JP2011173844A - 精製ラクチドの製造方法 - Google Patents

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竜司 野々川
Makoto Kobayashi
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Abstract

【課題】ポリ乳酸の出発原料として十分な純度を有するラクチドを、効率よく製造する方法を提供すること。
【解決手段】乳酸を減圧下で縮合して乳酸オリゴマーを生成し、得られた乳酸オリゴマーを解重合することにより粗ラクチドを合成し、得られた粗ラクチドを精製して精製ラクチドを製造するに際し、精製ラクチド中の乳酸濃度を近赤外分光分析法により測定し、精製操作の繰り返しを終了するかあるいは、精製条件を制御する。
【選択図】なし

Description

本発明は、乳酸から精製ラクチドを製造する方法に関する。更に詳しくは、本発明は、乳酸を減圧下で縮合して乳酸オリゴマーを生成し、得られた乳酸オリゴマーを解重合することにより粗ラクチドを合成し、得られた粗ラクチドを精製して精製ラクチドを製造する方法に関する。
ポリ乳酸は、生体内で分解されるだけでなく機械的特性等にも優れていることから医療分野で利用されていると共に、自然環境下においては微生物等によって分解されるので環境保護の観点から種々の工業用途や民生用途への展開が期待されており、ポリ乳酸の需要は高まっている。
ポリ乳酸は、一般的に乳酸の環状ジエステルであるラクチドを出発原料として触媒存在下で加熱し開環重合して得る方法が主流であり、従って、原料となるラクチドの需要も益々高まっている。
このラクチドの製造方法としては、乳酸を加熱して脱水することによって乳酸を濃縮し、濃縮された乳酸を還流しながら乳酸を脱水重縮合させ、この脱水重縮合反応により生成した水を気化により脱水して乳酸オリゴマーを生成し、得られた乳酸オリゴマーを触媒の存在下に加熱解重合してラクチドを得る方法(例えば特許文献1参照。)がある。
この方法では、乳酸オリゴマ−を加熱解重合させることによりラクチドは容易に得られるが、このラクチドをそのまま原料として重合し、ポリ乳酸を得ようとすると、満足できる分子量を有するポリ乳酸を得ることはできない。
このため、上記操作で得られたラクチドに対しては、溶融晶析法、蒸留法などにより水、遊離カルボン酸である乳酸等の精製除去操作が行われる。この精製除去操作は、いずれの方法であっても、加熱、冷却工程が必須であって、多大なエネルギーを必要とする。
このため、ラクチドの精製操作を、満足できる分子量等の特性を有するポリ乳酸を得ることのできる、許容範囲内かつ下限近傍で終結させることができれば、エネルギーコストの大幅な軽減につながる。
この精製操作の終結点を知る手法として、本発明者らは、反応系に水酸基化合物を添加し、環状エステル化合物を開環重合させてポリエステルを製造するにあたり、環状エステル化合物中に含まれる遊離カルボン酸の量に基づいて反応系に添加する水酸基化合物の量を定める手法に着目した(例えば、特許文献2参照)。
この手法は具体的には遊離カルボン酸量を電気伝導度に基づいて求めているものである。しかしながら、この測定方法をそのままラクチド精製操作終点の確認に用いたところ、測定対象を工程中から抜き出し、溶媒で濃度を調整した後に、電気伝導度を測定する必要があった。また、系外での測定となるため、大気中に含まれる水分によりラクチドが加水分解して、乳酸が経時的に増加してしまい、測定精度自体に問題があった。なお、工程から抜き出すことなくオンラインにて電気伝導度を測定するための耐熱センサーは存在しておらず、測定精度向上は現状では望めない。
ラクチドの精製操作を、満足できる分子量等の特性を有するポリ乳酸を得ることのできる、許容範囲内かつ下限近傍で終結させることができれば、エネルギーコストの大幅な軽減につながるが、いまだ、この精製操作終点を精度よく確認する手法は確立されていなかった。
特開平7−138253号公報 特許第3075665号公報
本発明の目的は、ポリ乳酸の出発原料として十分な純度を有する精製ラクチドを、効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の目的は、
乳酸を減圧下で縮合して乳酸オリゴマーを生成し、得られた乳酸オリゴマーを解重合することにより粗ラクチドを合成し、得られた粗ラクチドを精製して精製ラクチドを製造する方法であって、
精製は、溶融晶析法にて行い、精製ラクチド中の乳酸濃度を近赤外分光分析法により溶融保持しつつ測定し、乳酸濃度値が所定値以下となった時点で精製操作の繰り返しを終了することを特徴とする、精製ラクチドの製造方法によって達成することができる。
また、
乳酸を減圧下で縮合して乳酸オリゴマーを生成し、得られた乳酸オリゴマーを解重合することにより粗ラクチドを合成し、得られた粗ラクチドを精製して精製ラクチドを製造する方法であって、
精製は、蒸留釜と留出釜とを少なくとも用いる蒸留法にて行い、留出釜中の精製ラクチド中の乳酸濃度を近赤外分光分析法により減圧下、溶融保持しつつ測定し、乳酸濃度値が所定値以下となるように、蒸留釜内温度、真空度、還流比を調整することを特徴とする、精製ラクチドの製造方法によっても達成することができる。
本発明によれば、ポリ乳酸の出発原料として十分な純度を有する精製ラクチドを、効率よく製造する方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、まず、乳酸を減圧下で縮合して乳酸オリゴマーを生成する。
ここで、乳酸としては、L−乳酸、D−乳酸のいずれであってもよい。このような乳酸は従来公知の方法により製造されるが、乳酸中に含まれる水分を蒸発させて濃縮するための工程を短縮でき、コストの面からも有利であることから、水分含量の少ない乳酸を使用するのが好ましい。なお、乳酸にもともと含まれている水分は、加熱して蒸発させることにより除去する。この場合、原料乳酸に含まれる水分は、乳酸の脱水重縮合反応によって生成する水分と一緒に除去するようにしてもよい。
乳酸の脱水重縮合反応においては、必要に応じて、脱水重縮合反応のための触媒を添加してもよい。例えば、このような触媒としては、有機スズ系の触媒(例えば、乳酸スズ、酒石酸スズ、ジカプリル酸スズ、ジラウリル酸スズ、ジパルミチン酸スズ、ジステアリン酸スズ、ジオレイン酸スズ、α−ナフトエ酸スズ、β−ナフトエ酸スズ、オクチル酸スズ等)及び粉末スズ等が挙げられる。
予め乳酸から水分を除去し、得られた濃縮乳酸を脱水重縮合反応に供給する場合、乳酸濃縮反応は、不活性雰囲気下、通常大気圧以下の圧力、100〜170℃の温度で、2〜3時間行い、引き続く脱水重縮合反応は、圧力13.33kPa(100torr)以下、好ましくは1.33kPa(10torr)以下、さらに好ましくは133.32Pa(1torr)以下にした後、160〜220℃まで徐々に昇温させて行う。
乳酸濃縮及び脱水重縮合反応に用いる反応器は、内部を減圧するための減圧手段と温度測定手段が設置され、反応液を撹拌するための撹拌翼を備える。なお、撹拌翼としてはパドル翼、タービン翼、アンカー翼、ダブルモーション翼、ヘリカルリボン翼など周知のものを使用できる。また、反応器に備える加熱手段としては、例えば、反応器外周部に熱媒ジャケットを設置し、反応器壁面を通して伝熱により反応液を加熱する手段、あるいは撹拌翼の回転軸内部に熱媒を通して、伝熱により加熱するなどの方法があり、これらを単独または組み合わせて使用することもできる。
以上に説明した脱水重縮合反応により生成する乳酸オリゴマー中の水分を除去し、ラクチド中の水分含率を低下させる方法については、例えば、特開2005−255751号公報に記載の方法によって実施でき、具体的には、乳酸を減圧下で縮合して乳酸オリゴマーを生成し、得られた乳酸オリゴマーを解重合することによりラクチドを製造する方法であって、乳酸縮合反応において気相中の水分濃度を測定し、得られた測定値が所定値以下であることを確認した後、次の解重合反応に付す方法を採用することができる。
ついで得られた乳酸オリゴマーを解重合することにより粗ラクチドを合成する。
乳酸オリゴマーの解重合反応は、解重合触媒の存在下、加熱及び減圧することにより実施しすることができ、解重合反応に用いる触媒としては、乳酸の重合用触媒として公知のものを使用することができ、特に、オクチル酸スズ等のスズ系液体触媒を使用するのが好ましい。
これら触媒の使用量は、乳酸オリゴマーに対して0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜15重量%、より好ましくは0.1〜10重量%程度である。
また、解重合反応における滞留時間は、ラセミ化を防ぐ観点から、できるだけ短い方が好ましく、通常10時間以内、好ましくは4時間以内である。
本発明においては、得られた粗ラクチドを精製して精製ラクチドを製造する。
ここで、精製の手法としては大別して溶融晶析法と蒸留法との2通りがあるがいずれも採用することができる。
溶融晶析法については、(1)ラクチド及び不純物の溶融混合物をラクチドの凝固点又はラクチドの凝固点よりわずかに下に冷却し、(2)溶融混合物を一部分結晶化させることにより溶融混合物より低い不純物含量の固相及び溶融混合物より高い不純物含量の液相を形成させ、そして(4)固相を液相から分離することにより分離した固相(=精製ラクチド)を形成し、必要であれば、得られた固相を再度前記(1)の操作から繰り返して行うことによって、ラクチドを精製するというものであり、
蒸留法は蒸留釜、精留塔、留出釜を少なくとも備えた設備を用い、蒸留釜内に粗ラクチドを投入し、加熱することによって、精製ラクチドを留分として得るというものである。
次に本発明において特徴的なことは、精製ラクチド中の乳酸濃度を近赤外分光分析法によって求めることであるので以下に述べる。
近赤外分光分析法は吸光分析の一種であり、その定量分析においてはランベルト−ベールの法則が使用される。
すなわち、乳酸濃度(乳酸量)を測定するラクチド試料への入射光量をI0、透過光量をIとすると、ラクチド試料の光透過率は、I0/Iで表される。また、吸光度(Aで表す)は透過率の逆数で表されるので、ランベルト−ベールの法則とは、この吸光度(A)と測定対象成分(本発明においては、乳酸成分である)の濃度(Cで表す)が正比例する関係を有することを規定した法則である。すなわち、ランベルト−ベールの法則は、
[数1]
A = log(I0/I) ∝ C・L (1)
という式で表され、この式(1)中、Lは光が通過する部分のサンプル厚さであって、光路長と呼ばれる。
このことは、測定対象成分であるラクチド中の乳酸成分の濃度(C)と近赤外光の吸光度(A)とが正比例することを意味しており、近赤外分光分析装置を用いて吸光度(A)を測定すれば、その値に定数を乗じることによって、測定したい乳酸の濃度を測定できることを示している。
したがって、測定したい乳酸に特有の単一波数に係る吸光が「非常にシャープで乳酸成分にだけ依存する場合」には、ランベルト−ベールの法則が意味する正比例の関係を用いて乳酸濃度を定量することに何等の問題もない。
しかしながら、近赤外光領域では、一般に各成分の吸収ピークはブロードであり、他の成分の吸収ピークと複雑に重なり合っているので、この影響によって単一波数の吸収ピークだけを用いても、正確な乳酸濃度を定量することができない。そこで、多数点における波数の吸光度データを用いると共に、予め異なる乳酸濃度がそれぞれ特定された多数のラクチド試料を用いて、検量線を作成しておき、乳酸濃度が未知のサンプルから採取した吸光データ(吸光スペクトル)から前記検量線を用いて正確な乳酸濃度を定量する。
なお、検量線の作成については、乳酸濃度が既知の多数のラクチド試料を母集団として用意し、母集団中のスペクトルを、
[数2]
b0+b1・a1+b2・a2+…+bi・ai+…+bN・aN (2)
という一次式にあてはめて計算した乳酸濃度値と、既知のラクチド試料中の乳酸濃度値との残差が最小になるように、各重み係数をbiを決定する。
なお、前記式(2)で「ai」は「波数iでの吸光度」を表し、「bi」はその「重み係数(定数)」をそれぞれ表す。また、前記式(2)が一次式で表されることは、前記式(1)で規定されるランベルト−ベールの法則による吸光度と成分濃度との間の線形関係を前提としているからである。
ところで、近赤外分光分析法によって得られるラクチド試料中の乳酸濃度を精度よく定量するためには、前記式(2)から乳酸濃度を計算するために、近赤外光領域において、どの波数を幾つ使用するかを選定することが重要となる。このため、本発明においては、乳酸濃度がそれぞれ既知のラクチド試料を近赤外分光分析によって得られた各波数に対する吸光度分布曲線を2次微分し、2次微分した値が極大となる2点の波数(6974cm−1及び8117cm−1)を選定して検量線を作成した。
なお、本発明においては、必要な精度の検量線を最小自乗法などを使用して得るために2点の波数を選定すれば十分であることが確認されている。ただし、この検量線を作成するに当って、使用した赤外分光分析計として、NIRSystems社製(型式:OL−5000)を使用し、投受光器が一体となった測定プローブをラクチド試料中に投入して、波長範囲:1100〜2500nm(波数範囲:9090〜4000cm−1)で、測定データ間隔:2.0nmにて測定を行った。
ただし、前記近赤外分光分析計に供したラクチド試料については、近赤外分光分析を行うと同時に滴定により、以下に説明する方法によって、ラクチド試料中に含まれる乳酸濃度を実測した。
本発明の方法と装置によれば、以上のようにして求めた検量線を使用するので、ラクチド中の乳酸濃度を数十ppmから数百ppmの範囲で正確に定量することができる。
以降は、精製手法として溶融晶析法を用いる場合と、蒸留法を用いる場合とで若干異なるので、まず、精製手法として、溶融晶析法を用いる場合について説明する。
溶融晶析法を採用した場合には、精製ラクチド中の乳酸濃度を近赤外分光分析法により溶融保持しつつ測定し、所定の値以下であれば精製操作は終了とし、所定の値を越えていれば、再度溶融晶析操作を行う。ここで、所定の値としては、最終的に必要とするポリ乳酸が得られる値であればよいが、乳酸濃度としては500ppm以下であれば、全く問題が生じない。
次に蒸留法を採用した場合には、留出釜中の精製ラクチド中の乳酸濃度を近赤外分光分析法により減圧下、溶融保持しつつ測定し、所定の値以下となるように、蒸留釜内温度、真空度、還流比を調整する。ここで、所定の値としては、最終的に必要とするポリ乳酸が得られる値であればよいが、乳酸濃度としては500ppm以下であれば、全く問題が生じない。
次に蒸留法を採用した場合には、留出釜中の精製ラクチド中の乳酸濃度を近赤外分光分析法により減圧下、温度80〜160℃の範囲で溶融保持しつつ測定し、所定の値以下となるように、蒸留釜内温度、真空度、還流比を調整する。
ここで、所定の値としては、最終的に必要とするポリ乳酸が得られる値であればよいが、乳酸濃度としては500ppm以下であれば、全く問題が生じない。
また、具体的に蒸留釜内温度、真空度、還流比を調整するにあたっては、例えば、バッチで蒸留を行う場合、蒸留初期の留出釜内の乳酸濃度が低い時には、蒸留釜内温度、真空度を上げ、還流比は下げる方向とし、留出釜内の乳酸濃度が所定の値に近くなってきた時には、還流比を上げ、更に、留出釜内の乳酸濃度が所定の値を超えてしまった場合には、蒸留釜内温度を下げ、還流比を1よりも大きくすることによって、調整する。
連続式で蒸留を行う場合にも、留出量を一定量に保つことに留意する限り、上記と同様に実施可能である。
なお、上記操作において、溶融保持温度は、ラクチドが溶融可能な温度であれば問題が無い。ラクチドの純度によって溶融可能温度は変化するが、80〜160℃の範囲で設定すればよい。なお、160℃を超えるとラクチドが分解するおそれがある。
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら限定を受けるものではない。
[製造例1]検量線の作成:
4つ口フラスコに、撹拌機、温度計、近赤外計センサーを具備したフラスコに含有乳酸濃度の既知のラクチドを加え、窒素気流下130℃で溶融し、温度一定の条件下のもと、近赤外センサーを通して、近赤外スペクトルを測定した。測定終了後、微量の乳酸を加え、近赤外スペクトルを測定することを繰り返し、各乳酸濃度における近赤外スペクトルを得た。これに含まれる解析装置で、400〜2,500nmの波長範囲につき、波長ステップ2nmで64回スキャンして得た検量線を得た。反応混合物中の乳酸量の算定においては、反応混合物の近赤外吸収スペクトルの二次微分スペクトルを使用し、1300〜1,500nmの波長領域で、相関係数0.9887の検量線を与えるものであった。
なお、本発明における、近赤外センサー、検量線を用いて求めた乳酸量濃度の数値との検定のため、従来法に基づき、アルカリによる中和滴定を行い、反応系内から採取したサンプル1g当たりの所要アルカリ量(モル)を測定して、乳酸(g)換算し算出した。
[実施例1]溶融晶析法による精製ラクチドの合成(溶融晶析操作n=1):
ラクチド及び不純物の溶融混合物をラクチドの凝固点又はラクチドの凝固点よりわずかに下に冷却し、溶融混合物を一部分結晶化させることにより溶融混合物より低い不純物含量の固相及び溶融混合物より高い不純物含量の液相を形成させ、固相を液相から分離することにより分離した固相を溶融して得られた溶融ラクチド中(120℃)に近赤外センサーを投入し、製造例1で作成した検量線を用いて、酸量を算定したところ、0.0798%(798ppm)であった。この溶融ラクチドをサンプリングし、従来公知の方法の中和滴定にて算定した値は0.0773%(773ppm)であり、近赤外センサーで測定した値と一致し。
近赤外センサーを用いることで、サンプリングすることなく、効率よく、精製ラクチドを製造できることを確認した。
[実施例2]溶融晶析法による精製ラクチドの合成(溶融晶析操作n=2):
ラクチド及び不純物の溶融混合物をラクチドの凝固点又はラクチドの凝固点よりわずかに下に冷却し、溶融混合物を一部分結晶化させることにより溶融混合物より低い不純物含量の固相及び溶融混合物より高い不純物含量の液相を形成させ、固相を液相から分離することにより分離した固相を溶融、再度上記の操作、冷却、結晶化、個液分離を1回繰り返した以外は実施例1記載と同様に行なった。製造例1で作成した検量線を用いて、130℃、常圧にて酸量を算定したところ、0.0323%(323ppm)であった。この溶融ラクチドをサンプリングし、従来公知の方法の中和滴定にて算定した値は0.0328%(328ppm)であり、近赤外センサーで測定した値と一致した。
近赤外センサーを用いることで、サンプリングすることなく、効率よく、精製ラクチドを製造できることを確認した。
[実施例3]溶融晶析法による精製ラクチドの合成(溶融晶析操作n=3):
ラクチド及び不純物の溶融混合物をラクチドの凝固点又はラクチドの凝固点よりわずかに下に冷却し、溶融混合物を一部分結晶化させることにより溶融混合物より低い不純物含量の固相及び溶融混合物より高い不純物含量の液相を形成させ、固相を液相から分離することにより分離した固相を溶融、再度上記の操作、冷却、結晶化、個液分離を2回繰り返した以外は実施例1記載と同様に行なった。製造例1で作成した検量線を用いて、130℃、常圧で酸量を算定したところ、0.0112%(112ppm)であった。この溶融ラクチドをサンプリングし、従来公知の方法の中和滴定にて算定した値は0.0105%(105ppm)であり、近赤外センサーで測定した値と一致した。
近赤外センサーを用いることで、サンプリングすることなく、効率よく、精製ラクチドを製造できることを確認した。
[実施例4]蒸留法による精製ラクチドの合成:
L−乳酸(90%)水溶液300gを撹拌装置、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに投入し、窒素気流下で1時間かけて160℃まで昇温することにより脱水濃縮し、その後1時間かけて1.33kPa(10mmHg)まで徐々に減圧し、この状態で水が留去しなくなるまで保持し、オクチル酸スズ、1.5gを加え、200℃、0.66kPa(5mmHg)で解重合することにより、L−ラクチド62gを得た。このL−ラクチドは溶融状態で配管へ導かれ、配管に接続している近赤外センサーで測定した。配管の温度は110℃であった。
酸量を算定したところ、0.136%(136ppm)であった。この溶融ラクチドをサンプリングし、従来公知の方法の中和滴定にて算定した値は0.146%(146ppm)であり、近赤外センサーで測定した値とほぼ一致した。
近赤外センサーを用いることで、サンプリングすることなく、効率よく、精製ラクチドを製造できることを確認した。
[実施例5]蒸留法による精製ラクチドの合成:
精留塔を具備し、還流比を高めた以外は実施例4と同様の方法を実施した。
得られたL−ラクチドを溶融した後、近赤外センサーで測定した。
実施例4同様、130℃の配管に接続している近赤外センサーで酸量を算定したところ、0.0534%(534ppm)であった。この溶融ラクチドをサンプリングし、従来公知の方法の中和滴定にて算定した値は0.0557%(557ppm)であり、近赤外センサーで測定した値とほぼ一致した。
近赤外センサーを用いることで、サンプリングすることなく、効率よく、精製ラクチドを製造できることを確認した。
[比較例1]
実施例3と同様に得られたラクチドを130℃で溶融後に50℃で測定を試みたが、ラクチドは固化し、測定が不可能であった。
[比較例2]溶融晶析法による精製ラクチドの合成(溶融晶析操作n=3):
ラクチド及び不純物の溶融混合物をラクチドの凝固点又はラクチドの凝固点よりわずかに下に冷却し、溶融混合物を一部分結晶化させることにより溶融混合物より低い不純物含量の固相及び溶融混合物より高い不純物含量の液相を形成させ、固相を液相から分離することにより分離した固相を溶融、再度上記の操作、冷却、結晶化、個液分離を2回繰り返した以外は実施例1記載と同様に行なった。製造例1で作成した検量線を用いて、200℃、常圧で酸量を算定したところ、ラクチドが分解してしまい、近赤外センサーによる測定値が一定にならず、正確な測定は不可であった。

Claims (5)

  1. 乳酸を減圧下で縮合して乳酸オリゴマーを生成し、得られた乳酸オリゴマーを解重合することにより粗ラクチドを合成し、得られた粗ラクチドを精製して精製ラクチドを製造する方法であって、
    精製は、溶融晶析法にて行い、精製ラクチド中の乳酸濃度を近赤外分光分析法により溶融保持しつつ測定し、乳酸濃度値が所定値以下となった時点で精製操作の繰り返しを終了することを特徴とする、精製ラクチドの製造方法。
  2. 所定値が500ppm以下である、請求項1記載の製造方法。
  3. 溶融保持を大気圧下で行う、請求項1記載の製造方法。
  4. 乳酸を減圧下で縮合して乳酸オリゴマーを生成し、得られた乳酸オリゴマーを解重合することにより粗ラクチドを合成し、得られた粗ラクチドを精製して精製ラクチドを製造する方法であって、
    精製は、蒸留釜と留出釜とを少なくとも用いる蒸留法にて行い、留出釜中の精製ラクチド中の乳酸濃度を近赤外分光分析法により減圧下で溶融保持しつつ測定し、乳酸濃度値が所定値以下となるように、蒸留釜内温度、真空度、還流比を調整することを特徴とする、精製ラクチドの製造方法。
  5. 所定値が500ppm以下である、請求項4記載の製造方法。
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