触面積によっても、写真紙1間の接着強度を適切に制御することができる。
なお、超音波振動子8が取り付けられたスライダ10は、下方に下がって、超音波振動子8によって写真紙1を熱溶着した後に、上方に上がり、スライダ10に取り付けられた超音波振動子8が並ぶ方向(図2および図3の矢印B方向)に移動して本文1のとじしろ部分6で超音波振動子8の先端と写真紙1が接触する位置を変え、再び下方に下がって、写真紙1を熱溶着した後に、上方に上がる動作を複数回繰り返してもよい。
このように、先に堆積した本文1と後から堆積した本文1とを複数の箇所で熱溶着させることによって、先に堆積した本文1と後から堆積した本文1との接着強度を高めることができる。
また、写真紙1のクランプ機構14は、押え板が図2および図3の矢印A方向の上下に移動するように、冊子製造装置の筐体の上部より下方へ伸びるシリンダまたはロッドにて保持されている。
次に、冊子3の製本手順を図3(A)および図3(B)を参照して以下に記述する。
最初に、図3(A)に示すように、昇華転写用に基材19となる紙に樹脂層5a〜5hを両面にコーティングされた写真紙1が挿入口13に挿入され、挿入口13に挿入された写真紙1は堆積部12で堆積され、先に堆積する本文1に後から堆積する本文1を積み重ねて堆積体2を形成する。
その後、重ねられた写真紙1に超音波振動子8を押しつけて写真紙1同士を熱溶着させて接着する。
より詳細を説明すると、堆積部12の受け板20に堆積されて堆積体2となっている写真紙1の表面のとじしろ部分6に超音波振動子8の先端が接するように、超音波振動子8が取り付けられたスライダ10が下方に下がる。
超音波振動子8の先端が写真紙1の表面のとじしろ部分6に接し、押圧した後に、超音波振動子8の先端が超音波振動し、超音波振動子8の先端が接する堆積した本文1である写真紙1とその下の先に堆積した本文1である写真紙1にコーティングされた樹脂層5が超音波振動によって熱が発生して熱溶着される。
熱溶着後に、超音波振動子8が取り付けられたスライダ10が上方に上がり、次の写真紙1が挿入口13から挿入され、次の写真紙1が堆積部12に堆積され、超音波振動子8が取り付けられたスライダ10が下方に下がり、先に堆積した本文1と後から堆積した本文1とを熱溶着させる。
この熱溶着動作を堆積体2が所定のページ数になるまで繰り返す。一例として冊子3(フォトブック)にしたい写真紙1をN枚とした場合に、この熱溶着動作は(N−1)回繰り返される。
次に、図3(B)のように、堆積した写真紙1の束と同じ幅に(冊子3の背に相当する幅)に罫線16を設けてU字型に二つ折りされた表紙4用の写真紙1を堆積部12に挿入し、二つ折りされた表紙4を堆積体2に重ねる。
二つ折りされた表紙4にコーティングされた樹脂層5と二つ折りされた表紙4に接する本文1にコーティングされた樹脂層5を超音波振動子8によって熱融着させ、表紙4と本文1とを接着させる。
すなわち、超音波振動子8の先端が冊子3の表紙4のとじしろ部分6に接し、押圧した後に、超音波振動子8の先端が超音波振動し、超音波振動子8の先端が接する表紙4の裏面側の樹脂層5と表紙4の裏面側の樹脂層5と接する本文1である写真紙1にコーティングされた樹脂層5とが超音波振動によって熱溶着される。
熱溶着後に、超音波振動子8が取り付けられたスライダ10が上方に上がり、堆積部12から冊子3を挿入口13の外へ取出し、図示しない反転機で冊子3を反転させ、再度、反転させた冊子3を挿入口13から堆積部12へ挿入する。
その後、堆積部12の受け板20に挿入された反転された冊子3の表紙4のとじしろ部分6に超音波振動子8の先端が接するように、超音波振動子8が取り付けられたスライダ10が下方に下がる。
そして、超音波振動子8の先端が冊子3の表紙4のとじしろ部分6に接し、押圧した後に、超音波振動子8の先端が超音波振動し、超音波振動子8の先端が接する冊子3の表紙4の裏面側の樹脂層5と表紙4の裏面側の樹脂層5と接する本文1である写真紙1にコーティングされた樹脂層5とが超音波振動によって熱溶着される。
表紙4と写真紙1とを熱溶着した後に、再び、超音波振動子8が取り付けられたスライダ10が上方に上がり、堆積部12から冊子3を挿入口13の外へ取出す。
最後に、冊子3を小口または三方を別工程で断裁することで冊子3が完成する。
なお、超音波振動子8が取り付けられたスライダ10は、下方に下がって、表紙4と写真紙1とを熱溶着した後に、上方に上がり、スライダ10に取り付けられた超音波振動子8が並ぶ方向(図2および図3の矢印B方向)に移動して表紙4のとじしろ部分6で位置を変えて、再び下方に下がって、表紙4と写真紙1とを熱溶着した後に、上方に上がる動作を複数回繰り返してもよい。
このように、表紙4と写真紙1とを複数の箇所で熱溶着させることによって、接着強度を高めることができる。
本発明の他の実施形態の一例として、スライダ10に取り付けられる超音波振動子8を1個に減らし、熱溶着部9をスライダ10で一定の間隔で移動させて、とじしろ部分6に複数の熱溶着を行い、写真紙1同士および表紙4と写真紙1とを接着させる機構にしても良い。
また、本発明のさらに別の実施形態の一例として、写真紙1の厚みに応じて、写真紙1の厚みが薄い場合には写真紙1を1枚堆積する毎に1枚ずつ熱溶着するのではなく、写真紙1を複数枚堆積させた後に1回で熱溶着さても良い。
また、本発明のさらに別の実施形態の一例を図4に示す。
図4では、超音波振動子8を用いる代わりに、熱板17とプレス機18にて写真紙1同士および表紙4と写真紙1とを熱プレスすることで熱溶着させて接着させる構成を示している。
写真紙1同士および表紙4と写真紙1の背表紙に近い端の部分であるとじしろ部分6の両側を2つの熱板17、17にて挟む。熱板17にはヒータが備え付けられていてもよい。また、表紙4と写真紙1が図4の下方に脱落しないように、支持体23が設置されている。熱プレスする際に、支持体23にもヒータが設けられていても良い。
すなわち、熱プレスは、熱板17および支持体23にヒータが設けられた状態、熱板17のみにヒータが設けられた状態、または、支持体23のみにヒータが設けられた状態の3つの状態の何れかの状態で行うことができる。好ましくは熱板17および支持体23にヒータが設けられた状態で熱プレスをすることがよいが、支持体23のみにヒータが設けられた状態の場合でも写真紙1の背表紙部分にある樹脂層と表紙4の樹脂層との熱溶着によって冊子3を作製することができる。
次に、熱板17をプレス機18で押圧する。すると、熱板17で押圧されている写真紙1と表紙4のとじしろ部分6で、写真紙1および表紙4にコーティングされている樹脂層5が熱板17の熱で溶けて写真紙1同士および表紙4と写真紙1が接着する。その後に、熱板17およびプレス機18を冊子3から離す。そして、冊子3の小口または三方を別工程で断裁することによって冊子3が完成する。
なお、熱プレスの条件は熱板17の温度が約140℃、熱板17の荷重が約100Nで冊子3を約120秒間保持し、樹脂層5の温度を約110℃以上に加熱する。
さらに、本発明の別の実施形態の一例を図6に示す。
図6は、写真紙1同士の接着は熱溶着によるが、表紙4と写真紙1とを、糊26または両面粘着テープで接着させる工程を示している。糊26の一例にはホットメルト接着剤がある。
ここで、ホットメルト接着剤には主に、ポリウレタン系接着剤、EVA(エチレンビニルアルコール)系接着剤、および共重合ポリエステル系接着剤がある。これらのなかで、本実施形態に適しているのはポリウレタン系接着剤および共重合ポリエステル系接着剤であり、ポリウレタン系接着剤の一例にはアサヒメルトファンPU−2030およびPU−2040(旭化学合成株式会社)があり、共重合ポリエステル系接着剤の一例にはアロンメルトPES−070EW(改)(東亜合成株式会社)およびPES−111(EE)(東亜合成株式会社)がある。
図6(A)では、写真紙1同士を熱溶着で接着させた堆積体2の背表紙に近い端の部分である熱溶着された、とじしろ部分6を下方に向け、支持体24の上方に位置させる。
熱溶着された、とじしろ部分6の外側表面には、ホットメルト接着剤等の糊26aを塗布させる。ホットメルト接着剤等の糊26aの堆積体2への塗布は、従来の方法で塗布することが可能である。
また、図6(A)の表紙4の背表紙部分4a、4b、4cの内面に、ホットメルト接着剤等の糊26bを塗布させる。なお、表紙4の背表紙部分4aおよび4cの幅は、とじしろ部分6の幅と同程度またはとじしろ部分6の幅よりも短い長さである。
支持体24の両側には、プレス機25aおよびプレス機25bが設けられる。プレス機25aおよびプレス機25bは図6(A)の支持体24の上を左右方向に移動することができる。図6(a)ではホットメルト接着剤等の糊26aが塗布された堆積体2が支持体24上に下降することができるように、プレス機25aおよびプレス機25bは支持体24の左右に移動した状態で待機させる。なお、プレス機25a、プレス機25bおよび支持体24にはヒータが設けられていてもよい。
また、表紙4と堆積体2との接着強度が十分であれば、表紙4と堆積体2のどちらか一方だけにホットメルト接着剤等の糊26を塗布しておいてもよい。すなわち、ホットメルト接着剤等の糊26bを予め塗布した表紙4にホットメルト接着剤等の糊26aが塗布されていない堆積体2を下方に移動させて、表紙4と堆積体2とを接着させてもよい。さらに、ホットメルト接着剤等の糊26bが塗布されていない表紙4にホットメルト接着剤等の糊26aが塗布された堆積体2を下方に移動させて、表紙4と堆積体2とを接着させてもよい。
図6(B)では、図6(A)の写真紙1同士を熱溶着で接着させた堆積体2を下方に移動させ、堆積体2のホットメルト接着剤等の糊26aと表紙4のホットメルト接着剤等の糊26bとを接着させる。また、支持体24の左上方にあるプレス機25aを矢印Cの方向に移動させ、支持体24の右上方にあるプレス機25bを矢印Dの方向に移動させ、堆積体2と表紙4からなる冊子3を押圧し、ホットメルト接着剤等の糊26aおよび26bを介して、堆積体2と表紙4とを熱プレスにより接着させる。本実施形態の熱プレスは、温度約120℃において、約15秒間、プレス機25a、プレス機25bおよび支持体24を保持することにより行う。
押圧された冊子3は自然空冷等によって温度が下げられ、ホットメルト接着剤等の糊26aおよび26bが硬化され、堆積体2と表紙4とがホットメルト接着剤等の糊26aおよび糊26bを介して硬く接着され、堆積体2と表紙4とが一体となった冊子3ができる。
最後に、冊子3を小口または三方を別工程で断裁することで冊子3が完成する。
本実施形態では、堆積体2と表紙4とはとじしろ部分6を覆うように広い面積で接着できるので、堆積体2と表紙4とのホットメルト接着剤等の糊26aおよび26bを介した接着強度が十分に確保できる。
なお、本実施形態では、堆積体2と表紙4との接着について、ホットメルト接着剤等の糊を用いた場合について詳細に説明したが、ホットメルト接着剤等の糊の代わりに両面粘着テープを使用してもよい。
このように、本実施形態によれば、図4によるプレス機18を用いた場合に比べて、表紙4にプレス機18の押圧跡などの形跡を生ずる可能性がなく、外観がきれいな冊子3を提供することが可能になる。
以上説明したように本願に係る製造方法と製造装置によれば、写真紙1同士の接着には熱溶着を用いるため、従来のように製本糊や綴じ具を使わずとも、写真紙1を簡単に堆積体2とすることができ、さらに表紙4を堆積体2に熱溶着し、あるいは表紙4と堆積体との接着のみ糊26を使用することにより、糊や綴じ具の資材コストを削減できる。
すなわち、本発明に係る方法と装置によれば、従来の製本のために綴じ具またはアクリル系の両面テープだけを使用した製本または全ての写真紙を糊塗布方式により製本する無線綴製本よりも、接着資材の余分なコストがかからず、糊付け作業等の負荷が生じない、写真紙1などにおいて十分な製本強度のある無線綴冊子を製本することが出来る。
また、本発明の方法及び装置によれば、上記無線綴冊子を簡易に製造することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々変更可能である。例えば、本発明によれば本文1をアルバム、絵本、カタログ等とすることもできる。
(第2実施形態)
図7に示すように、冊子製造装置は、本文シート52(図1の写真紙1、または、図5の写真紙1a、1bをシート状にしたもの)及び表紙シート54(図1の表紙4、または、図1の表紙4a、4bをシート状にしたもの)に所望の写真画像を印刷するための印刷機58と、この印刷機58の下方に縦向きで対向配置された、印刷済みの本文シート52及び表紙シート54を集積するための前後クランパ60、74と、この前クランパ60の底側に配置された、本文シート52及び表紙シート54を受け止めるための底受け部61と、前クランパ60の天側に配置された、本文シート52の集積体53並びに本文シート52の集積体53と表紙シート54とを熱融着させるための熱融着機62と、前クランパ60上で転動して表紙シート54を折り曲げる表紙折用ローラ63と、この表紙折用ローラ63の上方に配置された、表紙シート54を本文シート52の集積体53と共に加圧するためのニップローラ64と、冊子51の小口を断裁する断裁機65とを具備する。
印刷機58は、この冊子製造装置の図示しない機枠の上部に設置される。
印刷機58は、例えば昇華転写式印刷機であり、図7に示すように、その筐体58a内には、印刷部66、本文シート52及び表紙シート54の連続した用紙を巻き取ったロール67、罫線押し刃68、カッター69等が収納される。
印刷機58の図示しない制御部からの信号により、ロール67から本文シート52の部分、表紙シート54の部分が一定の順序で繰り出され、印刷部66で所望の写真画像が各シート部分52、54の片面又は両面にプリントされる。プリントされた本文シート52の部分、表紙シート54の部分はカッター69によって本文シート52、表紙シート54の各部分に切断され、排出口58bから筐体58a外に排出される。表紙シート54の部分については罫線押し刃68によって罫線がプレス等によって形成される。
なお、印刷機58は、この第2実施形態では昇華転写式であるが、これに限らずインクジェット式等他の印刷方式のものであってもよい。また、上記実施形態においては、本文および表紙をシート状としたが、予め一枚に裁断された状態の本文および表紙を印刷機58に供給してもよい。
印刷機58の排出口58bの下方には、印刷済みの本文シート52や表紙シート54を搬送するための搬送ローラ70が各々対になって垂直方向に列状に設けられる。
なお、図3では搬送ローラ70は一対のみ図示してある。
印刷機58の排出口58bから排出された本文シート52や表紙シート54は、搬送ローラ70の回転によって、図8(A)、図9(H)に示すように、下方へ搬送される。
熱融着機62の一方は、図7に示されるように後クランパ74の側に設けられ、本文シート52同士および本文シート52と表紙シート54とを熱融着させる超音波振動子62aと、超音波振動子62aを固定して、集積体53に接し、その後集積体53から離れる動作を繰り返すスライダ62cとから構成される。スライダ62cに取り付けられる超音波振動子62aは任意の数を設けることができる。また、スライダ62cは超音波振動子62aが並べられる方向、および図7の上下方向(本文シート52、表紙シート54の搬送方向)にも移動することができる。
また、同様に熱融着機62のもう一方は、図7に示されるように前クランパ60の側にも設けられ、本文シート52と表紙シート54とを熱融着させる超音波振動子62bと、超音波振動子62bを固定して、集積体53に接し、その後集積体53から離れる動作を繰り返すスライダ(図示せず)とから構成される。スライダに取り付けられる超音波振動子62bは任意の数を設けることができる。また、スライダは超音波振動子62bが並べられる方向、および図7の上下方向(本文シート52、表紙シート54の搬送方向)にも移動することができる。
熱融着機62は、図9(G)に示すように、昇華転写用に基材となる紙に樹脂層を両面にコーティングされた本文シート52が集積され、先に集積する本文シート52に後から集積する本文シート52を積み重ねて集積体53が形成され、重ねられた本文シート52に熱融着機62の先端に取り付けられた超音波振動子62bを押しつけ、本文シート52同士を熱溶着させる。
より詳細を説明すると、底受け部61に集積されて集積体53となっている本文シート52の表面のとじしろ部分に超音波振動子62bの先端が接するように、超音波振動子62bが取り付けられたスライダ(図示せず、図7のスライダ62cと同等部材)が本文シート52の表面のとじしろ部分に移動する。
超音波振動子62bの先端が本文シート52の表面のとじしろ部分に接し、押圧した後に、超音波振動子62bの先端が超音波振動し、超音波振動子62bの先端が接する集積した本文シート52とその下の先に集積した本文シート52にコーティングされた樹脂層が超音波振動によって熱が発生して熱溶着される。
熱溶着後に、超音波振動子62bが元の位置に戻り、次の本文シート52がニップローラ64から供給され、次の本文シート52が底受け部61に集積され、超音波振動子62bが本文シート52の表面のとじしろ部分に接し、先に集積した本文シート52と後から集積した本文シート52とを熱溶着させる。
この熱溶着動作を集積体53が所定のページ数になるまで繰り返す。一例として冊子(フォトブック)にしたい本文シート52をN枚とした場合に、この熱溶着動作は(N−1)回繰り返される。
なお、超音波振動子62bは、本文シート52同士を熱溶着した後に、元の位置に戻り、超音波振動子62bが並ぶ方向に移動して本文シート52のとじしろ部分で位置を変えて、再び本文シート52に接して、本文シート52同士を熱溶着した後に、元に戻る動作を複数回繰り返してもよい。
このように、本文シート52同士を複数の箇所で熱溶着させることによって、接着強度を高めることができる。
また、本文シートまたは表紙シートのとじしろ部分で位置を変えながら、熱融着を複数回させることによって、本文が帯電しやすい場合であっても、本文同士の静電気による張り付きを低減し、本文同士をそろえて所望の位置で熱融着できる点で好ましい。
次に、図10(J)のタイミングで、表紙シート54にコーティングされた樹脂層5と表紙シート54に接する本文シート52にコーティングされた樹脂層5を超音波振動子62bによって熱融着させ、表紙シート54と本文シート52とを接着させる。
すなわち、超音波振動子62bの先端が集積体53の表紙シート54のとじしろ部分に接し、押圧した後に、超音波振動子62bの先端が超音波振動し、超音波振動子62bの先端が接する表紙シート54の裏面側の樹脂層5と表紙シート54の裏面側の樹脂層5と接する本文シート52にコーティングされた樹脂層5とが超音波振動によって熱溶着される。熱溶着後に、超音波振動子62bが元の位置に戻る。
次に、図11(M)と図11(N)のタイミングの間で、二つ折りされた表紙シート54にコーティングされた樹脂層5と二つ折りされた表紙シート54に接する本文シート52にコーティングされた樹脂層5を熱融着機62に取り付けられた超音波振動子62aによって熱融着させ、表紙シート54と本文シート52とを接着させる。
表紙シート54と本文シート52とを熱溶着した後に、超音波振動子62aが取り付けられた熱融着機62が元の位置に戻る。図11(O)以降のタイミングで、集積体53を小口または三方を別工程で断裁することで冊子が完成する。
なお、超音波振動子62aは、表紙シート54と本文シート52とを熱溶着した後に、元の位置に戻り、超音波振動子62aが並ぶ方向に移動して表紙シート54のとじしろ部分で位置を変えて、再び表紙シート54に接して、表紙シート54と本文シート52とを熱溶着した後に、元に戻る動作を複数回繰り返してもよい。
このように、表紙シート54と本文シート52とを複数の箇所で熱溶着させることによって、接着強度を高めることができる。
また、本文シートまたは表紙シートのとじしろ部分で位置を変えながら、熱融着を複数回させることによって、本文が帯電しやすい場合であっても、本文同士の静電気による張り付きを低減し、本文同士をそろえて所望の位置で熱融着できる点で好ましい。
前後クランパ60、74は、図7に示すように、各々複数枚の柱部材60a,74aが垂直に櫛歯状に配列されることにより構成される。前後クランパ60、74のいずれか一方には、図示しないピストン・シリンダ装置のピストンロッドに連結される。この第2実施形態では、前クランパ60側にピストンロッドが連結され、ピストン・シリンダ装置の駆動によって、前クランパ60が後クランパ74に対して接近と離反が可能である。後クランパ74は、冊子製造装置の図示しない機枠に固定される。
前後クランパ60、74間の上下は開口部となっており、上側の開口部から前後クランパ60、74間へと上記本文シート52又は表紙シート54が侵入可能である。
前クランパ60の櫛歯状柱部材60a間には、図3に示すように、必要に応じて押し込み部材75が設けられる。押し込み部材75はピストン・シリンダ装置76のピストンロッドに連結され、ピストン・シリンダ装置76の作動によって櫛歯状柱部材60a,60a間から前後クランパ60、74間内に出たり入ったりする。このピストン・シリンダ装置76は前クランパ60又は上記図示しない機枠に固定される。
押し込み部材75は、図8(B)(C)に示すように、前後クランパ60、74間に本文シート52が一枚落下するごとに、落下した本文シート52を先に落下した本文シート52ごと前クランパ60側から後クランパ74側へと押し込み、前後クランパ60、74間に落下する本文シート52を後クランパ74の正面に徐々に堆積させる。超音波振動子62bは本文シート52が落下するたびに本文シート52同士を熱融着してもよいし、本文シート52の複数枚が堆積した後に本文シート52同士を熱融着してもよい。
底受け部61は、図7に示すように、水平な板材61aが櫛歯状に配列されることにより形成される。この底受け部61が、後クランパ74の下部において、後クランパ74の櫛歯状柱部材74a,74a間を前後クランパ60,74間の空間に対し出没可能に設けられる。底受け部61は図示しないピストン・シリンダ装置のピストンロッドに連結され、ピストン・シリンダ装置の作動によって、前後クランパ60,74の下側の開口部を閉じたり開けたりする。また、底受け部61は図示しない他のピストン・シリンダ装置のピストンロッドに上記ピストン・シリンダ装置のシリンダを介して連結され、当該他のピストン・シリンダ装置の作動によって、前後クランパ60,74間内に入った状態で昇降可能である。
なお、図7中、符号61bで示すものは、底受け部61の水平な板材61aの昇降動作を案内するためのガイド部である。
図8(B)及び図10(J)に示すように、本文シート52や表紙シート54が前後クランパ60,74間に落下する間、底受け部61が前後クランパ60,74間の下側の開口部を閉じて本文シート52や表紙シート54の小口側を受け止める。そして、図10(K)に示すように、本文シート52の集積体53の片面と背が表紙シート54の半分である表表紙4aで覆われると、図10(L)及び図11(M)に示すように、底受け部61がこの集積体53を前後クランパ60,74の上方のニップローラ64へと持ち上げる。これにより、本文シート52の集積体53の両面が表紙シート54で覆われ、その後、図11(N)に示すように、底受け部61が前後クランパ60,74間から離脱し、この表紙シート54で包まれた本文シート52の集積体53を下方に落下させる。
表紙折用ローラ63は、図7に示すように、前後クランパ60,74上に水平に配置される。具体的には、前後クランパ60,74の上方に枠部材77が水平方向に往復移動可能に配置される。この枠部材77の往復移動は図示しないピストン・シリンダ装置の作動によって行われる。この枠部材77に表紙折用ローラ63が回転自在に水平に支持される。また、必要に応じてガイド部材78が表紙折用ローラ63に平行に枠部材77に取り付けられる。表紙折用ローラ63は、表紙シート54が前後クランパ60,74間に供給されるまで前クランパ60の外側すなわち図7中右側で待機し、ガイド部材78との間に本文シート52や表紙シート54を前後クランパ60,74間へと通す開口を形成する。
表紙折用ローラ63は、図10(I)に示すように、表紙シート54が前後クランパ60,74間に供給されるまでは、枠部材77と共に前クランパ60の外側で待機し、表紙シート54の半分である表表紙54aが前後クランパ60,74間に供給されると、図10(K)のごとく枠部材77の移動と共に後クランパ74側へと集積体53の背上を転動し、表紙シート54の残りの背表紙54bから裏表紙54cに至る部分を水平に折り曲げる。
ニップローラ64は、図7に示すように、表紙折用ローラ63の上方に対で配置される。この対のニップローラ64は、駆動ローラであり、また、一方が他方に対し図示しないピストン・シリンダ装置の作動によって接離可能である。
このニップローラ64は搬送ローラ70と同様に本文シート52や表紙シート54を前後クランパ60,74間に供給する搬送ローラとしても機能するようになっている。
図10(L)及び図11(M)に示すように、表紙シート54で包まれた本文シート52の集積体53が底受け部材61によって上昇させられると、集積体53と表紙シート54とがニップローラ64によって挟まれて加圧される。
なお、図10(L)に示すように、集積体53が底受け部材61によって上昇を開始する際、表紙シート54の裏表紙54cは表紙折用ローラ63とガイド部材78との間に挿入された状態で案内される。
断裁機65は、図7に示すように、前後クランパ60,74の下方に設置される。断裁機65は、前後クランパ60,74の下方において上記底受け部61よりも更に下方に設けられる断裁用受け板79と、この断裁用受け板79と底受け部61との間に配置される断裁刃65aと、この断裁刃65aの受け部65bと、断裁刃65aで切断された集積体53及び表紙シート54の小口側の切断屑30を排出する排出板81とを具備する。
断裁刃65aと受け部65bは前後クランパ60,74を前後から挟む位置に配置され、断裁刃65aは図示しないピストン・シリンダ装置によって往復移動可能である。
図11(M)に示すように、本文シート52の集積体53が表紙シート54で包まれ一体化されると、この一体化されたものが図11(N)(O)のごとく前後クランパ60,74間内を落下し断裁用受け板29によって小口側で受け止められる。そこで、図11(P)のごとく断裁刃65aが受け部65b側へと移動して集積体53及び表紙シート54の小口側の余剰部を断裁する。断裁刃65aが元の位置に復帰すると、図11(Q)のごとく完成した冊子51が下方に落下し、断裁屑80は排出板81によって所定位置へと排出される。
次に、上記構成の冊子製造装置の作用について冊子の製造方法と共に説明する。
(1)図7に示すように、印刷機58内において、印刷用紙のロール67から本文シート52となる部分が繰り出され、印刷部66で所望の写真画像を片面又は両面にプリントされる。プリントされた本文シート52の部分はカッター69によって一枚の本文シート52に切断され、排出口58bから筐体58a外に排出される。
(2)図8(A)に示すように、印刷機58の排出口58bから排出された本文シート52は、搬送ローラ70の回転によって下方に搬送され、前後クランパ60,74間の上開口部へと向う。このとき、図8(A)(B)に示すように、本文シート52を受け止めることができるように、底受け部61の板61aが前後クランパ60,74間の下側の開口部を閉じている。
(3)図8(B)に示すように、本文シート52が前後クランパ60,74間に供給される際は、押し込み部材75が、前後クランパ60,74間から外に離脱して待機する。そして、図8(B)〜図9(F)に示すように、前後クランパ60,74間に本文シート52が一枚落下するごとに、落下した本文シート52を先に落下した本文シート52ごと前クランパ60側から後クランパ74側へと押し込み、前後クランパ60,74間に落下する本文シート52を後クランパ74の正面に徐々に堆積させる。
超音波振動子62bは本文シート52が落下するたびに本文シート52同士を熱融着してもよいし、本文シート52の複数枚が堆積した後に本文シート52同士を熱融着してもよい。
なお、この集積作業の際、前クランパ60を後クランパ74側へと往復移動させるようにしてもよい。
(4)図9(G)に示すように、前後クランパ60,74間の空室内に1枚または所望枚数の本文シート52が供給されると、前クランパ60が後クランパ74側へと移動して本文シート52を加圧し集積体53を作る。底受け部61に集積されて集積体53となっている本文シート52の表面のとじしろ部分に超音波振動子62bの先端が接するように、超音波振動子62bが取り付けられたスライダ(図示せず、図7のスライダ62cと同等部材)が本文シート52の表面のとじしろ部分に移動する。超音波振動子62bの先端が本文シート52の表面のとじしろ部分に接し、押圧した後に、超音波振動子62bの先端が超音波振動し、超音波振動子62bの先端が接する集積した本文シート52とその下の先に集積した本文シート52にコーティングされた樹脂層が超音波振動によって熱が発生して熱溶着される。熱溶着後に、超音波振動子62bが元の位置に戻る。
(5)図7に示す印刷機58内において、印刷用紙のロール67から表紙シート54となる部分が繰り出され、印刷部66で所望の写真画像が表紙シート54の部分の片面又は両面にプリントされる。プリントされた表紙シート54の部分は、続いて罫線押し刃68によって罫線がプレス等によって形成された後、カッター69によって一枚の表紙シート54に切断され、排出口58bから筐体58a外に排出される。
(6)図9(H)に示すように、印刷機58の排出口58bから排出された表紙シート54は、搬送ローラ70の回転によって下方に搬送され、前後クランパ60,74間の上開口部へと向う。
(7)図10(I)に示すように、表紙シート54が前後クランパ60,74間へと侵入し、図10(J)に示すように、表紙シート54の表表紙54aの小口側が底受け部の板61aに到達する。これにより、表紙シート54の表表紙54aが集積体53の片面に対峙する。次に、表紙シート54にコーティングされた樹脂層5と表紙シート54に接する本文シート52にコーティングされた樹脂層5を超音波振動子62bによって熱融着させ、表紙シート54と本文シート52とを接着させる。続いて、図10(K)に示すように、搬送ローラとしてのニップローラ64の対が離れて表紙シート54を解放する。
なお、表紙シート54は裏表紙54c側から先に前後クランパ60,74間に送るようにしてもよい。
(8)図10(J)に示すように、前クランパ60が本文シート52の集積体53を表紙シート54の表表紙54a又は裏表紙54cごと後クランパ74に向かって押し付けてプレスする。
(9)図10(K)に示すように、表紙折用ローラ63が枠部材78の移動と共に後クランパ74側へと集積体53の背の上を転動し、表紙シート54の背表紙54bから残りの半分の裏表紙54cに至る部分を水平に折り曲げる。
(10)図10(L)及び図11(M)に示すように、表紙シート54の一部が熱融着された集積体53が、底受け部61の板61aの上昇によって前後クランパ61,74の上方のニップローラ64へと持ち上げられ、その後、底受け部61の板61aが元の位置に戻り、前クランパ60が後クランパ74から離れる方向に移動して表紙シート54が装着された集積体53を解放し、元の位置に戻った底受け部61の板61aに集積体53が落下する。ここで、二つ折りされた表紙シート54にコーティングされた樹脂層5と二つ折りされた表紙シート54に接する本文シート52にコーティングされた樹脂層5をスライダ62cに取り付けられた超音波振動子62aが熱融着させ、表紙シート54と本文シート52とを接着させる。
表紙シート54と本文シート52とを熱溶着した後に、超音波振動子62aが取り付けられたスライダ62cが元の位置に戻る。
(11)図11(N)に示すように、前クランパ60が後クランパ74から離れる方向に移動して、表紙シート54が装着された集積体53を解放し、また、底受け部61の板61aが前後クランパ60,74間から離脱する。これにより、表紙シート54で包まれた本文シート52の集積体53が前後クランパ60,74間を下方に落下する。
(12)図11(O)に示すように、表紙シート54で包まれた本文シート52の集積体53は、前後クランパ60,74間内を落下し、断裁用受け板79によって小口側で受け止められる。そして、この集積体53は、前クランパ60の進出によって、後クランパ74に押し付けられプレスされる。
(13)図11(P)に示すように、断裁刃65aが受け部65b側へと移動して集積体53及び表紙シート54の小口側の余剰部を断裁する。その際生じる断裁屑80は排出板81に受け止められる
(14)図11(Q)に示すように、断裁刃65aが元の位置に復帰すると、完成した冊子51が下方に落下し、断裁屑80は排出板81によって所定位置へと排出される。
(15)なお、この冊子製造装置から印刷機58を省略し、別途印刷した本文シート52及び表紙シート54を搬送ローラ70に供給することによって冊子51を製造することも可能である。
(第3実施形態)
図12に示すように、この第3実施形態における冊子製造装置では、第2実施形態における搬送ローラ70から断裁機65に至る箇所が傾斜した状態で設置される。このように構成することで、本文シート52や表紙シート54を後クランパ74側に自然に堆積させることができる。従って、第2実施形態における押し込み部材75を省略することが可能となる。
その他、第3実施形態において第2実施形態の冊子製造装置と同じ部分には同じ符号を付して示し、重複した説明を省略する。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々変更可能である。例えば、実施の形態では冊子をアルバムとして説明したが、本発明によれば絵本、カタログ等とすることもできる。また、断裁機等は省略することも可能である。