JP2011173820A - 炭酸エステルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ケトンとアルコールとを反応させ、ケタールを得た後、該ケタールと二酸化炭素とを反応させて炭酸エステルを製造することを含む炭酸エステルの製造方法であって、ケタール生成反応における未反応のケトンをエントレーナとして、炭酸エステルを分離する際、ケトンとアルコールが共沸点組成を構成するように、蒸留塔へ供給する原料の組成を調整した。
【選択図】 図1
Description
このようなMTBEの代替物質として、また、エンジニアリングプラスチックであるポリカーボネートの原料、あるいはカルボニル化剤、燃料電池用の原料等として用いることができる化合物として、DMC(Dimethyl Carbonate:以下、炭酸ジメチルともいう)等の炭酸エステルが注目されている。
このために、メタノールと炭酸ジメチルを分離する方法としては従来、i)共沸蒸留による方法、ii)加圧蒸留による方法、iii)抽出蒸留による方法等が知られている。
加圧蒸留による方法は,蒸留時の操作圧力を高くすることにより、共沸を回避する方法である。しかし、この方法は、設備費が多大となり,実プラントで使用は困難である。
特許文献1に係るものは、有機溶剤を抽出溶媒として加え,抽出蒸留を行っている。また、特許文献2に係るものは、炭酸ジメチルの合成過程で副生する蓚酸ジメチルを抽出溶媒として利用することとしている。
しかし、特許文献1で挙げている有機溶剤を抽出蒸留の抽出溶剤として用いる際は,炭酸ジメチルの合成そのものとは別のプラントでその試薬を生産する必要がある。また、特許文献2の方法は、炭酸ジメチルの収率そのものが悪くなるという欠点があった。
この図1に示すように、炭酸ジメチルの製造システム10は、反応器20、CO2ストリッパ30、脱ガス塔40、DMC(炭酸ジメチル)精製塔50、ADA(アセトンジメチルアセタール)回収塔60、ADA(アセトンジメチルアセタール)生成器70、脱水塔80、油水分離器81を備えている。
反応器20には、例えば10〜30MPaという、常圧より高い圧力にコンプレサ21によって加圧された高圧状態の液体二酸化炭素と、同様に高圧状態のアセトンジメチルアセタールがライン22を介して事前に合流して混合され、導入される。
このような触媒としては、例えば、ジブチル錫触媒を用いることができる。しかし、ジブチル錫触媒は毒性が強く、比較的高価であり、反応条件も厳しいため、工業的に有利とは言えない。そこで、触媒としては、固体酸点を有する化合物からなる担体に、強酸を担持させてなるものを用いるのが好ましい。
また、担持させる強酸としては、SO4 2-又はPO4 3-を用いることが好ましい。しかし、これ以外にも強酸であれば、上記担体に担持させることができる。SO4 2-又はPO4 3-としては、H2SO4、H3PO4、(NH4)2SO4、(NH4)3PO4由来のものを用いることができる。
CO2ストリッパ30では、常圧より高く、かつ反応器20で反応を行う圧力より低い所定の圧力(第二の圧力)、例えば4MPaの圧力下で、二酸化炭素を、混合物から分離する。
CO2ストリッパは、いわゆる棚段方式又は充填物方式の蒸留塔と同様の構成を有するもので、高圧下で炭酸ジメチル、アセトン、アセトンジメチルアセタール、メタノール、二酸化炭素等の混合物を焚き上げることで、ガス成分である二酸化炭素だけが上昇する。そして、所定の圧力、例えば4MPaの圧力で、二酸化炭素だけを分離し、CO2ストリッパ30の上部から排出し、他の成分を液の状態のまま底部から排出して脱ガス塔40に送る。
また、上記CO2ストリッパでは、上部から排出されるCO2ガスには、他の軽質ガス(アセトン等)も微量に随伴されることがある。
なお、本明細書中及び特許請求の範囲の記載で、分離操作というときは、単離操作も含む概念である。
また、蒸留塔へ導入される組成が、炭酸ジメチルとメタノールの共沸組成比でなかった場合も、この三角図における炭酸ジメチルとメタノール組成を変更することにより、2つのラインの交点から、蒸留塔へ導入する炭酸ジメチル:メタノール:アセトンの最適な組成の割合を求めることができる。
(1)DMCを合成する反応器20において、反応条件、原料組成を適正化することにより、副生するアセトン量を制御する。
(2)DMCを合成する反応器20へADA混合物を送る油水分離器81において、温度調整と供給水の調整を行うことにより、ADA混合物中のメタノールとアセトンの量を調整する。(詳細は後述する)
(3)脱ガス塔40の圧力調整と温度調整を行うことによって、脱ガス塔40の頂点から排出される軽質ガス(アセトン・メタノール)の量を調整する。
(4)アセトンが不足する場合には、別途導入することによって補うことができる。例えば、アセトンを多く含むガスとしては、脱ガス塔40の塔頂から排出される軽質ガス中のアセトンや脱水塔80の塔頂から排出されるリサイクルガス中のアセトンを利用することができる。
ここで、アセトンジメチルアセタールと、メタノールにも共沸点がある。これを考慮すると、メタノール:アセトンジメチルアセタールの存在比(モル比)は、0.73:0.27の範囲である。
以上のことを、図3に示す三角図で表す。蒸留塔(ADA回収塔60)へ導入される組成比が、アセトンジメチルアセタールとメタノールの共沸組成であった場合、この三角図に示されるように、アセトンジメチルアセタール:メタノール:アセトンの存在比(モル比)が、0.07:0.18:0.75が最適な存在割合となる。最適な存在割合は、その近傍も含む。(近傍とする範囲は、組成に対し±3mol%)なお、図2で、ADAは、アセトンジメチルアセタール、MeOHは、メタノール、Acetoneは、アセトンを示す。
また、蒸留塔へ導入される組成が、アセトンジメチルアセタールとメタノールの共沸組成比でなかった場合も、この三角図におけるアセトンジメチルアセタールとメタノール組成を変更することにより、2つのラインの交点から、蒸留塔へ導入するアセトンジメチルアセタール:メタノール:アセトンの最適な組成の割合を求めることができる。
また、アセトンが不足する場合には、別途導入することによって補うことができる。例えば、アセトンを多く含むガスとしては、脱ガス塔40の塔頂から排出される軽質ガス中のアセトンや脱水塔80の塔頂から排出されるリサイクルガス中のアセトンを利用することができる。
水に溶けやすいメタノールとアセトンは水とともに油水分離器81から脱水塔80へ送り込まれる。水に溶けにくいアセトンジメチルアセタール(少量のメタノールとアセトンも含まれる)はライン22を介して反応器20へ送られる。脱水塔80にて、水は下部から排水として除去され、塔頂から排出されるメタノールとアセトンはADA反応器70へリサイクルされる。
また、油水分離器81では、水を供給することで、アセトンジメチルアセタールとメタノール・アセトン水溶液の分離効率を向上させることができ、同時にライン22に含まれるメタノールとアセトンの量も調整することができる。
ここで二酸化炭素は、所定の圧力30MPaGまでコンプレッサ31により圧縮される。
図1の実施の形態に対し、ADA回収塔60を省略し、DMC精製塔50で、アセトンジメチルアセタールも同時に分離するように構成している。
この実施の形態は、機器点数が少なくてすむという利点を有する。
なお、図4で示すDMC精製塔とADA回収塔60以外の要素は、実質的に同一の構成・作用・効果を有する。
炭酸ジメチルを17,000ton/年生産する想定において、炭酸ジメチル合成反応でADA基準の転化率が30%の場合、DMC分離塔で炭酸ジメチルを分離する際、メタノールが10kgmol/h存在する場合、エントレーナ(アセトン)の量としては40kgmol/hが最適値であり、CO2ストリッパと脱ガス塔におけるアセトン回収量は4〜5kgmol/hとなる。このように制御したときの、DMC分離塔のリボイラDutyは、2.8GJ/hとなる(蒸留塔段数80段、DMC純度99%)。
実施例1において、DMC精製塔で分離したADA混合物からADAをADA回収塔で分離する場合、メタノールが10kgmol/h、エントレーナ(アセトン)の量としては40kgmol/hが最適値であり、ADA分離塔のリボイラDutyは、1.7GJ/hとなる(蒸留塔段数80段、ADA純度99.5%)。
20 DMC(炭酸ジメチル)反応器
30 CO2ストリッパ
40 脱ガス塔
50 DMC(炭酸ジメチル)精製塔
60 ADA(アセトンジメチルアセタール)回収塔
70 ADA(アセトンジメチルアセタール)生成器
80 脱水塔
81 油水分離器
Claims (4)
- ケトンとアルコールとを反応させ、ケタールを得た後、該ケタールと二酸化炭素とを反応させて炭酸エステルを製造することを含む炭酸エステルの製造方法であって、炭酸エステルを分離する蒸留塔において、ケタール生成反応における未反応のケトンをエントレーナとして、炭酸エステルを分離する際、ケトンとアルコールが共沸点組成を構成するように、蒸留塔へ供給する原料の組成を調整したことを特徴とする炭酸エステルの製造方法。
- ケトンとアルコールとを反応させ、ケタールを得た後、該ケタールと二酸化炭素とを反応させて炭酸エステルを製造することを含む炭酸エステルの製造方法であって、炭酸エステルを分離する蒸留塔において、ケタール生成反応における未反応のケトンをエントレーナとして、ケタールを分離する際、ケトンとアルコールとが共沸点組成を構成するように蒸留塔へ供給する原料の組成を調整したことを特徴とする炭酸エステルの製造方法。
- 炭酸エステルを分離する際、単一の精製塔で、ケタールも分離することを特徴とする請求項1及び2のいずれかの炭酸エステルの分離方法。
- 上記ケタールがアセトンジメチルアセタールであり、上記アルコールがメタノールであり、上記ケトンがアセトンであり、上記炭酸エステルが炭酸ジメチルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかのアルコールと炭酸エステルの分離方法。
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