JP2011177771A - レーザ加工方法及びレーザ加工装置並びにソーラパネル製造方法 - Google Patents

レーザ加工方法及びレーザ加工装置並びにソーラパネル製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】実際にレーザ加工の行なわれる場所において基板の曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等などの状態を検査できるようにする。
【解決手段】基板1にレーザ加工を施す前にレーザ加工を行なう実際の場所で基板を移動させながら基板の表面変位を測定して基板の曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等の状態を検出する。これによって、基板の状態が許容範囲内にあるのか、この許容範囲よりも大きくずれているかを判定し、大きくずれている場合にはその状態を表示したり、アラームを発生したり、矯正不可能な基板としてラインから除去したりすることができるようになり、基板の品質を管理することができるようになる。
【選択図】図17

Description

本発明は、レーザ光を用いて基板上の薄膜等を加工するレーザ加工方法及びレーザ加工装置並びにソーラパネル製造方法に係り、特に基板の状態に応じてレーザ加工を行なうレーザ加工方法及びレーザ加工装置並びにソーラパネル製造方法に関する。
従来、ソーラパネルの製造工程では、透光性基板(ガラス基板)上に透明電極層、半導体層、金属層を順次形成し、形成後の各工程で各層をレーザ光で短冊状に加工してソーラパネルモジュールを完成している。レーザ光でスクライブ線を形成する場合、通常は定速度で移動するガラス基板上にレーザ光を照射していた。これによって、深さ及び線幅の安定したスクライブ線を形成することが可能である。このようなソーラパネル(光電変換装置)の製造方法においては、ガラス基板である基板をレーザ加工装置内に正確にアライメントしなければならない。ガラス基板をアライメントする方法については、特許文献1に記載のようなものが知られている。
特開2001−232486号公報
特許文献1に記載のものは、ガラス基板を載置した状態で上下に移動する位置決めピンを用いて基板を突き当てて所定の位置に固定している。しかしながら、ソーラパネルを製造する場合、ガラス基板上の薄膜に例えば10mmピッチでスクライブ線を形成している。このスクライブ線の線幅は約30μmで、線と線の間隔は約30μmとなるような3本の線で構成されている。従って、特許文献1のような突き当てによる位置決めでは、十分な精度が得られず、線と線が重なってしまい、所望のスクライブ線を形成することが困難であった。また、従来は、ガラス基板のアライメントを行なっていたが、ガラス基板自体の欠けや曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等については、検査していなかったので、このような欠けや曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等を有するガラス基板にソーラパネルモジュールが形成されてしまうという問題があった。また、レーザ加工装置ではガラス基板の搬送にエア浮上ステージを採用している関係上、ガラス基板に上に凸となる曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等が存在し、それがエア浮上ステージの浮上量に比較して大きいと、ガラス基板の搬送時にガラス基板の周縁部が十分に浮上しきれずに、ステージに接触することがあった。このとき、最悪の場合、ガラス基板がステージに接触した衝撃で破損するおそれもあった。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、実際にレーザ加工の行なわれる場所において基板の曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等などの状態を検査することのできるレーザ加工方法及びレーザ加工装置並びにソーラパネル製造方法を提供することである。
本発明に係るレーザ加工方法の第1の特徴は、レーザ光を基板に対して相対的に移動させながら照射し、前記基板に所定の加工を施すレーザ加工方法であって、前記レーザ光による加工箇所において相対的に移動する前記基板の表面変位を測定することによって、前記基板の曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等の状態を検出することにある。
レーザ光による加工は、レーザ発生装置から出射されたレーザ光を基板の加工面に略垂直に照射することによって行なわれる。従って、基板に曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等が存在すると正確な加工を行なうことが困難となり、ソーラパネルモジュールの品質に問題が生じる可能性がある。そこで、この発明では、基板にレーザ加工を施す前にレーザ加工を行なう実際の場所で基板を移動させながら基板の表面変位を測定して基板の曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等の状態を検出している。これによって、基板の状態が許容範囲内にあるのか、この許容範囲よりも大きくずれているかを判定し、大きくずれている場合にはその状態を表示したり、アラームを発生したり、矯正不可能な基板としてラインから除去したりすることができるようになり、基板の品質を管理することができるようになる。
本発明に係るレーザ加工方法の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載のレーザ加工方法において、前記基板を移動方向に沿った辺の一方側の辺について、前記基板表面に垂直な方向及び前記基板表面に沿った2次元方向のそれぞれに対して固定的に保持し、前記基板の移動方向に沿った辺の他方側の辺について、前記基板表面に垂直な方向に対して拘束的に保持し、前記基板表面に沿った2次元方向に対しては可動的に保持して移動することにある。
これは、基板を加工位置で相対的に移動させる場合に基板の相対的移動方向に沿った両側辺を保持し、一方側の辺について固定的に保持し、他方側の辺については、基板表面に垂直な方向に対してのみ拘束的に保持している。すなわち、他方側の辺は垂直方向にのみ移動が困難なように保持しているが、基板がその表面に沿った2次元方向には移動可能に保持している。これによって、基板の曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等の影響を極力低減することができる。また、基板の他方側の辺がその表面に沿った2次元方向に移動可能なので、基板のピッチング、ヨーイング、位置決めなどによる誤差も許容することができるようになり、生産性を向上させることができる。
本発明に係るレーザ加工方法の第3の特徴は、前記第1の特徴に記載のレーザ加工方法において、前記基板に曲がり(反り)が存在する場合に、前記基板の曲がり(反り)が下に凸となるように前記基板の表裏反転を行なうことにある。
これは、基板に曲がり(反り)が存在する場合に、それが下に凸となるように基板の表裏反転を行なうようにしたものである。このように基板の曲がり(反り)を下に凸としてエア浮上を行なうことによって、基板が十分に浮上し、ステージに接触することがなくなる。なお、加工時にエア浮上と共に吸引を行なうことで、ドミノ効果によってガラス基板の曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等が強制され、曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等を軽減することができ、オートフォーカスの調整量を少なくすることができる。
本発明に係るレーザ加工方法の第4の特徴は、前記第1の特徴に記載のレーザ加工方法において、前記レーザ光の照射箇所の両側であって前記搬送方向の前後に、前記基板表面に対して垂直方向にエア噴流を吹き付けて前記基板の曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等を矯正することにある。これは、エア噴流によって、レーザ加工時における基板の曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等を矯正するようにしたものである。
本発明に係るレーザ加工装置の第1の特徴は、基板を保持する保持手段と、前記保持手段によって保持されている前記基板に対して相対的に移動しながらレーザ光を照射して所定の加工処理を施すレーザ光照射手段と、前記レーザ光による加工箇所において相対的に移動する前記基板の表面変位を測定することによって、前記基板の曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等の状態を検出する検出手段とを備えたことことにある。これは、前記レーザ加工方法の第1の特徴に記載のものを実現するレーザ加工装置の発明である。
本発明に係るレーザ加工装置の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載のレーザ加工装置において、前記保持手段は、前記基板を移動方向に沿った辺の一方側の辺について、前記基板表面に垂直な方向及び前記基板表面に沿った2次元方向のそれぞれに対して固定的に保持し、前記基板の移動方向に沿った辺の他方側の辺について、前記基板表面に垂直な方向に対して拘束的に保持し、前記基板表面に沿った2次元方向に対しては可動的に保持して移動させ、前記検出手段は前記保持手段によってエア浮上移動される前記基板の表面変位を測定することにある。これは、前記レーザ加工方法の第2の特徴に記載のものを実現するレーザ加工装置の発明である。
本発明に係るレーザ加工装置の第3の特徴は、前記第1の特徴に記載のレーザ加工装置において、前記検出手段による測定の結果、前記基板に曲がり(反り)が存在する場合は、前記基板の曲がり(反り)が下に凸となるように前記基板の表裏反転を行なう表裏反転手段を備えたことにある。これは、前記レーザ加工方法の第3の特徴に記載のものを用いたレーザ加工装置の発明である。
本発明に係るレーザ加工装置の第4の特徴は、前記第1の特徴に記載のレーザ加工装置において、前記レーザ光の照射箇所の両側であって前記移動方向の前後に、前記基板表面に対して垂直方向にエア噴流を吹き付けて前記基板の曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等を矯正する矯正手段を設けたことにある。これは、前記レーザ加工方法の第4の特徴に記載のものを実現するレーザ加工装置の発明である。
本発明に係るソーラパネル製造方法の特徴は、前記第1の特徴から第4の特徴までのいずれか1に記載のレーザ加工方法又は前記第1の特徴から第4の特徴までのいずれか1に記載のレーザ加工装置を用いて、ソーラパネルを製造することにある。これは、前記レーザ加工方法又はレーザ加工装置のいずれか1を用いて、ソーラパネルを製造するようにしたものである。
本発明によれば、レーザ加工箇所における基板の曲がり(反り)などの状態を検査することができるという効果がある。
本発明の一実施の形態に係るレーザ加工装置の概略構成を示す図である。 本発明で採用したエアグリップ方式のグリッパ部の一例を示す図である。 図1のグリッパ部に保持されたガラス基板をレーザ加工ステーションのエア浮上ステージとの関係を示す斜視図である。 図1のグリッパ部の一部分(図3の点線円で囲んだ箇所)を拡大して示した図である。 本発明で採用したメカニカルグリップ方式のグリッパ部の一例を示す図である。 本発明で採用したボールベアリンググリップ方式の受グリッパ部の一例を示す図である。 図6のグリッパ部の一部分を拡大して示した図である。 スクライブ線の加工処理を行う図1の加工エリア部及びアライメント部の詳細構成を示す図である。 図8の光学系部材の詳細構成を示す図である。 図9のフォーカス調整用駆動機構の詳細構成を示す断面図である。 図10のフォーカス調整用駆動機構の一部分を抜き出して示した斜視図である。 図8のアライメントカメラ装置、第1検出光学系部材及び第2検出光学系部材の構成を示す模式図である。 図1のアライメント部に設けられる基板検出カメラシステムの一例を示す図である。 下に凸の曲がり(反り)を有するガラス基板を図1の基板検出カメラシステムが検出する場合の一例を示す図である。 上に凸の曲がり(反り)を有するガラス基板を基板検出カメラシステムが検出する場合の一例を示す図である。 図1のアライメント部に設けられる基板検出カメラシステムの別の一例を示す図である。 ワークであるガラス基板に曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等を有する場合の状態を検出する場合の一例を示す図である。 図8の制御装置の処理の詳細を示すブロック図である。 図18のパルス抜け判定手段の動作の一例を示す図である。 図18の高速フォトダイオードから出力される波形の一例を示す図である。 ガラス基板の曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等によって加工線が曲がって形成される場合の一例を示す図である。 図18の加工線検出手段の動作の一例を示す図である。 グレーティングを用いて加工線P1をトラッキングする方式の一例を示す図である。 本発明に係るソーラパネル製造装置の別の実施例を示す図である。 図24の加工エリア部を横方向から見た側面図である。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係るレーザ加工装置の概略構成を示す図である。このレーザ加工装置は、ソーラパネル製造装置のレーザ光加工処理(レーザスクライブ)工程を行なうものである。本発明に係るレーザ加工装置は、アライメント処理を行うアライメント部をレーザ加工ステーションの両側2箇所に設けて、レーザ加工処理中に同時にアライメント処理を行い、待ち時間を大幅に短縮化できると共に基板のソリを強制することもでき、さらに、大型の基板を高速に移動することもでき、正確で高速かつ効率的にスクライブ線を加工することができるように構成されたものである。
図1は、本発明の一実施の形態に係るレーザ加工装置を用いたソーラパネル(光電変換装置)製造装置の概略構成を示す図であり、リターン方式の一例を示す図である。この製造装置は、搬入出ロボットステーション141とレーザ加工ステーション101とから構成される。ローラコンベア121は、成膜装置(図示せず)やレーザスクライブ加工処理を行う製造装置間でガラス基板1x〜1zを順次搬送するものである。搬入出ロボットステーション141は、ローラコンベア121上を搬送される前段の成膜装置(図示せず)にて成膜されたガラス基板1xを搬入してガラス基板1mとして一時的に保持すると共にガラス基板1mの表裏を反転する表裏反転機構部143を備えており、レーザ加工処理の内容(スクライブ線P1加工、P2加工又はP3加工)及びガラス基板1mが下に凸の曲がり(反り)となるように、ガラス基板1mを表裏反転してレーザ加工ステーション101に搬送する。このとき、搬入出ロボットステーション141は、表裏反転された又は表裏反転されなかったガラス基板1mをそのままレーザ加工ステーション101に搬送すると共に表裏反転された又は表裏反転されなかったガラス基板1mをレーザ加工ステーション101の右端位置までローラ搬送してからレーザ加工ステーション101に搬送するように構成されている。また、搬入出ロボットステーション141は、レーザ加工ステーション101で加工されたガラス基板を表裏反転機構部143で直接受取るか又はレーザ加工ステーション101の右端位置で受け取ったガラス基板1rを表裏反転機構部143までローラ搬送又はエア浮上搬送し、表裏反転機構部143でレーザ加工処理後のガラス基板を表裏反転して又は表裏反転せずにローラコンベア121に搬出する。
レーザ加工ステーション101は、搬入出ロボットステーション141から搬入されたガラス基板上の薄膜にスクライブ線を形成するものであり、アライメント部102,104、グリッパ部106〜109、グリッパ支持駆動部110,111、加工エリア部112を備えている。アライメント部102は、搬入出ロボットステーション141の表裏反転機構部143上のガラス基板1mを受取り、受け取ったガラス基板1nを所定の位置にアライメント処理すると共に加工エリア部112でスクライブ加工処理の施されたガラス基板1nを搬入出ロボットステーション141の表裏反転機構部143に搬出する。一方、アライメント部104は、搬入出ロボットステーション141の表裏反転機構部143で表裏反転された又は表裏反転されなかったガラス基板であって右端までローラ搬送又はエア浮上搬送されたガラス基板1rを受取り、受け取ったガラス基板を所定の位置にアライメント処理すると共に加工エリア部112でスクライブ加工処理の施されたガラス基板1qを搬入出ロボットステーション141の右端の位置に搬出する。
グリッパ部106は、アライメント部102でアライメント処理されたガラス基板1oの搬送方向に沿った辺の一方側(図1におけるガラス基板1oの下辺側)保持し、グリッパ部107は、同じガラス基板1oの搬送方向に沿った辺の他方側(図1におけるガラス基板1oの上辺側)を保持する。グリッパ部108は、アライメント部104でアライメント処理されたガラス基板1qの搬送方向に沿った辺の一方側(図1におけるガラス基板1qの下辺側)を保持し、グリッパ部107は、同じガラス基板1qの搬送方向に沿った辺の他方側(図1におけるガラス基板1qの上辺側)を保持する。グリッパ支持駆動部110,111は、グリッパ部106,107又はグリッパ部108,109に保持されたガラス基板1o,1qを加工エリア部112のレーザ光に同期させてし、レーザ加工時にガラス基板1oと点線のガラス基板1pとの間を移動させる。この移動に同期させて加工エリア部112は、グリッパ部106,107又はグリッパ部108,109に保持されエア浮上搬送されるガラス基板1o,1qにレーザ光を照射して所定のスクライブ線の加工処理を行う。図1では、グリッパ部106,107に保持されたガラス基板1oを、点線で示されたガラス基板1pの位置までエア浮上した状態で移動させながら、所定のスクライブ線加工を行う状態が示してある。
図2は、本発明で採用したエアグリップ方式のグリッパ部の一例を示す図であり、図1のグリッパ部106,107を加工エリア部112側から見た側面図である。図3は、図1のグリッパ部106,107に保持されたガラス基板をレーザ加工ステーション101のエア浮上ステージ101aとの関係を示す斜視図である。図4は、グリッパ部107の一部分(図3の点線円で囲んだ箇所)を拡大して示した図である。なお、図2〜図4では、グリッパ部に関する箇所以外の構成については図示を省略してある。
グリッパ部106は、把持(挟持)プレート部1061、エアシリンダ部1062、グリッパ本体部1063及びガイドレール部1064から構成される。把持(挟持)プレート部1061は、ガラス基板1oをグリッパ本体部1063の上面(図の下向き(−Z)方向)に向かって押し付けて把持(挟持)して保持する。把持(挟持)プレート部1061において、ガラス基板1oと接触する部分には樹脂コーティングが施してある。これによって、ガラス基板1oはグリッパ部106に把持(挟持)固定される。グリッパ本体部1063の下側に設けられた案内溝はガイドレール部1064に沿って移動可能となっており、グリッパ本体部1063とガイドレール部1064との間ではリニアモータによる駆動系が構成されている。従って、グリッパ本体部1063は、ガイドレール部1064に沿って駆動制御される。
グリッパ部107は、エアプレート部1071、エアプレート支持部1072、グリッパ本体部1073及びガイドレール部1074から構成される。エアプレート部1071は、ガラス基板1oをグリッパ本体部1073の上面(図の下向き(−Z)方向)に向かってエアを噴出させるエア吹き出し口を複数個備えており、このエア吹き出し口から噴出される、図4の下向き矢印のような流れのエア噴流によって、ガラス基板1oをグリッパ本体部1073の上面に押し付けて把持(挟持)して保持するようになっている。エアプレート部1071とガラス基板1oとのギャップは約0.05〜0.2[mm]程度とする。エアプレート支持部1072は、このエアプレート部1071にエアを供給すると共にエアプレート部1071とガラス基板1oとの間のギャップを所定値に保持する働きをする。なお、エアプレート支持部1072をエアシリンダ部1062で構成し、エアプレート部1071でエアを噴出しながらエアシリンダ部1062で所定圧力で押し付けて保持するようにしてもよい。なお、エア吹き出し口の大きさや個数についてはガラス基板1oの大きさなどに応じて適宜変更設定すればよい。エアプレート部1071においてもガラス基板1oと接触する可能性があるので、その部分には樹脂コーティングを施すことが望ましい。グリッパ本体部1073の下側に設けられた案内溝はガイドレール部1074に沿って移動可能となっており、グリッパ本体部1073とガイドレール部1074との間ではリニアモータによる駆動系を構成してもよい。また、このグリッパ部107の案内溝とガイドレール部1074との間は摺動自在とし、グリッパ部106の駆動力に従って自在に移動可能な従動構造としてもよい。
図5は、本発明で採用したメカニカルグリップ方式のグリッパ部の一例を示す図である。図5において、図2と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。図5のグリッパ部107aが図2のグリッパ部107と異なる点は、把持(挟持)プレート部1075及びエアシリンダ部1076にエアシリンダ部1062及び把持(挟持)プレート1061と同じ構成のものを用い、特に、把持(挟持)プレート部1075の下面側であってガラス基板1oと接触する箇所に摩擦係数の小さなフッ素樹脂コーティングを用い、さらに、エアシリンダ部1076の加圧力をエアシリンダ部1062の加圧力の約0.6〜0.9程度とした点である。すなわち、ガラス基板1oが把持(挟持)プレート部1075とグリッパ本体部1073の上面との間に保持されるが、グリッパ部106の移動に応じてガラス基板1oが把持(挟持)プレート部1075とグリッパ本体部1073との間で滑り移動するようにしたものである。この実施の形態においても、グリッパ本体部1073にリニアモータによる駆動系を設けてもよいし、従動構造としてもよい。
図6は、本発明で採用したボールベアリンググリップ方式の受グリッパ部の一例を示す図である。図7は、図6のグリッパ部107bの一部分を拡大して示した図である。図6において、図2と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。図6のグリッパ部107bが図2のグリッパ部107と異なる点は、把持(挟持)プレート部1077にボールベアリング構造とし、このボールベアリング構造を用いてガラス基板1oをグリッパ本体部1073の上面に押し付けて把持(挟持)するようにした点である。ボールベアリング構造を用いることによって、接触による摩擦係数を大幅に小さくすることができる。なお、エアシリンダ部1078の加圧力を適宜調整することによって、ガラス基板1oの滑り具合を調整することができる。また、同様のボールベアリング構造をグリッパ本体部1073の上面に設けてもよい。さらに、ボールベアリング構造に代えて、ローラーベアリング構造を用いてもよい。この実施の形態においても、グリッパ本体部1073にリニアモータによる駆動系を設けてもよいし、従動構造としてもよい。なお、ボールベアリング構造の大きさや個数についてはガラス基板1oの大きさなどに応じて適宜変更設定すればよい。上述のように、ガラス基板の両側辺をグリッパ部で保持することによって、基板の曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等の影響を極力低減し、矯正することができる。また、基板の他方側の辺がその表面に沿った2次元方向に移動可能なので、基板のピッチング、ヨーイング、位置決めなどによる誤差も許容することができるようになり、生産性を向上させることができる。
図1のリターン方式のソーラパネル製造装置の動作の一例を説明する。まず、前段の成膜装置からローラコンベア121を介して搬送されて来たガラス基板1xは、搬入出ロボットステーション141によって表裏反転機構部143上にガラス基板1mとして一時的に保持され、そこで表裏反転されるか又は表裏反転されない。表裏反転された又は表示反転されなかったガラス基板1mは、レーザ加工ステーション101にガラス基板1nとして一時的に保持され、アライメント部102に搬送され、そこでアライメント処理される。アライメント処理されたガラス基板1oは、グリッパ部106,107に保持され、ガラス基板1o,1pとして加工エリア部112においてエア浮上移動されて、所定のスクライブ線の加工処理が施される。一方、アライメント部102のアライメント処理時及び加工エリア部112の加工処理時に、ローラコンベア121を介して搬送されて来た次のガラス基板1yは搬入出ロボットステーション141によって表裏反転機構部143上にガラス基板1mとして一時的に保持され、そこで表裏反転されるか又は表裏反転されない。表裏反転された又は表裏反転されなかったガラス基板1mは、ガラス基板1rとして、レーザ加工ステーション101のアライメント部104に対応した右端位置までローラ搬送される。ガラス基板1rは、レーザ加工ステーション101にガラス基板1qとして一時的に保持され、グリッパ部108,109に保持され、ガラス基板1o,1pへの加工処理が終了するまで待機される。
グリッパ部106,107に保持されているガラス基板1o,1pに対するレーザ加工処理が終了すると、グリッパ部106,107に保持されているガラス基板1oは、アライメント部102を介してガラス基板1nの位置から表裏反転機構部143上のガラス基板1mとして一時的に保持され、そこで表裏反転されて又は表裏反転されずに次段の成膜装置へ搬送されるために、ローラコンベア121上に搬送される。一方、グリッパ部106,107に保持されているガラス基板1oがアライメント部102上にガラス基板1nとしてエア浮上移動した時点で、グリッパ部108,109に保持されているガラス基板1qはアライメント部104にてアライメント処理が行なわれ、ガラス基板1o,1pとして加工エリア部112にエア浮上移動されて、所定のスクライブ線の加工処理が施される。このように、図1のリターン方式のソーラパネル製造装置では、上述の処理を交互に繰り返すことによって、アライメント処理による待ち時間等を大幅に短縮している。また、いずれか一方のアライメント部が故障した場合でも、他方のアライメント部によって処理を続行することが可能となる。
図8は、スクライブ線の加工処理を行う図1の加工エリア部及びアライメント部の詳細構成を示す図である。加工エリア部112は、X軸駆動手段20、グリッパ部106,107、レーザ発生装置40、光学系部材50、リニアエンコーダ70、制御装置80及び検出光学系部材等によって構成されている。アライメント部104は、アライメント用フレーム1041,1042、基板検出カメラ65〜68及び図示していない位置決めピンなどによって構成されている。台座10の上にはグリッパ部106,107をX軸方向に沿って駆動制御するX軸駆動手段20が設けられている。
X軸駆動手段20は、グリッパ部106,107(図示していないグリッパ部108,109)をX方向へ移動制御する。なお、X軸駆動手段20は、ボールネジやリニアモータ等が用いられるが、これらの図示は省略してある。X軸駆動手段20の上側にはレーザ加工の対象となるガラス基板1がグリッパ部106,107によって保持されている。また、台座10の上には光学系部材50を保持しながらY軸方向にスライド駆動するスライドフレーム30及び基板検出カメラ65〜68を保持しながらY軸方向にスライド駆動するアライメント用フレーム1041,1042が設けられている。X軸駆動手段20は、Z軸を回転軸としてθ方向に回転可能に構成されていてもよい。なお、スライドフレーム30によりY軸方向の移動量が十分に確保できる場合には、X軸駆動手段20は、X軸方向の移動だけを行なう構成であってもよい。この場合、X軸駆動手段20はX軸テーブルの構成でもよい。
スライドフレーム30は、台座10上の四隅に設けられた移動台に取り付けられている。スライドフレーム30は、この移動台によってY方向へ移動制御される。ベース板31と移動台との間には除振部材(図示せず)が設けられている。スライドフレーム30のベース板31には、レーザ発生装置40、光学系部材50及び制御装置80が設置されている。光学系部材50は、ミラーやレンズの組み合わせで構成され、レーザ発生装置40で発生したレーザ光を4系列に分割してX軸駆動手段20上のガラス基板1上に導くものである。なお、レーザ光の分割数は4系列に限るものではなく、2系列以上であればよい。
リニアエンコーダ70は、X軸駆動手段20のX軸移動テーブルの側面に設けられたスケール部材と、グリッパ部106,107に取り付けられた検出部(図示せず)で構成される。リニアエンコーダ70の検出信号は、制御装置80に出力される。制御装置80は、リニアエンコーダ70からの検出信号に基づいてグリッパ部106,107のX軸方向の移動速度(移動周波数)を検出し、レーザ発生装置40の出力(レーザ周波数)を制御する。
光学系部材50は、図示のように、ベース板31の側面に設けられており、ベース板31の側面に沿ってY軸方向に移動するように構成されている。光学系部材50は、先端部がZ軸を中心に回転可能となっている。レーザ発生装置40から出射されるレーザ光を光学系部材50に導くためのガルバノミラー33はベース板31上に設けられている。ガルバノミラー33は、2つのモーター(ロータリーエンコーダー)を使用してXZ2次元エリアにレーザー光を走査させるものである。ガルバノミラー33は、2軸式(X,Z)で構成され、2個のモーターと、このモータに取り付けられるミラーとで構成される。ガルバノ制御裝置331は、モータを動かすためのドライバおよび電源、これらを制御するマイクロコンピュータなどで構成される。
ミラー34,35は、光学系部材50上に設けられており、光学系部材50のスライド移動に連動するようになっている。レーザ発生装置40から出射されたレーザ光は、ガルバノミラー33によってミラー34へ向かって反射され、ミラー34に向かうレーザ光はミラー34によってミラー35に向かって反射される。ミラー35は、ミラー34からの反射レーザ光をベース板31に設けられた貫通穴を介して光学系部材50内に導く。なお、レーザ発生装置40から出射されたレーザ光は、ベース板31に設けられた貫通穴から光学系部材50に対して上側から導入されるように構成されれば、どのような構成のものであってもよい。例えば、レーザ発生装置40を貫通穴の上側に設け、貫通穴を介して光学系部材50に直接レーザ光を導くようにしてもよい。
ビームサンプラ332は、ガルバノミラー33と反射ミラー34との間の光学系部材50上に、光学系部材50のスライド移動と共に移動するように設けられている。ビームサンプラ332はレーザ光の一部(例えば、レーザ光の約1割程度又はそれ以下の光量)をサンプリングして外部に分岐出力する素子である。4分割フォトダイオード333は、ビームサンプラ332で分岐されたレーザ光の一部(サンプリングビーム)を受光面のほぼ中央付近で受光するように配置されている。4分割フォトダイオード333によって検出されたレーザ光の強度に対応した4種類の出力信号がガルバノ制御裝置331に出力される。ガルバノ制御裝置331は、4分割フォトダイオード333からの4種類の出力信号に応じてガルバノミラー33の2個のモータ33xy,33yzをリアルタイムで駆動制御する。モータ33xyは、ガルバノミラー33の反射レーザ光がベース板31の上面(XY平面)と平行な面内で回転移動するように制御し、モータ33zyは、ガルバノミラー33の反射レーザ光がベース板31の上面と直交する面(YZ平面)と平行な面内で回転移動するようにリアルタイムで制御する。
図9は、光学系部材50の詳細構成を示す図である。実際の光学系部材50の構成は、複雑であるが、ここでは説明を簡単にするために図示を簡略化して示している。図9は、光学系部材50の内部を図8の−X軸方向から見た図である。図9に示すようにベース板31にはミラー35で反射されたレーザ光を光学系部材50内に導入するための貫通穴37を有する。この貫通穴37の直下には、ガウシアン強度分布のレーザ光をトップハット強度分布のレーザ光に変換する位相型回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)500が設けられている。
DOE500によってトップハット強度分布のレーザ光(トップハットビーム)に変換されたレーザ光はハーフミラー511によって反射ビームと透過ビームにそれぞれ分岐され、反射ビームは右方向のハーフミラー512に向かって、透過ビームは下方向の反射ミラー524に向かって進む。ハーフミラー511で反射したビームは、ハーフミラー512によってさらに反射ビームと透過ビームに分岐され、反射ビームは下方向の反射ミラー522に向かって、透過ビームは右方向の反射ミラー521に向かって進む。ハーフミラー512を透過したビームは反射ミラー521によって反射され、下方向の集光レンズ541を介してガラス基板1に照射される。ハーフミラー512で反射したビームは、反射ミラー522,523によって反射され、下方向の集光レンズ542を介してガラス基板1に照射される。ハーフミラー511を透過したビームは、反射ミラー524によって反射され、左方向に向かって進む。反射ミラー524で反射したビームは、ハーフミラー513によって反射ビームと透過ビームに分岐され、反射ビームは下方向の反射ミラー526に向かって、透過ビームは左方向の反射ミラー528に向かって進む。ハーフミラー513で反射したビームは、反射ミラー526,527によって反射され、下方向の集光レンズ543を介してガラス基板1に照射される。ハーフミラー513を透過したビームは反射ミラー528によって反射され、下方向の集光レンズ544を介してガラス基板1に照射される。
DOE500によって変換されたトップハットビームは、上述のハーフミラー511〜513及び反射ミラー521〜528によって、透過・反射されて集光レンズ541〜544に導かれる。このとき、DOE500から各集光レンズ541〜544までの光路長は等しくなるように設定されている。すなわち、ハーフミラー511で反射したビームがハーフミラ512を透過して反射ミラー521で反射して集光レンズ541に到達するまでの光路長、ハーフミラー511で反射したビームがハーフミラー512、反射ミラー522,523でそれぞれ反射して集光レンズ542に到達するまでの光路長、ハーフミラー511を透過したビームが反射ミラー523、ハーフミラー513、反射ミラー526,527でそれぞれ反射して集光レンズ543に到達するまでの光路長、ハーフミラー511を透過したビームが反射ミラー523で反射してハーフミラー513を透過して反射ミラー528で反射して集光レンズ544に到達するまでの光路長は、それぞれ等しい距離である。これによって、ビームが分岐される直前にDOE500を配置しても、トップハット強度分布のレーザ光を集光レンズ541〜544に同様に導くことが可能となる。なお、図9の実施例では、光路長が完全に一致する場合について説明したが、レーザ光のトップハット強度分布を維持することが可能な範囲で光路長を若干異ならせることは可能である。シャッター機構531〜534は、光学系部材50の各集光レンズ541〜544から出射されるレーザ光がガラス基板1から外れた場合にレーザ光の出射を遮蔽するものである。
上述のハーフミラー511〜513及び反射ミラー521〜528によって構成される光学系は、レーザ発生装置40から発生される波長1064[nm]の加工用のレーザ光を透過・反射させて集光レンズ541〜544の各光軸、すなわちそれぞれの加工位置に導くものである。各集光レンズ541〜544の光軸上であって、各反射ミラー521,523,527,528の上側には、各加工位置における加工状態を観察するための加工状態検出光学系が設けられている。加工状態検出光学系は、照明用レーザ551〜554、平行光変換用レンズ561〜564、光学部品571〜574、集光用レンズ581〜584及びモニタ装置591〜594から構成されている。照明用レーザ551〜554は、波長685[nm]の加工状態観察用の検査光を発生するものであり、集光レンズ541〜544の光軸上から離れた位置から各光学部品571〜574に対してレーザ光を出射する。平行光変換用レンズ561〜564は、照明用レーザ551〜554から出射されるレーザ光を平行光線に変換し、光学部品571〜574に導入する。光学部品571〜574は、それぞれ集光レンズ541〜544の光軸の延長上に配置され、照明用レーザ551〜554から出射されたレーザ光を、加工用レーザ光の光軸にほぼ一致させ、かつ、集光レンズ541〜544に向かうように反射させる。光学部品571〜574は、波長685[nm]の光に対しては、透過率50パーセント、反射率50パーセントであり、波長1064[nm]の光に対しては透過率0パーセント、反射率100パーセント(全反射)の部品である。一方、集光用レンズ581〜584は、光学部品571〜574で反射された照明用レーザ551〜554からのレーザ光を集光して、加工箇所に照明光として照射する。すなわち、光学部品571〜574で反射された照明用レーザ551〜554からのレーザ光は、集光用レンズ581〜584、反射ミラー521,523,527,528及び集光レンズ541〜544を介してそれぞれの加工箇所に照射される。従って、光学部品571〜574で反射された照明用レーザ551〜554からのレーザ光は、集光レンズ541〜544及び集光用レンズ581〜584の2枚のレンズによって集光されることになる。照明用レーザ551〜554からのレーザ光によって照射された加工箇所は、集光レンズ541〜544及び集光用レンズ581〜584によってモニタ装置591〜594の撮像面に結像され、その結像情報は、制御装置80に出力される。制御装置80は、モニタ装置591〜594から結像情報に基づいてレーザ発生装置40で発生したレーザ光によるガラス基板1の加工状態を検出し、加工不良、加工条件等の問題を分析して、レーザ発生装置40の出力条件、雰囲気温度等にフィードバックして加工状態を制御する。
フォーカス調整用駆動機構46〜49は、ガラス基板1に対する各集光レンズ541〜544の高さ方向(フォーカス)及びY方向(倣い方向)の各制御を個別に行うものである。図10は、図9のフォーカス調整用駆動機構の詳細構成を示す断面図であり、図11は、フォーカス調整用駆動機構の一部分を抜き出して示した斜視図である。図において、フォーカス調整用駆動機構46は、駆動部本体461、駆動部カバー462、マグネット保持部463a〜463d、マグネット464a〜464d、可動部465、垂直駆動力発生コイル群466、水平駆動力発生コイル群467とから構成される。図11において、駆動部本体461は省略してある。
図10において、可動部465は、集光レンズ541を保持すると共に垂直駆動力発生コイル群466、水平駆動力発生コイル群467,468が巻き回されている。垂直駆動力発生コイル群466は、略正方形状(矩形状)となるように可動部465の下端部に巻き回されている。マグネット保持部463a〜463dは、略コの字形をしており、内側内壁面に直方体形状のマグネット464a〜464dをそれぞれ保持している。図11に示すように、略正方形状に巻き回された垂直駆動力発生コイル群466は、マグネット保持部463a〜463dとマグネット464a〜464dとの間の間隙に挿入され、駆動部本体461内に収納される。一方、水平駆動力発生コイル群467,468は、図11に示すように、可動部465の対向する頂辺同士を結ぶように交差して巻き回され、マグネット保持部463c,463dとマグネット464c,464dとの間の間隙に挿入されている。従って、垂直駆動力発生コイル群466に流れる電流に応じて可動部465は垂直方向(Z方向)に駆動制御され、水平駆動力発生コイル群467,468に流れる電流に応じて可動部465は水平方向(Y方向)に駆動制御される。
図10に示すように、駆動部本体461の側面には、エア供給部461a,461bが設けられている。エア供給部461a,461bから供給されるエアはエア流路461c,461dを介して駆動部本体461内に導入される。エア流路461c,461dは、終端部がY字に分岐されており、Y字分岐路の一方であって上斜め方向に向かうものは、可動部465の傾斜部(テーパ部)にエアを吹き付けられるようになっており、Y字分岐路の他方であって水平方向に向かうものは、駆動部本体461内にエアを導入するようになっている。可動部465の傾斜部に吹き付けられるエアによって、可動部465と駆動部本体461との接触が回避され、可動部465の水平方向(Y方向)の移動量も規制される。また可動部465の傾斜部に吹き付けられるエアは、可動部465の初期位置を設定するカウンターバランスとして機能する。一方、駆動部本体461内に導入されるエアは、集光レンズ541の冷却用のエアとして利用される。なお、図示していないが、可動部465の上側四隅には、X方向(図面の前後方向)に延びたスプリング部材が駆動部本体461の内壁面に取り付けられている。このスプリング部材は、可動部465を初期位置に復帰させる復元力を与えるものである。
図12は、アライメントカメラ装置、第1検出光学系部材及び第2検出光学系部材の構成を示す模式図である。図12では、アライメントカメラ装置60は、光学系部材50の側面に設けてあるように示してあるが、実際は前述のフォーカス調整用駆動機構46〜49の側面に固定的に設けられている。アライメントカメラ装置60は、図示していない検出光照射用レーザとオートフォーカス用フォトダイオードとから構成されており、検出光照射用レーザから照射された光の中でガラス基板1の表面から反射した反射光を受光し、その反射光量に応じて各集光レンズ541〜544の高さ方向を検出するものである。アライメントカメラ装置60を用いて各集光レンズ541〜544とガラス基板1の表面との間の距離すなわちZ方向の高さを検出し、このZ方向の高さが一定となるようにフォーカス調整用駆動機構46〜49で調整している。また、アライメントカメラ装置60は、ガラス基板1上に施されたスクライブ線P1加工線の画像を取得し、その情報を制御装置80にそれぞれ出力し、各集光レンズ541〜544のフォーカス位置(高さ(Z)方向)及びY方向の位置、すなわち2回目以降のスクライブ線P2,P3加工時のアライメント処理に利用される。アライメントカメラ装置60は、レーザ光の分割数に対応して設けられる。
第1検出光学系部材は、図12に示すようにレーザ光状態検査用CCDカメラ28から構成される。レーザ光状態検査用CCDカメラ28は、エア浮上ステージ101aに形成された間隙部(図9には図示せず)からガラス基板1を介してレーザ光を受光するようになっている。レーザ光状態検査用CCDカメラ28は、エア浮上ステージ101aに形成された間隙部からステージ面のガラス基板1の裏面側に位置するように設けられている。レーザ光状態検査用CCDカメラ28は、エア浮上ステージ101aの上空側を視認可能に設置されている。レーザ光状態検査用CCDカメラ28によって撮像された映像は、制御装置80に出力される。制御装置80は、各集光レンズ541〜544から出射されるレーザ光のスポット径、形状、出力等が適正であるか否かの判定を行なう。すなわち、レーザ光状態検査用CCDカメラ28は、光学系部材50の各集光レンズ541〜544から出射するレーザ光を直接観察することができるので、これを画像化することによって、制御装置80は、分岐後のレーザ光のそれぞれについて、その加工箇所におけるレーザ光の特性を測定することができる。また、レーザ発生装置40、光学系部材50などのレーザ光に係わる各光学系の交換した時に、交換前と交換後の画像を取得し数値化しておくことによって、交換後のフォーカス及び光軸の調整などを容易に行なうことができる。さらに、各光学へッドから出力される各レーザ光の画像を取得して数値化することによって、各光学ヘッドのバラツキなどを適正に調整することができる。
第2検出光学系部材は、図12に示すように、ビームサンプラ91,93、高速フォトダイオード94及び光軸検査用CCDカメラ96から構成される。ビームサンプラ91,93は、光学系部材50内に導入されるレーザ光の光路中に設けられている。この実施の形態では、レーザ発生装置40とガルバノミラー33との間に設けられている。ビームサンプラ91,93はレーザ光の一部(例えば、レーザ光の約0.4割程度又はそれ以下の光量)をサンプリングして外部に分岐出力する素子である。高速フォトダイオード94は、ビームサンプラ91で分岐出力されたレーザ光の一部(サンプリングビーム)を受光面のほぼ中央付近で受光するように配置される。高速フォトダイオード94によって検出されたレーザ光の強度に対応した出力信号は、制御装置80に出力される。光軸検査用CCDカメラ96は、ビームサンプラ93で分岐出力されたレーザ光の一部(サンプリングビーム)を受光面のほぼ中央付近で受光するように配置される。光軸検査用CCDカメラ96によって撮像された映像は、制御装置80に出力される。なお、光軸検査用CCDカメラ96は、高速フォトダイオード94に照射されるレーザ光の位置を示す画像を取り込み、その画像を制御装置80に出力するようにしてもよい。
制御装置80は、リニアエンコーダ70からの検出信号に基づいてグリッパ部106,107のX軸方向の移動速度(移動周波数)を検出し、レーザ発生装置40の出力(レーザ周波数)を制御し、高速フォトダイオード94及び光軸検査用CCDカメラ96から出力される信号に基づいてレーザ発生装置40から出射されるレーザ光のパルス抜けを検出したり、レーザ光の光軸ずれ量に基づいてレーザ発生装置40の出射条件を制御したり、光学系部材50内のレーザ光を導入するためのガルバノミラー33、反射ミラー34,35の配置等をフィードバック制御する。
図13は、図1のアライメント部102,104に設けられる基板検出カメラシステムの一例を示す図である。図13(A)は、ガラス基板と基板検出カメラとの関係を示す側面図であり、図13(B)はその上面図である。アライメント部102,104には、基板検出カメラシステムとアライメントカメラシステムが設けられ、ガラス基板の検出とそのアライメント処理を行っている。基板検出カメラ65〜68は、エア浮上搬送されるガラス基板1がアライメント部102,104上に載置されるときに、ガラス基板1の四隅付近の画像をその上側から取得するものである。図13では、ガラス基板1がアライメント部102,104上に載置され、グリッパ部106〜108に保持されてX軸方向にエア浮上移動して、レーザ加工ステーション101に投入される直前の様子を示す。図13(B)に示す画像65a〜68aは、基板検出カメラ65〜68によって取得されたガラス基板1の四隅付近の画像である。基板検出カメラ65〜68の相対的な位置関係は予め設定された既知の値なので、画像65a〜68aに示すように、曲がりや反りのないガラス基板1の四隅の各頂点は、基板検出カメラ65〜68の撮像範囲のほぼ中央付近に位置するように設定されている。従って、画像65a〜68aの中で各頂点の位置がずれていた場合、そのずれ量に基づいてガラス基板1の曲がり(反り)を検出することができるようになっている。また、画像65a〜68aに基づいてガラス基板1の四隅付近の欠けを検出することができる。なお、基板検出カメラ65〜68をガラス基板1の各辺に沿って移動させることによってガラス基板1の各辺の欠けを検出することができる。
図14は、下に凸の曲がり(反り)を有するガラス基板を図1の基板検出カメラシステムが検出する場合の一例を示す図である。図14において、図13と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。図14が図13と異なる点は、エア浮上搬送されたガラス基板1fが下に凸の曲がり(反り)を有する点である。下に凸の曲がり(反り)を有するガラス基板1fがアライメント部102,104上に載置されると、基板検出カメラ65〜68にはガラス基板1fの四隅の各頂点がガラス基板1fの中心側にずれた状態の画像65b〜68bが撮像される。また、この画像65b〜68bに示すように、ガラス基板1fの四隅の各頂点付近に曲がり(反り)の大きさに応じた2本の平行な縁線が確認できるので、この場合は、ガラス基板1fは下に凸の状態でアライメント部102,104上にエア浮上した状態で載置されていることを検出することができる。
図15は、上に凸の曲がり(反り)を有するガラス基板を基板検出カメラシステムが検出する場合の一例を示す図である。図15において、図13及び図14と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。図15が図13及び図14と異なる点は、ガラス基板1gが上に凸の曲がり(反り)を有する点である。上に凸の曲がり(反り)を有するガラス基板1gはアライメント部102,104上でエア浮上しようとしてもエア浮上が困難であり、図15に示すようにガラス基板1gの周縁部がアライメント部102,104の表面に接触するようなぎりぎりの状態で載置される。また、基板検出カメラ65〜68には図14(B)と同じようにガラス基板1gの四隅の各頂点がガラス基板1gの中心側にずれた状態の画像65c〜68cが撮像されるが、この画像65c〜68cには、図14(B)の場合とは異なり、ガラス基板1gの四隅の各頂点付近に1本の縁線のみが確認できるだけである。従って、この場合は、ガラス基板1gは上に凸の状態でアライメント部102,104上にエア浮上できない状態で載置されていることを検出することができる。
図16は、図1のアライメント部102,104に設けられる基板検出カメラシステムの別の一例を示す図である。図13の実施の形態では、基板検出カメラ65〜68は基板1の四隅付近の上部に設けられていたが、この実施の形態では、2台の基板検出カメラ65,68がガラス基板1の対角付近の上側に位置するようになっている。図16(A)において、ガラス基板1がアライメント部102,104上に載置された状態で、点線で示すガラス基板1がその位置から矢印のように右側に移動して実線で示すガラス基板1の位置(ガラス基板1の対角の上部に基板検出カメラ65,68が位置するような位置)に移動する。このガラス基板1の移動時に、基板検出カメラ68は、移動するガラス基板1の辺12の画像を取得する。そして、基板移動終了時には、基板検出カメラ65,68はガラス基板1の対角付近の頂点の画像(図13〜図15の画像65a〜65c,68a〜68c)を取得する。ガラス基板1が停止した状態で、今度は基板検出カメラ65,68は、図16(B)に示すように、点線矢印に沿って移動する。この基板検出カメラ65,68の移動時に、基板検出カメラ65は、ガラス基板1の辺13の画像を取得し、基板検出カメラ68は、ガラス基板1の辺14の画像を取得する。基板検出カメラ65,68の移動終了時には、基板検出カメラ65,68はガラス基板1の別の対角付近の頂点の画像(図13〜図15の画像66a〜65c,67a〜67c)を取得する。基板検出カメラ65,68が停止した状態で、今度はガラス基板1が図16(C)に示すように、点線で示すガラス基板1がその位置から矢印のように右側に移動して実線で示すガラス基板1の位置に移動する。このガラス基板1の移動時に、基板検出カメラ65は、移動するガラス基板1の辺15の画像を取得する。上述の一連の動作によって、2台の基板検出カメラ65,68を用いて、図13〜図15の場合と同様に、画像65a〜68a,65b〜68b,65c〜68cと基板1の各辺の画像を取得することができる。これによって、画像65a〜68a,65b〜68b,65c〜68cに基づいてガラス基板1の曲がり(反り)の方向や基板1の各辺の欠けを検出することができる。なお、一連の検出動作終了後に、基板検出カメラ65,68を図16(A)の初期位置に復帰させてもよいし、復帰させずに、逆の動作を行なうようにしてもよい。
上述のように、基板検出カメラ65〜68を用いた基板検出カメラシステムによって、アライメント部102,104上においてガラス基板が上に凸の曲がり(反り)で載置されているのか、下に凸の曲がり(反り)で載置されているのかを検出し、図15に示すように上に凸の曲がり(反り)で載置されている場合には、アライメント部102,104から表裏反転機構部143上にガラス基板を戻して、そこで表裏反転して又は表裏反転しないで、ガラス基板が下に凸の曲がり(反り)で載置されるようにする。ガラス基板が上に凸となる曲がり(反り)で載置されると、ガラス基板の搬送時にガラス基板の周縁部が十分に浮上しきれず、ステージに接触し、最悪の場合、ガラス基板がステージに接触した衝撃で破損するおそれがあるので、上述のようにガラス基板については下に凸の曲がり(反り)で載置されるようにするのが好ましい。また、ガラス基板を下に凸の曲がり(反り)で載置した場合、加工時にはエア浮上と共に吸引されるため、ドミノ効果によってガラス基板の曲がり(反り)が強制され、曲がり(反り)が軽減され、曲がり(反り)の軽減によって、オートフォーカスの調整量を少なくすることができる。従って、曲がり(反り)のあるガラス基板においては、下に凸の曲がり(反り)で載置した方が好ましい。なお、ガラス基板に曲がり(反り)が発生するのは、成膜装置によって形成された膜面の外側方向に曲がる傾向にあるので、予め成膜装置によって形成された膜面側を下側にするようにしてもよい。図13〜図16は、アライメントカメラで基板の反り状態を検出する例を上げたが、図には図示していないが基板検出カメラ65〜68のユニットに基板とアライメントカメラユニット間の距離を測定するユニットを搭載することで基板の反りを測定するようにしてもよい。なお、基板検出カメラ65〜68を用いた基板検出カメラシステムを表裏反転機構部143上に設けておき、そこでガラス基板が上に凸の曲がり(反り)で載置されているのか、下に凸の曲がり(反り)で載置されているのかを検出し、表裏反転を行なうようにしてもよい。
図17は、ワークであるガラス基板に曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等を有する場合の状態を検出する場合の一例を示す図であり、図17(A)は、断面がS字状に曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等たガラス基板とアライメントカメラ装置との関係を示す側面図であり、図17(B)はその上面図である。アライメントカメラ装置60は、フォーカス調整用駆動機構46〜49の側面に固定的に設けられており、通常はガラス基板1上に施されたスクライブ線P1加工線の画像を取得し、その情報を制御装置80に出力し、各集光レンズ541〜544のフォーカス位置(Z方向の高さ位置)及びY方向位置、すなわち2回目以降のスクライブ線P2,P3加工時のアライメント処理に利用されるものである。ここでは、4系列分のアライメントカメラ装置60を用いて、ガラス基板の曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等の状態を検出するようにした。
例えば、図17(A)に示すように断面がS字状の曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等を有したガラス基板1がエア浮上ステージ101a上をX方向にエア浮上搬送されるので、レーザ加工前に4個のアライメントカメラ装置60を用いて、ガラス基板1の上面であって、スキャン方向に沿った走査線60a〜60dの高さをそれぞれ検出することができる。制御装置80は、ガラス基板1の上面に沿った4本の走査線60a〜60dの高さ情報に基づいてガラス基板1の曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等の状態を検出することが可能となる。このようにエア浮上搬送させながら4個のアライメントカメラ装置60を用いることによって実際の加工状態におけるガラス基板1の曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等の状態を測定することができる。また、4個のアライメントカメラ装置60をY軸方向に移動させることによって、ガラス基板1の多点における高さを測定することができるので、その測定精度を向上することができる。また、この時点で加工プロセス上で問題となる矯正不可能なガラス基板1を抽出することができ、そのようなガラス基板1を製造ラインから除去することができる。
図18は、図8の制御装置80の処理の詳細を示すブロック図である。制御装置80は、分岐手段81、パルス抜け判定手段82、アラーム発生手段83、基準CCD画像記憶手段84、光軸ずれ量計測手段85、レーザコントローラ86、基板表面変位計測手段87、基板状態表示手段88、照射レーザ状態検査手段89、照射レーザ調整手段8A、加工状態検査手段8B、加工条件調整手段8C、加工線検出手段8D及び倣い加工調整手段8Eから構成される。
分岐手段81は、リニアエンコーダ70の検出信号(クロックパルス)を分岐して後段のレーザコントローラ86に出力する。パルス抜け判定手段82は、高速フォトダイオード94からのレーザ光強度に対応した出力信号(ダイオード出力)と分岐手段81から出力される検出信号(クロックパルス)とを入力し、それに基づいてレーザ光のパルス抜けを判定する。図19は、図18のパルス抜け判定手段82の動作の一例を示す図である。図19において、図19(A)は分岐手段81から出力される検出信号(クロックパルス)の一例、図19(B)は高速フォトダイオード94から出力されるレーザ光強度に対応した出力信号(ダイオード出力)の一例、図19(C)はパルス抜け判定手段82がパルス抜け検出時に出力するアラーム信号の一例をそれぞれ示す。
図19に示すように、パルス抜け判定手段82は、分岐手段81からのクロックパルスの立ち下がり時点をトリガ信号として、ダイオード出力値が所定のしきい値Th以上であるか否かの判定を行い、ダイオード出力値がしきい値Thよりも小さい場合には、ハイレベル信号をアラーム発生手段83に出力する。アラーム発生手段83は、パルス抜け判定手段82からの信号がローレベルからハイレベルに変化した時点でパルス抜けが発生したことを示すアラームを外部に報知する。アラームの報知は、画像表示、発音等の種々の方法で行なう。アラームの発生によって、オペレータはパルス抜けが発生したことを認識することができる。また、このアラームが頻繁に発生する場合には、レーザ発生装置の性能が劣化したか又は寿命になったことを意味する。
基準CCD画像記憶手段84は、図18に示すような基準CCD画像84aを記憶している。この基準CCD画像84aは、光軸検査用CCDカメラ96の受光面の中央にレーザ光が受光した状態の画像を示すものである。光軸検査用CCDカメラ96からは、図18に示すような被検査画像85aが出力される。光軸ずれ量計測手段85は、光軸検査用CCDカメラ96からの被検査画像85aを取り込み、これと基準CCD画像84aとを比較し、光軸のずれ量を計測し、そのずれ量をレーザコントローラ86に出力する。例えば、図18に示す被検査画像85aのような画像が光軸検査用CCDカメラ96から出力された場合には、光軸ずれ量計測手段85は、両者を比較して、X軸及びY軸方向のずれ量を計測し、それをレーザコントローラ86に出力する。レーザコントローラ86は、被検査画像85aと基準CCD画像84aとが一致するように、レーザ光の光軸に関係する装置、すなわちレーザ発生装置40の出射条件や光学系部材50内にレーザ光を導入するためのガルバノミラー33、反射ミラー34,35の配置等をフィードバックして調整する。
基板表面変位計測手段87は、アライメントカメラ装置60からの集光レンズ541〜544とガラス基板1の表面との間の距離すなわち表面変位(Z方向の高さ)を計測し、それを基板状態表示手段88に出力する。基板状態表示手段88は、ガラス基板1の表面変位に対応した信号を入力し、ガラス基板1の曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等の状態が許容範囲内にあるか、この許容範囲よりも大きくずれているかを判定し、大きくずれている場合にはその状態を表示してもよいし、アラームを発生し、矯正不可能なガラス基板1としてラインから除去する。このように、ガラス基板1の曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等の状態品質を管理することができる。
照射レーザ状態検査手段89は、レーザ光状態検査用CCDカメラ28からの画像89aを取り込み、これに基づいてレーザ光の特性(スポット径、形状、出力等)を計測し、その計測値を照射レーザ調整手段8Aに出力する。例えば、図18に示すような画像89aがレーザ光状態検査用CCDカメラから出力された場合には、照射レーザ状態検査手段89は、画像89a内の円状の輪郭線89b(集光レンズ541〜544の外縁に対応した線)を基準にフォーカス円89c(画像89a内の小円)の位置を検出し、フォーカス円89cが輪郭線89bのほぼ中央に位置しているか否かに基づいて光軸のX軸及びY軸方向のずれ量を計測し、それを照射レーザ調整手段8Aに出力する。また、照射レーザ状態検査手段89は、フォーカス円89cの大きさ(スポット径・照射面積)を計測し、それも基づいたフォーカス位置を照射レーザ調整手段8Aに出力する。さらに、照射レーザ状態検査手段89は、フォーカス円89cの輝度レベルに基づいたレーザ光出力を照射レーザ調整手段8Aに出力する。照射レーザ調整手段8Aは、照射レーザ状態検査手段89からの光軸のずれ量、フォーカス位置及び光出力に対応した信号に基づいて、光学系部材50内の各ハーフミラー511〜513及び反射ミラー521〜528の配置等をフィードバックして調整したり、レーザコントローラ86を介してレーザ発生装置40の出射条件等を制御する。なお、照射レーザ調整手段8Aを省略して、これらの機能をレーザコントローラ86に持たせるようにしてもよい。
加工状態検査手段8Bは、モニタ装置591〜594からの結像情報を取り込み、これに基づいてレーザ光によるガラス基板1の加工状態、すなわち加工不良が発生していないか否かを検出し、その分析結果を加工条件調整手段8Cに出力する。加工条件調整手段8Cは、加工状態検査手段8Bからの分析結果に基づいて、レーザ加工条件であるレーザ発生装置40の出力条件、雰囲気温度等をレーザコントローラ86にフィードバックしてレーザ加工状態を適切に制御する。なお、加工条件調整手段8Cを省略して、これらの機能をレーザコントローラ86に持たせるようにしてもよい。
上述の実施の形態では、レーザ加工(スクライブ加工)時に光軸ずれ量計測手段85でレーザ光の光軸ずれを、パルス抜け判定手段82でパルス抜けを、加工状態検査手段8Bで加工状態を、それぞれ検査する場合について説明したが、図20に示すように高速フォトダイオード94からの出力波形に基づいてレーザ光のパルス状態を検査するようにしてもよい。例えば、図20では、レーザ光のパルス幅及びパルス高さを計測し、これらに異常が発生した場合にはアラームを発生するようにしてもよいし、加工状態検査手段8Bで検出された加工状態に基づいてアラームを発生するようにしてもよい。なお、レーザ光のパルス幅は、高速フォトダイオード94からの出力波形が所定値以上になっている期間が所定の範囲にある場合を正常とし、この範囲よりも大きかったり小さい場合にはパルス幅異常と判定し、アラームを出力する。また、レーザ光のパルス高さは、高速フォトダイオード94からの出力波形の最大値が許容範囲内に存在する場合を正常とし、この許容範囲よもも大きかったり小さい場合にはパルス高さ異常と判定し、アラームを出力する。このように、レーザ光を常時サンプリングしているので、リアルタイムでパルス幅、パルス高さ(パワー)などのレーザ光の品質を管理することができる。上述のようなパルス抜けが頻発するようになったら、レーザ発生装置40の劣化あるいは寿命と判断できる。
上述の実施の形態では、パルス抜けの発生だけを見ているが、パルス抜けが発生した箇所の座標データ(位置データ)を取得して記憶することによって、スクライブ線のリペア処理を行なうことが可能となる。上述の実施の形態では、光軸検査用CCDカメラ96を用いてビームサンプラ93で分岐出力されたレーザ光の一部(サンプリングビーム)を直接受光して、それを画像処理することによって、光軸ずれを検査する場合について説明したが、高速フォトダイオード94の受光面の中央にレーザ光が受光した状態を示す画像を被検査画像として光軸検査用CCDカメラ96あるいは分割型フォトダイオードで取得することによって光軸ずれを検査するようにしてもよい。上述の実施の形態では、レーザ光の光軸ずれ及びパルス抜けを検査する場合について説明したが、光軸ずれ、パルス抜け、パルス幅及びパルス高さのそれぞれを適宜組み合わせてレーザ光の状態を検査するようにしてもよい。
図18において、加工線検出手段8Dは、アライメントカメラ装置60からの画像に基づいて加工線P1の画像認識処理を実行する。図21は、ガラス基板の曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等によって加工線が曲がって形成される場合の一例を示す図である。最初の加工線となるスクライブ線P1がガラス基板1の曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等によって図21に示すように湾曲(蛇行)した場合、この実施の形態では、スクライブ線P2及びP3は、この最初のスクライブ線P1の湾曲(蛇行)線に倣って加工処理される。この実施の形態では、スクライブ線P1〜P3の幅が約30[μm]、スクライブ線P1−P2間,P2−P3間の間隔は約40[μm]となっており、スクライブ線P1に倣って、スクライブ線P2,P3のレーザ加工が行なわれる。
図22は、加工線検出手段8Dの動作の一例を示す図である。図22(A)に示すようにガラス基板1を載置した状態でガラス基板1上の金属層にレーザ光を照射し、スクライブ処理(スクライブ線P1加工)を実行する。最初のスクライブ処理の結果、ガラス基板1上には、約ピッチ10mmで加工線が形成される。なお、図22では複数の加工線P1のうちの1本の加工線90のみを示す。線100は、加工線90が直線に加工される場合の期待線である。アライメントカメラ装置60は、この期待線100上の複数の点、すなわち図22(B)に示すような撮影点61〜64付近の画像61a〜64aを取得する。各画像61a〜64aを見ると分かるように、画像の中に実際の加工線90の画像を含んでいる。この各画像61a〜64aと期待線100との差により、加工線90の曲りの状態を画像認識することができる。
倣い加工調整手段8Eは、加工線検出手段8Dの画像処理の結果に応じて、各画像61a〜64aと期待線100とを比較してアライメント処理を行い、その結果をレーザコントローラ86に出力する。レーザコントローラ86は、倣い加工調整手段8Eのアライメン処理の結果に基づいて前回の加工線90から約30μmはなれた位置にレーザ光が照射されるように、フォーカス調整用駆動機構46〜49を駆動制御して、各集光レンズ541〜544の高さ方向(フォーカス)及びY方向を調整して、スクライブ処理(スクライブ線P2加工)を実行する。これによって、図22(C)に示すように、加工線90から約30μmはなれた位置に加工線92が形成される。また、このスクライブ処理(スクライブ線P2加工)が終了すると、別の装置で半導体層の上に透明電極層を形成する処理が行なわれる。再び、レーザ加工装置にガラス基板1が搬入され、前回と同様のアライメント処理が行なわれ、ガラス基板1に対して同様にレーザ光によるスクライブ処理(スクライブ線P3加工)が実行される。これによって、ガラス基板1には、図14に示すような3本の加工線P1〜P3が形成される。
上述の実施の形態では、アライメントカメラ装置60を用いて画像処理にて倣い加工を行なう場合について説明したが、スクライブ線P1をトラッキング処理して加工線P2,P3を加工するようにしてもよい。図23は、グレーティングを用いて加工線P1をトラッキングする方式の一例を示す図である。図において、グレーティングを用いて1個のレーザ光を3個に分割してレーザ光123〜125として、ガラス基板1の加工線P1に照射する。反射光検出用センサである4分割センサ126〜128は各レーザ光123〜125の反射光を図23(A)のように受光する。膜面反射強度は加工線P1以外の箇所が高いので、4分割センサ126〜128からの各出力に応じて、レーザ光123〜125が加工線P1上を正確にトラッキングしているか否かを検出することができる。このトラッキング用レーザ光及び反射光検出用センサをフォーカス調整用駆動機構46〜49に固定的に設けて、加工線P1を正確にトラッキングさせることによって、加工線P1を正確に倣った加工線P2,P3を形成することが可能になる。図23(B)及び図23(C)は、加工線P1に対してトラッキング用レーザ光及び反射光検出用センサが横方向(Y方向)ずれた場合を示す。このように加工線P1に対してレーザ光123〜125がずれると、反射光検出用センサである4分割センサからの出力信号の平衡状態がくずれるので、フォーカス調整用駆動機構46〜49は集光レンズを541〜544を±Y方向に駆動制御して、図23(A)の関係となるようにトラッキング制御することによって、加工線P1を倣った加工線P2,P3を加工することが可能となる。
上述の実施の形態では、薄膜の形成されたガラス基板1の表面からレーザ光を照射して薄膜に加工線(溝)を形成する場合について説明したが、ガラス基板1の裏面からレーザ光を照射して、ガラス基板表面の薄膜に加工線を形成するようにしてもよい。また、上述の実施の形態では、最初の加工処理の結果、ガラス基板1上に形成された最初の加工線を含む画像を取得する場合について説明したが、2回目のスクライブ処理(スクライブ線P2加工処理)の結果、ガラス基板1上に形成された2本の加工線(スクライブ線P1,P2)を含む画像を取得して、その画像にある2本のスクライブ線P1及び/又はスクライブ線P2を用いてアライメント処理を行なうようにしてもよい。
図24は、本発明に係るソーラパネル製造装置の別の実施例を示す図である。図25は、図24の加工エリア部112を横方向から見た側面図である。図24において、図1と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。この製造装置が図1のものと異なる点は、図1の製造装置のレーザ加工ステーション101の加工エリア部112の加工箇所(光学系部材50)の両側にエアプレート部1121,1122を設け、図25の下向き矢印のような流れのエア噴流によって、ガラス基板1oの曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等を矯正するようにしたものである。すなわち、ガラス基板1oは、エア浮上ステージ101aからのエア噴流(図25の上向き矢印のような流れ)とエアプレート部1121,1122からのエア噴流(図25の下向き矢印のような流れ)とによって、その曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等が矯正されるようになっている。エアプレート部1121,1122から噴出される下向き矢印のような流れのエア噴流によって、ガラス基板1oの曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等の状態を許容範囲内に入るように矯正することが可能となる。
上述の実施の形態では、ソーラパネル製造装置を例に説明したが、本発明はELパネル製造装置、ELパネル修正装置、FPD修正装置などのレーザ加工を行なう装置にも適用可能である。
1…基板,ガラス基板
1f,1g,1x〜1z,1m〜1r…ガラス基板
10…台座
101…レーザ加工ステーション
101a…エア浮上ステージ、
102,104…アライメント部
1041…アライメント用フレーム、
106,107,108…グリッパ部
1061,1075,1077…把持(挟持)プレート部、
1062,1076,1078…エアシリンダ部、
1063,1073…グリッパ本体部、
1064,1074…ガイドレール部、
1071,1121…エアプレート部、
1072…エアプレート支持部、
107a,107b…グリッパ部、
110…グリッパ支持駆動部、
112…加工エリア部、
121…ローラコンベア
12,13,14,15…辺
141…搬入出ロボットステーション
143…表裏反転機構部
126〜128…4分割センサ、
20…X軸駆動手段、
28…レーザ光状態検査用CCDカメラ、
30…スライドフレーム
31…ベース板
33…ガルバノミラー
331…ガルバノ制御裝置
332…ビームサンプラ
333…4分割フォトダイオード
33xy,33yz…モータ
34,35…反射ミラー
37…貫通穴
40…レーザ発生装置
46…フォーカス調整用駆動機構、
461…駆動部本体、
461a…エア供給部、
461c…エア流路、
462…駆動部カバー、
463a,463c…マグネット保持部、
464a,464c…マグネット、
465…可動部、
466…垂直駆動力発生コイル群、
467…水平駆動力発生コイル群、
50…光学系部材
500…位相型回折光学素子(DOE)
511〜513…ハーフミラー
521〜528…反射ミラー
531〜534…シャッター機構
541〜544…集光レンズ
551…照明用レーザ、
561…平行光変換用レンズ、
571…各光学部品、
571…光学部品、
581…集光用レンズ、
591…モニタ装置、
60…アライメントカメラ装置
65〜68…基板検出カメラ
65a〜68a,65b〜68b,65c〜68c…画像
70…リニアエンコーダ
80…制御装置
81…分岐手段
82…パルス抜け判定手段
83…アラーム発生手段
84…基準CCD画像記憶手段
85…光軸ずれ量計測手段
86…レーザコントローラ
87…基板表面変位計測手段
88…基板状態表示手段、
89…照射レーザ状態検査手段、
8A…照射レーザ調整手段、
8B…加工状態検査手段、
8C…加工条件調整手段、
8D…加工線検出手段、
8E…加工調整手段、
92,93…ビームサンプラ
94…高速フォトダイオード
96…光軸検査用CCDカメラ
P1〜P3…スクライブ線

Claims (9)

  1. レーザ光を基板に対して相対的に移動させながら照射し、前記基板に所定の加工を施すレーザ加工方法であって、
    前記レーザ光による加工箇所において相対的に移動する前記基板の表面変位を測定することによって、前記基板の曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等の状態を検出することを特徴とするレーザ加工方法。
  2. 請求項1に記載のレーザ加工方法において、前記基板を移動方向に沿った辺の一方側の辺について、前記基板表面に垂直な方向及び前記基板表面に沿った2次元方向のそれぞれに対して固定的に保持し、前記基板の移動方向に沿った辺の他方側の辺について、前記基板表面に垂直な方向に対して拘束的に保持し、前記基板表面に沿った2次元方向に対しては可動的に保持して移動することを特徴とするレーザ加工方法。
  3. 請求項1に記載のレーザ加工方法において、前記基板に曲がり(反り)が存在する場合に、前記基板の曲がり(反り)が下に凸となるように前記基板の表裏反転を行なうことを特徴とするレーザ加工方法。
  4. 請求項1に記載のレーザ加工方法において、前記レーザ光の照射箇所の両側であって前記搬送方向の前後に、前記基板表面に対して垂直方向にエア噴流を吹き付けて前記基板の曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等を矯正することを特徴とするレーザ加工方法。
  5. 基板を保持する保持手段と、
    前記保持手段によって保持されている前記基板に対して相対的に移動しながらレーザ光を照射して所定の加工処理を施すレーザ光照射手段と、
    前記レーザ光による加工箇所において相対的に移動する前記基板の表面変位を測定することによって、前記基板の曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等の状態を検出する検出手段と
    を備えたことを特徴とするレーザ加工装置。
  6. 請求項5に記載のレーザ加工装置において、前記保持手段は、前記基板を移動方向に沿った辺の一方側の辺について、前記基板表面に垂直な方向及び前記基板表面に沿った2次元方向のそれぞれに対して固定的に保持し、前記基板の移動方向に沿った辺の他方側の辺について、前記基板表面に垂直な方向に対して拘束的に保持し、前記基板表面に沿った2次元方向に対しては可動的に保持して移動させ、前記検出手段は前記保持手段によってエア浮上移動される前記基板の表面変位を測定することを特徴とするレーザ加工装置。
  7. 請求項5に記載のレーザ加工装置において、前記検出手段による測定の結果、前記基板に曲がり(反り)が存在する場合は、前記基板の曲がり(反り)が下に凸となるように前記基板の表裏反転を行なう表裏反転手段を備えたことを特徴とするレーザ加工装置。
  8. 請求項5に記載のレーザ加工装置において、前記レーザ光の照射箇所の両側であって前記移動方向の前後に、前記基板表面に対して垂直方向にエア噴流を吹き付けて前記基板の曲がり(反り)、歪み、捩じれ(うねり)等を矯正する矯正手段を設けたことを特徴とするレーザ加工装置。
  9. 請求項1から4までのいずれか1に記載のレーザ加工方法又は請求項5から8までのいずれか1に記載のレーザ加工装置を用いて、ソーラパネルを製造することを特徴とするソーラパネル製造方法。
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