以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係るレーザ加工装置の概略構成を示す図である。このレーザ加工装置は、ソーラパネル製造装置のレーザ光加工処理(レーザスクライブ)工程を行なうものである。本発明に係るレーザ加工装置は、アライメント処理を行うアライメント部をレーザ加工ステーションの両側2箇所に設けて、レーザ加工処理中に同時にアライメント処理を行い、待ち時間を短縮できるように構成されたものである。
図1は、本発明に係るソーラパネル製造装置のリターン方式の一例を示す図である。この製造装置は、搬入出ロボットステーション141とレーザ加工ステーション101とから構成される。ローラコンベア121は、成膜装置(図示せず)やレーザスクライブ加工処理を行う製造装置間でガラス基板1x〜1zを順次搬送するものである。搬入出ロボットステーション141は、ローラコンベア121上を搬送される前段の成膜装置(図示せず)にて成膜されたガラス基板1xを搬入してガラス基板1mとして一時的に保持すると共にガラス基板1mの表裏を反転する表裏反転機構部143を備えており、レーザ加工処理の内容及びガラス基板1mが下に凸の曲がり(反り)となるように、ガラス基板1mを表裏反転してレーザ加工ステーション101に搬送する。このとき、搬入出ロボットステーション141は、表裏反転された又は表裏反転されなかったガラス基板1mをそのままレーザ加工ステーション101に搬送すると共に表裏反転された又は表裏反転されなかったガラス基板1mをレーザ加工ステーション101の右端位置までローラ搬送してからレーザ加工ステーション101に搬送するように構成されている。また、搬入出ロボットステーション141は、レーザ加工ステーション101で加工されたガラス基板を表裏反転機構部143で直接受取るか又はレーザ加工ステーション101の右端位置で受け取ったガラス基板1rを表裏反転機構部143までローラ搬送又はエア浮上搬送し、表裏反転機構部143でレーザ加工処理後のガラス基板を表裏反転して又は表裏反転せずにローラコンベア121に搬出する。
レーザ加工ステーション101は、搬入出ロボットステーション141から搬入されたガラス基板上の薄膜にスクライブ線を形成するものであり、アライメント部102,104、グリッパ部106,108、グリッパ駆動部110、加工エリア部112を備えている。アライメント部102は、搬入出ロボットステーション141の表裏反転機構部143上のガラス基板1mを受取り、受け取ったガラス基板1nを所定の位置にアライメント処理すると共に加工エリア部112でスクライブ加工処理の施されたガラス基板1nを搬入出ロボットステーション141の表裏反転機構部143に搬出する。一方、アライメント部104は、搬入出ロボットステーション141の表裏反転機構部143で表裏反転された又は表裏反転されなかったガラス基板であって右端までローラ搬送又はエア浮上搬送されたガラス基板1rを受取り、受け取ったガラス基板を所定の位置にアライメント処理すると共に加工エリア部112でスクライブ加工処理の施されたガラス基板1qを搬入出ロボットステーション141の右端の位置に搬出する。
グリッパ部106は、アライメント部102でアライメント処理されたガラス基板1oを保持する。グリッパ部108は、アライメント部104でアライメント処理されたガラス基板1qを保持する。グリッパ駆動部110は、グリッパ部106,108に保持されたガラス基板を加工エリア部112のレーザ光に同期させてし、レーザ加工時にガラス基板1oと点線のガラス基板1pとの間を移動させる。加工エリア部112は、グリッパ部106又はグリッパ部108に保持されエア浮上搬送されたガラス基板1o,1qにレーザ光を照射して所定のスクライブ線の加工処理を行う。図1では、グリッパ部106に保持されたガラス基板1oを点線で示されたガラス基板1qの位置までエア浮上した状態で移動させながら、所定のスクライブ線加工を行う状態が示してある。
図1のリターン方式のソーラパネル製造装置の動作の一例を説明する。まず、前段の成膜装置からローラコンベア121を介して搬送されて来たガラス基板1xは、搬入出ロボットステーション141によって表裏反転機構部143上にガラス基板1mとして一時的に保持され、そこで表裏反転されるか又は表裏反転されない。表裏反転された又は表示反転されなかったガラス基板1mは、レーザ加工ステーション101のアライメント部102に搬送され、そこでアライメント処理される。アライメント処理されたガラス基板1nは、グリッパ部106に保持され、ガラス基板1o,1pとして加工エリア部112にエア浮上移動され、所定のスクライブ線の加工処理が行われる。一方、アライメント部102のアライメント処理時及び加工エリア部112の加工処理時に、ローラコンベア121を介して搬送されて来た次のガラス基板1yが搬入出ロボットステーション141によって表裏反転機構部143上にガラス基板1mとして一時的に保持され、そこで表裏反転されるか又は表裏反転されない。表裏反転された又は表裏反転されなかったガラス基板1mは、ガラス基板1rとして、レーザ加工ステーション101のアライメント部108に対応した右端位置までローラ搬送される。ガラス基板1rは、レーザ加工ステーション101のアライメント部108に搬送され、そこでアライメント処理される。アライメント処理されたガラス基板1qは、グリッパ部108に保持され、グリッパ部106に保持されエア浮上搬送されたガラス基板への加工処理が終了するまで待機される。
グッリパ部106に保持されているガラス基板に対するレーザ加工処理が終了すると、グリッパ部106に保持されているガラス基板1oは、アライメント部102を介してガラス基板1nの位置から表裏反転機構部143上のガラス基板1mとして一時的に保持され、そこで表裏反転されて又は表裏反転されずに次段の成膜装置へ搬送されるために、ローラコンベア121上に搬送される。一方、グリッパ部106に保持されているガラス基板1oがアライメント部102上にガラス基板1nとしてエア浮上移動した時点で、グリッパ部108に保持されているガラス基板1qがガラス基板1o,1pとして加工エリア部112にエア浮上移動され、所定のスクライブ線の加工処理が行われる。図1のリターン方式のソーラパネル製造装置では、以上の処理を交互に繰り返すことによって、アライメント処理による待ち時間等を大幅に短縮している。また、いずれか一方のアライメント部が故障した場合でも、他方のアライメント部によって処理を続行することが可能となる。
図2は、スクライブ線の加工処理を行う図1の加工エリア部の詳細構成を示す図である。加工エリア部は、台座10、XYテーブル20、グリッパ部106、レーザ発生装置40、光学系部材50、リニアエンコーダ70、制御装置80及び検出光学系部材等によって構成されている。台座10上には台座10のX軸方向及びY軸方向(XY平面)に沿って駆動制御されるXYテーブル20が設けられている。
XYテーブル20は、X方向及びY方向へ移動制御される。なお、XYテーブル20の駆動手段としては、ボールネジやリニアモータ等が用いられるが、これらの図示は省略してある。XYテーブル20の上側にはレーザ加工の対象となるガラス基板1がグリッパ部106によって保持されている。また、台座10の上には光学系部材50を保持しながらY軸方向にスライド駆動するスライドフレーム30が設けられている。XYテーブル20は、Z軸を回転軸としてθ方向に回転可能に構成されている。なお、スライドフレーム30によりY軸方向の移動量が十分に確保できる場合には、XYテーブル20は、X軸方向の移動だけを行なう構成であってもよい。この場合、XYテーブル20はX軸テーブルの構成でもよい。また、図2では、アライメント部102,104については図示を省略してある。
スライドフレーム30は、台座10上の四隅に設けられた移動台に取り付けられている。スライドフレーム30は、この移動台によってY方向へ移動制御される。ベース板31と移動台との間には除振部材(図示せず)が設けられている。スライドフレーム30のベース板31には、レーザ発生装置40、光学系部材50及び制御装置80が設置されている。光学系部材50は、ミラーやレンズの組み合わせで構成され、レーザ発生装置40で発生したレーザ光を4系列に分割してXYテーブル20上のガラス基板1上に導くものである。なお、レーザ光の分割数は4系列に限るものではなく、2系列以上であればよい。
リニアエンコーダ70は、XYテーブル20のX軸移動テーブルの側面に設けられたスケール部材と、グリッパ部106に取り付けられた検出部で構成される。リニアエンコーダ70の検出信号は、制御装置80に出力される。制御装置80は、リニアエンコーダ70からの検出信号に基づいてグリッパ部106のX軸方向の移動速度(移動周波数)を検出し、レーザ発生装置40の出力(レーザ周波数)を制御する。
光学系部材50は、図示のように、ベース板31の側面側に設けられており、ベース板31の側面に沿ってY軸方向に移動するように構成されている。光学系部材50は、先端部がZ軸を中心に回転可能となっている。レーザ発生装置40から出射されるレーザ光を光学系部材50に導くためのガルバノミラー33はベース板31上に設けられている。ガルバノミラー33は、2つのモーター(ロータリーエンコーダー)を使用してXZ2次元エリアにレーザー光を走査させるものである。ガルバノミラー33は、2軸式(X,Z)で構成され、2個のモーターと、このモータに取り付けられるミラーとで構成される。ガルバノ制御裝置331は、モータを動かすためのドライバおよび電源、これらを制御するマイクロコンピュータなどで構成される。
ミラー34,35は、光学系部材50上に設けられており、光学系部材50のスライド移動に連動するようになっている。レーザ発生装置40から出射されたレーザ光は、ガルバノミラー33によってミラー34へ向かって反射され、ミラー34に向かうレーザ光はミラー34によってミラー35に向かって反射される。ミラー35は、ミラー34からの反射レーザ光をベース板31に設けられた貫通穴を介して光学系部材50内に導く。なお、レーザ光発生装置40から出射されたレーザ光は、ベース板31に設けられた貫通穴から光学系部材50に対して上側から導入されるように構成されれば、どのような構成のものであってもよい。例えば、レーザ発生装置40を貫通穴の上側に設け、貫通穴を介して光学系部材50に直接レーザ光を導くようにしてもよい。
ビームサンプラ332は、ガルバノミラー33と反射ミラー34との間の光学系部材50上に、光学系部材50のスライド移動と共に移動するように設けられている。ビームサンプラ332はレーザ光の一部(例えば、レーザ光の約1割程度又はそれ以下の光量)をサンプリングして外部に分岐出力する素子である。4分割フォトダイオード333は、ビームサンプラ332で分岐されたレーザ光の一部(サンプリングビーム)を受光面のほぼ中央付近で受光するように配置されている。4分割フォトダイオード333によって検出されたレーザ光の強度に対応した4種類の出力信号がガルバノ制御裝置331に出力される。ガルバノ制御裝置331は、4分割フォトダイオード333からの4種類の出力信号に応じてガルバノミラー33の2個のモータ33xy,33yzをリアルタイムで駆動制御する。モータ33xyは、ガルバノミラー33の反射レーザ光がベース板31の上面(XY平面)と平行な面内で回転移動するように制御し、モータ33zyは、ガルバノミラー33の反射レーザ光がベース板31の上面と直交する面(YZ平面)と平行な面内で回転移動するようにリアルタイムで制御する。
図3は、光学系部材50の詳細構成を示す図である。実際の光学系部材50の構成は、複雑であるが、ここでは説明を簡単にするために図示を簡略化して示している。図3は、光学系部材50の内部を図2の−X軸方向から見た図である。図3に示すようにベース板31にはミラー35で反射されたレーザ光を光学系部材50内に導入するための貫通穴37を有する。この貫通穴37の直下には、ガウシアン強度分布のレーザ光をトップハット強度分布のレーザ光に変換する位相型回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)500が設けられている。
DOE500によってトップハット強度分布のレーザ光(トップハットビーム)に変換されたレーザ光はハーフミラー511によって反射ビームと透過ビームにそれぞれ分岐され、反射ビームは右方向のハーフミラー512に向かって、透過ビームは下方向の反射ミラー524に向かって進む。ハーフミラー511で反射したビームは、ハーフミラー512によってさらに反射ビームと透過ビームに分岐され、反射ビームは下方向の反射ミラー522に向かって、透過ビームは右方向の反射ミラー521に向かって進む。ハーフミラー512を透過したビームは反射ミラー521によって反射され、下方向の集光レンズ541を介してガラス基板1に照射される。ハーフミラー512で反射したビームは、反射ミラー522,523によって反射され、下方向の集光レンズ542を介してガラス基板1に照射される。ハーフミラー511を透過したビームは、反射ミラー524によって反射され、左方向に向かって進む。反射ミラー524で反射したビームは、ハーフミラー513によって反射ビームと透過ビームに分岐され、反射ビームは下方向の反射ミラー526に向かって、透過ビームは左方向の反射ミラー528に向かって進む。ハーフミラー513で反射したビームは、反射ミラー526,527によって反射され、下方向の集光レンズ543を介してガラス基板1に照射される。ハーフミラー513を透過したビームは反射ミラー528によって反射され、下方向の集光レンズ544を介してガラス基板1に照射される。
DOE500によって変換されたトップハットビームは、上述のハーフミラー511〜513及び反射ミラー521〜528によって、透過・反射されて集光レンズ541〜544に導かれる。このとき、DOE500から各集光レンズ541〜544までの光路長は等しくなるように設定されている。すなわち、ハーフミラー511で反射したビームがハーフミラ512を透過して反射ミラー521で反射して集光レンズ541に到達するまでの光路長、ハーフミラー511で反射したビームがハーフミラー512、反射ミラー522,523でそれぞれ反射して集光レンズ542に到達するまでの光路長、ハーフミラー511を透過したビームが反射ミラー523、ハーフミラー513、反射ミラー526,527でそれぞれ反射して集光レンズ543に到達するまでの光路長、ハーフミラー511を透過したビームが反射ミラー523で反射してハーフミラー513を透過して反射ミラー528で反射して集光レンズ544に到達するまでの光路長は、それぞれ等しい距離である。これによって、ビームが分岐される直前にDOE500を配置しても、トップハット強度分布のレーザ光を集光レンズ541〜544に同様に導くことが可能となる。なお、図3の実施例では、光路長が完全に一致する場合について説明したが、レーザ光のトップハット強度分布を維持することが可能な範囲で光路長を若干異ならせることは可能である。
シャッター機構531〜534は、光学系部材50の各集光レンズ541〜544から出射されるレーザ光がガラス基板1から外れた場合にレーザ光の出射を遮蔽するものである。オートフォーカス用測長システム52,54は、図示していない検出光照射用レーザとオートフォーカス用フォトダイオードとから構成され、検出光照射用レーザから照射された光の中でガラス基板1の表面から反射した反射光を受光し、その反射光量に応じて光学系部材50内の集光レンズ541〜544を上下に駆動し、ガラス基板1に対する高さ(集光レンズ541〜544のフォーカス)を調整する。なお、フォーカス調整用駆動機構は図示していない。
図4は、第1検出光学系部材及び第2検出光学系部材の構成を示す模式図である。第1検出光学系部材は、集光レンズ高さ測長システム26と、フォーカス及び光軸調整用CCDカメラ28とから構成される。図4では、集光レンズ高さ測長システム26とフォーカス及び光軸調整用CCDカメラ28が重複して示されているので、符号で区別するようにしている。図3に記載のオートフォーカス用測長システム52,54によって、ガラス基板1から光学系部材50の両側下面までの高さを調整した場合、光学系部材50の下面の高さを同じにすることはできても、ガラス基板1から各集光レンズ541〜544までの高さを同じにすることができるとは限らない。そこで、この実施の形態では、XYテーブル20のX軸方向の側面のいずれか一方(図ではXYテーブル20の−X軸方向の側面)に集光レンズ高さ測長システム26を取り付け、ガラス基板1から各集光レンズ541〜544までの高さをそれぞれ測長するようにした。集光レンズ高さ測長システム26によって検出された各集光レンズ541〜544の高さに対応した信号は、制御装置80に出力される。制御装置80は、ガラス基板1から各集光レンズ541〜544までの高さが適正であるか否かの判定を行なう。集光レンズ高さ測長システム26の測長結果に応じて、各集光レンズ541〜544の配置(高さ)は調整されるようになっている。この場合、この集光レンズ541〜544の配置(高さ)の調整は、手動又は自動で行なえるように構成する。なお、集光レンズ高さ測長システム26を用いて、光学系部材50の下面の高さを測長するようにすれば、オートフォーカス用測長システム52,54を省略することが可能である。
フォーカス及び光軸調整用CCDカメラ28は、XYテーブル20のX軸方向の側面のいずれか一方(図ではXYテーブル20の−X軸方向の側面)であって、集光レンズ高さ測長システム26の隣接する位置(近傍)に設けられている。フォーカス及び光軸調整用CCDカメラ28は、XYテーブル20と光学系部材50の各集光レンズ541〜544との位置を関連付けるものであり、XYテーブル20の上空側を視認可能に設置されている。フォーカス及び光軸調整用CCDカメラ28によって撮像された映像は、制御装置80に出力される。制御装置80は、各集光レンズ541〜544から出射されるレーザ光の光軸が適正であるか否かの判定を行なう。すなわち、フォーカス及び光軸調整用CCDカメラ28は、光学系部材50の各集光レンズ541〜544から出射するレーザ光を直接観察することができるので、これを画像化することによって、制御装置80は、各集光レンズ541〜544のフォーカス及び光軸が適正であるか否かを判断することができる。また、レーザ発生装置40、光学系部材50などのレーザ光に係わる各光学系の交換した時に、交換前と交換後の画像を取得し数値化しておくことによって、交換後のフォーカス及び光軸の調整を容易に行なうことができる。さらに、複数ヘッドの場合、各レーザ光の画像を取得して数値化することによって、バラツキを適正に調整することができる。
第2検出光学系部材は、図2に示すように、ビームサンプラ92,93、高速フォトダイオード94及び光軸検査用CCDカメラ96から構成される。ビームサンプラ92,93は、光学系部材50内に導入されるレーザ光の光路中に設けられている。この実施の形態では、レーザ発生装置40と反射ミラー33との間に設けられている。ビームサンプラ92,93はレーザ光の一部(例えば、レーザ光の約0.4割程度又はそれ以下の光量)をサンプリングして外部に分岐出力する素子である。高速フォトダイオード94は、ビームサンプラ92で分岐出力されたレーザ光の一部(サンプリングビーム)を受光面のほぼ中央付近で受光するように配置される。高速フォトダイオード94によって検出されたレーザ光の強度に対応した出力信号は、制御装置80に出力される。光軸検査用CCDカメラ96は、ビームサンプラ93で分岐出力されたレーザ光の一部(サンプリングビーム)を受光面のほぼ中央付近で受光するように配置される。光軸検査用CCDカメラ96によって撮像された映像は、制御装置80に出力される。なお、光軸検査用CCDカメラ96は、高速フォトダイオード94に照射されるレーザ光の位置を示す画像を取り込み、その画像を制御装置80に出力するようにしてもよい。
制御装置80は、リニアエンコーダ70からの検出信号に基づいてグリッパ部106のX軸方向の移動速度(移動周波数)を検出し、レーザ発生装置40の出力(レーザ周波数)を制御し、高速フォトダイオード94及び光軸検査用CCDカメラ96から出力される信号に基づいてレーザ発生装置40から出射されるレーザ光のパルス抜けを検出したり、レーザ光の光軸ずれ量に基づいてレーザ発生装置40の出射条件を制御したり、光学系部材50内のレーザ光を導入するための反射ミラー33〜35の配置等をフィードバック制御する。
図5は、図2の制御装置80の処理の詳細を示すブロック図である。制御装置80は、分岐手段81、パルス抜け判定手段82、アラーム発生手段83、基準CCD画像記憶手段84、光軸ずれ量計測手段85、レーザコントローラ86、レンズ変位量計測手段87、レンズ高さ調整手段88、照射レーザ状態検査手段89及び照射レーザ調整手段8Aから構成される。
分岐手段81は、リニアエンコーダ70の検出信号(クロックパルス)を分岐して後段のレーザコントローラ86に出力する。パルス抜け判定手段82は、高速フォトダイオード94からのレーザ光強度に対応した出力信号(ダイオード出力)と分岐手段81から出力される検出信号(クロックパルス)とを入力し、それに基づいてレーザ光のパルス抜けを判定する。図6は、図5のパルス抜け判定手段82の動作の一例を示す図である。図6において、図6(A)は分岐手段81から出力される検出信号(クロックパルス)の一例、図6(B)は高速フォトダイオード94から出力されるレーザ光強度に対応した出力信号(ダイオード出力)の一例、図6(C)はパルス抜け判定手段82がパルス抜け検出時に出力するアラーム信号の一例をそれぞれ示す。
図6に示すように、パルス抜け判定手段82は、分岐手段81からのクロックパルスの立ち下がり時点をトリガ信号として、ダイオード出力値が所定のしきい値Th以上であるか否かの判定を行い、ダイオード出力値がしきい値Thよりも小さい場合には、ハイレベル信号をアラーム発生手段83に出力する。アラーム発生手段83は、パルス抜け判定手段82からの信号がローレベルからハイレベルに変化した時点でパルス抜けが発生したことを示すアラームを外部に報知する。アラームの報知は、画像表示、発音等の種々の方法で行なう。アラームの発生によって、オペレータはパルス抜けが発生したことを認識することができる。また、このアラームが頻繁に発生する場合には、レーザ発生装置の性能が劣化したか又は寿命になったことを意味する。
基準CCD画像記憶手段84は、図5に示すような基準CCD画像84aを記憶している。この基準CCD画像84aは、光軸検査用CCDカメラ96の受光面の中央にレーザ光が受光した状態の画像を示すものである。光軸検査用CCDカメラ96からは、図5に示すような被検査画像85aが出力される。光軸ずれ量計測手段85は、光軸検査用CCDカメラ96からの被検査画像85aを取り込み、これと基準CCD画像84aとを比較し、光軸のずれ量を計測し、そのずれ量をレーザコントローラ86に出力する。例えば、図5に示す被検査画像85aのような画像が光軸検査用CCDカメラ96から出力された場合には、光軸ずれ量計測手段85は、両者を比較して、X軸及びY軸方向のずれ量を計測し、それをレーザコントローラ86に出力する。レーザコントローラ86は、被検査画像85aと基準CCD画像84aとが一致するように、レーザ光の光軸に関係する装置、すなわちレーザ発生装置40の出射条件や光学系部材50内にレーザ光を導入するための反射ミラー33〜35の配置等をフィードバックして調整する。
レンズ変位量計測手段87は、集光レンズ高さ測長システム26によって検出された各集光レンズ541〜544の高さに対応した信号を入力し、各集光レンズ541〜544の高さが許容範囲内にあるか、この許容範囲よりも大きくずれているかを判定し、大きくずれている集光レンズ541〜544の高さをどの程度調整すればよいかを示す制御信号をレンズ高さ調整手段88に出力する。レンズ高さ調整手段88は、レンズ変位量計測手段87からの制御信号に応じて各集光レンズ541〜544の配置を調整する。なお、集光レンズ541〜544の高さ調整機構が存在しない場合には、レンズ高さ調整手段88は、レンズ変位量計測手段87からの制御信号に基づいて、集光レンズ541〜544のどれをどの程度調整すればよいのか、その調整情報をオペレータに伝達(視認表示、音声発音など)するようにしてもよい。
照射レーザ状態検査手段89は、フォーカス及び光軸調整用CCDカメラ28からの画像89aを取り込み、これに基づいてフォーカス及び光軸のずれ量を計測し、そのずれ量を照射レーザ調整手段8Aに出力する。例えば、図5に示すような画像89aがフォーカス及び光軸調整用CCDカメラから出力された場合には、照射レーザ状態検査手段89は、画像89a内の円状の輪郭線89b(集光レンズ541〜544の外縁に対応した線)を基準にフォーカス円89c(画像89a内の小円)の位置を検出し、フォーカス円89cが輪郭線89bのほぼ中央に位置しているか否かに基づいて光軸のX軸及びY軸方向のずれ量を計測し、それを照射レーザ調整手段8Aに出力する。また、照射レーザ状態検査手段89は、フォーカス円89cの大きさ(面積)を計測し、それも基づいたフォーカス位置を照射レーザ調整手段8Aに出力する。照射レーザ調整手段8Aは、照射レーザ状態検査手段89からの光軸のずれ量及びフォーカス位置に対応した信号に基づいて、光学系部材50内の各ハーフミラー511〜513及び反射ミラー521〜528の配置等をフィードバックして調整する。なお、レンズ高さ調整手段88及び照射レーザ調整手段8Aを省略して、これらの機能をレーザコントローラ86に持たせるようにしてもよい。
上述の実施の形態では、レーザ加工(スクライブ加工)時に光軸ずれ量計測手段85でレーザ光の光軸ずれを、パルス抜け判定手段82でパルス抜けをそれぞれ検査する場合について説明したが、図7に示すように高速フォトダイオード94からの出力波形に基づいてレーザ光のパルス状態を検査するようにしてもよい。例えば、図7では、レーザ光のパルス幅及びパルス高さを計測し、これらに異常が発生した場合にはアラームを発生するようにしてもよい。なお、レーザ光のパルス幅は、高速フォトダイオード94からの出力波形が所定値以上になっている期間が所定の範囲にある場合を正常とし、この範囲よりも大きかったり小さい場合にはパルス幅異常と判定し、アラームを出力する。また、レーザ光のパルス高さは、高速フォトダイオード94からの出力波形の最大値が許容範囲内に存在する場合を正常とし、この許容範囲よもも大きかったり小さい場合にはパルス高さ異常と判定し、アラームを出力する。このように、レーザ光を常時サンプリングしているので、リアルタイムでパルス幅、パルス高さ(パワー)などのレーザ光の品質を管理することができる。上述のようなパルス抜けが頻発するようになったら、レーザ発生装置40の劣化あるいは寿命と判断できる。
図8は、図2の光学系部材を下側(基板側)から見た図である。図8は、光学系部材50とベース板31の一部を示している。図8(A)は、図2に示す光学系部材50とベース板31との位置関係を示す図であり、図に示すように、光学系部材50の端面(図の上側端部)とベース板31の端面(図の上側端部)とが一致している。図8(B)は、光学系部材50が貫通穴37の中心を回転軸としてベース板31に対して左回りに約30度回転した状態を示す図である。図8(C)は、光学系部材50が貫通穴37の中心を回転軸としてベース板31に対して左回りに約45度回転した状態を示す図である。
この実施の形態に係るソーラパネル製造装置においては、光学系部材50がレーザ光の導入穴である貫通穴37の中心を回転軸として、自在に回転可能に構成されている。すなわち、分岐手段である光学系部材50は、図3の反射ミラー35からDOE500を通過してハーフミラー511に向かう垂直レーザ光の進行方向を中心軸として回転制御されている。これによって、レーザ光の分岐方向とレーザ光の基板に対する相対的な移動方向(図8の垂直方向)とのなす角度θを自在に可変制御することができる。なお、光学系部材50の回転駆動手段としては、ボールネジやリニアモータ等の既存の技術が用いられるが、これらの図示は省略する。
図8に示すように、レーザ光の分岐方向とレーザ光の走査方向(図8の垂直方向)とのなす角度を可変制御した場合でも、レーザ光の相対的な移動方向に対してDOE500は回転しないように構成している。すなわち、DOE500を使用することによって、レーザ光の照射形状は、図8の集光レンズ541〜544内に示したように、点線正方形のような照射形状を示すことになる。従って、光学系部材50の回転制御と共にDOE500を回転させると、集光レンズ541〜544内の点線正方形もその回転量に応じて回転するようになる。この状態でレーザ光を走査照射すると、スクライブ線の両側稜線に正方形の角が位置するようになり、稜線が波打ち形状を示すようになる。そこで、この実施の形態のように、光学系部材50を回転制御しても、DOE500は回転させないような構成とすることで、図8(B)及び図8(C)に示すように、走査方向(図8の垂直方向)と集光レンズ541〜544内の点線正方形の左右両辺とが一致し、スクライブ線の両側稜線を極めて滑らかに形成することができ、また、光学系部材50を回転させてスクライブ線のピッチを適宜制御した場合でも滑らかな稜線のスクライブ線を形成することが可能となる。なお、上述の実施の形態では、DOEをレーザ光の光路中に1つだけ設ける場合について説明したが、DOEを分岐後の各集光レンズの直前にそれぞれ設けてもよい。この場合でも、光学系部材50を回転制御しても各DOEは回転させないように構成する必要がある。DOE500は、光学系部材50とは分離した形でベース板31に直結して設けることによって、光学系部材50の回転から独立させることが可能である。
図9は、光学系部材の回転量とスクライブ線のピッチ幅との関係を示す図である。図9(A)は図8(A)に示すように光学系部材50が回転していない状態、図9(B)は図8(B)に示すように光学系部材50が約30度回転した状態、図9(C)は図8(C)に示すように光学系部材50が約45度回転した状態でそれぞれレーザスクライブ加工処理を行なった場合のスクライブ線の状態を示す図である。図9(A)の場合のスクライブ線のピッチをP0とすると、図9(B)の場合のピッチP30はP0×cos30°となり、図9(C)の場合のピッチP45はP0×cos45°となる。このように、この実施の形態に係るソーラパネル製造装置は、光学系部材50の回転角度を適宜調整することによって、スクライブ線のピッチ幅を所望の値に適宜可変調整することができる。
図10は、図1のアライメント部102,104に設けられる基板検出カメラシステムの一例を示す図である。図10(A)は、ガラス基板と基板検出カメラとの関係を示す側面図であり、図10(B)はその上面図である。アライメント部102,104には、基板検出カメラシステムとアライメントカメラシステムが設けられ、ガラス基板の検出とそのアライメント処理を行っている。基板検出カメラ65〜68は、エア浮上搬送されるガラス基板1がアライメント部102,104上に載置されるときに、ガラス基板1の四隅付近の画像をその上側から取得するものである。図10では、ガラス基板1がアライメント部102,104上に載置され、グリッパ部106,108に保持されてX軸方向にエア浮上移動して、レーザ加工ステーション10に投入される直前の様子を示す。図10(B)に示す画像65a〜68aは、基板検出カメラ65〜68によって取得されたガラス基板1の四隅付近の画像である。基板検出カメラ65〜68の相対的な位置関係は予め設定された既知の値なので、画像65a〜68aに示すように、曲がりや反りのないガラス基板1の四隅の各頂点は、基板検出カメラ65〜68の撮像範囲のほぼ中央付近に位置するように設定されている。従って、画像65a〜68aの中で各頂点の位置がずれていた場合、そのずれ量に基づいてガラス基板1の曲がり(反り)を検出することができるようになっている。また、画像65a〜68aに基づいてガラス基板1の四隅付近の欠けを検出することができる。なお、基板検出カメラ65〜68をガラス基板1の各辺に沿って移動させることによってガラス基板1の各辺の欠けを検出することができる。
図11は、下に凸の曲がり(反り)を有するガラス基板を図1の基板検出カメラシステムが検出する場合の一例を示す図である。図11において、図10と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。図11が図10と異なる点は、エア浮上搬送されたガラス基板1fが下に凸の曲がり(反り)を有する点である。下に凸の曲がり(反り)を有するガラス基板1fがアライメント部102,104上に載置されると、基板検出カメラ65〜68にはガラス基板1fの四隅の各頂点がガラス基板1fの中心側にずれた状態の画像65b〜68bが撮像される。また、この画像65b〜68bに示すように、ガラス基板1fの四隅の各頂点付近に曲がり(反り)の大きさに応じた2本の平行な縁線が確認できるので、この場合は、ガラス基板1fは下に凸の状態でアライメント部102,104上にエア浮上した状態で載置されていることを検出することができる。
図12は、上に凸の曲がり(反り)を有するガラス基板を基板検出カメラシステムが検出する場合の一例を示す図である。図12において、図10及び図11と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。図12が図10及び図11と異なる点は、ガラス基板1gが上に凸の曲がり(反り)を有する点である。上に凸の曲がり(反り)を有するガラス基板1gはアライメント部102,104上でエア浮上しようとしてもエア浮上が困難であり、図12に示すようにガラス基板1gの周縁部がアライメント部102,104の表面に接触するようなぎりぎりの状態で載置される。また、基板検出カメラ65〜68には図11(B)と同じようにガラス基板1gの四隅の各頂点がガラス基板1gの中心側にずれた状態の画像65c〜68cが撮像されるが、この画像65c〜68cには、図11(B)の場合とは異なり、ガラス基板1gの四隅の各頂点付近に1本の縁線のみが確認できるだけである。従って、この場合は、ガラス基板1gは上に凸の状態でアライメント部102,104上にエア浮上できない状態で載置されていることを検出することができる。
図13は、図1のアライメント部102,104に設けられる基板検出カメラシステムの別の一例を示す図である。図10の実施の形態では、基板検出カメラ65〜68は基板1の四隅付近の上部に設けられていたが、この実施の形態では、2台の基板検出カメラ65,68がガラス基板1の対角付近の上側に位置するようになっている。図13(A)において、ガラス基板1がアライメント部102,104上に載置された状態で、点線で示すガラス基板1がその位置から矢印のように右側に移動して実線で示すガラス基板1の位置(ガラス基板1の対角の上部に基板検出カメラ65,68が位置するような位置)に移動する。このガラス基板1の移動時に、基板検出カメラ68は、移動するガラス基板1の辺12の画像を取得する。そして、基板移動終了時には、基板検出カメラ65,68はガラス基板1の対角付近の頂点の画像(図10〜図12の画像65a〜65c,68a〜68c)を取得する。ガラス基板1が停止した状態で、今度は基板検出カメラ65,68は、図13(B)に示すように、点線矢印に沿って移動する。この基板検出カメラ65,68の移動時に、基板検出カメラ65は、ガラス基板1の辺13の画像を取得し、基板検出カメラ68は、ガラス基板1の辺14の画像を取得する。基板検出カメラ65,68の移動終了時には、基板検出カメラ65,68はガラス基板1の別の対角付近の頂点の画像(図10〜図12の画像66a〜65c,67a〜67c)を取得する。基板検出カメラ65,68が停止した状態で、今度はガラス基板1が図13(C)に示すように、点線で示すガラス基板1がその位置から矢印のように右側に移動して実線で示すガラス基板1の位置に移動する。このガラス基板1の移動時に、基板検出カメラ65は、移動するガラス基板1の辺15の画像を取得する。上述の一連の動作によって、2台の基板検出カメラ65,68を用いて、図10〜図12の場合と同様に、画像65a〜68a,65b〜68b,65c〜68cと基板1の各辺の画像を取得することができる。これによって、画像65a〜68a,65b〜68b,65c〜68cに基づいてガラス基板1の曲がり(反り)の方向や基板1の各辺の欠けを検出することができる。なお、一連の検出動作終了後に、基板検出カメラ65,68を図13(A)の初期位置に復帰させてもよいし、復帰させずに、逆の動作を行なうようにしてもよい。
上述のように、基板検出カメラ65〜68を用いた基板検出カメラシステムによって、アライメント部102,104上においてガラス基板が上に凸の曲がり(反り)で載置されているのか、下に凸の曲がり(反り)で載置されているのかを検出し、図12に示すように上に凸の曲がり(反り)で載置されている場合には、アライメント部102,104から表裏反転機構部143上にガラス基板を戻して、そこで表裏反転して又は表裏反転しないで、ガラス基板が下に凸の曲がり(反り)で載置されるようにする。ガラス基板が上に凸となる曲がり(反り)で載置されると、ガラス基板の搬送時にガラス基板の周縁部が十分に浮上しきれず、ステージに接触し、最悪の場合、ガラス基板がステージに接触した衝撃で破損するおそれがあるので、上述のようにガラス基板については下に凸の曲がり(反り)で載置されるようにするのが好ましい。また、ガラス基板を下に凸の曲がり(反り)で載置した場合、加工時にはエア浮上と共に吸引されるため、ドミノ効果によってガラス基板の曲がり(反り)が強制され、曲がり(反り)が軽減され、曲がり(反り)の軽減によって、オートフォーカスの調整量を少なくすることができる。従って、曲がり(反り)のあるガラス基板においては、下に凸の曲がり(反り)で載置した方が好ましい。なお、ガラス基板に曲がり(反り)が発生するのは、成膜装置によって形成された膜面の外側方向に曲がる傾向にあるので、予め成膜装置によって形成された膜面側を下側にするようにしてもよい。図11〜図13は、アライメントカメラで基板の反り状態を検出する例を上げたが、図には図示していないがアライメントカメラ65〜68のユニットに基板とアライメントカメラユニット間の距離を測定するユニットを搭載することで基板の反りを測定するようにしてもよい。
図14は、図1のアライメント部102,104に設けられるアライメントカメラシステムの一例を示す図である。アライメントカメラシステムは、ガラス基板1の両端部(X軸方向の前後縁部)付近の画像を取得する。このアライメントカメラカステムで取得された画像は、制御装置80に出力される。制御装置80は、アライメントカメラシステムからの画像を、ガラス基板1のIDデータ及び表裏フラグと共にデータベース手段に格納し、これ以降のガラス基板1のアライメント処理に利用する。表裏フラグは基板の表を示す場合は「0」、裏を示す場合は「1」が格納される。図14は最初のスクライブ処理前のアライメント部の一例を示し、図15は、2回目以降のスクライブ処理前のアライメント部の一例をそれぞれ示す図である。まず、図14に示すようにガラス基板1を載置した状態でガラス基板1の左側端部の下側縁部を位置決めピン21に、ガラス基板1の下側端部の左側縁部を位置決めピン22に、ガラス基板1の下側端部の右側縁部を位置決めピン23に、それぞれ突き当て、ガラス基板1を所定位置に位置決めする。この状態でガラス基板1上の透明電極層にレーザ光を照射し、スクライブ処理を実行する。最初のスクライブ処理の結果、ガラス基板1上には、ピッチ約10mmでスクライブ線が形成される。
図14は複数のスクライブ線のうち、基板中央付近の1本のスクライブ線25を示す。このスクライブ線25の両端部付近、すなわちスクライブ線25とガラス基板1の縁部との両方を含む箇所27,29付近の画像27a,29aを前述のアライメントカメラシステムで取得する。画像27a,29aを見ると分かるように、画像の中にスクライブ線25の画像とガラス基板1の縁部の形状の画像の両方を含んでいるので、画像認識処理が容易となる。取得された画像27a,29aは制御装置80によってガラス基板1のIDデータ及び基板表裏フラグ「0」と共にデータベース手段75に順次記憶される。なお、この基板の表面に関するデータを取得後にガラス基板1の表裏を反転して同様に基板の裏面に関しても画像データを取得し、ガラス基板1のIDデータ及び基板表裏フラグ「1」と共にデータベース手段75に順次記憶する。
図14に示すように、レーザ加工によるスクライブ処理終了後に画像27a,29aの取得処理が終了すると、次は、次段の成膜装置でこの透明電極層の上に半導体層を形成する処理が行なわれる。半導体層形成処理が終了した後、ガラス基板1に対して前述と同様のレーザ光によるスクライブ処理が実行される。この2回目のスクライブ処理の前に図15に示すような方法でアライメント処理が行なわれる。
図15では、基板検出カメラ65〜68を用いた基板検出カメラシステムによって、アライメント部102,104上においてガラス基板が下に凸の曲がり(反り)で載置されるようにし、次に上述のアライメント処理と同じようにガラス基板1を載置した状態でガラス基板1の左側端部の下側縁部を位置決めピン21に、ガラス基板1の下側端部の左側縁部を位置決めピン22に、ガラス基板1の下側端部の右側縁部を位置決めピン23に、それぞれ突き当て、ガラス基板1を所定位置に位置決めする。この状態で、スクライブ線25の両端部付近、すなわちスクライブ線25とガラス基板1の縁部との両方を含む箇所27,29付近の画像27b,29bをアライメントカメラシステムで取得する。一方、制御装置80は、データベース手段75からガラス基板1のIDデータ及び表裏フラグに対応した画像27a,29aを読み出す。制御装置80によって、読み出された画像27a,29aと、アライメントカメラシステムで取得された画像27b,29bとが比較され、両者が一致するように、X軸,Y軸及びθ軸が制御され、正確なアライメント処理が行なわれる。
図15に示すようにして、画像27a,29aと画像27b,29bの比較処理によるアライメント処理が終了すると、前回のスクライブ線25から約30μmはなれた位置でレーザ光によるスクライブ処理が実行される。このスクライブ処理が終了すると、次段の成膜装置で半導体層の上に金属層を形成する処理が行なわれる。再び、レーザ加工装置に基板が搬入され、図15と同様のアライメント処理が行なわれ、ガラス基板1に対して同様にレーザ光によるスクライブ処理が実行される。これによって、ガラス基板1には、3本のスクライブ線が形成される。
図16は、本発明に係るソーラパネル製造装置のループ方式の実施例を示す図である。図16において、図1と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。この製造装置が図1のものと異なる点は、図1の製造装置のレーザ加工ステーション101に存在したアライメント部104が省略され、搬入出ロボットステーション142が図の右側から左側への一方向の搬送を行う点である。従って、図16の製造装置では、表裏反転機構部143に搬入されたガラス基板1mは、ガラス基板1nとしてアライメント部102でアライメント処理される。その後、ガラス基板1o,1pとして加工エリア部112で所定の加工が施される。加工後のガラス基板1qはレーザ加工ステーション101から搬入出ロボットステーション142の右端へガラス基板1rとして搬送され、そこからガラス基板1mとして表裏反転機構部143に搬送されて、そこで表裏反転されて又は表裏反転されずにローラコンベア121に搬出される。図16の製造装置では、レーザ加工中にアライメント部102でアライメント処理を行っている。グリッパ部106はレーザ加工終了後、ガラス基板を直ちに搬入出ロボットステーション142へ搬送すると、グリッパ106をアライメント部102に移動させてガラス基板を保持して、同様のレーザ加工処理を行っている。すなわち、ガラス基板は製造装置上をループ状に移動する。従って、タクトタイムは図1の場合よりも若干大きくなるが、表裏反転機構部143を1個設けるだけでよく、装置を簡略化することができる。
図17は、本発明に係るソーラパネル製造装置のリターン方式の別の実施例を示す図である。図17において、図1と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。この製造装置が図1のものと異なる点は、ローラコンベア121及び表裏反転機構部143に対するガラス基板の搬入出処理をハンドリングアーム方式の基板搬送ロボット146を用いるようにした点である。従って、図17の製造装置では、ローラコンベア121からガラス基板1xを表裏反転機構部143に搬入し、そこで表裏反転を行い又は表裏反転を行なわずに、ガラス基板1nとしてアライメント部102に搬送するか又は基板搬送ロボット146を用いて再度搬入出ロボットステーション144の右端へガラス基板1rとして搬送する。レーザ加工ステーション101では、図1と同様に、両サイドのアライメント部102,104でアライメント処理を行いレーザ加工処理を行なう。なお、表裏反転機構部を別途ガラス基板1rの箇所に設けてもよいし、表裏反転機構部143を省略してローラコンベア121と搬入出ロボットステーション144との間に別の表裏反転機構部を設けるようにしてもよい。
図18は、本発明に係るソーラパネル製造装置のダブルサイド方式の実施例を示す図である。この実施例は、図1のアライメント部102,104を備えたレーザ加工ステーション101の両側からガラス基板を搬入出するようにしたものである。図18において、図1と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。この製造装置が図1のものと異なる点は、レーザ加工ステーション101の両側にローラコンベア121,122が設けられ、ローラコンベア121,122に表裏反転機構部147,148が設けられている点である。従って、図18の製造装置では、両側のローラコンベア121,122からガラス基板1x1,1x2,1y1,1y2,1z1,1z2のように順番に表裏反転機構部147,148を経由してアライメント部102,104に搬入出される。レーザ加工ステーション101は、図1と同様に、両サイドのアライメント部102,104でアライメント処理されたガラス基板に対してレーザ加工処理を行なう。なお、表裏反転機構部が不要な場合は、表裏反転機構部147,148は省略してもよい。
上述の実施の形態では、最初のスクライブ処理の結果、ガラス基板1上に形成されたスクライブ線を含む画像を取得する場合について説明したが、2回目のスクライブ処理の結果、ガラス基板1上に形成された2本のスクライブ線を含む画像を取得して、それを用いてアライメント処理を行なうようにしてもよい。また、上述の実施の形態では、アライメントカメラシステムと基板検出カメラ65〜68を別々に設ける場合について説明したが、アライメントカメラシステムに図11に示すような移動機構を設けて、基板検出カメラ65〜68の機能を兼用させるようにしてもよい。
上述の実施の形態では、パルス抜けの発生だけを見ているが、パルス抜けが発生した箇所の座標データ(位置データ)を取得して記憶することによって、スクライブ線のリペア処理を行なうことが可能となる。
上述の実施の形態では、光軸検査用CCDカメラ96を用いてビームサンプラ93で分岐出力されたレーザ光の一部(サンプリングビーム)を直接受光して、それを画像処理することによって、光軸ずれを検査する場合について説明したが、高速フォトダイオード94の受光面の中央にレーザ光が受光した状態を示す画像を被検査画像として光軸検査用CCDカメラ96あるいは分割型フォトダイオードで取得することによって光軸ずれを検査するようにしてもよい。
上述の実施の形態では、レーザ光の光軸ずれ及びパルス抜けを検査する場合について説明したが、光軸ずれ、パルス抜け、パルス幅及びパルス高さのそれぞれを適宜組み合わせてレーザ光の状態を検査するようにしてもよい。
上述の実施の形態では、薄膜の形成されたガラス基板1の表面からレーザ光を照射して薄膜にスクライブ線(溝)を形成する場合について説明したが、ガラス基板1の裏面からレーザ光を照射して、基板表面の薄膜にスクライブ線を形成するようにしてもよい。
上述の実施の形態では、ソーラパネル製造装置を例に説明したが、本発明はELパネル製造装置、ELパネル修正装置、FPD修正装置などのレーザ加工を行なう装置にも適用可能である。