JP2011175601A - 透明導電性膜及びタッチパネル - Google Patents

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Abstract

【課題】抵抗膜方式タッチパネルにおけるニュートンリングの発生を有効に抑制でき、かつ打鍵耐久性にも優れる透明導電性膜を提供する。
【解決手段】1又は複数のポリマーと、1又は複数の硬化した硬化性樹脂前駆体とを含み、かつ相分離構造を有する相分離層の上に、導電性ポリマーを含む透明導電層が形成し、透明導電性膜を製造する。この透明導電性膜は、表面に凹凸構造を有しており、算術平均粗さRaが0.01〜0.1μm、最大高さRtが0.1〜1μmであり、十点平均粗さRzが0.1〜1μmであり、かつ凸部の頂部間平均間隔Smが50〜300μm程度であってもよい。前記相分離層は、セルロース誘導体と、重合性基を有する(メタ)アクリル系樹脂と、3以上の(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物と、フッ素含有硬化性化合物とで構成されていてもよい。この透明導電性膜は、抵抗膜方式タッチパネルの透明電極として適している。
【選択図】なし

Description

本発明は、電気・電子又は精密機器の表示部において、表示装置と組み合わせて用いられる透明導電性膜及びこの透明導電性膜を備えたタッチパネルに関する。
近年、マンマシンインターフェースとしての電子ディスプレイの進歩に伴い、対話型の入力システムが普及し、なかでもタッチパネル(座標入力装置)をディスプレイと一体化した装置がATM(現金自動受払機)、商品管理、アウトワーカー(外交、セールス)、案内表示、娯楽機器などで広く使用されている。液晶ディスプレイなどの軽量・薄型ディスプレイでは、キーボードレスにでき、その特長が生きることから、モバイル機器にもタッチパネルが使用されるケースが増えている。タッチパネルは、位置検出の方法により、光学方式、超音波方式、静電容量方式、抵抗膜方式などに分類できる。これらのうち、抵抗膜方式は、構造が単純で価格/性能比も優れるため、近年、急速に普及している。
抵抗膜方式のタッチパネルは、対向する側に透明電極を有する2枚のフィルム又は板を一定間隔で保持して構成されている電気部品である。その作動方式は、一方の透明電極を固定した上で、視認側からペン又は指で他方の透明電極を押圧し、撓ませて、固定した透明電極と接触、導通することにより、検出回路が位置を検知し、所定の入力がなされる。このようなタッチパネルの作動方式において、ペン又は指で電極を押圧する際、押圧している指やペンなどのポインティング治具の周辺に、干渉による虹模様(いわゆる、「ニュートンリング」と呼ばれる干渉色又は干渉縞)が現れることがあり、画面の視認性を低下させる。詳しくは、2枚の透明電極が接触するか又は接触のために撓み、対向する2枚の透明電極の間隔が可視光の波長程度(約0.5μm)となったときに、2枚の透明電極に挟まれた空間で反射光の干渉を生じ、ニュートンリングが発生する。このようなニュートンリングの発生は、抵抗膜方式のタッチパネルの原理上、不可避の現象である。このようなタッチパネルにおけるニュートンリングを軽減する対策として、透明電極を形成する支持体フィルムの表面に凹凸構造を形成する方法が提案されている。
一方で、透明電極としては、通常、透明フィルムの上に、酸化インジウム−酸化錫系複合酸化物(ITO)などの金属酸化物で構成された透明導電層をスパッタリングなどでのドライプロセスで形成した電極が使用されている。しかし、金属酸化物で構成された透明導電層は脆く、このためタッチパネルの使用による押圧による外力により繰り返し応力を受けた場合の耐久性(打鍵耐久性)が低い。さらに、金属酸化物で構成された透明導電層は、硬質であるため、凹凸構造を形成した電極に対する追従性も低い。
これに対して、凹凸構造を有する透明電極の透明導電層として、透明導電性ポリマーの利用が検討されており、例えば、特開2007−12484号公報(特許文献1)には、基体と、導電性粒子及び第1のバインダを含有する導電性粒子層と、ビーズ及び第2のバインダを含有する導電膜層とが、この順序で積層されており、前記導電膜層の前記導電粒子層と反対側の表面が凹凸を有する透明導電体が開示されている。この文献には、ビーズ及び第2のバインダの構成材料として、ポリチオフェン、ポリピロールなどの導電性高分子が好ましいと記載されている。
また、特開2009−193913号公報(特許文献2)には、透明シートの片面に、マイクロシリカ粒子及び接着剤からなる接着層と導電性高分子からなる層とが形成された導電性シートや、透明シートの片面に、接着層とマイクロシリカ粒子を含む導電性高分子からなる層とが形成された導電性シートにおいて、最外面の表面が微細凹凸形状を有することが開示されている。
しかし、これらの透明導電層では、微粒子で導電性が付与され、かつ凹凸構造が形成されているため、層中で微粒子を均一に分散させるのが困難であり、光学特性が低く、チラツキの原因となる。また、凹凸構造のパターンが大きいため、コート剤の追従性も低いため、導電性も充分でない。さらに、打鍵耐久性が低く、繰り返しの打鍵により、導電性微粒子が損傷したり、脱落することで電気特性が変化してしまう問題点があった。
一方で、凹凸構造の形成方法として、複数の樹脂の相分離を利用する方法として、特開2009−123685号公報(特許文献3)には、高分子フィルム、硬化樹脂層及び透明導電層がこの順序に積層された積層体であって、硬化樹脂層が、二種の成分を相分離して形成された凹凸を有し、かつ凹凸を付与するための微粒子を含有せず、硬化樹脂層の算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以上0.5μm未満であり、十点平均粗さ(Rz)が0.5μm以上2μm未満である透明導電性積層体が開示されている。
しかし、この文献には、透明導電層を構成する材料として、導電性高分子材料が例示されているものの、酸化インジウム及び/又は酸化スズが特に好ましいと記載され、実施例ではITO膜がスパッタリング法で形成されている。また、硬化樹脂層が、硬化性ポリマーだけで形成されており、繰り返し打鍵された場合の打鍵耐久性が充分でない。さらに、凹凸構造も大きいため、透明導電層の追従性やアンチニュートンリング性も十分でない。
特開2007−12484号公報(特許請求の範囲、段落[0037][0042]) 特開2009−193913号公報(特許請求の範囲) 特開2009−123685号公報(特許請求の範囲、段落[0035]〜[0037]、実施例)
従って、本発明の目的は、抵抗膜方式タッチパネルにおけるニュートンリングの発生を有効に抑制でき、かつ打鍵耐久性にも優れる透明導電性膜及びこの透明導電膜を備えたタッチパネルを提供することにある。
本発明の他の目的は、膜表面で均一な導電性を有するとともに、ギラツキやチラツキを抑制できる鮮明な画像を表示できる透明導電性膜及びこの透明導電膜を備えたタッチパネルを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、繰り返し打鍵しても、割れや損傷が抑制され、ニュートンリング防止効果の低下を抑制できる透明導電性膜及びこの透明導電膜を備えたタッチパネルを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、所定の相分離構造を有する相分離層の上に、導電性ポリマーを含む透明導電層が形成された透明導電性膜を、抵抗膜方式タッチパネルの透明電極に利用すると、抵抗膜方式タッチパネルにおけるニュートンリングの発生を有効に抑制でき、かつ打鍵耐久性に優れることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の透明導電性膜は、表面に凹凸構造を有しており、1又は複数のポリマーと、1又は複数の硬化した硬化性樹脂前駆体とを含み、かつ相分離構造を有する相分離層の上に、導電性ポリマーを含む透明導電層が形成されている。表面の凹凸構造は、JIS B 0601に準拠した算術平均粗さRaが0.01〜0.1μm、最大高さRtが0.1〜1μmであり、十点平均粗さRzが0.1〜1μmであり、かつ凸部の頂部間平均間隔Smが50〜300μmであってもよい。本発明の透明導電性膜は、入射光を等方的に透過して散乱し、かつ散乱光強度の極大値を示す散乱角が0.1〜10°であるとともに、全光線透過率が70〜100%である。特に、全光線透過率が80〜100%であり、0.5mm幅の光学櫛を用いた写像性測定器で測定した透過像鮮明度が50〜100%であり、散乱光強度の極大値を示す散乱角が0.5〜3°であり、かつヘイズが1〜20%であってもよい。前記相分離層において、ポリマーは、液相からのスピノーダル分解により相分離可能な複数のポリマーで構成されるとともに、複数のポリマーのうち、少なくとも1つのポリマーは、硬化性樹脂前駆体の硬化反応に関与する官能基を有し、かつ硬化性樹脂前駆体が、複数のポリマーのうち、少なくとも一種のポリマーと相溶性を有していてもよい。液相からのスピノーダル分解により相分離する複数のポリマーは、セルロース誘導体と、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂及びポリエステル系樹脂から選択された少なくとも一種の樹脂とで構成され、前記ポリマーのうち少なくとも1つのポリマーが、重合性基を有するとともに、硬化性樹脂前駆体が、少なくとも2つの重合性不飽和結合を有する多官能単量体で構成されていてもよい。前記相分離層は、セルロース誘導体と、重合性基を有する(メタ)アクリル系樹脂と、3以上の(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物と、フッ素含有硬化性化合物とで構成されていてもよい。前記相分離層は、ポリマーと硬化性樹脂前駆体とを5/95〜60/40(重量比)の割合で含んでいてもよい。前記導電性ポリマーは、ポリチオフェン系重合体を含んでいてもよい。本発明の透明導電性膜は、抵抗膜方式タッチパネルの透明電極であってもよい。この透明電極は、指又は押圧部材と接触する側に位置する上部透明電極であってもよい。
本発明には、前記透明導電性膜を備える抵抗膜方式タッチパネルも含まれる。さらに、本発明には、前記透明導電性膜を用いて抵抗膜方式タッチパネルにおけるニュートンリングの発生を防止する方法も含まれる。
本発明では、相分離により、規則的で均一性が高く、なだらかな凹凸構造が形成された相分離層の上に、導電性ポリマーで構成された透明導電層を積層するため、前記相分離層の構造によって、抵抗膜方式タッチパネルにおけるニュートンリングの発生を有効に抑制できるとともに、微粒子を用いることなく形成された凹凸構造に対して、追従性の高い導電性ポリマーで被覆しているため、打鍵耐久性も向上できる。また、膜表面で均一な導電性を有するとともに、ギラツキやチラツキを抑制できる鮮明な画像を表示できる。さらに、硬化性樹脂のみからなる二成分系に加えて、セルロース誘導体などの非硬化性成分を含む三成分系であるため、柔軟性に優れ、クッション性、衝撃吸収性が期待できる。従って、繰り返し打鍵しても、割れや損傷が抑制され、ニュートンリング防止効果の低下を抑制できる。
図1は、透明導電性膜の光透過散乱特性(透過散乱光の角度分布)を測定するための装置を示す概略図である。 図2は、本発明のタッチパネルの一例を示す概略断面図である。 図3は、実施例1で得られた導電性ポリマーを塗布する前の膜表面のレーザー顕微鏡写真である。 図4は、実施例1で得られた導電性ポリマーを塗布した後の透明導電性膜表面のレーザー顕微鏡写真である。 図5は、比較例2で得られた導電性ポリマーを塗布する前の膜表面のレーザー顕微鏡写真である。 図6は、比較例2で得られた導電性ポリマーを塗布した後の透明導電性膜表面のレーザー顕微鏡写真である。
[相分離層]
本発明の透明導電性膜は、相分離構造を有する相分離層の上に透明導電層が形成されている。相分離層の相分離構造は、液相からのスピノーダル分解(湿式スピノーダル分解)により形成されている。すなわち、ポリマーと硬化性樹脂前駆体と溶媒とで構成された樹脂組成物を用い、この樹脂組成物の液相(又は均一溶液やその塗布層)から、溶媒を乾燥などにより蒸発又は除去する過程で、濃縮に伴って、スピノーダル分解による相分離が生じ、相間距離が微細で比較的規則的な相分離構造を形成できる。より具体的には、前記湿式スピノーダル分解は、通常、1又は複数のポリマーと1又は複数の硬化性樹脂前駆体と溶媒とを含む混合液又は樹脂組成物(均一溶液)を支持体にコーティングし、形成された塗布層から溶媒を蒸発させることにより行うことができる。前記支持体として剥離性支持体を用いる場合には、硬化した塗布層の上にさらに透明導電層を形成した後、得られた透明導電性膜を支持体から剥離することにより透明導電性膜を得ることができ、支持体として非剥離性支持体(好ましくは透明支持体)を用いることにより、支持体と透明導電性膜とで構成された積層体を得ることができる。このような相分離構造による凹凸構造は、微粒子による凹凸構造と比較して微細であり、かつ硬質な微粒子を用いなくとも凹凸構造を形成できるので打鍵耐久性が向上する。
(ポリマー成分)
ポリマー成分としては、通常、熱可塑性樹脂が使用される。熱可塑性樹脂としては、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、有機酸ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、オレフィン系樹脂(脂環式オレフィン系樹脂を含む)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(2,6−キシレノールの重合体など)、セルロース誘導体(セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類など)、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)、ゴム又はエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなど)などが例示できる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
スチレン系樹脂には、スチレン系単量体の単独又は共重合体(ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体など)、スチレン系単量体と他の重合性単量体[(メタ)アクリル系単量体、無水マレイン酸、マレイミド系単量体、ジエン類など]との共重合体などが含まれる。スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレンと(メタ)アクリル系単量体との共重合体[スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体など]、スチレン−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。好ましいスチレン系樹脂には、ポリスチレン、スチレンと(メタ)アクリル系単量体との共重合体[スチレン−メタクリル酸メチル共重合体などのスチレンとメタクリル酸メチルを主成分とする共重合体]、AS樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体などが含まれる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体、(メタ)アクリル系単量体と共重合性単量体との共重合体などが使用できる。(メタ)アクリル系単量体には、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸C1−10アルキル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸シクロアルキル;(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリール;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル;イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートなどの橋架環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートなどが例示できる。共重合性単量体には、前記スチレン系単量体、ビニルエステル系単量体、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸などが例示できる。これらの単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸イソボルニルなどが挙げられる。好ましい(メタ)アクリル系樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキル、特にメタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%程度)とするメタクリル酸メチル系樹脂が挙げられる。さらに、(メタ)アクリル系樹脂は、シリコーン含有(メタ)アクリル系樹脂であってもよい。
有機酸ビニルエステル系樹脂としては、ビニルエステル系単量体の単独又は共重合体(ポリ酢酸ビニル、ポリプロピオン酸ビニルなど)、ビニルエステル系単量体と共重合性単量体との共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)又はそれらの誘導体が挙げられる。ビニルエステル系樹脂の誘導体には、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール樹脂などが含まれる。
ビニルエーテル系樹脂としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルt−ブチルエーテルなどのビニルC1−10アルキルエーテルの単独又は共重合体、ビニルC1−10アルキルエーテルと共重合性単量体との共重合体(ビニルアルキルエーテル−無水マレイン酸共重合体など)が挙げられる。
ハロゲン含有樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。
オレフィン系樹脂には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィンの単独重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などの共重合体が挙げられる。脂環式オレフィン系樹脂としては、環状オレフィン(ノルボルネン、ジシクロペンタジエンなど)の単独又は共重合体(例えば、立体的に剛直なトリシクロデカンなどの脂環式炭化水素基を有する重合体など)、前記環状オレフィンと共重合性単量体との共重合体(エチレン−ノルボルネン共重合体、プロピレン−ノルボルネン共重合体など)などが例示できる。脂環式オレフィン系樹脂は、例えば、商品名「トパス(TOPAS)」、商品名「アートン(ARTON)」、商品名「ゼオネックス(ZEONEX)」などとして入手できる。
ポリカーボネート系樹脂には、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)をベースとする芳香族ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネートなどが含まれる。
ポリエステル系樹脂には、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸を用いた芳香族ポリエステル[ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリC2−4アルキレンテレフタレートやポリC2−4アルキレンナフタレートなどのホモポリエステル、C2−4アルキレンアリレート単位(C2−4アルキレンテレフタレート及び/又はC2−4アルキレンナフタレート単位)を主成分(例えば、50重量%以上)として含むコポリエステルなど]が例示できる。コポリエステルとしては、ポリC2−4アルキレンアリレートの構成単位のうち、C2−4アルキレングリコールの一部を、ポリオキシC2−4アルキレングリコール、C5−10アルキレングリコール、脂環式ジオール(シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなど)、芳香環を有するジオール(9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、ビスフェノールA、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体など)などで置換したコポリエステル、芳香族ジカルボン酸の一部を、フタル酸、イソフタル酸などの非対称芳香族ジカルボン酸、アジピン酸などの脂肪族C6−12ジカルボン酸などで置換したコポリエステルが含まれる。ポリエステル系樹脂には、ポリアリレート系樹脂、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸を用いた脂肪族ポリエステル、ε−カプロラクトンなどのラクトンの単独又は共重合体も含まれる。好ましいポリエステル系樹脂は、通常、非結晶性コポリエステル(例えば、C2−4アルキレンアリレート系コポリエステルなど)などのように非結晶性である。
ポリアミド系樹脂としては、ポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12などの脂肪族ポリアミド、ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸など)とジアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン)とから得られるポリアミドなどが挙げられる。ポリアミド系樹脂には、ε−カプロラクタムなどのラクタムの単独又は共重合体であってもよく、ホモポリアミドに限らずコポリアミドであってもよい。
セルロース誘導体のうちセルロースエステル類としては、例えば、脂肪族有機酸エステル(セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテート;セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのC1−6有機酸エステルなど)、芳香族有機酸エステル(セルロースフタレート、セルロースベンゾエートなどのC7−12芳香族カルボン酸エステル)、無機酸エステル類(例えば、リン酸セルロース、硫酸セルロースなど)が例示でき、酢酸・硝酸セルロースエステルなどの混合酸エステルであってもよい。セルロース誘導体には、セルロースカーバメート類(例えば、セルロースフェニルカーバメートなど)、セルロースエーテル類(例えば、シアノエチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシC2−4アルキルセルロース;メチルセルロース、エチルセルロースなどのC1−6アルキルセルロース;カルボキシメチルセルロース又はその塩、ベンジルセルロース、アセチルアルキルセルロースなど)も含まれる。
好ましい熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂、及びゴム又はエラストマーなどが挙げられる。樹脂としては、通常、非結晶性であり、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶な樹脂が使用される。特に、成形性又は製膜性、透明性や耐候性の高い樹脂、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類など)などが好ましい。
ポリマー成分としては、硬化反応に関与する官能基(又は硬化性化合物と反応可能な官能基)を有するポリマーを用いることもできる。前記ポリマーは、官能基を主鎖に有していてもよく、側鎖に有していてもよい。前記官能基は、共重合や共縮合などにより主鎖に導入されてもよいが、通常、側鎖に導入される。このような官能基としては、縮合性基や反応性基(例えば、ヒドロキシル基、酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基又はイミノ基、エポキシ基、グリシジル基、イソシアネート基など)、重合性基(例えば、ビニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、アリルなどのC2−6アルケニル基、エチニル、プロピニル、ブチニルなどのC2−6アルキニル基、ビニリデンなどのC2−6アルケニリデン基、又はこれらの重合性基を有する基((メタ)アクリロイル基など)など)などが挙げられる。これらの官能基のうち、重合性基が好ましい。
重合性基を側鎖に導入する方法としては、例えば、反応性基や縮合性基などの官能基を有する熱可塑性樹脂と、前記官能基との反応性基を有する重合性化合物とを反応させる方法を用いることができる。
官能基を有する熱可塑性樹脂としては、カルボキシル基又はその酸無水物基を有する熱可塑性樹脂(例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂など)、ヒドロキシル基を有する熱可塑性樹脂(例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース誘導体、ポリアミド系樹脂など)、アミノ基を有する熱可塑性樹脂(例えば、ポリアミド系樹脂など)、エポキシ基を有する熱可塑性樹脂(例えば、エポキシ基を有する(メタ)アクリル系樹脂やポリエステル系樹脂など)などが例示できる。また、スチレン系樹脂やオレフィン系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂に、前記官能基を共重合やグラフト重合で導入した樹脂であってもよい。
重合性化合物としては、カルボキシル基又はその酸無水物基を有する熱可塑性樹脂の場合は、エポキシ基やヒドロキシル基、アミノ基、イソシアネート基などを有する重合性化合物などを用いることができる。ヒドロキシル基を有する熱可塑性樹脂の場合は、カルボキシル基又はその酸無水物基やイソシアネート基などを有する重合性化合物などが挙げられる。アミノ基を有する熱可塑性樹脂の場合は、カルボキシル基又はその酸無水物基やエポキシ基、イソシアネート基などを有する重合性化合物などが挙げられる。エポキシ基を有する熱可塑性樹脂の場合は、カルボキシル基又はその酸無水物基やアミノ基などを有する重合性化合物などが挙げられる。
前記重合性化合物のうち、エポキシ基を有する重合性化合物としては、例えば、エポキシシクロヘキセニル(メタ)アクリレートなどのエポキシシクロC5−8アルケニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどが例示できる。ヒドロキシル基を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC1−4アルキル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのC2−6アルキレングリコール(メタ)アクリレートなどが例示できる。アミノ基を有する重合性化合物としては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノC1−4アルキル(メタ)アクリレート、アリルアミンなどのC3−6アルケニルアミン、4−アミノスチレン、ジアミノスチレンなどのアミノスチレン類などが例示できる。イソシアネート基を有する重合性化合物としては、例えば、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレートやビニルイソシアネートなどが例示できる。カルボキシル基又はその酸無水物基を有する重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸や無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸又はその無水物などが例示できる。
代表的な例としては、カルボキシル基又はその酸無水物基を有する熱可塑性樹脂とエポキシ基含有化合物、特に(メタ)アクリル系樹脂((メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)とエポキシ基含有(メタ)アクリレート(エポキシシクロアルケニル(メタ)アクリレートやグリシジル(メタ)アクリレートなど)の組み合わせが挙げられる。具体的には、(メタ)アクリル系樹脂のカルボキシル基の一部に重合性不飽和基を導入したポリマー、例えば、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体のカルボキシル基の一部に、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチルアクリレートのエポキシ基を反応させて、側鎖に光重合性不飽和基を導入した(メタ)アクリル系ポリマー(サイクロマーP、ダイセル化学工業(株)製)などが使用できる。
熱可塑性樹脂に対する硬化反応に関与する官能基(特に重合性基)の導入量は、熱可塑性樹脂1kgに対して、0.001〜10モル、好ましくは0.01〜5モル、さらに好ましくは0.02〜3モル程度である。
これらのポリマーは適宜組み合わせて使用できる。すなわち、ポリマーは複数のポリマーで構成されていてもよい。複数のポリマーは、液相スピノーダル分解により、相分離可能であってもよい。また、複数のポリマーは、互いに非相溶であってもよい。複数のポリマーを組み合わせる場合、第1の樹脂と第2の樹脂との組み合わせは特に制限されないが、加工温度付近で互いに非相溶な複数のポリマー、例えば、互いに非相溶な2つのポリマーとして適当に組み合わせて使用できる。例えば、第1の樹脂がスチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体など)である場合、第2の樹脂は、セルロース誘導体(例えば、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースエステル類)、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチルなど)、脂環式オレフィン系樹脂(ノルボルネンを単量体とする重合体など)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂(前記ポリC2−4アルキレンアリレート系コポリエステルなど)などであってもよい。また、例えば、第1のポリマーがセルロース誘導体(例えば、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースエステル類)である場合、第2のポリマーは、スチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体など)、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂(ノルボルネンを単量体とする重合体など)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂(前記ポリC2−4アルキレンアリレート系コポリエステルなど)などであってもよい。複数の樹脂の組合せにおいて、少なくともセルロースエステル類(例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースC2−4アルキルカルボン酸エステル類)を用いてもよい。
なお、スピノーダル分解により生成された相分離構造は、活性光線(紫外線、電子線など)や熱などにより最終的に硬化し、硬化樹脂を形成する。そのため、硬化樹脂で構成された相分離層の存在により、透明支持体がポリエチレンテレフタレートなどのプラスチックである場合、透明支持体の内部から熱によりオリゴマーなどの低分子成分が析出することも抑制できる。さらに、相分離層に耐擦傷性を付与でき、タッチパネル操作を繰り返しても表面構造の損傷などが抑制でき、耐久性を向上できる。
硬化後の耐擦傷性の観点から、複数のポリマーのうち、少なくとも一つのポリマー、例えば、互いに非相溶なポリマーのうち一方のポリマー(第1の樹脂と第2の樹脂とを組み合わせる場合、特に両方のポリマー)が硬化性樹脂前駆体と反応可能な官能基を側鎖に有するポリマーであるのが好ましい。
第1のポリマーと第2のポリマーとの割合(重量比)は、例えば、前者/後者=1/99〜99/1、好ましくは5/95〜95/5、さらに好ましくは10/90〜90/10程度の範囲から選択でき、通常、20/80〜80/20程度、特に30/70〜70/30程度である。
なお、相分離構造を形成するためのポリマーとしては、前記非相溶な2つのポリマー以外にも、前記熱可塑性樹脂や他のポリマーが含まれていてもよい。
ポリマーのガラス転移温度は、例えば、−100〜250℃、好ましくは−50〜230℃、さらに好ましくは0〜200℃程度(例えば、50〜180℃程度)の範囲から選択できる。なお、表面硬度の観点から、ガラス転移温度は、50℃以上(例えば、70〜200℃程度)、好ましくは100℃以上(例えば、100〜170℃程度)であるのが有利である。ポリマーの重量平均分子量は、例えば、1,000,000以下、好ましくは1,000〜500,000程度の範囲から選択できる。
(硬化性樹脂前駆体)
硬化性樹脂前駆体としては、熱や活性エネルギー線(紫外線や電子線など)などにより反応する官能基を有する化合物であり、熱や活性エネルギー線などにより硬化又は架橋して樹脂(特に硬化又は架橋樹脂)を形成可能な種々の硬化性化合物が使用できる。前記樹脂前駆体としては、例えば、熱硬化性化合物又は樹脂[エポキシ基、重合性基、イソシアネート基、アルコキシシリル基、シラノール基などを有する低分子量化合物(例えば、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂など)]、活性光線(紫外線など)により硬化可能な光硬化性化合物(光硬化性モノマー、オリゴマーなどの紫外線硬化性化合物など)などが例示でき、光硬化性化合物は、EB(電子線)硬化性化合物などであってもよい。なお、光硬化性モノマー、オリゴマーや低分子量であってもよい光硬化性樹脂などの光硬化性化合物を、単に「光硬化性樹脂」という場合がある。
光硬化性化合物には、例えば、単量体、オリゴマー(又は樹脂、特に低分子量樹脂)が含まれる。単量体は、例えば、1つの重合性基を有する単官能単量体と、少なくとも2つの重合性基を有する多官能単量体とに分類できる。
単官能単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル系単量体、ビニルピロリドンなどのビニル系単量体、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートなどの橋架環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
多官能単量体には、2〜8程度の重合性基を有する多官能単量体が含まれ、2官能単量体としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどのアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)オキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、アダマンタンジ(メタ)アクリレートなどの橋架環式炭化水素基を有するジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
3〜8官能単量体としては、例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
オリゴマー又は樹脂としては、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体の(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート(ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ノボラック型エポキシ(メタ)アクリレートなど)、ポリエステル(メタ)アクリレート(例えば、脂肪族ポリエステル型(メタ)アクリレート、芳香族ポリエステル型(メタ)アクリレートなど)、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート(ポリエステル型ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル型ウレタン(メタ)アクリレートなど)、シリコーン(メタ)アクリレートなどが例示できる。これらの(メタ)アクリレートオリゴマー又は樹脂には、前記ポリマー成分における(メタ)アクリル系樹脂の項で例示された共重合性単量体が含まれていてもよい。これらの光硬化性化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
さらに、硬化性樹脂前駆体は、相分離層の強度を向上する点などから、フッ素原子や無機粒子を含有していてもよい。フッ素原子を含有する前駆体(フッ素含有硬化性化合物)としては、前記単量体及びオリゴマーのフッ化物、例えば、フッ化アルキル(メタ)アクリレート[例えば、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレートやトリフルオロエチル(メタ)アクリレートなど]、フッ化(ポリ)オキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート[例えば、フルオロエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、フルオロプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなど]、フッ素含有エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂などが挙げられる。無機粒子を含有する前駆体としては、例えば、表面に重合性基を有する無機粒子(例えば、重合性基を有するシランカップリング剤で表面を修飾したシリカ粒子など)などが例示できる。表面に重合性基を有するナノサイズのシリカ粒子としては、例えば、JSR(株)製から、多官能ハイブリッド系UV硬化剤(Z7501)が市販されている。
好ましい硬化性樹脂前駆体は、短時間で硬化できる光硬化性化合物、例えば、紫外線硬化性化合物(モノマー、オリゴマーや低分子量であってもよい樹脂など)、EB硬化性化合物である。特に、実用的に有利な樹脂前駆体は、紫外線硬化性樹脂である。さらに、繰り返しの使用(打鍵)に対する耐久性を向上させるため、光硬化性樹脂は、2官能以上(好ましくは2〜10官能、さらに好ましくは3〜8官能程度)の光硬化性化合物、特に、多官能(メタ)アクリレート、例えば、3官能以上(特に4〜8官能)の(メタ)アクリレートを含むのが好ましい。
さらに、本発明では、硬化性樹脂前駆体は、5〜7官能(メタ)アクリレートと、3〜4官能(メタ)アクリレートとを組み合わせてもよい。両者の割合(重量比)は、例えば、前者/後者=100/0〜30/70、好ましくは99/1〜50/50、さらに好ましくは90/10〜60/40程度である。
また、硬化性樹脂前駆体は、表面張力を低下させ、塗膜表面に滑らか(又はなだらか)な凹凸構造を形成し、ヘイズ値を低下できるとともに、層の強度も向上できる点から、多官能(メタ)アクリレートに加えて、前記フッ素含有硬化性化合物(特に、フッ化アルキル鎖を含む(メタ)アクリレートなどのフッ素原子及び(メタ)アクリロイル基を有する単量体)を含むのが好ましい。フッ素含有硬化性化合物の割合は、多官能(メタ)アクリレート100重量部に対して、例えば、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜1重量部、さらに好ましくは0.1〜0.5重量部程度である。
硬化性樹脂前駆体の分子量としては、ポリマーとの相溶性を考慮して5000以下、好ましくは2000以下、さらに好ましくは1000以下程度である。
硬化性樹脂前駆体は、その種類に応じて、硬化剤を含んでいてもよい。例えば、熱硬化性樹脂では、アミン類、多価カルボン酸類などの硬化剤を含んでいてもよく、光硬化性樹脂では光重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤としては、慣用の成分、例えば、アセトフェノン類又はプロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキシド類などが例示できる。光硬化剤などの硬化剤の含有量は、硬化性樹脂前駆体100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1〜8重量部(特に1〜5重量部)程度であり、3〜8重量部程度であってもよい。
さらに、硬化性樹脂前駆体は硬化促進剤を含んでいてもよい。例えば、光硬化性樹脂は、光硬化促進剤、例えば、第三級アミン類(ジアルキルアミノ安息香酸エステルなど)、ホスフィン系光重合促進剤などを含んでいてもよい。
少なくとも1つのポリマー及び少なくとも1つの硬化性樹脂前駆体のうち、少なくとも2つの成分が、加工温度付近で互いに相分離する組み合わせで使用される。相分離する組み合わせとしては、例えば、(a)複数のポリマー同士が互いに非相溶で相分離する組み合わせ、(b)ポリマーと硬化性樹脂前駆体とが非相溶で相分離する組み合わせや、(c)複数の硬化性樹脂前駆体同士が互いに非相溶で相分離する組み合わせなどが挙げられる。これらの組み合わせのうち、通常、(a)複数のポリマー同士の組み合わせや、(b)ポリマーと硬化性樹脂前駆体との組み合わせであり、特に(a)複数のポリマー同士の組み合わせが好ましい。相分離させる両者の相溶性が高い場合、溶媒を蒸発させるための乾燥過程で両者が有効に相分離せず、相分離層としての機能が低下する。
なお、熱可塑性樹脂と硬化性樹脂前駆体(又は硬化樹脂)とは、互いに相溶であってもよく、非相溶であってもよい。ポリマーと硬化性樹脂前駆体とが非相溶で相分離する場合に、ポリマーとして複数のポリマーを用いてもよい。複数のポリマーを用いる場合、少なくとも1つのポリマーが樹脂前駆体(又は硬化樹脂)に対して非相溶であればよく、他のポリマーは前記樹脂前駆体と相溶してもよい。
また、互いに非相溶な2つの熱可塑性樹脂と、硬化性化合物(特に複数の硬化性官能基を有するモノマー又はオリゴマー)との組み合わせであってもよい。さらに、硬化後の耐擦傷性の観点から、前記非相溶な熱可塑性樹脂のうち一方のポリマー(特に両方のポリマー)が硬化反応に関与する官能基(前記硬化性樹脂前駆体の硬化に関与する官能基)を有する熱可塑性樹脂であってもよい。
ポリマーを互いに非相溶な複数のポリマーで構成して相分離する場合、硬化性樹脂前駆体は、非相溶な複数のポリマーのうち、少なくとも1つのポリマーと加工温度付近で互いに相溶する組合せで使用される。すなわち、互いに非相溶な複数のポリマーを、例えば、第1の樹脂と第2の樹脂とで構成する場合、硬化性樹脂前駆体は少なくとも第1の樹脂又は第2の樹脂のどちらかと相溶すればよく、好ましくは両方のポリマー成分と相溶してもよい。両方のポリマー成分に相溶する場合、第1の樹脂及び硬化性樹脂前駆体を主成分とした混合物と、第2の樹脂及び硬化性樹脂前駆体を主成分とした混合物との少なくとも二相に相分離する。
具体的には、複数のポリマーがセルロース誘導体と重合性基を有する(メタ)アクリル系樹脂の組み合わせであり、かつ硬化性樹脂前駆体が多官能(メタ)アクリレートである場合、ポリマー同士が非相溶で相分離するとともに、重合性基を有する(メタ)アクリル系樹脂と多官能(メタ)アクリレートとの組み合わせも非相溶で相分離し、セルロース誘導体と多官能(メタ)アクリレートとが相溶であってもよい。
選択した複数のポリマー及び硬化性樹脂前駆体の相溶性が高い場合、溶媒を蒸発させるための乾燥過程でポリマー同士又はポリマーと前駆体とが有効に相分離せず、相分離層としての機能が低下する。複数のポリマーや前駆体の相分離性は、双方の成分に対する良溶媒を用いて均一溶液を調製し、溶媒を徐々に蒸発させる過程で、残存固形分が白濁するか否かを目視にて確認することにより簡便に判定できる。
さらに、ポリマーと硬化又は架橋樹脂との屈折率の差、複数のポリマー(第1の樹脂と第2の樹脂)との屈折率の差は、例えば、0.001〜0.2、好ましくは0.05〜0.15程度であってもよい。
スピノーダル分解において、相分離の進行に伴って共連続相構造を形成し、さらに相分離が進行すると、連続相が自らの表面張力により非連続化し、液滴相構造(球状、真球状、円盤状や楕円体状などの独立相の海島構造)となる。従って、相分離の程度によって、共連続相構造と液滴相構造との中間的構造(上記共連続相から液滴相に移行する過程の相構造)も形成できる。相分離層の相分離構造は、海島構造(液滴相構造、又は一方の相が独立または孤立した相構造)、共連続相構造(又は網目構造)であってもよく、共連続相構造と液滴相構造とが混在した中間的構造であってもよい。これらの相分離構造により溶媒乾燥後には相分離層の表面に微細な凹凸を形成できる。
前記相分離構造において、表面凹凸構造を形成し、かつ表面硬度を高める点からは、少なくとも島状ドメインを有する液滴相構造であるのが有利である。なお、ポリマーと前記前駆体(又は硬化樹脂)とで構成された相分離構造が海島構造である場合、ポリマー成分が海相を形成してもよいが、表面硬度の観点から、ポリマー成分が島状ドメインを形成するのが好ましい。なお、島状ドメインの形成により、乾燥後には相分離層の表面に微細な凹凸を形成できる。
さらに、前記相分離構造のドメイン間の平均距離は、通常、実質的に規則性又は周期性を有している。例えば、ドメインの平均相間距離は、例えば、1〜70μm(例えば、1〜40μm)、好ましくは2〜50μm(例えば、3〜30μm)、さらに好ましくは5〜20μm(例えば、10〜20μm)程度であってもよい。
ポリマーと硬化性樹脂前駆体との割合(重量比)は、特に制限されず、例えば、前者/後者=5/95〜95/5程度の範囲から選択でき、表面硬度の観点から、好ましくは5/95〜60/40程度であり、さらに好ましくは10/90〜50/50、特に10/90〜40/60程度である。
相分離層には、種々の添加剤、例えば、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、界面活性剤、水溶性高分子、充填剤、架橋剤、カップリング剤、着色剤、難燃剤、滑剤、ワックス、防腐剤、粘度調整剤、増粘剤、レベリング剤、消泡剤などが含まれていてもよい。
相分離層の厚みは、例えば、0.3〜20μm程度、好ましくは1〜15μm(例えば、1〜10μm)程度であってもよく、通常、2〜10μm(特に3〜7μm)程度である。
[透明導電層]
透明導電層は導電性ポリマーで構成されている。本発明では、相分離層の凹凸構造を有する表面に、追従性の高い導電性ポリマーで構成された透明導電層を形成することにより、透明導電層を均一で規則的な凹凸構造とすることができる。その結果、上部透明導電層と下部透明導電層間で形成される空気層厚みを不均一とすることができるため、界面反射光の干渉によるニュートンリングの発生を抑制できる。また、繰り返しの打鍵に対して、相分離層の凹凸構造の耐久性が高い。さらに、追従性の高い導電性ポリマーで均一に被覆できるため、膜表面における導電性の均一性が高い。
導電性ポリマーとしては、透明でかつ導電性を有する共役系高分子物質であれば特に限定されず、慣用の導電性ポリマー、例えば、ポリアセチレン系重合体(例えば、ポリアセチレンなど)、ポリチオフェン系重合体(例えば、ポリチオフェンなど)、ポリフェニレン系重合体(例えば、ポリパラフェニレンなど)、ポリピロール系重合体(例えば、ポリピロールなど)、ポリアニリン系重合体(例えば、ポリアニリンなど)、アクリル系重合体で変性されたポリエステル系重合体(例えば、イソブチルメタクリレートとブチルアクリレートとの共重合体で変性された高重合度のポリエステル系重合体など)などが挙げられる。これらの導電性ポリマー単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。例えば、ポリチオフェン系重合体とアクリル系重合体で変性されたポリエステル系重合体とを組み合わせてもよい。これらの導電性ポリマーのうち、水性溶媒に可溶で取り扱い性に優れる点から、ポリチオフェン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体が汎用され、導電性、化学的安定性及び透明性に優れる点から、ポリチオフェン系重合体が好ましい。
ポリチオフェン系重合体は、通常、ポリ(チオフェン−2,5−ジイル)単位を有している。チオフェンは置換体(通常、3位及び/又は4位の置換体)であってもよい。置換チオフェンとしては、例えば、モノアルキルチオフェン(例えば、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−プロピルチオフェン、3−ヘキシルチオフェンなどのC1−10アルキル−チオフェンなど)、3,4−ジヒドロキシチオフェン、ジアルコキシチオフェン(例えば、3,4−ジメトキシチオフェン、3,4−ジエトキシチオフェン、3,4−ジプロポキシチオフェンなどのジC1−6アルコキシ−チオフェンなど)、アルキレンジオキシチオフェン(例えば、3,4−メチレンジオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−プロピレンジオキシチオフェンなどのC1−4アルキレンジオキシチオフェンなど)、シクロアルキレンジオキシチオフェン[例えば、3,4−(1,2−シクロヘキシレン)ジオキシチオフェンなどのC5−12シクロアルキレン−ジオキシチオフェンなど]などが挙げられる。なお、アルキレンジオキシチオフェン及びシクロアルキレンジオキシチオフェンは、アルキレン基及びシクロアルキレン基が、さらに、メチル基やエチル基などのC1−12アルキル基やフェニル基などのC5−12アリール基などで置換されていてもよい。これらのチオフェン又は置換チオフェンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのチオフェン及び置換チオフェンのうち、通常、チオフェン、3−ヘキシルチオフェンなどのモノアルキルチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェンなどのアルキレンジオキシチオフェン、3,4−(1,2−シクロヘキシレン)ジオキシチオフェンなどのシクロアルキレンジオキシチオフェンなどが使用され、成形性や導電性などの点から、3,4−エチレンジオキシチオフェンなどの3,4−アルキレンジオキシチオフェンや3,4−ジエトキシチオフェンなどの3,4−ジアルコキシ−チオフェン、特に、3,4−C1−4アルキレンジオキシチオフェンが好ましい。また、ポリチオフェン系重合体は、このようなチオフェン単位とビニレン単位とを有する共重合体であってもよい。
ポリチオフェン系重合体としては、具体的には、ポリチオフェン、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)などのポリ(3−C1−8アルキル−チオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ[3,4−(1,2−シクロヘキシレン)ジオキシチオフェン]などのポリ(3,4−(シクロ)アルキレンジオキシチオフェン)、ポリチエニレンビニレンなどが挙げられる。
透明導電層には、さらにアニオン性重合体が含まれていてもよい。特に、導電性ポリマーは、重合工程でアニオン性重合体の存在下、重合される。例えば、ポリチオフェン系重合体は、通常、アニオン性重合体の存在下で酸化重合されるため、アニオン性重合体と組み合わせて用いることができる。
アニオン性重合体としては、カルボキシル基及びスルホン酸基から選択された少なくとも一種のアニオン性基又はその塩を有する重合体、例えば、カルボキシル基又はその塩を有する重合体[例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸−無水マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体などの(メタ)アクリル酸系重合体又はその塩など]、スルホン酸基又はその塩を有する重合体(例えば、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸など)、カルボキシル基及びスルホン酸基又はそれらの塩を有する重合体[例えば、(メタ)アクリル酸−スチレンスルホン酸共重合体など]などが挙げられる。アニオン性重合体の塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、トリエチルアミンなどのアルキルアミン、アルカノールアミンなどの有機アミン塩などが挙げられる。これらのアニオン性重合体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのアニオン性重合体のうち、スルホン酸基を有する重合体、例えば、ポリスチレンスルホン酸などが好ましい。
アニオン性重合体の数平均分子量は、例えば、1000〜2,000,000、好ましくは2000〜1,000,0000、さらに好ましくは2000〜500,000程度である。
アニオン性重合体の割合は、導電性ポリマー100重量部に対して、例えば、10〜2000重量部、好ましくは30〜1000重量部、さらに好ましくは50〜500重量部(特に100〜300重量部)程度である。
透明導電層には、前記相分離層と同様の種々の添加剤が含まれていてもよい。特に、界面活性剤やシランカップリング剤などが含まれていてもよい。
透明導電層の厚みは、例えば、0.01〜1μm、好ましくは0.01〜0.5μm、さらに好ましくは0.03〜0.3μm(特に0.05〜0.2μm)程度である。
前記のように、透明導電性膜は、相分離層及び透明導電層単独で構成してもよく、支持体と、この支持体上に形成された相分離層及び透明導電層とで構成してもよい。支持体としては、光透過性を有する支持体、例えば、合成樹脂フィルムなどの透明支持体が使用される。また、光透過性を有する支持体は、光学部材を形成するための透明ポリマーフィルムで構成されていてもよい。
透明導電性膜の厚みは、例えば、1〜25μm、好ましくは2〜20μm、さらに好ましくは5〜15μm程度である。なお、透明支持体に積層しない場合、透明導電性膜の厚みは、例えば、1〜100μm、好ましくは3〜50μm程度の範囲から選択してもよい。
[透明支持体]
透明支持体(又は基材シート)としては、ガラス、セラミックスの他、樹脂シートが例示できる。透明支持体を構成する樹脂としては、前記アンチニュートンリング層と同様の樹脂が使用できる。好ましい透明支持体としては、透明性ポリマーフィルム、例えば、セルロース誘導体[セルローストリアセテート(TAC)、セルロースジアセテートなどのセルロースアセテートなど]、ポリエステル系樹脂[ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアリレート系樹脂など]、ポリスルホン系樹脂[ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど]、ポリエーテルケトン系樹脂[ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなど]、ポリカーボネート系樹脂(ビスフェノールA型ポリカーボネートなど)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、環状ポリオレフィン系樹脂[トパス(TOPAS)(登録商標)、アートン(ARTON)(登録商標)、ゼオネックス(ZEONEX)(登録商標)など]、ハロゲン含有樹脂(ポリ塩化ビニリデンなど)、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂(ポリスチレンなど)、酢酸ビニル又はビニルアルコール系樹脂(ポリビニルアルコールなど)などで形成されたフィルムが挙げられる。透明支持体は1軸又は2軸延伸されていてもよい。
光学的に等方性の透明支持体には、ガラス、未延伸又は延伸プラスチックシート又はフィルムが例示でき、例えば、ポリエステル系樹脂(PET、PBTなど)、セルロースエステル類(セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースアセテートC3−4有機酸エステル)、特に、PETなどのポリエステル系樹脂で形成されたシート又はフィルムが例示できる。これらの支持体のうち、透明導電性膜を上部透明電極(指又はペンなどの押圧部材と接触する側に位置する透明電極)に用いる場合は、可撓性が必要であるため、プラスチックシート又はフィルム(未延伸又は延伸プラスチックシート又はフィルム)を利用できる。
二次元的構造の支持体の厚みは、例えば、5〜2000μm、好ましくは15〜1000μm、さらに好ましくは20〜500μm程度の範囲から選択できる。
[透明導電性膜の特性]
本発明の透明導電性膜は、表面に前記相分離構造に対応した微細な凹凸構造が多量に形成されているため、タッチパネル(特に抵抗膜方式タッチパネル)におけるニュートンリングの発生を有効に予防又は抑制できる。また、透過像の鮮明性も高いため、表示装置の表示部に対して、ギラツキが抑制された鮮明な画像を表示できる。
さらに、前記のように、相分離構造において、ドメインの平均相間距離は実質的に規則性又は周期性を有している。そのため、透明導電性膜に入射して透過する光は、相間平均距離(又は表面凹凸構造の周期性)に対応したブラッグ反射により、直進透過光とは離れた特定角度に散乱光極大を示す。すなわち、本発明の透明導電性膜は、入射光を等方的に透過して散乱又は拡散するものの、散乱光(透過散乱光)は、散乱中心からシフトした散乱角[例えば、0.1〜10°、好ましくは0.2〜8°、さらに好ましくは0.3〜5°(特に、0.5〜3°)程度]で光強度の極大値を示す。従って、直進透過光のプロファイルに対して表面凹凸による散乱光が悪影響を及ぼすことがなく、従来の微粒子分散型のアンチニュートンリング膜とは異なり、ニュートンリングを抑制するとともに、表示装置の画像に対してギラツキも解消できる。
透過光散乱強度の極大値の判定としては、散乱光強度の角度分布プロファイルにおいて、ピーク状に分離した場合に加えて、ショルダー状ピークや平坦状ピークである場合も極大値を有するとみなして、その角度をピーク角度とした。
なお、透明導電性膜を透過した光の角度分布は、図1に示すように、He−Neレーザなどのレーザ光源1と、ゴニオメーターに設置した光受光器4を備えた測定装置を用いて測定できる。なお、この例では、レーザ光源1からのレーザ光をNDフィルタ2を介して試料3に照射し、試料からの散乱光を、レーザ光の光路に対して散乱角度θで変角可能であり、かつ光電子増幅管を備えた検出器(光受光器)4により検出し、散乱強度と散乱角度θとの関係を測定している。
また、タッチパネルの下部に配設される表示装置の表示部におけるギラツキや文字ボケの評価は、目視による蛍光灯の映りこみによる評価、及びJlS K7105に従ってグロスメーターを用いて評価できる。さらに、ギラツキ及び文字ボケの評価は、解像度200ppi程度の高精細液晶表示装置を用いて評価でき、より簡単には高精細CRTディスプレイ装置や150ppi程度の液晶用カラーフィルターとバックライトとを組み合わせた簡易評価装置を用いて目視にて評価できる。
本発明の透明導電性膜の全光線透過率は、例えば、70〜100%、好ましくは80〜100%、さらに好ましくは85〜100%(特に、85〜95%)程度である。
本発明の透明導電性膜のヘイズは、0.1〜50%程度の範囲から選択でき、例えば、0.1〜20%、好ましくは0.5〜15%、さらに好ましくは1〜10%(特に2〜8%)程度である。本発明では、このような低いヘイズ値を有することにより、アンチニュートンリング性と表示装置の表示部における視認性とを両立できる。
本発明の透明導電性膜の透過像鮮明度は、0.5mm幅の光学櫛を用いた写像性測定器で測定した場合、例えば、50〜l00%、好ましくは55〜99%、さらに好ましくは60〜95%(特に65〜90%)程度である。透過像鮮明度が前記範囲にあると、直進透過光の散乱が少ないため、タッチパネルを高精細表示装置の上に配設した場合であっても、各々の画素からの散乱が少なくなり、その結果ギラツキを防止できる。
透過像鮮明度とは、膜を透過した光のボケや歪みを定量化する尺度である。透過像鮮明度は、膜からの透過光を移動する光学櫛を通して測定し、光学櫛の明暗部の光量により値を算出する。すなわち、膜が透過光をぼやかす場合、光学櫛上に結像されるスリットの像は太くなるため、透過部での光量は100%以下となり、一方、不透過部では光が漏れるため0%以上となる。透過像鮮明度の値Cは光学櫛の透明部の透過光最大値Mと不透明部の透過光最小値mから次式により定義される。
C(%)=[(M−m)/(M+m)]×100
すなわち、Cの値が100%に近づく程、透明導電性膜による像のボケが小さい[参考文献;須賀、三田村,塗装技術,1985年7月号]。
表面の凹凸構造について、前述の規則に加えて、均一で微小な凹凸構造が形成されている。JIS B 0601に準拠した測定方法において、算術平均粗さRaは、例えば、0.005〜0.5μm、好ましくは0.01〜0.3μm、さらに好ましくは0.01〜0.1μm(特に0.02〜0.08μm)程度である。最大高さRtは、例えば、0.05〜2μm(例えば、0.1〜1.5μm)、好ましくは0.1〜1μm、さらに好ましくは0.2〜0.8μm(特に0.3〜0.6μm)程度である。十点平均粗さRzは、例えば、0.05〜2μm(例えば、0.1〜1.5μm)、好ましくは0.1〜1μm、さらに好ましくは0.1〜0.45μm(特に0.2〜0.45μm)程度である。凸部の頂部間平均間隔Smは、例えば、10〜500μm、好ましくは50〜300μm、さらに好ましくは100〜250μm程度である。
さらに、本発明では、相分離相の上に、導電性ポリマーで構成された透明導電層が形成されているため、透明導電層が膜表面を均一に被覆している。従って、膜表面における導電性の均一性が高く、例えば、後述する実施例に記載の測定方法において、表面抵抗値の標準偏差が1以下、好ましくは0.01〜0.5、さらに好ましくは0.05〜0.3程度であり、変動係数が20%以下、好ましくは0.1〜10%、さらに好ましくは0.5〜5%(特に1〜3%)程度である。
[透明導電性膜の製造方法]
本発明の透明導電性膜は、ポリマーと硬化性樹脂前駆体と溶媒とを含む液相(又は液状組成物)から、前記溶媒の蒸発に伴うスピノーダル分解により、相分離構造を形成する相分離工程と、前記硬化性樹脂前駆体を硬化させ、相分離層を形成する硬化工程と、相分離層の上に導電性ポリマーと溶媒とを含む液相を塗布又は流延して透明導電層を形成する工程とを経ることによりを得ることができる。
前記相分離工程は、通常、前記ポリマーと硬化性樹脂前駆体と溶媒とを含む混合液(特に均一溶液などの液状組成物)を前記支持体に塗布又は流延する工程と、塗布層又は流延層から溶媒を蒸発させて規則的又は周期的な平均相間距離を有する相分離構造を形成する工程とで構成されている。好ましい態様では、前記混合液として、前記熱可塑性樹脂と、光硬化性化合物と、光重合開始剤と、前記熱可塑性樹脂および光硬化性化合物を可溶な溶媒とを含む組成物が使用でき、スピノーダル分解により形成された相分離構造の光硬化成分を光照射により硬化することにより相分離層が形成される。また、他の好ましい態様では、前記混合液として、前記互いに非相溶な複数のポリマーと、光硬化性化合物と、光重合開始剤と、溶媒とを含む組成物が使用でき、スピノーダル分解により形成された相分離構造の光硬化成分を光照射により硬化することにより相分離層が形成される。
湿式スピノーダル分解において、溶媒は、前記ポリマー及び硬化性樹脂前駆体の種類及び溶解性に応じて選択でき、少なくとも固形分(複数のポリマー及び硬化性樹脂前駆体、反応開始剤、その他添加剤)を均一に溶解できる溶媒であればよい。そのような溶媒としては、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、脂肪族炭化水素類(ヘキサンなど)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、水、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、1−メトキシ−2−プロパノールなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルなど)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)などが例示できる。また、溶媒は混合溶媒であってもよい。
混合液中の溶質(ポリマー及び硬化性樹脂前駆体、反応開始剤、その他添加剤)の濃度は、相分離が生じる範囲及び流延性やコーティング性などを損なわない範囲で選択でき、例えば、1〜80重量%、好ましくは5〜60重量%、さらに好ましくは15〜40重量%(特に20〜40重量%)程度である。
なお、透明支持体に前記混合液を塗布すると、溶媒の種類によっては透明支持体が溶解又は膨潤する場合がある。例えば、トリアセチルセルロースフィルムに、複数の樹脂を含有する塗布液(均一溶液)を塗布すると、溶媒の種類によって、トリアセチルセルロースフィルムの塗布面が溶出、侵食若しくは膨潤する場合がある。このような場合、透明支持体(トリアセチルセルロースフィルムなど)の塗布面に予め耐溶剤性コーティング剤を塗布し、光学的に等方性の耐溶剤性コーティング層を形成していてもよい。このようなコーティング層は、例えば、AS樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂(ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)などの熱可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、紫外線硬化型樹脂などの硬化性樹脂などを用いて形成できる。
また、混合液又は塗布液を透明支持体に塗布する場合、透明支持体の種類に応じて、透明支持体を溶解・侵食若しくは膨潤しない溶媒を選択してもよい。例えば、透明支持体としてポリエステルフィルムを用いる場合、混合液又は塗布液の溶媒として、例えば、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、イソプロパノール、1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、トルエンなどを用いると、フィルムの性質を損なうことなく、相分離層を形成できる。
塗布方法としては、慣用の方法、例えば、スプレー、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、リバースコーター、バーコーター、コンマコーター、ディップ・スクイズコーター、ダイコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、シルクスクリーンコーター法、ディップ法、スプレー法、スピナー法などが挙げられる。これらの方法のうち、バーコーター法やグラビアコーター法などが汎用される。なお、必要であれば、塗布液は複数回に亘り塗布してもよい。
前記混合液を流延又は塗布した後、溶媒の沸点よりも低い温度(例えば、溶媒の沸点よりも1〜120℃、好ましくは5〜50℃、特に10〜50℃程度低い温度)で溶媒を蒸発させることにより、スピノーダル分解による相分離を誘起することができる。溶媒の蒸発は、通常、乾燥、例えば、溶媒の沸点に応じて、30〜200℃、(例えば、30〜100℃)、好ましくは40〜120℃、さらに好ましくは40〜80℃程度の温度で乾燥させることによリ行うことができる。
このような溶媒の蒸発を伴うスピノーダル分解により、相分離構造のドメイン間の平均距離に規則性又は周期性を付与できる。
スピノーダル分解により形成された相分離構造は、硬化工程において、前駆体を硬化させることにより直ちに固定化できる。前駆体の硬化は、硬化性樹脂前駆体の種類に応じて、加熱、光照射など、あるいはこれらの方法の組合せにより行うことができる。加熱温度は、前記相分離構造を有する限り、適当な範囲、例えば、50〜150℃程度から選択でき、前記相分離工程と同様の温度範囲から選択してもよい。
光照射は、光硬化成分などの種類に応じて選択でき、通常、紫外線、電子線などが利用できる。汎用的な露光源は、通常、紫外線照射装置である。なお、光照射は、必要であれば、不活性ガス雰囲気中で行ってもよい。
透明導電層の形成工程では、相分離層の上に、透明導電層の塗布液(導電性ポリマーを含有する液状組成物)を塗布することにより製造できる。透明導電層の塗布液の塗布又は流延には、相分離層と同様の慣用の塗布手段などが利用できる。本発明では、塗布液を相分離層の上に塗布した後、通常、塗布層を乾燥することにより透明導電層を形成できる。
液状組成物における溶媒は、導電性ポリマーの種類に応じて選択でき、例えば、ポリチオフェン系重合体の場合、水又は水性溶媒であってもよい。水性溶媒(特に水混和性溶媒)としては、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、ニトリル類(アセトニトリルなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなど)、カルビトール類などと水との混合溶媒であってもよい。親水性溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。本発明では、通常、水単独で、又は水とアルコール類との混合溶媒として使用される。特に、相分離層との密着性を向上させるため、少なくともイソプロパノールなどの低級アルコールで構成された溶媒を使用してもよい。
液状組成物中における導電性ポリマーの濃度は、例えば、0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%、さらに好ましくは0.1〜2重量%(特に0.3〜1重量%)程度である。
透明導電層は、タッチパネルの種類に応じて、通常、アナログ方式では面状に形成され、デジタル方式ではストライプ状に形成される。透明導電層をストライプ状に形成する方法としては、例えば、相分離層の全面に透明導電層を形成した後、エッチングによりストライプ状にパターン化する方法、予めパターン状に形成する方法などが挙げられる。
本発明では、相分離層に対する透明導電層の密着性を向上させるために、相分離層を表面処理に供してもよい。表面処理としては、慣用の表面処理、例えば、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾンや紫外線照射処理などが挙げられる。これらのうち、コロナ放電処理が好ましい。透明導電性膜の製造方法などに応じて適宜選択でき、特に限定されないが、コロナ放電処理は、出力100〜500W(特に200〜400W)、搬送速度1〜10m/分(特に3〜8m/分)の条件で、1回以上(例えば、2〜3回などの複数回)処理してもよい。
[タッチパネル]
本発明の透明導電性膜は、タッチパネル(特に抵抗膜方式タッチパネル)の透明電極に利用できる。透明電極としては、透明導電層が形成された面の反対面に、さらにハードコート層が形成されていてもよい。ハードコート層としては、慣用の透明樹脂層、例えば、前記硬化性樹脂前駆体の項で例示された光硬化性化合物で形成されたハードコート層の他、透明樹脂中に無機又は有機微粒子を含有する防眩性ハードコート層、アンチニュートンリング層と同様に透明樹脂を相分離させて得られる防眩性ハードコート層などが利用できる。ハードコート層の厚みは、例えば、例えば、0.5〜20μm、好ましくは1〜20μm、さらに好ましくは5〜15μm程度である。
本発明の透明電極は、さらに他の光学要素(例えば、偏光板、位相差板、導光板などの光路内に配設される種々の光学要素)と組み合わせてもよい。すなわち、光学要素の少なくとも一方の光路面に前記透明電極を配設又は積層してもよい。例えば、前記位相差板の少なくとも一方の面に透明電極を積層してもよく、導光板の出射面に透明電極を配設又は積層してもよい。偏光板や位相差フィルムと組み合わされた透明電極は、反射防止機能を有するインナー型タッチパネルに好適に利用できる。
本発明のタッチパネル(特に抵抗膜方式タッチパネル)は、前記透明電極を備えている。図2は、本発明のタッチパネルの一例を示す概略断面図である。このタッチパネル10は、上部透明電極11と下部透明電極13とがスペーサー12を介して積層されており、上部透明電極11の透明導電層11aと下部透明電極13の透明導電層13aとが対向し、液晶パネル20の上に配設されている。
上部透明電極11は、透明プラスチックフィルムで構成された透明基板11cの一方の面(パネル表側又は上部の面)にハードコート層11dが形成され、他方の面(パネル裏側又は下部の面)に相分離層(アンチニュートンリング層)11bが形成されている。相分離層11bの表面(パネル裏側又は下部の面)には前記透明導電層11aが形成されており、相分離層11bの表面が均一で規則的な凹凸構造を有するため、透明導電層11aの表面も相分離層11bの凹凸構造に追従した凹凸構造を有している。上部透明電極11は、指やペンなどの押圧部材によって押圧することより、透明導電層11aが撓んで下部透明電極13の透明導電層13aと接触して導通し、位置検出が行われる。本発明では、上部透明電極11の透明導電層11aの表面が相分離層11bに追随して均一な凹凸構造を有しているため、上部透明電極11を押圧しても、上部透明電極11とスペーサー12によって形成された空間(空気層)との界面反射光の干渉によるニュートンリングの発生を抑制できる。
スペーサー12は、透明樹脂で構成されており、タッチパネルの非押圧時に上部透明電極11と下部透明電極13とを非接触状態に保持するため、透明導電層11a及び13aの表面でパターン化された点状又はドット状に形成されている。このようなスペーサー12は、通常、硬化性樹脂前駆体の項で例示された光硬化性化合物などを用いて光照射に対するマスクを利用したパターニングにより形成される。スペーサーは形成しなくてもよく、形成する場合には、例えば、隣接するスペーサー同士の間隔を、例えば、0.1〜20mm(特に1〜10mm)程度に調整してもよい。スペーサーの形状は、特に限定されず、円柱状、四角柱状、球状などであってもよい。スペーサーの高さは、例えば、1〜100μm程度であり、通常、3〜50μm(特に5〜20μm)程度である。スペーサーの平均径は、例えば、1〜100μm程度であり、通常、10〜80μm(特に20〜50μm)程度である。
下部透明電極13は、前記スペーサー12を介在させて、上部透明電極11の下部に配設されており、ガラスで構成された透明基板13cの一方の面(パネル表側又は上部の面)に、透明導電層13aが形成され、他方の面(パネル裏側又は下部の面)にハードコート層13dが形成されている。下部透明電極13の透明導電層13aの表面は平滑であるが、上部透明電極11と同様に、相分離層(アンチニュートンリング層)を形成し、表面に凹凸構造を形成してもよい。上部透明電極11及び下部透明電極13の双方に相分離層を形成することにより、アンチニュートンリング効果を向上できる。一方、上部透明電極11に凹凸構造を形成することなく、下部透明電極13に相分離層を形成してもよい。アンチニュートンリング効果とタッチパネルの下部に配設する表示装置の視認性とを両立できる点からは、一方の透明電極(特に上部透明電極)に相分離層を形成するのが好ましい。透明基板13cは、上部透明電極の透明基板11cとは異なり、可撓性は必要ないため、ガラス基板などの非可撓性材料であってもよいが、透明基板11cと同様の可撓性を有する透明プラスチックフィルムであってもよい。
このような上下透明電極を備えたタッチパネル10は、液晶表示(LCD)装置である液晶パネル20の上に配設されている。本発明では、前記相分離層11bは、透過光を等方的に透過して散乱させながら、特定の角度範囲での光散乱強度を向上できるため、ニュートンリングの防止だけでなく、液晶パネル20の視認性をも向上できる。具体的には、液晶パネルの表示部におけるギラツキを抑制できるとともに、透過像の鮮明性に優れ、表示面での文字ボケを抑制できる。
なお、液晶表示装置は、外部光を利用して、液晶セルを備えた表示ユニットを照明する反射型液晶表示装置であってもよく、表示ユニットを照明するためのバックライトユニットを備えた透過型液晶表示装置であってもよい。前記反射型液晶表示装置では、外部からの入射光を、表示ユニットを介して取り込み、表示ユニットを透過した透過光を反射部材により反射して表示ユニットを照明できる。反射型液晶表示装置では、前記反射部材から前方の光路内に、偏光板とアンチニュートンリング性透明電極とを組み合わせたタッチパネルを配設してもよい。
透過型液晶表示装置において、バックライトユニットは、光源(冷陰極管などの管状光源,発光ダイオードなどの点状光源など)からの光を一方の側部から入射させて前面の出射面から出射させるための導光板(例えば、断面楔形状の導光板)を備えていてもよい。また、必要であれば、導光板の前面側にはプリズムシートを配設してもよい。
タッチパネルの下部に配設する表示装置は、液晶表示装置に限定されず、プラズマディスプレイ装置、有機又は無機EL表示装置などの表示装置であってもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例及び比較例で得られた透明導電性膜を以下の項目で評価した。
[ヘイズ及び全光線透過率]
ヘイズメーター(日本電色(株)製、商品名「NDH−5000W」)を用いて、JIS K7136に準拠して測定した。なお、ヘイズの測定は、凹凸構造を有する表面が受光器側となるように配置して測定した。
[透過像鮮明度]
透明導電性膜の写像鮮明度を、写像測定器(スガ試験機(株)製、商品名「ICM−1T」)を用いて、光学櫛(櫛歯の幅=0.5mm)で、JIS K7105に基づいて測定した。
[透過散乱光強度]
透明導電性膜を透過した光の角度分布を、図1に示すように、He−Neレーザ光源1と、ゴニオメーターに設置した光受光器4を備えた測定装置(レーザ光散乱自動測定装置、ネオアーク(株)製)を用いて測定した。
[表面構造]
JIS B0601に準拠して、接触式表面粗さ計(東京精密(株)製、サーフコム570A)を用いて、走査範囲3mm、走査回数2回の条件で、算術平均粗さRa、最大高さRt、十点平均粗さRz、凸部の頂部間平均間隔Smを測定した。
[アンチニュートンリング性]
実施例及び比較例で得られた透明導電性膜を、上部透明電極とした。更に、基板としてガラス基板を用い、このガラス基板の上に、InO及びSnOの複合酸化物物(ITO)をスパッタリング処理して透明導電層を設けることにより、下部透明電極を作製した。下部透明電極の透明導電層の上に、光硬化性アクリル樹脂(デュポン(株)製、リストン)を塗布して層を設け、パターニングして紫外線露光することによりスペーサーを形成した。このスペーサーは、高さ9μm、直径30μmの円柱で、スペーサー間隔は3mmとした。このようにして作製した上部透明電極と下部透明電極とを透明電極層が対向するように配置することにより、タッチパネルを構成した。上部透明電極と下部透明電極との間の間隔はスペーサーの高さに相当する。タッチパネルの上部透明電極を26g/cmの圧力でペン先によって押圧し、ニュートンリングの発生状況を目視にて確認し、以下の基準で判定した。
◎:ニュートンリングの発生がなかった
○:ニュートンリングの発生が若干あるものの、気にならない程度であった
×:ニュートンリングが発生した。
[ギラツキの評価]
表示面におけるギラツキの判定は、17インチサイズのLCDモニター(画素数1024×1280;SXGA、解像度96ppi)上に、厚み3mmの透明アクリル板(住友化学(株)製、スミペックス)を載置し、その上に得られた透明導電性膜を配設し、白表示として目視にて以下の基準で評価した。なお、用いたLCDモニターの表層側偏光板は、クリアタイプの偏光板であった。
◎:ギラツキが感じられない
○:ギラツキが僅かに感じられる
×:ギラツキが感じられる。
[文字ボケの評価]
表示面における文字ボケの判定は、17インチサイズのLCDモニター(画素数1024×1280;SXGA、解像度96ppi)上に、得られた透明導電性膜を配設し、白背景に黒文字を表示させて目視にて以下の基準で評価した。
◎:文字ボケが感じられない
○:文字ボケが僅かに感じられる
×:文字ボケが感じられる。
[表面抵抗値]
表面抵抗測定装置(ダイアインスツルメンツ社製、商品名「Loresta−GP T610」)を用いて、JIS K7194に準拠して測定した。透明電極の透明導電層側を測定面として、100mm×70mmにカットフィルムの測定面内で任意の9箇所を測定し、それらの平均値を表面抵抗値(単位:Ω/□)とした。また、ばらつきの尺度として標準偏差、変動係数を求めた。
実施例1
側鎖に重合性不飽和基を有するアクリル樹脂[(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体のカルボキシル基の一部に、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチルアクリレートを付加させた化合物;ダイセル化学工業(株)製、商品名「サイクロマーP(ACA)Z321M」、固形分44重量%、溶剤:1−メトキシ−2−プロパノール(MMPG)(沸点119℃)]13.7重量部、セルロースアセテートプロピオネート(アセチル化度=2.5%、プロピオニル化度=46%、ポリスチレン換算数平均分子量75,000;イーストマン社製、商品名「CAP−482−20」)1.4重量部、六官能アクリル系UV硬化モノマー(ダイセルサイテック(株)製、商品名「DPHA」)14.5重量部、三官能アクリル系UV硬化モノマー(ダイセルサイテック(株)製、商品名「PETIA」)14.5重量部、フッ素含有UV硬化性化合物(Omnova Solution社製、商品名「Polyfox3320」)0.11重量部、光開始剤(チバ・ジャパン(株)製、商品名「イルガキュア184」)0.73重量部、光開始剤(チバ・ジャパン(株)製、商品名「イルガキュア907」)0.37重量部を、メチルエチルケトン(MEK)(沸点80℃)38.1重量部、1−ブタノール(BuOH)(沸点113℃)13.3重量部、及び1−メトキシ−2−プロパノール(MMPG)4.4重量部の混合溶媒に溶解した。この溶液を、ワイヤーバー♯28を用いてPETフィルム(東洋紡績(株)製、商品名「A4300」、厚み188μm)上に流延した後、70℃のオーブン内で30秒間放置し、溶媒を蒸発させて厚み約12μmの相分離層を形成した。その後、コートフィルムを紫外線照射装置(ウシオ電機(株)製、高圧水銀ランプ、紫外線照射量:800mJ/cm)に通して、紫外線硬化処理を行い、ハードコート性及び表面凹凸構造を有する層を形成した。
得られたフィルム(導電性ポリマーを塗布する前のフィルム)の表面をレーザー顕微鏡で観察した結果を図3に示す。図3から、凸部は、共連続構造状又は独立した島状に形成されており、かつ視野内で偏りなく均一に存在している様子が観察できる。この凹凸構造の平均的な周期が、散乱光の極大に対応していると考えられる。
得られたフィルムの相分離層側に、電極がセラミックに覆われたコロナ処理装置(春日電機(株)製)を用い、出力300W、搬送速度5m/分の条件で2回放電処理を実施した。
コロナ処理後のフィルムの処理面側にワイヤーバー#6を用いて、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)/ポリスチレンスルホン酸(PSS)系透明導電性コート液(日本アグフアマテリアルズ社製、商品名「オーガコン S−303」)を流延した後、130℃のオーブン内で3分間放置し、溶媒を蒸発させ導電層を形成した。導電層の厚みは100nm程度であった。
得られた透明導電性膜の表面抵抗値の平均値は424Ω/□、標準偏差は0.09、変動係数は2.21%であり、表面抵抗値が比較的均一な透明導電性膜が得られた。
また、得られた透明導電性膜(導電性ポリマー塗布後のフィルム)の表面をレーザー顕微鏡で観察した結果を図4に示す。図4に示された凹凸構造は滑らかであった。その結果、導電性ポリマーのコート液の追従性が高く、均一にコートできるため、均一な表面抵抗値が得られたと考えられる。
導電性ポリマー塗布前の膜の評価結果を表1に示し、導電性ポリマー塗布後の透明導電性膜の評価結果を表2に示す。
実施例2
側鎖に重合性不飽和基を有するアクリル樹脂(サイクロマーP(ACA)Z321M)14.5重量部、セルロースアセテートプロピオネート(CAP−482−20)1.5重量部、六官能アクリル系UV硬化モノマー(DPHA)25.4重量部、三官能アクリル系UV硬化モノマー(PETIA)4.2重量部、フッ素含有UV硬化性化合物(Polyfox3320)0.12重量部、光開始剤(イルガキュア184)0.3重量部、光開始剤(イルガキュア907)0.3重量部を、MEK38.1重量部、BuOH13.3重量部、及びMMPG4.4重量部の混合溶媒に溶解した。この溶液を、ワイヤーバー♯28を用いてPETフィルム(A4300)上に流延した後、65℃のオーブン内で60秒間放置し、溶媒を蒸発させて厚み約12μmの相分離層を形成した。その後、コートフィルムを紫外線照射装置(ウシオ電機(株)製、高圧水銀ランプ、紫外線照射量:800mJ/cm)に通して、紫外線硬化処理を行い、ハードコート性及び表面凹凸構造を有する層を形成した。
得られたフィルムの相分離層側に、電極がセラミックに覆われたコロナ処理装置(春日電機(株)製)を用い、出力300W、搬送速度5m/分の条件で2回放電処理を実施した。
さらに、コロナ処理後のフィルムの処理面側にワイヤーバー#4を用いて、PEDOT/PSS系透明導電性コート液(オーガコン S−303)を流延した後、130℃のオーブン内で3分間放置し、溶媒を蒸発させ導電層を形成した。
得られた透明導電性膜の表面抵抗値の平均値は785Ω/□、標準偏差は0.10、変動係数は2.37%であり、表面抵抗値が比較的均一な導電膜が得られた。導電性ポリマー塗布前の膜の評価結果を表1に示し、導電性ポリマー塗布後の透明導電性膜の評価結果を表2に示す。
比較例1
六官能アクリル系UV硬化モノマー(DPHA)15.4重量部、三官能アクリル系UV硬化モノマー(PETIA)15.4重量部を、MEK52.0重量部、及びMMPG13.0重量部の混合溶媒に溶解し、平均粒径4μmのポリスチレンビーズ4.2重量部を添加した。この塗布液に、光開始剤(イルガキュア184)0.2重量部、光開始剤(イルガキュア907)0.2重量部を溶解させた。この溶液を、ワイヤーバー♯24を用いてPETフィルム(A4300)上に流延した後、60℃のオーブン内で30秒間放置し、溶媒を蒸発させて厚み約10μmのコート層を形成した。その後、コートフィルムを紫外線照射装置(ウシオ電機(株)製、高圧水銀ランプ、紫外線照射量:800mJ/cm)に通して、紫外線硬化処理を行い、ハードコート性及び表面凹凸構造を有する層を形成した。
得られたフィルムのコート層側に、電極がセラミックに覆われたコロナ処理装置(春日電機(株)製)を用い、出力300W、搬送速度5m/分の条件で2回放電処理を実施した。
さらに、コロナ処理後のフィルムの処理面側にワイヤーバー#6を用いて、PEDOT/PSS系透明導電性コート液(オーガコン S−303)を流延した後、130℃のオーブン内で3分間放置し、溶媒を蒸発させ導電層を形成した。
得られた透明導電性膜の表面抵抗値の平均値は981Ω/□、標準偏差は2.31、変動係数は32.7%であり、表面抵抗値は、実施例に比べて不均一な導電膜が得られた。導電性ポリマー塗布前の膜の評価結果を表1に示し、導電性ポリマー塗布後の透明導電性膜の評価結果を表2に示す。
比較例2
市販のニュートンリング防止フィルム((株)きもと製、商品名「G1−LA」)(導電性ポリマーを塗布する前のフィルム)の表面をレーザー顕微鏡で観察した結果を図5に示す。図5から、凸部は独立した島が大部分であり、一部は島が凝集した構造であり、実施例1の凹凸構造に比べて不均一で偏りを有する構造である様子が観察できる。この凹凸構造は、特に周期性がなく、散乱光も極大が認められない。
フィルムの凹凸構造を有する側に、電極がセラミックに覆われたコロナ処理装置(春日電機(株)製)を用い、出力300W、搬送速度5m/分の条件で2回放電処理を実施した。
さらに、コロナ処理後のフィルムの処理面側にワイヤーバー#6を用いて、PEDOT/PSS系透明導電性コート液(オーガコン S−303)を流延した後、130℃のオーブン内で3分間放置し、溶媒を蒸発させ導電層を形成した。
得られた透明導電性膜の表面抵抗値の平均値は631Ω/□、標準偏差は1.72、変動係数は27.2%であり、表面抵抗値は、実施例に比べて不均一な導電膜が得られた。
また、得られた透明導電性膜(導電性ポリマー塗布後のフィルム)の表面をレーザー顕微鏡で観察した結果を図6に示す。図6に示された凹凸構造は、実施例1で観察された凹凸構造よりも勾配がきつい。その結果、導電性ポリマーのコート液の追従性が悪く、均一にコートできず、表面抵抗値にバラツキがみられたと考えられる。
導電性ポリマー塗布前のニュートンリング防止フィルムの評価結果を表1に示し、導電性ポリマー塗布後の透明導電性膜の評価結果を表2に示す。
本発明の透明導電性膜は、パーソナルコンピューター、テレビ、携帯電話、遊技機器、モバイル機器、時計、電卓などの電気・電子又は精密機器の表示部において、表示装置(液晶表示装置、プラズマディスプレイ装置、有機又は無機EL表示装置など)と組み合わせて用いられるタッチパネル(特に抵抗膜方式タッチパネル)に利用できる。
1…白色平行光光源
2…NDフィルター
3…試料
4…検出器
10…タッチパネル
11…上部透明電極
12…スペーサー
13…下部透明電極
11a,13a…透明導電層
11b…相分離層(アンチニュートンリング層)
11c,13c…透明基板
11d,13d…ハードコート層
20…液晶パネル

Claims (12)

  1. 表面に凹凸構造を有しており、1又は複数のポリマーと、1又は複数の硬化した硬化性樹脂前駆体とを含み、かつ相分離構造を有する相分離層の上に、導電性ポリマーを含む透明導電層が形成された透明導電性膜。
  2. JIS B 0601に準拠した算術平均粗さRaが0.01〜0.1μm、最大高さRtが0.1〜1μmであり、十点平均粗さRzが0.1〜1μmであり、かつ凸部の頂部間平均間隔Smが50〜300μmである凹凸構造を有する請求項1記載の透明導電性膜。
  3. 入射光を等方的に透過して散乱し、かつ散乱光強度の極大値を示す散乱角が0.1〜10°であるとともに、全光線透過率が70〜100%である請求項1又は2記載の透明導電性膜。
  4. 全光線透過率が80〜100%であり、0.5mm幅の光学櫛を用いた写像性測定器で測定した透過像鮮明度が50〜100%であり、散乱光強度の極大値を示す散乱角が0.5〜3°であり、かつヘイズが1〜20%である請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電性膜。
  5. ポリマーが、液相からのスピノーダル分解により相分離可能な複数のポリマーで構成されるとともに、複数のポリマーのうち、少なくとも1つのポリマーが、硬化性樹脂前駆体の硬化反応に関与する官能基を有し、かつ硬化性樹脂前駆体が、複数のポリマーのうち、少なくとも一種のポリマーと相溶性を有する請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電性膜。
  6. 液相からのスピノーダル分解により相分離する複数のポリマーが、セルロース誘導体と、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂及びポリエステル系樹脂から選択された少なくとも一種の樹脂とで構成され、前記ポリマーのうち少なくとも1つのポリマーが、重合性基を有するとともに、硬化性樹脂前駆体が、少なくとも2つの重合性不飽和結合を有する多官能単量体で構成されている請求項5記載の透明導電性膜。
  7. 相分離層が、セルロース誘導体と、重合性基を有する(メタ)アクリル系樹脂と、3以上の(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物と、フッ素含有硬化性化合物とで構成されている請求項1〜6のいずれかに記載の透明導電性膜。
  8. 相分離層が、ポリマーと硬化性樹脂前駆体とを5/95〜60/40(重量比)の割合で含む請求項1〜7のいずれかに記載の透明導電性膜。
  9. 導電性ポリマーがポリチオフェン系重合体を含む請求項1〜8のいずれかに記載の透明導電性膜。
  10. 抵抗膜方式タッチパネルの透明電極である請求項1〜9のいずれかに記載の透明導電性膜。
  11. 指又は押圧部材と接触する側に位置する上部透明電極である請求項10記載の透明導電性膜。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の透明導電性膜を備える抵抗膜方式タッチパネル。
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