JP2011189506A - 樹脂成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】冷却溶媒がパーフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、およびパーフルオロケトンの少なくとも1つを含み、下記特性(a)〜(d)を持つ常温において液体である冷却溶媒を使用する。(a)沸点が100℃未満であり、凝固点が−50℃以下、(b)25℃における蒸気圧が5〜28KPa、(C)25℃における密度が1050kg/m3以上、(d)25℃における表面張力が20mN/m以下を用いてハイサイクルを実現できる事を特徴とする射出成形品の製造方法。
【選択図】図1
Description
ハイサイクル化の手法としては、成形温度を下げる、金型温度を下げる、形状が保持できるぎりぎりの温度で型から取り出す等の方法で主に冷却時間を短縮することにより行われている。
金型温度を下げる方法では、一般に金型冷却水の温度を下げて行われるが、大気湿度等により金型に水滴が付着して金型に錆等が発生する不具合や水滴が製品に付着するといった不具合も発生していた。
形状が保持できるぎりぎりの温度で型から取り出す等の方法では、成形品内部は未だ溶融状態にあることから、後の固化にともない変形、寸法変化、外観不良などの不具合が発生しやすい。
このように、従来から取られている方法では、ハイサイクル化には限度があった。
このために、賦形された直後の樹脂成形品を冷媒で積極的に冷却することが提案されており、その冷媒として冷水は勿論のこと、冷却されたエアなども一応提案されているが、冷媒と成形品の接触効率、冷却効果、成形サイクル、および冷媒と成形品との品質の関係というような観点から適正な冷媒が吟味されていない。
したがって、本発明の目的は、上記問題点に鑑み、今までの製品品質を維持してハイサイクルを実現させる樹脂成形品の製造方法を提供することにある。
また、特定の冷媒で冷却することによりハイサイクルにより成形品を成形できるということは生産性の向上ばかりでなく、成形品を可塑化の状態である変形領域から反り、変形が比較的少ない安定領域に短い時間で冷却することになり、成形品に反りや変形が比較的少ない安定な品質の良い成形品の成形にも寄与することになる。
(a)沸点が100℃未満
(b)25℃における蒸気圧が5〜30KPa
(c)25℃における密度が1050kg/m3以上
(d)25℃における表面張力が20mN/m以下
(a)沸点が100℃未満
(b)25℃における蒸気圧が5〜30KPa
(c)25℃における密度が1050kg/m3以上
(d)25℃における表面張力が20mN/m以下
さらに、前記の樹脂成形品の製造方法において、賦形が、射出成形、押出成形から選ばれる成形方法でなされることを特徴とする樹脂成形品の製造方法が提供される。
(a)沸点が100℃未満
(b)25℃における蒸気圧が5〜30KPa
(c)25℃における密度が1050kg/m3以上
(d)25℃における表面張力が20mN/m以下
ハイドロフルオロカーボンの具体例としては、HFC−43−10mee、1,1,1,3,3ペンタフルオロブタン、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン、オクタフルオロシクロペンタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−トリフルオロメチル−ペンタン、2,3−ジハイドロデカフロロペンタンなどを挙げることができる。具体的商品としては、日本ゼオン社製「ゼオローラ」、バートレル(三井・デュポンフロロケミカル)、ソルカン365mfc(ソルベイ)などがあげられる。上記ハイドロフルオロカーボンは単独又は2種類以上混合してもよい。
ハイドロフルオロエーテルの具体例としては、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2,−トリフルオロエチルエーテル、エチルノナフルオロイソブチルエーテル、エチルノナフルオロブチルエーテル、メチルパーフルオロイソブチルエーテル、メチルパーフルオロブチルエーテル、HFE−347pc−f(CF3CH2OCF2CHF 2)、HFC−52−13p(CF3CF2CF2CF2CF2CHF2)、HFC−569sf(CF3CF2CF2CF2CH2CH3)などを挙げることができる。具体的商品としては住友スリーエム社製商品名「ノベック」、旭硝子社製商品名「アサヒクリン」、アサヒクリンAE−3000(旭硝子)、アサヒクリンAC−2000(旭硝子)、アサヒクリンAC−4000(旭硝子)、ノベックHFE−7100(住友スリーエム)、ノベックHFE−7200(住友スリーエム)などがあげられる。上記ハイドロフルオロエーテルは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
従来型の冷却用媒体として表面張力が約72mN/m程度の冷却水による賦形直後の成形品を冷却した場合の手法に比較して、本発明において冷媒の特性を仔細に吟味するという点から見ても、適正な配慮をすることができたものである。
冷媒の温度は、成形条件の変化により若干変わるが、約10〜70℃の範囲で適用するのが好ましい。この冷媒温度、冷却に使用する冷媒量などは、現場の成形状況を考慮して、理論値として、または試行錯誤によりサイクルが短縮する方向の放物線を描くような適正値を決めることができる。
前記成形サイクル(sec)の向上、形状安定率S(%)の向上ばかりでなく、インサート成形のような、成形品に与える冷媒の作用を考慮すれば、本発明の冷媒による冷却法は非常に有意なものであることが推察できる。
(a)沸点が100℃未満
(b)25℃における蒸気圧が5〜28KPa
(c)25℃における密度が1050kg/m3以上
(d)25℃における表面張力が20mN/m以下
射出成形における、冷媒金型内注入冷却タイプの例を、図3に基づいて示すと、射出成形装置は、キャビティの形成されている可動金型31と、コアの形成されている固定金型32からなる射出成形用の金型を備えている。この可動金型31又は固定金型32のいずれか一方に、キャビティに冷却用媒体を注入する溶媒注入機33が設置されている。この固定金型32は、スプルー溝38を通じて溶融樹脂が金型キャビティに射出され、所定の形状を有する賦形された成形品Fが成形され、成形品の少なくとも表面が固化した後、可動金型31が開く寸前、または可動金型が開いて成形品Fがキャビティ壁面から離型する寸前に冷媒注入機33より所定量の冷却用媒体(冷媒)をキャビティに注入して成形品Fを冷却する。即ち、図3に示すような、(3a)「樹脂射出後に冷媒を注入」する。次いで、(3b)「冷却工程」を経て、(3c)「取り出し工程」にいたる。成形品の取り出しの際の冷却温度は、熱変形により成形品にソリ変形が発生しない程度に冷却すること、熱可塑性樹脂の種類により若干相違するが、常温近くである25〜65℃程度に冷却すれば足りる。
また、冷媒の回収を容易にするために、トレー、覆い、フード、ドラフトのような慣用の冷媒回収装置(図示せず)を併設することも有効である。
(a)沸点が100℃未満
(b)25℃における蒸気圧が5〜28KPa
(C)25℃における密度が1050kg/m3以上
(d)25℃における表面張力が20mN/m以下
冷媒の温度は、−5〜80℃程度の温度範囲に温度調整をして使用できる。汎用の射出成形機を使用して、標準的な射出成形をした場合の冷媒注入量は、成形温度、成形品の温度、成形品の大きさ、形状、冷媒温度、冷媒と成形品の接触時間などにより若干変動するが、冷媒の温度が25℃程度という常温の場合には、単位時間における冷媒注入量は、約1〜5000cm3/sec程度である。成形品の大小、樹脂の種類、成形温度、冷媒の温度の違いにもよるが、成形品の重量の1kgに換算して冷媒注入量を算定すれば、約50〜8000cm3/kg程度の冷媒の冷媒注入量で所定の冷却が達成できる。
射出成形における冷媒噴霧する、冷媒噴霧製品冷却タイプの例を、図4に基づいて示すと、射出成形装置は、キャビティ34の形成されている可動金型31と、コアの形成されている固定金型32からなる射出成形用の対の金型を備えている。具体的には、図4に示す(4a)「樹脂射出工程」があり、次いで(4b)「冷却工程」があり、さらに(4c)「取り出し工程」に基づく。この可動金型31および固定金型32の外部の型合わせ境界付近に、冷媒噴霧装置36が設けられており、射出成形後に可動金型31が移動して型開きされたら、冷媒噴霧装置36が金型内の成形品Fの片面に冷媒を塗布する位置に移動して、所定量の冷媒を噴霧することにより成形品を冷却するという冷却機構である。この冷媒噴霧装置36を金型内の噴霧位置に移動させる為には、対の金型の開閉に連動して冷媒噴霧装置36を所定の位置に移動させる配置機構(図示せず)が設けられている。成形品の取り出しの際の冷却温度は、熱変形により成形品にソリ変形が発生しない程度に冷却すること、熱可塑性樹脂の種類により若干相違するが、常温近くである25〜65℃程度に冷却すれば足りる。
射出成形における、冷媒槽へ投入する槽内冷却タイプの例を、図5に基づいて示すと、射出成形装置(図示せず)は、キャビティの形成されている可動金型31と、コアの形成されている固定金型32からなる射出成形用の金型を備えている。この開閉金型の、好ましくは下位置に冷却用媒体を入れた冷却槽37が設置されている。この固定金型32は、スプルー溝38を通じて溶融樹脂が金型キャビティに射出され、所定の形状を有する賦形された成形品Fが成形され、型開の段階になり、可動金型31が移動して金型が開いてたら、成形品Fの自然落下または突き出し手段により、冷却槽内に投入して、瞬時に冷却するシステムである。成形品Fをロボットで金型から取り出し、成形品Fをロボットで冷却槽内への投入してもよい。その後、冷却槽から成形品Fを順次回収すればよい。この冷却槽には、冷却、加温または恒温の装置(図示せず)が付帯することが可能である。
この冷却槽37には、冷媒の温度を一定にする為の、恒温装置(図示せず)、冷却装置、加温装置、オバーフローなどを防止する設備を付帯することが可能である。
冷媒塗布または噴霧量は、成形温度、特に成形後の成形品の温度、成形品の移動速度、成形品の大きさ、形状、冷媒と成形品の接触面側、時間などにより若干変動するが、冷媒の温度が25℃程度という常温の場合には、冷媒の噴霧量は1〜2000cm3/sec程度である。成形品の大小、樹脂の種類、成形温度、冷媒の温度の違いにもよるが、単位時間内に移動または押出される成形品の樹脂の重量(kg)当たりに換算して、使用する冷媒の量(cm3)を算定すれば、約30〜5000cm3/kg程度の冷媒の塗布量で所定の冷却が達成でき、変形による不良品が少なく、外観の良い成形品が収得できる。
1.使用原材料
(1)熱可塑性樹脂
樹脂(A)・日本ポリプロ(株)製BC03B(MFR30g/10分結晶化温度124℃)
樹脂(B)・日本ポリプロ(株)製MH4(MFR5g/10分結晶化温度123℃)
樹脂(C)・日本ポリプロ(株)製MG03B(MFR30g/10分結晶化温度120℃)
(2)冷媒
NOVEC7200・・住友スリーエム(株)より電子部品洗浄剤として市販されているハイドロフルオロエーテル(沸点76℃、蒸気圧16kPa、密度1430kg/m3、表面張力13.6mN/m)
NOVEC7600・・住友スリーエム(株)より電子部品洗浄剤として市販されているハイドロフルオロエーテル(沸点131℃、蒸気圧1kPa、密度1540kg/m3、表面張力17.7mN/m)
水・・工業用水(沸点100℃、蒸気圧3kPa、密度1000kg/m3、表面張力72mN/m)
(1)成形
以下の条件で射出成形又は射出圧縮成形を行い、得られた製品、及び金型の観察を行った。
成形温度:200℃ 金型温度:30℃ 冷媒温度(NOVEC7200・水):20℃
射出時間:15秒(一次:5秒 二次:10秒)(射出圧縮についても同様設定)
金型 :175mm×95mm×50mm(板厚:3mm)
1)製品変形
◎:製品表面に歪みが無く、ソリ変形が発生しない
○:製品表面に歪みが無いが、1mm未満のソリ変形が発生
×:製品表面に歪みが発生しており、1mm以上のソリ変形が発生
2)製品状態
○:製品取り出し後に異物(水滴等)が無く問題ないもの。
×:製品取り出し後に異物(水滴等)が付着及び製品表面に痕跡が残っているもの。
3)金型状態
100ショット成形後、金型の整備をせず一週間後にさび発生の有無を観察した。
○:成形中及び成形後に金型に錆等は発生しない通常使用と同等の状態
×:成形の冷却工程で金型内に異物(水滴等)が付着し次工程の製品外観不具合発生
樹脂(A)を射出成形し、射出時間終了後、直ちに金型に設置されている溶媒注入インジェクターで常温のNOVEC7200(重量約50g)を約1秒間で型内に注入し設定冷却時間(10秒)後インジェクターをOFFにし製品の取り出し工程に移り取出しを行う。射出開始から金型開き開始まで25秒であった。成形サイクルは32秒/ショットであった。取り出し直後の成形品表面の温度は30℃であった。成形品には変形は認められず、表面に冷媒が残存することもなかった。
樹脂(A)を射出成形し、射出時間終了後、7秒間型冷却を保持した後金型を開き、冷却が不完全な状態で製品を取り出すと同時に、冷媒3秒間噴霧した。冷却時間の合計は10秒間であった。成形サイクルは32秒/ショットであった。冷却完了直後の成形品表面の温度は43℃であった。成形品には変形は認められず、表面に冷媒が残存することもなかった。
樹脂(A)を、キャビティ内にインサート部品が設置された状態で、射出成形し、射出時間終了後、8秒間型冷却を保持した後金型を開き、冷却が不完全な状態で製品を取り出し、冷媒で満たされた冷却槽に2秒間浸漬した。冷却時間の合計は10秒間であった。成形サイクルは32秒/ショットであった。冷却槽から取り出された直後の成形品表面の温度は38℃であった。成形品には変形は認められず、表面に冷媒が残存することもなかった。
所定量の樹脂(C)を、所定位置より開かれたキャビティ内に5秒間で射出した後、所定位置まで圧縮し10秒間保持した。その後、7秒間型冷却を保持した後金型を開き、冷却が不完全な状態で製品を取り出すと同時に、冷媒3秒間噴霧した。冷却時間の合計は10秒間であった。成形サイクルは37秒/ショットであった。冷却完了直後の成形品表面の温度は42℃であった。成形品には変形は認められず、表面に冷媒が残存することもなかった。
所定量の樹脂(B)を、所定位置より開かれた、インサート部品が設置されたキャビティ内に5秒間で射出した後、所定位置まで圧縮し10秒間保持した。その後、8秒間型冷却を保持した後金型を開き、冷却が不完全な状態で製品を取り出し、冷媒で満たされた冷却槽に2秒間浸漬した。冷却時間の合計は10秒間であった。成形サイクルは38秒/ショットであった。冷却槽から取り出された直後の成形品表面の温度は40℃であった。成形品には変形は認められず、表面に冷媒が残存することもなかった。
所定量の樹脂(B)を、所定位置より開かれた、インサート部品が設置されたキャビティ内に5秒間で射出した後、所定位置まで圧縮し10秒間保持した。その後、7秒間型冷却を保持した後金型を開き、冷却が不完全な状態で製品を取り出すと同時に、冷媒3秒間噴霧した。冷却時間の合計は10秒間であった。成形サイクルは47秒/ショットであった。冷却完了直後の成形品表面の温度は40℃であった。成形品には変形は認められず、表面に冷媒が残存することもなかった。
樹脂(B)をキャビティ内にインサート部品が設置された状態で、射出成形し、射出時間終了後、9秒間型冷却を保持した後金型を開き、冷却が不完全な状態で製品を取り出し、冷媒で満たされた冷却槽に3秒間浸漬した。冷却時間の合計は12秒間であった。成形サイクルは34秒/ショットであった。冷却槽から取り出された直後の成形品表面の温度は36℃であった。成形品には変形は認められず、表面に冷媒が残存することもなかった。
実施例1において冷媒のNOVEC7200を工業用水に変更する以外は、実施例1と同様に射出成形した。取り出し直後の成形品表面の温度は32℃であった。成形品には変形は認められなかったが、水滴が付着していたので、乾燥が必要であった。また、金型及び周辺設備に水分が付着したので、次ショットに入る前に金型の水分除去等が必要で大きな時間ロスと設備ダメージが伴った。水分除去せずに次ショットに入ると成形品表面にシルバーや発泡などの外観不良が発生すると考えられた。
実施例2において冷媒のNOVEC7200を工業用水に変更する以外は、実施例2と同様に射出成形した。冷却完了直後の成形品表面の温度は44℃であった。成形品には変形は認められなかったが、水滴が付着していたので、乾燥が必要であった。また、金型及び周辺設備に水分が付着したので、次ショットに入る前に金型の水分除去等が必要で大きな時間ロスと設備ダメージが伴った。水分除去せずに次ショットに入ると成形品表面にシルバーや発泡などの外観不良が発生すると考えられた。
樹脂(A)を射出成形し、射出時間終了後、8秒間型冷却を保持した後金型を開き、冷却が不完全な状態で製品を取り出し、冷媒(工業用水)で満たされた冷却槽に2秒間浸漬した。冷却時間の合計は10秒間であった。成形サイクルは32秒/ショットであった。冷却槽から取り出された直後の成形品表面の温度は40℃であった。成形品には変形は認められなかったが、水滴が付着したので、除去作業をする必要があった。
所定量の樹脂(B)を、所定位置より開かれたキャビティ内に5秒間で射出した後、所定位置まで圧縮し10秒間保持した。その後、8秒間型冷却を保持した後金型を開き、冷却が不完全な状態で製品を取り出し、冷媒(工業用水)で満たされた冷却槽に3秒間浸漬した。冷却時間の合計は11秒間であった。成形サイクルは48秒/ショットであった。冷却槽から取り出された直後の成形品表面の温度は39℃であった。成形品には変形は認められなかったが、水滴が付着したので、除去作業をする必要があった。
樹脂(B)を、キャビティ内にインサート部品が設置された状態で、射出成形し、射出時間終了後、9秒間型冷却を保持した後金型を開き、冷却が不完全な状態で製品を取り出し、冷媒(工業用水)で満たされた冷却槽に3秒間浸漬した。冷却時間の合計は12秒間であった。成形サイクルは34秒/ショットであった。冷却槽から取り出された直後の成形品表面の温度は36℃であった。成形品には変形は認められなかったが、付着した水滴の除去作業をする必要があった。
樹脂(A)を、キャビティ内にインサート部品が設置された状態で、射出成形し、射出時間終了後、7秒間型冷却を保持した後金型を開き、冷却が不完全な状態で製品を取り出すと同時に、冷媒(工業用水)を3秒間噴霧した。冷却時間の合計は10秒間であった。冷却完了直後の成形品表面の温度は43℃であった。成形品には変形は認められなかったが、水滴が付着したので、除去作業をする必要があった。また、金型及び周辺設備に水分が付着したので、次ショットに入る前に金型の水分除去等が必要で大きな時間ロスと設備ダメージが伴った。ウエスで水分をふき取った成形品を1週間後に確認したところインサート金属に錆が発生していた。
実施例3において冷媒のNOVEC7200をNOVEC7600に変更する以外は、実施例3と同様に射出成形した。取り出し直後の成形品表面の温度は39℃であった。成形品には変形は認められなかったが、冷媒が付着していたので、冷媒の除去作業が必要であった。また、金型及び周辺設備に冷媒が付着したので、次ショットに入る前に金型の冷媒除去等が必要で大きな時間ロスが伴った。冷媒除去せずに次ショットに入ると成形品表面にシルバーや発泡などの外観不良が発生すると考えられた。
樹脂(B)を、射出成形し、射出時間終了後、10秒間型冷却を保持した後金型を開き、製品を取り出した直後の成形品表面の温度は55℃であった。成形サイクルは32秒/ショットであった。成形品には変形が認められた。なお、成形品に変形が認められない程度の温度(実施例4によれば42℃)まで冷却しようとすると、成形サイクルは約90秒/ショットとなった。
以上の実施例を表1に、比較例を表2に示す。
F 成形品
31 射出成形用可動金型
32 射出成形用固定金型
33 冷媒注入機
34 キャビティ
35 パーティング面
36 冷媒噴霧装置
37 冷却槽
38 スプール
42 押出ダイ
43 冷却リング
Claims (6)
- 熱可塑性樹脂を高温で賦形した後、冷媒で冷却して樹脂成形品を得る樹脂成形品の製造方法であって、冷媒は、パーフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、およびパーフルオロケトンの少なくとも1つを含み、下記特性(a)〜(d)を持つ常温で液体であることを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
(a)沸点が100℃未満
(b)25℃における蒸気圧が5〜30KPa
(c)25℃における密度が1050kg/m3以上
(d)25℃における表面張力が20mN/m以下 - 冷却が、成形品に冷媒を吹き付けることにより行われることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形品の製造方法。
- 冷却が、成形品が冷媒槽に投下されることにより行われることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形品の製造方法。
- 賦形が、射出成形、押出成形、圧縮成形から選ばれる成形方法でなされることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂成形品の製造方法。
- 熱可塑性樹脂を高温で金型に充填し賦形した後、金型内に冷媒を充填し、冷媒で冷却して樹脂成形品を得る樹脂成形品の製造方法であって、冷媒は、パーフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、およびパーフルオロケトンの少なくとも1つを含み、下記特性(a)〜(d)を持つ常温で液体であることを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
(a)沸点が100℃未満
(b)25℃における蒸気圧が5〜30KPa
(c)25℃における密度が1050kg/m3以上
(d)25℃における表面張力が20mN/m以下 - 賦形が、射出成形、押出成形から選ばれる成形方法でなされることを特徴とする請求項5に記載の樹脂成形品の製造方法。
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