JP2011173858A - 次亜塩素酸系殺菌消毒剤、並びにその調製方法及び調製装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】陽イオン交換体によって、次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液からナトリウムイオンを除去して、有効塩素に対するナトリウムイオンのモル比を0.70以下に設定して、殺菌消毒剤を調製する。
【選択図】なし
Description
せずとも優れた殺菌消毒作用を発揮でき、しかも調製時に塩素ガスを発生させるリスクを低減し、安全に製造できる殺菌消毒剤を提供することを目的とする。更に、本発明は、当該殺菌消毒剤の調製装置、及び調製方法を提供することを目的とする。
項1.次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液からなり、該水溶液において有効塩素に対するナトリウムイオンのモル比が0.70以下であることを特徴とする、殺菌消毒剤。
項2. 用時のpHが3〜8である、項1に記載の殺菌消毒剤。
項3. 用時の有効塩素濃度が10〜1,000ppm(0.28〜28.21mM)である、項1又は2に記載の殺菌消毒剤。
項4. 陽イオン交換体によって、次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液からナトリウムイオンを除去して、有効塩素に対するナトリウムイオンのモル比を0.70以下にする工程を含む、殺菌消毒剤の調製方法。
項5. 陽イオン交換体によって、次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液からナトリウムイオンを除去して、有効塩素に対するナトリウムイオンのモル比を0.70以下にする工程、及び当該工程で得られた水溶液を希釈する工程を含む、殺菌消毒剤の調製方法。
項6. 陽イオン交換体が、リン酸水素チタン、ナシコン型リン酸ジルコニウムの酸処理物、ネソ珪酸塩化合物の酸処理物、テクト珪酸塩化合物の酸処理物、ゼオライトの酸処理物、及び陽イオン交換樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種である、項4又は5に記載の調製方法。
項7. ナトリウムイオンを捕捉した陽イオン交換体を、酸処理によって再生させて使用する、項4〜6のいずれかに記載の調製方法。
項8. 次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液からナトリウムイオンを除去して、有効塩素に対するナトリウムイオンのモル比を0.70以下にするための陽イオン交換体を備えており、該陽イオン交換体が次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液と接触可能なように設置されていることを特徴とする、殺菌消毒剤の調製装置。
項9. 陽イオン交換体が保持された流路に、次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液が通液されるように構成されている、項8に記載の装置。
項10. 次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液を収容するための容器と、次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液を容器の外部に放出させるための放出口と、容器内の次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液を放出口に送るための流路とを有し、該流路に陽イオン交換体を含む区画が設置されていることを特徴とする、項8又は9に記載の調製装置。
項11. 陽イオン交換体と接触した次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液を希釈するための希釈手段を有する、項8〜10のいずれかに記載の調製装置。
項12. 調製した殺菌消毒剤を、揮散、噴霧又は散布する手段を有する項8〜11のいずれかに記載の調製装置。
クが低く、安全性が高いことから健康被害や関連装置の腐食を払拭できる。
本発明の殺菌消毒剤は、次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液からなり、ナトリウムイオンを除去することにより、該水溶液における有効塩素に対するナトリウムイオンのモル比が0.70以下であることを特徴とする。
更に、本発明は、上記殺菌消毒剤の調製方法を提供する。具体的には、本発明の殺菌消毒剤の調製方法は、陽イオン交換体によって、次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液からナトリウムイオンを除去して、有効塩素に対するナトリウムイオンのモル比を0.70以下にする工程を含むことを特徴とする。
ルコニウム、アルミニウム、鉄、ケイ素、クロム、マンガン、ガリウム、スズ及びアンチモン等の酸化化合物、含水酸化化合物及び水酸化化合物;スポジュメン,ユークリプタイト等のイノ珪酸塩化合物、クリソライト,かんらん石等のネソ珪酸塩化合物、ペタライト,正長石,曹長石,沸石等のテクト珪酸塩化合物、及びゼオライト等の珪酸塩化合物の酸処理物;ピロリン酸鉄;ナシコン型リン酸ジルコニウムの酸処理物;陽イオン交換樹脂;及びこれら類似形態化合物等が例示される。
れた原料液の導電率が100〜200μS/cmである場合には、有効塩素に対するナトリウムイオンのモル比が前述する範囲を満たしている殺菌消毒剤が調製できていると考えることができる。
更に、本発明は、上記殺菌消毒剤の調製装置を提供する。具体的には、本発明の殺菌消毒剤の調製装置は、原料液からナトリウムイオンを除去して、有効塩素に対するナトリウムイオンのモル比を0.70以下にするための陽イオン交換体を備えており、該陽イオン交換体が次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液と接触可能なように設置されていることを特徴とする。
)を備えていてもよい。
実施例1 浸漬法による殺菌消毒剤の調製
有効塩素濃度93.6ppm(2.64mM)の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(原料液)を調製し、この液300mlにリン酸水素チタン150mgを添加し、室温で30分間、撹拌した。その後、0.2μmメンブランフィルターにて濾過し、濾液(殺菌消毒剤)を回収した。
上記で製造された殺菌消毒剤5mlを正確に量り、希硝酸1ml及び水を加えて正確に50mlとし、検液とした。別に、ナトリウム標準液(Na:100ppm)1、2.5、5mlをそれぞれ正確に量り、水を加えて正確に50mlとし、標準溶液とした。
<操作条件>
ランプ電流値 12.0mA
測定波長 330.2nm
スリット 0.4nm
原子化装置 標準バーナ
フレーム 空気−アセチレン
燃料ガス流量 2.2L/分
助燃ガス流量 15.0L/分
バーナ高さ 7.5mm
繰り返し回数 3回
ナトリウムイオン濃度(ppm)= 測定値(ppm)×10
ナトリウムイオン濃度(mM)= ナトリウムイオン濃度(ppm)÷22.99
有効塩素濃度の測定方法
上記で製造された殺菌消毒剤50mlを正確に量り、ヨウ化カリウム0.2g及び酢酸(1→40)10mlを加え、直ちに密栓して暗所に15分間放置し、遊離したヨウ素を0.01mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定した(指示薬 デンプン試液)。別
に空試験を行い補正した。
下記換算式を使用して、有効塩素濃度を算出した。
有効塩素濃度(mM)=有効塩素濃度(ppm)÷35.45
f:0.01mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
0.01mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液1ml=0.3545mgCl
有効塩素濃度が102.1ppm(2.88mM)の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(原料液)を調製した。また、別途、口径47mmのガラス管の底部に0.45μmのメンブランフィルターを設置し、これにリン酸水素チタン(700mg)を充填し、カラムを作成した。このカラムに、上記原料液2100mlを5ml/分の流速で通液を行い、カラムから流出した液を殺菌消毒剤として回収した。
有効塩素濃度が99.9ppm(2.82mM)の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(原料液)を調製した。次いで、得られた原料液100mlに、リン酸水素チタン40mgを添加し、室温で15分間撹拌して殺菌消毒剤を調製した(第1回目処理)。その後、リン酸水素チタンを取り出して、新しい原料液100mlを添加し、室温で15分間撹拌した(第2回目処理)。同様に、処理を繰り返し合計4回の処理を行った。次いで、陽イオン交
換能がほぼ喪失された本リン酸水素チタン(4回処理済み)の全量を3%酢酸水溶液300mlに添加し、室温で15分間撹拌することにより、リン酸水素チタンの再生処理を行った。斯くして再生されたリン酸水素チタンを用いて、前記同様原料液100mlの処理を行い、再度消毒殺菌剤を調製した(再生後処理)。
有効塩素濃度 42.8,61.1,102.0ppm(1.21,1.72,2.88mM)の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(原料液)を調製し、この原料液300mlにリン酸水素チタン150mgを添加し、室温で30分間、撹拌した。その後、0.2μmメンブランフィルターにて濾過し、濾液(殺菌消毒剤)を回収した。
試料液500μlをエッペンチューブに分注し、37℃にて10分間インキュベートした後、3×109PFU/mlのウイルス液(Influenza Virus A/PR/8/34(H1N1))を5μl添加した。37℃で5又は10分間インキュベートした後、1%チオ硫酸ナトリウム溶液を等量添加し、さらに0.1重量% BSA(ウシ
血清アルブミン)−リン酸緩衝化生理食塩水(PBS;0.9重量%)を用いて1000倍に希釈した後、Plaque assayによりウイルス量を定量した。同様に、試料液の代わりに0.1重量% BSA(ウシ血清アルブミン)−リン酸緩衝化生理食塩水(
PBS;0.9重量%)を用いた試験を実施し、コントロールとした。結果を表6に示した。
Staphylococcus aureus COL(MRSA),Bacillus cereus T及びEscherichia coli O157を供試菌とし、以下の方法により殺菌試験を行った。
試菌を新鮮なTSBに接種し、さらに35℃にて3時間振盪培養した。集菌洗浄後、生理食塩水(0.85%)で2×108CFU/mlに希釈し、供試菌液とした。なお、Bacillus cereusTは35℃にて培養したものを70℃で30分熱処理後、生理食塩水で2×107CFU/mlとなるように希釈し、供試菌液とした。
有効塩素濃度100ppm(2.82mM)の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を調製し、この液300mlを300mlの三角フラスコに入れ、リン酸水素チタン100mg又は希塩酸0.14mlをそれぞれ添加し、直ちに栓をした後、三角フラスコを上下に4回転倒させて混和し、15分間静置した。
Claims (12)
- 次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液からなり、該水溶液において有効塩素に対するナトリウムイオンのモル比が0.70以下であることを特徴とする、殺菌消毒剤。
- 用時のpHが3〜8である、請求項1に記載の殺菌消毒剤。
- 用時の有効塩素濃度が10〜1,000ppm(0.28〜28.21mM)である、請求項1又は2に記載の殺菌消毒剤。
- 陽イオン交換体によって、次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液からナトリウムイオンを除去して、有効塩素に対するナトリウムイオンのモル比を0.70以下にする工程を含む、殺菌消毒剤の調製方法。
- 陽イオン交換体によって、次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液からナトリウムイオンを除去して、有効塩素に対するナトリウムイオンのモル比を0.70以下にする工程、及び当該工程で得られた水溶液を希釈する工程を含む、殺菌消毒剤の調製方法。
- 陽イオン交換体が、リン酸水素チタン、ナシコン型リン酸ジルコニウムの酸処理物、ネソ珪酸塩化合物の酸処理物、テクト珪酸塩化合物の酸処理物、ゼオライトの酸処理物、及び陽イオン交換樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項4又は5に記載の調製方法。
- ナトリウムイオンを捕捉した陽イオン交換体を、酸処理によって再生させて使用する、請求項4〜6のいずれかに記載の調製方法。
- 次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液からナトリウムイオンを除去して、有効塩素に対するナトリウムイオンのモル比を0.70以下にするための陽イオン交換体を備えており、該陽イオン交換体が次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液と接触可能なように設置されていることを特徴とする、殺菌消毒剤の調製装置。
- 陽イオン交換体が保持された流路に、次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液が通液されるように構成されている、請求項8に記載の装置。
- 次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液を収容するための容器と、次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液を容器の外部に放出させるための放出口と、容器内の次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液を放出口に送るための流路とを有し、該流路に陽イオン交換体を含む区画が設置されていることを特徴とする、請求項8又は9に記載の調製装置。
- 陽イオン交換体と接触した次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液を希釈するための希釈手段を有する、請求項8〜10のいずれかに記載の調製装置。
- 調製した殺菌消毒剤を、揮散、噴霧又は散布する手段を有する請求項8〜11のいずれかに記載の調製装置。
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