JP2005017055A - フェノール類の分析方法およびオルト位メチル化化合物の製造方法 - Google Patents

フェノール類の分析方法およびオルト位メチル化化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フェノール類と水を含有する混合溶液中のフェノール類の濃度を連続的にオンライン測定する方法を提供し、オルト位メチル化フェノール化合物製造法の反応の安定化技術を提供する。
【解決手段】フェノール類と水とを含有する混合溶液中のフェノール類の濃度を測定する方法において、レイノルズ数が430以上であり、水相とフェノール類を含む有機相とに相分離した状態にある混合溶液中のフェノール類の濃度を、近赤外分光光度計18、20を用いて分析する。また、この分析方法を用いて、フェノールおよび/またはオルソクレゾールと、メチルアルコールとを気相接触反応させて得られる反応混合物中におけるフェノールおよび/またはオルソクレゾールおよび/または2,6−キシレノールの濃度を、反応器出口16でオンライン連続分析して、反応器11の温度を制御する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水とフェノール類を含有する有機溶液との混合溶液におけるフェノール類の近赤外分光定量分析法に関し、更に詳しくは、有機相と水相とが2相分離する混合溶液中のフェノール類の成分分析法に関し、加えて、2,6−キシレノールおよびオルソクレゾール製造法おける反応制御法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
近赤外分光分析は、中赤外域に基準振動を持つOHやCHやNH官能基の倍音、結合音を利用した分析法であり、吸光係数が中赤外域の基準振動に比べ桁違いに小さい。このため、近赤外分光分析のセル長は、中赤外の基準振動でのセル長である数10μmに対し数mm以上にできる特徴がある。従って、基準振動域の中赤外分光分析において、しばしば必要とされる希釈などの前処理を必要とせず、分光式の特徴である高速分析が可能であり、石油・化学分野でのオンライン分析への適用が進んでいる。
【0003】
しかしながら、近赤外領域における吸収体は多成分系では成分間の官能基吸収帯のオーバーラップが著しく、分析成分の帰属波長の特定が難しい。この問題を解決する一般的な方法は、標準分析法にて分析した濃度既知の多量サンプルの近赤外スペクトルを採取し、標準分析計の濃度と近赤外スペクトルとを統計的多変量重回帰分析により作成した検量方程式を使用することである。
【0004】
従って、検量方程式の作成に使用したサンプル群とその検量方程式にて分析する対象サンプルの性状は、統計的に同一母集団であることが要求される。このため、分析可能な対象は、性状変化の小さい固体、均一粒度の粉体、均一水溶液および均一有機溶液などである。一方、有機相と水相とが2相に分離する系では、分離状態によって、相界面での散乱の状況が変化するため、検量方程式に使ったサンプル群と実分析のサンプルが統計的に同一母集団になり難く、一般に近赤外分光分析は困難であり、検討事例も見当たらない。
【0005】
また、複数のフェノール類を含有する系においては、フェノール類間の構造の類似性もあって、個々の近赤外分光スペクトルの差が小さく、成分間ピークオーバーラッピングは相対的に著しく、均一溶液でも分析が難しい。これに加え、上記の水相と有機相との2相分離系では、界面散乱や水の吸収帯のベンゼン環水酸基へのオーバーラップも加わるため、近赤外分光分析での分析は極めて困難であり、検討事例も皆無である。
【0006】
一方、フェノール類を含む有機溶液と水の2相分離溶液の代表例が、2,6−キシレノールおよびオルソクレゾール製造プロセスおける精製前の反応後溶液である。2,6−キシレノールおよびオルソクレゾール製造プロセスは、メタノールとフェノールを主成分とした原料を反応させ、オルソクレゾールを中間体として、逐次反応にて2,6−キシレノールまで反応させる。特に2,6−キシレノールとオルソクレゾールを並産する場合は、市場ニーズに合わせて2,6−キシレノールとオルソクレゾールの生産比率を人為的に制御している。
【0007】
定常運転時の運転管理は、1日1回程度の上記した反応器出の2相分離液をサンプリングし、ガスクロマトグラフなどで分析し、反応条件の微調整にて行っている。また、人為的に生産比率を変化させる場合は、運転の安定性維持のために、速やかに目標比率に移行させる必要があり、上記サンプリング分析頻度を1時間〜2時間間隔にし、より高頻度の調整制御を実施している。
【0008】
【発明が解決しようする課題】
2,6−キシレノールとオルソクレゾール並産プロセスにおける製造上の課題解決のために、以下の2点の技術開発が必要である。
1)上記プロセスの反応器出の溶液、すなわち、典型的なフェノール類を含む有機と水の2相分離溶液中でのフェノール類の高速オンライン分析の開発
2)高速オンライン分析結果を利用したプロセス制御技術の開発
【0009】
以下、上記の課題について具体的に述べる。
2,6−キシレノールとオルソクレゾール並産プロセスにおいて、両者の生産比率を人為的に変える場合に、サンプリングガスクロ分析頻度を上げて、切り替え後の目標値に速やかに制御することを試みている。しかし、サンプリングガスクロ分析はその頻度を上げても、高々1時間に1回が限度であり、切り替え時の上記濃度比率の実変化と分析値に時間差が生じ、目標比率への切り替えに長時間を要していた。
【0010】
この為、分析負荷の増大はもとより、後流の2,6−キシレノールとオルソクレゾールとを分離する精製系において、その濃度比の変動に合わせて精製条件を頻繁に調整せざるを得ず、まれに製品規格の限界を超えることもあった。このため、反応器出の有機相と水相に2相分離する混合液を高速にオンライン分析し、実時間内で制御する技術開発に対し強い要望があった。しかし、本反応器出の溶液は上記のように、フェノール類を含む有機と水の2相分離系の典型であり、その混合溶液中でのフェノール類の分析が対象であり、実用に耐えうる分析法の開発と制御法の開発が急務となった。
【0011】
本発明者らは、上記課題解決のために、近赤外分光分析法は、高速分析は可能ではあるが上述したように、技術的に大きなハードルがあるため、当初は自動ガスクロマトグラフを考えた。即ち、分析時間遅れの大きな要因であるサンプリング時間の短縮を狙って、反応器出及び精製系前の液を自動サンプリングして、ガスクロマトグラフィー分析を行うことを考えた。しかし、サンプリング配管のタール等の低沸物質による詰まり等の懸念が強く、また、分析時間そのものが、20〜30分掛かるという問題が解決出来なかった。
【0012】
このため、再度、近赤外分光分析技術の分析法確立に向けて、測定条件に注目して鋭意研究を重ねた。その結果、有機相と水相とを分離し、有機相のみを測定セルに流入することで安定な分析が可能であることを見出した。また、層流の極めて低流速下で2相に分離させ、有機相に光ファイバー検出端を装着して測定しても同様の結果が得られる。しかしながら、有機相のみを近赤外測定セルに流入するためには、分離器が必要であり、また、層流域での分離では、水相と有機相との界面での乱反射を避けるために、大口径の長尺配管が必要であり、設備費が嵩むという弱点があった。
【0013】
一方、水相と有機相とを強制的に分離しない状態では、有機相と水相の存在状態が安定に保てず散乱状態が測定毎に変化し、実質測定不可能となると考えていた。しかし、流れ状態を変えて測定していくと、驚くことに、レイノルズ数の値を制御することにより分析可能なレベルまでスペクトル変動を抑えることができることを発見し、本発明を完成した。
【0014】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は次に記載する通りである。
(1)フェノール類と水とを含有する混合溶液中のフェノール類の濃度を測定する方法において、レイノルズ数が430以上であり、水相とフェノール類を含む有機相とに相分離した状態にある混合溶液中のフェノール類の濃度を、近赤外分光光度計を用いて測定する方法。
(2)該混合溶液中における水の体積分率が5〜50vol%である上記(1)記載の方法。
(3)該混合溶液を水相と有機相に分離した後、フェノール類の濃度を測定する上記(1)又は(2)記載の方法。
(4)1300nm〜1800nm内の2つ以上の波長における吸光度またはその1次以上の微分値を用いる上記(1)〜(3)記載の方法。
(5)1690nm〜1720nmより1つ以上の波長における吸光度またはその1次以上の微分値を用いる上記(4)記載の方法。
【0015】
(6)1690nm〜1720nmより1つ以上の波長および1720nm〜1790nmまたは1600nm〜1680nmまたは1400nm〜1500nmの何れかより1つ以上の波長における吸光度またはその1次以上の微分値を用いる上記(4)記載の方法。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の方法で、フェノール類の濃度をオンラインにて測定するフェノール類の製造方法。
(8)該フェノール類が、フェノールおよび/またはオルソクレゾールおよび/または2,6−キシレノールである上記(7)に記載の製造方法。
(9)フェノールおよび/またはオルソクレゾールと、メチルアルコールとを気相接触反応させて得られる反応混合物中におけるフェノールおよび/またはオルソクレゾールおよび/または2,6−キシレノールの濃度を、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の方法でオンラインにて測定し、該濃度が一定になるように反応器の温度を制御することを特徴とする上記(8)記載の製造方法。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明においては、近赤外分光定量分析法による測定対象となる水とフェノール類を含有する有機溶液の混合溶液のレイノルズ数を測定領域以外の波長の吸収の影響を小さくするために430以上とする必要があり、望ましくは654以上とする。また、分析精度の実用レベルを鑑みるとレイノルズ数は20000以下が好ましく、10000以下がより好ましく、さらに好ましくは4400以下である。望ましいレイノルズ数の範囲は、654から10000の範囲であり、更に望ましくは2000から4400の任意の値で制御する。これにより分析可能なレベルまでスペクトル変動を抑えることができる。
レイノルズ数が430より低いと、1450nm近傍の吸収が徐々に増大し、実質測定不能になる。また、レイノズル数430以上であれば、測定可能であるが、10000を超えるとスペクトルのベースライン変動が大きくなり、20000を超えると繰り返し分析精度が悪化する。
【0017】
本明細書でいう「水相とフェノール類を含む有機相とに相分離した状態」とは、(1)有機相と水相とが上下2層に分離した状態(いずれが上層であっても下層であってもよい)、(2)油中水滴(W/O)の状態、及び、(3)水中油滴(O/W)の状態をいう。ここで、水相とは、相分離した状態において、水を主成分とする相をいい、有機相とは、フェノール類を含む有機物を主成分とした相をいう。
【0018】
フェノール類の濃度を測定するに際しては、上記の、(1)有機相と水相とが上下2層に分離した状態としたものにおいては、有機相を抜き出し、この有機相について近赤外分光高度計を用いてフェノール類の濃度を測定する方法と、有機相を抜き出すことなく2層分離した状態にあるうちの有機相に光を当てて近赤外分光高度計を用いてフェノール類の濃度を測定する方法とがある。
また、上記(2)油中水滴(W/O)及び(3)水中油滴(O/W)の状態であるものについては、2相混合溶液に光を当てて近赤外分光高度計を用いてフェノール類の濃度を測定する。
【0019】
安定に測定できる水分相の相比は、5から50vol%の範囲で、望ましくは10〜35vol%の範囲である。また、光路長は、1mm〜10mmで、望ましくは1mm〜4mm、更に望ましくは1.5mm〜2.5mmである。また、透過反射の場合の照射口から反射板までの距離で表すと上述の光路長の1/2の値である。
【0020】
更に詳しく有機相の成分を述べると、2,6−キシレノール、オルソクレゾール、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,3,4−トリメチルメチルフェノール、2,3,5−トリメチルメチルフェノール、2,3,6トリメチルメチルフェノール、2,4,6−トリメチルメチルフェノール、オルトエチルフェノール、メチルエチルフェノールなどが挙げられる。
【0021】
また、実用に耐え得る分析精度を確保するためには、2,6−キシレノールおよびオルソクレゾールとフェノールの検量方程式をそれぞれ作成する必要がある。
次に検量方程式の作成手順について具体的に述べる。
なお、検量方程式の作成手順は2,6−キシレノールとオルソクレゾールおよびフェノールにおいて、共通である。
【0022】
近赤外分光分析は、標準分析法の分析値と近赤外スペクトルを回帰分析し、検量方程式を作成する2次分析法であるが、実プロセス中で採取した近赤外スペクトルとサンプリング標準分析値とから回帰分析で検量方程式を決定するのが望ましい。検量方程式サンプル数は50以上で望ましくは200以上である。また、フェノール類の標準法での分析値は、水相成分を除いた成分濃度合計を100%換算した値を用いるのが望ましい。
【0023】
本発明においては、製品である2,6−キシレノール、オルソクレゾール、フェノールおよび副反応成分である他のフェノール類およびアルコールと水を含む、有機と水の2相分離液の近赤外分光分析を行なうに当たって、プロセス中で採取した十分多数の上記有機溶液の2,6−キシレノールおよびオルソクレゾールおよびフェノールの濃度をガスクロマトグラフ等の標準分析法にて分析して得た分析値と、この分析液と実質同じ液の近赤外吸収スペクトルを取得して得られる1300nmから1800nm内の2波長以上の特定波長の吸光度値あるいはその1次以上の微分値とに基づいて、線形重回帰法あるいは主成分回帰法あるいは部分最小2乗法などの所定の回帰分析法を用いて各成分の検量方程式を作成する。
【0024】
主成分回帰法および部分最小2乗法においては、1690nm〜1720nmの波長を含む様に、例えば、1600nmから1800nmの2nm間隔で測定された全波長の吸光度もしくはその1次微分値もしくは2次微分値を用いるのが望ましい。
【0025】
上記のようにして得た吸光度又はその微分値と、2,6−キシレノールおよびオルソクレゾールおよびフェノールの標準法での分析値とから線形重回帰法あるいは部分最小2乗法あるいは主成分分析回帰法によってそれぞれの成分の検量方程式を作成する。上記微分処理においては、1次ないしは2次微分が望ましく、特に線形重回帰では2次微分が、部分最小2乗法及び主成分分析回帰法では1次微分が望ましい。また、部分最小2乗法あるいは主成分分析回帰法において安定的に精度良く分析できる主成分数は、5以上15以下の間にあり、望ましくは7から9のいずれかを使用する。
【0026】
更に、線形重回帰法においては、1690nm〜1720nmの波長範囲内の波長を一つ以上含むように、1300nm〜1800nmの波長範囲から、2つ以上4以下の波長を選定し、その吸光度の1次以上の微分値、望ましくは2次微分値とガスクロマトグラフ等の標準的分析法による分析値とから検量方程式を作成することことが望ましい。
【0027】
より望ましい検量方程式の作成方法は、1690nm〜1720nmより1つ以上の波長を選び、かつ1720nm〜1790nm、1600nm〜1680nm及び1400〜1500nmの波長範囲から1つ以上の波長を選定し、かつ選定総波長数を2以上4以下とし、各波長の吸光度もしくはその1次以上の微分値、望ましくは2次微分値を求め、2,6−キシレノール、オルソクレゾールおよびフェノールの標準法での分析値とから線形重回帰法により各成分それぞれの検量方程式を作成する方法である。
【0028】
本発明により、2,6−キシレノールおよびオルソクレゾール併産プラントにおける反応器出の2,6−キシレノールおよびオルソクレゾール濃度もしくはその濃度比およびフェノール濃度を、数分間隔以内で連続測定することが可能となり、触媒劣化等による2,6−キシレノールおよびオルソクレゾール変動を、短時間間隔で反応温度を制御することができ、2,6−キシレノールおよびオルソクレゾールの目標濃度値からのずれを従来の数分の1に抑えることが可能となる。また、反応器出の2,6−キシレノールおよびオルソクレゾール濃度が安定したことで、後流の精製系での精製条件調整頻度および調整幅が下がり、安定な純度の2,6−キシレノールおよびオルソクレゾールの生産が可能となる。
【0029】
【実施例】
以下、具体的に実施例に基づき発明の詳細を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、本発明の近赤外分析法は、下記の実施例に限定されるものではなく、水相と有機相の2相分離系でのフェノール類の分析に応用可能である。
【0030】
【実施例1】
水相および有機相の2相分離液として、メタノール5〜15wt%、水15〜30wt%、2,6−キシレノール35〜60wt%フェノール1.5〜10wt%振った計210サンプルを用意した。以下、図1より具体的に説明する。
【0031】
上記の予め用意したサンプルを攪拌槽1にいれ、2の分離槽フィード配管により分離槽3に流入させ、平均滞留時間を30分として2相に分離する。水相回収配管4により水相分を抜き取り、有機相抜き出し配管5により有機相分を抜き取る。該配管5の途中に近赤外分光分析用の近赤外分光測定セル6が設けられている。該セル6へ透過測定用の照射受光ファイバーが同軸になったバンドル型光ファイバー7より近赤外光を照射し、近赤外分光測定セル6内の内部流体を透過させて再び上記光ファイバー7で受光し、分光器8で分光し、各波長の光強度を電気信号に変えてコンピュータ9に送り、吸収スペクトルを取得する。
【0032】
ここで、近赤外光をサンプル液透過後に分光しているが、分光した単色光をサンプルに照射してもかまわない。測定セルも光ファイバープローブ型のセルでも構わない。また、光路長は1600〜1800nmの範囲の吸収ピークを検出可能な範囲であれば構わないが、望ましくは1.mm〜5mmで本実施例では3mmである。また、近赤外分光分析計は、4nm間隔以下で分光可能な分光器が望ましい。本実施例では2nm間隔で分光可能なNIRシステム社製のオンライン仕様の分光器を用いている。
【0033】
図1に示したようにして210のサンプルスペクトルを取得すると同時に、有機相抜き出し配管5よりサンプリングした分離後の有機相液の2,6−キシレノール、オルソクレゾール、フェノールのガスクロマト分析を実施した。210のサンプルの内ランダムに105サンプルのスペクトルを1次微分し、2,6−キシレノール、オルソクレゾール、フェノールガスクロ値とを波長1600nmから1800nmの範囲で部分最小2乗法にて各成分の検量方程式を作成した。使用主成分数は、いずれの成分も8である。上記検量方程式にて、残りの105サンプルを分析した。その結果、各成分の相関係数および分析値は以下の通りであった。
2,6−キシレノール:相関係数0.991,標準誤差SEP0.23%
オルソクレゾール :相関係数0.991,標準誤差SEP0.234%
フェノール :相関係数0.998,標準誤差SEP0.06%
【0034】
【実施例2】
本実施例は、2,6−キシレノールおよびオルソクレゾール併産プラントにおける反応器出の、2,6−キシレノール及びオルソクレゾールおよびフェノールの近赤外オンライン分析法および反応器制御法に関するものである。
【0035】
以下、図面にて、実施例を具体的に説明する。
図2は、反応器廻りと近赤外オンライン分析および反応器制御システムの概略図である。原料フィード配管10より、フェノール、メタノールおよび水が、反応器11にフィードされ、触媒12の存在下で反応することで、オルソクレゾール、2,6−キシレノールが生成される。
【0036】
反応後のガス組成は2,6−キシレノール、オルソクレゾールおよび未反応フェノール、メタノール、副生成物である水およびその他の微量成分であり、反応ガスフィード配管13により、急冷塔14に送られる。急冷塔14の上部のガス回収配管15により未凝縮ガスを回収し、下部の反応液抜き取り配管16により反応液を抜き出す。該配管16の途中に近赤外分析用に流量制御可能なバイパスライン17が設けてある。
【0037】
バイパスライン17の途中に近赤外分光測定セル18が設けてある。該測定セル18に、透過測定用の照射受光ファイバーが同軸になったバンドル型光ファイバー19より近赤外光が照射され、近赤外分光測定セル18内の内部流体を透過し、再び上記光ファイバー19で受光し、分光器20で分光し、各波長の光強度を電気信号に変えて近赤外分光分析コントロールコンピュータ21に送られる。該コンピュータ21は、配管中のプロセス液の近赤外スペクトルを採取すると同時に、必要に応じて自動的に微分処理や、濃度決定の為の数学処理を行い、プロセス制御コンピュータ22に分析結果を送る。ここで、近赤外光をサンプル液に透過後に分光しているが、分光した単色光をサンプルに照射してもかまわない。測定セルも光ファイバープローブ型のセルでも構わない。
【0038】
また、光路長(セル長)は1600〜1800nmの範囲の吸収ピークを検出可能な範囲であれば構わないが、望ましくは1.5mm〜2.5mmであり、本実施例では2mmである。また、近赤外分光分析計は、4nm間隔以下で分光器が望ましい。本実施例では2nm間隔で分光可能なNIRシステム社製のオンライン仕様の分光器を用いている。
【0039】
反応器出の分析において、本実施例では有機相と水相との混相溶液を分析セルに流入している。本実施例では、レイノズル数2200にて行なっている。
また、本実施例では、測定セル18の近傍よりサンプリングしガスクロマトグラフ分析等の標準的な分析法にて2,6−キシレノールとオルソクレゾールおよびフェノール濃度を分析するとともに、上記サンプリング液と実質同じ液の近赤外吸収スペクトルを採取した。上記の方法で成分濃度の異なるガスクロマトグラフ分析濃度既知の約200スペクトルを採取し、検量方程式を作成した。
【0040】
また、本実施例では、2,6−キシレノールは、波長1704nm±10nmと1488nm±10nmの2の波長帯からそれぞれ1波長づつ2波長選び、その2次微分値とガスクロマトグラフ等の標準的分析法による分析値とから線形重回帰法により検量方程式を作成し、オルソクレゾールは、1706nm±10nm、1668nm±10nm および1628nm±10nmの3の波長帯からそれぞれ1波長づつ3波長を選定し、その2次微分値とガスクロマトグラフ等の標準的分析法による分析値とから線形重回帰法で線形重回帰により検量方程式を作成し、フェノールは、1780nm±10nm、1702nm±10nmおよび1662nm±10nmの3波長帯からそれぞれ1波長づつ3波長を選定し、その2次微分値とガスクロマトグラフ等の標準的分析法による分析値とから線形重回帰法で線形重回帰により検量方程式を作成した。
上記の検量方程式作成法で作成した各成分のオンライン分析結果を図3、4、5に示す。
【0041】
次に、制御法について述べる。上記の近赤外分析法により、数分以内の間隔で図1の測定セル18内の液成分を分析し、その分析結果であるオルソクレゾールと2,6−キシレノールの濃度より、2,6−キシレノールとオルソクレゾール重量比を近赤外分光分析コントロールコンピュータ21により計算し、所定の2,6−キシレノールとオルソクレゾール重量比となるように、プロセス制御コンピュータ22を通じて、反応器温度制御用冷却コイルバルブ23の開閉を行い、冷却コイルにフィードされる冷却水量を調節して、反応器内の温度を制御する。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、フェノール類と水を含有する混合溶液中のフェノール類の近赤外分析方法が可能となり、オルト位メチル化フェノール化合物製造法の反応を安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例1の水/有機相分離による近赤外分光分析法を示す概略図である。
【図2】本発明実施例2の近赤外分光分析法及び反応器制御システムを示す概略図である。
【図3】実施例2における2,6−キシレノールの分析結果を示す図である。
【図4】実施例2におけるオルソクレゾール分析結果を示す図である。
【図5】実施例2におけるフェノール分析結果を示す図である。
【符号の説明】
1 攪拌槽
2 分離槽フィード配管
3 分離槽
4 水相回収配管
5 有機相抜き出し配管
6 近赤外分光測定セル
7 バンドル型光ファイバー
8 分光器
9 コンピュータ
10 原料フィード配管
11 反応器
12 触媒
13 反応ガスフィード配管
14 急冷塔
15 ガス回収配管
16 反応液抜き取り配管
17 バイパスライン
18 近赤外分光測定セル
19 バンドル型光ファイバー
20 分光器
21 近赤外分光分析コントロールコンピュータ
22 プロセス制御コンピュータ
23 反応器温度制御用冷却コイルバルブ

Claims (9)

  1. フェノール類と水とを含有する混合溶液中のフェノール類の濃度を測定する方法において、レイノルズ数が430以上であり、水相とフェノール類を含む有機相とに相分離した状態にある混合溶液中のフェノール類の濃度を、近赤外分光光度計を用いて測定する方法。
  2. 該混合溶液中における水の体積分率が5〜50vol%である請求項1記載の方法。
  3. 該混合溶液を水相と有機相に分離した後、フェノール類の濃度を測定する請求項1または2記載の方法。
  4. 1300nm〜1800nm内の2つ以上の波長における吸光度またはその1次以上の微分値を用いる請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 1690nm〜1720nmより1つ以上の波長における吸光度またはその1次以上の微分値を用いる請求項4記載の方法。
  6. 1690nm〜1720nmより1つ以上の波長および1720nm〜1790nmまたは1600nm〜1680nmまたは1400nm〜1500nmの何れかより1つ以上の波長における吸光度またはその1次以上の微分値を用いる請求項4記載の方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の方法で、フェノール類の濃度をオンラインにて測定するフェノール類の製造方法。
  8. 該フェノール類が、フェノールおよび/またはオルソクレゾールおよび/または2,6−キシレノールである請求項7に記載の製造方法。
  9. フェノールおよび/またはオルソクレゾールと、メチルアルコールとを気相接触反応させて得られる反応混合物中におけるフェノールおよび/またはオルソクレゾールおよび/または2,6−キシレノールの濃度を、請求項1〜6のいずれかに記載の方法でオンラインにて測定し、該濃度が一定になるように反応器の温度を制御することを特徴とする請求項8記載の製造方法。
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